JP2005292483A - 熱硬化性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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喜和 中島
Akira Kondo
明 近藤
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浩史 佐藤
Masami Okuo
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Abstract

【課題】
高温でのITOスパッタ時に膜表面に皺、クラック、および黄変が発生しない優れたITOスパッタ耐性を有し、かつ、カラーフィルター内外部から液晶汚染物質の移行抑制効果の優れた熱硬化型樹脂組成物、塗工液、およびこれらを硬化してなる樹脂硬化物、ならびにそれらの層を有する液晶表示装置、固体撮像素子、表示装置を提供する。
【解決手段】
エポキシ基含有樹脂(A)と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、およびカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸からなる群から選ばれる化合物である硬化剤(B)と、酸化防止剤(C)とを含有するカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)が、多価の(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル構造を有する酸化防止剤であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、およびその用途に関し、詳しくは、液晶表示装置(LCD)、固体撮像素子(CCD)、エレクトロルミネッセンス装置(EL)、プラズマディスプレイパネル装置(PDP)、発光ポリマー装置(LEP)、フィールド・エミッション表示装置(FED)等を構成するカラーフィルターの保護膜用組成物等に好適に使用できる熱硬化性樹脂組成物およびその用途に関する。
液晶表示関連装置の一部であるカラーフィルターの製造は、その工程中に酸・アルカリ溶液への浸漬処理、および多数の過酷な工程を経て製造される。これらの過酷な条件から、カラーフィルターの劣化や損傷による性能低下、および不良を防止するために、カラーフィルター内に保護膜を形成し、種々の耐性を付与することが一般的に行われている。このような保護膜は種々耐性の他、信頼性の観点から保護膜を形成する基材であるRGBレジスト層、および保護膜上に蒸着(スパッタ)形成されるITO(Indium Tin Oxide)透明電極層との密着性が良好であること、RGBレジストの凹凸を平滑にする能力が優れていること、液晶表示装置の高画質化の性能を低下させないために可視光透過率が良好であること、経日変化において着色、黄変等の外観変化がないこと、およびRGBレジスト層に多く含有されている顔料、染料由来の不純物の液晶層への移行、および外部からの水蒸気等のガス成分の透過を抑制するバリアー機能を有することが求められている。
液晶表示関連装置は日々技術革新が行われており、その技術の進歩と共に、材料の面でもより高度な性能が強く求められるようになってきている。
近年、液晶表示関連装置はその技術の進歩に相まって、要求性能も高度化しており、材料に対しても、より高度な性能が強く求められるようになってきている。なかでも液晶表示装置の高画質化・高精細化が熱望されており、この要求に伴い、ITO透明電極の低抵抗化、および薄膜化が必要となってきている。これに伴い、ITO透明電極の形成工程は、より高温でスパッタリングを行う必要性が出てきており、非常に過酷な製造工程となっている。工程においては、カラーフィルター内部にある顔料分散レジストの表面が高温状態に曝されるため、保護膜の表面に皺、クラック、および黄変が発生しやすくなり、問題点として認識されている。
また、保護膜において求められるバリアー機能は、大型化液晶表示装置等で利用が増えているIPS(In Plane Switching)モードで特に重要な性能と位置づけられている。これは、ITO透明電極がSTN(Super Twisted Nematic)モード等のモードにおいてバリアー層の一部として役割を果していたのに対し、IPSモードにおいては構造上の違いからバリアー機能を果たせなくなったためである。
これまでITOスパッタ耐性、およびその他すべての要求特性を満足させる保護膜用材料として、特許文献1、特許文献2においてはエポキシ樹脂と多価カルボン酸誘導体を用いた保護膜が、特許文献3においてはエポキシ樹脂と多価フェノール化合物を用いた保護膜が開示されており、樹脂組成を最適化する方法により優れた耐熱非黄変性が得られるとされていた。
これらのに開示されている技術においては、ITOスパッタ耐性としては、従来温度領域での耐熱非黄変性が評価されており、バリアー機能としては、保護膜自身による液晶汚染性が評価されている。しかし、これらの評価では、高温条件下でのITOスパッタ耐性について、あるいは、RGBレジスト層に多く含有されている顔料、染料由来の不純物の液晶層への移行、および外部からのガス成分の透過を抑制する効果について不明であり、近年の高度化した保護膜への要求性能を十分に充足するとは言い切れない。
特開2002−146276号公報 特開2002−226772号公報 特開2002−322244号公報
本発明の第1の目的は、優れた硬化性と貯蔵安定性を有し、かつ、硬化後に得られた硬化膜の可視光線透過率と耐溶剤性が良好で、保護膜を形成する基材等への密着性、平坦性等の諸物性に優れながら、高温でのITOスパッタ時に膜表面に皺、クラック、および黄変が発生しない優れたITOスパッタ耐性を有し、かつ、カラーフィルター内外部から液晶汚染物質の移行を抑制する効果に優れた熱硬化型樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物、およびその樹脂硬化物の層を保護膜として有し、液晶表示装置、固体撮像素子、エレクトロルミネッセンス装置(EL)、プラズマディスプレイパネル装置(PDP)、発光ポリマー装置(LEP)、フィールド・エミッション表示装置(FED)等に適用可能なカラーフィルターを提供することにある。
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、エポキシ基含有樹脂(A)と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、およびカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸からなる群から選ばれる化合物である硬化剤(B)と、酸化防止剤(C)とを含有するカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物において、特定の構造を有する酸化防止剤を用いることによって、高温でのITOスパッタ時に膜表面に皺、クラック、および黄変を発生することのない、優れたITOスパッタ耐性を有し、かつ、カラーフィルター内外部からの液晶汚染物質の移行抑制効果の優れた熱硬化型樹脂組成物が得られることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕である。
