以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る半導体素子10を、図1に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体素子10の概略構成を示す断面図である。
この半導体素子10は、半導体発光素子の一例として、III-V族窒化物化合物半導体からなるエピタキシャル層(窒化物半導体層)を有する半導体レーザとして構成されたものである。
図1に示す第1実施形態に係る半導体素子10の特徴は、以下の構成にある。
・ZnO(酸化亜鉛)単結晶基板12を用いている。
・ZnO単結晶基板12上に成長させて形成される窒化物半導体層を含む素子30を備えている。
・ZnO単結晶基板12の外面のうち、素子30を形成する表面12aとは反対側の裏面12bおよび両側面12c、12cを覆う窒化物半導体からなる保護膜40を備えている。
この保護膜40は、低温で成長する窒化物半導体で構成するのが好ましい。例えば、保護膜40は、InGaN,AlInN,AlGaInNなどのIII-V族窒化物系化合物半導体(窒化物半導体)で構成される。また、保護膜40には、ドーピングすることにより導電性を持たせてある。本実施形態では、ZnO単結晶基板12の導電型はn型であるため、保護膜40にSiをドーピングすることにより、保護膜40にn型導電性を持たせてある。
ZnO単結晶基板1の基板面は、ピエゾ電界の影響を受けにくい面方位の結晶面である。本実施形態では、ピエゾ電界の影響を受けにくい面方位の結晶面を、a面である(11_20)面としている。
半導体素子10は、図1に示すように、下部電極層11と、ZnO単結晶基板12と、バッファ層13と、格子整合系下部クラッド層14と、InGaN系活性層15と、格子整合系上部クラッド層16と、コンタクト層17と、パッシベーション膜18と、上部電極層19とを備えている。
半導体素子10の素子30は、ZnO単結晶基板12の基板面上に形成され、ZnO単結晶基板12に格子整合されたバッファ層13と、バッファ層13上に形成された下部クラッド層14と、下部クラッド層14上に形成され、In x Ga 1-x N (0<x<1)からなるInGaN系活性層15と、活性層15上に形成された上部クラッド層16と、上部クラッド層16上に形成されたコンタクト層17と、パッシベーション膜18とを備える。下部クラッド層14及び上部クラッド層16はZnO単結晶基板12および活性層15の少なくとも一方に格子整合されている。
下部電極層11は、ZnO単結晶基板12の裏面12bに形成された窒化物半導体からなる保護膜40の表面に形成されている。これは、ZnO単結晶基板12が導電性であるためである。このため、半導体素子10は、縦型デバイスを構成することが可能となっている。
ZnO単結晶基板12の導電型はn型である。そのため、バッファ層13と下部クラッド層14はn型であり、上部クラッド層16、コンタクト層17およびパッシベーション膜18はp型である。なお、バッファ層13は必ずしも無くても良い。
また、上記表1で表されているように、ZnO単結晶基板12の単位格子cに対応する格子定数(=5.1955Å)は、窒化ガリウムGaNの単位格子cに対応する格子定数(=5.186Å)と窒化インジウムInNの単位格子cに対応する格子定数(=5.76Å)との間の値を有しており、In組成20%程度の窒化ガリウムインジウムInGaNの単位格子cに対応する格子定数と非常に近い値を有している。
バッファ層13は、Zn,Mg,Be,Cdの少なくとも一つを含む酸化物系化合物半導体層(酸化物)で構成されている。バッファ層13は、ZnO単結晶基板12と格子整合を行うために設けられた層であり、InGaN系活性層15の格子定数に等しい格子定数或いはそれより小さい格子定数を有するように設定されている。
また、下部クラッド層14と、上部クラッド層16と、コンタクト層17と、パッシベーション膜18とは、Al,Ga,Inの少なくとも一つを含む窒化物系化合物半導体層(窒化物半導体)、或いは酸化物系化合物半導体層(酸化物半導体)で構成されている。
格子整合系下部クラッド層14は、InGaN系活性層15の格子定数に等しい格子定数或いはそれよりも小さい格子定数を有するように格子整合されるので、コアとして機能するnGaN系活性層15よりも屈折率が小さく、活性層15内に光を安定に閉じ込めておく役割を果たしている。
InGaN系活性層15は、格子整合系下部クラッド層14および格子整合系上部クラッド層16に挟まれたダブルヘテロ接合構造をとっており、外部電極により順方向に電圧がかけられると、下部クラッド層14から電子が注入され、上部クラッド層16から正孔が注入される。この結果、InGaN系活性層15は、反転分布の状態となり、誘導放射が起こることになる。さらにInGaN系活性層15の両端面は、図2に示すように、光出射側端面21と光反射側端面22とを有する共振器構造となっており、誘導放射を繰り返すうちに光が増幅され、レーザ光として外部に放射される。そして、反射ループが平衡状態に至り、レーザ光が連続発振状態に至ることとなる。
格子整合系上部クラッド層16は、活性層15の格子定数に等しい格子定数或いはそれよりも小さい格子定数を有するように格子制御されるので、下部クラッド層14と同様に、コアとして機能する活性層15よりも屈折率が小さく、活性層15内に光を安定に閉じ込めておく役割を果たしている。
コンタクト層17は、上部電極層19とオーム性接触を実現するための層である。パッシベーション膜18は、保護膜として機能している。上部電極層19は、外部からの電源が供給される端子として機能している。
