JP2005324348A - リボン印字可能なサーマルカード - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立することができ、ダイレクトサーマル印字の際のスティッキングがなく、偽造防止性が高いサーマルカードを提供する。
【解決手段】 少なくとも一部に感熱発色性材料を有するサーマルカード1において、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分5と、剥離性成分を有していない部分4とを備え、これらが別種のUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード1である。これにより、上記の剥離性成分を有していない部分4と剥離性成分を有する部分5にもに、リボンにより熱溶融して転写したインキの印字部分が定着し、また剥離性成分の有無に関係なく、任意の箇所でダイレクトサーマル印字が可能であり、ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立することが可能となった。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立することができ、また偽造防止性が高いサーマルカードに関するものである。
現在、定期券は、首都圏を中心に都会では、徐々に非接触ICカード化が進んできている。首都圏や都会では乗降客が多いために、数多くの改札を設けなければ一定時間内に捌ききれず、その結果、多大な人件費を要することから、人件費を削減するために、新たにゲート機=非接触ICカードの読取機構と、従来の磁気定期券の読取機構を有する=を設置している。しかしながら、都会を離れれば乗降客は疎らで、混雑するといっても朝夕の一定時間だけで、非接触ICカードと新型ゲート機を導入しても、採算ベースに乗らないところが少なくない。
こういった非都会では、従来通りの目視で判読できるタイプや磁気定期券が使われていくものと推察される。この目視で判読できて、かつ磁気定期券であるものは、従来から様々なタイプが提案、採用されてきているが、昨今は発券機の機能向上が図られ、赤と黒2色のリボン印字がなされている。女性の場合に氏名欄を赤印字したり、通勤と通学の種別部分を赤印字にして目立たせたり、経由地を赤印字するなどの使われ方がある。これらは保存性や安定性の観点から、樹脂系リボンが使用されるようになっていた。
それは、従来のワックスリボンはその名の通り、成分が主としてワックスとして使用される低融点成分であるがゆえに保存性(特に高温下)が悪いからである。しかしながら、ここに来て、あらためてダイレクトサーマルと呼ばれるサーマル層を有する定期券が脚光を浴びつつある。ダイレクトサーマルはこれまで染料(ロイコ系がほとんど)を使用していることから、保管安定性が悪く、熱や湿度で消色したり退色したり、といった問題が避けられなかったが、保存安定性に優れる顕色剤の開発等、材料的な進歩もあり、一定の耐熱性や耐水性を有するものを提供することが可能になりつつあるからである。
また、リボン印字された定期券の場合は、最表面にリボンが露出した構造になるが故に、ゲート機との相性が良くない。ゲート機の搬送ベルトで高速にフィードされていく機構により、徐々にではあるが、リボン印字部分がかすれたり、脱落していくことになり、ついには目視不能な状態となってしまうからである。一方、ダイレクトサーマルであれば、例えば感熱発色層の上の最表面にはOP剤を塗布することが可能であるために、感熱発色層までゲート機で削られるまでには相当の搬送回数を要するようになり、最長6ヶ月の定期券の使用有効期限であれば、目視不能な状態までにはなかなか至らない、ということから比較的ゲート機との相性は良い。
特許文献1にあるように、このOP剤には、例えばシリコーンやPEワックス、フッ素といった剥離性成分を少量含有させている。それは、サーマルヘッドは瞬間的に200℃前後の高温となるため、表面の滑り性が悪いと、結果的にサーマルヘッドとの接触時間が長くなり、高温下に晒される時間が長くなることでスティッキングと呼ばれる現象が発生し、印字ムラに至る場合があるからである。感熱発色層は、前述したロイコ染料以外に顕色剤やバインダー成分(アクリル等の熱可塑性樹脂)が含まれているため、高温下に長時間晒されれば溶融してしまったり、分解してしまう。つまり、スティッキングを防止するためには、耐熱性の高いOP剤であることも必須(→ゆえに、UV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が選択される)であるが、さらに剥離性成分も必須と言える。
特許番号第2757905号公報
