JP2005327630A - リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物、リチウム電池用電極及びリチウム電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物、リチウム電池用電極及びリチウム電池に関する。
ノート型パソコンや携帯電話、PDAといった携帯情報端末の電源として、高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が広く使われている。
このリチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウム電池」と記す)には、負極の活物質としては、リチウムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)及び放出が可能な多層構造を有する炭素材料が用いられる。また、正極の活物質としては、リチウム含有金属複合酸化物が主に用いられる。リチウム電池の電極は、これらの活物質とバインダ樹脂組成物及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドンあるいは水等)を混練してスラリーを調製し、次いで、これを転写ロール等で集電体である金属箔の片面又は両面に塗布し、溶媒を乾燥除去して合剤層を形成後、ロールプレス機等で圧縮成形して作製される。
上記バインダ樹脂組成物としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)が多用されている。しかし、PVDFは、負極の集電体(銅箔など)との接着性に乏しいため、PVDFを用いて負極を作製する場合、合剤層と集電体との界面の接着性を確保するには、負極活物質に対してPVDFを多量に配合しなければならず、リチウム電池の高容量化を妨げる要因となっている。
また、PVDFは、リチウム電池の電解液(充放電に伴う正・負極間でのリチウムイオンの授受を媒介する液体)に対する耐膨潤性が必ずしも十分ではないことから、電解液によって合剤層中のPVDFが膨潤すると、合剤層と集電体との界面や合剤層中の活物質同士の接触がルーズになる。このため、電極の導電ネットワークが次第に崩壊し、リチウム電池が充放電サイクルを繰り返すと、経時的に容量低下が起きる一因となっていた。
これらの問題の解決策として、特許文献1には、炭素数2〜4の1−オレフィン及び/又は炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレートといった短鎖の単量体を共重合させた変性ポリ(メタ)アクリロニトリル系バインダ樹脂、並びに、これにガラス転移温度が−80〜0℃のゴム成分等をブレンドしたバインダ樹脂が開示されている。また、非特許文献1にも、アクリロニトリルと鎖長の短いメチルメタクリレートの2元共重合体をバインダ樹脂として用いることが提案されている。
しかしながら、元来、ポリ(メタ)アクリロニトリルは、剛直な分子構造を有するポリマーであり、上記文献に記載されている鎖長の短い単量体との共重合体では、たとえゴム成分等をブレンドしたとしても、得られる電極の柔軟性・可とう性には難がある。このため、リチウム電池の電極作製におけるロールプレス成形、あるいは、セパレーターを介して正極と負極を渦巻き状に捲回する工程等で合剤層にクラック等の不良が発生する懸念があった。
このリチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウム電池」と記す)には、負極の活物質としては、リチウムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)及び放出が可能な多層構造を有する炭素材料が用いられる。また、正極の活物質としては、リチウム含有金属複合酸化物が主に用いられる。リチウム電池の電極は、これらの活物質とバインダ樹脂組成物及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドンあるいは水等)を混練してスラリーを調製し、次いで、これを転写ロール等で集電体である金属箔の片面又は両面に塗布し、溶媒を乾燥除去して合剤層を形成後、ロールプレス機等で圧縮成形して作製される。
上記バインダ樹脂組成物としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)が多用されている。しかし、PVDFは、負極の集電体(銅箔など)との接着性に乏しいため、PVDFを用いて負極を作製する場合、合剤層と集電体との界面の接着性を確保するには、負極活物質に対してPVDFを多量に配合しなければならず、リチウム電池の高容量化を妨げる要因となっている。
また、PVDFは、リチウム電池の電解液(充放電に伴う正・負極間でのリチウムイオンの授受を媒介する液体)に対する耐膨潤性が必ずしも十分ではないことから、電解液によって合剤層中のPVDFが膨潤すると、合剤層と集電体との界面や合剤層中の活物質同士の接触がルーズになる。このため、電極の導電ネットワークが次第に崩壊し、リチウム電池が充放電サイクルを繰り返すと、経時的に容量低下が起きる一因となっていた。
これらの問題の解決策として、特許文献1には、炭素数2〜4の1−オレフィン及び/又は炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレートといった短鎖の単量体を共重合させた変性ポリ(メタ)アクリロニトリル系バインダ樹脂、並びに、これにガラス転移温度が−80〜0℃のゴム成分等をブレンドしたバインダ樹脂が開示されている。また、非特許文献1にも、アクリロニトリルと鎖長の短いメチルメタクリレートの2元共重合体をバインダ樹脂として用いることが提案されている。
しかしながら、元来、ポリ(メタ)アクリロニトリルは、剛直な分子構造を有するポリマーであり、上記文献に記載されている鎖長の短い単量体との共重合体では、たとえゴム成分等をブレンドしたとしても、得られる電極の柔軟性・可とう性には難がある。このため、リチウム電池の電極作製におけるロールプレス成形、あるいは、セパレーターを介して正極と負極を渦巻き状に捲回する工程等で合剤層にクラック等の不良が発生する懸念があった。
本発明の目的は、集電体、特に負極用の集電体との接着性及び電解液に対する耐膨潤性に優れ、なおかつ、電極の柔軟性・可とう性が良好なリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物(以下、単に「バインダ樹脂組成物」ということがある)を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記のバインダ樹脂組成物を用いることにより、高容量で、なおかつ、充放電サイクルにおける容量低下が小さい充放電特性の優れたリチウム電池の電極及びリチウム電池を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記のバインダ樹脂組成物を用いることにより、高容量で、なおかつ、充放電サイクルにおける容量低下が小さい充放電特性の優れたリチウム電池の電極及びリチウム電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物として、ニトリル基含有単量体と、末端に高接着性のカルボキシル基を有する比較的鎖長の長い単量体との共重合体を使用することにより、電極の集電体との接着性に優れ、電解液に対して膨潤しにくく、かつ、柔軟性及び可とう性に優れたバインダ樹脂組成物を提供することができることを見出した。
即ち、本発明は、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と、式(I)
(式中、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基である)
で表される単量体由来の繰り返し単位とを含む共重合体を含有することを特徴とする、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記R2が、式(II)
-R3-OCO-R4- (II)
(式中、R3は、1個の炭素数2〜6のアルキレン基、又は、2〜20個の炭素数2〜6のアルキレン基がエーテル結合及び/又はエステル結合を介して連結した基であり、R4は、2価の炭化水素基である)で表される基である、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、集電体と、該集電体の少なくとも1面に設けられた合剤層を有し、該合剤層が、活物質を含む上記リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物からなる、リチウム電池用電極、並びにこのリチウム電池用電極を含む、リチウム電池に関する。
即ち、本発明は、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と、式(I)
(式中、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基である)
で表される単量体由来の繰り返し単位とを含む共重合体を含有することを特徴とする、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記R2が、式(II)
-R3-OCO-R4- (II)
(式中、R3は、1個の炭素数2〜6のアルキレン基、又は、2〜20個の炭素数2〜6のアルキレン基がエーテル結合及び/又はエステル結合を介して連結した基であり、R4は、2価の炭化水素基である)で表される基である、リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、集電体と、該集電体の少なくとも1面に設けられた合剤層を有し、該合剤層が、活物質を含む上記リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物からなる、リチウム電池用電極、並びにこのリチウム電池用電極を含む、リチウム電池に関する。
本発明のバインダ樹脂は、ニトリル基含有単量体と、末端に高接着性のカルボキシル基を有する比較的鎖長の長い単量体との共重合構造を有しているので、負極集電体との接着性及び電解液に対する耐膨潤性に優れ、なおかつ、電極の柔軟性・可とう性が良好である。このため、本発明のバインダ樹脂を用いて作製される電極を使用したリチウム電池は、高容量で、なおかつ、充放電サイクルにおける容量低下が小さい。
