JP2005290135A - ポリオレフィン骨格を有するグラフトポリマー - Google Patents

ポリオレフィン骨格を有するグラフトポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】極性基を有するビニルモノマーと比較的低温でラジカル共重合することによりポリオレフィン含量を1〜50重量%の範囲で制御可能なポリオレフィンセグメントを有するグラフトポリマー、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で示される構成要素(A)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有するビニルモノマーに由来する構成要素(B)とを含むことを特徴とするグラフトポリマー。
【化1】
Figure 2005290135

(式(I)中、R1は水素原子またはメチル基であり、Pは重量平均分子量(Mw)が500〜1,000,000のポリオレフィン鎖である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、無極性のポリオレフィンを側鎖に持つグラフトポリマーに関する。
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンは、軽量かつ安価な上に、優れた物性と加工性を持つという特性を有する反面、印刷性、塗装性、耐熱性、耐衝撃性および他の極性を有するポリマーとの相溶性などの高機能性を付与するという観点ではその高い化学的安定性が妨げとなっている。この欠点を補い、ポリオレフィンに機能性を持たせる方法として、例えばラジカル重合法によりオレフィンと酢酸ビニル、メタクリル酸エステルなどの極性モノマーを共重合する方法や、過酸化物の存在下にポリオレフィンに無水マレイン酸などの極性モノマーをグラフトさせる方法が知られている。しかしながら、これらの方法は得られるポリマー中におけるポリオレフィン部分の構造を精密に制御することが困難であり、ポリオレフィン本来の優れた物性を保持するには不充分であった。
構造が精密に制御されたポリオレフィン部分を有し、かつポリオレフィンのみでは発現し得ない機能を有するポリマーを製造する手段の一つとして、末端に重合性のビニル結合を有するポリオレフィンを用い、それを極性基を持った様々なビニルモノマーと共重合させることによりポリオレフィン側鎖を有するグラフトポリマーとする方法が知られている。このようなグラフトポリマーの製造法としては、例えば特開平10−182766号公報には、リビング重合法を利用して合成した末端修飾ポリプロピレンを用いた方法が記載されている。しかし、リビング重合を用いる方法ではポリオレフィンセグメントの分子量分布(Mw/Mn)が約1であり、得られるポリマーの成型加工面の点で充分満足すべき方法とは言い難い。しかも、製造できる末端修飾ポリオレフィンの種類はポリプロピレン系重合体に限られている。
一方、特開2003−40946号公報および特開2003−165872号公報には、ポリオレフィンとビニル単量体を熱反応することによるグラフトポリマーの製造方法が記載されている。しかし、この方法では150〜300℃という比較的高い温度でラジカル重合開始剤の存在下反応させるので、反応中にポリオレフィンのラジカル熱分解が起こる可能性があり、グラフトさせるポリオレフィン側鎖の分子量を制御することが困難であると考えられる。また、1時間以上の長い反応時間では着色・ゲル化することもあり、比較的分子量の高いポリオレフィンを側鎖として導入するには反応時間や反応温度の点で充分満足すべき方法とは言い難い。
特開平10−182766号公報 特開2003−040946号公報 特開2003−165872号公報
かかる現状に鑑みて本発明者らは鋭意検討の結果、ポリオレフィン製造用触媒として工業的に広く用いられているメタロセン触媒などに代表される遷移金属化合物を成分として含有する配位重合触媒により製造した末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィンを用い、極性基を有するビニルモノマーと比較的低温でラジカル共重合することによりポリオレフィン含量を1〜50重量%の範囲で制御可能なポリオレフィンセグメントを有するグラフトポリマー、およびその製造方法を発明するに至った。
本発明は、下記一般式(I)で示される構成要素(A)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有するビニルモノマーに由来する構成要素(B)とを含むことを特徴とするグラフトポリマーである。
Figure 2005290135
(式(I)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Pは重量平均分子量(Mw)が500〜1,000,000のポリオレフィン鎖である。)
本発明のグラフトポリマーの好ましい態様は、ポリオレフィン鎖Pの含量が1〜50重量%である。
更に、本発明は、下記一般式(II)で示される、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(C)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有する1種以上のビニルモノマー(D)とを150℃以下の温度でラジカル共重合する工程を有する前記のグラフトポリマーの製造方法である。
Figure 2005290135
(式(II)中、R、Pは式(I)と同一である。)
本発明の、好ましい製造方法の態様は、ポリオレフィン(C)中の末端炭素−炭素二重結合含有量が、炭素原子1000個当たり0.007個以上であることを特徴としている。
ポリオレフィン製造用触媒として工業的に広く用いられているメタロセン触媒等の遷移金属化合物を成分として含有する配位重合触媒により製造した、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィンを用い、極性基を有するビニルモノマーと比較的低温でラジカル共重合することによりポリオレフィン含量を1〜50重量%の範囲で制御可能なポリオレフィンセグメントを有するグラフトポリマー、およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明のグラフトポリマーについて具体的に説明する。
本発明のグラフトポリマーは、下記一般式(I)で示される構成要素(A)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有するビニルモノマーに由来する構成要素(B)とを含み、ポリオレフィン鎖Pの含有量が1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする。
Figure 2005290135
上記式(I)中、Rは水素原子またはメチル基である。