さて、ダイレクトサーマルで2色印字する場合は、赤発色層と黒発色層を順次積層して構成する方法が知られている。赤印字の際は印字エネルギーを低くし、黒印字の際は印字エネルギーを高く設定する方法が一般的(赤発色した上で黒発色すれば黒に見える)である。このことは、一般的に言って赤発色層の方が耐熱性が低くなることを示している。当然、赤発色層でもある程度の耐熱性を備えているが、それでも通常は赤から発色してしまうことに違いない。つまり、日常生活において、『暖房器具の近くに置いていたら、いつの間にか全面が赤発色していた』といったことがありうる。この場合、駅に出向いて事情を説明した上で再発行をしてもらうことになる。
一方、駅では期限を過ぎた回収定期券を廃券処理している。この廃券処理は誤って再利用されないようにするため、一般に期限を過ぎた回収定期券の表面にリボン印字を行っている。いくらダイレクトサーマルであっても、すでに必要事項が印字された状態の上から『無効処理』を示す印字を行っても、判読しずらく、また例えば全面を赤発色させるような方式では、前述した家庭内の事故との区別が付かないため不適であるからである。つまり、定期券で使用される場合、発券時のダイレクトサーマル印字ではスティッキングがなく、かつ廃券時のリボン印字が可能なものが求められているのである。そして、このとき一般の剥離成分入りOP剤では対応できないことが判明した。OP剤に剥離成分が含まれると、OP剤の上におけるリボン印字の定着性が悪く、廃券時のリボン印字が正常にできなくなってしまうのである。
したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立することができ、またダイレクトサーマル印字の際のスティッキングがなく、偽造防止性が高いサーマルカードを提供することを目的とする。
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立させる構造を見出したものである。すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも一部に感熱発色性材料を有するサーマルカードにおいて、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分と、剥離性成分を有していない部分とを備え、これらが別種のUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。請求項2の発明は、前記請求項1記載の、剥離性成分を有する部分が有色の地紋絵柄であることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。
請求項3の発明は、前記請求項2記載の、地紋絵柄は主として0.1mm以下の太さの線や点からなり、線や点の間隔が0.2mm以上あることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。請求項4の発明は、前記請求項1記載の、剥離性成分を有していない部分が、略無色透明なOP剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。請求項5の発明は、前記請求項1記載の、剥離性成分がシリコーン系成分からなり、該剥離性成分を含有するUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤におけるシリコーン系成分の含有量が0.1〜5質量%以下であることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。請求項6の発明は前記請求項1〜5のいずれか一つに記載のサーマルカードが、定期券、乗車券、トランプ、入場券のいずれか一つであることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。
本発明は、少なくとも一部に感熱発色性材料を有するサーマルカードにおいて、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分と、剥離性成分を有していない部分とを備え、これらが別種のUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカードである。これにより、上記の剥離性成分を有していない部分と剥離性成分を有する部分にも、リボンにより熱溶融して転写したインキの印字部分が定着し、また剥離性成分の有無に関係なく、任意の箇所でダイレクトサーマル印字が可能であり、ダイレクトサーマル印字とリボン印字を両立することが可能となり、またダイレクトサーマル印字の際に、最表面側に剥離性成分を有する部分があるので、スティッキングがなく、偽造防止性の高いサーマルカードが得られた。