(1)リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物
本発明のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物は、(i)ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と、(ii)式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位との共重合体を含有することを特徴とする。
(式中、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基である)
(1-1)ニトリル基含有単量体
本発明のニトリル基含有単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルのようなアクリル系単量体、α−シアノアクリレート及びジシアノビニリデンのようなシアン系単量体、フマロニトリルのようなフマル系単量体などが挙げられる。これらの中では、重合のし易さ、コストパフォーマンス、電極の柔軟性・可とう性等の点で、アクリロニトリルが好ましい。これらのニトリル基含有単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。本発明のニトリル基含有単量体としてアクリロニトリルとメタクリロニトリルとを使用する場合、ニトリル基含有単量体の全量に対して、アクリロニトリルを、例えば、5〜95質量%、好ましくは、50〜95質量%含むことが適当である。
本発明のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物は、(i)ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と、(ii)式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位との共重合体を含有することを特徴とする。
(式中、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基である)
(1-1)ニトリル基含有単量体
本発明のニトリル基含有単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルのようなアクリル系単量体、α−シアノアクリレート及びジシアノビニリデンのようなシアン系単量体、フマロニトリルのようなフマル系単量体などが挙げられる。これらの中では、重合のし易さ、コストパフォーマンス、電極の柔軟性・可とう性等の点で、アクリロニトリルが好ましい。これらのニトリル基含有単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。本発明のニトリル基含有単量体としてアクリロニトリルとメタクリロニトリルとを使用する場合、ニトリル基含有単量体の全量に対して、アクリロニトリルを、例えば、5〜95質量%、好ましくは、50〜95質量%含むことが適当である。
(1-2) 式(I)で表される単量体
式(I)で表される単量体としては、特に限定されないが、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基であるものが好ましい。ここで、2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜100のアルキレン基、炭素数6〜50のアルキレン基、炭素数8〜15のアルキレン基であることが適当である。このアルキレン基は、直鎖又は分枝鎖であってもよい。また、アルキレン基は、一部フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。また、2価の炭化水素基として、下記式(II)の基を用いてもよい。
-R3-OCO-R4- (II)
式中、R3は、1個の炭素数2〜6のアルキレン基、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレン基であることが適当である。
また、R3は、2〜20個、好ましくは、2〜10個、より好ましくは、2〜5個の上記炭素数2〜6のアルキレン基がエーテル結合及び/又はエステル結合を介して連結した基であってもよい。
ここで、上記アルキレン基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。
R4は、2価の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香環基であることが適当である。これらのアルキレン基、シクロアルキル基及び芳香環基は、一部フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。
具体的には、例えば市販の、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MS)、2−アクリロイロキシエチルフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MPL)、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−HH)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MS)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MPL)、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−HH)などが挙げられる。これらの中では、アクリロニトリルと共重合させる場合の反応性等の点から、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(一般式(I)のR1がH、式(II)のR3及びR4がエチレン基)がより好ましい。これらの一般式(I)で表される単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
式(I)で表される単量体としては、特に限定されないが、R1はH又はCH3;R2は、2価の炭化水素基であるものが好ましい。ここで、2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜100のアルキレン基、炭素数6〜50のアルキレン基、炭素数8〜15のアルキレン基であることが適当である。このアルキレン基は、直鎖又は分枝鎖であってもよい。また、アルキレン基は、一部フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。また、2価の炭化水素基として、下記式(II)の基を用いてもよい。
-R3-OCO-R4- (II)
式中、R3は、1個の炭素数2〜6のアルキレン基、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレン基であることが適当である。
また、R3は、2〜20個、好ましくは、2〜10個、より好ましくは、2〜5個の上記炭素数2〜6のアルキレン基がエーテル結合及び/又はエステル結合を介して連結した基であってもよい。
ここで、上記アルキレン基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。
R4は、2価の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香環基であることが適当である。これらのアルキレン基、シクロアルキル基及び芳香環基は、一部フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンや、窒素、リン、芳香環、炭素数3〜10のシクロアルカン等で置換されていてもよい。
具体的には、例えば市販の、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MS)、2−アクリロイロキシエチルフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MPL)、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−HH)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MS)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MPL)、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−HH)などが挙げられる。これらの中では、アクリロニトリルと共重合させる場合の反応性等の点から、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(一般式(I)のR1がH、式(II)のR3及びR4がエチレン基)がより好ましい。これらの一般式(I)で表される単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
(1-3)その他の単量体の繰り返し単位
本発明のバインダ樹脂組成物は、上記ニトリル基含有単量体の繰り返し単位及び式(I)で表される単量体の繰り返し単位の他、これらの単量体とは異なる他の単量体の繰り返し単位を適宜組合せることもできる。他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類及びそれらの塩類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩などが挙げられる。これらの他の単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明のバインダ樹脂組成物は、上記ニトリル基含有単量体の繰り返し単位及び式(I)で表される単量体の繰り返し単位の他、これらの単量体とは異なる他の単量体の繰り返し単位を適宜組合せることもできる。他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類及びそれらの塩類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩などが挙げられる。これらの他の単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
(1-4)各単量体繰り返し単位の含有量
ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と前記式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位とのモル比は、例えば、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位1モルに対して、式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位が0.005〜0.1モル、好ましくは0.01〜0.06モル、より好ましくは、0.03〜0.05モルであることが好適である。0.005モル以上であれば、集電体、特に銅箔を用いた負極集電体とバインダ樹脂組成物との接着性が良好になり、また、本発明のバインダ樹脂組成物を使用した電極の柔軟性・可とう性が良好になる。また、0.1モル以下であれば、電解液に対する十分な耐膨潤性が得られるので好ましい。
また、他の単量体を使用する場合、他の単量体の使用量は、ニトリル基含有単量体1モルに対して、0.005〜0.1モル、好ましくは、0.01〜0.06モル、より好ましくは、0.03〜0.05モルの割合とすることが好ましい。
ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位と前記式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位とのモル比は、例えば、ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位1モルに対して、式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位が0.005〜0.1モル、好ましくは0.01〜0.06モル、より好ましくは、0.03〜0.05モルであることが好適である。0.005モル以上であれば、集電体、特に銅箔を用いた負極集電体とバインダ樹脂組成物との接着性が良好になり、また、本発明のバインダ樹脂組成物を使用した電極の柔軟性・可とう性が良好になる。また、0.1モル以下であれば、電解液に対する十分な耐膨潤性が得られるので好ましい。
また、他の単量体を使用する場合、他の単量体の使用量は、ニトリル基含有単量体1モルに対して、0.005〜0.1モル、好ましくは、0.01〜0.06モル、より好ましくは、0.03〜0.05モルの割合とすることが好ましい。
(2)リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物の製法
本発明のバインダ樹脂組成物を合成するための重合様式としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合など、特に制限はないが、樹脂合成のし易さ、回収・精製といった後処理のし易さ等の点で、水中懸濁重合が好ましい。
(2-1)重合開始剤
水中懸濁重合を行う際の重合開始剤としては、重合開始効率等の点で水溶性タイプが好ましい。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性過酸化物、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンハイドロクロライド)等の水溶性アゾ化合物、過硫酸塩等の酸化剤と亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤を組合せた酸化還元型(レドックス型)などが挙げられる。これらの中では、樹脂合成のし易さ等の点で過硫酸塩、水溶性アゾ化合物が好ましい。なお、ニトリル基含有単量体としてアクリロニトリルを選択し、式(I)で表される単量体として2−アクリロイロキシエチルコハク酸を選択して水中懸濁重合を行った場合、単量体の状態では双方ともに水溶性であることから、水溶性重合開始剤が有効に作用し、重合がスムーズに始まる。そして、重合が進むにつれて重合物が析出してくるため、反応系が懸濁状態となり、最終的に未反応物の少ないバインダ樹脂が高収率で得られる。
本発明のバインダ樹脂組成物を合成するための重合様式としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合など、特に制限はないが、樹脂合成のし易さ、回収・精製といった後処理のし易さ等の点で、水中懸濁重合が好ましい。
(2-1)重合開始剤
水中懸濁重合を行う際の重合開始剤としては、重合開始効率等の点で水溶性タイプが好ましい。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性過酸化物、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンハイドロクロライド)等の水溶性アゾ化合物、過硫酸塩等の酸化剤と亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤を組合せた酸化還元型(レドックス型)などが挙げられる。これらの中では、樹脂合成のし易さ等の点で過硫酸塩、水溶性アゾ化合物が好ましい。なお、ニトリル基含有単量体としてアクリロニトリルを選択し、式(I)で表される単量体として2−アクリロイロキシエチルコハク酸を選択して水中懸濁重合を行った場合、単量体の状態では双方ともに水溶性であることから、水溶性重合開始剤が有効に作用し、重合がスムーズに始まる。そして、重合が進むにつれて重合物が析出してくるため、反応系が懸濁状態となり、最終的に未反応物の少ないバインダ樹脂が高収率で得られる。
(2-2)連鎖移動剤
また、水中懸濁重合を行う際には、分子量調節などの目的で、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらの中では、臭気が少ない等の点で、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
(2-3)溶媒
さらに、水中懸濁重合を行う際、懸濁粒子径の調節など必要に応じ、水以外の溶媒を加えることもできる。水以外の溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
また、水中懸濁重合を行う際には、分子量調節などの目的で、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらの中では、臭気が少ない等の点で、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
(2-3)溶媒
さらに、水中懸濁重合を行う際、懸濁粒子径の調節など必要に応じ、水以外の溶媒を加えることもできる。水以外の溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
(2-4)その他の添加剤
本発明のバインダ樹脂組成物には、必要に応じて他の材料、例えば、電解液に対する耐膨潤性を補完するための架橋成分、電極の柔軟性・可とう性を補完するためのゴム成分、合剤スラリーの電極塗工性を向上させるための沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤といった各種添加剤などを配合することもできる。
本発明のバインダ樹脂組成物には、必要に応じて他の材料、例えば、電解液に対する耐膨潤性を補完するための架橋成分、電極の柔軟性・可とう性を補完するためのゴム成分、合剤スラリーの電極塗工性を向上させるための沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤といった各種添加剤などを配合することもできる。
(2-5)重合方法
重合は、例えば、ニトリル基含有単量体、式(I)で表される単量体、その他の単量体を溶媒中に導入し、重合温度を、0〜100℃、好ましくは30〜90℃として1〜50時間、好ましくは、2〜12時間保持することによって行われる。重合温度が0℃以上であれば、重合速度が低下することもなく、また、重合温度が100℃以下であれば、溶媒として水を使用したときでも、水が蒸発して重合が困難になることもないので好ましい。
ニトリル基含有単量体、式(I)で表される単量体、その他の単量体を重合する際、特にニトリル基含有単量体の重合熱が大きいため、これらの溶媒中に滴下しながら重合を進めることが好ましい。
重合は、例えば、ニトリル基含有単量体、式(I)で表される単量体、その他の単量体を溶媒中に導入し、重合温度を、0〜100℃、好ましくは30〜90℃として1〜50時間、好ましくは、2〜12時間保持することによって行われる。重合温度が0℃以上であれば、重合速度が低下することもなく、また、重合温度が100℃以下であれば、溶媒として水を使用したときでも、水が蒸発して重合が困難になることもないので好ましい。
ニトリル基含有単量体、式(I)で表される単量体、その他の単量体を重合する際、特にニトリル基含有単量体の重合熱が大きいため、これらの溶媒中に滴下しながら重合を進めることが好ましい。
(2-6) 式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位の導入
本発明のバインダ樹脂組成物の式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位は、上記のようにニトリル基含有単量体と、式(I)で表される単量体とを直接共重合して導入する他、ニトリル基含有単量体と、下記式(III)で表される単量体を共重合させた後、一般式(IV)で表される環状酸無水物を公知の方法で付加反応させて導入することもできる。
式中、R1は式(I)におけるR1と同意義であり、R3は一般式(II)におけるR3と同意義である。
式中、R4は一般式(II)におけるR4と同意義である。
本発明のバインダ樹脂組成物の式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位は、上記のようにニトリル基含有単量体と、式(I)で表される単量体とを直接共重合して導入する他、ニトリル基含有単量体と、下記式(III)で表される単量体を共重合させた後、一般式(IV)で表される環状酸無水物を公知の方法で付加反応させて導入することもできる。
式中、R1は式(I)におけるR1と同意義であり、R3は一般式(II)におけるR3と同意義である。
式中、R4は一般式(II)におけるR4と同意義である。
