JP2005298803A - 水性黒色インク組成物及び着色体 - Google Patents

水性黒色インク組成物及び着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、印字の色相がニュートラルで、濃度の高い黒色であり、さらに耐オゾンガス性、耐光性に優れた画像を与え、記録液としての保存安定性が良好な水性黒色インク組成物を提供すること。
【解決手段】黒色色素として、実質的に1種の黒色染料化合物又はその塩を含有する黒色インク組成物の赤系調色成分として、下記式(1)
【化1】
Figure 2005298803

(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基を、m及びnはそれぞれ独立に0、1又は2をそれぞれ表す。又、Xは(C1〜C3)アルカノールアミノ基又はモルホリノ基を表す。)
で表される染料化合物又はその塩を含有することを特徴とする水性黒色インク組成物。

Description

本発明は、インクジェットプリンタ用の水性黒色インク組成物およびそれによる着色体に関する。
各種のカラー記録法の中で代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。この為、これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には耐水性、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
耐オゾンガス性は、耐オゾン性又は耐ガス性等とも呼ばれるが、これは空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中又は記録紙上で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOX,SOX等が挙げられるが、これらの酸化性ガスよりもオゾンガスの方がインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる原因物質とされている。この耐オゾンガス性の程度を知る為の加速試験には、一般にオゾンガスが用いられている。このような酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はより重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、白色無機顔料等による多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られている。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐水性、耐光性、耐湿性、耐オゾンガス性の更なる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクは、文字情報をプリントする用途のみならず、カラー画像においても用いられる重要なインクである。しかし、色相がニュートラル(色味のない無彩色な黒色)で且つ濃度の高い黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているがまだ十分な性能を有するものが少ない。その為、一般には複数の色素を混合して黒色インクを形成することが行われている。複数の色素を混合してインクを作製すると、単一色素でインクを作製した場合に比べて、メディアによって色相が異なる、光やオゾンガスによる色素の分解によって特に変色が大きくなる等の問題がある。色相調整の容易さ、堅牢度特性等からは実質的に単一の化合物からなる黒色色素を用いるのが好ましい。
なお、黒色染料に赤色染料を配合した黒色インクとしては例えば特許文献1〜6のものが提案されているが、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていない。
特開昭58−208355号公報 特開昭59−133274号公報 特開昭59−176367号公報 特開昭60−49069号公報 特開昭63−227675号公報 特開2000−327965号公報 特公昭39−23971号公報 WO03/106572号パンフレット 特開2004−067797号公報 特開平8−73791号公報
本発明は、長期間保存した場合でも安定であり、濃色印刷時においても淡色印刷時においても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、印字された画像の濃度が高く、メディア毎の色相に変化が無く、印字後の画像保存性、特に耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、実質的に単一の化合物からなる黒色色素に特定の赤系色素を調色成分として色相を調整することにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち本発明は、
(1)黒色色素として実質的に1種の黒色染料化合物を含有する水性黒色インク組成物の赤系調色成分として、下記式(1)
Figure 2005298803
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、(C1〜C4)アルキル基又は(C1〜C4)アルコキシ基を、m及びnはそれぞれ独立に0、1又は2をそれぞれ表す。又、Xは(C1〜C3)アルカノールアミノ基又はモルホリノ基を表す。)
で表される染料化合物又はその塩を含有することを特徴とする水性黒色インク組成物
(2)黒色染料化合物が、青味、紫味又は緑味の色相を帯びた黒色染料化合物である(1)に記載の水性黒色インク組成物、
(3)前記式(1)で表される染料化合物又はその塩の含有量が総色素重量中、0.1〜50重量%である(1)又は(2)に記載の水性黒色インク組成物、
(4)黒色染料化合物が下記式(2)
Figure 2005298803
(式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されていても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)又はアシルアミノ基を、Yはアミノ基又はヒドロキシル基をそれぞれ表す。又、oは1又は2を表す。Aは下記式(3)
Figure 2005298803
(式(3)中、R5は水素原子、カルボキシル基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)又は(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)を、pは1又は2をそれぞれ表す。)
又は下記式(4)
Figure 2005298803
(式(4)中、qは1又は2を表す。)
を表し、Bはフェニル基、ナフチル基(これらのフェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されていても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)又はアシルアミノ基によって置換されていても良い)又は、下記式(5)
Figure 2005298803
(式(5)中、R6はカルボキシル基、メチル基又はフェニル基を、R7はヒドロキシル基又はアミノ基をそれぞれ表す。又、R8、R9及び R10はそれぞれ独立に水素原子、スルホン基、カルボキシル基を表す。但し、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはスルホン基又はカルボキシル基である。)
を表す。)
で表される染料化合物又はその塩である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(5)前記式(2)で表される染料化合物又はその塩が下記式(6)
Figure 2005298803
(式(6)中、rは0又は1を、o、R3、R4及びBは前記式(2)におけるのと同じ意味をそれぞれ表す。)
で表される染料化合物又はその塩である(4)に記載の水性黒色インク組成物(6)前記式(6)で表される染料化合物又はその塩が下記式(7)
Figure 2005298803
(式(7)中、r、R3、R4及びBは式(6)におけるのと同じ意味をそれぞれ表す。)
で表される染料化合物又はその塩である(5)に記載の水性黒色インク組成物、
(7)前記式(7)で表される染料化合物又はその塩が、それぞれ下記式(8)及び式(9)
Figure 2005298803
Figure 2005298803