そして、半導体素子10を半導体レーザとして構成する場合には、共振器端面となる光出射側端面と光反射側端面を形成し、光出射側端面には低反射膜を形成し、光反射側端面には高反射膜を形成する。
上記構成を有する半導体素子10を製造する方法(第1の製造方法)について説明する。
この第1の製造方法の特徴は、以下の構成にある。
・ZnO単結晶基板12の外面のうち、裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に窒化物半導体からなる保護膜40を、MBE(molecular beam epitaxy)法例えばRFMBE(radio-frequency molecular beam epitaxy)法、或いはPLD(Pulsed Laser Deposition)法により成長(エピタキシャル成長)させる。
・その後、ZnO単結晶基板12の表面12a上に、素子30を構成する各窒化物半導体層(窒化物半導体層或いは酸化物半導体層)をMOCVD (Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により成長させる。バッファ層13の基板に接する一部は、MBE法、例えばRFMBE法、或いはPLD法により成長(エピタキシャル成長)させてもよい。
具体的には、第1の製造方法は以下の工程を含む。
(工程1)まず、(11_20)面(a面)が基板面(表面)となっているZnO単結晶基板12を用意する。
(工程2)次に、ZnO単結晶基板12の表面平坦化処理を行う。
つまり、ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に低温で成長する窒化物半導体からなる保護膜40を成長させる前に、ZnO単結晶基板12に表面平坦化のための熱処理(例えば、1100℃で2時間程度)を施す。具体的には、大気中で熱処理を行い、原子状のステップ・テラス構造を形成する。酸化ジルコニアや酸化亜鉛などの無機材質平板で挟んだ状態で行うのが好ましい。
(工程3)次に、成長チャンバー内で大気圧下または減圧下でサーマルクリーニング処理を行う。
具体的には、真空中、700〜750℃の温度で30〜60分加熱し、有機物などを除去する。
(工程4)次に、ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に、窒化物半導体(InGaN,AlInN,AlGaInN等)からなる保護膜40を、V族原料を窒素ラジカルとして供給できるRFラジカルセルを有するRFMBE法により堆積させる。この工程4で、窒化物半導体からなる保護膜40をRFMBE法で堆積させる際に、III族の原料とV族の原料である窒素のラジカルを同時に照射するのが好ましい。
この工程4において、保護膜40としてAlInNをRFMBE法により裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に堆積させる場合の条件としては、例えば、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccm(standard cc/mIn)とする。III族原料としては、高純度のAlおよびIn金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、この工程4において、保護膜40としてInGaN をRFMBE法により裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に堆積させる場合の条件としては、例えば、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。III族原料としては、高純度のInおよびGa金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、この工程4において、保護膜40としてAlGaInNをRFMBE法により裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に堆積させる場合の条件としては、例えば、成長温度Tg =400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。III族原料としては、高純度のAl、GaおよびIn金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
(工程5)この後、ZnO単結晶基板12の表面12a上に素子30を構成する各半導体層、すなわち、バッファ層13、下部クラッド層14、活性層15、上部クラッド層16、およびコンタクト層17を、MOCVD (Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により順に成長させて形成する。バッファ層13の基板に接する一部は、MBE法、例えばRFMBE法、或いはPLD法により成長(エピタキシャル成長)させてもよい。
以上の(工程1)〜(工程5)により半導体素子10用のエピタキシャルウェハが製造される。
(工程6)次に、半導体素子10用のエピタキシャルウェハの裏面側にn型の下部電極層11を形成する。
具体的には、フォトリソグラフィーにより電極パターンを形成し、抵抗加熱、EB(電子ビーム)或いはスパッタ法により電極金属を蒸着させた後、シンタリング(焼結)処理により、例えば、Ti/Al或いはTi/Pt/Au電極をn型下部電極層11として形成する。この場合、形成されたn型の下部電極層11は、ZnO単結晶基板12に対してオーム性接触することとなる。