上記一般式(III)で表される単量体としては、特に制限はないが、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。また、上記一般式(IV)で表される単量体としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物などが挙げられる。これらの一般式(III)で表される単量体並びに一般式(IV)で表される環状酸無水物は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
(2-7)バインダ樹脂組成物の形態
本発明のバインダ樹脂組成物は、上記のように重合して製造され、通常、バインダ樹脂組成物を溶媒に溶解したワニスの形態で保存される。ワニス形態のバインダ樹脂組成物は、その後、電極の集電体上に塗工される。このワニスの調製に用いる溶媒としては、特に制限はないが、例えば、先に述べた水中懸濁重合を行う際に加えることのできる溶媒及び水が使用できる。これら溶媒、本発明のバインダ樹脂に対する溶解性等の点で、アミド類やウレア類又はそれを含む混合溶剤が好ましく、これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン又はそれを含む混合溶媒がより好ましい。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
上記溶剤の使用量は、常温でバインダ樹脂組成物が溶解状態を保てる必要最低限の量以上であれば、特に制限はないが、後のリチウム電池の電極作製におけるスラリー調製工程で、通常、溶媒を加えながら粘度調節を行うため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。
本発明のバインダ樹脂組成物は、上記のように重合して製造され、通常、バインダ樹脂組成物を溶媒に溶解したワニスの形態で保存される。ワニス形態のバインダ樹脂組成物は、その後、電極の集電体上に塗工される。このワニスの調製に用いる溶媒としては、特に制限はないが、例えば、先に述べた水中懸濁重合を行う際に加えることのできる溶媒及び水が使用できる。これら溶媒、本発明のバインダ樹脂に対する溶解性等の点で、アミド類やウレア類又はそれを含む混合溶剤が好ましく、これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン又はそれを含む混合溶媒がより好ましい。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
上記溶剤の使用量は、常温でバインダ樹脂組成物が溶解状態を保てる必要最低限の量以上であれば、特に制限はないが、後のリチウム電池の電極作製におけるスラリー調製工程で、通常、溶媒を加えながら粘度調節を行うため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。
(3) リチウム電池用電極
本発明のリチウム電池用電極は、集電体と、該集電体の少なくとも1面に設けられた合剤層を有するものである。この合剤層は、活物質を含む上記本発明のバインダ樹脂組成物及び活物質からなる。合剤層は、上記本発明のバインダ樹脂組成物、溶媒及び活物質等を含むスラリーを調製し、このスラリーを前記集電体に塗布し、溶媒を除去することによって得られる。
本発明のリチウム電池用電極は、集電体と、該集電体の少なくとも1面に設けられた合剤層を有するものである。この合剤層は、活物質を含む上記本発明のバインダ樹脂組成物及び活物質からなる。合剤層は、上記本発明のバインダ樹脂組成物、溶媒及び活物質等を含むスラリーを調製し、このスラリーを前記集電体に塗布し、溶媒を除去することによって得られる。
(3-1)集電体
本発明の集電体は、導電性を有する物質であればよく、例えば、金属が使用できる。より具体的に、金属としては、 アルミニウム、銅及びニッケル等が使用できる。さらに、集電体の形状は、特に限定はないが、リチウム電池の高エネルギー密度化という点から、薄膜状が好ましい。集電体の厚みは、例えば、5〜30μm、好ましくは、8〜25μmであることが適当である。
本発明の集電体は、導電性を有する物質であればよく、例えば、金属が使用できる。より具体的に、金属としては、 アルミニウム、銅及びニッケル等が使用できる。さらに、集電体の形状は、特に限定はないが、リチウム電池の高エネルギー密度化という点から、薄膜状が好ましい。集電体の厚みは、例えば、5〜30μm、好ましくは、8〜25μmであることが適当である。
(3-2)合剤層
本発明の合剤層は、活物質を含む上記バインダ樹脂組成物からなる。合剤層は、上記バインダ樹脂組成物、溶媒、活物質、その他の添加剤を含む混合物を上記集電体の少なくとも一方の面に塗布し、さらに溶媒を除去することによって得られる。
(3-2-1)活物質
本発明で使用される活物質は、リチウム電池の充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば特に制限はない。しかしながら、正極は、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを受け取るという機能を有する一方、負極は、充電時にリチウムイオンを受け取り、放電時にリチウムイオンを放出するという正極とは逆の機能を有するので、正極及び負極で使用される活物質は、それぞれの有する機能にあわせて種類の異なる活物質が使用されることが好ましい。
本発明の合剤層は、活物質を含む上記バインダ樹脂組成物からなる。合剤層は、上記バインダ樹脂組成物、溶媒、活物質、その他の添加剤を含む混合物を上記集電体の少なくとも一方の面に塗布し、さらに溶媒を除去することによって得られる。
(3-2-1)活物質
本発明で使用される活物質は、リチウム電池の充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば特に制限はない。しかしながら、正極は、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを受け取るという機能を有する一方、負極は、充電時にリチウムイオンを受け取り、放電時にリチウムイオンを放出するという正極とは逆の機能を有するので、正極及び負極で使用される活物質は、それぞれの有する機能にあわせて種類の異なる活物質が使用されることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料が好ましく、このような炭素材料とシリコン、すず、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物なども使用できる。
一方、正極活物質としては、例えば、リチウム及び鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種類以上の金属を少なくとも含有するリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。これらの活物質は単独で又は二種以上組み合わせて用いられる。
なお、正極活物質は、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、単独で又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。
一方、正極活物質としては、例えば、リチウム及び鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種類以上の金属を少なくとも含有するリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。これらの活物質は単独で又は二種以上組み合わせて用いられる。
なお、正極活物質は、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、単独で又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。
(3-2-2)溶媒
合剤層の製造に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、バインダ組成物を均一に溶解または分散できる溶媒であればよい。この溶媒としては、バインダ樹脂組成物を溶解してワニスを調製する際に用いられる溶媒がそのまま使用される。例えば、水、有機溶媒等の種々の溶媒を使用することができる。例えば、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロリドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)あるいはグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が好ましい。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられてもよい。
合剤層の製造に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、バインダ組成物を均一に溶解または分散できる溶媒であればよい。この溶媒としては、バインダ樹脂組成物を溶解してワニスを調製する際に用いられる溶媒がそのまま使用される。例えば、水、有機溶媒等の種々の溶媒を使用することができる。例えば、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロリドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)あるいはグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が好ましい。これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられてもよい。
(3-2-3)その他の添加剤
本発明の合剤層を製造するための上記スラリーには、スラリーの分散安定性や塗工性を改善するため増粘剤を添加することができる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、及びこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びこれらのアルカリ金属塩、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。