ポリオレフィン鎖Pは、下記式(II)で表される末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(C)の残基を示す。
Figure 2005290135
上記式(II)で示される末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(C)は、下記式(III)で示されるオレフィンの少なくとも1種以上を、周期律表第4族〜第11族の遷移金属化合物を含有する配位重合触媒の存在下で(共)重合させるか、あるいは周期律表第4族〜第11族の遷移金属化合物を含有する配位重合触媒の存在下で(共)重合させて得られるポリオレフィンを熱またはラジカルで分解することにより得ることができる。
Figure 2005290135
上式(III)中、Rは炭素原子数が1〜20の炭化水素基または水素原子を示す。
炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などを例示することができる。上式(X)で表わされるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数が4〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。これらの例示オレフィン類の中では、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンから選ばれる少なくても1種以上のオレフィンを使用することが好ましく、エチレン単独、プロピレン単独、プロピレンとエチレンの二種、エチレンと1-ブテンの二種、およびプロピレンと1-ブテンの二種を使用することがより好ましい。その中でも特に好ましくは、プロピレンとエチレン、エチレンと1−ブテン、およびプロピレンとエチレンの2種を共重合して用いた場合である。
ポリオレフィン鎖Pの重量平均分子量(Mw)は、対応する末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィンのMwに実質的に同等であり、本発明のグラフトポリマーおよび該グラフトポリマーを含む樹脂組成物におけるポリオレフィンセグメントの物性面における有用性と、該グラフトポリマー製造時の反応性とのバランスから、通常、500〜1,000,000、好ましくは500〜500,000、特に好ましくは500〜300,000の範囲である。
本発明のグラフトポリマーは、ポリオレフィン鎖Pの含有量が1〜50重量%であることを特徴とする。ポリオレフィン鎖Pの含有量が50重量%以上の場合、グラフトポリマー中に含まれる極性基を含有するビニルモノマー(D)セグメントが少ないため、ポリオレフィンに対する改質効果が充分に発揮されず、逆に、ポリオレフィン鎖Pの含有量が1重量%以下の場合、ポリオレフィンとしての性質がグラフトポリマーに充分反映されないことがある。したがって、本発明のグラフトポリマー中に含まれるポリオレフィン鎖Pの含有量は、1〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜45重量%であり、特に好ましくは3〜40重量%である。
構成要素(B)は、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有するビニルモノマー(D)を重合することによりグラフトポリマー中の一成分として含有されるものであり、ビニルモノマー(D)中の炭素−炭素二重結合が開裂して得られる構造を有する。
ビニルモノマー(D)は、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有する有機化合物であり、このような有機化合物の好ましい例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。また、これらのビニルモノマー類を重合させて得られるポリマーやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、いわゆるマクロモノマーもビニルモノマー(D)として使用できる。これらの有機化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。このうち、特に好ましいビニルモノマーはアクリル酸、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、アクリロニトリル、末端にアクリロイル基を有するマクロモノマー類である。
本発明のグラフトポリマーの製造方法は、上記式(II)で示される末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(C)とカルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有する1種以上のビニルモノマー(D)とをラジカル共重合させて得ることを特徴とする。
ポリオレフィン(C)中の末端炭素−炭素二重結合含有量は、少なすぎると重合系内における二重結合濃度が低くなり重合が進行しなかったり、グラフトポリマー中に含有されるポリオレフィンセグメントの量が少なくなり得られるグラフトポリマーの物性にポリオレフィンの性質が反映されなかったりする場合があるため、好ましくは炭素原子1000個当たり0.007個以上であり、より好ましくは炭素原子1000個当たり0.014個以上、さらに好ましくは炭素原子1000個当たり0.07個以上である。
ラジカル重合においては、開始剤として、通常のラジカル重合において用いられる開始剤はいずれも使用することができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩または4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロル過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジイソプロピルジカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、、ジクミルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、tert−ブチルペルオキシラウレート、ジ−tert−ブチルペルオキシフタレート、ジベンジルオキシドまたは2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド等の過酸化物系開始剤、または過酸化ベンゾイル−N,N−ジメチルアニリンまたはペルオキソ二硫酸−亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系開始剤等が挙げられる。
