JP3396314B2 - N−置換マレアミド酸エステル化合物の重合方法 - Google Patents

N−置換マレアミド酸エステル化合物の重合方法

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acid ester
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N−置換マレアミド酸
エステル化合物の重合方法に関する。N−置換マレアミ
ド酸エステル系重合体は、脱アルコール反応を行うこと
により、耐熱性に優れたマレイミド系重合体を形成す
る、有用な重合体である。
【0002】
【従来の技術】無水マレイン酸系共重合体中の酸無水基
を、アンモニアあるいは1級アミンと反応して(N−置
換)マレアミド酸誘導体とした後、触媒の存在下あるい
は非存在下に熱的に脱水してイミド環を形成させること
により、熱安定性ならびに耐熱性の改良されたマレイミ
ド系重合体を製造する技術(特開昭56-39651号公報等)
が提案されている。この方法は取り扱いに注意を要する
マレイミド化合物を使用しなくてもよい利点を持つが、
酸無水基をイミド化するには反応に長時間を要し、さら
に酸無水基を100%イミド化することは非常に困難であ
るといった問題点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
めに、N−置換マレアミド酸をビニル化合物と共重合
し、触媒の存在下に熱的にイミド化することにより効率
的にマレイミド系重合体を得る製造方法(特開昭61-533
06号公報等)が提案されている。しかしながら、本発明
者らが検討したところ、N−置換マレアミド酸はα,β
−二置換性ビニルモノマーであるため重合性に乏しく、
しかも非水系では重合反応中あるいは重合後に分子内で
自己酸触媒による無水化反応が優先して起こるため、無
水マレイン酸とアンモニアあるいは1級アミン類に分解
し、結果的にN−置換マレアミド酸は無水マレイン酸の
形で共重合されることが明らかとなった(水が存在する
場合には加水分解反応によりマレイン酸となる)。従っ
て、N−置換マレアミド酸としての共重合率は著しく低
下し、マレイミド系重合体を製造する方法としては適当
ではないのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決するために、N−置換マレアミド酸をエステル化
したものを用いたところ、重合中あるいは重合後に起こ
る無水化反応あるいは加水分解反応が有効に抑えられる
ことを見出した。さらにα,β−二置換性ビニルモノマ
ーであるN−置換マレアミド酸エステル化合物はN−置
換マレアミド酸と同様に重合性に乏しい問題点を持って
いたが、一定の誘電率範囲にある媒体中で重合すること
により、N−置換マレアミド酸エステル化合物を高い転
化率で重合することが可能になった。すなわち、本発明
は、一般式(1)〔化2〕で表されるマレアミド酸エス
テル化合物および/またはN−置換マレアミド酸エステ
ル化合物0.1 〜80モル%と、
【0005】
【化2】 芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ジエン化
合物および不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物か
らなる群より選択された一種以上の重合性ビニルモノマ
ー20〜99.9モル%との共重合体を製造する方法におい
て、20℃あるいは25℃における誘電率が1.8〜30.0の範
囲にある媒体中で両者を重合することを特徴とするN−
置換マレアミド酸エステル化合物の重合方法であり、ま
た、ここで、重合性ビニルモノマーがスチレン、アクリ
ロニトリル、ブタジエン、またはメチル(メタ)アクリ
レートの一種以上であるN−置換マレアミド酸エステル
化合物の重合方法であり、さらに、これらの重合方法に
よって得られたマレイミド系重合体を要旨とする。な
お、ここで「N−置換マレアミド酸エステル化合物」と
はマレアミド酸エステル化合物およびN−置換マレアミ
ド酸エステル化合物の両者を意味するものとする。
【0006】本発明で使用される式(1)で表されるN
−置換マレアミド酸エステル化合物とは、マレアミド酸
メチルエステル、マレアミド酸エチルエステル、マレア
ミド酸−n−プロピルエステル、マレアミド酸イソプロ
ピルエステル、マレアミド酸−n−ブチルエステル、マ
レアミド酸−sec−ブチルエステル、マレアミド酸−
tert−ブチルエステル、ポリエチレングリコールモ
ノマレアミド酸エステル、ポリプロピレングリコールモ
ノマレアミド酸エステル、N−メチルマレアミド酸メチ
ルエステル、N−メチルマレアミド酸エチルエステル、
N−メチルマレアミド酸−n−プロピルエステル、N−
メチルマレアミド酸イソプロピルエステル、N−メチル
マレアミド酸−n−ブチルエステル、N−メチルマレア
ミド酸−sec−ブチルエステル、N−メチルマレアミ
ド酸−tert−ブチルエステル、ポリエチレングリコ
ールモノN−メチルマレアミド酸エステル、ポリプロピ
レングリコールモノN−メチルマレアミド酸エステル、
N−エチルマレアミド酸メチルエステル、N−エチルマ
レアミド酸エチルエステル、N−エチルマレアミド酸−
n−プロピルエステル、N−エチルマレアミド酸イソプ
ロピルエステル、N−エチルマレアミド酸−n−ブチル