本発明の合剤層を製造するための上記スラリーには、スラリーの分散安定性や塗工性を改善するため増粘剤を添加することができる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、及びこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びこれらのアルカリ金属塩、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。
(3-3)電極の製法
本発明の電極は、特に制限なく公知の電極の製造方法を利用して製造することができるが、例えば、上記バインダ樹脂組成物、溶媒、及び活物質を含むスラリーを集電体の少なくとも1面に塗布し、次いで溶媒を除去し、必要に応じて圧延して集電体表面に合剤層を形成することにより製造することができる。
ここで、塗布は、例えば、コンマコーター等を用いて行うことができる。塗布は、対向する電極において、単位面積あたりの活物質利用率が負極/正極=1以上になるように行うことが適当である。スラリーの塗布量は、例えば、合剤層の乾燥質量が、例えば、5〜30g/m2、好ましくは、10〜15g/m2となる量であることが好適である。溶媒の除去は、例えば50〜150℃、好ましくは、80〜120℃で、1〜20分間、好ましくは、3〜10分間乾燥することによって行われる。圧延は、例えばロールプレス機を用いて行われ、合剤層のかさ密度が、負極の合剤層の場合、例えば、1〜2g/cm3、好ましくは、1.2〜1.8g/cm3となるように、正極の合剤層の場合、例えば、2〜5g/cm3、好ましくは、3〜4g/cm3となるようにプレスされることが好適である。更に電極内の残留溶媒、吸着水の除去のため、例えば、120℃で10時間真空乾燥してもよい。
本発明の電極は、特に制限なく公知の電極の製造方法を利用して製造することができるが、例えば、上記バインダ樹脂組成物、溶媒、及び活物質を含むスラリーを集電体の少なくとも1面に塗布し、次いで溶媒を除去し、必要に応じて圧延して集電体表面に合剤層を形成することにより製造することができる。
ここで、塗布は、例えば、コンマコーター等を用いて行うことができる。塗布は、対向する電極において、単位面積あたりの活物質利用率が負極/正極=1以上になるように行うことが適当である。スラリーの塗布量は、例えば、合剤層の乾燥質量が、例えば、5〜30g/m2、好ましくは、10〜15g/m2となる量であることが好適である。溶媒の除去は、例えば50〜150℃、好ましくは、80〜120℃で、1〜20分間、好ましくは、3〜10分間乾燥することによって行われる。圧延は、例えばロールプレス機を用いて行われ、合剤層のかさ密度が、負極の合剤層の場合、例えば、1〜2g/cm3、好ましくは、1.2〜1.8g/cm3となるように、正極の合剤層の場合、例えば、2〜5g/cm3、好ましくは、3〜4g/cm3となるようにプレスされることが好適である。更に電極内の残留溶媒、吸着水の除去のため、例えば、120℃で10時間真空乾燥してもよい。
(4)電池
本発明の電極は、さらに電解液と組み合わせることにより、リチウム電池を製造することができる。
(4-1)電解液
本発明で使用する電解液としては、リチウム電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はない。電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類、アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、スルホラン等のスルホン類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類、1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類などの有機溶媒に、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2] 2Bなどの電解質を溶解した溶液などが挙げられる。これらの中では、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましい。電解液の有機溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
本発明の電極は、さらに電解液と組み合わせることにより、リチウム電池を製造することができる。
(4-1)電解液
本発明で使用する電解液としては、リチウム電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はない。電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類、アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、スルホラン等のスルホン類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類、1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類などの有機溶媒に、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2] 2Bなどの電解質を溶解した溶液などが挙げられる。これらの中では、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましい。電解液の有機溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
(4-2)リチウム電池の製法
上記本発明のリチウム電池の製造方法については特に制約はないが、いずれも公知の方法を利用できる。例えば、まず、正極と負極の2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して捲回する。得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。得られた電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
上記本発明のリチウム電池の製造方法については特に制約はないが、いずれも公知の方法を利用できる。例えば、まず、正極と負極の2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して捲回する。得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。得られた電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
<バインダ樹脂組成物の調製>
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した3リットルのセパラブルフラスコに、精製水1804gを仕込み、窒素ガス通気量200ml/分の条件下、撹拌しながら、75℃まで昇温した後、窒素ガスの通気を止めた。次いで、重合開始剤の過硫酸カリウム2.29gを精製水76gに溶かした水溶液を添加し、直ちに、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル174.2g、式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MS)26.1g(アクリロニトリル1モルに対して0.037モルの割合)及び連鎖移動剤のα−メチルスチレンダイマー0.174gの混合液を、系の温度を73±2℃に保ちながら、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに30分間反応を進めた。続いて、得られた懸濁状態の反応物に、過硫酸カリウム0.58gを精製水21.3gに溶かした水溶液を追加し、83℃まで昇温した後、系の温度を83±3℃に保ちながら、3時間反応を進めた。その後、1時間かけて40℃まで冷却した後、攪拌を止めて一晩室温に放冷し、本発明のバインダ樹脂組成物が沈殿した反応液を得た。この反応液を吸引ろ過し、回収した湿潤状態の沈殿を精製水1800gで3回洗浄した後、80℃で24時間乾燥して、単離・精製し、本発明のバインダ樹脂組成物を得た。収率は93%、酸価は38KOHmg/g(理論値:34KOHmg/g)であった。
<バインダ樹脂組成物の調製>
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した3リットルのセパラブルフラスコに、精製水1804gを仕込み、窒素ガス通気量200ml/分の条件下、撹拌しながら、75℃まで昇温した後、窒素ガスの通気を止めた。次いで、重合開始剤の過硫酸カリウム2.29gを精製水76gに溶かした水溶液を添加し、直ちに、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリル174.2g、式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートHOA−MS)26.1g(アクリロニトリル1モルに対して0.037モルの割合)及び連鎖移動剤のα−メチルスチレンダイマー0.174gの混合液を、系の温度を73±2℃に保ちながら、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに30分間反応を進めた。続いて、得られた懸濁状態の反応物に、過硫酸カリウム0.58gを精製水21.3gに溶かした水溶液を追加し、83℃まで昇温した後、系の温度を83±3℃に保ちながら、3時間反応を進めた。その後、1時間かけて40℃まで冷却した後、攪拌を止めて一晩室温に放冷し、本発明のバインダ樹脂組成物が沈殿した反応液を得た。この反応液を吸引ろ過し、回収した湿潤状態の沈殿を精製水1800gで3回洗浄した後、80℃で24時間乾燥して、単離・精製し、本発明のバインダ樹脂組成物を得た。収率は93%、酸価は38KOHmg/g(理論値:34KOHmg/g)であった。
実施例2
式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸を12.1g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.017モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は95%、酸価は22KOHmg/g(理論値:17KOHmg/g)であった。
実施例3