(式(8)及び式(9)中、R11〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)、又はアシルアミノ基を表す。但し、R11〜R13及びR14〜R16のそれぞれにおいて少なくとも一つはスルホ基又はカルボキシル基である。又、rは式(6)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される染料化合物又その塩である(6)に記載の水性黒色インク組成物、
(8)前記式(8)及び式(9)において、R11〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、スルファモイル基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基を表し、且つR11〜R13及びR14〜R16のそれぞれにおいて少なくとも一つはスルホ基又はカルボキシル基である(7)に記載の水性黒色インク組成物、
(9)調色成分として、更に黄色系の色相をもつ染料化合物を総色素重量中0.1〜30重量%含有する(1)〜(8)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
(10)黄色系の色相をもつ染料化合物がC.I.ダイレクトイエロー132又はC.I.ダイレクトイエロー86である(9)に記載の水性黒色インク組成物、
(11)(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を装填したインクジェットプリンタ、
(12)(11)に記載のインクジェットプリンタによって着色された着色体
に関する。
本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで、濃度が薄いインクとした場合でも黒色の印字物が得られる、また印字濃度が高く、さらに耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性及び演色性に優れている。マゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、実質的に1種の染料化合物で黒色を呈する染料化合物としては、耐オゾン性が良好で、例えば、白色無機顔料等による多孔質の素材を用いているインクジェット専用紙上で、例えばオゾン濃度通常12ppmの条件下において通常2時間の試験を行った際に、色相濃度残存率が通常80%以上、色差ΔEが通常20以下である染料化合物が好ましい。そのうち、青味の色相を帯びた黒色染料化合物として、水中で350nm〜700nmの範囲全てにおいて吸収があり、かつ最大吸収波長が通常560nm以上の範囲にあり、更にインクに調製して普通紙上に印刷した際に、印刷物の濃度D値が1.0±0.2の範囲での色相角Hの値が200°〜270°の範囲にある黒色染料化合物が好ましい。また、紫味の色相を帯びた黒色染料化合物として、水中で350nm〜700nmの範囲全てにおいて吸収があり、かつ最大吸収波長が560nm以上の範囲にあり、更にインクに調製して普通紙上に印刷した際に、印刷物の濃度D値が1.0±0.2の範囲での色相角Hの値が270°〜320°の範囲にある黒色染料化合物が好ましい。更に、緑味の色相を帯びた黒色染料化合物として、水中で350nm〜700nmの範囲全てにおいて吸収があり、かつ最大吸収波長が560nm以上の範囲にあり、更にインクに調製して普通紙上に印刷した際に、印刷物の濃度D値が1.0±0.2の範囲での色相角Hの値が120°〜200°の範囲にある黒色染料化合物が好ましい。この様な特性を有する黒色染料化合物として、式(2)で示される染料化合物又はその塩(以下において、「染料化合物又その塩」を単に「染料化合物」ということがある。)が好ましい。尚、上記において、濃度D値、色相角H値及び色差ΔEは市販の測色機を用いて測定される。
この様な黒色用染料化合物は、印刷濃度が高い場合は良好な黒色を呈すが、印刷濃度が低い場合はそれぞれ青味、紫味、緑味が目立つようになる。このやや色味を帯びた色相をニュートラルなグレー色〜黒色に近づける為、最大吸収波長がより短波長側にある赤色染料を配合して、改善する試みがなされているが、本発明においては、色相を広汎に調整でき、かつ画像堅牢性などを損なわない染料化合物として前記式(1)の染料化合物又はその塩(以下において、「染料化合物又その塩」を単に「染料化合物」ということがある。)を選択する。
先ず、本発明において、好ましい黒色染料化合物として用いられる前記式(2)で示される染料化合物について説明する。
前記式(2)のR3、R4及びBのフェニル基若しくはナフチル基上の置換基の具体例を示す。アシル基としては例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基としては例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−(n−ブチル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジ(n−プロピル)スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等が挙げられる。ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、n−プロポキシプロピル基、イソプロポキシブチル基、n−プロポキシブチル基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い(C1〜C4)アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、n−ブトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、n−プロポキシプロポキ基シ、イソプロポキシブトキシ基、n−プロポキシブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシエトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基等が挙げられる。アシルアミノ基としては例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基、イソブチロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
前記式(2)における好ましいR3及びR4は、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、ホスホ基、ニトロ基、アセチル基、ベンゾイル基、ウレイド基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等であり、さらに好ましくは、水素原子、塩素原子、シアノ基、スルファモイル基、アセチル基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましくは、水素原子、カルボキシル基、スルホ基である。
前記式(2)のAにおける式(3)のR5において、ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換されても良い(C1〜C4)アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、n−プロポキシプロピル基、イソプロポキシブチル基、n−プロポキシブチル基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い(C1〜C4)アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、n−ブトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、n−プロポキシプロポキ基シ、イソプロポキシブトキシ基、n−プロポキシブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシエトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基等が挙げられる。
前記式(3)における好ましいR5は、水素原子、カルボキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基等であり、さらに好ましくは、水素原子、カルボキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、カルボキシル基である。