〔1〕エポキシ基含有樹脂(A)と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、およびカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸からなる群から選ばれる化合物である硬化剤(B)と、酸化防止剤(C)とを含有するカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)が、式(1)で示される構造を有する酸化防止剤であることを特徴とするカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。

Figure 2005292483
(ここで、n=2〜6、Rは炭素数6〜20でn価の有機基を示す。)
〔2〕エポキシ基含有樹脂(A)と硬化剤(B)と酸化防止剤(C)との合計に対しての、エポキシ基含有樹脂(A)に由来するエポキシ基の濃度Cと、硬化剤(B)に由来するカルボキシル基相当基の濃度Cとの低い方の濃度Cminについて、Cmin=1.0〜2.5mmol/gである前記の〔1〕に記載のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。
〔3〕硬化剤(B)が、式(2)で示される構造を有する硬化剤であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。
Figure 2005292483
(式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である。)
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物。

〔5〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物の層を有するカラーフィルター。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、式(1)で示される構造を有する酸化防止剤を含有させることで、ITOスパッタ時の耐性、およびバリアー性等に優れ、かつ、可視光線透過率、耐溶剤性、保護膜を形成する基材等への密着性、平坦性等の諸物性が良好である。この熱硬化性樹脂組成物は液晶表示装置、および固体撮像素子等の用途として、硬化して用いることにより、上記特性を有したカラーフィルター保護膜用の樹脂硬化物を得ることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において、カラーフィルターの保護膜とは、カラーフィルターを有する液晶表示装置、および固体撮像素子の保護膜に用いるものを広く意味し、より詳しくは、RGB等のカラーフィルター部分、発光ないしは受光の素子部分、電極部分等に直接に接して、これらを保護する保護膜である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ基含有樹脂(A)と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、およびカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸からなる群から選ばれる化合物である硬化剤(B)、および酸化防止剤(C)を含有し、前記の酸化防止剤(C)が式(1)で示される構造を有する化学物質であることを特徴とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、組成物中のエポキシ基含有樹脂(A)の配合割合は、通常3.0〜60.0重量%、好ましくは6.0〜50.0重量%である。組成物中の硬化剤(B)の配合割合は、通常1.0〜25.0重量%、好ましくは2.0〜20.0重量%である。また、組成物中の酸化防止剤(C)の配合割合は、通常0.06〜6重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%、より好ましくは0.6〜1.8重量%である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ基含有樹脂(A)として、エポキシ基を有する重合体(A01)、あるいはエポキシ樹脂(A02)が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基を有する重合体(A01)は、その構成単位として、下記の式(3)または式(4)で表される、エポキシ基を含有する構造を含む。
Figure 2005292483
ここで、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し、p1=1〜8の整数を示す。
Figure 2005292483
ここで、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは−OCH−基または−CH−基、R10は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し、q1=0〜7の整数を示す。
Figure 2005292483
ここで、R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、r1=1〜8の整数を示す。
エポキシ基を有する重合体(A01)は、その構成単位として、さらに下記の式(6)〜(8)で表される構造を有していてもよい。
Figure 2005292483
ここで、R12は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、R13は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリール基、アリールオキシ基、または芳香族ポリアルキレングリコール残基を示す。
Figure 2005292483
ここで、R14は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、R15は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または芳香族炭化水素基を示す。
Figure 2005292483
ここで、R16は、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。
前記の式(3)〜(5)で表される構成単位は、それぞれ下記式(9)〜(11)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2005292483
ここで、R17は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R18は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し、p2=1〜8の整数を示す。
Figure 2005292483
ここで、R19は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R20は−OCH−基または−CH−基、R21は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し、q2=0〜7の整数を示す。
Figure 2005292483
ここで、R22は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、r2=1〜8の整数を示す。
前記の式(9)〜(11)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。
式(9)において、R17,およびR18として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。式(9)で表されるモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグルシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、その中ではグリシジルメタクリレート(GMA)が入手性の面等から好ましい。
