JP2005325497A - 弾性繊維の処理剤及び弾性繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、平滑性に優れる弾性繊維の処理剤を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、ベース成分として、鉱物油を使用する弾性繊維用処理剤において、該鉱物油が、粘度3〜25mm2/s(30℃)、ナフテン重量%25〜60、アロマ重量%1〜20、アニリン点50〜105℃を満足する鉱物油を5重量%以上含有することを特徴とする弾性繊維用処理剤。また、本発明は該処理剤が、0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする弾性繊維である。
本発明は、上記の特定の範囲にある鉱物油を用いることにより、平滑性およびF/Fμsが向上することを見出した点にある。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平滑性に優れる弾性繊維用油剤に関する。
特開平9−78450号には、実施例にエーテルカルボン酸塩類と60秒の鉱物油を含有する弾性繊維紡糸用油剤が記載され、特開平10−298864号には、実施例にスルホコハク酸(塩)類と60秒の鉱物油を含有する弾性繊維用油剤が記載されている。
特開平9−78450号公報 特開平10−298864号公報
これまで弾性繊維には、芳香環が存在すると糸を劣化させるために、鉱物油として、流動パラフィンのグレードが用いられてきたが、本発明は特定の範囲の芳香環を有し、かつ特定範囲のナフテン比率の鉱物油を用いることにより糸の平滑性が向上しかつF/Fμsが向上することを見出したものである。
本発明の弾性繊維用処理剤は、ベース成分として鉱物油を使用する弾性繊維用処理剤において、該鉱物油が、粘度3〜25mm2/s(30℃)、ナフテン重量%25〜60、アロマ重量%1〜20、アニリン点50〜105℃を満足する鉱物油を5重量%以上使用することを特徴とする。
また、本発明の弾性繊維は上記処理剤が弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする。
本発明は、ベース成分に特定の鉱物油を用いることにより、糸の平滑性が向上しかつF/Fμsが向上することを見出した点にある。即ち、アロマ重量%が1〜20にある必要がある。1重量%未満では芳香環の効果が出ない。また、20重量%を超えると、弾性繊維を劣化させる場合がある。ナフテン重量%は25〜60の間にある必要がある。25重量%以下では平滑性及びF/Fμs向上効果が不十分で、60重量%を超えると弾性繊維を劣化させる場合がある。
アニリン点は50〜105℃の範囲にある必要がある。この範囲にあると、パラフィンとアロマ%とナフテン%の比率が最も平滑性に効果の出る割合になる。
本発明の処理剤は30℃における粘度が3〜30mm/sが好ましい。
3mm/s未満では、処理剤の揮発が問題となり、30mm/sを超えると平滑性に劣る。
本発明に用いる鉱物油は、30℃における粘度が3〜25mm2/sにある必要がある。この範囲にあると、糸の平滑性及びF/Fμs向上に最も効果のある領域である。
本発明の範囲の鉱物油は5重量%以上用いる必要がある。5重量%に満たないと本発明の効果が発揮できない。好ましくは30重量%以上である。
本発明の処理剤には、通常用いられるシリコーン油、エステル油を本発明の効果を損なわない範囲内で使用することができる。
本発明にいう弾性繊維とは、分子鎖中にウレタン結合またはウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンポリマーを紡糸して得られる繊維をいい、このポリマーを適当な溶媒に溶かして乾式紡糸または湿式紡糸することにより、またはそのまま溶融して溶融紡糸により製造される繊維である。このポリマーは一般には、低融点、低ガラス転移点をもつ高分子量のジオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤と呼ばれる低分子量の二官能性活性水素化合物とを主原料として製造される。高分子量ジオールにはポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールまたはこれらの共重合物が使用される。またジイソシアネートとしては通常、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのような環状脂肪族ジイソシアネート類が使用される。低分子の二官能性活性水素化合物としては、アルカンジアミン、アルカンジオールなどが上げられる。
また、本発明の処理剤には、平滑性の効果を高めるために高級脂肪酸の金属石鹸が0.01〜5重量部添加されていても良い。高級脂肪酸の金属石鹸としては、従来弾性繊維に用いられている公知のものを用いることができ、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al、ステアリン酸Ba、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸Li等が好ましい。
また、本発明の処理剤には従来の公知の変性シリコーン(アルキル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、MQシリコーンレジン、MQTシリコーンレジン、Tシリコーンレジン、DTシリコーンレジン等)やつなぎ剤、制電剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等、通常弾性繊維の処理剤に用いられる成分を配合することができる。
本発明の処理剤は、通常、弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与される。