式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸を38.3g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.054モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は92%、酸価は48KOHmg/g(理論値:47KOHmg/g)であった。
式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸を12.1g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.017モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は95%、酸価は22KOHmg/g(理論値:17KOHmg/g)であった。
実施例3
式(I)で表される単量体としての2−アクリロイロキシエチルコハク酸を38.3g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.054モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は92%、酸価は48KOHmg/g(理論値:47KOHmg/g)であった。
比較例1
式(I)で表される単量体を使用しない以外は、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は97%、酸価は1KOHmg/g未満(理論値:0KOHmg/g)であった。なお、本比較例は、式(I)で表される単量体を使用していないので、本発明の実施例に対する比較例である。
比較例2
式(I)で表される単量体のかわりに、メチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬特級グレード) (式(I)中、-R2COOHが-CH3に置換されたもの)15.3g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.054モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は96%、酸価は1KOHmg/g未満(理論値:0KOHmg/g)であった。なお、本比較例は、式(I)で表される単量体を使用していないので、本発明の実施例に対する比較例である。
比較例3
リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物として、PVDF(呉羽化学工業(株)製、KF9130)を使用した。
式(I)で表される単量体を使用しない以外は、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は97%、酸価は1KOHmg/g未満(理論値:0KOHmg/g)であった。なお、本比較例は、式(I)で表される単量体を使用していないので、本発明の実施例に対する比較例である。
比較例2
式(I)で表される単量体のかわりに、メチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬特級グレード) (式(I)中、-R2COOHが-CH3に置換されたもの)15.3g使用する以外は(アクリロニトリル1モルに対して0.054モルの割合)、実施例1と同様にしてバインダ樹脂組成物を得た。収率は96%、酸価は1KOHmg/g未満(理論値:0KOHmg/g)であった。なお、本比較例は、式(I)で表される単量体を使用していないので、本発明の実施例に対する比較例である。
比較例3
リチウム電池電極用バインダ樹脂組成物として、PVDF(呉羽化学工業(株)製、KF9130)を使用した。
<ワニスの調製>
上記各実施例及び比較例のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物120gを、撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、さらにN−メチル−2−ピロリドン(呉羽化学製、KF-1120)(以下、NMPという)1880gを加え、極微量(5ml/分以下)の窒素ガス通気下、攪拌しながら60℃に昇温した。同温度で8時間保持してバインダ樹脂組成物をNMPに溶解させた後、各実施例及び比較例のバインダ樹脂組成物のワニス試料(樹脂分6質量%)を得た。
上記各実施例及び比較例のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物120gを、撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、さらにN−メチル−2−ピロリドン(呉羽化学製、KF-1120)(以下、NMPという)1880gを加え、極微量(5ml/分以下)の窒素ガス通気下、攪拌しながら60℃に昇温した。同温度で8時間保持してバインダ樹脂組成物をNMPに溶解させた後、各実施例及び比較例のバインダ樹脂組成物のワニス試料(樹脂分6質量%)を得た。
<バインダ樹脂組成物の評価>
各実施例及び比較例のバインダ樹脂組成物の諸特性(電解液に対する耐膨潤性、負極集電体との接着性、電極の柔軟性・可とう性及び初回充放電特性)を以下のようにして評価した。
(1)電解液に対する耐膨潤性
上記で得られたワニス試料を、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)シートにキャストし、100℃のホットプレート上で3時間乾燥した。その後、乾燥した残部をPETシートから剥がして、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理し、バインダー樹脂組成物のフィルムを得た。次いで、得られたフィルムを1.5cm角で4枚切り出し、アルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中に移して乾燥質量を測定した後、電解液(キシダ化学(株)製、1Mの濃度でLiPF6を溶解したエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートの等体積混合溶液、以下同様)に23℃で24時間浸漬した。その後、フィルムを電解液から引き上げ、乾燥タオルペーパーで表面に付着した電解液を拭きとり、直ちに質量を測定した。電解液に対する耐膨潤性は、下式から算出した膨潤度で評価した。
膨潤度(質量%)=[(浸漬後の質量−浸漬前の乾燥質量)/浸漬前の乾燥質量]×100
膨潤度が、通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下であれば、電解液に対する膨潤性が低いと評価される。
各実施例及び比較例のバインダ樹脂組成物の諸特性(電解液に対する耐膨潤性、負極集電体との接着性、電極の柔軟性・可とう性及び初回充放電特性)を以下のようにして評価した。
(1)電解液に対する耐膨潤性
上記で得られたワニス試料を、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)シートにキャストし、100℃のホットプレート上で3時間乾燥した。その後、乾燥した残部をPETシートから剥がして、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理し、バインダー樹脂組成物のフィルムを得た。次いで、得られたフィルムを1.5cm角で4枚切り出し、アルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中に移して乾燥質量を測定した後、電解液(キシダ化学(株)製、1Mの濃度でLiPF6を溶解したエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートの等体積混合溶液、以下同様)に23℃で24時間浸漬した。その後、フィルムを電解液から引き上げ、乾燥タオルペーパーで表面に付着した電解液を拭きとり、直ちに質量を測定した。電解液に対する耐膨潤性は、下式から算出した膨潤度で評価した。
膨潤度(質量%)=[(浸漬後の質量−浸漬前の乾燥質量)/浸漬前の乾燥質量]×100
膨潤度が、通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下であれば、電解液に対する膨潤性が低いと評価される。
(2)集電体との接着性
集電体と本発明のバインダ樹脂組成物との接着性を以下のようにして評価した。負極用の集電体に使用される活物質として黒鉛(日立化成工業(株)製、商品名:MAG−C、塊状人造黒鉛、平均粒径35μm、以下同様)を準備した。この黒鉛に対して各ワニス試料を、ワニス試料中の固形分(バインダ樹脂組成物)が内分比で3.0〜4.8体積%まで0.3体積%刻みの7種類の配合物を準備した。必要に応じて、温度25℃、せん断速度50秒-1の時の粘度が1〜10Pa・SとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えながら、上記配合物を混練して負極合剤層用のスラリーを調製した。次いで、得られたスラリーを合剤層の乾燥質量が12.5mg/cm2となるように負極集電体(日立電線(株)製、圧延銅箔、厚み14μm、200×100mm)の片側表面にマイクロアプリケーターで均一に塗布した。その後、塗工物を、80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して合剤層を形成し、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が1.5g/cm3となるように圧縮成形して、本発明のバインダ樹脂組成物を含む合剤層を表面に設けた負極を作製した。
負極集電体との接着性の評価は、上記ロールプレス機で圧縮成形した時に、合剤層と集電体との界面剥離が認められないバインダ樹脂組成物の最少体積%で評価した。最小体積%は、以下の式から求めた。
最小体積(%)=(合剤中のバインダ樹脂組成物の体積)/(合剤の体積)×100
最小体積%が、通常4.5以下、好ましくは4.2以下、より好ましくは、3.9以下であれば、集電体との接着性が良好であると判断した。