前記式(2)のAにおける式(5)において、R6〜R10の特に好ましい組み合わせは、R6がカルボキシル基、R7がヒドロキシル基であり、R8がスルホ基でかつ位置が4位、R9及びR10がそれぞれ水素原子である。
前記式(2)の化合物のうち好ましいものは、前記式(6)で示される化合物であり、より好ましいものは前記式(7)で示される化合物であり、更に好ましいものは前記式(8)又は式(9)で表される化合物である。これらは1種又は2種以上を混合して用いることが出来る。
前記式(2)について、Yがヒドロキシル基である染料化合物は、例えば特許文献8に記載の方法で合成することができる。
前記式(2)について、Yがアミノ基である時の染料化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。ここで各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。すなわち、下記式(10)
Figure 2005298803
(式(10)中、Aは前記と同じ意味を示す。)
で表される化合物を常法によりジアゾ化し、下記式(11)
Figure 2005298803
(式(11)中、oは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物とカップリング反応し、生成した下記式(12)
Figure 2005298803
(式(12)中、oは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物に、式(13)
Figure 2005298803
(式(13)中、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を常法によりジアゾ化したものをカップリング反応させ、得られる式(14)
Figure 2005298803
(式(14)中、R3、R4及びoは前記と同じ意味を表す。)
に式(15)
Figure 2005298803
(式(15)中、Bは前記と同じ意味を示す。)
で表される化合物を常法によりジアゾ化したものとカップリング反応させ、式(2)で表される染料化合物を得ることができる。
前記式(2)について、Yがアミノ基であり、特にAが式(4)である時の染料化合物は、例えば次のような方法でも合成することができる。すなわち、式(16)
Figure 2005298803
(式(16)中、qは前記と同じ意味を表す。)
とp−トルエンスルホニルクロライドとをアルカリ存在下で反応させることにより得られる式(17)
Figure 2005298803
(式(17)中、qは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を常法によりジアゾ化し、式(11)で表される化合物とカップリング反応し、生成した式(18)
Figure 2005298803
(式(18)中、o及びqは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物に、式(13)で表される化合物を常法によりジアゾ化したものをカップリング反応させ、得られる式(19)
Figure 2005298803
(式(19)中、R3、R4、o及びqは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物をアルカリ条件下、加水分解し式(20)
Figure 2005298803
(式(20)中、R3、R4、o及びqは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を得る。これに式(15)で表される化合物を常法によりジアゾ化したものとカップリング反応させ、式(2)で表される染料化合物を得ることができる。
前記式(10)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(10)の化合物のジアゾ化物と式(11)の化合物とのカップリング反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜20℃の温度ならびに酸性から中性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から中性のpH値、たとえばpH2〜5で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、アンモニア又有機アミンなどが使用できる。式(10)と(11)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
前記式(13)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(13)の化合物のジアゾ化物と式(12)の化合物のカップリング反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、たとえばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、あるいはアンモニア又有機アミンなどが使用できる。式(13)と(12)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
前記式(15)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(15)の化合物のジアゾ化物と式(14)の化合物のカップリング反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性又は水性有機媒体中、例えば5〜40℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、あるいはアンモニア又有機アミンなどが使用できる。式(15)と(14)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
前記式(19)の化合物の加水分解による式(20)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば式(19)の化合物を含有する溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。
次に、式(1)で示される染料化合物は、例えば特許文献7に記載の方法に準じて合成することができる。
式(1)中のR1及びR2において、(C1〜C4)アルキル基の例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられ、(C1〜C4)アルコキシ基としては例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシが挙げられる。
1及びR2の好ましい例としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。式(1)中のXにおいて、モノ(C1〜C3)アルカノールアミノ基としては例えばモノエタノールアミン、モノプロパノールアミンなどが挙げられる。ジ(C1〜C3)アルカノールアミノ基としては例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどが挙げられる。N−(C1〜C3)アルカノール−N−(C1〜C3)アルキルアミノ基としては例えばN−エタノール−N−メチルアミン、N−エタノール−N−エチルアミンなどが挙げられる。Xの好ましい例としては、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、モノホリノ基が挙げられる。
前記式(1)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、下記構造式を有する化合物例が挙げられる。
Figure 2005298803
又、前記式(2)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、下記構造式を有する化合物例が挙げられる。
Figure 2005298803
Figure 2005298803
前記各表において、スルホ基及びカルボキシル基はいずれも遊離酸の形で表示した。
本発明の水性インク組成物中に含有される染料化合物は、それぞれ遊離酸の形で、あるいはその塩の形で存在しうる。塩としては、アルカリ金属塩、有機アミンのカチオン、又はアンモニウムイオンである。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。有機アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンイオンなどが挙げられる。
