JP2005028651A - 情報記録用媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】コントラスト不足、二重記録等により機械読み取りが困難になる欠点が解消され、バーコードやOCR文字等を直接に印刷して設ける際におけるように、特殊な設備を付加する必要もなく、従来のリライタブル記録体と同様に扱える情報記録用媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】基材4上に発色と消色が可逆であるリライタブル記録層2が積層され、層2上の一部に不可逆記録用の感熱記録層3が順に積層されており、感熱記録層3の発色温度を、リライタブル記録層2の発色温度/消色温度よりも低く設定して、課題を解決することができた。
【選択図】 図1
【解決手段】基材4上に発色と消色が可逆であるリライタブル記録層2が積層され、層2上の一部に不可逆記録用の感熱記録層3が順に積層されており、感熱記録層3の発色温度を、リライタブル記録層2の発色温度/消色温度よりも低く設定して、課題を解決することができた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の書き替えが可能でありながら、視認性もしくは光学的読み取り性の高い情報の記録も行なえる情報記録用媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可逆的な発色および消色が可能なリライタブル記録層を有する情報記録用媒体は、例えば、ポイントカードや配送用タグ等によく利用されている。前者のポイントカードは、小売り業者が顧客の購買金額に応じた点数(ポイント)を与え、与えた点数に応じた優遇をするために、カードの表面に設けたリライタブル記録層に点数やその他の情報を視認可能に記録し、顧客に提供するものである。また、配送用タグは、商品の発注情報や配送に必要な情報を印字して、商品の物流の上流側から下流側に情報の視覚的な伝達を行なう目的で使用されるものである。
【0003】
リライタブル記録層に行なった記録は、通常、銀色等の背景中に白濁部で構成されるので、記録のコントラストがやや乏しい。このため、記録された内容を肉眼で確認する場合には支障なく判読できても、記録されたバーコードやOCR文字等を機械を用いて光学的に読み取ろうとすると、コントラストの不足により読み取りができないことがあり、記録が乱れて二重に記録がなされているような場合にも、同様に読み取りが困難になる。このようなバーコードやOCR文字等の機械を用いての読み取りが容易になれば、これらバーコードやOCR文字等をIDコードとして、ホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換えることが容易になる。
【0004】
上記のバーコードやOCR文字等を情報記録用媒体に直接に印刷して設け、コントラストを向上させることも考えられるが、バーコードやOCR文字等をIDコードとして用いる場合には、情報記録用媒体の1枚ごとに印刷する内容を異ならせる必要があり、実現するには特殊な設備を付加する必要がある。
【0005】
本発明のものとは主旨が異なるものの、積層構造上近いものとして、支持体上に、(1)書換え不可能な感熱記録材料層と、(2)書換え可能な可逆性感熱記録材料層とを有し、(1)の材料層の発色または消色温度が(2)の消去温度の下限以下である改ざん防止カードが提案されており、好ましくは支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−92018号公報(第2−3頁)
【0007】
上記特許文献1に記載されたカードは、(2)の書換え可能な可逆性感熱記録材料層に記録された内容を、熱湯にひたすか、アイロンで加熱する等により消去しようとすると、(1)の書換え不可能な感熱記録材料層が発色してしまうため、改ざんが防止できるとされている。従って、通常の書換え可能な記録を行わせるには、支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されていることが好ましいし、また特許文献1に記載されたカードにおいては、支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されている場合、書換え可能な可逆性感熱記録材料層に行なわれた記録のコントラストが乏しい点は改善されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、コントラストの不足により、もしくは記録が乱れて二重に記録がなされているような場合に、機械読み取りが困難になる欠点が解消され、しかも、バーコードやOCR文字等を情報記録用媒体に直接に印刷して設けるときのように、情報記録用媒体の1枚ごとに印刷する内容を異ならせるために特殊な設備を付加する必要もなく、従来のリライタブル記録層を有する場合と同様に扱える情報記録用媒体を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決する手段】
発明者の検討により、リライタブル記録層上の一部に感熱記録層を積層することにより、しかも、感熱記録層の発色温度を、リライタブル記録層の発色温度および消色温度よりも低く設定することにより、課題を解決し得ることが判明し、本発明に到達することができた。
【0010】
第1の発明は、基材上に、加熱により可逆的に発色および消色が可能なリライタブル記録層、および加熱により不可逆な発色が可能な感熱記録層の少なくとも二層がこの順に積層された積層構造を有しており、前記感熱記録層の発色温度は、前記リライタブル記録層の発色温度および消色温度よりも低く、前記感熱記録層は、前記リライタブル記録層上の一部に積層されていることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記感熱記録層上、および、少なくとも前記感熱記録層が積層された周囲のリライタブル記録層上に連続的に保護層が積層されていることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記感熱記録層が固定情報を印字するためのものであり、前記リライタブル記録層の前記感熱記録層が積層されていない部分が可変情報を印字するためのものであることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記固定情報がIDコードであることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の情報記録用媒体を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線部分を矢印方向に切断したときの断面図である。