集電体と本発明のバインダ樹脂組成物との接着性を以下のようにして評価した。負極用の集電体に使用される活物質として黒鉛(日立化成工業(株)製、商品名:MAG−C、塊状人造黒鉛、平均粒径35μm、以下同様)を準備した。この黒鉛に対して各ワニス試料を、ワニス試料中の固形分(バインダ樹脂組成物)が内分比で3.0〜4.8体積%まで0.3体積%刻みの7種類の配合物を準備した。必要に応じて、温度25℃、せん断速度50秒-1の時の粘度が1〜10Pa・SとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えながら、上記配合物を混練して負極合剤層用のスラリーを調製した。次いで、得られたスラリーを合剤層の乾燥質量が12.5mg/cm2となるように負極集電体(日立電線(株)製、圧延銅箔、厚み14μm、200×100mm)の片側表面にマイクロアプリケーターで均一に塗布した。その後、塗工物を、80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して合剤層を形成し、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が1.5g/cm3となるように圧縮成形して、本発明のバインダ樹脂組成物を含む合剤層を表面に設けた負極を作製した。
負極集電体との接着性の評価は、上記ロールプレス機で圧縮成形した時に、合剤層と集電体との界面剥離が認められないバインダ樹脂組成物の最少体積%で評価した。最小体積%は、以下の式から求めた。
最小体積(%)=(合剤中のバインダ樹脂組成物の体積)/(合剤の体積)×100
最小体積%が、通常4.5以下、好ましくは4.2以下、より好ましくは、3.9以下であれば、集電体との接着性が良好であると判断した。
(3)柔軟性・可とう性の評価
本発明のバインダ樹脂組成物の柔軟性及び可とう性の評価には、上記(2)接着性試験で使用した最小体積%の各試料を用いた。各試料を1mmずつ太さの異なる直径2〜20mmφのステンレス棒に合剤層形成面を外側にして捲き付けた。
柔軟性・可とう性の評価は、捲き付けた時に合剤層表面にクラック等の外観不良の発生が目視観察で認められないステンレス棒の最小径で評価した。最小径が通常9mmφ以下、好ましくは6mmφ以下、より好ましくは、3mmφ以下であれば、バインダ樹脂組成物の柔軟性及び可とう性が良好であると判断した。
本発明のバインダ樹脂組成物の柔軟性及び可とう性の評価には、上記(2)接着性試験で使用した最小体積%の各試料を用いた。各試料を1mmずつ太さの異なる直径2〜20mmφのステンレス棒に合剤層形成面を外側にして捲き付けた。
柔軟性・可とう性の評価は、捲き付けた時に合剤層表面にクラック等の外観不良の発生が目視観察で認められないステンレス棒の最小径で評価した。最小径が通常9mmφ以下、好ましくは6mmφ以下、より好ましくは、3mmφ以下であれば、バインダ樹脂組成物の柔軟性及び可とう性が良好であると判断した。
(4)初回充放電特性
初回充放電特性は、初回充放電時の放電容量、不可逆容量及び充放電効率から判断される二次電池の充放電特性の指針である。初回充放電時の放電容量は、作製された電池の容量の指針となり、初回充放電時の放電容量が大きいほど、容量の大きな電池であるといえる。
初回充放電時の不可逆容量は、[初回充電容量−初回放電容量]から求められ、一般に初回充電時の不可逆容量が小さいほど充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくい優れた電池であると判断される。
また、初回充放電時の充放電効率(%)は、[初回放電容量/初回充電容量×100]から求められ、初回充放電時の充放電効率が大きいほど、充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくい優れた電池であると判断される。
初回充放電特性は、初回充放電時の放電容量、不可逆容量及び充放電効率から判断される二次電池の充放電特性の指針である。初回充放電時の放電容量は、作製された電池の容量の指針となり、初回充放電時の放電容量が大きいほど、容量の大きな電池であるといえる。
初回充放電時の不可逆容量は、[初回充電容量−初回放電容量]から求められ、一般に初回充電時の不可逆容量が小さいほど充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくい優れた電池であると判断される。
また、初回充放電時の充放電効率(%)は、[初回放電容量/初回充電容量×100]から求められ、初回充放電時の充放電効率が大きいほど、充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくい優れた電池であると判断される。
本発明のバインダ樹脂組成物の初回充放電特性の評価には、上記(2)接着性試験で使用した最小体積%の各試料を用いた単極電池を使用した。各試料を120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理し、作用極を準備した。これとは別に、表面を軽く磨いた厚さ1mmの金属リチウム(三井金属工業(株)製)を対極として準備した。また、作用極と対極とを分離するための絶縁体として、セパレーター(東燃タピルス(株)製、微細孔ポリオレフィン、厚み25μm、以下同様)を電解液でしめらせたものを準備した。アルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中で、上記作用極と対極を、セパレーター−対極−セパレーター−作用極−セパレーターの順に積層し、積層体を作製した。得られた積層体の上面及び下面にステンレス製の治具を取り付けて積層体が剥離しないように固定した後、ガラス製の容器に入れて密閉構造の単極電池を作製した。
この単極電池について、充放電装置(東洋システム(株)製、TOSCAT3100)を用い、アルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中、23℃、充電電流0.5mA(0.28mA/cm2)で0Vまで定電流充電を行った。なお、この定電流充電は、対極がリチウム金属であるので、電位の関係上、作用極正極になるため、正確には放電である。しかし、ここでは、作用極の黒鉛へのリチウムイオンの挿入反応を“充電”と定義する。電圧が0Vに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに電流値が0.02mAに減衰するまで充電を続けた後、放電電流0.5mAで放電終止電圧1.5Vに達するまで定電流放電を行った。この時の黒鉛1g当りの充電容量と放電容量を測定し、さらに不可逆容量及び充放電効率を算出し、単極電池の初回充放電特性を評価した。
放電容量が、330mAh以上、好ましくは、335mAh以上であり、不可逆容量が、40mAh以下、好ましくは、30mAh以下であり、充放電効率が、90%以上、好ましくは、92%以上であれば、単体電極の初回充放電特性に優れていると評価した。
上記バインダ樹脂組成物の諸特性の評価結果を、以下の表2に示す。
表2
放電容量が、330mAh以上、好ましくは、335mAh以上であり、不可逆容量が、40mAh以下、好ましくは、30mAh以下であり、充放電効率が、90%以上、好ましくは、92%以上であれば、単体電極の初回充放電特性に優れていると評価した。
上記バインダ樹脂組成物の諸特性の評価結果を、以下の表2に示す。
表2
表2から、本発明のバインダ樹脂組成物(実施例1〜3)は、比較例1〜3に比べ、負極集電体との接着性に優れており、より少ない体積配合量で負極を作製できるので、単極セルの初回充放電特性に優れている(放電容量及び充放電効率が大きく、不可逆容量が小さい)。また、本発明のバインダ樹脂組成物(実施例1〜3)は、比較例1、2に比べ、電極の柔軟性・可とう性が良好である。さらに、本発明のバインダ樹脂(実施例1〜3)は、比較例3に比べ、電解液に対する耐膨潤性に優れており、充放電の際、電極の導電ネットワークが崩壊しにくいことがわかる。
<電池特性の評価>
(1)負極用電極の作製
作製例1
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、上記<バインダ樹脂組成物の評価>(2)接着性試験で使用した実施例1の最小体積%となるワニスを用いた。次いで、得られたワニスを、合剤層の乾燥質量が29mg/cm2となるように負極集電体(日立電線(株)製、圧延銅箔、厚み10μm、200×100mm)の両側表面に転写ロールで均一に塗布した。その後、塗工物を、120℃のコンベア炉で5分間乾燥して合剤層を形成し、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が1.5g/cm3となるように圧縮成形した。これを56mm角に裁断して短冊状のシートを作製し、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理して負極を得た。
(1)負極用電極の作製
作製例1
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、上記<バインダ樹脂組成物の評価>(2)接着性試験で使用した実施例1の最小体積%となるワニスを用いた。次いで、得られたワニスを、合剤層の乾燥質量が29mg/cm2となるように負極集電体(日立電線(株)製、圧延銅箔、厚み10μm、200×100mm)の両側表面に転写ロールで均一に塗布した。その後、塗工物を、120℃のコンベア炉で5分間乾燥して合剤層を形成し、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が1.5g/cm3となるように圧縮成形した。これを56mm角に裁断して短冊状のシートを作製し、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理して負極を得た。
(2)正極用電極の作製
正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、上記<バインダ樹脂組成物の評価>(2)接着性試験で使用した比較例3の最小体積%となるワニスを用いた。正極活物質としてコバルト酸リチウム(平均粒径10μm)、上記ワニス、人造黒鉛系導電助剤(平均粒径3μm、日本黒鉛工業(株)製、JSP)及びカーボンブラック系導電助剤(平均粒径48nm、電気化学工業(株)製、デンカブラックHS-100)を、固形分体積比で72.3:7.4:16.9:3.4となるように配合して配合物を準備した。必要に応じて、温度25℃、せん断速度50秒-1の時の粘度が1〜10Pa・SとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えながら、上記配合物を混練して正極合剤層用のスラリーを調製した。次いで、得られたスラリーを合剤層の乾燥質量が65mg/cm2となるように正極集電体(アルミニウム箔、厚み10μm)の両側表面上に、転写ロールで均一に塗布した。その後、塗工物を、120℃のコンベア炉で5分間乾燥して合剤層を形成した後、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が3.2g/cm3となるように圧縮成形した。これを54mm幅に裁断して短冊状のシートを作製し、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理して正極を得た。
