JP4759930B2 - 露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子や液晶表示素子等のデバイス製造工程において、マスクのパターン像をウエハ等の基板上に投影露光する露光装置および基板にデバイスパターンを転写するデバイス製造方法に関するものである。
半導体デバイスまたは液晶表示デバイス等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、レチクル(マスク)のパターン像を投影光学系を介して感光基板上の各ショット領域に投影する投影露光装置が使用されている。なお近年では、パターンの微細化に伴って、ステップ・アンド・リピート方式からステップ・アンド・スキャン方式(以下、スキャン方式)の露光装置が主流と成りつつある。
例えば半導体デバイスなどのマイクロデバイスは、感光基板として、感光材が塗布されたウエハ上に多数層の回路パターンを重ねて形成されるので、2層目以降の回路パターンをウエハ上に投影露光する際には、ウエハ上の既に回路パターンが形成された各ショット領域とこれから露光するレチクルのパターン像との位置合わせ、即ちウエハとレチクルとの位置あわせ(アライメント)を精確に行う必要がある。このアライメントは、ウエハ上の位置あわせ用パターン(アライメントマーク)を計測し、その計測結果に基づいて統計的演算処理を行うことで、各ショット領域の位置を求める(特許文献1)。
従来、ウエハ上のアライメントマークを計測するアライメントセンサとしては、投影光学系近傍に配設されたオフアクシス方式の計測光学系を用いる方法が知られている。この方法は、投影光学系とは別に設けられた計測光学系を用いて(介して)アライメントマーク位置を計測した後、投影光学系と計測光学系との間の距離であるベースライン量に関する一定量を加味してウエハステージを送り込むだけで、直ちにレチクルのパターンをウエハ上のショット領域に正確に重ね合わせて露光することができるものである。このように、ベースライン量は、フォトリソグラフィ工程において極めて重要な操作量である。
ところが、ウエハステージまたはレチクルステージを駆動するモータ等が発熱すると、投影光学系や計測光学系を支持しているコラムに熱が伝わり、コラムが膨張・変形し投影光学系や計測光学系の位置・角度がずれて、ベースラインの変動につながることになる。また、ステージの位置は干渉計を用いて計測されるが、干渉計光路の温度が変化すると、ステージの位置決め誤差が発生する。特に、レチクル側の温度が変化すると、レチクルマークの投影像の位置が変化して、ベースライン測定値が変化することになる。
この問題点に対応するため、モータに冷媒を流して、モータの温度を一定にする方法が提案されている。この方法は、モータの固定側に設けられたコイルとそのケーシングとの間に冷媒を流して、コイルを冷却するものである。なお、ケーシングに対する冷媒の入口付近および出口付近に温度センサを設置し、各温度センサによる測定結果の平均値または所定の内分値が、モータの静止時と同じ温度になるように制御している。
特開昭61−44429号公報
しかしながら、上述したような従来の露光装置及び露光方法には、以下のような問題が存在する。
近年では、半導体デバイスの線幅の微細化にともなって、露光装置の結像特性の向上や、重ね合わせ露光の精度の向上が求められているが、一方で露光処理のスループット(生産性)の向上も求められているため、この両方の要求を両立させることが技術的な課題となっている。なお、露光処理のスループットを向上させるためには、レチクルおよびウエハを搭載するステージの速度および加速度を向上させることが望ましい。そこで、各ステージを駆動するためのモータの出力が増加しつつある。
図5(a)は、モータ温度の経時変化を示すグラフである。時刻t0において露光動作が開始されると、モータが静止状態から急激に駆動(加速)されるため、モータの温度は上昇を始める。その温度上昇を温度センサが検知して温度を下げようとするが、温調機による冷媒の冷却時間の遅れや、冷媒の循環時間の遅れなどにより、温度制御が追いつかず、温度が一時的にプラスに振られてしまう(オーバーシュート)。一方、しばらくすると、モータの発熱に温調機が追いつき、モータ温度は目標値T0に戻って安定する。ところが、露光動作が終了すると、逆にモータの温度が降下を始め、一時的にマイナスに振られてしまう(アンダーシュート)。
なお、上述したモータ温度のオーバーシュートおよびアンダーシュートを解消するため、温調機の応答を鋭くすることも考えられる。しかしながら、この場合には制御が過敏になりすぎて、モータの動き始めではなく、単なる外乱にも鋭く反応してしまい、温度制御の精度をかえって悪化させてしまう。また、モータの動き始めと終わりに反応させるため、冷媒の配管を太くしたり、配管の耐圧を上げたり、冷凍機を大きくしたりして、冷媒の流量や流速を増加させることも考えられる。しかしながら、安定状態では過剰な設備をつけることになりスペースやコスト面から不利となる。