【0015】
図1(a)に例示するように、情報記録用媒体1は、その表面(情報を機械読み取りしたり眺める方の面とする。)にリライタブル記録層2を有し、リライタブル記録層2の一部の表面に感熱記録層3を有するものである。
【0016】
図1(b)に断面を示すように、情報記録用媒体1は、基材4の上面の全面にリライタブル記録層2が積層され、リライタブル記録層2上の一部に感熱記録層3が積層され、さらに感熱記録層3上、およびリライタブル記録層2の感熱記録層3で覆われていない部分の上に連続して保護層6が積層され、かつ基材4の下面の全面に磁気記録層5が積層された積層構造を有するものである。
【0017】
図1に例示する情報記録用媒体1の基材4は、ポイントカードを想定した、いわゆる手札サイズもしくはクレジットカードサイズのものであるが、基材4の大きさ、および形状は、用途に合わせて任意に変更し得る。
【0018】
感熱記録層3は、必ずしもリライタブル記録層2上の全面に積層されていなくてもよく、少なくともその一部に積層されていればよい。また、保護層6は、基材4のすべての上方に積層されていなくても、少なくとも、感熱記録層3上および感熱記録層3が積層された周囲のリライタブル記録層2上にかけて、連続的に積層されたものであればよい。
【0019】
情報記録用媒体1は、表面側から見えるよう、基材4上、リライタブル記録層2上、および感熱記録層3上のいずれか、もしくは任意の複数にまたがって、文字や図案等が印刷等により形成されていてもよい。
【0020】
本発明の情報記録用媒体1に、例えば、サーマルヘッドを備えた、より好ましくは、発色用の印字ヘッドおよび消色用の消去ヘッドの二つのヘッドを備えた熱印字手段を用い、リライタブル記録層2に記録が可能な温度で記録を行なうことにより、感熱記録層3が積層された部分においては、感熱記録層3を発色させて、固定情報の記録を行なう。固定情報は、より好ましくはバーコードやOCR文字等からなるIDコードである。感熱記録層3には、リライタブル記録層2に行なうのに比べれば、はるかに高いコントラストを有する記録が行える。このとき、感熱記録層3の下層のリライタブル記録層2にも記録が行なわれるが、上層の感熱記録層3に行なわれた記録により、下層のリライタブル記録層2に行なわれた記録は隠蔽される。また、感熱記録層3が積層されていない部分のリライタブル記録層2には、リライタブル記録層2を発色させて可変情報を印字する。
【0021】
感熱記録層2への記録の際には、印字ヘッドのみを用い、消去ヘッドを用いないか、もしくは消去ヘッドを加熱しないようにすることが好ましい。また、リライタブル記録層2への記録の際には、感熱記録層3には印字ヘッドおよび消去ヘッドの両ヘッドを加熱しないで適用するか、もしくは両ヘッドを感熱記録層3に触れさせないようにすることが好ましい。
【0022】
感熱記録層3にIDコードを印字すると、高いコントラストの印字を行なうことができるから、IDコードを機械で正確に読み取ることができ、読み取ったIDコードをインデックスとしてホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換える際に支障が生じない。しかも、このIDコードは、従来のように、製造途中で印刷等により設ける必要がないから、製造設備を簡略化することができる。しかも、IDコードを、必要な都度、例えば、発行時に記録することが可能である。
【0023】
基材4の下面の磁気記録層5は、この発明の主旨からすれば、必ずしも積層されていなくてもよいが、磁気記録層5を利用した記録方式はよく知られており、また記録/消去のための装置も普及していることから、磁気記録による視認不可能な記録を可能にする意味で設けることが好ましい。磁気記録層5もまた、下面の全面に積層しなくてもよく、一部に積層してあればよく、例えば、ストライプ状等に積層してあってもよい。磁気記録層5は基材4の下面に露出したままでもよいが、さらに磁気記録層5を隠蔽する隠蔽層で磁気記録層5の下面を被覆してもよいし、また、隠蔽層の下面、もしくは隠蔽層の無い場合は磁気記録層5の下面に、必要な注意事項等の文字を印刷等により設けてあってもよい。
【0024】
基材4としては、通常、この分野で用いられる種々の素材を利用することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂のほか、アルミニウム、銅などの金属、紙、そして、樹脂またはラテックス等の含浸紙等の単独、或いは、それらの同種のものの複合体、もしくは異種のものの複合体シート等を基材4として用いることができる。耐熱性が要求される場合、基材4としては、非晶質ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂等のシートも用いることができる。
【0025】
基材4の厚みとしては、10μm〜5mm程度であるが、用途によって異なり、例えば、ポイントカード用であれば10μm〜100μm程度である。ISO規格に準拠した磁気カードを構成するためには、厚さは0.76mmとし、2枚のコアシートの両側にそれぞれ1枚ずつのオーバーシートを積層した4層構成とすることもある。
【0026】
基材4は、文字や図柄の印刷が施されていてもよく、また、基材4は、本発明で特に用いるリライタブル記録層や感熱記録層以外に、光記録層、ホログラム等の光回折構造、もしくはICチップ等から選ばれた任意の記録手段を有していてもよい。
【0027】
リライタブル記録層2には、(1)ロイコ色素系、(2)高分子/有機低分子分散系、もしくは(3)液晶系のおよそ3通りのタイプのものがあるが、これら以外のものであってもよい。
【0028】
(1)ロイコ色素系の場合、発色および消色は、ロイコ色素と酸性化合物の組合せにより生じ、これら化合物を高分子バインダーと共に混合した組成物によりリライタブル層を形成する。ロイコ色素系のリライタブル記録層には、(1a)両性化合物を用いる競争反応系のものと、(1b)長鎖アルキル酸性化合物を用いる相分離系のものとがある。
【0029】