正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、上記<バインダ樹脂組成物の評価>(2)接着性試験で使用した比較例3の最小体積%となるワニスを用いた。正極活物質としてコバルト酸リチウム(平均粒径10μm)、上記ワニス、人造黒鉛系導電助剤(平均粒径3μm、日本黒鉛工業(株)製、JSP)及びカーボンブラック系導電助剤(平均粒径48nm、電気化学工業(株)製、デンカブラックHS-100)を、固形分体積比で72.3:7.4:16.9:3.4となるように配合して配合物を準備した。必要に応じて、温度25℃、せん断速度50秒-1の時の粘度が1〜10Pa・SとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えながら、上記配合物を混練して正極合剤層用のスラリーを調製した。次いで、得られたスラリーを合剤層の乾燥質量が65mg/cm2となるように正極集電体(アルミニウム箔、厚み10μm)の両側表面上に、転写ロールで均一に塗布した。その後、塗工物を、120℃のコンベア炉で5分間乾燥して合剤層を形成した後、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が3.2g/cm3となるように圧縮成形した。これを54mm幅に裁断して短冊状のシートを作製し、120℃の真空乾燥機で5時間真空熱処理して正極を得た。
作製例2
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例2の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
作製例3
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例3の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
作製例4
負極及び正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例1の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
比較作製例1
正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、比較例3の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。なお、本例は、正極及び負極とも、比較例3のバインダ樹脂組成物を使用しているため、本発明の作製例に対する比較作製例である。
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例2の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
作製例3
負極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例3の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
作製例4
負極及び正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、実施例1の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。
比較作製例1
正極の集電体に塗布されるバインダ樹脂組成物のワニスとして、比較例3の最小体積%となるワニスを用いた以外は、作製例1と同様にして負極及び正極を得た。なお、本例は、正極及び負極とも、比較例3のバインダ樹脂組成物を使用しているため、本発明の作製例に対する比較作製例である。
(3)リチウム電池の作製
上記作製例及び比較作製例で得られた負極及び正極の集電体露出部にニッケル製の集電タブを超音波溶着した後、これらをセパレーターを介して自動捲回機で捲回し、スパイラル状の捲回群を作製した。この捲回群を電池缶に挿入し、負極の集電タブ端子を電池缶底に溶接した後、正極の集電タブ端子を蓋に溶接した。次いで、これを蓋が開口した状態で60℃、12時間減圧乾燥した。その後、電池缶にアルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中で電解液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(体積比)で混合した溶液にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したもの)を約5ml注入した。その後、電池缶と蓋とをかしめて密閉し、18650型リチウム電池(円筒形、直径18mm、高さ65mm)を作製した。
得られた18650型リチウム電池について、充放電装置(東洋システム(株)製、TOSCAT3000)を用い、23℃、充電電流800mAで4.2Vまで定電流充電を行い、電圧が4.2Vに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに電流値が20mAに減衰するまで充電を続けた。その後、放電電流800mAで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行い、初回放電容量を測定した。次いで、この条件での充電・放電を1サイクルとし、200サイクル充放電を繰り返した。18650型リチウム電池の充放電サイクル特性は、初回放電容量を維持率100%とした時の200サイクル後の放電容量維持率で評価した。放電容量維持率は、以下の式より算出した。
放電容量維持率(%)=200サイクル後の放電容量/初回放電容量×100
放電容量維持率が、85%以上、好ましくは、90%以上であれば、電池が充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくいため、充放電サイクル特性に優れていると判断できる。
結果を表3に示す。
上記作製例及び比較作製例で得られた負極及び正極の集電体露出部にニッケル製の集電タブを超音波溶着した後、これらをセパレーターを介して自動捲回機で捲回し、スパイラル状の捲回群を作製した。この捲回群を電池缶に挿入し、負極の集電タブ端子を電池缶底に溶接した後、正極の集電タブ端子を蓋に溶接した。次いで、これを蓋が開口した状態で60℃、12時間減圧乾燥した。その後、電池缶にアルゴンガス充填雰囲気下のグローブボックス中で電解液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(体積比)で混合した溶液にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したもの)を約5ml注入した。その後、電池缶と蓋とをかしめて密閉し、18650型リチウム電池(円筒形、直径18mm、高さ65mm)を作製した。
得られた18650型リチウム電池について、充放電装置(東洋システム(株)製、TOSCAT3000)を用い、23℃、充電電流800mAで4.2Vまで定電流充電を行い、電圧が4.2Vに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに電流値が20mAに減衰するまで充電を続けた。その後、放電電流800mAで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行い、初回放電容量を測定した。次いで、この条件での充電・放電を1サイクルとし、200サイクル充放電を繰り返した。18650型リチウム電池の充放電サイクル特性は、初回放電容量を維持率100%とした時の200サイクル後の放電容量維持率で評価した。放電容量維持率は、以下の式より算出した。
放電容量維持率(%)=200サイクル後の放電容量/初回放電容量×100
放電容量維持率が、85%以上、好ましくは、90%以上であれば、電池が充放電サイクルを繰り返しても容量低下が起こりにくいため、充放電サイクル特性に優れていると判断できる。
結果を表3に示す。
表3に示したように、本発明のバインダ樹脂を用いて作製される電極を使用したリチウム電池(作製例1〜4)は、比較作製例1に比べ、充放電サイクル特性に優れていることがわかる。
Claims (7)
- 前記ニトリル基含有単量体由来の繰り返し単位1モルに対して、前記式(I)で表される単量体由来の繰り返し単位が0.005〜0.1モルである、請求項1記載のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物。
- ニトリル基含有単量体が、アクリロニトリルである、請求項1又は2記載のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物。
- R2が、式(II)
-R3-OCO-R4- (II)
(式中、R3は、1個の炭素数2〜6のアルキレン基、又は、2〜20個の炭素数2〜6のアルキレン基がエーテル結合及び/又はエステル結合を介して連結した基であり、R4は、2価の炭化水素基である)
で表される基である、請求項1〜3のいずれか1項記載のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物。 - 式(I) で表される単量体が、2−アクリロイロキシエチルコハク酸である、請求項4記載のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物。
- 集電体と、該集電体の少なくとも1面に設けられた合剤層を有し、該合剤層が、活物質を含む請求項1〜5のいずれか1項記載のリチウム電池電極用バインダ樹脂組成物からなる、リチウム電池用電極。
- 請求項6記載のリチウム電池用電極を含む、リチウム電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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