(工程7)次に、リッジ構造を形成する。
リッジ構造は、半導体レーザの構造の一種で、光導波路での光の損失を小さくできる実屈折率導波路構造を実現できる。比較的単純な構造ではあるが、レーザ光の発振状態を安定に保つためには加工技術の精密制御が必要となる。具体的には、フォトリソグラフィーおよびドライエッチング技術によりリッジ構造を形成する。
(工程8)次に、パッシベーション膜18を形成する。
パッシベーション膜18は、保護層として機能しており、SiO2,ZrO2をPCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition )法により堆積させて形成する。
(工程9)次に、p型の上部電極19を形成する。
具体的には、フォトリソグラフィーにより電極パターンを形成し、パッシベーション膜18を除去した後、抵抗加熱、EB(電子ビーム)或いはスパッタ法により電極金属を蒸着させた後、シンタリング(焼結)処理により、例えば、Ni/Au或いはPd/Pt/Au電極をp型の上部電極層19として形成する。この場合に、形成されたp型の上部電極層19は、p型のコンタクト層17に対してオーム性接触することとなる。
(工程10)次に、半導体素子10の共振器端面を形成する。
(工程11)次に、形成された共振器端面の光出射側端面および光反射側端面に低反射膜および高反射膜をそれぞれ形成する。
これにより、半導体レーザとして構成された半導体素子10の製造が完了する。
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○ZnO単結晶基板12の外面のうち、素子30を形成する表面12aとは反対側の裏面12bおよび両側面12c、12cが窒化物半導体からなる保護膜40で覆われているので、ZnO単結晶基板12の表面12a上に窒化物半導体層を成長させる際にZnOの昇華を抑制できる。このため、V族原料としてアンモニアNH3を用いて窒化物半導体層を成長させるMOCVD法などの気相成長法を利用できる。これにより、ZnO単結晶基板の表面上に結晶性の良好な窒化物半導体層を形成することができると共に、量産性に優れた半導体レーザとしての半導体素子10が得られる。
○保護膜40の窒化物半導体はZnO単結晶基板12と格子定数及び熱膨張係数が近いので(表1参照)、ZnO単結晶基板12の表面12a上に窒化物半導体層を成長させる際に、熱歪を抑制でき、ZnO単結晶基板12が反るのを抑制できる。このため、ZnO単結晶基板12の表面内に均一に窒化物半導体層を成長させることができる。これにより、歩留まりが向上すると共に高性能な半導体素子10を作製できる。
○ZnO単結晶基板12には導電性があるので、その裏面12bにも窒化物半導体層を含む素子30、例えば、pn接合部を有する発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどの半導体発光素子、或いはFETやHBTなどの電子デバイスを形成できる。つまり、ZnO単結晶基板12の表面12aと裏面12bの両側に発光素子と電子デバイスを形成できる。
○ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12cが保護膜40で覆われているので、ZnOの昇華をさらに抑制できると共に、ZnO単結晶基板12が反るのをさらに抑制できる。
○保護膜40は、ZnO単結晶基板12と格子整合したInGaN,AlInN,AlGaInNなどのIII-V 族窒化物系化合物半導体で構成されているので、ZnOの昇華をさらに抑制できると共に、基板が反るのをさらに抑制できる。
○ZnO単結晶基板12には導電性(本例ではn型導電性)があるので、その基板の裏面12bおよび両側面12c、12cを覆う保護膜40にn型導電性を持たせることにより、ZnO単結晶基板12の表面12a側から裏面12b側へ電流が流せるようになり、縦型デバイス(縦方向注入型デバイス)の半導体素子を実現できる。
○ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12cを覆う保護膜40に導電性を持たせてあるので、その保護膜40を除去せずに、保護膜40上に下部電極11などを形成できる。
○ZnO単結晶基板12の表面12a上に素子30は、In を含む窒化物半導体、例えば層活性層In x Ga 1-xN (0<x<1)からなるInGaN系活性層15を備えているので、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体発光素子で、歩留まりの向上を図ることができ、量産性に優れ、高性能な半導体素子10を実現できる。
○素子30は、ZnO単結晶基板12に格子整合されたバッファ層13を備え、下部クラッド層14及び上部クラッド層16はバッファ層13および活性層15の少なくとも一方に格子整合されているので、活性層15のミスフィット転位を抑制でき、信頼性の高い半導体発光素子を実現できる。
○In を含む窒化物半導体からなる活性層15は低温で成長できるので、ZnOの昇華をさらに抑制できると共に、ZnO単結晶基板12が反るのをさらに抑制できる。
○InGaNの活性層15と格子定数の近い(格子整合する)ZnO単結晶基板12を用いているので、Inの組成を高くしても、相分離が抑制される。これにより、Inの組成を高くしても均一なIn組成を有するInGaN活性層15が得られるので、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体発光素子を実現できる。
