JP2005303250A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ZnO基板上に良好な結晶性を持つ III−V族窒化物半導体を形成できるようにし、それによって半導体デバイスの動作特性及び信頼性を向上させる。
【解決手段】 半絶縁性ZnO基板1の(000−1)面(酸素面)上に、チャネル層となるInN層2が形成されている。ZnO基板1の表面(酸素面)の全面に亘って、該表面を構成する酸素原子が窒素原子によって置換されている。すなわち、ZnO基板1の表面に対して窒化処理が施されており、該表面は窒化面(改質面)8となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信に用いる超高速半導体デバイスや、赤外域光/可視光/紫外域光を発する発光素子等の技術に関する。
青色発光素子用の材料として又は高周波高出力電子デバイス用の材料として、窒化ガリウム(GaN)及び窒化アルミニウム(AlN)等に代表される窒化物半導体の研究開発さらには製品化が盛んに行なわれている。近年、このような窒化物半導体の1つである、窒化インジウム(InN)が注目を浴びるようになった。InNは窒化物半導体の中でバンドギャップが最も小さく、近年の報告では、InNのバンドギャップは0.7〜0.8eV程度と言われている。また、InNのバンド構造は直接遷移型であり、その発光波長は1.55〜1.77μmに相当するので、InNは光ファイバー通信用発光・受光素子を実現できる窒化物半導体である。また、InNの理論上の室温移動度及び飽和電子速度はそれぞれ4400cm2 /(V・sec)及び4.2×107 cm/secであって、これはGaNの室温移動度及び飽和電子速度と比べると、それぞれ約4倍及び約1.4倍の値である。以上のような特性を持つInNは電子デバイス材料としても非常に有望である(例えば非特許文献1参照)。
Ashraful Ghani Bhuiyan、Akihiro Hashimoto 、Akio Yamamoto 、Journal of Applied Physics、U.S.A 、2003年、vol.94、no.5、p.2779-2808
InNの結晶構造は一般にWurtzite構造であり、その格子定数はa軸及びc軸のそれぞれについて3.55Å及び5.69Åである。また、一般にInNはc軸方向に結晶成長させるので、InN結晶と基板との間におけるa軸方向の格子定数差が重要になる。従来、基板としては面方位(0001)のサファイア基板が多用されているが、サファイアのa軸方向の格子定数が4.76Åであるため、InNとの間で25%程度の格子不整合が生じるので、サファイア基板上において良質なInN結晶を得ることは難しい。このような格子不整合は歪となり、結晶欠陥を引き起こすからである。半導体レーザなどの発光デバイスでは、この結晶欠陥によって発光効率が低下するという問題に加えて、結晶欠陥が経時的に増加するために十分な信頼性を得ることが難しくなるという問題が生じる。尚、以上の説明は III−V族窒化物半導体としてInNを対象とした場合のものであるが、GaN、AlN、AlGaN、InGaN又はAlGaInN等の他の III−V族窒化物半導体を対象とした場合にも同様である。
そこで、本願発明者を含む研究グループはZnO基板を用いることを提案した。ZnO基板を用いることにより、InNとの間の格子不整合を9%程度まで低減でき、それによってInNの結晶性を向上させることができた。
しかしながら、ZnO基板を用いた場合、基板の表面を構成する原子(以下、表面原子と称する)はZn又はO等のII族原子又はVI族原子であるため、該表面原子の電子構造と、 III−V族窒化物半導体を構成する III族原子又はV族原子の電子構造とが異なってしまう。このため、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との間の遷移は急峻な変化を伴う。図12は、 III−V族窒化物半導体としてInNを用いた場合における、ZnO基板とInN成長層との界面を模式的に示した図である。
ZnO基板と III−V族窒化物半導体との間に、図12に示すような急峻な変化がある場合、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との間における原子結合を完全なものにすることは困難である。また、このような原子結合の不完全性はZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面に微小な変形を引き起こす結果、 III−V族窒化物半導体内を走行する電子の移動度が低下してしまうという問題が生じる。さらに、それに伴って、電子デバイスにおいては動作周波数の低下という問題が生じ、また、発光デバイスでは抵抗増加に起因する信頼性低下等の問題が生じる。
前記に鑑み、本発明は、ZnO基板上に良好な結晶性を持つ III−V族窒化物半導体を形成できるようにし、それによって半導体デバイスの動作特性及び信頼性を向上させることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、酸化亜鉛基板上に III−V族窒化物半導体層が形成された半導体装置であって、酸化亜鉛基板における III−V族窒化物半導体層が形成されている表面を構成する複数の原子は、 III族原子及びV族原子のうちの少なくとも一方の原子によって置換されている。
本発明の半導体装置によると、酸化亜鉛(ZnO)基板の表面に III族原子又はV族原子が存在するため、該基板表面上に形成される III−V族窒化物半導体と基板との間における原子同士の結合性が向上する。このため、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面における微小な変形が低減するので、ZnO基板上に良好な結晶性を有する III−V族窒化物半導体層を形成することができると共に、 III−V族窒化物半導体内を走行する電子の移動度の低下を抑制することができる。
尚、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板における III−V族窒化物半導体層が形成されている表面を構成する複数の原子(以下、表面原子と称する)の全てが III族原子若しくはV族原子によって置換されていてもよいし、又は該表面原子の一部が III族原子若しくはV族原子によって置換されていてもよい。また、酸化亜鉛基板の表面原子が III族原子若しくはV族原子によって置換されていることに代えて、又は、それに加えて、酸化亜鉛基板の表面原子間に III族原子若しくはV族原子が挿入されていてもよい。また、酸化亜鉛基板における表面原子の下側に位置する原子が III族原子又はV族原子によって置換されていてもよい。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板の表面原子の少なくとも一部分は、 III−V族窒化物半導体層における酸化亜鉛基板と接する部分に含まれる III族原子と同じ種類の III族原子によって置換されていることが好ましい。
このようにすると、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面の遷移がより滑らかな変化になるので、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面における微小な変形をより一層低減することができる。尚、 III−V族窒化物半導体層における酸化亜鉛基板と接する部分に含まれる III族原子が複数種類ある場合には、少なくとも、そのうちの1つと同じ種類の III族原子によって酸化亜鉛基板の表面原子が置換されていれば、前述の効果が得られる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板の表面原子の少なくとも一部分は、 III−V族窒化物半導体層における酸化亜鉛基板と接する部分に含まれるV族原子と同じ種類のV族原子によって置換されていることが好ましい。
このようにすると、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面の遷移がより滑らかな変化になるので、ZnO基板と III−V族窒化物半導体との界面における微小な変形をより一層低減することができる。尚、 III−V族窒化物半導体層における酸化亜鉛基板と接する部分に含まれるV族原子が複数種類ある場合には、少なくとも、そのうちの1つと同じ種類のV族原子によって酸化亜鉛基板の表面原子が置換されていれば、前述の効果が得られる。