本発明の水性黒色インク組成物中に使用される染料化合物は例えば、ナトリウム塩の場合、反応液に食塩を加えて、塩析、濾過することによりナトリウム塩が得られる。更にナトリウム塩を水に溶解し、酸を加えて酸性で結晶を析出させた後、濾過し、遊離酸の形で色素化合物のケーキを得る。次いで、その遊離酸の形の色素化合物を水に溶解又は懸濁し、目的の塩に対応する塩基、例えばアミン類、ナトリウム以外のアルカリ金属化合物を添加、溶解することにより各々対応する塩の溶液が得られる。この溶液から、それぞれの塩を、常法により、析出、濾過、乾燥することにより、ナトリウム塩以外の塩を得ることができる。
本発明においては、さらに色相をニュートラルな黒色にする為に必要に応じてイエロー、オレンジ又はブラウン等の黄色系染料を調色用染料として配合することができる。イエロー、オレンジ又はブラウン等の色相をもつ染料化合物としては、最大吸収波長が350nm〜500nmの範囲にあるものが挙げられる。
このような染料化合物の具体例としては、例えばカラーインデックスから、C.I.ダイレクトイエロー27、C.I.ダイレクトイエロー28、C.I.ダイレクトイエロー33、C.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー39、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー100、C.I.ダイレクトイエロー120、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー38、C.I.アシッドイエロー49、C.I.アシッドイエロー59、C.I.アシッドイエロー61、C.I.アシッドイエロー72、C.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ40、C.I.ダイレクトオレンジ41、C.I.ダイレクトオレンジ46、C.I.ダイレクトオレンジ61、C.I.ダイレクトオレンジ61、C.I.ダイレクトオレンジ72、C.I.ダイレクトオレンジ102、C.I.アシッドオレンジ51、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ63、C.I.ダイレクトブラウン44、C.I.ダイレクトブラウン106、C.I.ダイレクトブラウン195などが挙げられる。
これらのうち好ましいのはC.I.ダイレクトイエロー28、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.アシッドイエロー23、C.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトブラウン195であり、より好ましいのはC.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー86である。これらのものはそれぞれ市場から容易に入手することができる。
本発明の水性インク組成物において、染料化合物の総量(質量)中、式(1)の染料化合物は通常0.1〜50%(質量)の範囲で含有され、好ましくは3〜40%(質量)の範囲、より好ましくは5〜30%(質量)の範囲で含有される。また、染料化合物の総量(質量)に対してイエロー、オレンジ又ブラウンの色相を持つ染料化合物の含有量(質量)は通常0〜30%、好ましくは0.1〜30%、更に好ましくは1〜25%、特に好ましくは5〜20%である。更に、この水性インク組成物には、色相の微調整の為にその他の色素を混合して用いても良い。
本発明の水性黒色インク組成物は、これら染料化合物の総量が、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する水を主要な媒体とする組成物である。本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜5質量%含有していても良い。尚、インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる点で、通常pH6〜10であり、pH7〜10が好ましい。また、水性インク組成物の表面張力としては、通常25〜70mN/mであり、25〜60mN/mが好ましい。さらに、水性インク組成物の粘度としては、通常30mPa・s以下であり、20mPa・s以下が好ましい。
本発明の水性黒色インク組成物は、染料化合物を水又は水溶性有機溶媒(有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。この水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、インク組成物としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを調製するのが好ましく、その含有量の目安は例えば0.1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ない染料化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は染料化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
前記インク組成物の調製において用いることの出来る水溶性有機溶媒の例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミド又N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマー又ポリアルキレングリコール又チオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル又エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトン又ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記インク組成物の調製において用いられるインク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤などがあげられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、デヒドロ酢酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル等があげられる。これらは水性組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア)、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ホスホ基二ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、又イミダゾール類、トリアゾール類、チアゾール類などの複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアホスホ基エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTGなど)、などが挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
本発明の水性黒色インク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。
本発明の水性黒色インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、該インク組成物を含有してなるインクジェット用インクとして用いることが、特に好ましく、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
次に、本発明の水性黒色インク組成物を用いたインクジェット記録方法について説明する。