○上記第1の製造方法によれば、ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12c上に窒化物半導体からなる保護膜40を成長させた後、ZnO単結晶基板12の表面12a上に窒化物半導体層を成長させるので、その成長の際にZnOの昇華を抑制できる。このため、V族原料としてアンモニアNH3を用いて窒化物半導体層を成長させるMOCVD法などの気相成長法を利用できる。これにより、ZnO単結晶基板の表面上に良好な結晶性の窒化物半導体層を形成することができると共に、量産性に優れた半導体発光素子が得られる。
○上記第1の製造方法によれば、ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12c上に窒化物半導体からなる保護膜40を低温で成長させると、ZnO単結晶基板12の表面12aに窒化物半導体層を高温で成長させる際にその基板に与えるダメージを抑制できる。
○上記第1の製造方法によれば、保護膜40を低温で成長させると、酸化物であるZnO単結晶基板と窒化物である保護膜40の界面を急峻にすることができ、その界面の反応を抑制できる。
○上記第1の製造方法によれば、保護膜40の低温で成長する窒化物半導体にInが含まれていると、その窒化物半導体を低温で成長できるので、界面が急峻になり、界面の反応を抑制できる。
○上記第1の製造方法によれば、ZnO単結晶基板の裏面12bおよび両側面12c、12cに保護膜40を成長させる前に、研磨されたZnO単結晶基板に熱処理(1100℃で2時間程度)を施すことにより、基板の表面が綺麗になり、原子状のステップ・テラスができ、そこにエピタキシャル成長ができる。
○ZnO単結晶基板の裏面12bおよび両側面12c、12cに保護膜40をMBEで堆積させるので、ZnO単結晶基板12と保護膜40の界面の反応を抑制できる。
○ZnO単結晶基板の裏面12bおよび両側面12c、12cに窒化物半導体からなる保護膜をMBE法或いはPLD法で堆積させる際に、窒素ラジカルを照射することにより表面を窒化させることにより、ZnO単結晶基板12と保護膜40の界面の反応を抑制できる。
○ZnO単結晶基板の裏面12bおよび両側面12c、12cに窒化物半導体からなる保護膜40をMBE法で堆積させる際に、III族の原料とV族の原料である窒素のラジカルを同時に照射することにより、ZnO単結晶基板12と保護膜40の界面の反応を抑制できる。
次に、図1に示す上記第1実施形態に係る半導体素子10の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14に酸化物半導体或いは窒化物半導体を用いる。活性層15にAl1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、窒化物半導体或いは酸化物半導体を用いる。この実施例1により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例2)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14に酸化物半導体或いは窒化物半導体を用いる。活性層15にZn1-a-b-cBeaMgbCdcO(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、窒化物半導体或いは酸化物半導体を用いる。この実施例2により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例3)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14にAl1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。活性層15にAl1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、窒化物半導体或いは酸化物半導体を用いる。この実施例3により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例4)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14にZnBeMgCdO(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c≦1)を用いる。活性層15にZnBeMgCdO(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、窒化物半導体或いは酸化物半導体を用いる。この実施例4により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例5)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14にAl1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。活性層15にAl1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。この実施例6により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例6)