そして、このようなモータ温度のオーバーシュートおよびアンダーシュートにより、図5(b)に示すようにベースライン量が変化することになる。その結果、露光精度が低下するという問題がある。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、モータ温度のオーバーシュートおよびアンダーシュートがあっても、露光精度の確保が可能な露光装置及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、実施の形態を示す図1ないし図7に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光装置は、マスクステージ(RST)上に載置されたマスク(R)上のパターンを照明ビームで照明し、投影光学系(PL)を介して、基板ステージ(WST)上に載置された基板(W)上に転写する露光装置(1)において、前記基板上に形成された位置あわせ用パターンの位置を、前記投影光学系とは異なる計測光学系を介して計測する計測手段(90)と、前記ステージ又はその周囲の温度に関する温度関連情報を得る情報獲得手段(84)と、前記投影光学系の視野内の所定位置と、前記計測光学系の計測視野内の所定位置との間の距離であるベースライン量の補正の必要性を、前記情報獲得手段(84)の出力に基づいて判別する制御手段(10)と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、ステージ又はその周囲の温度に関する温度関連情報に基づいてベースライン量の補正の必要性を判断するので、ステージ又はその周囲の温度変動に起因するベースライン変動に対応しつつ露光処理を行うことが可能になる。したがって、露光精度を確保することができる。
また、本発明の露光装置は、マスクステージ(RST)上に載置されたマスク(R)上のパターンを照明ビームで照明し、基板ステージ(WST)上に載置された基板(W)上に転写する露光装置(1)において、前記ステージ又はその周囲の温度に関する温度関連情報を得る情報獲得手段(84)と、前記情報獲得手段(84)の出力に基づいて、前記基板ステージ(WST)の動作に制限を与える制御手段(10)と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、ステージ又はその周囲の温度に関する温度関連情報に基づいて基板ステージの動作に制限を与えるので、ステージ又はその周囲の温度変動に起因するベースライン変動を抑制することができる。したがって、露光精度を確保することができる。
また、前記制御手段(10)は、前記ステージを停止せしめる時間の長さを制御するか、又は前記ステージを駆動する際の加減速度あるいは駆動速度に所定上限値を与えながら駆動することが好ましい。
一般に、ステージ(WST)を駆動するモータ(33)は、加減速時にもっとも温度変動が大きくなる。そこで、ステージを駆動するモータを一時停止せしめることにより、またステージを駆動する際の加減速度あるいは駆動速度に所定上限値を与えることにより、ステージの温度変動を抑制して、ベースライン変動を所定許容値内に収めることができる。したがって、露光精度を確保することができる。
また、前記制御手段(10)は、前記温度関連情報が所定基準値を超えていた場合、又は前記温度関連情報に基づいて算出された前記ベースライン量の変動量が所定許容値を超えていた場合には、前記計測手段(90)を用いて前記ベースライン量を計測することが好ましい。
この構成によれば、ベースライン量の変動量が所定許容値を超えている蓋然性が高い場合に限ってベースライン量の計測を行うことができるので、露光処理のスループットを確保することができる。
一方、本発明のデバイス製造方法は、上述した露光装置(1)を用いて、前記マスク(R)上に形成されたデバイスパターンを、前記基板ステージ(WST)により位置決めされた基板(W)上に転写露光する工程を含むことを特徴としている。
この構成によれば、露光精度の確保とスループットの向上との両立が可能な露光装置を用いてデバイスを製造することができるので、高精度かつ低コストのデバイスを提供することができる。
本発明では、上述したように、位置あわせ用パターンの位置の計測手段と、温度関連情報の情報獲得手段と、ベースライン量の補正の必要性を判別する制御手段とを有する構成としたので、ステージ又はその周囲の温度変動に起因するベースライン変動に対応しつつ露光処理を行うことが可能になる。したがって、露光精度を確保することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態の露光装置につき、図1ないし図6を参照して説明する。ここでは、例えば露光装置として、露光中(パターン転写中)にレチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。
図1に示す露光装置1は、露光用照明光によりレチクル(マスク)Rを照明する照明光学系(不図示)と、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)RSTを含むレチクルステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ)WSTを含むウエハステージ装置7と、ウエハW上に形成された位置あわせ用パターンの位置を計測する計測手段90と、各ステージ装置4,7および計測手段90の動作を制御する制御手段10とから概略構成されている。ここで、投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向(スキャン移動方向)をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
照明光学系は、光源からの露光用照明光によりレチクルR上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明するものである。露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)や軟X線(EUV光)などが用いられる。
図2は、レチクルステージ装置の斜視図である。レチクルステージRSTは、レチクル定盤3上を一対のリニアモータ(駆動源)15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上において一対のXボイスコイルモータ(駆動源)17Xおよび一対のYボイスコイルモータ(駆動源)17YによりX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(図1では、これらを1つのステージとして図示している)。このレチクル微動ステージには、バキュームチャック54を介してレチクルが吸着保持されるようになっている。