(1a)の競争反応系は、両性化合物としてフェノールアミン塩を用い、発色反応がフェノール基によって、消色反応がアミノ基によって進むことを利用するものである。ロイコ染料としては、トリアリールメタン系化合物(トリアリールメタン系化合物であるクリスタルバイオレットラクトンはよく知られている。)、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、スピロ系化合物、又はフルオラン系化合物等を用いる。このとき、発色反応の速度の方が消色反応の速度よりも速いため、加熱して急冷すると発色状態のまま固定化され、加熱して徐冷すると消色状態で固定化される。
【0030】
(1b)の相分離系は、ロイコ色素と長鎖アルキル酸性化合物との相溶状態と非相溶状態とを冷却速度の差によって制御するもので、加熱して相溶状態のまま急冷すると相溶したまま固定化されて発色状態となり、加熱して相溶状態のまま徐冷すると相分離を起こして非相溶状態となり、消色するものである。長鎖アルキル酸性化合物としては、長鎖アルキル基を持つフェノール化合物、又は長鎖アルキル基を持つホスホン酸化合物が使用できる。長鎖アルキル基とは、前者の場合で炭素数11以上が、後者の場合で炭素数14以上が好ましい。
【0031】
実際に、(1b)の相分離系のリライタブル記録層を用いる場合においては、特別の冷却を行なうよりも、通常は、サーマルヘッドで1/1000秒のオーダーの時間で瞬間的に昇温して加熱した後、常温で冷却することで「急冷」が実現でき、上記のような系を発色させることができる。また、「除冷」については、ヒートローラー、ホットスタンプ、ヒーターバー等の熱容量の大きい加熱手段を用いて加熱した後に冷却すれば、与えられた熱量が多いため、「除冷」が実現し、消色を行える。場合によっては、加熱温度、条件を選定することにより、サーマルヘッドでの消去も可能である。このようなロイコ系のリライタブル記録層の場合、ロイコ色素の種類を適宜選択することによって、黒、青、赤など種々の色調にカラー化することもできる。
【0032】
(2)高分子/有機低分子分散系では、透明で成膜性を有する合成樹脂のバインダー中に、脂肪酸などの有機低分子の物質を均一に分散させた組成物により、リライタブル記録層を形成する。この層に対し、サーマルヘッド等により、有機低分子の融点以上に加熱した後、冷却すると白濁状態に、また、有機低分子の融点近くまで加熱した後、冷却すると透明状態となる。
【0033】
(2)の高分子/有機低分子分散系のリライタブル記録層を構成する合成樹脂のバインダーとしては、透明性があり、成膜性があり、かつ有機低分子の物質を均一に分散して保持できる樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、その他のポリエステル系樹脂などが挙げられる。また、有機低分子の物質としては、各種脂肪酸、およびその誘導体が使用でき、中でも、飽和直鎖脂肪酸であって、炭素数が10〜30、融点が30〜160℃の範囲のものが好ましく、1種又は2種以上を使用することができる。融点の異なる有機低分子の物質、例えば、モノカルボン酸とジカルボン酸を用いると、透明化する温度範囲を広く取れる利点がある。
【0034】
(3)の液晶系のリライタブル記録層は、高分子マトリックス中にスメクチック液晶を分散させたものを用いて、液晶/高分子複合膜を形成して使用する。この液晶系では、熱と電界を用いることにより、液晶分子をランダム配向状態、又は配向状態とし、これらの状態において、それぞれ、光散乱、光透過の性質を利用する。また、コントラストの向上や、着色の目的で、二色性色素を添加することもでき、視認性に優れたリライタブル記録層とすることができる。
【0035】
上記の(1)〜(3)は用途に合わせていずれも利用できる。これらの中でも、(1)のロイコ色素系、(3)の液晶系は、カラー表示ができるので、機械的読み取りに加えて視認性の点も考慮する場合には、より好ましい。
【0036】
以上のような構成からなるリライタブル記録層2は、層を構成する各成分を溶剤に溶解した溶液を適宜なコーティング法により基材4上にコーティングすることにより形成することができる。
【0037】
感熱記録層3は、加熱によりコントラストの高い記録が行えるものであれば、いずれの素材で構成されたものでもよく、二成分系等の感熱発色タイプのもの、低融点金属薄膜等からなる感熱破壊タイプ、もしくは発泡剤を含有する組成物等を挙げることができる。なかでも、互いが融解して反応して発色する電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物の主成分が樹脂バインダ中に分散して構成された感熱発色タイプのものがコントラストの高い点で好ましい。
【0038】
感熱記録層3を構成する成分である電子供与性染料前駆体としては、ロイコ染料としてこの種の感熱発色材料に使用されているものが利用でき、カラー再現のためには、イエロー、マゼンタ、およびシアンにそれぞれ発色するものが選ばれる。具体的には、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、もしくはインドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0039】
感熱記録層3を構成する成分である電子受容性化合物としては、ビスフェノールA等のフェノール性物質、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、もしくはエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタノイック酸、α−ヒドロキシデカノイック酸、α−ヒドロキシテトラデカノイック酸、もしくはα−ヒドロキシオクタデカノイック酸、α−チオジフェニル酸、またはキノン類等が好ましく用いられる。
【0040】
上記の電子供与性染料前駆体、および電子受容性化合物を分散させる樹脂バインダとしては、ポリビニルアルコール、でんぷん、変性でんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルキレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド系水溶性樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体エマルジョン、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、もしくはポリウレタン樹脂の主に水溶性樹脂が挙げられる。