これらのうち、アゾ系開始剤または過酸化物系開始剤が好ましく、更に好ましくは、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロル過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ラウロイル、過酸化ジイソプロピルジカーボネートまたは過酸化アセチルである。これらのラジカル重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を同時にまたは順次に使用することもできる。
使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
本発明のグラフトポリマーの製造方法は、150℃以下の反応温度で共重合することを特徴とする。反応温度を150℃以上にすると、原料に用いたポリオレフィン(C)が熱分解する場合があり、そのためグラフトポリマー中に含まれるポリオレフィン側鎖の分子量や含量の制御が困難になる恐れがある。また、熱分解により両末端に二重結合を有するポリオレフィンの含量が増えるため、架橋反応が進行し所望する構造のグラフトポリマーが得られない恐れもある。このようなポリオレフィンの熱分解は、添加するラジカル重合開始剤の存在下でより促進されるため、本発明のラジカル共重合において反応温度は好ましくは150℃以下であり、130℃以下がより好ましい。
また、ラジカル重合として上記ラジカル重合開始剤を用いる方法以外に、例えば以下に述べる文献に記載されているようなリビングラジカル重合法を用いることもできる。
1) J. Am. Chem. Soc., 116, 7943 (1994),
2) Macromolecules, 27, 7228 (1994),
3) J. Am. Chem. Soc., 117, 5614 (1995)
4) Macromolecules, 28, 7901 (1995)
5) WO96/30421号公報
6) WO97/18247号公報
7) WO98/01480号公報
8) WO98/40415号公報
9) Macromolecules, 28, 1721 (1995)
10) 特開平9-208616号公報
11) 特開平8-041117号公報
上記の方法により生成したグラフトポリマーは、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーの留去あるいは非溶媒による再沈殿などの公知の方法を用いることにより単離される。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)末端に炭素−炭素二重結合を有するエチレン/プロピレンランダム共重合体(EPR)の合成
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン750mlを入れ、エチレン20リットル/h、プロピレン80リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、50℃にてMAOをAl換算で10ミリモルおよびジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド0.04ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、50℃で150分間重合させた後、メタノール30mlを加えて反応を停止した。反応液を分液漏斗に移し、ヘキサン1Lで希釈した後、1N塩酸水溶液200mlで5回、水200mlで2回洗浄した。有機層を濃縮し、さらに10時間真空乾燥して136gの無色オイル状ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが1730、Mnが250、Mw/Mn=6.9であった。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルを1H−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、4.6−4.8ppmに末端ビニリデン基に基づくシグナルが認められた。すなわち、以下の構造の末端を有するEPRが存在することを確認した。また、積分値からビニリデン基含量は5.0mol%と算出された。また、IR分析より、炭素原子1000個当たりのビニリデン含有量は29.5個であった。
Figure 2005290135
(2)グラフトポリマーの合成
充分窒素置換した500mlガラス製反応器に、上記にて得られた末端ビニリデン基を有するEPR103.5gを入れ、精製トルエン10.7mlで希釈した後、メタクリル酸メチル(MMA)8.0mlおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5ミリモルを加えて60℃で6時間加熱攪拌した。得られた反応液にヘキサン400mlを加え、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過し、フィルター上のポリマーをヘキサン10mlで3回、さらにメタノール10mlで3回洗浄した後、10時間真空乾燥して5.59gの白色固体状ポリマーを得た。生成ポリマー中のEPR含有量は、NMR分析により6.8重量%であった。また、末端ビニリデン基に基づくシグナルが完全に消失していることから、未反応の原料EPRは完全に除去されており、MMAとEPRとの共重合により生成したグラフトポリマーのみが単離されたことを確認した。
(1)末端に炭素−炭素二重結合を有するEPRの合成
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン800mlを入れ、エチレン20リットル/h、プロピレン80リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、70℃にてMAOをAl換算で20ミリモルおよびビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.02ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、70℃で120分間重合させた後、メタノール30mlを加えて反応を停止した。反応液を分液漏斗に移し、ヘキサン1Lで希釈した後、1N塩酸水溶液200mlで5回、水200mlで2回洗浄した。有機層を濃縮し、さらに10時間真空乾燥して87.7gの無色オイル状ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが2790、Mnが690、Mw/Mn=4.0であった。IR分析より、炭素原子1000個当たりのビニリデン含有量は15.1個であった。
Figure 2005290135
(2)グラフトポリマーの合成