図2に示すリニアモータ15は、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によってレチクル定盤3上に浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20はカウンターマスとして−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングにより非接触で支持されている。
レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージRSTのX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。
図3は、ウエハステージ装置の斜視図である。ウエハステージ装置7は、ウエハステージWSTと、このウエハステージWSTを支持するウエハ定盤6と、ウエハステージWSTをX方向に相対移動させるXガイドバーXGと、ウエハステージWSTをY方向に相対移動させるYリニアモータ33とを主体に構成されている。
XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には磁石ユニットを備えた可動子36,36がそれぞれ設けられている。また、これらの可動子36,36に対応するコイルユニットを備えた固定子37,37が、ベースプレート(不図示)に突設された支持部に設けられている。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のYリニアモータ(駆動源)33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGがY方向に移動するとともに、Yリニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このYリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージWST(および試料台ST、以下単に試料台STと称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。
また、XガイドバーXGの−X方向側には、Xトリムモータ34の可動子が取り付けられている。Xトリムモータ34は、X方向に推力を発生することでXガイドバーXGのX方向の位置を調整するものであって、その固定子(不図示)はリアクションフレームに設けられている。このため、ウエハステージWSTをX方向に駆動する際の反力は、リアクションフレームを介してベースプレートに伝達される。
ウエハステージWSTは、XガイドバーXGに埋設された固定子を有するXリニアモータ(駆動源)35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージWSTに取り付けられている。ウエハステージWSTの上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図1参照、図3では図示略)。
図1に示すように、ウエハステージWSTのX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージWSTの一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって、所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡によってウエハステージWSTのY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計のうち、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージWST(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
図1に示す投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている(なお露光光として前述のEUV光を用いる場合には、反射光学素子で全て構成される投影光学系が用いられる)。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
また、レチクルステージRSTの上方には、一対のレチクルアライメント顕微鏡92が設けられている。このレチクルアライメント顕微鏡92は、投影光学系を介して、ウエハWまたは基準板9上の位置あわせ用パターンの位置を観察するものである。一方、投影光学系PLにおける鏡筒の外周には、計測光学系としてウエハアライメント顕微鏡(90)が設けられている。このウエハアライメント顕微鏡は、投影光学系とは別個にウエハWまたは基準板9上の位置あわせ用パターンの位置を観察する計測手段90(オフアクシス方式のアライメント計測系)を構成している。
次に、各ステージを駆動するリニアモータの温調機構につき、図4を用いて説明する。なお、以降の説明では、ウエハステージのモータの温調に基づく説明を行うが、レチクルステージのモータ15にも温度センサ104を設けておき、以降で説明するウエハステージの温度センサ84と同様の構成/使用形態で使用されるものとする。図4は、リニアモータの温調機構の説明図である。なお以下には、ウエハ粗動ステージを駆動するYリニアモータ(以下、単にモータと呼ぶ)の温調機構を例として説明する。