n型のZnO単結晶基板12を用いる。その裏面12bおよび両側面12c、12c上に形成される保護膜40に、ZnO単結晶基板12に格子整合したn型Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。n型の下部クラッド層14にZnBeMgCdO(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c≦1)を用いる。活性層15にZnBeMgCdO(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c≦1)を用いる。p型の上部クラッド層及びp型のコンタクト層17にそれぞれ、Al1-y-zGayInzN(0≦y<1、0≦z<1、y+z≦1)を用いる。この実施例7により、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体素子10を実現できる。
(実施例7)
上記実施例1乃至6のいずれか一つにおいて、活性層15は量子井戸構造を有する。
(実施例8)
上記実施例1乃至7のいずれか一つにおいて、活性層15と下部クラッド層14の間及び活性層15と上部クラッド層16の間に、光閉じ込め(光ガイド)層がそれぞれ形成されている。
(実施例9)
上記実施例1乃至8のいずれか一つにおいて、保護膜40に、n型AlGaInNに代えて、ZnO単結晶基板12に格子整合したInGaNを用いる。
(実施例10)
上記実施例1乃至8のいずれか一つにおいて、保護膜40に、n型AlGaInNに代えて、ZnO単結晶基板12に格子整合したAlInNを用いる。
(実施例11)
上記実施例1乃至10のいずれか一つにおいて、ZnO単結晶基板12の表面12aの結晶方位は、c面或いはその微傾斜面を用いる。
(実施例12)
上記実施例1乃至10のいずれか一つにおいて、ZnO単結晶基板12の表面12aの結晶方位は、m面或いはその微傾斜面を用いる。
(実施例13)
上記実施例1乃至10のいずれか一つにおいて、ZnO単結晶基板12の表面12aの結晶方位は、a面或いはその微傾斜面を用いる。
(実施例14)
上記実施例1乃至10のいずれか一つにおいて、ZnO単結晶基板12の表面12aの結晶方位は、(11_22)或いはその微傾斜面を用いる。
(実施例15)
上記実施例1乃至10のいずれか一つにおいて、ZnO単結晶基板12の表面12aの結晶方位は、(10_11)或いはその微傾斜面を用いる。
(実施例16)
上記実施例1乃至16のいずれか一つにおいて、n型のZnO単結晶基板12に代えて、p型のZnO単結晶基板12を用いる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る半導体素子10Aを、図2に基づいて説明する。図2は、第2実施形態に係る半導体素子10Aの概略構成を示している。
この半導体素子10Aは、電子デバイスの一例として、III-V族窒化物化合物半導体からなるエピタキシャル層を有するMOS(Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor: FET)(MOSFET)として構成されたものである。
図2に示す半導体素子10Aの特徴は、以下の構成にある。
・ZnO単結晶基板120を用いている。
・ZnO単結晶基板120上に成長させて形成されるエピタキシャル層(窒化物半導体層)103を含む素子30Aを備えている。
・ZnO単結晶基板120の外面のうち、素子30Aを形成する表面120aとは反対側の裏面120bおよび両側面120c、120cを覆う窒化物半導体からなる保護膜140を備えている。
この半導体素子10Aは、III-V族窒化物化合物半導体からなるエピタキシャル層103と、再成長技術又はイオン注入技術などを用いて形成されたオーミック電極化下の不純物層とを備える。半導体素子10Aは、不純物層として、エピタキシャル層103表面におけるソース電極104下およびドレイン電極105下の領域にそれぞれ形成されたオーミックコンタクト層108,109と、電界集中の緩和を目的としたリサーフ層110とを備える。図2において、符号106はゲート酸化膜であり、符号107はゲート電極である。
エピタキシャル層103は、ZnO単結晶基板120の表面120上に、例えば所定量のMgを添加(ドープ)したGaNをMOCVD法によってエピタキシャル成長させたp-GaN層である。
2つのオーミックコンタクト層(n+層)108,109はそれぞれ、GaNなどのIII-V族窒化物化合物半導体にSiなどを所望の濃度になるように添加したものをMOCVD法又はイオン注入技術で成長させて形成されている。
また、リサーフ層110は、GaNなどのIII-V族窒化物化合物半導体にSiなどをオーミックコンタクト層108,109の濃度より低い所望の濃度になるように添加したものをMOCVD法で成長させて形成されている。
次に、上記構成を有する半導体素子10Aを製造する方法(第2の製造方法)について説明する。ここでは、ZnO単結晶基板120上に素子30Aのエピタキシャル層103を形成するまでの工程を説明し、それ以降の工程の説明は省略する。
この第2の製造方法の特徴は、以下の構成にある。
・ZnO単結晶基板120の外面のうち、裏面120bおよび両側面120c、120cの各面上に窒化物半導体からなる保護膜40を、MBE法、例えばRFMBE法或いはPLD法により成長(エピタキシャル成長)させる。
・その後、ZnO単結晶基板120の表面120a上に、素子30Aのエピタキシャル層103をMOCVD法により成長させる。
具体的には、この製造方法は以下の工程を含む。
(工程1)まず、例えば(11_20)面(a面)が基板面(表面)となっているZnO単結晶基板120を用意する。
(工程2)次に、ZnO単結晶基板120の上述した表面平坦化処理を行う。
(工程3)次に、成長チャンバー内で大気圧下または減圧下で上述したサーマルクリーニング処理を行う。