また、本発明の半導体装置において、 III−V族窒化物半導体層における酸化亜鉛基板と接する部分は、インジウム組成が22%の窒化インジウムガリウム層であることが好ましい。
このようにすると、インジウム組成が22%である窒化インジウムガリウムはZnOと完全に格子整合するので、ZnO基板の表面に導入された III族原子又はV族原子に歪が加わることを防止できる。従って、デバイスを長期間動作させた場合にもマイグレーションを防ぐことができ、それによってデバイスの信頼性を向上させることができる。尚、窒化インジウムガリウム層におけるインジウム組成は22%に限られるものではないが、22%に近ければ近いほど酸化亜鉛基板と窒化インジウムガリウム層とが格子整合しやすくなる。
また、本発明の半導体装置において、 III−V族窒化物半導体層は窒化インジウム層を含むことが好ましい。
このようにすると、窒化インジウムは750℃以下の低温で容易に成長するため、ZnO基板を構成するZnOの昇華を少なくすることができ、それによって滑らかな窒化インジウム層表面を得ることができる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板は(0001)面である亜鉛面を有し、亜鉛面上に III−V族窒化物半導体層が形成されていることが好ましい。
一般に、亜鉛面上に形成される III−V族窒化物半導体は III族極性(半導体層表面が III族原子によって構成される性質)を持つ可能性が高いが、このように亜鉛面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に亜鉛面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、亜鉛面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板は(000−1)面である酸素面を有し、酸素面上に III−V族窒化物半導体層が形成されていることが好ましい。
一般に、酸素面上に形成される III−V族窒化物半導体はV族極性(半導体層表面がV族原子によって構成される性質)を持つ可能性が高いが、このように酸素面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に酸素面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、酸素面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板は(10−10)面を有し、(10−10)面上に III−V族窒化物半導体層が形成されていることが好ましい。
(10−10)面には酸素原子と亜鉛原子とが同数存在するため、(10−10)面上に形成される III−V族窒化物半導体の極性は一意に定まるものではないが、このように(10−10)面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に(10−10)面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、(10−10)面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板は(11−20)面を有し、(11−20)面上に III−V族窒化物半導体層が形成されていることが好ましい。
(11−20)面には酸素原子と亜鉛原子とが同数存在するため、(11−20)面上に形成される III−V族窒化物半導体の極性は一意に定まるものではないが、このように(11−20)面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に(11−20)面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、(11−20)面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板及び III−V族窒化物半導体層が電界効果型トランジスタ又はバイポーラトランジスタを構成すると、言い換えると、本発明の半導体装置が電界効果型トランジスタ又はバイポーラトランジスタ等の半導体デバイスであると、 III−V族窒化物半導体内の電子移動度を向上させることができるので、高周波特性が優れた半導体デバイスを実現できる。
また、本発明の半導体装置において、酸化亜鉛基板及び III−V族窒化物半導体層が発光ダイオード、半導体レーザ又は太陽電池を構成すると、言い換えると、本発明の半導体装置が発光ダイオード、半導体レーザ又は太陽電池等の半導体デバイスであると、 III−V族窒化物半導体内の電子移動度を向上させることができると共に該半導体の抵抗を低減して発熱を抑制できるので、信頼性が高い半導体デバイスを実現できる。
また、本発明の半導体装置の製造方法において、ラジカル化した III族原子、イオン化した III族原子若しくは熱分解により生成された III族原子又はこれらの III族原子(少なくともこれらの III族原子のいずれか1つ)を含む気体若しくは分子線(原子線を含む)に酸化亜鉛基板を曝すことによって、酸化亜鉛基板の表面原子を III族原子によって置換する原子置換工程を備えていることが好ましい。
このような III族原子又はそれを含む気体若しくは分子線は、酸化亜鉛基板の表面を改質するために十分なエネルギーを有するため、酸化亜鉛基板の表面原子の III族原子による置換を確実に実現できる。尚、熱分解により生成された III族原子は、通常、生成直後に酸化亜鉛基板表面に達する。
また、本発明の半導体装置の製造方法において、ラジカル化したV族原子、イオン化したV族原子若しくは熱分解により生成されたV族原子又はこれらのV族原子(少なくともこれらのV族原子のいずれか1つ)を含む気体若しくは分子線(原子線を含む)に酸化亜鉛基板を曝すことによって、酸化亜鉛基板の表面原子をV族原子によって置換する原子置換工程を備えていることが好ましい。
このようなV族原子又はそれを含む気体若しくは分子線は、酸化亜鉛基板の表面を改質するために十分なエネルギーを有するため、酸化亜鉛基板の表面原子のV族原子による置換を確実に実現できる。尚、V族原子が窒素原子である場合、酸化亜鉛基板の表面原子を該窒素原子によって置換することを特に「酸化亜鉛基板表面の窒化」と呼ぶ。また、熱分解により生成されたV族原子は、通常、生成直後に酸化亜鉛基板表面に達する。
また、本発明の半導体装置の製造方法の原子置換工程において、酸化亜鉛基板の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換することにより、酸化亜鉛基板上に形成する III−V族窒化物半導体層の極性を制御することができる。すなわち、 III−V族窒化物半導体層の極性は酸化亜鉛基板の表面状態に依存して変化するので、該基板表面の改質を行なうことにより、 III−V族窒化物半導体層の形成において該半導体層が III族面又はV族面を持つように意図的に制御することができる。
また、本発明の半導体装置の製造方法の原子置換工程においては、酸化亜鉛基板の温度を500℃以上で且つ750℃以下に保持することが好ましい。
例えば参考文献(Olga Dulub、Lynn A. Boatner 、Ulrike Diebold、Surface Science 、NLD 、2002年、vol.519 、no.3、p.201-217 )に述べられているように、750℃以上の温度でZnOが昇華するのに対して、このように酸化亜鉛基板の温度を750℃以下に保持することによって、酸化亜鉛基板を構成するZnOの昇華を抑制しながら酸化亜鉛基板の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換できる。その結果、酸化亜鉛基板上に形成される III−V族窒化物半導体層の表面を滑らかにすることができる。また、原子置換工程を500℃以上の温度で実施するため、酸化亜鉛基板表面の原子振動が大きくなるので、酸化亜鉛基板の表面原子の III族原子又はV族原子による置換を、より短時間で行なうことができる。
