JP2005312640A - 咬合具及び咬合具付き包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 咬合部10と帯状基部13から構成される一対の雄部材11及び雌部材12からなり、帯状基部13を、ベース部14と該ベース部14より剛性の高いコア部15との複合体とし、ベース部14がコア部15を包み込んでいる構成の咬合具1及び当該咬合具を備えた咬合具付き包装袋であり、咬合具1の製造に際して生産性が良好となると共に、製造時に帯状基部13の近傍等にピンホールや皺等が発生することを防止することができ、かつ、コア部15とベース部14が剥離することもない。帯状基部13には、融着部40を形成してもよい。
【選択図】 図3
Description
また、このような開口部の開閉を自在に行うことのできる咬合具付き包装袋を製造する方法としては、一般に、あらかじめ咬合具付きのテープを製造した後、当該咬合具付きテープを袋本体の構成材である基材フィルムに対して融着する方法が広く用いられている。
また、咬合具と袋本体を構成する基材フィルムの接着を融着で実施するに際して、融着部の温度によっては、雄部材や雌部材が変形してしまい、咬合具として機能しなくなることがあったり、融着部の近傍に皺やピンホールが発生してしまい、外観や性能に支障を来してしまう場合があった。このため、低温でのシールが必要となるが、シール時間が長くなり、生産性が十分ではなかった。
更には、特許文献2により提供される咬合具は、高融点の遮熱性フィルムと低融点の融着性フィルムを貼り合わせる構成であるため、咬合具の製造に際して生産性が非常に悪かった。
また、ベース部がコア部を包み込んでいる構成としているので、咬合具と袋本体を融着した場合、咬合解除時においても、コア部とベース部(袋本体と咬合部)が剥離することもないものである。
そして、咬合具の製造に際しても、共押出成形により、コア部が包み込まれているので、咬合具を連続的に安定して製造することができるため、生産性も良好である。
具体的には、コア部の樹脂がポリエチレン(PE)系樹脂、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、低結晶性ないし非晶性共重合ポリエステル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、エチレンと環状オレフィンの共重合体よりなる群の一種または二種以上であることが好ましい。
この本発明によれば、コア部がベース部より引張弾性率が1.5倍以上高い樹脂からなるので、咬合具を袋本体と融着した場合であっても、咬合具及びその近傍にピンホールや皺等が発生することをより一層防止することができる。
また、当該樹脂を、前記した結晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、低結晶性ないし非晶性共重合ポリエステル樹脂等の特定の樹脂とすれば、かかる効果を好適に享受することができる。
また、これらの樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜20g/10分が好ましく、2〜10g/10分が好ましい(JIS K7210に従い測定)。
この本発明によれば、咬合具を構成する帯状基部に対して、ベース部より融点の低い融着部を形成するようにしているので、咬合具と袋本体と融着を実施する場合における帯状基部に対する熱的影響を少なくすることができ、袋本体と融着を実施する場合において低温で融着を行うことができる等、融着条件の幅を広げることが可能となる。
この本発明によれば、融着部を構成する樹脂が、融点が比較的低温の特定の共重合体、接着性の良好な共重合体からなるようにしているので、袋本体に対して低温での融着を好適に実施することができる。
この本発明によれば、帯状基部においてベース部等に包み込まれているコア部が、断面から見て分割されているので、コア部が断面から見て連続的に形成されている場合と比較して、コア部とベース部等との形成をより安定化させることができる。
この本発明の咬合具付き包装袋は、前記した咬合具が、袋本体に対して融着されて形成されているので、前記した本発明の咬合具の奏する効果を好適に享受することができる。
図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態の咬合具及び咬合具付き包装袋(以下、単に「包装袋」とすることもある)を説明する。
図1は、本発明の咬合具を袋本体に融着した咬合具付き包装袋を示した正面図である。また、図2は、本発明の咬合具を、包装袋を構成する袋本体に融着した状態を示す図であり、(A)は咬合部が離れた状態、(B)は咬合部が咬合した状態、をそれぞれ示す断面図である。
ここで、図1及び図2中、1は咬合具、2は製袋融着部(サイドシール部)、3は咬合具つぶし部、10は咬合部、11は雄部材、12は雌部材、13は帯状基部、14はベース部、15はコア部、16は頭部、17は連結部、18は第1のフック部、19は第2のフック部、20は袋本体、30は包装袋、をそれぞれ示している。
ここで、雄部材11は、袋本体20に対して融着される帯状基部13と、断面が略キノコ形状の頭部16、及びこの帯状基部13と頭部16を連結する連結部17により一体的に形成されておる。
そして、咬合具1は、雄部材11の頭部16と雌部材12の第1のフック部18及び第2のフック部19が咬合部10を形成しており、これらが咬合または離れることにより、開封または再封が行われる。
このように、帯状基部13をベース部14と、当該ベース部14より剛性の高いコア部15との複合体としているので、袋本体20と融着した場合であっても、咬合具1及びその近傍に皺等が発生することを防止することができる。