ウエハ粗動ステージをY方向に駆動するモータ33は、固定側にコイル62が設けられているとともに、可動側にムービングマグネットと呼ばれる磁石(不図示)が設けられている。なお、発熱するのは固定側のコイル62であり、このコイル62を冷却する必要がある。そこで、コイル62の周囲にはケーシング66が設けられ、コイル62とケーシング66との間に冷媒64が封入されている。なお、ケーシング66の外側をマグネットが移動するようになっている。冷媒としては、HFE(ハイドロ・フルオロ・エーテル)やフロリナートを用いることが可能であるが、地球環境保護の観点から、地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数も低い、HFEが好適に用いられる。また、冷媒としては、これに限られるものではなく、水(不純物が取り除かれた純水が好ましい)を使用しても良い。
また、ケーシング66から冷媒64の供給配管および戻り配管が延設され、外部の温調機80に接続されている。その温調機80は、モータ33から戻された冷媒64を所定温度に調整するとともに、その冷媒64をモータ33に対して再供給し得るようになっている。なお、ケーシング66に対する冷媒64の入口付近および出口付近には、温度センサ84a,84bが設けられている。この温度センサ84a,84bは、モータ33を温調する冷媒の温度を計測するものである。そして、温度センサ84a,84bは、制御手段10に接続されている。その制御手段10は、上述した温調機80に接続されている。そして、各温度センサ84a,84bによる温度測定結果の平均値が、モータ静止時と同じ温度になるように、制御手段10が温調機80を制御するようになっている。なお温度センサ84a,84bは、液体そのものではなく、ケーシングを測定するよう構成されていてもよい。
図5(a)は、モータの温度の経時変化を示すグラフである。時刻t0において露光動作が開始されると、モータが静止状態から急激に駆動(加速)されるため、モータの温度は上昇を始める。すると、図4に示す温度センサ84a,84bが温度上昇を検知して、制御手段10および温調機80がモータ温度を下げようとする。しかしながら、温調機80による冷媒64の冷却時間の遅れや冷媒64の循環時間の遅れなどにより温度制御が追いつかず、図5(a)に示すように温度が一時的にプラスに振られてしまう(オーバーシュート)。しばらくするとアモータの発熱に温調機が追いつき、モータの温度は目標値T0に戻って安定する。ところが、時刻t1において露光動作が終了すると、逆にリニアモータの温度が降下を始め、一時的にマイナスに振られてしまう(アンダーシュート)。
そして、このようなモータの温度のオーバーシュートおよびアンダーシュートにより、露光装置のベースライン量が変化することになる。ベースライン量とは、投影光学系PLの視野内の所定位置と計測光学系(90)の視野内の所定位置との間の距離である。なお、モータ以外の温度変動によっても、露光装置のベースライン量は変化する。
そこで、図1に示す制御手段10は、露光装置の温度関連情報に基づいて、ベースライン量の補正の必要性を判別するようになっている。
この制御手段10は、まず露光装置の温度関連情報を取得する。露光装置の温度関連情報として、上述したYリニアモータ33を温調する冷媒の温度のように、特にベースライン変動に因果関係を有する温度関連情報を取得する。具体的には、発熱源の温度や、発熱源近傍の温度、発熱源を温調する冷媒の温度などを取得する。
その発熱源として、ウエハを載置するウエハステージの駆動手段のほかに、レチクルを載置するレチクルステージの駆動手段などが挙げられる。ウエハステージWSTの駆動手段とは、図1に示すように、例えばウエハステージWSTをY方向に駆動するYリニアモータ33、およびウエハステージWSTをX方向に駆動するXリニアモータ35(図3参照)である。またレチクルステージの駆動手段とは、図1に示すように、例えばレチクルステージRSTをY方向に駆動するリニアモータ15である。これらは、通電によりジュール熱を発生させるからである。また発熱源として、照明ビームの受光により吸熱したレチクルやウエハ、投影光学系などを挙げることも可能である。
一方、発熱源近傍の温度を取得する場合には、レチクルステージやウエハステージの温度、またはその周辺の空気温度などを取得することが考えられる。また、投影光学系を支持しているメインボディの温度を取得してもよい。
そして、発熱源やその近傍の温度の取得は、温度関連情報の獲得手段を用いて行う。この温度関連情報獲得手段として、発熱源やその近傍に装着された温度センサを採用することが可能である。また、発熱源を温調する冷媒の温度を取得する場合には、図4に示すように、発熱源に対する冷媒64の入口付近および出口付近に温度センサ84a,84bを設けて、冷媒64の温度を実測すればよい。
なお温度関連情報として、発熱源の温度等を実測する代わりに、発熱源の温度等の計算値を取得してもよい。この場合、発熱源の温度等を露光開始以前に知ることができるので、迅速にベースライン補正を行うことが可能になる。例えば、発熱源の温度の計算値は、設定された露光シーケンスに基づいて算出することができる。露光シーケンスとして、全露光時間に占めるモータの加速時間の比率(Duty)を目安にすればよい。なおモータDutyの計算は、単純化のため、ステージの加速度および加速時間を常に一定として行うことができる。以下に、スキャン機のモータDutyの算出方法について説明する。
まず、レチクルステージをスキャン方向(Y方向)に駆動するリニアモータの場合、そのモータDutyは次式で表される。
Duty=ショット数×加速時間×2/ウエハ1枚の露光時間 ‥(1)
また、ウエハステージ装置のXガイドバーXGをスキャン方向(Y方向)に駆動するYリニアモータの場合、そのモータDutyは次式で表される。
Duty=(ショット数+アライメントショット数+スキャン方向ステップ数
+ウエハ交換時移動数)×加速時間×2/ウエハ1枚の露光時間 ‥(2)
また、ウエハステージ装置のウエハステージを非スキャン方向(X方向)に駆動するXリニアモータの場合、そのモータDutyは次式で表される。