式(10)において、R19,R20,およびR21として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。式(10)で表されるモノマーとしては、具体的には、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル,α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテルを例示することができ、その中ではo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルが入手性の面等から好ましい。
式(11)において、R22として好ましいのは、水素原子またはメチル基である。式(11)で表されるモノマーとしては3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを例示することができる。その中で3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが硬度等の硬化膜物性の面から好ましい。
また式(5)〜(7)で表される構成単位は、下記式(12)〜(14)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2005292483
ここで、R23は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、R24は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリール基、アリールオキシ基、または芳香族ポリアルキレングリコール残基を示す。
式(12)において、R24で表される主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基は、付加的な構造、例えば環内二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
Figure 2005292483
ここで、R24は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示し、R25は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または芳香族炭化水素基を示す。
Figure 2005292483
ここで、R27は、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。
前記式(12)〜(14)で表されるモノマーを用いることにより、保護膜に充分な硬度、耐熱性および耐薬品性を付与することができる。
前記の式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
前記の式(12)において、R23としては好ましいのは水素またはメチル基である。式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、シクロヘキシルメタクリレート、およびジシクロペンテニルメタクリレートが硬度、耐熱性等の硬化膜物性の面から好ましい。
前記の式(13)で表されるモノマーとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、ビニルシクロヘキサノン、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、アリルシクロプロパン、α−メチルスチレン、およびα−エチルスチレン等が挙げられる。
前記の式(13)において、R24としては好ましいのは水素またはメチル基であり、R25としては好ましいのはフェニル基である。式(13)で表されるモノマーとしては、具体的には、スチレンが他種モノマーとの共重合性、および入手性の面等から好ましい。
前記の式(14)で表されるモノマーとしては、具体的には、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミド等が挙げられる。
前記式(14)において、R17としては好ましいのはシクロヘキシル基、およびフェニル基であり、これらに対応するモノマーとして、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが好ましく挙げられる。
エポキシ基を有する重合体(A01)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、エポキシ基を有する重合体(A01)は、式(9)〜(11)あるいは式(12)〜(14)以外のモノマーを含むことができる。これらのモノマーのエポキシ基を有する重合体中の割合は、式(9)〜(11)のモノマーは10〜90重量%、式(12)のモノマーは0〜90重量%、式(13)のモノマーは0〜90重量%、式(14)のモノマーは0〜50重量%が好ましい。式(9)〜(11)のモノマーの割合が上記範囲内にあれば、硬化の反応点が十分となり高い架橋密度を得ることができ、一方、式(12)〜(14)のモノマーの割合が上記範囲内にあれば、嵩高の骨格が多いことにより硬化収縮等を抑制できることができる。分子量は、ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000〜100,000の範囲にあるのが好ましい。エポキシ基を有する重合体の分子量が上記範囲内にあれば、塗工膜のタック(べたつき)の発生を防止でき、また、均一な膜厚を容易に得ることができる。
本発明のエポキシ基を有する重合体は、常法の重合法により共重合することができる。すなわち、共重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることがことができ、より具体的には重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を採ることができる。また、共重合形態も特に制限されず、ランダム共重合、ブロック共重合等のいずれでもよい。なかでも、ラジカル重合を溶液重合により行いランダム共重合体を得ることが好ましい。
前記のエポキシ樹脂(A02)としては、例えば、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル等の炭素数1〜50の脂肪族ポリグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、DPP(ジ−n−ペンチルフタレート)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等の芳香族ポリグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の脂肪族ポリジグリシジルエステル;フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の芳香族ジグリシジルエステル;3,4−エポキシシクロへキシル−3’,4’−シクロヘキサンカルボキシレート、1,2:8,9ジエポキシリモネン等の脂環式エポキシ樹脂;N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン等の芳香族アミン系エポキシ樹脂、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等の炭素数1〜50の脂肪族モノグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド等の芳香族モノグリシジルエーテル;ラウリン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル等の炭素数2〜50の脂肪族モノグリシジルエステルが挙げられる。また上記のエポキシ樹脂の芳香核水添物も使用できる。