エステル、N−エチルマレアミド酸−sec−ブチルエ
ステル、N−エチルマレアミド酸−tert−ブチルエ
ステル、ポリエチレングリコールモノN−エチルマレア
ミド酸エステル、ポリプロピレングリコールモノN−エ
チルマレアミド酸エステル、N−n−プロピルマレアミ
ド酸メチルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸エ
チルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸−n−プ
ロピルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸イソプ
ロピルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸−n−
ブチルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸−se
c−ブチルエステル、N−n−プロピルマレアミド酸−
tert−ブチルエステル、ポリエチレングリコールモ
ノ−N−n−プロピルマレアミド酸エステル、ポリプロ
ピレングリコール−N−n−プロピルモノマレアミド酸
エステル、N−イソプロピルマレアミド酸メチルエステ
ル、N−イソプロピルマレアミド酸エチルエステル、N
−イソプロピルマレアミド酸−n−プロピルエステル、
N−イソプロピルマレアミド酸イソプロピルエステル、
N−イソプロピルマレアミド酸−n−ブチルエステル、
N−イソプロピルマレアミド酸−sec−ブチルエステ
ル、N−イソプロピルマレアミド酸−tert−ブチル
エステル、ポリエチレングリコールモノN−イソプロピ
ルマレアミド酸エステル、ポリプロピレングリコールモ
ノN−イソプロピルマレアミド酸エステル、N−フェニ
ルマレアミド酸メチルエステル、N−フェニルマレアミ
ド酸エチルエステル、N−フェニルマレアミド酸−n−
プロピルエステル、N−フェニルマレアミド酸イソプロ
ピルエステル、N−フェニルマレアミド酸−n−ブチル
エステル、N−フェニルマレアミド酸−sec−ブチル
エステル、N−フェニルマレアミド酸−tert−ブチ
ルエステル、ポリエチレングリコールモノN−フェニル
マレアミド酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ
N−フェニルマレアミド酸エステル、N−シクロヘキシ
ルマレアミド酸メチルエステル、N−シクロヘキシルマ
レアミド酸エチルエステル、N−シクロヘキシルマレア
ミド酸−n−プロピルエステル、N−シクロヘキシルマ
レアミド酸イソプロピルエステル、N−シクロヘキシル
マレアミド酸−n−ブチルエステル、N−シクロヘキシ
ルマレアミド酸−sec−ブチルエステル、N−シクロ
ヘキシルマレアミド酸−tert−ブチルエステル、ポ
リエチレングリコールモノN−シクロヘキシルマレアミ
ド酸エステル、ポリプロピレングリコールモノN−シク
ロヘキシルマレアミド酸エステル、N−2−アミノエチ
ルマレアミド酸エチルエステル、N−2−アミノエチル
マレアミド酸−n−プロピルエステル、N−2−アミノ
エチルマレアミド酸イソプロピルエステル、N−2−ア
ミノエチルマレアミド酸−n−ブチルエステル、N−2
アミノエチル−マレアミド酸−sec−ブチルエステ
ル、N−2アミノエチル−マレアミド酸−tert−ブ
チルエステル、ポリエチレングリコールモノN−2アミ
ノエチル−マレアミド酸エステル、ポリプロピレングリ
コールモノN−2アミノエチル−マレアミド酸エステ
ル、N−2−ヒドロキシエチルマレアミド酸メチルエス
テル、N−2−ヒドロキシエチルマレアミド酸エチルエ
ステル、N−2−ヒドロキシエチルマレアミド酸イソプ
ロピルエステルなどが例示されるのである。これらは無
水マレイン酸と対応するアミンを反応させ、さらに対応
するアルコールを適当な触媒存在下で反応させることに
より容易に得られる。上記のN−置換マレアミド酸エス
テル化合物と共重合される重合性ビニルモノマーは、芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ジエン化合
物および不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物から
なる群より選択された一種以上の化合物である。
【0007】芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メ
チルスチレン、α−クロルスチレン、p−tert−ブ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロルスチレ
ン、o−クロルスチレン、2,5−ジクロルスチレン、
3,4−ジクロルスチレンなどが挙げられる。シアン化
ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどが挙げられる。ジエン化合物は、アレン、ブタジ
エン、イソプレン等のジオレフィン化合物および、クロ
ロプレン、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールアクリレート、ジメタクリル酸エチレング
リコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジ
メタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル
酸−1,3−ブチレングリコール、メチレンビスアクリ
ルアミドなどが挙げられる。不飽和カルボン酸アルキル
エステル化合物は、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、メタ
クリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0008】N−置換マレアミド酸の使用量は0.1〜80
モル%、共重合される重合性ビニルモノマーの使用量は
20〜99.9モル%の範囲にあることが耐熱性、機械的強
度、経済性などの面から好ましい。なお、耐衝撃性を上
げるため、ゴムの存在下で重合を行ってもよい。その場
合、ゴムの重量は全モノマー100重量部に対して1〜300
重量部程度であることが好ましい。
【0009】本発明のN−置換マレアミド酸エステル系
重合体は、上記成分以外に共重合可能な一種以上の不飽
和単量体とを共重合しても差し支えない。共重合可能な
単量体は、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシ
ジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロ
ピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル
酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタク
リル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミ
ノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ジアセ
トンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−
ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミ
ド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピ
ペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニル−
2−ピロリドン、N,N−ジ−n−プロピルアクリルア
ミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシ
ルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミ
ド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチ
ルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミ
ド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメ
タクリルアミド、N,N−ジグリシジルアクリルアミ
ド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4
−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グ
リシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリ
シドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシ
ドキシヘキシル)アクリルアミド、ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテ
ル、ビニルn−プロピルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルn
−オクタデシルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプ
レン、無水マレイン酸等をあげることができる。共重合
に供せられる不飽和単量体の使用量は、不飽和単量体の
種類、及びそれらの組合せにより異なり一概には言えな
いが、全モノマーに対して概ね0〜50重量%の範囲にあ
る。
【0010】本発明は20℃あるいは25℃における誘電率
が1.8〜30.0の範囲にある媒体中で重合を行う点に特徴
があり、高重合率でマレアミド酸エステル化合物が共重
合される。ここにいう媒体とは、溶媒または重合性のモ
ノマー自体をいう。したがって媒体の誘電率とは、溶媒
を使用する場合は溶媒の誘電率を、溶媒を使用しない場
合は重合性ビニルモノマーの誘電率である。したがっ
て、使用する重合性のビニルモノマー(混合物)の誘電
率がこの範囲にあれば、無溶剤系で重合した方が好まし
い。上記の誘電率範囲にある主な溶剤は、ヘキサン
(1.89/20℃)、シクロヘキサン(2.05/2
0℃)、ジオキサン(2.21/25℃)、四塩化炭素
(2.24/20℃)、トルエン(2.24/20
℃)、キシレン(2.27/20℃)、二硫化炭素
(2.64/20℃)、クロロホルム(4.9/20
℃)、酢酸エチル(6.02/20℃)、酢酸(6.1
5/20℃)、モルホリン(7.42/25℃)、ベン
ゼン(2.28/20℃)、テトラヒドロフラン(7.