【0041】
感熱記録層3には、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、および樹脂バインダ等以外に、増感剤、退色防止剤、顔料、もしくは分散剤が含まれていてもよい。これらの各成分は、溶剤、好ましくは水を用いて樹脂バインダを溶解し、電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物を分散させることにより調製した塗布用組成物をリライタブル記録層2上にコーティングし、乾燥させることにより感熱記録層3を形成することができる。なお、感熱記録層3としては、その発色温度が、下層のリライタブル記録層2の発色温度および消色温度のいずれよりも低いものであることが好ましく、一例として、リライタブル記録層2の発色温度が170℃もしくはそれ以上、リライタブル記録層2の消色温度が140℃であるとき、感熱記録層3の発色温度が130℃である。
【0042】
保護層6は、リライタブル記録層2および感熱記録層3が積層された最表面を保護するものであるが、特に、リライタブル記録層2上に部分的に積層された感熱記録層3が、情報記録用媒体1の使用時に剥落することを防ぐ機能も果たすものでもある。従って、保護層6は、感熱記録層3の表面、および感熱記録層3の周囲のリライタブル記録層2上に連続して積層されていることが好ましいが、感熱記録層3が積層されていない部分のリライタブル記録層2上の全面を覆わなくてもよい。勿論、保護層6は、リライタブル記録層2上および感熱記録層3上に基材4と同じ平面形状で積層されていてもよい。
【0043】
保護層6は、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性等の表面の物理的および化学的強度を兼ね備えた樹脂が適しており、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、さらには、電離放射線硬化型樹脂を使用することができる。電離放射線硬化型樹脂としては、具体的には、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれのプレポリマーに粘度、或いは架橋密度を調整するために多官能または単官能のモノマーを添加して用いてもよく、また、必要に応じて公知の光反応開始剤、増感剤を添加して用いてもよい。なお、保護層6を形成するための樹脂には、必要に応じて、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤や、表面の滑り性を確保するための少量のワックス等を加えてもよい。
【0044】
保護層6は、上記の保護層形成用の樹脂に、希釈剤もしくは溶剤を添加し、混合、もしくは分散して保護層形成用塗布液を作製し、公知のロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、もしくは印刷法により、リライタブル記録層2上に感熱記録層3が積層されている最表面を被覆するよう塗布した後、用いた塗布液に応じて、乾燥、電離放射線照射、具体的には紫外線照射、もしくは電子線照射等により樹脂を硬化させて形成することができる。
【0045】
保護層6の厚みは、0.5〜4.0μmの範囲にすることが好ましい。保護層6の厚みが、0.5μm未満の場合は、充分な耐擦傷性、耐摩耗性が得られず、また、保護層6の厚みが、4.0μmを超えても、表面の物理的および化学的強度の向上が見られない。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、可逆的に発色および消色が可能なリライタブル記録層上の一部に不可逆な発色が可能な感熱記録層が順に積層されており、感熱記録層が積層されていない部分ではリライタブル記録層の記録が行なえ、感熱記録層が積層された部分ではコントラストの高い記録が行なえるので、通常のリライタブル記録層の機能を損なうことが少なく、しかも機械読み取り可能な記録も行なえる情報記録用媒体を提供することができる。
【0047】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、感熱記録層上および周囲も含めて保護層が積層されているので、部分的に積層された感熱記録層が、情報記録用媒体の使用時に剥落することを防止可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【0048】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、感熱記録層に固定情報を、また、リライタブル記録層の感熱記録層が積層されていない部分に可変情報をそれぞれ印字して利用することが可能であり、固定情報の機械読み取りが可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【0049】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、感熱記録層にIDコードを印字することにより、IDコードを機械で正確に読み取ることができ、読み取ったIDコードをインデックスとしてホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換えることが可能であり、しかも、IDコードを、製造途中で記録する必要がなく、発行時等の必要なときに記録することが可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録用媒体を構成する各層の関係を示す図である。
【符号の説明】
1………情報記録用媒体
2………リライタブル記録層
3………感熱記録層
4………基材
5………磁気記録層
6………保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の書き替えが可能でありながら、視認性もしくは光学的読み取り性の高い情報の記録も行なえる情報記録用媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可逆的な発色および消色が可能なリライタブル記録層を有する情報記録用媒体は、例えば、ポイントカードや配送用タグ等によく利用されている。前者のポイントカードは、小売り業者が顧客の購買金額に応じた点数(ポイント)を与え、与えた点数に応じた優遇をするために、カードの表面に設けたリライタブル記録層に点数やその他の情報を視認可能に記録し、顧客に提供するものである。また、配送用タグは、商品の発注情報や配送に必要な情報を印字して、商品の物流の上流側から下流側に情報の視覚的な伝達を行なう目的で使用されるものである。