(工程4)次に、ZnO単結晶基板120の裏面120bおよび両側面120c、120cの各面上に、窒化物半導体(InGaN,AlInN,AlGaInN等)からなる保護膜140を、上述したようにRFMBE法により堆積させる。
(工程5)この後、ZnO単結晶基板120の表面120a上に素子30Aのエピタキシャル層103をMOCVD法により成長させて形成する。エピタキシャル層103の基板に接する一部は、MBE法、例えばRFMBE法、或いはPLD法により成長(エピタキシャル成長)させるのが好ましい。
以上の(工程1)〜(工程5)により半導体素子10A用のエピタキシャル層(エピタキシャルウェハ)103が製造される。
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○ZnO単結晶基板120の裏面120bおよび両側面120c、120cが窒化物半導体からなる保護膜140で覆われているので、ZnO単結晶基板120の表面120a上に素子30Aのエピタキシャル層103を成長させる際にZnOの昇華を抑制できる。このため、V族原料としてアンモニアNH3を用いて窒化物半導体層を成長させるMOCVD法などの気相成長法を利用できる。これにより、ZnO単結晶基板120の表面上に結晶性の良好なエピタキシャル層103を形成することができると共に、量産性に優れたMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)としての半導体素子10Aが得られる。
○特に、自動車などの車両に電源用高耐圧・大電流電子デバイスとして用いるのに好適なIII-V族窒化物化合物半導体を用いた電界効果トランジスタとしての半導体素子10Aを実現できる。
○保護膜140の窒化物半導体はZnO単結晶基板120と格子定数及び熱膨張係数が近いので、ZnO単結晶基板120の表面120a上にエピタキシャル層103を成長させる際に、熱歪を抑制でき、ZnO単結晶基板1が反るのを抑制できる。このため、ZnO単結晶基板120の表面内に均一にエピタキシャル層103を成長させることができる。これにより、歩留まりが向上すると共に高性能でかつ高信頼性なMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)としての半導体素子10Aを作製できる。
○上記第2の製造方法によれば、ZnO単結晶基板120の裏面120bおよび両側面120c、120c上に窒化物半導体からなる保護膜140を成長させた後、その表面120a上にエピタキシャル層103を成長させるので、その成長の際にZnOの昇華を抑制できる。このため、V族原料としてアンモニアNH3を用いてエピタキシャル層103を成長させるMOCVD法などの気相成長法を利用できる。これにより、ZnO単結晶基板の表面上に良好な結晶性のエピタキシャル層103を形成することができると共に、量産性に優れたMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)としての半導体素子10Aが得られる。
○上記第2の製造方法によれば、ZnO単結晶基板120の裏面120bおよび両側面120c、120c上に窒化物半導体からなる保護膜140を低温で成長させると、その表面120aにエピタキシャル層103を高温で成長させる際にZnO単結晶基板120に与えるダメージを抑制できる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、ZnO単結晶基板の外面のうち、素子を形成する表面とは反対側の裏面および両側面を窒化物半導体からなる保護膜40,140で覆うように構成しているが、その保護膜でZnO単結晶基板の裏面のみを覆うようにした構成の半導体素子にも本発明は適用可能である。つまり、ZnO単結晶基板の外面のうち、少なくとも素子を形成する表面とは反対側の裏面を覆う窒化物半導体からなる保護膜を備えた半導体素子に、本発明は適用可能である。
・上記第1実施形態では、半導体レーザとして構成した半導体素子10について説明したが、pn接合部を有する発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子として構成した半導体素子にも本発明は適用可能である。
・上記第2実施形態では、III-V族窒化物化合物半導体からなるエピタキシャル層を有するMOS型電界効果トランジスタとして構成した半導体素子10Aについて説明したが、他の窒化物系半導体電子デバイスとして構成した半導体素子にも本発明は適用可能である。例えば、窒化物系半導体ヘテロ接合電界効果トランジスタ(Hetero-junction FET: HFET)、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)などの半導体電子デバイスに本発明は適用可能である。
・このように、本発明は、ZnO単結晶基板と、この基板上に成長させて形成される窒化物半導体層を含む素子とを備えた半導体素子であって、その基板の外面のうち、少なくとも素子を形成する表面とは反対側の裏面を覆う窒化物半導体からなる保護膜を備えた半導体発光素子や電子デバイスに広く適用可能である。
・また、上記第1実施形態では、ZnO単結晶基板12の表面12a上に半導体レーザ構造の素子30を形成してあるが、その表面上に半導体レーザなどの半導体発光素子構造の素子が形成されていると共に、その裏面12b側に形成された保護膜40上に上述したような各種の電子デバイスの素子が形成された半導体素子にも本発明は適用可能である。