Duty=(アライメントショット数+非スキャン方向ステップ数
+ウエハ交換時移動数)×加速時間×2/ウエハ1枚の露光時間 ‥(3)
ここで、上記各式のショット数およびアライメントショット数は、露光条件から決定される。またステップ数は、ウエハに対する露光方法によって決定される。通常では、スキャン方向に移動しながら露光し、端部に到達すると次の列に移るので、スキャン方向ステップ数+非スキャン方向ステップ数=ショット数−1となる。ただし、スキャン誤差を一定にするため一方向のみにスキャンする場合には、各列のスキャン後にステージを逆方向端部に戻す動作が必要になるので、モータの発熱量が大きくなる。なお、ウエハ交換時移動とは、ローディングポジションへの往復をいう。
なお、上記各式はスキャン機のモータDutyの算出方法である。これに対して一括機では、レチクルステージの駆動源がほとんど発熱しないので、そのモータDutyを算出する必要はない。一方、ウエハステージのモータDutyの算出には、ショット数を除外した上で数式(2)を採用することが可能であり、また数式(3)はそのまま採用することが可能である。
ところで、上記各式は単純化のために加速度および加速時間をどの移動でも一定としたが、実際は移動ごとに加速度および加速時間が異なることが多い。例えば、指定された露光エネルギーが大きい場合にはゆっくりとスキャンする必要があるので、露光時の加速度および加速時間は異なることになる。また、ショット間の移動は距離が短いことから、最高加速度および最高速度に達しないことが多い。しかしながら、この場合には、ステージの制御法により決まる最高速度と加速度、加速時間の関係、あるいはステップピッチと加速度、加速時間の関係を表す数式またはテーブルを準備しておけば、露光条件からモータDutyを算出することが可能である。なお、発熱量は加速度の2乗に比例するので、発熱への効果は2乗で計算する必要がある。
なお以上には、温度関連情報として露光装置各部の温度の測定値または計算値を取得する場合について説明したが、温度関連情報として露光装置各部の湿度の測定値または計算値を取得してもよい。露光装置内をケミカル的にクリーンにするため、空調機にケミカルフィルタを備えた温空調器を使用する露光装置が存在する。ケミカルフィルタは、フィルタを通過する気体に含まれる湿度を吸排する際に、吸熱または発熱する性質を有する。このフィルタにおける吸熱または発熱によって、ケミカルフィルタを通過して露光チャンバ内に供給される気体の温度が上下動することがある。そこで例えば、ケミカルフィルタの通過前および/または通過後における気体の湿度の実測値を取得することにより、ベースライン変動につながる環境情報を取得することができるのである。
一方、本実施形態の制御手段10は、上述した温度関連情報に基づいて、ベースライン量を求めるようになっている。
図5(b)はベースライン変動を表すグラフである。図5(a)のようにモータ温度が変化すると、投影光学系PLや計測光学系(90)(図1参照)を支持しているメインボディに熱が伝わる。これにより、メインボディが膨張・変形して投影光学系PLや計測光学系(90)の位置・角度がずれると、ベースライン変動が発生する。すなわち、モータの温度変化に遅れてベースライン変動が発生することになる。本実施形態の制御手段は、ベースライン量として図5(b)に示すようなベースライン変動を求めることになる。
そのため、まずベースライン量の推定値を求める。その推定値を求めるため、あらかじめ発熱源の温度変化とベースライン変動との関係を実験により求めて、対応テーブルを作成しておく。その際、温度変化のグラフのピーク値や、そのピーク値までの時間などをパラメータとして、ベースライン変動との対応テーブルを作成しておくことが望ましい。そして、前工程で求めた温度変化のグラフを対応テーブルに当てはめて、ベースライン量の推定値を取得する。これにより、ベースライン量の推定値を正確に求めることができる。
上記で求めたベースライン量の推定値に基づいて、直ちにベースライン補正を行うことも可能であるが、露光精度を確保するためには、ベースライン量の測定値に基づいてベースライン補正を行うことが望ましい。そこで、露光誤差の許容範囲等に基づいて、あらかじめベースライン変動の許容値を設定しておく。そして、ベースライン量の推定値が設定した許容値を超えて変動する場合に、制御手段は計測手段がベースライン量を計測するように制御する。すなわち、露光開始時にベースライン計測をした後は、ベースライン推定値が許容値を上回る時点(t61)でベースライン計測を行う。その後は、前回のベースライン測定値を基準として、ベースライン量が許容値を超えて変動する場合に、再度ベースライン計測を行う。これにより、露光誤差を常に許容範囲内に抑えることが可能になり、露光精度を確保することができる。
なお、露光装置の温度関連情報があらかじめ設定された許容値を超えた場合に、直ちにベースライン測定値を求めてもよい。
なお、時刻t61で行ったベースライン計測の結果に基づいて、ベースラインの推定値を修正することが望ましい。これにより、それ以後のベースライン計測を的確なタイミングで行うことができる。この場合、計算の誤差を計測で補うことが可能になり、各計測間のベースライン量の変化は計算で求めることが可能になる。したがって、スループットの低下を最小限に抑えることができる。
なお、制御手段10は、温度センサ等の温度関連情報獲得手段の出力とは無関係に、所定のタイミングでベースライン量を測定せしめるよう、前記計測手段を制御してもよい。そして、ベースライン変動量の推定値が所定許容値を超えている間は、前記タイミングよりも短い期間ごとにベースライン量を測定せしめることが望ましい。そして、その都度ベースラインの補正を行うようにすれば、露光精度を確保することができる。なお、ベースライン計測時には露光が中断するので、発熱源の温度上昇を抑える効果も期待できる。