本発明の水性黒色インク組成物を用いたインクジェット記録方法においては、前記水性黒色インク組成物を含有してなるインクジェット用インクを用いて受像材料に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を用いることができる。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の着色体は前記の本発明の水性黒色インク組成物で着色されたものであり、より好ましくは本発明の水性黒色インク組成物を用いてインクジェットプリンタによって着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。この中でも、オゾンガス等の空気中の酸化作用を持つガスに対して影響を受けやすいとされているのが、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を基材表面に塗工しているタイプのインクジェット専用紙であり、例えば代表的な市販品の一例を挙げると、ピクトリコ(旭硝子(株)製)、プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー(いずれもキヤノン(株)製)、写真用紙<光沢>、フォトマット紙(いずれもセイコーエプソン(株)製)、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙(いずれも日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(コニカ(株)製)、高品位コート紙、写真光沢紙(いずれもソニー(株)製)等がある。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。又、以下において、スルホ基及びカルボキシル基は遊離酸の形で表示し、濃度D値、色相角H値及び色差ΔEはGretag Macbeth SpectroEye(GRETAG社製測色機)を用いて測定又はその測定値から算出した。
化合物例1
特許文献8の例3に記載の方法にて下記式(21)
Figure 2005298803
で表される化合物125部(未脱塩品)を得た。これを逆浸透膜法によって脱塩処理を行い、次いで溶液を全乾燥して、105部の脱塩品を得た。またこの化合物の0.5%水酸化リチウム水溶液への溶解度は100g/L(25℃)以上と良好であった。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は515nmであった。
化合物例2
化合物例1の合成において、原料に用いた下記式(22)の化合物
Figure 2005298803
の代わりに、下記式(23)
Figure 2005298803
を用いて同様の合成を行い、下記式(24)
Figure 2005298803
の化合物115部(未脱塩品)を得た。これを逆浸透膜法によって脱塩処理を行い、次いで溶液を全乾燥して、96部の脱塩品を得た。またこの化合物の0.5%水酸化リチウム水溶液への溶解度は100g/L(25℃)程度と良好であった。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は518nmであった。
化合物例3
(第一工程)水500部中に6−アミノ−4−ナフトール−2−スルホン酸23.9部を仕込み、20%水酸化ナトリウムにてpH値7〜8に中和溶解後、30〜40℃で無水酢酸12.2部を添加しアセチル化する。次いで、反応液を20%水酸化ナトリウム水溶液にてpH値8に中和後、加熱し55〜60℃、pH値8〜9でp−トルエンスルホニルクロライド19.1部と反応させた。反応後15℃まで冷却することにより灰白色の沈殿が析出する。これをろ過して下記式(25)の化合物41.3部を得た。
Figure 2005298803
次に、5%塩酸1000部中に前記で得られた式(25)の化合物を全量仕込み、90〜95℃で6時間加水分解する事により下記式(26)の化合物35.3部を得た。
Figure 2005298803
(第二工程)水500部中に式(26)の化合物23.6部を仕込み、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調製して溶解し、40%亜硝酸ナトリウム水溶液11.4部を添加した液を2%塩酸440部中に20〜25℃にて30分かけて仕込みジアゾ化した。このジアゾ懸濁液に4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸19.1部を添加した後、10〜20℃で溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて2.0〜2.5に保持しながら12時間攪拌した。攪拌後pH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.5として溶解し、下記式(27)のモノアゾ化合物を含む溶液を得た。
Figure 2005298803
(第三工程)水150部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム14.4部を溶解し、ここに35%塩酸18.8部を添加したのち、0〜5℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.6部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、上記反応にて得られた式(27)のモノアゾ化合物を含む溶液に10〜20℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、同温度、同pH値で2時間攪拌し反応を完結させたのち、塩化ナトリウムにより塩析し、析出した沈殿物を濾過することで下記式(28)の化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2005298803
上記で得られたウェットケーキを水400部に溶解し、70℃に加熱後、25%水酸化ナトリウム水溶液にてpH値を10.5〜11.0に保持しながら2時間攪拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過して式(29)の化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2005298803
(第四工程)水130部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム13.1部を溶解し、ここに35%塩酸16.9部を添加後、0〜5℃に冷却し同温度で40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.6部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を水300部に上記で得られた式(29)の化合物を含むウェットケーキを水酸化ナトリウムでpH7.0〜8.0に調整しながら溶解した溶液に、15〜30℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、同温度、同pH値にて3時間攪拌しカップリング反応を完結させた後、塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過した。得られたウェットケーキを水250部に溶解し、メタノール300部の添加により晶析、ろ過した。更に得られたウェットケーキを水150部に溶解後、35%塩酸の添加によりpH値を0.5以下とした後、水酸化リチウムの添加により溶解した。この溶液にメタノール200部及び2−プロパノール50部の添加により晶析し、ろ過、乾燥して下記式(30)の化合物(表2におけるNo.2−3の化合物)39.0部を得た。この化合物の0.5%水酸化リチウム水溶液への溶解度は100g/L(25℃)以上と良好であった。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は623nmであった。
この化合物について、後記する実施例1に記載の処方により色素としてこの化合物のみを含むインクを調製し、普通紙に印刷した時の濃度D値が0.8〜1.2になる時の色相角H値を測定したところ、196°で緑味の色相を呈していた。
Figure 2005298803
化合物例4
(第一工程)水200部中に4−メトキシアニリン−2−スルホン酸20.3部を水酸化ナトリウムでpH5.5〜8.0に調整しながら溶解した後、5〜10℃とし、35%塩酸31.3部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液18.1部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を7−アミノ−4−ヒドロキシナフタレン−2−スルホン酸(J酸)23.9部のアルカリ性水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中は反応液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、更にpH値8.5〜9.5、温度15〜30℃で3時間攪拌しカップリング反応を完結させ、このあと塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過して得られたウェットケーキを乾燥して下記式(31)のモノアゾ化合物36.3部を得た。