図1は、本発明のリボン印字可能なサーマルカード1の一つの実施形態を示す概略図であり、基材2上に感熱発色性材料を含有する感熱発色層3とOP(オーバープリント)層4が順次設けられ、さらにOP層4の上に剥離性成分を含有した地紋印刷層5が設けられている。図示したサーマルカード1は、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分としての地紋印刷層5があり、また剥離性成分を有していない部分としてOP層4を備えた構成であり、その地紋印刷層5とOP層4とが別種のUV(紫外線)硬化型乃至EB(電子線)硬化型のインキあるいはコーティング剤にて形成されているものである。
本発明のリボン印字可能なサーマルカードを構成する各層について、以下に詳細に説明する。
(基材)
本発明のリボン印字可能なサーマルカードは、少なくとも一部に感熱発色性材料を有し、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分と、剥離性成分を有していない部分とを備え、これらが別種のUV硬化型インキ乃至UV硬化型コーティング剤にて形成されている条件であるが、上記の部分を支持する基材2とともに使用することが好ましい。この基材はシート状、フィルム状あるいは板状の材質からなり、材料としては特に制限されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、セルロースジアセテート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどのプラスチック、銅、アルミニウムなどの金属、紙、含浸紙などを単独あるいは組み合わせて、積層したりして用いることができる。基材の厚さは、0.005〜5mm程度が適当である。
(感熱発色層)
本発明のリボン印字可能なサーマルカードは、感熱発色性材料を有する部分として、感熱発色層3を設ける。この感熱発色層は、感熱発色性材料を含有するもので、詳細には熱融解反応により発色する電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物が含まれ、さらに必要に応じて増感剤、退色防止剤、顔料や滑剤などの充填剤、分散剤、結着剤などが含まれる。感熱発色層は、基材へのコーティング、印刷などにより層として形成する。感熱発色層の形成方法としては、グラビア、ロールコート、スプレーコート、ディッピング、その他がある。電子供与性染料前駆体としては、ロイコ染料としてこの種の感熱材料に適用されているもの、フルカラーの場合には、イエロー、シアン、マゼンタ系に発色するものが選ばれる。その電子供与性染料前駆体として、具体的にはトリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系などが使用でき、発色する色相に応じて適宜選択する。
上記の電子受容性化合物としては、電子供与性染料前駆体と組み合わせて顕色剤と用いられるものとして、ビスフェノールAなどのフェノール性物質、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エロキシテトラデカノイック酸などの有機酸、金属錯体化合物、チオジフェニル尿素、キノン類などがある。
また増感剤としては、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、シュウ酸ジベンジル、トリルビフェニルエーテル、脂肪酸アマイド類がある。退色防止剤としては、水酸基をブロックした顕色剤の類似物、亜鉛塩などの有機金属塩、ヒンダードフェノール類などがある。顔料を併用する場合、白色顔料であれば、可視光、近赤外光を周囲に散乱させる効果があり、光吸収剤への近赤外光吸収を促進および発熱効率を上昇させる。顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪酸塩、ゼオライト、シリカ、カオリンクレー、尿素ホルマリン樹脂などがある。
感熱発色層の形成には、上記材料からなる層を形成するためにインキまたは塗料を調製する。インキまたは塗料の結着剤としては、主に水溶性樹脂が主成分となり、ポリビニルアルコール、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、尿素樹脂、メラニン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂などがある。また、必要に応じて各種補助剤を添加できる。
本発明では、2層の感熱発色層を形成する際、上層と下層とが、それぞれ発色温度が異なるようにして形成する。好ましくは上層に相対的に発色温度が低い発色剤(赤発色する発色剤等)を、下層には相対的に発色温度が高い発色剤(黒発色する発色剤等)を使用する。発色温度の異なる発色剤は、前記発色性化合物および顕色剤の選択によって当業者が容易に決められる。2層及び単層でも感熱発色層の厚さは通常、各層で約3〜10μm程度、乾燥時の塗工量で約3〜10g/m2程度である。