これらの中では、炭素数2〜50の芳香族ポリグリシジルエーテルが硬化時の反応性と硬化物の機械的物性の点から、好ましく挙げられる。
これらのエポキシ樹脂(A02)は単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明に用いるエポキシ基含有樹脂(A)において、エポキシ基を有する重合体(A01)とエポキシ樹脂(A02)は、任意の割合で使用することができるが、エポキシ基を有する重合体(A01)は30〜100重量%、エポキシ樹脂(A02)は0〜70重量%の範囲内で使用すると、硬度、耐熱性、耐薬品性、および密着性に優れた硬化膜を得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる硬化剤(B)として、多価カルボン酸(B01)、多価カルボン酸無水物(B02)、またはカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)が挙げられ、これらの硬化剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多価カルボン酸(B01)としては、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられる。
多価カルボン酸無水物(B02)としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族カルボン酸無水物;無水コハク酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族カルボン酸の無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水メチルナジック酸)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水ハイミック酸;日立化成(株)の商品名)、水添無水トリメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
カルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)としては、式(2)または式(15)で表される官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。
Figure 2005292483
ここで、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である。
Figure 2005292483
ここで、R28、R29、R30、R28´、R29´、およびR30´はそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基であり、R31はそれぞれ炭素数1〜18の有機基であり、YおよびはY2´はそれぞれ酸素原子または硫黄原子である。また、R28、R29、R30、およびYはそれらがそれぞれ対応しているR28´、R29´、R30´およびY2´と同じであってもよい。
上記の式(2)または式(15)で表されるカルボキシル基のヘミアセタールエステル構造を有する化合物は、多価カルボン酸(B01)のカルボキシル基とビニル(チオ)エーテルのビニル基とを反応させることによって得られる。なお、多価カルボン酸(B01)は、分子中に酸無水物の構造を有していてもよい。
カルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)のうち、前記式(2)で表される官能基を有する化合物は、多価カルボン酸(B01)と下記式(16)で表されるビニル(チオ)エーテルとを反応させることによって得られる。ここで、ビニル(チオ)エーテルとは、ビニルエーテル化合物、ビニルチオエーテル化合物あるいは酸素原子または硫黄原子をヘテロ原子とするビニル型二重結合を持つ複素環式化合物を意味し、式(16)で表される。
Figure 2005292483
ここで、R、R、R、RおよびYは、式(2)と同じであり、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である。
式(16)で表される化合物の具体例としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物およびこれらに対応する脂肪族ビニルチオエーテル、さらには2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウム等の環状ビニルエーテル化合物およびこれらに対応する環状ビニルチオエーテル化合物等が挙げられる。
カルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)のうち、式(15)で表される官能基を有する化合物は、多価カルボン酸(B01)と下記式(17)で表されるビニル(チオ)エーテルとを反応させることによって得られる。
Figure 2005292483
ここで、R28、R29、R30、R28´、R29´、R30´、R31、YおよびY2´は式(15)と同じであり、R28、R29、R30、R28´、R29´、およびR30´はそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基であり、R31はそれぞれ炭素数1〜18の有機基であり、YおよびはY2´はそれぞれ酸素原子または硫黄原子である。また、R28、R29、R30、およびYはそれらがそれぞれ対応しているR28´、R29´、R30´およびY2´と同じであってもよい。
上記式(17)で表されるジビニルエーテル化合物またはジビニルチオエーテル化合物の分子中には、カルボキシル基を保護することのできるビニル構造が2つ存在している。そのため、多価カルボン酸、特にジカルボン酸と上記式(17)で表されるジビニルエーテル化合物またはジビニルチオエーテル化合物を反応させると、主鎖構成単位として前記式(15)で表される官能基を有する化合物が得られる。
式(17)で表される化合物としては1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、水添ビスフェノールAジビニルエーテル等のジビニルエーテル化合物、およびこれらに対応するジビニルチオエーテル化合物が挙げられる。
硬化剤としては、トリメリット酸と式(16)で表されるビニル型二重結合含有化合物を反応させて得られるカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)が熱硬化性樹脂組成物の貯蔵時の安定性、および熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物の耐熱性等の物性面から好ましい。
本発明において「カルボキシル基相当基」とは、カルボキシル基の他、酸無水物基、ブロック化されていて熱によりカルボキシル基を再生する基等のカルボキシル基に相当する基を意味し、濃度Cは、それらの基をカルボキシル基に換算したモル濃度の総和である。
