JP2005295738A - 保護装置、モータ装置、ステージ装置、および露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、負荷装置を保護するための保護装置であって、次の熱推定部、温度推移模擬部、および保護部を備える。熱推定部は、負荷装置への供給電流に基づいて負荷装置に発生する熱を推定する。温度推移模擬部は、熱推定部により推定される熱と、予め定められる負荷装置の熱回路モデルに基づいて、負荷装置の温度の推移をシミュレーションする。保護部は、温度推移模擬部により推定される温度に応じて、負荷装置への供給電流を制限する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、この保護装置を備えた、モータ装置、ステージ装置、および露光装置に関する。
しかし、一般的に検流抵抗のサイズは、たとえ大電流用のセメント抵抗であっても小さく、そのサイズに従って熱容量も小さい。そのため、供給電流が上昇すると、検流抵抗の温度もたちまちに上昇する。
一方、モータなどの負荷装置は、検流抵抗よりもサイズが大きく、負荷装置の熱容量は一般的に大きい。したがって、検流抵抗に比べて、負荷装置では、ゆっくりと温度が上昇する。
そのため、検流抵抗の温度上昇に従って負荷装置の電源供給を制限すると、負荷装置が保護すべき温度に達する前に電源供給が制限されてしまうことになり、負荷装置を効率運用できないという問題点があった。
請求項1の発明は、負荷装置を保護するための保護装置であって、次の熱推定部、温度推移模擬部、および保護部を備える。
熱推定部は、負荷装置への供給電流に基づいて負荷装置に発生する熱を推定する。
温度推移模擬部は、熱推定部により推定される熱と、予め定められる負荷装置の熱回路モデルに基づいて、負荷装置の温度の推移をシミュレーションする。
保護部は、温度推移模擬部により推定される温度に応じて、負荷装置への供給電流を制限する。
請求項2の発明は、請求項1の保護装置において、温度推移模擬部は、熱推定部により推定される熱と、負荷装置の熱容量および熱抵抗に基づいて、負荷装置の温度推移をシミュレーションすることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の保護装置において、熱推定部は、供給電流の二乗値に比例する値を求めて、負荷装置に発生する熱を推定する二乗部と、供給電流のノイズ分を二乗することによって、熱の推定結果に含まれる倍周波数のノイズ成分を抑制するためのローパスフィルタとを備えることを特徴とする。
請求項4のモータ装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項の保護装置と、保護装置により保護されるモータとを備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、ステージ上において対象物を移動するステージ装置であって、請求項4に記載のモータ装置と、モータ装置に電力供給してモータ装置に発生する駆動力によって対象物を移動するステージ機構とを備えたことを特徴とする。
請求項6の露光装置は、レチクルを照明する照明部と、レチクルの像を露光対象に投影する投影部と、請求項5のステージ装置とを備え、ステージ装置により、レチクルおよび露光対象の少なくとも一方を移動することを特徴とする。
図1は、本実施形態の保護装置を具備する露光装置100を示す図である。
まず、露光装置100の全体的な構成について説明する。
この露光装置100は、レチクルRの像を、ウェハWに投影する露光装置である。なお、本実施形態では、レチクルRは、投影パターンが形成されたものという意味であり、説明上マスクと同義のものとして扱う。
このレチクルRは、レチクル側ステージ装置3に装着される。このレチクル側ステージ装置3は、レチクルRをX軸方向に移動するためのX軸ステージ3Xと、レチクルRをY軸方向(図1参照)に移動するためのY軸ステージ3Yとを、レチクルベース4の上に搭載して構成される。
一方、Y軸ステージ3Yは、X軸ステージ3Xの上に設けられたリニアモータ(不図示)を備えてなる。このY軸ステージ3Yの上には、X軸方向を向いた移動鏡6Xと、Y軸方向を向いた移動鏡(不図示)とが固定される。