なお、露光装置の温度関連情報があらかじめ設定された許容値を超えた場合に、前記タイミングよりも短い期間ごとにベースライン量を測定せしめてもよい。
そして、ベースライン測定値に基づいて、ベースライン補正を行う。すなわち、新たに測定したベースライン量が前回測定したベースライン量と異なる場合には、新たに測定したベースライン量を基準としてその後の露光動作を行う。なお、新たに測定したベースライン量が、ベースライン量の許容値を超えている場合にのみ、新たに測定したベースラインを基準としてその後の露光動作を行うようにしてもよい。
次に、本実施形態の露光方法につき、図1を用いて説明する。なお以下には、露光方式としてステップ・アンド・スキャン方式を採用した場合を例にして説明する。
まず、ウエハステージWSTに載置されたウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が予め設定される。その後、レチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われる。さらに、ウエハWのファインアライメントが行われ、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が決定される。
ベースライン計測は、例えば以下のようにして行う。まず、レチクルアライメント顕微鏡92により、投影光学系PLを通して、レチクルR上のマークと、ウエハステージWST上に設置された基準板9上のマークとを同時に観察する。そして、双方のマークが重なるようにウエハステージWSTの位置合わせを行う。これにより、レチクルRの像が基準板9の所定の位置に投影されることになる。次に、ウエハアライメント顕微鏡(90)により、ウエハステージWSTにおける基準板9上のマークを観察する。これにより、ウエハアライメント顕微鏡(90)の位置が検出され、投影光学系PLの光軸と計測光学系(90)の光軸との距離であるベースライン量が計測される。
ウエハWの露光のための準備動作が終了すると、アライメント結果に基づいて、ウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージWSTが移動される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY方向の同期走査を開始し、両ステージRST、WSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光によってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。
レチクルステージRST及びウエハステージWSTは、走査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速度とウエハステージWSTのY軸方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(等倍、1/5倍或いは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように同期制御される。そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が照明光により逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショットの走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介して第1ショットに縮小転写される。
このようにして、第1ショットの走査露光が終了すると、ウエハステージWSTがX、Y軸方向にステップ移動され、第2ショットの露光のため走査開始位置に移動される。そして、第2ショットに対して上記と同様の走査露光を行う。このようにして、ウエハW上のショットの走査露光と次ショット露光のためのステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショットの全てにレチクルRのパターンが順次転写される。
上述した一連の露光処理にともなって、露光装置の構成部材が発熱し、ベースライン変動が発生することになる。そこで本実施形態では、露光処理と並行して露光装置の温度関連情報を逐次求め、その温度関連情報に基づいてベースライン量を求め、そのベースライン量に基づいてベースラインの補正を行う。
以下には、ウエハステージ装置のモータ33を温調する冷媒の温度に基づいて、ベースライン補正を行う場合を例にして説明する。まず、図4に示す温度センサ84a,84bが、モータ33を温調する冷媒の温度を計測し、計測結果を図1に示す制御手段10に出力する。制御手段10は、温度関連情報とベースライン変動との対応テーブルに基づいて、入力された冷媒温度からベースライン量の推定値を求める。そして、求めたベースライン量の推定値が、あらかじめ設定された許容値を超えて変動している場合に、制御手段10は計測手段にベースライン量を計測させる。その計測手段は、上記のようにベースライン計測を行い、計測結果を制御手段に出力する。制御手段は、入力されたベースライン測定値に基づいてベースライン量の補正を行う。そして、補正されたベースライン量に基づいてその後の露光処理を行うべく、ウエハステージの駆動手段等を制御する。
このように本実施形態では、露光装置の温度関連情報に基づいて、ベースライン補正を行うので、露光精度を確保することができる。従来、ベースライン計測はウエハ交換時の露光開始前に行われ、その後はベースライン量が変化しないものとして露光処理が行われていた。なぜなら、ベースライン計測には時間がかかり、スループットが低下するからである。しかしながら、発熱源の急激な温度変化に対して温調機の温度制御を追従させるのは困難であり、ベースライン変動の発生は避けられない。この点、本実施形態では、露光装置の温度関連情報に基づいて、的確なタイミングでベースライン補正を行うことができるので、露光精度を確保することができる。