また、本発明の半導体装置の製造方法において、原子置換工程よりも前に、酸化亜鉛基板の温度を700℃以上で且つ750℃以下に保持しながら酸化亜鉛基板を超高真空中に10分間以上(但し好ましくは2時間以下)放置する工程をさらに備えていることが好ましい。該工程においては、通常、30分間程度以上で且つ1時間程度以下の間、酸化亜鉛基板を超高真空中に放置する。
このようにすると、原子置換工程よりも前に、酸化亜鉛基板を構成するZnOの昇華を抑制しながら該基板表面の不純物(又は不必要な膜)を十分に除去すること(つまり酸化亜鉛基板の表面クリーニングを十分に行なうこと)ができるので、引き続いて行なわれる原子置換工程において酸化亜鉛基板の表面原子の III族原子又はV族原子による置換をより均一に行なうことができる。また、この場合、超高真空中で行なわれる原子置換工程よりも後に、超高真空中において酸化亜鉛基板の上に III−V族窒化物半導体層を結晶成長させる工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、酸化亜鉛基板の表面クリーニング及び原子置換工程に引き続いて超高真空中で III−V族窒化物半導体の結晶成長を行なうことができるので、より信頼性の高い半導体装置を実現できる。
以上のように、本発明によると、酸化亜鉛基板上に良好な結晶性を有する III−V族窒化物半導体を形成することができる。このため、該 III−V族窒化物半導体を、赤外域/可視/紫外域発光素子(レーザ若しくは発光ダイオードなど)又は高出力高周波電子デバイス(MESFET(metal semiconductor field-effect transitor)、MOSFET(metal oxide semiconductor field-effect transitor)若しくはHEMT(high electron mobility transitor)など)に用いることにより、これらのデバイスの信頼性及び性能を向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置、具体的には、高周波電子デバイスである、InN層を用いたMOSFETの断面構成を示す図である。
図1に示すように、半絶縁性ZnO基板1の(000−1)面(酸素面)上に、チャネル層となるInN層2が形成されている。また、InN層2の上には、例えばSiNよりなるゲート絶縁膜3を介して、例えばNi層とAu層との積層構造を持つゲート電極6が形成されている。さらに、InN層2におけるゲート電極6の両側の領域の上には、それぞれ例えばNi層とAu層との積層構造を持つソース電極4及びドレイン電極5が形成されている。尚、ソース電極4、ドレイン電極5及びゲート電極6のそれぞれの厚さは例えば0.2μm、0.2μm及び0.15μmである。また、ゲート電極6の長さ(ゲート長)及び幅(ゲート幅)はそれぞれ0.25μm及び100μmである。
本実施形態の特徴は、ZnO基板1の表面(酸素面)の全面に亘って、該表面を構成する酸素原子が窒素原子によって置換されていることである。すなわち、ZnO基板1の表面に対して、いわゆる窒化処理が施されており、該表面は窒化面(改質面)8となる。
図2(a)〜(g)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法、具体的には、図1に示すMOSFETの製造方法の各工程を示す断面図である。また、図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部(図2(a)〜(c)に示す工程)のフローチャートである。
まず、ステップS1において、図2(a)に示すように、(000−1)面を有する半絶縁性ZnO基板1を用意した後、ステップS2において、該基板1を例えば分子線エピタキシャル成長装置(MBE装置)のチャンバー(図示省略)内に搬入し、1.33×10-7Pa(1×10-9Torr)よりも高真空な状態(以下、超高真空状態と称する)でZnO基板1の温度を例えば720℃まで上昇させて例えば30分間放置することにより、ZnO基板1の表面に対して熱クリーニングを行なう。
次に、ステップS3において、ZnO基板1を前記の超高真空状態にあるMBE装置のチャンバー内に入れたまま、ZnO基板1の温度を例えば550℃まで下降させる。そして、例えば、窒化物半導体の分子線エピタキシャル成長によく用いられる高周波プラズマ励起法によって、図2(b)に示すように、該チャンバー内に例えば活性窒素ラジカル31を生成し、約1時間、活性窒素ラジカル31をZnO基板1に照射する。これにより、ZnO基板1の表面(酸素面)を構成する酸素原子の多数が窒素原子によって置換され、該表面は窒化面8となる。
次に、ステップS4において、ZnO基板1を前記の超高真空状態にあるMBE装置のチャンバー内に入れたまま、ZnO基板1の温度を、図2(b)に示す工程と同様に550℃に保ちながら、図2(c)に示すように、MBE法により、窒化面8が形成されたZnO基板1の表面上にInN層2を成長させる。ここで、InN層2の成長速度は例えば0.2μm/h(時間)である。
次に、前記のMBE装置のチャンバーからZnO基板1を取り出した後、図2(d)に示すように、例えばプラズマCVD(chemical vapor deposition )法を用いて、InN層2の上にSiN膜32を堆積する。ここで、SiN膜32の堆積時におけるZnO基板1の温度は例えば300℃である。
次に、図2(e)に示すように、フォトリソグラフィ及びエッチングを用いて、SiN膜32をゲート電極形状にパターニングすることにより、SiN膜32よりなるゲート絶縁膜3を形成する。
次に、図2(f)に示すように、イオン注入及びアニールを用いて、InN層2におけるソース領域及びドレイン領域となる部分に例えばSiイオン33を注入して該部分を活性化させることにより、ソース・ドレイン領域を低抵抗化する。このとき、ゲート絶縁膜(SiN膜)3はマスクとして機能するので、InN層2におけるゲート絶縁膜3の下側部分を保護することができる。
最後に、図2(g)に示すように、例えば蒸着装置を用いて、ゲート絶縁膜3の上及びInN層2の上に、例えばNi/Au積層膜を堆積することにより、ゲート絶縁膜3の上にゲート電極6を形成すると共にInN層2におけるゲート電極6の両側の領域の上にそれぞれソース電極4及びドレイン電極5を形成する。
本願発明者は、図2(b)に示す窒化処理がInN層の結晶性に与える影響を調べるため、前述の図2(b)に示す窒化処理を経て図2(c)に示す工程までを終了したサンプルと、該窒化処理を行なわずに図2(c)に示す工程までを終了したサンプルとの間で、それぞれのInN層の結晶性を比較評価した。その結果を下記の表1に示す。
Figure 2005303250
表1に示すように、評価項目である、X線回折法により測定したInN結晶(0002)逆格子点のロッキングカーブ半値幅、ホール測定法により測定したキャリアの移動度(室温)及びキャリアの密度の全てについて、窒化処理によって改善が見られる。尚、表1において、キャリアの移動度については、「窒化処理なし」の場合を1として、キャリアの移動度の比を用いて評価していると共に、キャリアの密度については、「窒化処理あり」の場合を1として、キャリアの密度の比を用いて評価している。以上のように、ZnO基板表面の窒化により、その上に形成されるInN層の結晶性が向上していることが分かる。この結晶性の向上により、デバイス特性を改善することができる。
図4は、図1に示す本実施形態の半導体装置におけるInN層2とZnO基板1の(000−1)面(酸素面)との間の界面を原子レベルで模式的に示した図である。
図4に示すように、亜鉛原子22と酸素原子23とから構成されたZnO基板1の上に、インジウム原子25と窒素原子24とから構成されたInN層2が形成されている。ここで、ZnO基板1の(000−1)面を構成する複数の酸素原子23のうちの少なくとも一部が窒素原子21によって置換されている。これにより、ZnO基板1とInN層2との界面では、組成がII−VI族半導体から III−V族半導体に滑らかに変わるため、該界面に生じる歪を低減させることができるので、InN層2の結晶性が向上する。
また、図4に示すように、ZnO基板1の表面の酸素原子23を窒素原子21によって置換することにより、その上に成長したInN層2の表面原子も窒素原子24になる。すなわち、本実施形態の窒化処理により、InN層2の極性を制御することができる。