一方、不図示のY軸用の移動鏡と、Y軸用のレチクル干渉計7Yとにより、Y軸ステージ3YのY座標YRが計測される。
計測されたX座標XRおよびY座標YRは、露光装置100全体の動作を統括制御する中央制御系8にコネクタ17、18を介して供給される。
中央制御系8は、レチクルRの位置情報(XR,YR)に基づいて、レチクルステージ駆動系15を制御することにより、レチクルRの位置決めを行う。
このウェハWは、ウェハ側ステージ装置10に装着される。このウェハ側ステージ装置10は、ウェハWをX軸方向に移動するためのX軸ステージ10Xと、ウェハWをY軸方向に移動するためのY軸ステージ10Yとを、ベース11の上に搭載して構成される。
一方、Y軸ステージ10Yは、X軸ステージ10Xの上に設けられたリニアモータ(不図示)を備えてなる。このY軸ステージ10Yの上には、X軸方向を向いた移動鏡13Xと、Y軸方向を向いた移動鏡(不図示)とが固定される。
一方、不図示のY軸用の移動鏡と、Y軸用のウェハ干渉計14Yとにより、Y軸ステージ10YのY座標YWが計測される。
計測されたX座標XWおよびY座標YWは、中央制御系8にコネクタ19,20を介して供給される。
また、ウェハ側ステージ装置10は、X軸方向のリニアモータ12と、Y軸方向のリニアモータを駆動するウェハステージ駆動系16を備える。なお、このウェハステージ駆動系16は、モータを保護するための保護装置(後述)を備える。
中央制御系8は、ウェハWの位置情報(XW,YW)に基づいて、ウェハステージ駆動系16を制御することにより、ウェハWの位置決めを行う。
図2は、ウェハステージ駆動系16におけるリニアモータ12のドライブ回路部分を示す図である。この図2に示すように、リニアモータ12を保護するため、保護回路33a〜33cが設けられる。
なお、ウェハステージY軸側のリニアモータや、レチクルステージ駆動系15にも、同様の保護回路が備えられる。これらの保護装置は、下記に説明する保護装置33a〜33cと原理的に同一構成のため、ここでの重複説明を省略する。
まず、ウェハステージ駆動系16は、中央制御系8からのステージ駆動指令を受ける。ウェハステージ駆動系16は、このステージ駆動指令に従って、リニアモータ12のコイルCH1〜CH3に与える供給電流をそれぞれ決定し、制御信号としてPWM電流ドライバ31a〜31cに与える。
PWM電流ドライバ31a〜31cは、与えられる制御信号と、検流抵抗32a〜32cからのフィードバックとに基づいて、パルス幅変調信号を生成する。PWM電流ドライバ31a〜31cは、このパルス幅変調信号に従って駆動電源(不図示)をスイッチングし、このスイッチング波形を平滑化することによって、電流増幅された供給電流を生成する。
検流抵抗32a〜32cの両端電圧は、PWM電流ドライバ31a〜31cにフィードバックされると共に、保護回路33a〜33cへそれぞれ与えられる。保護回路33a〜33cから出力される保護信号は、PWM電流ドライバ31a〜31cおよびステージコントローラ30に与えられる。
図3は、保護回路33a(保護回路33b、33cも同一構成)の構成を示す図である。
以下、図3を用いて、保護回路33aの構成を説明する。
まず、検出回路40は、検流抵抗32aの両端電圧を差分増幅することにより、コイルCH1への供給電流Iをリアルタイムに検出する。乗算器41は、この供給電流Iの検出結果を二乗し、二乗値I2に抵抗分rを乗じた信号I2rを生成する。
このような信号処理では、コイルCH1内部の発生熱が、信号I2rとして推定される。
なお、供給電流Iには、PWM電流ドライバ31aのリップルノイズ等が含まれる。このようなノイズ分も、乗算器41を通過することによって二乗される。この二乗演算によって、倍周波数成分のノイズが、信号I2r内に含まれる。
ノイズ除去用ローパスフィルタ42を通過した信号I2rは、温度推移模擬部43に入力される。この温度推移模擬部43には、保護対象の熱回路モデルに基づいた回路が設けられる。