また本実施形態では、露光シーケンスに基づいて発熱源の温度変化を計算する。これにより、露光開始以前に発熱源の温度等を知ることが可能になり、迅速にベースライン補正を行うことができる。また本実施形態では、発熱源の温度変化とベースライン変動との関係を実験により求めてあらかじめ対応テーブルを作成し、計算した温度変化を対応テーブルに当てはめてベースライン量の推定値を取得する。これにより、ベースライン量の正確な推定値を取得することができる。また本実施形態では、露光誤差の許容範囲等に基づいてあらかじめベースライン変動の許容値を設定しておき、ベースライン量の推定値が許容値を超えて変動する場合に、ベースラインの測定値を求めてベースライン補正を行う。これにより、露光誤差が許容範囲を超える場合にのみベースライン計測を行うことが可能になり、ベースライン計測によるスループットの低下を最小限に抑えることができる。また、前回のベースライン測定値を基準として、ベースライン量が許容値を超えて変動する場合に、再度ベースラインの測定値を求めてベースライン補正を行う。したがって、露光誤差を常に許容範囲内に抑えることが可能になり、露光精度を確保することができる。
以上により、重ね合わせ露光の精度と露光処理のスループットとを両立させることが可能になる。また、露光オペレータが発熱量の多い露光シーケンスやチップサイズを選択した場合でも、重ね合わせ露光の精度の低下を防止することができる。
近年では、パターンの更なる微細化に伴って、ステップ・アンド・リピート方式からステップ・アンド・スキャン方式(以下、スキャン方式)の露光装置が主流と成りつつある。スキャン方式は、ウエハ及びレチクルの双方が露光中(パターン転写中)に走査するため、ウエハステージのみならずレチクルステージもモータ等の影響で熱を持ちやすくなり、ベースライン変動の発生が問題となる。しかしながら、本実施形態の露光装置では、温度関連情報に基づいてベースライン補正を行うので、スキャン方式の上記問題点を解決することが可能になり、露光精度を確保することができるのである。
[第2実施形態]
次に、本発明の露光装置の第2実施形態につき、図5および図6を参照して説明する。第1実施形態の露光装置は、温度関連情報に基づいてベースライン補正を行うものであったが、第2実施形態の露光装置は、温度関連情報に基づいて露光動作の中断時間の長さを設定することにより、ベースライン変動を許容値内に抑えるものである。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
図5を用いて上述したように、モータが静止状態から急激に駆動されるため、温調機による温度制御が追いつかず、モータ温度が一時的に上昇または下降することが、ベースライン変動の原因となる。そこで、制御手段は、モータを急激に駆動させることなく、徐々に負荷を変化させるようにする。
図6は、モータ発熱量の経時変化を表すグラフである。時刻t0で露光動作を開始した後、モータの駆動を適宜停止して、モータの発熱量の急激な増加を抑えながら露光する。その後、徐々にモータ停止時間を短縮し、時刻t91において温調機による温度制御が追いついた後は、モータを最大負荷で駆動する。一方、露光処理が終了に近づいた場合には、時刻t92から徐々にモータの停止時間を延長し、モータの負荷を徐々に減らして、時刻t1で露光を終了する。このようにすれば、モータ発熱量に対して温調機による温度制御を追従させることが可能になり、モータ温度を目標値に保持することができる。これにより、ベースライン変動を許容値内に抑えることができる。
このように、モータの負荷を徐々に変化させることにより、温調機をモータの発熱に追従させることが可能になり、図5(a)に示すようなモータ温度の一時的な上昇または下降を防止することができる。ただし、露光処理のスループットの低下を最小限に抑えるため、モータ温度が許容値内に収まる限界までモータの停止時間を短くし、スループットと露光精度との両立を図ることが望ましい。
なお、モータは加減速時に最も温度変動を生じるものである。そこで、制御手段は、モータの加減速度に制限を与えつつモータを駆動するようにしてもよい。すなわち、図6に示す時刻t0で露光動作を開始した後、モータの加速度を徐々に(加速度に上限値をもたせながら)継続的に増加させて、モータの発熱量の急激な増加を抑えながら露光する。時刻t91において温調機による温度制御が追いついた後は、モータを最大加速度で駆動する。一方、露光処理が終了に近づいた場合には、時刻t92からモータの加速度を徐々に(加速度に下限値をもたせながら)継続的に低下させて、モータの発熱量を徐々に減らしつつ時刻t1で露光を終了する。このようにすれば、ベースライン変動の抑制とスループットの確保とを両立させることができる。なお、モータの加速度に限らず、その速度に上限値をもたせるようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の露光装置の第2実施形態につき、図7を参照して説明する。第3実施形態の露光装置は、温度関連情報に基づいて投影光学系の結像特性の補正を行うものである点で、上記各実施形態と相違している。なお、上記各実施形態と同様の構成となる部分については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
近時では、露光処理のスループットを向上させるため、露光パワーの増加とともにモータ加速度が増加している。そのため、投影レンズやレチクル等の発熱が大きくなり、結像特性(フォーカスや倍率、ディストーション等)の変化が問題になっている。