(OP層)
本発明のリボン印字可能なサーマルカードは、サーマルヘッドと接する最表面側に剥離性成分を有していない部分として、OP(オーバープリント)層4を設ける構成である。本発明のOP層は、UV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤を用いて形成されるもので、リボン印字可能なサーマルカードの最外層となって下側の層を保護する。またOP層は、実用上、下に位置して保護されている感熱発色層の発色して記録された部分を判読しやすくするために、略無色透明なOP剤にて形成されていることが望ましい。そのOP層を構成する材料としては、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性などを兼ね備えた樹脂が適している。このような樹脂としては、UV硬化型乃至EB硬化型の樹脂が挙げられる。OP層の厚さは約3μm以上、好ましくは3〜20μmである。この場合も乾燥時の塗工量で約3〜20g/m2程度である。厚さが少なすぎると、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性などの耐久性が不十分である。また厚すぎるとサーマルカードの熱感度が低下したり、感熱発色層との密着性が低下し、さらにコスト的にも不利である。
UV硬化型樹脂は、紫外線照射によって重合反応を起して硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマー或いはプレポリマーであればその種類は特に限定されず、公知の種々のものが使用できる。またOP層は紫外線硬化性の樹脂成分に通常、光重合開始剤を含む。
プレポリマーの例としては、脂肪族、脂環族、芳香脂肪族2〜6価の多価アルコール及びポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)ポリアクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート側鎖及び/又は末端にメタ(アクリロイルオキシ基)を有するビニル系又はジエン系低重合体等のプレポリマーが挙げられる。またモノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、活性水素を含有する化合物のアルキレンオキシド付加重合体のモノ(メタ)アクリレート類、活性水素を有する化合物のアルキレンオキシド付加重合体と(メタ)アクリル酸とのジエステルよりなる2官能単量体N−ビニルピロリドンのようなビニルラクタム類で代表されるアミド基含有単量体、活性水素を有する化合物のアルキレンオキシド付加重合体と(メタ)アクリル酸とのポリエステルよりなる多官能単量体等が挙げられる。光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられ、プレポリマー及びモノマーに対して0.5〜10質量%の割合で添加して使用される。
EB硬化型樹脂としては、特に種類は限定されないが、具体的には、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれのプレポリマーに粘度、あるいは架橋密度を調整するために多官能または単官能のモノマーを添加して用いてもよく、また、必要に応じて公知の光重合開始剤や増感剤を添加して用いてもよい。このほか、ポリエン/チオール系のEB硬化型樹脂なども耐摩耗性に優れており、好ましく使用できる。上記のUV硬化型樹脂またはEB硬化型の樹脂の硬化には、従来公知の紫外線硬化方法や電子線硬化方法が用いられる。
上記に挙げたUV硬化型樹脂、あるいはEB硬化型樹脂と、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を加えたインキあるいはコーティング剤を準備する。本発明では、インキあるいはコーティング剤という用語において、「インキ」はオフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等により、文字やパターン等の各種パターンを印刷形成するための印刷用材料を意味し、また「コーティング剤」はエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法等の既知の塗布方法により、パターンではなく、被塗布体の全面乃至ストライプ状に塗布するための印刷用材料を意味する。
(地紋印刷層)