図3には、この保護対象の熱回路モデルに基づいて設計された一例として、蓄熱抵抗Ri、放熱抵抗Ro、および熱容量Ciからなる時定数回路を示す。この時定数回路では、発生熱I2rが、所定の時定数の遅れを持って熱容量Ciに徐々に蓄積される。本実施形態では、この時定数の値を、10〜20sec程度に設定している。
このような回路の挙動により、コイルCH1の温度推移を、正確にシミュレーションすることができる。
コンパレータ44は、この温度推移を示す電圧Vtの変動と、閾値電圧TH1とを比較する。この閾値電圧TH1は、コイルCH1の運用に支障のない上限温度に対応した電圧値である。このコンパレータ44の比較出力は、否定回路45を経て負論理の保護信号となる。
一方、温度推移を示す電圧Vtが閾値電圧TH1を上回る警戒域に入ると、保護信号はローレベルに変化する。この保護信号のローレベル変化を契機にして、PWM電流ドライバ31aないしステージコントローラ30は、供給電流Iの制限(遮断も含む)を実施する。この供給電流Iの制限により、コイルCH1の温度上昇が、運用に支障を生じる状態に至ることを未然に防ぐことができる。
この保護信号のハイレベル復帰により、PWM電流ドライバ31aないしステージコントローラ30は、供給電流Iの制限(遮断も含む)を解除し、通常通りのリニアモータ12の駆動制御に戻る。
本実施形態では、供給電流Iの二乗に基づいて信号I2rを求めることで、コイルCH1内の発生熱を推定する。さらに、温度推移模擬部43は、この発生熱に基づいて、コイルCH1内の温度推移を推定する。
この図4に示されるように、『リニアモータ12の定格電流値』と『リニアモータ12の焼損限界』との狭い間を巧みに縫って、保護回路33aの電流制限を適切なタイミングで働かせることに成功している。
その結果、本実施形態の露光装置100では、微小距離のステージ移動を高速化したり、短時間の急速加速や急速停止を実行したりすることが、安全に実現する。このような性能向上によって、露光装置100のスループット(単位時間当たりの露光処理能力)を、安全に高めることが可能になる。
以下、上述した本実施形態と発明との対応関係について説明する。なお、ここでの対応関係は、参考のために一解釈を例示するものであり、本発明を徒らに限定するものではない。
請求項記載の熱推定部は、乗算器41およびノイズ除去用ローパスフィルタ42に対応する。
請求項記載の温度推移模擬部は、温度推移模擬部43に対応する。
請求項記載の保護部は、コンパレータ44に対応する。
請求項記載の二乗部は、乗算器41に対応する。
請求項記載のローパスフィルタは、ノイズ除去用ローパスフィルタ42に対応する。
請求項記載のモータは、リニアモータ5,およびリニアモータ12に対応する。
請求項記載のステージ機構は、レチクルステージ駆動系15,ウェハステージ駆動系16に対応する。
請求項記載の照明部は、照明光学系1に対応する。
なお、上述した実施形態では、説明を簡明にするために、ノイズ除去用ローパスフィルタ42と温度推移模擬部43とを別構成としている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ノイズ除去用ローパスフィルタ42と温度推移模擬部43とを一体構成して、図3に示す2次ローパスフィルタ47に置き換えることも可能である。
《本発明の適用に適した露光装置の例》
以下、本発明の適用に適した各種の露光装置について例示する。
さらに、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置に、本発明を採用してもよい。
なお、本発明の露光装置は、半導体製造用の露光装置に限らない。例えば角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置に、本発明を採用してもよい。
例えば、電子線を用いる場合、電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。
さらに、電子線を用いる場合、マスクを用いる構成としてもよいし、マスクを用いずに電子線による直接描画によって基板上にパターンを形成する構成としてもよい。
また、電子線を用いる場合、光学系として電子レンズ、及び偏向器からなる電子光学系を用いてもよい。