また、ここで、エポキシ基の濃度Cは、JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」によって規定される方法によって測定されるエポキシ当量から算出され、また、カルボキシル基相当基の濃度Cは、カルボキシル基、酸無水物基、ブロック化されたカルボキシル基の総量をカルボキシル基とみなしての濃度を意味し、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の加水分解酸価測定によって測定される全酸当量から算出される。
熱硬化性樹脂組成物がエポキシ基含有樹脂(A)、硬化剤(B)、その他の成分等複数の母液を混合して調製される場合には、それぞれの構成母液中についてのエポキシ基の濃度C、カルボキシル基相当基の濃度Cに対して、そのC、Cにそれぞれの構成母液の配合割合を乗じたものの総和をもって、熱硬化性樹脂組成物のC、Cの各々とすればよい。
本発明の樹脂組成物においては、エポキシ基含有樹脂(A)と硬化剤(B)と酸化防止剤(C)との合計に対する、樹脂組成物中のエポキシ基含有樹脂(A)に由来するエポキシ基の濃度Cと、前記の硬化剤(B)に由来するカルボキシル基相当基の濃度Cとの低い方を濃度Cminと定義する。ここで、C、Cの濃度に差異が無い場合、当然ながらCmin=C=Cである。この濃度Cminは、架橋点を構成する反応性官能基のうちの過剰分を差し引いての濃度を意味するものであり、樹脂組成物中のこの濃度が一定の範囲内であるとき、架橋密度が適正範囲になり、硬化膜に緻密な架橋密度と制限された自由体積を持つ架橋構造を与えるために、硬度、耐熱性、高温でのITOスパッタ耐性、およびバリアー性において、よりいっそう優れた樹脂硬化物を得ることができる。
すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ基含有樹脂(A)と硬化剤(B)の配合割合は、好ましくはCmin=1.0〜2.5mmol/g、より好ましくはCmin=1.5〜2.4mmol/g、さらにより好ましくはCmin=1.8〜2.3mmol/gである。Cmin<1.0mmol/gであると、硬化膜の硬度、および硬化膜の高温でのITOスパッタ耐性等の性能が低下し、Cmin>2.5mmol/gであると、密着性、耐薬品性等の性能が低下する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる酸化防止剤(C)は、下記の式(1)に示す多価の(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル構造を有する酸化防止剤である。この酸化防止剤を用いることで、熱処理工程を経ても硬化膜の緻密な架橋構造を維持することができ、高温でのITOスパッタ処理等をおこなっても膜表面に皺、クラック、および黄変が発生することはない、優れたITOスパッタ耐性を有し、かつ、カラーフィルター内外部からの液晶汚染物質の移行抑制効果の優れた熱硬化型樹脂組成物が得られる。
Figure 2005292483
ここで、n=2〜6、Rは炭素数6〜20でn価の有機基を示す。より具体的には、有機基Rは、エーテル結合および/またはエステル結合による中断を含んでもよい、直鎖状または分岐状で、炭素数6〜20の脂肪族または芳香族の炭化水素基を示す。
さらに具体的に、有機基Rの構造としては、2官能のものとして、式(18)で表されるトリエチレングリコールジエステル構造、式(19)で表されるペンタエリスリトールビス(アルキルエステルアセタール)ジエステル構造、3官能のものとして、式(20)で表されるトリ置換メシチレン構造、4官能のものとして、式(21)で表されるペンタエリスリトールテトラエステル構造等が挙げられる。また、有機基Rは、硬化膜の着色の問題から、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含まない構造が好ましい。
Figure 2005292483
Figure 2005292483
前記の式(1)で示される構造を有する酸化防止剤(C)としては、さらに具体的には、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ヘキサン、1,3,4−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ヘキサン、1,1,3,3−テトラキス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)オクタン等を例示することができる。
これらのなかでは、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン(商品名の例、旭電化工業(株)製のアデカスタブAO−60)、および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名の例、旭電化工業(株)のアデカスタブAO−330)がITOスパッタ耐性、カラーフィルター内外部からの液晶汚染物質の移行抑制効果、および入手性の面等から好ましい。
前記の酸化防止剤(C)は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記の酸化防止剤(C)は、エポキシ樹脂(A)成分と硬化剤(B)成分の合計を100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部で配合される。配合される酸化防止剤の配合量が0.1重量部未満であると硬化膜の高温でのITOスパッタ耐性、およびバリアー性等の性能が低下する。また、酸化防止剤の配合量が10重量部を越えると硬化膜の硬度等の性能が低下する。本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる酸化防止剤(C)の配合割合が前記範囲内であれば、硬度、耐熱性、高温でのITOスパッタ耐性、およびバリアー性に優れた熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物を得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の無色透明性を損なわない範囲において、硬化促進剤を適宜使用することもできる。添加し得る硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類;1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三ふっ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化物が挙げられる。さらには、高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、アミン等エポキシ樹脂等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤;イミダゾール系、リン系、ホスフィン系促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤;アミン塩型潜在性硬化促進剤、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型の潜在性硬化促進剤等に代表される潜在性硬化促進剤も使用することができる。
硬化促進剤は、硬化物の液晶非汚染性等の観点から、ハロゲンフリーの酸性触媒であることが好ましい。さらに、樹脂組成物の保存安定性の観点を加味すると、ハロゲンフリーの酸性触媒のなかでも、具体的にはルイス酸塩高温解離型の潜在性硬化促進剤がより好ましく、市販品としてはノフキュアーLC−1およびノフキュアーLC−2(いずれも商品名、日本油脂(株)製)が挙げられる。