本発明のリボン印字可能なサーマルカードは、サーマルヘッドと接する最表面側に、剥離性成分を有する部分としての地紋絵柄を再現する地紋印刷層5を設ける。この地紋印刷層は、前記のOP層とは別種である、つまり剥離性成分を含有するUV硬化型乃至EB硬化型のインキにて形成されている。地紋印刷層を構成するUV硬化型乃至EB硬化型の樹脂、光重合開始剤等については、前記のOP層と同様のものが使用できるが、地紋印刷層には剥離性成分が含有される。その剥離性成分としては、各種のワックス類、シリコーン系成分、フッ素系成分等が挙げられるが、特にシリコーン系成分の剥離性成分が好ましい。そのシリコーン系成分が地紋印刷層から他へ移行することを避けるためには、シリコーン樹脂等のシリコーン3次元架橋物やシリコーンアクリレート、反応性シリコーンオイルが適している。このようなシリコーン系成分は、地紋印刷層の樹脂中に、添加し、充分に分散した状態で印刷し、乾燥させる(場合により架橋させる)ことにより、充分な離型性が得られる。
上記のシリコーンアクリレートとしては分子量500〜10,000程度、官能基当量(分子量/官能基)が400〜8,000程度、官能基は紫外線又は電子線硬化を考慮した場合メタクリル基、アクリル基、メルカプト基が好ましい。シリコーン系成分の具体例として、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル、アルキル、アミノ、エポキシ、フッ素、カルボキシル、アルコール、メルカプト等にって変性された変性シリコーンオイルや、分子鎖の片末端または両末端に重合性官能基を有したシリコーンマクロモノマー等を挙げることができる。好ましいオルガノポリシロキサン化合物として、アルコール変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、分子鎖の片末端重合性官能基が(メタ)アクリロイル基のシリコーンマクロモノマー等を挙げることができる。これ等の公知慣用のオルガノポリシロキサン化合物を単独或は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記シリコーン系成分等の剥離性成分は、地紋印刷層の全体に対して、0.1〜5質量%の割合で含有することが好ましい。剥離性成分が少なすぎると、ダイレクトサーマル印字の際に、サーマルヘッドとの剥離性が悪く、スティッキングが生じやすい。また、剥離性成分が上記範囲よりも多すぎると、リボン印字の適性が悪くなる。地紋印刷層は、上記のUV硬化型乃至EB硬化型の樹脂、光重合開始剤等の添加剤と、顔料や染料の着色剤と、溶剤等を必要に応じ加えたインキを用いて形成される。尚、地紋印刷層は、決まったパターンの地紋を再現させるために印刷されるので、UV硬化型乃至EB硬化型のコーティング剤ではなく、UV硬化型乃至EB硬化型のインキが使用され、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等により、文字やパターン等の各種の地紋パターンを形成する。
地紋印刷層は、様々な色相を再現させるために、着色剤を使用するが、1種類の着色剤だけでなく、色相の異なる複数の着色剤を混合させて使用することができる。これによって、有色の地紋絵柄を再現することができる。また、地紋印刷層によって得られる地紋絵柄は、主として0.1mm以下の太さの線や点から設けることが好ましく、その線や点の間隔が0.2mm以上あることが望ましい。上記の線や点の太さが0.1mmを越えると、剥離性成分を有する部分の占有部分が大きくなり、サーマルカードの廃券時のリボン印字が正常にできなくなってしまう。また、その線や点の間隔が0.2mm未満になると、同様に剥離性成分を有する部分の占有部分が大きくなり、サーマルカードの廃券時のリボン印字が正常にできなくなってしまう。このような地紋印刷層の厚さは約1μm以上、好ましくは3〜20μmである。厚さが少なすぎると、印刷層のかすれ等が生じ、地紋印刷として目視の判別がしにくくなり、またその厚さが多すぎると、リボン印字の密着性が低下してくる。
本発明のサーマルカードは、図1に示したような構成において、基材2の感熱発色層3が設けられている面と反対側に、従来から知られている磁気層や、ホログラム層等を設けることができ、定期券、乗車券、トランプ、入場券等の各種の用途に使用することができ
厚さ188μmの乳白色のポリエチレンテレフタレートを基材とし、該基材の一方の面に、γ−Fe23粉末が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とウレタン系樹脂とからなるバインダー溶液中に分散されてなる磁性コーティング剤を用いて、グラビアリバース法により全面に塗布して厚さ15μmの磁気層を形成した。この基材の他方の面に、下記組成の感熱発色層コーティング剤を用いて、グラビアリバース法により全面に塗布して、乾燥時で厚さ5g/m2の感熱発色層を形成した。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(感熱発色層コーティング剤)
黒染料(3−(N−エチル−Nアシルアミノ)−6−メチル−7アニリノフルオラン)