以上に説明したように、第1の実施形態によると、ZnO基板1の表面にV族原子である窒素原子が存在するため、ZnO基板1の表面上に形成されるInN層2つまり III−V族窒化物半導体とZnO基板1との間における原子同士の結合性が向上する。このため、ZnO基板1とInN層2との界面における微小な変形が低減するので、ZnO基板1上に良好な結晶性を有するInN層2を形成することができると共に、InN層2内を走行する電子の移動度の低下を抑制することができる。従って、InN層2を用いたMOSFETの信頼性及び性能を向上させることができる。
また、第1の実施形態によると、ZnO基板1の表面原子を、その直上に形成されるInN層2に含まれるV族原子である窒素原子によって置換するため、ZnO基板1とInN層2との界面の遷移がより滑らかな変化になるので、ZnO基板1とInN層2との界面における微小な変形をより一層低減することができる。尚、ZnO基板上に形成される III−V族窒化物半導体層におけるZnO基板と接する部分に含まれるV族原子が複数種類ある場合には、少なくとも、そのうちの1つと同じ種類のV族原子によってZnO基板の表面原子が置換されていれば、前述の効果が得られる。
また、第1の実施形態によると、ZnO基板1の(000−1)面(酸素面)上にInN層2を形成するため、次のような効果が得られる。すなわち、酸素面上に形成される III−V族窒化物半導体はV族極性(半導体層表面がV族原子によって構成される性質)を持つ可能性が高いが、本実施形態では、酸素面の表面原子と置換した窒素原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を確実に制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
尚、第1の実施形態において、ZnO基板1の表面原子の全てが窒素原子によって置換されていてもよいし、又は該表面原子の一部が窒素原子によって置換されていてもよい。また、ZnO基板1の表面原子が窒素原子によって置換されていることに代えて、又は、それに加えて、ZnO基板1の表面原子間に窒素原子が挿入されていてもよい。また、ZnO基板1における表面原子の下側に位置する原子が窒素原子によって置換されていてもよい。
また、第1の実施形態において、ZnO基板1上に、 III−V族窒化物半導体層としてInN層2を形成したが、これに代えて、GaN、AlN、AlGaN、InGaN又はAlGaInN等よりなる他の III−V族窒化物半導体層を形成してもよい。
特に、ZnO基板1の直上に、インジウム組成が22%のInGaN(窒化インジウムガリウム)層を形成した場合、In組成が22%のInGaNはZnOと完全に格子整合するので、ZnO基板1の表面に導入された窒素原子に歪が加わることを防止できる。従って、デバイスを長期間動作させた場合にもマイグレーションを防ぐことができ、それによってデバイスの信頼性を向上させることができる。尚、InGaN層におけるIn組成は22%に限られるものではないが、22%に近ければ近いほどZnO基板とInGaN層とが格子整合しやすくなる。
また、ZnO基板1上に、異なる III−V族窒化物半導体よりなる複数の窒化物半導体層を形成してもよい。このとき、InN層を含む積層構造を形成すると、InN層は750℃以下の低温で容易に成長するため、ZnO基板1を構成するZnOの昇華を少なくすることができ、それによって滑らかなInN層表面を得ることができる。また、本実施形態のようなInN層2の単層構造を形成する場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、第1の実施形態において、ZnO基板1の表面原子を窒素原子により置換したが、これに代えて、他のV族原子、例えば砒素(As)原子又はリン(P)原子によって置換してもよい。また、ZnO基板1の表面原子を置換するV族原子の種類は1つに限られない。また、ZnO基板1の表面原子をV族原子及び III族原子の両方によって置き換えてもよい。尚、ZnO基板1の表面原子を砒素原子又はリン原子によって置換する場合、その上に成長させる III−V族窒化物半導体はInAs、InP又はINAsP等のAs又はPを含む III−V族窒化物半導体であることが好ましい。
また、第1の実施形態において、ZnO基板1の(000−1)面(酸素面)上にInN層2を形成したが、これに代えて、(10−10)面又は(11−20)面を有するZnO基板における該(10−10)面又は(11−20)面の上にInN層を形成してもよい。ここで、(10−10)面又は(11−20)面には酸素原子と亜鉛原子とが同数存在するため、(10−10)面又は(11−20)面の上に形成される III−V族窒化物半導体の極性は一意に定まるものではない。しかし、(10−10)面又は(11−20)面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に(10−10)面又は(11−20)面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、(10−10)面又は(11−20)面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、第1の実施形態において、図2(b)に示す工程(原子置換工程)で、ZnO基板1に活性窒素ラジカル31を照射することにより、ZnO基板1の表面原子を窒素原子によって置換した。しかし、これに限らず、窒素イオン、若しくは例えばアンモニアの熱分解により生成された直後の活性窒素原子、又は窒素ラジカル、窒素イオン若しくは前記の活性窒素原子のうちの少なくとも1つを含む気体若しくは分子線(原子線を含む)にZnO基板1を曝すことによって、ZnO基板1の表面原子を窒素原子によって置換してもよい。このような窒素ラジカル等又はそれを含む気体若しくは分子線は、ZnO基板1の表面を改質するために十分なエネルギーを有するため、ZnO基板1の表面原子の窒素原子による置換を確実に実現できる。ここで、窒素原子以外の他のV族原子のラジカル等を用いてもよい。
また、第1の実施形態において、原子置換工程でZnO基板1の温度を550℃に保持したが、原子置換工程におけるZnO基板1の温度は500℃以上で且つ750℃以下であることが好ましい。このようにすると、例えば参考文献(Olga Dulub、Lynn A. Boatner 、Ulrike Diebold、Surface Science 、NLD 、2002年、vol.519 、no.3、p.201-217 )に述べられているように、750℃以上の温度でZnOが昇華するのに対して、ZnO基板1の温度を750℃以下に保持することによって、ZnO基板1を構成するZnOの昇華を抑制しながらZnO基板1の表面原子を窒素原子によって置換できる。その結果、ZnO基板1上に形成される III−V族窒化物半導体層の表面を滑らかにすることができる。また、原子置換工程を500℃以上の温度で実施するため、ZnO基板1の表面の原子振動が大きくなるので、ZnO基板1の表面原子の窒素原子による置換を、より短時間で行なうことができる。
また、第1の実施形態において、原子置換工程よりも前に、ZnO基板1の温度を720℃に保持しながらZnO基板1を超高真空中に30分間放置することにより、基板表面の熱クリーニングを行なったが、該熱クリーニング工程におけるZnO基板1の温度は700℃以上で且つ750℃以下であることが好ましく、また、ZnO基板1の超高真空中での放置時間は10分間以上であることが好ましい。このようにすると、原子置換工程よりも前に、ZnO基板1を構成するZnOの昇華を抑制しながら該基板表面の不純物(又は不必要な膜)を十分に除去すること(つまりZnO基板1の表面クリーニングを十分に行なうこと)ができるので、引き続いて行なわれる原子置換工程においてZnO基板1の表面原子の窒素原子による置換をより均一に行なうことができる。また、この場合、本実施形態のように、熱クリーニング工程に引き続いて超高真空中において原子置換工程及び図2(c)に示す III−V族窒化物半導体層(InN層2)の結晶成長工程を実施することが好ましい。このようにすると、ZnO基板1の熱クリーニング工程及び原子置換工程に引き続いて超高真空中で III−V族窒化物半導体の結晶成長を行なうことができるので、より信頼性の高い半導体装置を実現できる。