Figure 2005298803
(第二工程)水500部中に式(31)の化合物36.3部を仕込み、水酸化ナトリウムでpH7.0〜8.0に調整して溶解した後、35%塩酸33.4部を加え15〜20℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液16.5部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液に4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−2、7−ジスルホン酸(H酸)を25.5部添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて2.0〜3.0に保持しながら終夜攪拌し、下記式(32)の化合物を含む反応液を得た。
Figure 2005298803
(第三工程)水130部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム19.2部を溶解し、ここに35%塩酸25.0部を添加後、0〜5℃に冷却し同温度で40%亜硝酸ナトリウム水溶液14.5部を添加しジアゾ化した。次いで、このジアゾ懸濁液を第二工程で得られた式(32)の化合物を含む反応液に10〜15℃で速やかに添加後、反応液のpH値を炭酸ナトリウムにてゆっくり8.0まで中和する。中和終了後、同温度、pH値8.0〜9.0にて3時間攪拌しカップリング反応を完結させた後、塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過した。得られたウェットケーキを水600部に溶解し、メタノール600部の添加により晶析、濾過した。更に得られたウェットケーキを水300部に溶解後、35%塩酸の添加によりpH値を0.5以下とした後、水酸化リチウムの添加により溶解した。この溶液にメタノール200部及びイソプロパノール100部の添加により晶析し、ろ過、乾燥して下記式(33)の化合物(表2におけるNo.2−5の化合物)60.7部を得た。また0.5%水酸化リチウム水溶液への溶解度は100g/L(25℃)以上と良好であった。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は613nmであった。
この化合物について化合物例3の場合と同様にして色相角H値を測定したところ、251°で青味の色相を呈していた。
Figure 2005298803
化合物例5
(第一工程)2−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸20.1部とp−トルエンスルホニルクロライド12.6部とをpH8.0〜8.5、70℃で1時間反応させた後、酸性にて塩析、ろ過して得られる下記式(34)の化合物28.4部を水300部中に、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調整しながら溶解し、35%塩酸18.7部の添加後、0〜5℃とし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.7部を添加し、ジアゾ化した。
Figure 2005298803
このジアゾ懸濁液に4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸 19.1部を水200部に懸濁した液を添加した後、10〜20℃で溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて2.4〜2.8に保持しながら12時間攪拌した。攪拌後pH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.5として溶解し、下記式(35)のモノアゾ化合物を含む溶液を得た。3
Figure 2005298803
(第二工程)水150部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム14.4部を溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸18.8部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.6部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、上記反応にて得られた式(35)のモノアゾ化合物を含む溶液に10〜20℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で2時間、pH8.0〜9.0で攪拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、濾過することで下記式(36)の化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2005298803
上記で得られたウェットケーキを水400部に溶解し、70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1時間攪拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過して下記式(37)の化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2005298803
(第三工程)水70部に2−アミノベンゼン−1,4−ジスルホン酸モノナトリウム塩12.2部を水酸化ナトリウムの添加によりpH5.0〜7.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸12.7部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液8.0部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を水300部に、上記で得られた式(37)の化合物を含むウェットケーキを水酸化ナトリウムでpH8.0〜9.0に調整しながら溶解した溶液に、15〜30℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で3時間、pH8.0〜9.0で攪拌しカップリング反応を完結させた後、塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過した。得られたウェットケーキを水200部に溶解し、メタノール150部及び2−プロパノール350部の添加により晶析、ろ過した。この操作を2回繰り返し、得られたケーキを乾燥して式(38)の化合物45.0部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は592nmであり、また水への溶解度は120g/l(25℃)以上であった。
この化合物について化合物例3の場合と同様にして色相角H値を測定したところ、265°で青味の色相を呈していた。
Figure 2005298803
化合物例6
化合物例5の2−アミノベンゼン−1,4−ジスルホン酸モノナトリウム塩12.2部を3−アミノ−7−ニトロナフタレン−1,5−ジスルホン酸18.8部とする以外は化合物例5と同様の方法で式(39)の化合物30.9部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は591nmであり、また水への溶解度は100g/l(25℃)以上であった。
この化合物について化合物例3の場合と同様にして色相角H値を測定したところ、271°で紫味の色相を呈していた。
Figure 2005298803
(A)インクの作製
実施例1
下記成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
表4
化合物例1で得られた化合物 0.5部
化合物例3で得られた化合物 4.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
実施例2