また、このような剛性の高いコア部15とベース部14とを単なる積層構成でなく、ベース部14がコア部15を包み込んでいる構成としているので、咬合具1と袋本体20を融着した場合においてコア部15とベース部14が剥離することもない。また、製袋時の融着部2と咬合具1が重なる咬合具つぶし部3においても、ピンホールの発生がなくなる。更には、咬合具1の製造に際しても、高速で連続的に安定して製造することができるため、生産性も良好な咬合具1となる。
なお、ベース部14を構成する樹脂には、必要により、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸及びその誘導体より変性された接着性ポリオレフィン系樹脂を添加することができる。また、これらの樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜20g/10分が好ましく、2〜10g/10分が好ましい。なお、MFRは、JIS K7210に従い測定すればよい。
なお、樹脂の引張弾性率は、JIS K7113に準じて測定すればよい。
また、コア部15の樹脂としては、これらのほか、ポリアクリロニトリル(PAN)、TBX、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ノルボルネン共重合体等を使用するようにしてもよい。
ここで、袋本体20を形成するフィルム基材としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、ドライラミネート法や押出しラミネートで貼り合わされたラミネートフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)/LLDPE、PET/CPP、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)/CPP、ナイロン/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、金属または無機蒸着PET、金属または無機蒸着PET/LLDPE等を挙げることができる。
また、コア部15がベース部14より引張弾性率が1.5倍以上、好ましくは2倍以上高い樹脂からなるようにすれば、咬合具1を袋本体20と融着した場合であっても、咬合具1及びその近傍にピンホールや皺等が発生することをより一層防止することができる。
そして、ベース部14がコア部15を包み込んでいる構成としているので、咬合具1と袋本体20を融着した場合においても、コア部15とベース部14が剥離することもない。
前記した第1実施形態では、咬合具1と袋本体20の接着は、咬合具1を構成する帯状基部13のベース部14が袋本体20に対して融着されるものであったが、これには制限されず、帯状基部13のベース部14に対して別途融着部を設けて、当該融着部が袋本体20に対して融着されるようにしてもよい。
なお、以下の説明では、既に第1実施形態において説明した部分又は部材と同様な部材等については、同一符号を付して、その説明を省略する。
ベース部14と融着部40によってコア部15を包み込むようにしてもよい。図4は、図3の他の態様を示した図であって、ベース部14と融着部40によってコア部15を包み込むようにした態様を示した断面図である。
5.0mm、融着部40の厚みt4は、概ね5〜100μm程度となるようにすればよい。帯状基部13におけるベース部14及びコア部15、また融着部40の厚み等t1,t2,t3,t4をかかる範囲にしておけば、ベース部14及び融着部40とコア部15との剥離、及びベース部14と融着部40との層間剥離が起こることもなく、また、袋本体20と融着した場合であっても、咬合具1や、融着部40及びその近傍にピンホールや皺等が発生することを防止することができ、外観面及び機能面も良好な咬合具1を提供することができる。
なお、以下の説明では、既に第1実施形態及び第2実施形態において説明した部分又は部材と同様な部材等については、同一符号を付して、その説明を省略する。
また、図6は、前記した図5の咬合具1において、分割されて形成されるコア部15の断面形状が略円形状の態様を示した断面図である。
なお、図5及び図6は、咬合具1のうち雄部材11のみを示している。
その他、本発明の実施における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
下記の(1)〜(6)に示す樹脂及び製造方法を用いて、表1に示す構成により、実施例1〜3及び比較例1〜4の咬合具を製造した。
なお、実施例1は、図2に示した構成とし、また、実施例2及び実施例3は、図3に示した構成とした。
なお、下記の樹脂の物性について、融点はJIS K7121に準拠して、更には、密度はJIS K7121に準拠して、更には、ビカット軟化点はJIS K7206に準拠してそれぞれ測定した。
(1)直鎖状低密度ポリエチレン−I(LLDPE−Iと略す)
グレード:モアテック0628G(出光石油化学(株)製)
密度:915kg/m3
MFR:6.0g/10分
融点:120℃
引張弾性率:160MPa
グレード:アフィニティーKC8852(ダウケミカル社製)
密度:875kg/m3
MFR:3.0g/10分
融点:68℃
引張弾性率:10MPa
グレード:ペトロセン190(東ソー(株)製)
密度:927kg/m3
MFR:4.0g/10分
融点:109℃
引張弾性率:150MPa
グレード:ウルトラセン541(東ソー(株)製)
密度:929kg/m3
MFR:9.0g/10分
融点:95℃
引張弾性率:60MPa
グレード:PETG6763(イーストマンケミカル社製)
密度: 1270kg/m3
固有粘度(Intrinsic Viscosity/IV):0.75
ビカット軟化点:85℃
引張弾性率:1760MPa
グレード:1209X01(東レ(株)製)
密度:1310kg/m3
固有粘度(Intrinsic Viscosity/IV):1.0
引張弾性率:1500MPa