また、第1の実施形態において、InN層を用いたMOSFETを対象としたが、これに限られず、ZnO基板とその上に形成された III−V族窒化物半導体層とを備えた電界効果型トランジスタ又はバイポーラトランジスタ等の半導体デバイスを対象とした場合にも、同様の効果、例えば高周波特性が優れた半導体デバイスを実現できるという効果が得られる。或いは、ZnO基板とその上に形成された III−V族窒化物半導体層とを備えた発光ダイオード、半導体レーザ又は太陽電池等の半導体デバイスを対象とした場合にも、同様の効果、例えば信頼性が高い半導体デバイスを実現できるという効果が得られる。
(第1の実施形態の変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
本変形例が、第1の実施形態と異なっている点は、図1及び図2(a)〜(g)に示す第1の実施形態における半絶縁性ZnO基板1の(000−1)面(酸素面)に代えて、半絶縁性ZnO基板1の(0001)面(亜鉛面)上にInN層2を成長させることであり、その他の構成要件については第1の実施形態と同様である。
すなわち、本変形例の特徴は、ZnO基板1の表面(亜鉛面)に対して、いわゆる窒化処理が施されており、該表面が窒化面(改質面)8となっていることである。尚、この窒化処理に要する時間は1時間程度であり、該窒化処理に関するその他の条件は、例えば第1の実施形態のステップS3(図2(b)参照)におけるZnO基板1の酸素面に対する窒化処理の条件と同様である。
以上に述べた本変形例によると、ZnO基板1の亜鉛面における表面原子(Zn原子)を、その直上に形成されるInN層2に含まれるV族原子である窒素原子により窒化するため、ZnO基板1とInN層2との界面の遷移がより滑らかな変化になるので、ZnO基板1とInN層2との界面における微小な変形をより一層低減することができる。これにより、平坦なInN層2を得ることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
図5は、第2の実施形態に係る半導体装置、具体的には、高周波電子デバイスである、InN層を用いたMESFETの断面構成を示す図である。
図5に示すように、半絶縁性ZnO基板51の(0001)面(亜鉛面)上に、チャネル層となるInN層52が形成されている。InN層52にはリセス構造が設けられていると共に、該リセス内に、例えばNi層とAu層との積層構造を持つゲート電極56が形成されている。これにより、ゲート電極56の下側のInN層52が薄くなる結果、利得を向上させることができる。InN層52におけるゲート電極56の両側の領域の上には、それぞれ例えばNi層とAu層との積層構造を持つソース電極54及びドレイン電極55が形成されている。尚、InN層52の厚さは、ソース電極54及びドレイン電極55の下側部分で0.4μm、ゲート電極56の下側部分で0.1μmである。また、ソース電極54、ドレイン電極55及びゲート電極56のそれぞれの厚さはいずれも例えば0.1μmである。また、ゲート電極56の長さ(ゲート長)及び幅(ゲート幅)はそれぞれ0.1μm及び100μmである。
本実施形態の特徴は、ZnO基板51の表面(亜鉛面)の全面に亘って、該表面を構成する亜鉛原子がインジウム原子によって置換されていることである。すなわち、ZnO基板51の表面は改質面58となる。
図6(a)〜(f)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法、具体的には、図5に示すMESFETの製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図6(a)に示すように、(0001)面を有する半絶縁性ZnO基板51を用意した後、該基板51を例えば分子線エピタキシャル成長装置(MBE装置)のチャンバー(図示省略)内に搬入し、1.33×10-7Pa(1×10-9Torr)よりも高真空な状態(つまり超高真空状態)でZnO基板51の温度を例えば720℃まで上昇させて例えば30分間放置することにより、ZnO基板51の表面に対して熱クリーニングを行なう。
次に、ZnO基板51を前記の超高真空状態にあるMBE装置のチャンバー内に入れたまま、ZnO基板51の温度を例えば750℃まで上昇させる。尚、この温度では、ZnO基板51の表面を荒らす原因となるZnOの昇華は起こらないが、ZnO基板51の表面原子である亜鉛原子は離脱しやすい状態になっていると考えられる。この状態において、図6(b)に示すように、例えばクヌーセンセルを用いてZnO基板51の表面(亜鉛面)にごく微量のインジウム線81を照射する。具体的には、MBE装置のチャンバー内において、クヌーセンセル内の固体インジウムを高温で溶解させ、それにより発生したインジウム蒸気を原子線としてZnO基板51に照射する。このようにすると、インジウム線81の照射エネルギーにより、ZnO基板51の表面を構成する亜鉛原子の多数がインジウム原子によって置換され、該表面は改質面58となる。
次に、ZnO基板51を前記の超高真空状態にあるMBE装置のチャンバー内に入れたまま、ZnO基板51の温度を例えば550℃に保ちながら、図6(c)に示すように、MBE法により、改質面58が形成されたZnO基板51の表面上にInN層52を成長させる。ここで、InN層52の成長速度は例えば0.2μm/h(時間)である。
次に、前記のMBE装置のチャンバーからZnO基板51を取り出した後、図6(d)に示すように、イオン注入及びアニールを用いて、InN層52に例えばSiイオン83を注入して活性化させることにより、ソース領域及びドレイン領域となる部分を含むInN層52を低抵抗化する。
次に、図6(e)に示すように、フォトリソグラフィ及びエッチングを用いて、InN層52におけるゲート電極形成領域を、例えば0.1μmの厚さ分だけ残して除去する。
最後に、図6(f)に示すように、例えば蒸着装置を用いて、図6(e)に示す工程で形成されたリセス構造を含むInN層52の上に、例えばNi/Au積層膜を堆積することにより、該リセス内にゲート電極56を形成すると共にInN層52におけるゲート電極56の両側の領域の上にそれぞれソース電極54及びドレイン電極55を形成する。
図7は、図5に示す本実施形態の半導体装置におけるInN層52とZnO基板51の(0001)面(亜鉛面)との間の界面を原子レベルで模式的に示した図である。
図7に示すように、酸素原子42と亜鉛原子43とから構成されたZnO基板51の上に、インジウム原子44と窒素原子45とから構成されたInN層52が形成されている。ここで、ZnO基板51の(0001)面を構成する複数の亜鉛原子43のうちの少なくとも一部がインジウム原子41によって置換されている。これにより、ZnO基板51とInN層52との界面では、組成がII−VI族半導体から III−V族半導体に滑らかに変わるため、該界面に生じる歪を低減させることができるので、InN層52の結晶性が向上する。
また、図7に示すように、ZnO基板51の表面の亜鉛原子43をインジウム原子41によって置換することにより、その上に成長したInN層52の表面原子もインジウム原子44になる。すなわち、本実施形態のインジウム置換により、InN層52の極性を制御することができる。
尚、本実施形態において、ZnO基板の表面改質に、第1の実施形態の窒化に代えてインジウム置換を用いた理由は、インジウム極性( III族極性)のInNを必要としたからである。よく知られているように、V族極性の III−V族窒化物半導体は容易にエッチングされるため、言い換えると、V族極性の III−V族窒化物半導体のエッチング速度は大きいため、本実施形態のリセス構造形成における0.1μmの厚さ分だけ残すようなエッチングをV族極性の III−V族窒化物半導体に適用することは困難である。すなわち。このようなエッチングは、エッチング速度が遅い III族極性の III−V族窒化物半導体に対して行なうことが望ましい。これが、本実施形態において、ZnO基板の表面改質にインジウム置換を用い、それによってインジウム極性のInNを形成した理由である。