【0003】
リライタブル記録層に行なった記録は、通常、銀色等の背景中に白濁部で構成されるので、記録のコントラストがやや乏しい。このため、記録された内容を肉眼で確認する場合には支障なく判読できても、記録されたバーコードやOCR文字等を機械を用いて光学的に読み取ろうとすると、コントラストの不足により読み取りができないことがあり、記録が乱れて二重に記録がなされているような場合にも、同様に読み取りが困難になる。このようなバーコードやOCR文字等の機械を用いての読み取りが容易になれば、これらバーコードやOCR文字等をIDコードとして、ホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換えることが容易になる。
【0004】
上記のバーコードやOCR文字等を情報記録用媒体に直接に印刷して設け、コントラストを向上させることも考えられるが、バーコードやOCR文字等をIDコードとして用いる場合には、情報記録用媒体の1枚ごとに印刷する内容を異ならせる必要があり、実現するには特殊な設備を付加する必要がある。
【0005】
本発明のものとは主旨が異なるものの、積層構造上近いものとして、支持体上に、(1)書換え不可能な感熱記録材料層と、(2)書換え可能な可逆性感熱記録材料層とを有し、(1)の材料層の発色または消色温度が(2)の消去温度の下限以下である改ざん防止カードが提案されており、好ましくは支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−92018号公報(第2−3頁)
【0007】
上記特許文献1に記載されたカードは、(2)の書換え可能な可逆性感熱記録材料層に記録された内容を、熱湯にひたすか、アイロンで加熱する等により消去しようとすると、(1)の書換え不可能な感熱記録材料層が発色してしまうため、改ざんが防止できるとされている。従って、通常の書換え可能な記録を行わせるには、支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されていることが好ましいし、また特許文献1に記載されたカードにおいては、支持体上に(1)、(2)の各層がこの順に積層されている場合、書換え可能な可逆性感熱記録材料層に行なわれた記録のコントラストが乏しい点は改善されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、コントラストの不足により、もしくは記録が乱れて二重に記録がなされているような場合に、機械読み取りが困難になる欠点が解消され、しかも、バーコードやOCR文字等を情報記録用媒体に直接に印刷して設けるときのように、情報記録用媒体の1枚ごとに印刷する内容を異ならせるために特殊な設備を付加する必要もなく、従来のリライタブル記録層を有する場合と同様に扱える情報記録用媒体を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決する手段】
発明者の検討により、リライタブル記録層上の一部に感熱記録層を積層することにより、しかも、感熱記録層の発色温度を、リライタブル記録層の発色温度および消色温度よりも低く設定することにより、課題を解決し得ることが判明し、本発明に到達することができた。
【0010】
第1の発明は、基材上に、加熱により可逆的に発色および消色が可能なリライタブル記録層、および加熱により不可逆な発色が可能な感熱記録層の少なくとも二層がこの順に積層された積層構造を有しており、前記感熱記録層の発色温度は、前記リライタブル記録層の発色温度および消色温度よりも低く、前記感熱記録層は、前記リライタブル記録層上の一部に積層されていることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記感熱記録層上、および、少なくとも前記感熱記録層が積層された周囲のリライタブル記録層上に連続的に保護層が積層されていることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記感熱記録層が固定情報を印字するためのものであり、前記リライタブル記録層の前記感熱記録層が積層されていない部分が可変情報を印字するためのものであることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記固定情報がIDコードであることを特徴とする情報記録用媒体に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の情報記録用媒体を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線部分を矢印方向に切断したときの断面図である。
【0015】
図1(a)に例示するように、情報記録用媒体1は、その表面(情報を機械読み取りしたり眺める方の面とする。)にリライタブル記録層2を有し、リライタブル記録層2の一部の表面に感熱記録層3を有するものである。
【0016】
図1(b)に断面を示すように、情報記録用媒体1は、基材4の上面の全面にリライタブル記録層2が積層され、リライタブル記録層2上の一部に感熱記録層3が積層され、さらに感熱記録層3上、およびリライタブル記録層2の感熱記録層3で覆われていない部分の上に連続して保護層6が積層され、かつ基材4の下面の全面に磁気記録層5が積層された積層構造を有するものである。
【0017】
図1に例示する情報記録用媒体1の基材4は、ポイントカードを想定した、いわゆる手札サイズもしくはクレジットカードサイズのものであるが、基材4の大きさ、および形状は、用途に合わせて任意に変更し得る。
【0018】
感熱記録層3は、必ずしもリライタブル記録層2上の全面に積層されていなくてもよく、少なくともその一部に積層されていればよい。また、保護層6は、基材4のすべての上方に積層されていなくても、少なくとも、感熱記録層3上および感熱記録層3が積層された周囲のリライタブル記録層2上にかけて、連続的に積層されたものであればよい。
【0019】