さらに、波長200nm程度以下の真空紫外光(VUV光)を用いる露光装置では、投影光学系として反射屈折系の光学系を用いることも考えられる。このような光学系としては、例えば、特開平8−171054号公報及びこれに対応する米国特許第5,668,672号、並びに特開平10−20195号公報及びこれに対応する米国特許第5,835,275号等に開示されている。
また、反射光学素子としては、ビームスプリッタを用いず凹面鏡等を有する反射屈折型の光学系を用いることもできる。このような構成は、特開平8−334695号公報及びこれに対応する米国特許第5,689,377号、並びに特開平10−3039号公報及びこれに対応する米国特許出願第873,605号(出願日1997年6月12日)等に開示されている。
さらに、ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージの移動面側に設けてもよい。なお、平面モータとしては、例えば、特開平11−271925号に開示されている構成のモータを用いることができる。
また、レチクルステージの移動により発生する反力を、例えば、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この発明はこのような反力処理機構を備えたレチクルステージにも適用可能である。
2 ダイクロイックミラー
3 レチクル側ステージ装置
4 レチクルベース
5A 固定子
5B 可動子
5 リニアモータ
6X 移動鏡
7X レチクル干渉計
7Y レチクル干渉計
8 中央制御系
10 ウェハ側ステージ装置
10X X軸ステージ
10Y Y軸ステージ
11 ベース
12 リニアモータ
12A 固定子
12B 可動子
13X 移動鏡
14Y ウェハ干渉計
15 レチクルステージ駆動系
16 ウェハステージ駆動系
30 ステージコントローラ
31a〜31c PWM電流ドライバ
32a〜32c 検流抵抗
33a〜33c 保護回路
40 検出回路
41 乗算器
42 ノイズ除去用ローパスフィルタ
43 温度推移模擬部
44 コンパレータ
47 2次ローパスフィルタ
100 露光装置
Claims (6)
- 負荷装置を保護するための保護装置であって、
前記負荷装置への供給電流に基づいて前記負荷装置に発生する熱を推定する熱推定部と、
前記熱推定部により推定される熱と、予め定められる前記負荷装置の熱回路モデルとに基づいて、前記負荷装置の温度の推移をシミュレーションする温度推移模擬部と、
前記温度推移模擬部により推定される温度に応じて、前記負荷装置への前記供給電流を制限する保護部と
を備えたことを特徴とする保護装置。 - 請求項1に記載の保護装置において、
前記温度推移模擬部は、
前記熱推定部により推定される熱と、前記負荷装置の熱容量および熱抵抗とに基づいて、前記負荷装置の温度推移をシミュレーションする
ことを特徴とする保護装置。 - 請求項1または請求項2に記載の保護装置において、
前記熱推定部は、
前記供給電流の二乗値に比例する値を求めて、前記負荷装置に発生する熱を推定する二乗部と、
前記供給電流のノイズ分を二乗することによって、熱の推定結果に含まれる倍周波数のノイズ成分を抑制するためのローパスフィルタとを備える
ことを特徴とする保護装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の保護装置と、
前記保護装置により保護されるモータと
を備えたことを特徴とするモータ装置。 - ステージ上において対象物を移動するステージ装置であって、
請求項4に記載のモータ装置と、
前記モータ装置に電力供給し、前記モータ装置に発生する駆動力によって前記対象物を移動するステージ機構と
を備えたことを特徴とするステージ装置。 - レチクルを照明する照明部と、
前記レチクルの像を露光対象に投影する投影部とを備えた露光装置であって、
請求項5に記載のステージ装置を備え、
前記ステージ装置により、前記レチクルおよび前記露光対象の少なくとも一方を移動する
ことを特徴とする露光装置。
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