以上に説明したように、第2の実施形態によると、ZnO基板51の表面に III族原子であるインジウム原子が存在するため、ZnO基板51の表面上に形成されるInN層52つまり III−V族窒化物半導体とZnO基板51との間における原子同士の結合性が向上する。このため、ZnO基板51とInN層52との界面における微小な変形が低減するので、ZnO基板51上に良好な結晶性を有するInN層52を形成することができると共に、InN層52内を走行する電子の移動度の低下を抑制することができる。従って、InN層52を用いたMESFETの信頼性及び性能を向上させることができる。
また、第2の実施形態によると、ZnO基板51の表面原子を、その直上に形成されるInN層52に含まれる III族原子であるインジウム原子によって置換するため、ZnO基板51とInN層52との界面の遷移がより滑らかな変化になるので、ZnO基板51とInN層52との界面における微小な変形をより一層低減することができる。尚、ZnO基板上に形成される III−V族窒化物半導体層におけるZnO基板と接する部分に含まれる III族族原子が複数種類ある場合には、少なくとも、そのうちの1つと同じ種類の III族原子によってZnO基板の表面原子が置換されていれば、前述の効果が得られる。
また、第2の実施形態によると、ZnO基板51の(0001)面(亜鉛面)上にInN層52を形成するため、次のような効果が得られる。すなわち、亜鉛面上に形成される III−V族窒化物半導体は III族極性(半導体層表面が III族原子によって構成される性質)を持つ可能性が高いが、本実施形態では、亜鉛面の表面原子と置換したインジウム原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を確実に制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
尚、第2の実施形態において、ZnO基板51の表面原子の全てがインジウム原子によって置換されていてもよいし、又は該表面原子の一部がインジウム原子によって置換されていてもよい。また、ZnO基板51の表面原子がインジウム原子によって置換されていることに代えて、又は、それに加えて、ZnO基板51の表面原子間にインジウム原子が挿入されていてもよい。また、ZnO基板51における表面原子の下側に位置する原子がインジウム原子によって置換されていてもよい。
また、第2の実施形態において、ZnO基板51上に、 III−V族窒化物半導体層としてInN層52を形成したが、これに代えて、GaN、AlN、AlGaN、InGaN又はAlGaInN等よりなる他の III−V族窒化物半導体層を形成してもよい。
特に、ZnO基板51の直上に、インジウム組成が22%のInGaN(窒化インジウムガリウム)層を形成した場合、In組成が22%のInGaNはZnOと完全に格子整合するので、ZnO基板51の表面に導入されたインジウム原子に歪が加わることを防止できる。従って、デバイスを長期間動作させた場合にもマイグレーションを防ぐことができ、それによってデバイスの信頼性を向上させることができる。尚、InGaN層におけるIn組成は22%に限られるものではないが、22%に近ければ近いほどZnO基板とInGaN層とが格子整合しやすくなる。
また、ZnO基板51上に、異なる III−V族窒化物半導体よりなる複数の窒化物半導体層を形成してもよい。このとき、InN層を含む積層構造を形成すると、InN層は750℃以下の低温で容易に成長するため、ZnO基板51を構成するZnOの昇華を少なくすることができ、それによって滑らかなInN層表面を得ることができる。また、本実施形態のようなInN層52の単層構造を形成する場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、第2の実施形態において、ZnO基板51の表面原子をインジウム原子により置換したが、これに代えて、他の III族原子、例えばガリウム(Ga)原子によって置換してもよい。また、ZnO基板51の表面原子を置換する III族原子の種類は1つに限られない。また、ZnO基板51の表面原子を III族原子及びV族原子の両方によって置き換えてもよい。尚、ZnO基板51の表面原子をガリウム原子によって置換する場合、その上に成長させる III−V族窒化物半導体はInGaN等のGaを含む III−V族窒化物半導体であることが好ましい。
また、第2の実施形態において、ZnO基板51の(0001)面(亜鉛面)上にInN層52を形成したが、これに代えて、(10−10)面又は(11−20)面を有するZnO基板における該(10−10)面又は(11−20)面の上にInN層を形成してもよい。ここで、(10−10)面又は(11−20)面には酸素原子と亜鉛原子とが同数存在するため、(10−10)面又は(11−20)面の上に形成される III−V族窒化物半導体の極性は一意に定まるものではない。しかし、(10−10)面又は(11−20)面の表面原子を III族原子又はV族原子によって置換した後に(10−10)面又は(11−20)面上に III−V族窒化物半導体層を形成することにより、次のような効果が得られる。すなわち、(10−10)面又は(11−20)面の表面原子と置換した III族原子又はV族原子をベースにして III−V族窒化物半導体層の極性を制御できるので、デバイス構造の設計マージンを拡大することができる。
また、第2の実施形態において、図6(b)に示す工程(原子置換工程)で、ZnO基板51にインジウム線81を照射することにより、ZnO基板51の表面原子をインジウム原子によって置換した。しかし、これに限らず、インジウムラジカル、インジウムイオン、若しくは例えばジメチルインジウム等のインジウム含有有機金属ガスの熱分解により生成された直後の活性インジウム原子、又はインジウムラジカル、インジウムイオン若しくは前記の活性インジウム原子のうちの少なくとも1つを含む気体若しくは分子線(原子線を含む)にZnO基板51を曝すことによって、ZnO基板51の表面原子を窒素原子によって置換してもよい。このようなインジウムイオン等又はそれを含む気体若しくは分子線は、ZnO基板51の表面を改質するために十分なエネルギーを有するため、ZnO基板51の表面原子のインジウム原子による置換を確実に実現できる。ここで、インジウム原子以外の他の III族原子のラジカル等を用いてもよい。
また、第2の実施形態において、原子置換工程でZnO基板51の温度を750℃に保持したが、原子置換工程におけるZnO基板51の温度は500℃以上で且つ750℃以下であることが好ましい。このようにすると、750℃以上の温度でZnOが昇華するのに対して、ZnO基板51の温度を750℃以下に保持することによって、ZnO基板51を構成するZnOの昇華を抑制しながらZnO基板51の表面原子をインジウム原子によって置換できる。その結果、ZnO基板51上に形成される III−V族窒化物半導体層の表面を滑らかにすることができる。また、原子置換工程を500℃以上の温度で実施するため、ZnO基板51の表面の原子振動が大きくなるので、ZnO基板51の表面原子のインジウム原子による置換を、より短時間で行なうことができる。
また、第2の実施形態において、原子置換工程よりも前に、ZnO基板51の温度を720℃に保持しながらZnO基板51を超高真空中に30分間放置することにより、基板表面の熱クリーニングを行なったが、該熱クリーニング工程におけるZnO基板51の温度は700℃以上で且つ750℃以下であることが好ましく、また、ZnO基板51の超高真空中での放置時間は10分間以上であることが好ましい。このようにすると、原子置換工程よりも前に、ZnO基板51を構成するZnOの昇華を抑制しながら該基板表面の不純物(又は不必要な膜)を十分に除去すること(つまりZnO基板51の表面クリーニングを十分に行なうこと)ができるので、引き続いて行なわれる原子置換工程においてZnO基板51の表面原子のインジウム原子による置換をより均一に行なうことができる。また、この場合、本実施形態のように、熱クリーニング工程に引き続いて超高真空中において原子置換工程及び図6(c)に示す III−V族窒化物半導体層(InN層52)の結晶成長工程を実施することが好ましい。このようにすると、ZnO基板51の熱クリーニング工程及び原子置換工程に引き続いて超高真空中で III−V族窒化物半導体の結晶成長を行なうことができるので、より信頼性の高い半導体装置を実現できる。