下記成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性黒色インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
表5
化合物例1で得られた化合物 1.0部
化合物例4で得られた化合物 3.5部
C.I.ダイレクトイエロー132 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
実施例3
下記成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性黒色インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
表6
化合物例2で得られた化合物 3.5部
化合物例5で得られた化合物 1.0部
C.I.ダイレクトオレンジ17 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
実施例4
下記成分を混合することにより本発明の水性黒色インク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性黒色インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
表7
化合物例1で得られた化合物 0.75部
化合物例6で得られた化合物 3.5部
C.I.ダイレクトイエロー86 0.75部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
実施例5
特許文献8のExample2に示される色素(下記式(40))を用い、下表8の組成でインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性黒色インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
尚、式の(40)の化合物について、化合物例3の場合と同様にして色相角H値を測定したところ、240°で青味の色相を呈していた。
表8
化合物例1で得られた化合物 0.3部
特許文献8のExample2の化合物 4.4部
C.I.ダイレクトイエロー86 0.3部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
Figure 2005298803
実施例6
特許文献9の実施例1に示される色素(下記式(41))を用い、下表9の組成でインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性黒色インク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように0.5%水酸化リチウムで調整した。この水性黒色インク組成物は、貯蔵中にまた長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
尚、式の(41)の化合物について、化合物例3の場合と同様にして色相角H値を測定したところ、181°で緑味の色相を呈していた。
表9
化合物例1で得られた化合物 1.0部
特許文献9のE実施例1の化合物 4.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム 75.9部
計 100.0部
Figure 2005298803
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれの水性黒色インク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 Canon社製 BJ−S630)により、専用光沢紙1(キヤノン社製 プロフェッショナルフォトペーパー PR101)及び専用光沢紙2(セイコーエプソン社製 写真用紙<光沢> KA420PSK)にインクジェット記録を行った。印刷の際は、反射濃度が数段階の階調で得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの黒色印字物を得た。印刷時はグレースケールモードを用いているため、この淡色部分においては水性黒色インク組成物(インク)以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液は併用されていない。以下に記する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である濃度評価では、反射濃度D値が最も高い部分で測定を行った。また、同様に測色機を用いて評価する項目である耐光性試験、耐オゾンガス性試験の測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。
(C)記録画像の評価
本発明の水性黒色インク組成物による記録画像につき、印字濃度、濃色域での色相評価、淡色域での色相評価、耐光性試験後の濃度変化、耐オゾンガス性試験後の濃度変化の5点について評価を行った。その結果を表15に示した。
(1)濃度評価
記録画像の色相濃度は前記測色機を用いて測色し、印字濃度D値を算出した。判定基準を以下に示す。
○・・・D≧2.2
△・・・2.2>D≧2.0
×・・・2.0>D
(2)濃色域での色相評価
記録画像の印字濃度D値が最大の部分で、目視にて評価を行った。判定基準を以下に示す。また、ブラックとして僅かに色味が認められる場合、前記測色機を用いて色相角H値を測定し、このH値から緑味、青味又は紫味を判別し、記載した。その判定基準を以下に示す。ブラックであるとは言い難いほど色味がある場合は、目視によって確認した色相を記載した。
○・・・・色味のないブラックである。
△・・・・やや色味があるがブラックであると言える。
×・・・・明らかに色味があり、ブラックであるとは言い難い。
緑味・・・色相角Hが120°以上、200°未満。
青味・・・色相角Hが200°以上、270°未満。
紫味・・・色相角Hが270°以上、320°未満。
(3)淡色域での色相評価
記録画像の印字濃度D値が0.8<D<1.2の部分で、目視にて評価を行った。判定基準を以下に示す。また、ブラックとして僅かに色味が認められる場合、色相角H値から、緑味、青味又は紫味を判別して、記載した。その判定基準を以下に示す。ブラックであるとは言い難いほど色味がある場合は、目視によって確認した色相を記載した。
○・・・・色味のないブラックである。
△・・・・やや色味があるがブラックであると言える。
×・・・・明らかに色味があり、ブラックであるとは言い難い。
緑味・・・色相角Hが120°以上、200°未満。
青味・・・色相角Hが200°以上、270°未満。
紫味・・・色相角Hが270°以上、320°未満。
(4)耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(ATLAS社製)を用い、専用光沢紙1及び専用光沢紙2の印刷サンプルに温度24℃、湿度60%RHの条件下で0.36W/平方メートルの照度で50時間照射した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差ΔE値を測定した。判定基準を以下に示す。
○・・・ΔE<5
△・・・5≦ΔE<10
×・・・10≦ΔE
(5)耐オゾンガス性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度を12ppm、湿度60%RH、温度24℃で専用光沢紙1及び専用光沢紙2の印刷サンプルを2時間放置した。試験終了後上記の測色機を用いて試験前後の色差ΔE値を測定した。
○・・・ΔE<5
△・・・5≦ΔE<10
×・・・10≦ΔE
比較例1
比較対象として水溶性インクジェット用黒色色素として用いられているアゾ系色素のC.I.フードブラック2(下記式(42))を下記表10の組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の濃度評価、色相評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価の結果を表15に示した。
表10
C.I.フードブラック2 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
Figure 2005298803
比較例2
実施例1の比較対象として化合物例1で得られた化合物の代わりに特許文献10の化合物例No.(1)に示される色素(下記式(43))を用い、下表11のインク組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の濃度評価、色相評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価の結果を表15に示した。