共押出成形方法(実施例1及び比較例1,2は2台の押出機を用いた共押出成形法、実施例2,3及び比較例3,4は3台の押出機を用いた共押出成形法)により成形した。また、この製造方法により咬合具の製造を行った結果、実施例1〜3の咬合具は、安定して製造を実施することができた。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた咬合具を、市販のチャック付け三方シール製袋機(西部機械社製、咬合具をフィルム基材に融着する際にセパレータを使用するタイプ)を用いて、下記構成のフィルム基材に融着するとともに、フィルム基材の三方を融着(咬合具つぶし部を含む)して、サイズ200mm×300mmの咬合具付き包装袋を製造した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)(厚み 12μm)/接着剤/アルミ箔(厚み 7μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)シーラント(厚み
50μm)の3層フィルム(総厚み 70μm)を使用した。
融着温度を100〜130℃とした場合における咬合具と袋本体との融着性を、融着温度を5℃ごとに区切って指先で剥離することにより確認して、下記の判定基準により比較・評価した。
判 定 内 容
○ : 剥離できない。
△ : 強い力により剥離可能である。
× : 容易に剥離可能である。
製造された咬合具付き包装袋における咬合具つぶし部のアルミ蒸着部における割れの発生数(10袋中)を目視により確認して、下記の判定基準により比較・評価した。
判 定 内 容
○ : アルミ割れの発生数がゼロである。
△ : アルミ割れの発生数が1以上3未満である。
× : アルミ割れの発生数が3以上である。
製造された咬合具付き包装袋の咬合具つぶし部近傍におけるピンホールの発生数を、下記の判定基準を用いて比較・評価した。
なお、ピンホールの発生数は、市販のエージレスチェッカーにより確認した。
判 定 内 容
○ : ピンホールの発生数がゼロである。
△ : ピンホールの発生数が1以上3未満である。
× : ピンホールの発生数が3以上である。
製造された咬合具付き包装袋のチャックテープをシールした部分近傍における皺の発生状態を目視により確認し、下記の判定基準を用いて比較・評価した。
判 定 内 容
○ : 皺がなく外観が良好である。
△ : 皺がわずかに発生する。
× : 皺が多く発生し、外観不良である。
また、包装袋を構成するフィルム基材としてアルミ蒸着部を備えたフィルムを使用する場合であっても、咬合具と袋本体との咬合具つぶし部において、いわゆるアルミ割れが生じることもないものであった。
特に、融着部を設けた実施例2,実施例3の咬合具を用いた場合にあっては、融着温度を110℃程度とした低温融着も可能であり、温度条件の幅を広くすることができるものであった。
このように、本発明の要件を具備しない比較例の咬合具を備えた包装袋は、いずれも実施例の咬合具を備えた包装袋と比較して大きく劣るものであった。
2 … 製袋融着部(サイドシール部)
3 … 咬合具つぶし部
10 … 咬合部
11 … 雄部材
12 … 雌部材
13 … 帯状基部
14 … ベース部
15 … コア部
16 … 頭部
17 … 連結部
18 … 第1のフック部
19 … 第2のフック部
20 … 袋本体
30 … 咬合具付き包装袋
40 … 融着部
Claims (9)
- 咬合部と、当該咬合部と一体的に形成される帯状基部から構成される一対の熱可塑性樹脂製雄部材及び雌部材からなる咬合具であって、
前記帯状基部がベース部及びコア部からなり、
前記コア部が当該ベース部より剛性が高く、
前記ベース部が前記コア部を包み込んでいることを特徴とする咬合具。 - 請求項1記載の咬合具において、
前記コア部の樹脂の引張弾性率が、前記ベース部の樹脂の引張弾性率の1.5倍以上であることを特徴とする咬合具。 - 請求項1または請求項2記載の咬合具において、
前記コア部を構成する樹脂が、ポリエチレン(PE)系樹脂、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、低結晶性ないし非晶性共重合ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、エチレンと環状オレフィンとの共重合体よりなる群の一種または二種以上であることを特徴とする咬合具。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の咬合具において、
前記ベース部を構成する樹脂が、密度が890〜940kg/m3のポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)なる群の一種または二種以上であることを特徴とする咬合具。 - 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の咬合具において、
前記帯状基部に対して前記ベース部より融点の低い樹脂からなる融着部を形成したことを特徴とする咬合具。 - 請求項5に記載の咬合具において、
前記融着部を構成する樹脂が、密度が850〜905kg/m3の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする咬合具。 - 請求項5に記載の咬合具において、
前記融着部を構成する樹脂が、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体よりなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする咬合具。 - 請求項1ないし請求項7の何れかに記載の咬合具において、
前記コア部が分割されていることを特徴とする咬合具。 - 請求項1ないし請求項8に記載の咬合具が袋本体に融着されてなることを特徴とする咬合具付き包装袋。
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