結像特性の計測には、図7(a)に示すように、レチクルR上のスリットからのパターンをウエハステージ上のスリットパターン801を介してレンズ802、光電センサ803で受光する方法がある。ステージをスキャンして、光電センサ803の出力を取ると、図7(b)のグラフのような出力が得られる。このグラフのピークの高さからフォーカスを、ピークの座標からレチクル膨張と投影レンズ変化の両方を含む倍率、ディストーションを求めることができる。
本実施形態では、温度関連情報に基づいて結像特性の補正を行う。まず、投影レンズやレチクル等を温調する冷媒の温度を温度センサ等により計測し、その計測結果を制御手段10に出力する。制御手段10は、温度関連情報と結像特性変動との対応テーブルに基づいて、入力された冷媒温度から結像特性の推定値を求める。そして、求めた結像特性の推定値が、あらかじめ設定された許容値を超えて変動している場合に、制御手段10は、前記計測手段に対して結像特性の計測命令を出力する。その計測手段は、上述したように結像特性の計測を行い、計測結果を制御手段に出力する。制御手段は、入力された結像特性の測定値に基づいて結像特性の補正を行う。そして、補正された結像特性に基づいてその後の露光処理を行うべく、露光装置を制御する。
なお、上記各実施形態と同様に、結像特性の計測を行う間隔等を結像特性の推定値と許容値との関係で調整することにより、効率的に結像特性の補正を行うことができる。また結像特性の計測は、図7の方法に限定されることなく、例えば波面収差を測定する方法などが考案されている。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更も加え得ることは勿論である。
本発明の露光装置の全体構成を概略的に示す図である。 レチクルステージ装置の斜視図である。 ウエハステージ装置の斜視図である。 リニアモータの温調機構の説明図である。 (a)はリニアモータの温度変動を示すグラフであり、(b)は露光装置のベースライン変動を示すグラフである。 リニアモータの発熱量の変化を示すグラフである。 (a)は結像特性の測定方法の説明図であり、(b)は光電センサからの出力のグラフである。
符号の説明
1 露光装置
4 レチクルステージ装置
7 ウエハステージ装置
15 リニアモータ
33 Yリニアモータ
80 制御手段
84a,84b 温度センサ(温度関連情報獲得手段)
90 計測手段
PL 投影光学系
R レチクル
W 基板

Claims (6)

  1. マスクステージ上に載置されたマスク上のパターンを照明ビームで照明し、投影光学系を介して、基板ステージ上に載置された基板上に、駆動源により前記マスクステージ及び前記基板ステージを駆動しつつ前記パターンを転写する露光装置において、
    前記基板上に形成された位置あわせ用パターンの位置を、前記投影光学系とは異なる計測光学系を介して計測する計測手段と、
    前記マスクステージ及び前記基板ステージのうち少なくとも一方の駆動により発熱する前記駆動源の少なくとも一部又は前記駆動源を温調する温調媒体から、前記温調媒体を用いた前記駆動源の温調に起因する前記駆動源の温度のオーバーシュート及びアンダーシュートに関する温度関連情報を得る情報獲得手段と、
    前記投影光学系の視野内の所定位置と、前記計測光学系の計測視野内の所定位置との間の距離であるベースライン量の補正の必要性を、前記情報獲得手段の出力に基づいて判別する制御手段と、
    を有することを特徴とする露光装置。
  2. マスクステージ上に載置されたマスク上のパターンを照明ビームで照明し、基板ステージ上に載置された基板上に、駆動源によって前記マスクステージ及び前記基板ステージを駆動しつつ前記パターンを転写する露光装置において、
    前記マスクステージ及び前記基板ステージのうち少なくとも一方の駆動により発熱する前記駆動源の少なくとも一部又は前記駆動源を温調する温調媒体から、前記温調媒体を用いた前記駆動源の温調に起因する前記駆動源の温度のオーバーシュート及びアンダーシュートに関する温度関連情報を得る情報獲得手段と、
    前記情報獲得手段の出力に基づいて、前記基板ステージの動作に制限を与える制御手段と、
    を有することを特徴とする露光装置。
  3. 前記制御手段は、前記ステージを停止せしめる時間の長さを制御するか、又は前記ステージを駆動する際の加減速度あるいは駆動速度に所定上限値を与えながら駆動することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記制御手段は、前記温度関連情報が前記駆動源の温度のオーバーシュート及びアンダーシュートに基づいて設定された所定基準値を超えていた場合、又は前記温度関連情報に基づいて算出された前記ベースライン量の変動量が所定許容値を超えていた場合には、前記計測手段を用いて前記ベースライン量を計測することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. 前記制御手段は、前記情報獲得手段の出力とは無関係に所定のタイミングで前記ベースライン量を測定せしめるよう前記計測手段を制御するとともに、前記温度関連情報が前記所定基準値を超えていた場合又は前記ベースライン量の前記変動量が前記所定許容値を超えていた場合には、前記所定タイミングよりも短い期間毎に前記ベースライン量を測定せしめることを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
  6. 請求項1からのうちの何れか一項に記載の露光装置を用いて、前記マスク上に形成されたデバイスパターンを、前記基板ステージにより位置決めされた基板上に転写露光する工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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