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られた末端ビニリデン基を有するEPR9.26gを入れ、精製トルエン20mlで希釈した後、アクリル酸(AA)2.7mlおよびAIBN0.1ミリモルを加えて60℃で5時間加熱攪拌した。得られた反応液にヘキサン30mlを加え、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過し、フィルター上のポリマーをヘキサン10mlで3回洗浄した後、10時間真空乾燥して3.84gの白色固体状ポリマーを得た。生成ポリマー中のEPR含有量は、NMR分析により30.2重量%であった。また、末端ビニリデン基に基づくシグナルが完全に消失していることから、未反応の原料EPRは完全に除去されており、AAとEPRとの共重合により生成したグラフトポリマーのみが単離されたことを確認した。
(1)末端に炭素−炭素二重結合を有するEPRの合成
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン800mlを入れ、エチレン40リットル/h、プロピレン60リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、60℃にてMAOをAl換算で20ミリモルおよびビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.02ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、60℃で120分間重合させた後、メタノール30mlを加えて反応を停止した。反応液を分液漏斗に移し、ヘキサン1Lで希釈した後、1N塩酸水溶液200mlで5回、水200mlで2回洗浄した。有機層を濃縮し、さらに10時間真空乾燥して195gの無色オイル状ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが6540、Mnが1830、Mw/Mn=3.6であった。IR分析より、炭素原子1000個当たりのビニリデン含有量は11.5個であった。
Figure 2005290135
(2)グラフトポリマーの合成
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られた末端ビニリデン基を有するEPR12.2gを入れ、精製トルエン20mlで希釈した後、アクリル酸(AA)2.7mlおよびAIBN0.1ミリモルを加えて60℃で5時間加熱攪拌した。得られた反応液にヘキサン30mlを加え、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過し、フィルター上のポリマーをヘキサン10mlで3回洗浄した後、10時間真空乾燥して4.54gの白色固体状ポリマーを得た。生成ポリマー中のEPR含有量は、NMR分析により39.0重量%であった。また、末端ビニリデン基に基づくシグナルが完全に消失していることから、未反応の原料EPRは完全に除去されており、AAとEPRとの共重合により生成したグラフトポリマーのみが単離されたことを確認した。
(1)末端に炭素−炭素二重結合を有するEPRの合成
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、エチレン40リットル/h、プロピレン60リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、60℃にてMAOをAl換算で10ミリモルおよびビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.04ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、60℃で180分間重合させた後、メタノール30mlを加えて反応を停止した。反応液を分液漏斗に移し、ヘキサン1Lで希釈した後、1N塩酸水溶液200mlで5回、水200mlで2回洗浄した。有機層を濃縮し、さらに10時間真空乾燥して195.9gの無色オイル状ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが3880、Mnが1060、Mw/Mn=3.7であった。IR分析より、炭素原子1000個当たりのビニリデン含有量は7.5個であった。
Figure 2005290135
(2)グラフトポリマーの合成
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られた末端ビニリデン基を有するEPR18.6gを入れ、精製トルエン25mlで希釈した後、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)1.7gおよびAIBN0.05ミリモルを加えて60℃で5時間加熱攪拌した。得られた反応液にアセトン30mlを加えた後、ヘキサン400ml中に注ぎポリマーを析出させた。析出したポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過し、フィルター上のポリマーをヘキサン10mlで3回洗浄した後、10時間真空乾燥して1.60gの白色固体状ポリマーを得た。生成ポリマー中のEPR含有量は、NMR分析により5.4重量%であった。また、末端ビニリデン基に基づくシグナルが完全に消失していることから、未反応の原料EPRは完全に除去されており、NIPAAmとEPRとの共重合により生成したグラフトポリマーのみが単離されたことを確認した。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で示される構成要素(A)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有するビニルモノマーに由来する構成要素(B)とを含むことを特徴とするグラフトポリマー。
    Figure 2005290135
    (式(I)中、R1は水素原子またはメチル基であり、Pは重量平均分子量(Mw)が500〜1,000,000のポリオレフィン鎖である。)
  2. ポリオレフィン鎖Pの含量が1〜50重量%である、請求項1に記載のグラフトポリマー。
  3. 下記一般式(II)で示される、末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(C)と、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エステル基、アミド基、ニトリル基から選ばれる極性基を含有する1種以上のビニルモノマー(D)とを150℃以下の温度でラジカル共重合する工程を有する請求項1または2に記載のグラフトポリマーの製造方法。
    Figure 2005290135
    (式(II)中、R1、Pは式(I)と同一である。)
  4. ポリオレフィン(C)中の末端炭素−炭素二重結合含有量が、炭素原子1000個当たり0.007個以上である、請求項3に記載のグラフトポリマーの製造方法。
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