情報記録用媒体1は、表面側から見えるよう、基材4上、リライタブル記録層2上、および感熱記録層3上のいずれか、もしくは任意の複数にまたがって、文字や図案等が印刷等により形成されていてもよい。
【0020】
本発明の情報記録用媒体1に、例えば、サーマルヘッドを備えた、より好ましくは、発色用の印字ヘッドおよび消色用の消去ヘッドの二つのヘッドを備えた熱印字手段を用い、リライタブル記録層2に記録が可能な温度で記録を行なうことにより、感熱記録層3が積層された部分においては、感熱記録層3を発色させて、固定情報の記録を行なう。固定情報は、より好ましくはバーコードやOCR文字等からなるIDコードである。感熱記録層3には、リライタブル記録層2に行なうのに比べれば、はるかに高いコントラストを有する記録が行える。このとき、感熱記録層3の下層のリライタブル記録層2にも記録が行なわれるが、上層の感熱記録層3に行なわれた記録により、下層のリライタブル記録層2に行なわれた記録は隠蔽される。また、感熱記録層3が積層されていない部分のリライタブル記録層2には、リライタブル記録層2を発色させて可変情報を印字する。
【0021】
感熱記録層2への記録の際には、印字ヘッドのみを用い、消去ヘッドを用いないか、もしくは消去ヘッドを加熱しないようにすることが好ましい。また、リライタブル記録層2への記録の際には、感熱記録層3には印字ヘッドおよび消去ヘッドの両ヘッドを加熱しないで適用するか、もしくは両ヘッドを感熱記録層3に触れさせないようにすることが好ましい。
【0022】
感熱記録層3にIDコードを印字すると、高いコントラストの印字を行なうことができるから、IDコードを機械で正確に読み取ることができ、読み取ったIDコードをインデックスとしてホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換える際に支障が生じない。しかも、このIDコードは、従来のように、製造途中で印刷等により設ける必要がないから、製造設備を簡略化することができる。しかも、IDコードを、必要な都度、例えば、発行時に記録することが可能である。
【0023】
基材4の下面の磁気記録層5は、この発明の主旨からすれば、必ずしも積層されていなくてもよいが、磁気記録層5を利用した記録方式はよく知られており、また記録/消去のための装置も普及していることから、磁気記録による視認不可能な記録を可能にする意味で設けることが好ましい。磁気記録層5もまた、下面の全面に積層しなくてもよく、一部に積層してあればよく、例えば、ストライプ状等に積層してあってもよい。磁気記録層5は基材4の下面に露出したままでもよいが、さらに磁気記録層5を隠蔽する隠蔽層で磁気記録層5の下面を被覆してもよいし、また、隠蔽層の下面、もしくは隠蔽層の無い場合は磁気記録層5の下面に、必要な注意事項等の文字を印刷等により設けてあってもよい。
【0024】
基材4としては、通常、この分野で用いられる種々の素材を利用することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂のほか、アルミニウム、銅などの金属、紙、そして、樹脂またはラテックス等の含浸紙等の単独、或いは、それらの同種のものの複合体、もしくは異種のものの複合体シート等を基材4として用いることができる。耐熱性が要求される場合、基材4としては、非晶質ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂等のシートも用いることができる。
【0025】
基材4の厚みとしては、10μm〜5mm程度であるが、用途によって異なり、例えば、ポイントカード用であれば10μm〜100μm程度である。ISO規格に準拠した磁気カードを構成するためには、厚さは0.76mmとし、2枚のコアシートの両側にそれぞれ1枚ずつのオーバーシートを積層した4層構成とすることもある。
【0026】
基材4は、文字や図柄の印刷が施されていてもよく、また、基材4は、本発明で特に用いるリライタブル記録層や感熱記録層以外に、光記録層、ホログラム等の光回折構造、もしくはICチップ等から選ばれた任意の記録手段を有していてもよい。
【0027】
リライタブル記録層2には、(1)ロイコ色素系、(2)高分子/有機低分子分散系、もしくは(3)液晶系のおよそ3通りのタイプのものがあるが、これら以外のものであってもよい。
【0028】
(1)ロイコ色素系の場合、発色および消色は、ロイコ色素と酸性化合物の組合せにより生じ、これら化合物を高分子バインダーと共に混合した組成物によりリライタブル層を形成する。ロイコ色素系のリライタブル記録層には、(1a)両性化合物を用いる競争反応系のものと、(1b)長鎖アルキル酸性化合物を用いる相分離系のものとがある。
【0029】
(1a)の競争反応系は、両性化合物としてフェノールアミン塩を用い、発色反応がフェノール基によって、消色反応がアミノ基によって進むことを利用するものである。ロイコ染料としては、トリアリールメタン系化合物(トリアリールメタン系化合物であるクリスタルバイオレットラクトンはよく知られている。)、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、スピロ系化合物、又はフルオラン系化合物等を用いる。このとき、発色反応の速度の方が消色反応の速度よりも速いため、加熱して急冷すると発色状態のまま固定化され、加熱して徐冷すると消色状態で固定化される。
【0030】
(1b)の相分離系は、ロイコ色素と長鎖アルキル酸性化合物との相溶状態と非相溶状態とを冷却速度の差によって制御するもので、加熱して相溶状態のまま急冷すると相溶したまま固定化されて発色状態となり、加熱して相溶状態のまま徐冷すると相分離を起こして非相溶状態となり、消色するものである。長鎖アルキル酸性化合物としては、長鎖アルキル基を持つフェノール化合物、又は長鎖アルキル基を持つホスホン酸化合物が使用できる。長鎖アルキル基とは、前者の場合で炭素数11以上が、後者の場合で炭素数14以上が好ましい。
【0031】
実際に、(1b)の相分離系のリライタブル記録層を用いる場合においては、特別の冷却を行なうよりも、通常は、サーマルヘッドで1/1000秒のオーダーの時間で瞬間的に昇温して加熱した後、常温で冷却することで「急冷」が実現でき、上記のような系を発色させることができる。また、「除冷」については、ヒートローラー、ホットスタンプ、ヒーターバー等の熱容量の大きい加熱手段を用いて加熱した後に冷却すれば、与えられた熱量が多いため、「除冷」が実現し、消色を行える。場合によっては、加熱温度、条件を選定することにより、サーマルヘッドでの消去も可能である。このようなロイコ系のリライタブル記録層の場合、ロイコ色素の種類を適宜選択することによって、黒、青、赤など種々の色調にカラー化することもできる。