・これと同様に、上記第2実施形態では、ZnO単結晶基板1の表面120a上に(MOSFET)の素子30Aを形成してあるが、その表面上に上述したような各種の電子デバイスの素子が形成されていると共に、その裏面120b側に形成された保護膜140上に上述した半導体レーザなどの半導体発光素子構造の素子が形成された半導体素子にも本発明は適用可能である。
・上記第1実施形態では、活性層15はInGaNで構成されているが、活性層15をAlGaInNなどの他のIII-V族窒化物系化合物半導体で構成した半導体発光素子などの半導体素子にも本発明は適用可能である。AlGaInN からなる活性層も低温で成長できるので、ZnOの昇華をさらに抑制できると共に、ZnO単結晶基板12が反るのをさらに抑制できる。
また、InGaNで構成した活性層15をAlGaInNで構成した場合にも、ZnO単結晶基板12の格子定数はInGaN と同様にAlGaInNにも近い(格子整合する)ので、活性層15のInの組成を高くしても、相分離が抑制される。これにより、Inの組成を高くしても均一なIn組成を有するAlGaInN活性層が得られるので、青色から赤色までの可視光領域、特に青色よりも長波長の可視光(例えば緑色)で発光する半導体発光素子を実現できる。
・上記第1実施形態では、ZnO単結晶基板12はn型の基板でn型導電性を有するので、その基板の裏面12bおよび両側面12c、12cを覆う保護膜40にn型導電性を持たせてあるが、n型のZnO単結晶基板12に比べて作製は難しいがp型のZnO単結晶基板12を用いた半導体レーザにも本発明は適用可能である。この場合、ZnO単結晶基板12はp型導電性を有するので、保護膜40にMgをドーピングすることにより、保護膜40にp型導電性を持たせる。これにより、ZnO単結晶基板12の裏面12b側から表面12a側へ電流が流せるようになり、縦型デバイス(縦方向注入型デバイス)の半導体発光素子を実現できる。
・また、本発明は、上記第1の製造方法で説明したように、ZnO単結晶基板12の表面12a上に、素子30を構成する各窒化物半導体層(窒化物半導体層或いは酸化物半導体層)をMOCVD法を使って成長させるのに特に有効である。しかし、その素子をRFMBE法、或いは、GSMBE(gas source molecular beam epitaxy)法により成長させて作製された半導体レーザなどの半導体素子や、その素子をRFMBE法、或いは、GSMBE法により成長させる製造方法にも本発明は適用可能であることは言うまでもない。
ZnO単結晶基板12の表面12a上に、素子30をRFMBE法、或いは、GSMBE法により成長させる製造方法(第3の製造方法)の特徴は、以下の構成にある。
・ZnO単結晶基板12の外面のうち、裏面12bおよび両側面12c、12cの各面上に窒化物半導体からなる保護膜40を、MBE(molecular beam epitaxy)法例えばRFMBE法、或いはPLD法により成長(エピタキシャル成長)させる。
・その後、ZnO単結晶基板12の表面12a上に、素子30を構成する各窒化物半導体層(窒化物半導体層或いは酸化物半導体層)を、RFMBE法、或いは、GSMBE法により成長させる。
具体的には、第3の製造方法は以下の工程を含む。なお、第3の製造方法は、上述した第1の製造方法と上記(工程5)のみが異なるので、ここでは、ZnO単結晶基板12の表面12a上に、素子30を構成する各窒化物半導体層(窒化物半導体層或いは酸化物半導体層)を、RFMBE法、或いは、GSMBE法により成長させる工程(工程5a〜工程5f)のみを説明する。
(工程5a)まず、バッファ層13としてAlGaInN層を用いる場合には窒化処理を行う。具体的には、窒素プラズマガンによって基板温度500℃で30〜60分、窒素ラジカルを供給し、ZnO単結晶基板12の表面の酸素を窒素で置換して上面に堆積させる窒化物の結晶状態を良好とする。
また、バッファ層13として、ZnBeMgCdO層を用いる場合には酸化処理を行う。具体的には、酸素プラズマガンによって基板温度500℃で30〜60分、酸素ラジカルを供給し、ZnO単結晶基板12の表面を酸素にして上面に堆積させる酸化物の結晶状態を良好とする。
(工程5b)次に、格子整合系バッファ層13の形成処理を行う。
ここで、バッファ層13形成の際の成長温度は、750℃未満とする。具体的には、バッファ層13としてAlInNをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccm(standard cc/mIn)とする。III族原料としては、高純度のAlおよびIn金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてInGaNをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。III族原料としては、高純度のInおよびGa金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてAlGaInNをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg =400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。