また、第2の実施形態において、InN層を用いたMESFETを対象としたが、これに限られず、ZnO基板とその上に形成された III−V族窒化物半導体層とを備えた電界効果型トランジスタ又はバイポーラトランジスタ等の半導体デバイスを対象とした場合にも、同様の効果、例えば高周波特性が優れた半導体デバイスを実現できるという効果が得られる。或いは、ZnO基板とその上に形成された III−V族窒化物半導体層とを備えた発光ダイオード、半導体レーザ又は太陽電池等の半導体デバイスを対象とした場合にも、同様の効果、例えば信頼性が高い半導体デバイスを実現できるという効果が得られる。
(第1及び第2の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の第1変形例について図面を参照しながら具体的に説明する。
図8は、本変形例に係る半導体装置、具体的には、バイポーラトランジスタの断面構成の一例を示す図である。すなわち、本変形例が第1又は第2の実施形態と異なっている点は、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換によるZnO基板表面の改質処理の適用対象となるデバイスの種類である。
具体的には、図8に示すように、ZnO基板101の上にn型InNコレクタ層102が形成されている。また、n型InNコレクタ層102の所定の領域の上にp型InNベース層103が形成されていると共にp型InNベース層103の所定の領域の上にn型InNエミッタ層104が形成されている。さらに、n型InNコレクタ層102におけるp型InNベース層103が形成されていない部分の上にはコレクタ電極105が形成されており、p型InNベース層103におけるn型InNエミッタ層104が形成されていない部分の上にはベース電極106が形成されており、n型InNエミッタ層104の上にはエミッタ電極107が形成されている。
本変形例に係るバイポーラトランジスタの各構成要素の特徴を下記の表2に示す。
Figure 2005303250
尚、表2において、Au/Ge/NiはAu層とGe層とNi層との積層構造を意味し、Pd/NiはPd層とNi層との積層構造を意味する。
また、本変形例において、n型InNコレクタ層102、p型InNベース層103及びn型InNエミッタ層104はそれぞれ例えばMBE装置により形成されている。
本変形例の特徴は、ZnO基板101の表面に対して、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換処理が行なわれていることである。これにより、ZnO基板101の表面が改質面108となる結果、第1又は第2の実施形態と同様の効果、具体的には、ZnO基板101上に形成されるInN層の結晶性が向上してデバイス特性が向上するという効果が得られる。
(第1及び第2の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の第2変形例について図面を参照しながら具体的に説明する。
図9は、本変形例に係る半導体装置、具体的には、赤色から赤外域までの光を発する半導体レーザの断面構成の一例を示す図である。すなわち、本変形例が第1又は第2の実施形態と異なっている点は、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換によるZnO基板表面の改質処理の適用対象となるデバイスの種類である。
具体的には、図9に示すように、n型ZnO基板201の第1主面上に、n型InN層202、n型AlGaInNクラッド層203、InN活性層204、p型AlGaInNクラッド層205及びp型InNコンタクト層206が順次形成されている。また、p型InNコンタクト層206の上には、p型電極形成領域に開口部が設けられた絶縁層207が形成されていると共に、該開口部内を含む絶縁層207の上にp型電極208が形成されている。さらに、ZnO基板201の第2主面上にはn型電極209が形成されている。
本変形例に係る半導体レーザの各構成要素の特徴を下記の表3に示す。
Figure 2005303250
尚、表3において、Pd/NiはPd層とNi層との積層構造を意味し、Au/Ge/NiはAu層とGe層とNi層との積層構造を意味する。
また、本変形例において、n型InN層202、n型AlGaInNクラッド層203、InN活性層204、p型AlGaInNクラッド層205、p型InNコンタクト層206はそれぞれ例えばMBE装置により形成されている。
本変形例の特徴は、ZnO基板201の表面に対して、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換処理が行なわれていることである。これにより、ZnO基板201の表面が改質面210となる結果、第1又は第2の実施形態と同様の効果、具体的には、ZnO基板201上に形成される III−V族窒化物半導体層の結晶性が向上してデバイスの発光効率が向上するという効果が得られる。
(第1及び第2の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の第3変形例について図面を参照しながら具体的に説明する。
図10は、本変形例に係る半導体装置、具体的には、太陽電池の断面構成の一例を示す図である。すなわち、本変形例が第1又は第2の実施形態と異なっている点は、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換によるZnO基板表面の改質処理の適用対象となるデバイスの種類である。
具体的には、図10に示すように、ZnO基板301の上にp型InN層302が形成されていると共にp型InN層302の所定の領域の上にn型InN層303が形成されている。また、n型InN層303の上にはn型電極304が形成されていると共に、p型InN層302におけるn型InN層303が形成されていない部分の上にはp型電極305が形成されている。
本変形例に係る太陽電池の各構成要素の特徴を下記の表4に示す。
Figure 2005303250
尚、表4において、Au/Ge/NiはAu層とGe層とNi層との積層構造を意味し、Pd/NiはPd層とNi層との積層構造を意味する。
また、本変形例において、p型InN層302及びn型InN層303はそれぞれ例えばMBE装置により形成されている。
本変形例の特徴は、ZnO基板301の表面に対して、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換処理が行なわれていることである。これにより、ZnO基板301の表面が改質面306となる結果、第1又は第2の実施形態と同様の効果、具体的には、ZnO基板301上に形成されるInN層の結晶性が向上してデバイスの発電効率が向上するという効果が得られる。
(第1及び第2の実施形態の第4変形例)
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の第4変形例について図面を参照しながら具体的に説明する。
図11は、本変形例に係る半導体装置、具体的には、赤色から赤外域までの光を発する発光ダイオードの断面構成の一例を示す図である。すなわち、本変形例が第1又は第2の実施形態と異なっている点は、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換によるZnO基板表面の改質処理の適用対象となるデバイスの種類である。
具体的には、図11に示すように、n型ZnO基板401の第1主面上に、n型InN層402、InN/InGaN多重量子井戸403及びp型GaN層404が順次形成されている。また、p型GaN層404の上にはp型電極405が形成されていると共にZnO基板401の第2主面上にn型電極406が形成されている。
本変形例に係る発光ダイオードの各構成要素の特徴を下記の表5に示す。
Figure 2005303250
尚、表5において、Pd/NiはPd層とNi層との積層構造を意味し、Au/Ge/NiはAu層とGe層とNi層との積層構造を意味する。
また、本変形例において、n型InN層402、InN/InGaN多重量子井戸403及びp型GaN層404はそれぞれ例えばMBE装置により形成されている。
本変形例の特徴は、ZnO基板401の表面に対して、第1の実施形態の窒化処理又は第2の実施形態のインジウム置換処理が行なわれていることである。これにより、ZnO基板401の表面が改質面407となる結果、第1又は第2の実施形態と同様の効果、具体的には、ZnO基板401上に形成される III−V族窒化物半導体層の結晶性が向上してデバイスの発光効率が向上するという効果が得られる。