これらの硬化促進剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記の硬化促進剤は、エポキシ樹脂(A)成分と硬化剤(B)成分の合計100重量部に対して、通常0.01〜10重量部で配合される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物と基板との密着性を向上させるたの助剤として、シラン系カップリング剤を使用することもできる。添加し得るシラン系カップリング剤としては、例えば、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、以上は信越化学工業(株)製商品名)等のエポキシ基を有するシラン系カップリング剤;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−603)、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903、以上は信越化学工業(株)製商品名)等のアミノ基を有するシラン系カップリング剤;、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−502)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−502)、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−503、以上は信越化学工業(株)製商品名)等のメタクリロイル基を有するシラン系カップリング剤を挙げることができる。
これらのシラン系カップリング剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記のシラン系のカップリング剤は、エポキシ樹脂(A)成分と硬化剤(B)成分の合計100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部で配合される。
配合されるシラン系のカップリング剤の配合量が1重量部未満であると熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜の基材への密着性等の性能が低下する。また、シラン系のカップリング剤が30重量部を越えると硬化膜の硬度等の性能が低下する。
シラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)が熱硬化性樹脂組成物の貯蔵時の安定性、およびこの熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜の基材等への密着性の面から好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の外観を向上させる目的で、表面張力低下剤を添加することもできる。添加し得る表面張力低下剤としては、例えば、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン等の有機変成ポリシロキサン化合物であるBYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−344(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製商品名)、X−22−4272、X−22−4952、X−22−6266、KF−54、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KP−321、KP−323、KP−324、KP−326、KP−340、KP−341(以上、信越化学工業(株)製商品名)、ADDID100、ADDID110、ADDID130、ADDID131、ADDID140、ADDID151、ADDID160、ADDID163、ADDID165、ADDID166、ADDID170(以上、旭化成ワッカーシリコーン(株)製商品名)等;アクリル酸系、またはメタクリル酸系(共)重合体系表面張力低下剤であるポリフローNo.54、ポリフローNo.75、ポリフローNo.77、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上、共栄社化学(株)製商品名)、ディスパロンL−1980−50、ディスパロンL−1982−50、ディスパロンL−1983−50、ディスパロンL−1984−50、ディスパロンL−1985−50(以上、楠本化成(株)製商品名)等を挙げることができる。
これらの表面張力低下剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記の表面張力低下剤は、エポキシ樹脂(A)成分と硬化剤(B)成分の合計100重量部に対して、通常0.001〜3重量部で配合される。
前記の熱硬化性樹脂組成物を調製する有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシエチルプロピオネート、メチル−β−メトキシイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、二塩基酸ジメチルエステル混合物(商品名DBE、デュポン社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ブチル等が挙げられる。
これらの有機溶剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、これら有機溶剤の使用量については特に制限はされず、所定膜厚、表明の平滑性、および成膜方法等に応じ、調節し塗布適性を付与することができる。
エポキシ基を有する重合体(A01)をはじめとする各材料を溶剤に溶解、分散する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解して熱硬化性樹脂組成物を調製してもよいし、必要に応じて各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時にこれらの溶液を混合して熱硬化性樹脂組成物として調製してもよい。
混合は、撹拌翼を取り付けたモーターやマグネットスターラーの撹拌子で撹拌をおこなってもよいし、または各成分をガロン容器等に配合してから容器ごとミックスローターで回転させて行ってもよい。
ただし、カルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)を使用する場合、溶剤の液温が高すぎると塗工液を調製している段階でカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)の保護基が外れてカルボキシル基が再生してしまうので、溶剤の液温は化合物のカルボキシル基が再生しない程度の温度、通常は20〜30℃程度の範囲に調整する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法には、特に制限はなく、スピンコーターによる回転塗布法、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、スリットコーター法等により、基材に塗布することができる。