実施するための最良の形態
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお具体例における、油剤特性の評価は次の方法に従って行った。
解舒速度比:
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、巻き取り側紙管(2)をセットする。
巻き取り速度を一定速度にセットした後、ローラー(3)及び(4)を同時に起動させる。この状態では糸(5)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れないため解舒点(6)は図1に示す状態にある。解舒速度を変えることによって、チーズからの糸(5)の解舒点(6)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(7)と一致するように解舒速度を設定する。解舒速度比は式1によって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
解舒速度比(%)=(巻き取り速度−解舒速度)/解舒速度 × 100
F/Fμs:10デニールあたり2gの荷重をかけたSpandexとSpandexを交差させ、10cm/min.で低速走行させた時の摩擦力。
編成張力:
図2において、チーズ(8)から縦取りした弾性糸(9)をコンペンセーター(10)を経てローラー(11)、編み針(12)を介して、Uゲージ(13)に付したローラー(14)を経て速度計(15)、巻き取りローラー(16)に連結する。速度計(15)での走行速度が定速(例えば、10m/分、100m/分)になるように巻き取りローラーの回転速度を調整して、巻き取りローラーに巻き取り、そのときの編成張力(g)をUゲージ(13)で測定し、繊維/編み針間の摩擦
(g)を計測する。
ローラー静電気:
解舒速度比測定機の解舒側にチーズをセットし、50m/分の周速で回転させ、チーズ上2cmのところにおいて、春日式電位差測定装置で、回転を始めて1時間後の発生静電気を測定する
強度伸度:
JIS1013に準じて測定を行った。
粘度:キャノンフェンスケ粘度計を用い30℃における試料液の動粘度を求めた。
アニリン点:JIS K 2256により測定した。
アロマ重量%およびナフテン重量%:JIS K 2536により測定した。
実施例1〜6
紡糸原液の調整:
数平均分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2−ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度33%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での濃度は1800mPaSであった。
ポリウレタン紡糸原液を205℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表1に記載の処理剤(表中の配合量は重量部)をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分700mの速度でボビンに巻き取り77dtexモノフィラメントチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
Figure 2005325497
実施例7〜11及び比較例1〜2
紡糸原液の調整
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール100重量部と4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート25重量部を80℃で反応させ、N,N’−ジメチルアセトアミド250重量部を加え冷却しながら反応混合物を溶解させた。1,2−ジアミノプロパン5重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド184重量部に溶解させたものを添加した。
この様にして得られたポリウレタン紡糸原液を4つの細孔を有する紡糸口金より195℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。
紡糸中走行糸に表2に記載の処理剤をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分700mの速度でボビンに巻き取り、44dtexマルチフィラメントのチーズ(巻き量400g)を得た。
得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
Figure 2005325497
発明の効果
本発明の処理剤を用いることにより安定した平滑性、及び、F/Fμsの向上を弾性繊維に与えることができる。
解舒速度比の測定方法を説明する模式図。 編成張力の測定方法を説明する模式図。
符号の説明
1 チーズ
2 巻き取り用紙管
3 ローラー
4 ローラー
5 走行糸条
6 解舒点
7 チーズとローラーの接点
8 チーズ
9 走行糸条
10 コンペンセーター
11 ローラー
12 編み針
13 Uゲージ
14 ローラー
15 速度計
16 巻き取りローラー
17 春日式電位差測定装置

Claims (2)

  1. ベース成分として鉱物油を使用する弾性繊維用処理剤において、該鉱物油が粘度3〜25mm2/s(30℃)、ナフテン重量%25〜60、アロマ重量%1〜20、アニリン点50〜105℃を満足する鉱物油を5重量%以上含有することを特徴とする弾性繊維用処理剤。
  2. 請求項1に記載の処理剤が弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする弾性繊維。
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