【0032】
(2)高分子/有機低分子分散系では、透明で成膜性を有する合成樹脂のバインダー中に、脂肪酸などの有機低分子の物質を均一に分散させた組成物により、リライタブル記録層を形成する。この層に対し、サーマルヘッド等により、有機低分子の融点以上に加熱した後、冷却すると白濁状態に、また、有機低分子の融点近くまで加熱した後、冷却すると透明状態となる。
【0033】
(2)の高分子/有機低分子分散系のリライタブル記録層を構成する合成樹脂のバインダーとしては、透明性があり、成膜性があり、かつ有機低分子の物質を均一に分散して保持できる樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、その他のポリエステル系樹脂などが挙げられる。また、有機低分子の物質としては、各種脂肪酸、およびその誘導体が使用でき、中でも、飽和直鎖脂肪酸であって、炭素数が10〜30、融点が30〜160℃の範囲のものが好ましく、1種又は2種以上を使用することができる。融点の異なる有機低分子の物質、例えば、モノカルボン酸とジカルボン酸を用いると、透明化する温度範囲を広く取れる利点がある。
【0034】
(3)の液晶系のリライタブル記録層は、高分子マトリックス中にスメクチック液晶を分散させたものを用いて、液晶/高分子複合膜を形成して使用する。この液晶系では、熱と電界を用いることにより、液晶分子をランダム配向状態、又は配向状態とし、これらの状態において、それぞれ、光散乱、光透過の性質を利用する。また、コントラストの向上や、着色の目的で、二色性色素を添加することもでき、視認性に優れたリライタブル記録層とすることができる。
【0035】
上記の(1)〜(3)は用途に合わせていずれも利用できる。これらの中でも、(1)のロイコ色素系、(3)の液晶系は、カラー表示ができるので、機械的読み取りに加えて視認性の点も考慮する場合には、より好ましい。
【0036】
以上のような構成からなるリライタブル記録層2は、層を構成する各成分を溶剤に溶解した溶液を適宜なコーティング法により基材4上にコーティングすることにより形成することができる。
【0037】
感熱記録層3は、加熱によりコントラストの高い記録が行えるものであれば、いずれの素材で構成されたものでもよく、二成分系等の感熱発色タイプのもの、低融点金属薄膜等からなる感熱破壊タイプ、もしくは発泡剤を含有する組成物等を挙げることができる。なかでも、互いが融解して反応して発色する電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物の主成分が樹脂バインダ中に分散して構成された感熱発色タイプのものがコントラストの高い点で好ましい。
【0038】
感熱記録層3を構成する成分である電子供与性染料前駆体としては、ロイコ染料としてこの種の感熱発色材料に使用されているものが利用でき、カラー再現のためには、イエロー、マゼンタ、およびシアンにそれぞれ発色するものが選ばれる。具体的には、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、もしくはインドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0039】
感熱記録層3を構成する成分である電子受容性化合物としては、ビスフェノールA等のフェノール性物質、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、もしくはエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタノイック酸、α−ヒドロキシデカノイック酸、α−ヒドロキシテトラデカノイック酸、もしくはα−ヒドロキシオクタデカノイック酸、α−チオジフェニル酸、またはキノン類等が好ましく用いられる。
【0040】
上記の電子供与性染料前駆体、および電子受容性化合物を分散させる樹脂バインダとしては、ポリビニルアルコール、でんぷん、変性でんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルキレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド系水溶性樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体エマルジョン、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、もしくはポリウレタン樹脂の主に水溶性樹脂が挙げられる。
【0041】
感熱記録層3には、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、および樹脂バインダ等以外に、増感剤、退色防止剤、顔料、もしくは分散剤が含まれていてもよい。これらの各成分は、溶剤、好ましくは水を用いて樹脂バインダを溶解し、電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物を分散させることにより調製した塗布用組成物をリライタブル記録層2上にコーティングし、乾燥させることにより感熱記録層3を形成することができる。なお、感熱記録層3としては、その発色温度が、下層のリライタブル記録層2の発色温度および消色温度のいずれよりも低いものであることが好ましく、一例として、リライタブル記録層2の発色温度が170℃もしくはそれ以上、リライタブル記録層2の消色温度が140℃であるとき、感熱記録層3の発色温度が130℃である。
【0042】
保護層6は、リライタブル記録層2および感熱記録層3が積層された最表面を保護するものであるが、特に、リライタブル記録層2上に部分的に積層された感熱記録層3が、情報記録用媒体1の使用時に剥落することを防ぐ機能も果たすものでもある。従って、保護層6は、感熱記録層3の表面、および感熱記録層3の周囲のリライタブル記録層2上に連続して積層されていることが好ましいが、感熱記録層3が積層されていない部分のリライタブル記録層2上の全面を覆わなくてもよい。勿論、保護層6は、リライタブル記録層2上および感熱記録層3上に基材4と同じ平面形状で積層されていてもよい。