本発明は、 III−V族窒化物半導体層が形成される酸化亜鉛基板の表面改質に関し、超高速半導体デバイスや発光素子等に適用した場合にデバイスの信頼性及び性能を向上させることができるという効果が得られ有用である。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。 (a)〜(g)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部分のフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるInN層とZnO基板との間の界面を原子レベルで模式的に示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。 (a)〜(f)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体装置におけるInN層とZnO基板との間の界面を原子レベルで模式的に示した図である。 本発明の第1及び第2の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の断面図である。 本発明の第1及び第2の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の断面図である。 本発明の第1及び第2の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の断面図である。 本発明の第1及び第2の実施形態の第4変形例に係る半導体装置の断面図である。 従来の半導体装置におけるInN層とZnO基板との間の界面を原子レベルで模式的に示した図である。
符号の説明
1 ZnO基板
2 InN層
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 ゲート電極
8 窒化面
21 ZnO基板表面の酸素原子と置換された窒素原子
22 ZnO基板の亜鉛原子
23 ZnO基板表面の酸素原子
24 InN層表面の窒素原子
25 InN層のインジウム原子
31 窒素ラジカル
32 SiN膜
33 Siイオン
41 ZnO基板表面の亜鉛原子と置換されたインジウム原子
42 ZnO基板の酸素原子
43 ZnO基板表面の亜鉛原子
44 InN層表面のインジウム原子
45 InN層の窒素原子
51 ZnO基板
52 InN層
54 ソース電極
55 ドレイン電極
56 ゲート電極
58 改質面
81 インジウム線
83 Siイオン
101 ZnO基板
102 n型InNコレクタ層
103 p型InNベース層
104 n型InNエミッタ層
105 コレクタ電極
106 ベース電極
107 エミッタ電極
201 n型ZnO基板
202 n型InN層
203 n型AlGaInNクラッド層
204 InN活性層
205 p型AlGaInNクラッド層
206 p型InNコンタクト層
207 絶縁層
208 p型電極
209 n型電極
301 ZnO基板
302 p型InN層
303 n型InN層
304 n型電極
305 p型電極
401 n型ZnO基板
402 n型InN層
403 InN/InGaN多重量子井戸
404 p型GaN層
405 p型電極
406 n型電極

Claims (16)

  1. 酸化亜鉛基板上に III−V族窒化物半導体層が形成された半導体装置であって、
    前記酸化亜鉛基板における前記 III−V族窒化物半導体層が形成されている表面を構成する複数の原子は、 III族原子及びV族原子のうちの少なくとも一方の原子によって置換されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記酸化亜鉛基板の表面原子の少なくとも一部分は、前記 III−V族窒化物半導体層における前記酸化亜鉛基板と接する部分に含まれる III族原子と同じ種類の III族原子によって置換されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記酸化亜鉛基板の表面原子の少なくとも一部分は、前記 III−V族窒化物半導体層における前記酸化亜鉛基板と接する部分に含まれるV族原子と同じ種類のV族原子によって置換されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記 III−V族窒化物半導体層における前記酸化亜鉛基板と接する部分は、インジウム組成が22%の窒化インジウムガリウム層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記 III−V族窒化物半導体層は窒化インジウム層を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記酸化亜鉛基板は(0001)面である亜鉛面を有し、
    前記亜鉛面上に前記 III−V族窒化物半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記酸化亜鉛基板は(000−1)面である酸素面を有し、
    前記酸素面上に前記 III−V族窒化物半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記酸化亜鉛基板は(10−10)面を有し、
    前記(10−10)面上に前記 III−V族窒化物半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  9. 前記酸化亜鉛基板は(11−20)面を有し、
    前記(11−20)面上に前記 III−V族窒化物半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  10. 前記酸化亜鉛基板及び前記 III−V族窒化物半導体層は電界効果型トランジスタ又はバイポーラトランジスタを構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  11. 前記酸化亜鉛基板及び前記 III−V族窒化物半導体層は発光ダイオード、半導体レーザ又は太陽電池を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  12. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    ラジカル化した III族原子、イオン化した III族原子若しくは熱分解により生成された III族原子、又はこれらの III族原子を含む気体若しくは分子線に前記酸化亜鉛基板を曝すことによって、前記酸化亜鉛基板における前記表面を構成する複数の原子を III族原子によって置換する原子置換工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    ラジカル化したV族原子、イオン化したV族原子若しくは熱分解により生成されたV族原子、又はこれらのV族原子を含む気体若しくは分子線に前記酸化亜鉛基板を曝すことによって、前記酸化亜鉛基板における前記表面を構成する複数の原子をV族原子によって置換する原子置換工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 前記原子置換工程において前記酸化亜鉛基板の温度を500℃以上で且つ750℃以下に保持することを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記原子置換工程よりも前に、前記酸化亜鉛基板の温度を700℃以上で且つ750℃以下に保持しながら前記酸化亜鉛基板を超高真空中に10分間以上放置する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記原子置換工程よりも後に、超高真空中において前記酸化亜鉛基板の上に前記 III−V族窒化物半導体層を結晶成長させる工程をさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
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