スピンコーターによる回転塗布法を使用する場合、回転数は通常300〜1500rpmの範囲内で設定するとよい。一般的に、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる保護膜は、硬化終了後で0.5〜5.0μm程度の厚さで形成する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の反応方法(硬化方法)には、特に制限はなく、密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。硬化温度、および硬化時間は、80℃〜250℃で30秒〜10時間の範囲が好ましい。硬化物の内部応力を低減したい場合は、80〜120℃、0.5時間〜5時間の条件で前硬化した後、120〜180℃、0.1時間〜5時間の条件で後硬化することが好ましい。短時間硬化を目的とする場合は150〜250℃、30秒〜30分の条件で硬化することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜は、透明性、耐熱性、耐溶剤性、平滑性、高温でのITOスパッタ耐性、およびバリアー性等に優れているため、各種基材の表面コーティング剤、装飾材料等の用途に使用すると有用である。特に、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の種々バインダー樹脂を染料による染色や、顔料分散による着色により作製したカラーフィルターの表面に使用する保護膜として使用すると有用である。本発明の樹脂硬化物の層を有するカラーフィルターは、液晶表示装置や固体撮像素子に好適に使用することができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによりなんら制限されるものではない。なお、以下特に断りのない限り、「部」とは重量部を示す。
材料の調製に用いた測定方法、試験方法を次に示す。
<酸価>
酸価は、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて、テトラヒドロフラン(THF)溶液に、一定量の樹脂を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬としてKOH/エタノール溶液にて滴定し、測定を行った。
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、カラムとして昭和電工(株)製SHODEX K−801を用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
<固形分>
固形分は、溶液1gを精秤し、恒温機で170℃1時間乾燥後に乾燥前後の重量変化から算出した残存率に基く。
<粘度>
粘度は、循環式恒温水浴を装備したB型粘度計(東機産業(株)製;商品名;Viscometer Model B)を用いて温度20℃で測定した。
<エポキシ当量・エポキシ基の濃度C
エポキシ当量は、JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」によって規定される方法によって測定し、このエポキシ当量からエポキシ基の濃度Cを算出した。
<全酸当量・カルボキシル基相当基の濃度C
全酸当量は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の加水分解酸価測定によって測定し、この全酸当量からカルボキシル基相当基の濃度Cを算出した。
硬化膜の試験方法は以下の通りである。
<400nm光線透過率>
ガラス基板をリファレンスとして、400nm光線透過率を測定した。400nm光線透過率が95%以上の時に良好と判定した。
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4に規定される塗膜の機械的性質−引っかき硬度(鉛筆法)のうち手掻き法で3H以上の鉛筆硬度を示す時に良好と判定した。
<耐熱性試験(230℃×1h.)>
保護膜を塗布したガラス基板を230℃で1時間放置後の保護膜の400nm光線透過率が95%以上で、膜厚残存率が95%以上で、および当該放置前後の色差が0.3以下の時に良好と判定した。なお、色差はCIE(国際照明委員会)によって1976年に定められたΔEabの色差式によって求めた。実際の測定は、分光測色計(ミノルタ(株)製分光測色計CM−3500d)によって行った。
<耐熱性試験(250℃×1h.)>
保護膜を設けたガラス基板を250℃で1時間放置後の保護膜の400nm光線透過率が95%以上で、膜厚残存率が95%以上で、および当該放置前後の色差が0.3以下の時に良好と判定した。なお、色差はCIE(国際照明委員会)によって1976年に定められたΔEabの色差式によって求めた。実際の測定は、分光測色計(ミノルタ(株)製分光測色計CM−3500d)によって行った。
<耐溶剤性試験>
保護膜を設けたガラス基板を、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンの3種の各々の溶剤に液温40℃で1時間浸漬した後に保護膜の膜厚を測定して算出される膜厚減少が、いずれの溶剤に浸漬した場合でも10%以下である時に良好と判定した。
<耐温純水試験後密着性>
保護膜を設けたガラス基板を80℃の純水に1時間浸漬後にJIS K5600−5−6に規定される塗膜の機械的性質−付着性(クロスカット法)試験法を行った結果が、同法における分類0〜1のときに良好と判定した。
<PCT試験後密着性>
保護膜を設けたガラス基板を121℃、2気圧、100%R.H.の高度加速寿命試験器(楠本化成(株)製高度加速寿命試験器(HAST)PLAMOUNT PM420)内に5時間保持後にJIS K5600−5−6に規定される塗膜の機械的性質−付着性(クロスカット法)試験法を行った結果が、同法における分類0〜2のときに良好と判定した。
<水蒸気透過度>
保護膜をJIS K7129B法に規定されるプラスチックフィルム、およびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)に準じて、水蒸気透過度測定装置MOCON社製PERMATRANを用いて40℃、90%R.H.条件で行った結果が、5.0g/m/day以下のとき良好と判定した。
<ITOスパッタ耐性>
保護膜を設けたガラス基板上に、10〜15Ω/cmの抵抗値が得られるように、270℃のスパッタ処理によりITO膜を形成させた。この基板のヘイズ値(Hz)値をDIRECT READING HAZE METER((株)東洋精機製作所)を用いて評価した結果が、1.0以下である時に良好と判定した。
重合例1
<エポキシ基を有する重合体(a−01)の重合>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量500mLの4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMAと略記する)を160.0g仕込み、攪拌しながら加熱して88℃に昇温した。次いで、88℃の温度でグリシジルメタクリレート113.6g、シクロヘキシルメタクリレート86.4g、日本油脂(株)の製過酸化物系重合開始剤「パーヘキシルO」(;商品名、純度92.0%)16.0g、およびPMA24.0gを予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、88℃の温度を5時間維持した後、反応を終了した。重量平均分子量(Mw)15,000、固形分50.6%、粘度2.08Pa・s(20℃)および溶液のエポキシ当量511g/eqのエポキシ基を有する重合体溶液(a−01)を得た。
重合例2
<エポキシ基を有する重合体(a−02)の重合>
シクロヘキシルメタクリレート86.4gに代えて、ジシクロペンテニルメタクリレート86.4gを使用した以外はエポキシ基を有する重合体(a−01)の重合と同様に反応を行った。重量平均分子量(Mw)17,000、固形分51.6%、粘度4.58Pa・s(20℃)および溶液のエポキシ当量517g/eqのエポキシ基を有する重合体溶液(a−02)を得た。
重合例3
<エポキシ基を有する重合体(a−03)の重合>