【0043】
保護層6は、透明性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性等の表面の物理的および化学的強度を兼ね備えた樹脂が適しており、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、さらには、電離放射線硬化型樹脂を使用することができる。電離放射線硬化型樹脂としては、具体的には、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれのプレポリマーに粘度、或いは架橋密度を調整するために多官能または単官能のモノマーを添加して用いてもよく、また、必要に応じて公知の光反応開始剤、増感剤を添加して用いてもよい。なお、保護層6を形成するための樹脂には、必要に応じて、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤や、表面の滑り性を確保するための少量のワックス等を加えてもよい。
【0044】
保護層6は、上記の保護層形成用の樹脂に、希釈剤もしくは溶剤を添加し、混合、もしくは分散して保護層形成用塗布液を作製し、公知のロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、もしくは印刷法により、リライタブル記録層2上に感熱記録層3が積層されている最表面を被覆するよう塗布した後、用いた塗布液に応じて、乾燥、電離放射線照射、具体的には紫外線照射、もしくは電子線照射等により樹脂を硬化させて形成することができる。
【0045】
保護層6の厚みは、0.5〜4.0μmの範囲にすることが好ましい。保護層6の厚みが、0.5μm未満の場合は、充分な耐擦傷性、耐摩耗性が得られず、また、保護層6の厚みが、4.0μmを超えても、表面の物理的および化学的強度の向上が見られない。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、可逆的に発色および消色が可能なリライタブル記録層上の一部に不可逆な発色が可能な感熱記録層が順に積層されており、感熱記録層が積層されていない部分ではリライタブル記録層の記録が行なえ、感熱記録層が積層された部分ではコントラストの高い記録が行なえるので、通常のリライタブル記録層の機能を損なうことが少なく、しかも機械読み取り可能な記録も行なえる情報記録用媒体を提供することができる。
【0047】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、感熱記録層上および周囲も含めて保護層が積層されているので、部分的に積層された感熱記録層が、情報記録用媒体の使用時に剥落することを防止可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【0048】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、感熱記録層に固定情報を、また、リライタブル記録層の感熱記録層が積層されていない部分に可変情報をそれぞれ印字して利用することが可能であり、固定情報の機械読み取りが可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【0049】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、感熱記録層にIDコードを印字することにより、IDコードを機械で正確に読み取ることができ、読み取ったIDコードをインデックスとしてホストコンピュータにアクセスし、情報を照会したり、情報を書き換えることが可能であり、しかも、IDコードを、製造途中で記録する必要がなく、発行時等の必要なときに記録することが可能な情報記録用媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録用媒体を構成する各層の関係を示す図である。
【符号の説明】
1………情報記録用媒体
2………リライタブル記録層
3………感熱記録層
4………基材
5………磁気記録層
6………保護層
Claims (4)
- 基材上に、加熱により可逆的に発色および消色が可能なリライタブル記録層、および加熱により不可逆な発色が可能な感熱記録層の少なくとも二層がこの順に積層された積層構造を有しており、前記感熱記録層の発色温度は、前記リライタブル記録層の発色温度および消色温度よりも低く、前記感熱記録層は、前記リライタブル記録層上の一部に積層されていることを特徴とする情報記録用媒体。
- 前記感熱記録層上、および、少なくとも前記感熱記録層が積層された周囲のリライタブル記録層上に連続的に保護層が積層されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録用媒体。
- 前記感熱記録層が固定情報を印字するためのものであり、前記リライタブル記録層の前記感熱記録層が積層されていない部分が可変情報を印字するためのものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の情報記録用媒体。
- 前記固定情報がIDコードであることを特徴とする請求項3記載の情報記録用媒体。
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JP2003194185A JP2005028651A (ja) | 2003-07-09 | 2003-07-09 | 情報記録用媒体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017094558A (ja) * | 2015-11-20 | 2017-06-01 | 大日本印刷株式会社 | サーマル記録媒体 |
-
2003
- 2003-07-09 JP JP2003194185A patent/JP2005028651A/ja active Pending
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JP2017094558A (ja) * | 2015-11-20 | 2017-06-01 | 大日本印刷株式会社 | サーマル記録媒体 |
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