10部
顕色剤(ビスフェノールA) 85部
溶剤(ポリビニルアルコール10%水溶液) 5部
上記の感熱発色層の上に、大日本インキ化学工業(株)製のUV硬化型コーティング剤、商品名グランディックのOP層コーティング剤(略無色透明なOP剤)を用いて、バーコート法により全面に塗布し、塗布直後に紫外線を照射して、乾燥時で厚さ5g/m2のOP層を形成した。次に、OP層の上に、下記組成の地紋印刷層用インキを用いて、オフセット印刷を行い、印刷直後に紫外線を照射して、ロゴマークのパターンの有色の地紋絵柄を、厚さ5μmで形成した。
(地紋印刷層用インキ)
UV硬化型インキ(大日本インキ化学工業(株)製、商品名ダイキュアRT−21、108赤) 100部
シリコーンアクリレート 2部
尚、上記の剥離性成分を含有するUV硬化型の地紋印刷層用インキにおけるシリコーン系成分の含有量は1.96質量%である。また、上記の印刷形成した地紋絵柄の線の太さは0.07mmであり、またその線の間隔は最短部で0.3mmであった。以上のように、実施例1のサーマルカードを作製した。このサーマルカードは定期券として、発券時のダイレクトサーマル印字でスティッキングがなく、鮮明な印字ができ、かつ廃券処理として定期券のサーマル印字された表面に、熱溶融転写方式のリボンを用いて、リボン印字を行ったところ、地紋絵柄の部分を含めて、OP層の上にリボン印字がなされていた。これにより、偽造防止性が高いサーマルカードが得られた。
上記の実施例1で作製したサーマルカードにおいて、感熱発色層の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてサーマルカードを作製した。実施例1で使用した黒発色の感熱発色層コーティング剤を、グラビアリバース法により全面に塗布して、乾燥時で厚さ5g/m2の第1感熱発色層を形成した。次に、その第1感熱発色層の上に、下記組成の赤発色の感熱発色層コーティング剤を、グラビアリバース法により全面に塗布して、乾燥時で厚さ5g/m2の第2感熱発色層を形成した。
(感熱発色層コーティング剤)
赤染料(3−ジエチルアミノ−3−クロロフルオラン) 10部
顕色剤(3,3−ジクロロフェニチオ尿素) 85部
溶剤(ポリビニルアルコール10%水溶液) 5部
上記の得られたサーマルカードは定期券として、発券時のダイレクトサーマル印字でスティッキングがなく、鮮明な赤黒印字ができた。尚、赤発色の印字は約80℃の加熱により行うことができ、黒発色の印字は約100℃の加熱により行うことができた。かつ廃券処理として定期券のサーマル印字された表面に、熱溶融転写方式のリボンを用いて、リボン印字を行ったところ、地紋絵柄の部分を含めて、OP層の上にリボン印字がなされていた。これにより、偽造防止性が高いサーマルカードが得られた。
本発明のリボン印字可能なサーマルカードの一つの実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1 サーマルカード
2 基材
3 感熱発色層
4 OP層(剥離性成分を有していない部分)
5 地紋印刷層(剥離性成分を有する部分)

Claims (6)

  1. 少なくとも一部に感熱発色性材料を有するサーマルカードにおいて、サーマルヘッドと接する最表面側には剥離性成分を有する部分と、剥離性成分を有していない部分とを備え、これらが別種のUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
  2. 前記請求項1記載の、剥離性成分を有する部分が有色の地紋絵柄であることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
  3. 前記請求項2記載の、地紋絵柄は主として0.1mm以下の太さの線や点からなり、線や点の間隔が0.2mm以上あることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
  4. 前記請求項1記載の、剥離性成分を有していない部分が、略無色透明なOP剤にて形成されていることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
  5. 前記請求項1記載の、剥離性成分がシリコーン系成分からなり、該剥離性成分を含有するUV硬化型乃至EB硬化型のインキあるいはコーティング剤におけるシリコーン系成分の含有量が0.1〜5質量%以下であることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか一つに記載のサーマルカードが、定期券、乗車券、トランプ、入場券のいずれか一つであることを特徴とする、リボン印字可能なサーマルカード。
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