グリシジルメタクリレート113.6gおよびシクロヘキシルメタクリレートに代えて、グリシジルメタクリレート85.3g、シクロヘキシルメタクリレート114.7gを使用した以外はエポキシ基を有する重合体(a−01)の重合と同様に反応を行った。重量平均分子量(Mw)13,000、固形分51.4%、粘度2.18Pa・s(20℃)および溶液のエポキシ当量670g/eqのエポキシ基を有する重合体溶液(a−03)を得た。
合成例1
<カルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸(B03)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート26.77g、三菱瓦斯化学(株)製1,2,4−トリメリット酸(以下、TMAと略記する)26.92g、n−プロピルビニルエーテル46.31gを仕込み、攪拌しながら加熱し還流温度(約67℃)に昇温した。次いで、還流温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が2.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、溶液の酸価0.64mgKOH/gのブロック化されたカルボキシル基を2個以上有する硬化剤溶液(b−01)が得られた。
実施例1〜11
表1および表2に示す配合割合で溶解混合したカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物の溶液を、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過した後、スピンコーターを用いてガラス基板(日本電気硝子(株)製;商品名;OA−10、無アルカリガラス)上に800rpmで回転塗布した。塗布後、ガラス基板を80℃のクリーンオーブン中にて5分間乾燥処理し後、230℃のクリーンオーブン中にて30分間処理し、塗膜を硬化させた。得られた硬化膜について、400nm光線透過率、鉛筆硬度、耐熱性試験(230℃×1h.)、耐熱性試験(250℃×1h.)、耐溶剤性試験、耐温純水試験後密着性、PCT試験後密着性、水蒸気透過度、およびITOスパッタ耐性(270℃)の各試験を行った。結果を表1および表2に併せて示す。
比較例1〜3
表2に示す配合割合で溶解混合したカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物の溶液から、実施例と全く同じ方法によって硬化膜を得、硬化膜について同じ試験を行った。結果を表2に併せて示す。
なお、実施例および比較例の全ての場合において、得られた塗膜の表面は極めて平滑であり、ピンホール等は全く見られなかった。微細形状測定器((株)小坂研究所社製;商品名;SURFCORDER ET400)によって測定した膜厚は1.4〜1.7μmであった。
また、表1、2における略号、および名称は次のものを示す。
a−01:重合例1で得られたエポキシ基を有する重合体溶液、エポキシ当量511g/eq。
a−02:重合例2で得られたエポキシ基を有する重合体溶液、エポキシ当量517g/eq。
a−03:重合例3で得られたエポキシ基を有する重合体溶液、エポキシ当量670g/eq。
A−02:ビスフェノールAノボラック型エポキシ基含有樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート157S70」、エポキシ当量210g/eq。
b−01:合成例1で得られたブロック化されたカルボキシル基を2個以上有する硬化剤溶液、全酸当量260.3g/eq。
C−1:酸化防止剤、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、旭電化(株)製、商品名「アデカスタブAO−60」。
C−2:酸化防止剤、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、旭電化(株)製、商品名「アデカスタブAO−330」。
C´−3:酸化防止剤、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、旭電化(株)製、商品名「アデカスタブAO−30」。
C´−4:酸化防止剤、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスルトール−ジ−ホスファイト、旭電化(株)製、商品名「アデカスタブPEP−36」。
KBM−403:シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製。
LC−1:熱潜在性触媒、日本油脂(株)製。KP−341:表面張力低下剤、信越化学工業(株)製。
PMA:溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、(株)クラレ製。
また、用いた酸化防止剤C−1、C−2、C´−3、およびC´−4の構造をそれぞれ、次式(22)〜(25)に順に示す。

Figure 2005292483
Figure 2005292483
Figure 2005292483

Figure 2005292483
表1および表2の結果より、本発明の樹脂組成物を用いた実施例1〜11の場合は、得られた樹脂硬化物は、透明性、鉛筆硬度、耐熱性、耐溶剤性、密着性等の一般的性能を十分満足しながら、水蒸気透過度、および高温ITO処理耐性の性能が格段に優れており、本発明の目的の効果が申し分なく得られていることがわかる。
これに対して、表2において比較例1〜3は、本発明に用いる酸化防止剤とは異なる酸化防止剤を用いているため、耐熱試験後の膜厚残存率、色差、PCT試験後密着性、水蒸気透過度、高温ITO処理耐性の性能に問題があり、本発明の目的の効果が得られないことがわかる。

Claims (5)

  1. エポキシ基含有樹脂(A)と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、およびカルボキシル基がブロック化された多価カルボン酸からなる群から選ばれる化合物である硬化剤(B)と、酸化防止剤(C)とを含有するカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)が、式(1)で示される構造を有する酸化防止剤であることを特徴とするカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2005292483
    (ここで、n=2〜6、Rは炭素数6〜20でn価の有機基を示す。)
  2. エポキシ基含有樹脂(A)と硬化剤(B)と酸化防止剤(C)との合計に対しての、エポキシ基含有樹脂(A)に由来するエポキシ基の濃度Cと、硬化剤(B)に由来するカルボキシル基相当基の濃度Cとの低い方の濃度Cminについて、Cmin=1.0〜2.5mmol/gである請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 硬化剤(B)が、式(2)で示される構造を有する硬化剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2005292483
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸
    素原子またはイオウ原子である。)
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の層を有するカラーフィルター。
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