表11
化合物例3で得られた化合物 4.5部
特許文献10の化合物 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
Figure 2005298803
比較例3
実施例2の比較対象として化合物例1で得られた化合物の代わりに特許文献10の化合物例No.(1)に示される色素(上記式(43))を用い、下表12のインク組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の耐光性評価と耐オゾンガス性評価の結果を表15に示した。
表12
化合物例4で得られた化合物 3.5部
特許文献10の化合物 1.0部
C.I.ダイレクトイエロー132 0.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
参考例1〜6
本発明で用いた各黒色色素化合物の特性について試験した。
耐オゾン性が良好でかつ青味、紫味又は緑味の色相を帯びる黒色色素化合として化合物例3で得られた化合物(参考例1)、化合物例4で得られた化合物(参考例2)、化合物例5で得られた化合物(参考例3)、化合物例6で得られた化合物(参考例4)、特許文献8のExample2の化合物(参考例5)又は特許文献9の実施例1の化合物(参考例6)のみを用いて下記表14のインク組成でインク組成物を調製した。得られた記録画像の濃度評価、色相評価、耐光性評価、耐オゾンガス性評価の結果を表15に示した。
表14
各黒色色素化合物 5.0部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(サーフィノール105 日信化学社製)
水+水酸化リチウム水溶液 75.9部
計 100.0部
表15
Figure 2005298803
表15の結果より、本発明の水性黒色インク組成物はニュートラルな黒色印刷物を与え、また、その印刷物の色相濃度が非常に高い。更に、その印刷物は、耐光性、耐オゾン性などの耐久性にも優れている。
また、化合物例1又は2の染料のみを用いたインク組成物では耐光性や耐オゾンガス性の性能がやや低いが、これらの染料を耐光性や耐オゾンガス性の良好な黒色インク組成物に配合した場合、黒色インク組成物としての耐光性、耐オゾンガス性等の性能低下を誘起しない。
本発明の水性黒色インク組成物はインクジェット記録用、筆記用具用ブラックインク液として用いられる。

Claims (12)

  1. 黒色色素として実質的に1種の黒色染料化合物を含有する水性黒色インク組成物の赤系調色成分として、下記式(1)
    Figure 2005298803
    (式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、(C1〜C4)アルキル基又は(C1〜C4)アルコキシ基を、m及びnはそれぞれ独立に0、1又は2をそれぞれ表す。又、Xは(C1〜C3)アルカノールアミノ基又はモルホリノ基を表す。)
    で表される染料化合物又はその塩を含有することを特徴とする水性黒色インク組成物
  2. 黒色染料化合物が、青味、紫味又は緑味の色相を帯びた黒色染料化合物である請求項1に記載の水性黒色インク組成物
  3. 前記式(1)で表される染料化合物又はその塩の含有量が総色素重量中、0.1〜50重量%である請求項1又は請求項2に記載の水性黒色インク組成物
  4. 黒色染料化合物が下記式(2)
    Figure 2005298803
    (式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されていても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)又はアシルアミノ基を、Yはアミノ基又はヒドロキシル基をそれぞれ表す。又、oは1又は2を表す。Aは下記式(3)
    Figure 2005298803
    (式(3)中、R5は水素原子、カルボキシル基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)又は(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)を、pは1又は2をそれぞれ表す。)
    又は下記式(4)
    Figure 2005298803
    (式(4)中、qは1又は2を表す。)
    を表し、Bはフェニル基、ナフチル基(これらのフェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されていても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)又はアシルアミノ基によって置換されていても良い)又は、下記式(5)
    Figure 2005298803
    (式(5)中、R6はカルボキシル基、メチル基又はフェニル基を、R7はヒドロキシル基又はアミノ基をそれぞれ表す。又、R8、R9及び R10はそれぞれ独立に水素原子、スルホン基、カルボキシル基を表す。但し、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはスルホン基又はカルボキシル基である。)
    を表す。)
    で表される染料化合物又はその塩である請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物
  5. 前記式(2)で表される染料化合物又はその塩が下記式(6)
    Figure 2005298803
    (式(6)中、rは0又は1を、o、R3、R4及びBは前記式(2)におけるのと同じ意味をそれぞれ表す。)
    で表される染料化合物又はその塩である請求項4に記載の水性黒色インク組成物
  6. 前記式(6)で表される染料化合物又はその塩が下記式(7)
    Figure 2005298803
    (式(7)中、r、R3、R4及びBは式(6)におけるのと同じ意味をそれぞれ表す。)
    で表される染料化合物又はその塩である請求項5に記載の水性黒色インク組成物
  7. 前記式(7)で表される染料化合物又はその塩が、それぞれ下記式(8)及び式(9)
    Figure 2005298803
    Figure 2005298803
    (式(8)及び式(9)中、R11〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基(アルキル基又はフェニル基で置換されても良い)、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシル基又は(C1〜C4)アルコキシ基で置換されていても良い)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていても良い)、又はアシルアミノ基を表す。但し、R11〜R13及びR14〜R16のそれぞれにおいて少なくとも一つはスルホ基又はカルボキシル基である。又、rは式(6)におけるのと同じ意味を表す。)
    で表される染料化合物又その塩である請求項6に記載の水性黒色インク組成物
  8. 前記式(8)及び式(9)において、R11〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、スルファモイル基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基を表し、且つR11〜R13及びR14〜R16のそれぞれにおいて少なくとも一つはスルホ基又はカルボキシル基である請求項7に記載の水性黒色インク組成物
  9. 調色成分として、更に黄色系の色相をもつ染料化合物を総色素重量中0.1〜30重量%含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物
  10. 黄色系の色相をもつ染料化合物がC.I.ダイレクトイエロー132又はC.I.ダイレクトイエロー86である請求項9に記載の水性黒色インク組成物
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を装填したインクジェットプリンタ
  12. 請求項11に記載のインクジェットプリンタによって着色された着色体
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