III族原料としては、高純度のAl、GaおよびIn金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてII-VI族酸化物半導体、例えばZnOをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料としては、高純度のZn金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてII-VI族酸化物半導体、例えばZnCdOをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料としては、高純度のZnおよびCd金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてZnMgCdOをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料としては、高純度のZn、MgおよびCd金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてZnMgCdOをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料としては、高純度のZn、MgおよびCd金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、バッファ層13としてZnBeMgCdOをRFMBE法により堆積する場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料としては、高純度のZn、Be、MgおよびCd金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
(工程5c)次に、格子整合系下部クラッド層14を形成する。
ここでは、下部クラッド層14形成の際の成長温度は、750℃未満とする。 具体的には、例えば、RFMBE法、或いは、V族原料としてアンモニア(NH3)を用いるGSMBE法によりAlGaInNまたはInGaNを堆積する。この場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。また、GSMBE法ではTg=400〜750℃、アンモニアガス(NH3)流量を50sccmとする。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
また、例えば、RFMBE法、或いは、GSMBE法によりZnBeMgCdO、ZnMgCdO、ZnCdOを堆積する。この場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、酸素ガス(O2)流量1.0〜5.0sccmとする。II族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
(工程5d)次に、InGaN系活性層15を形成する。
この場合において、活性層15の成長温度は、750℃未満とする。
具体的には、例えば、RFMBE法或いはGSMBE法により、InGaN井戸層/InGaN障壁層またはInGaN井戸層/AlInN障壁層を堆積する。この場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。
一方、GSMBE法では、Tg=400〜750℃、アンモニアガス(NH3)流量を50sccmとする。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
(工程5e)次に、格子整合系上部クラッド層16を形成する。
この場合において、上部クラッド層16形成の際の成長温度は、750℃未満する。
具体的には、例えば、RFMBE法、或いは、GSMBE法によりAlGaInNまたはInGaNを堆積して上部クラッド層16を形成する。この場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。一方、GSMBE法ではTg=400〜750℃、アンモニアガス(NH3)流量を50sccmとする。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
(工程5f)次に、p型のコンタクト層17を形成する。
この場合において、コンタクト層17形成の際の成長温度は、750℃未満とする。
具体的には、例えば、RFMBE法或いはGSMBE法により、GaNまたはInGaNを堆積してp型のコンタクト層17を形成する。この場合の条件としては、成長温度Tg=400〜600℃、プラズマ電力P=300〜500W、窒素ガス(N2)流量1.0〜5.0sccmとする。III族原料は高純度な金属原料をクヌーセンセルで蒸発させて基板に供給する。
以上の(工程5a)〜(工程5f)において、n型ドーパントとしては、シリコンSiを、また、p型ドーパントとしては、マグネシウムMg、ベリリウムBeや、マグネシウムMgとシリコンSiの(コドープ)などを用いる。
以上の(工程5a)〜(工程5f)により半導体素子10用のエピタキシャルウェハが製造される。
○上記第3の製造方法によれば、ZnO単結晶基板12の裏面12bおよび両側面12c、12c上に窒化物半導体からなる保護膜40を成長させた後、その基板の表面12a上に素子30を構成する各窒化物半導体層(窒化物半導体層或いは酸化物半導体層)を、RFMBE法、或いは、GSMBE法により成長させるので、その成長の際にZnOの昇華を抑制できる。これにより、ZnO単結晶基板の表面上に良好な結晶性の窒化物半導体層を形成することができる。
10,10A…半導体素子、12,120…ZnO単結晶基板、12a…表面、12b…裏面、12c…側面、13…バッファ層、14…下部クラッド層、15…活性層、16…上部クラッド層、17…コンタクト層、18…パッシベーション膜、30,30A…素子、40,140…保護膜、19…上部電極層19。