58/25℃)、ピリジン(12.3/25℃)、メチ
ルエチルケトン(18.51/20℃)、アセトン(2
0.70/25℃)等が例示される。誘電率が上記の範
囲にあれば、任意の溶剤を混合して重合に使用しても良
い。
【0011】なお、本発明で規定する誘電率の範囲以外
にあり、本発明を実施するために好ましくない溶剤とし
ては、例えばN−メチルピロリドン(32.0/25
℃)、メタノール(33.1/25℃)、DMF(3
6.7/25℃)、アセトニトリル(37.5/20
℃)、グリセリン(42.5/25℃)、DMSO(4
8.9/20℃)、水(80.1/20℃)、ホルムア
ミド(111.0/20℃)等が例示される。
【0012】本発明のマレアミド酸エステル系重合体の
重合方法に関しては特に制限はなく、公知の方法で重合
することができる。通常はラジカル重合開始剤の存在
下、所定温度に保つことにより重合を行う。重合は一定
温度で行う必要はなく、必要に応じて加熱あるいは除熱
しながら行う。重合温度は使用するモノマーにの種類や
重合開始剤の種類などにより異なり、概ね 40〜200℃の
範囲にある。後述するように70℃以上の高温下では脱ア
ルコール反応によるイミド環化反応が伴うこともある
が、特に問題はない。
【0013】重合開始剤としては一般の重合開始剤が使
用でき、過酸化物系では、ベンゾイルパーオキサイド、
ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1,1,3,3-テト
ラメチルブチルパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン
-2,5-ジハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブ
チルパーアセテート、tert−ブチルパーフェニルアセテ
ート、tert−ブチルパーオキシラウレート、クミルパー
ビバレートまた、アゾ化合物としては、アゾビスイソブ
チロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチ
ルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバ
レロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、
1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、
2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリ
ル、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,
2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、ジメチル2,2'-アゾ
ビス(2-メチルプロピオネート)などを使用することが
できる。更に、上記した重合開始剤を2種以上併用する
ことも可能である。開始剤の添加量は、単量体に対して
0.0001〜10重量%の範囲である。
【0014】重合に供するモノマー類、重合開始剤、溶
媒などは、重合を開始する時点で一度に反応容器に仕込
んでもよいが、重合の進行に応じて、1種あるいはそれ
以上の成分を、単独あるいは溶媒などに混合したものを
逐次添加していってもよい。重合器内の雰囲気は特に限
定はないが、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのよ
うな不活性ガスで置換した方がよい。重合時間は特に限
定はないが、概ね 1〜40時間である。
【0015】本発明により製造されるN−置換マレアミ
ド酸エステル系重合体を、p−トルエンスルホン酸、シ
ュウ酸、酢酸、硫酸等の酸触媒および/またはトリエチ
ルアミン、N−メチルモルホリン等の塩基触媒の存在下
あるいは無触媒下で加熱処理を行うと脱アルコール反応
が容易に進行してイミド環が形成され、熱安定性、耐熱
性に優れたN−置換マレイミド系重合体が得られる。な
お、N−置換マレアミド酸エステル系重合体の製造過程
中、N−置換マレアミド酸エステル化合物類がイミド化
した後に重合することもあり得るが、本発明の目的から
すれば、重合中にイミド化反応が生じても特に問題はな
く、後イミド化反応に伴い生成するアルコール除去が必
要かつ困難である場合にはむしろ好ましいのである。そ
のような場合には重合中に上記の触媒類を重合を阻害し
ない程度に存在させることも可能である。
【0016】下記の実施例および〔表1〕から明らかな
ように、本発明に従えば、N−置換マレアミド酸エステ
ルを利用することでN−置換マレアミド酸では問題であ
った無水化反応を抑制し、かつ、一定の誘電率範囲を持
つ媒体中で重合することにより、N−置換マレアミド酸
エステル化合物は重合中に無水化反応を起こすことな
く、高い重合率を示す。その理由については完全には確
定しえないが、N−置換マレアミド酸エステル化合物の
とる安定構造が媒体の誘電率によって異なることに起因
するものと推定している。いずれにせよ、本発明によ
り、N−置換マレアミド酸エステル系重合体を効率的に
製造することが可能になり、N−置換マレアミド酸を用
いた場合には無水化反応により製造が困難であった、N
−置換マレイミド系重合体の前駆体を効果的に製造する
ことができるようになった。
【0017】
【実施例】次に、本発明を製造例および応用例に分けて
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例および応用
例に必ずしも限定されるものではない。なお以下におい
て%は特に断わらない限り重量%を意味するものとす
る。 実施例1 N−シクロヘキシルマレアミド酸メチルエステル(CH
MA−M)0.37g(1.75mmol)とスチレン1.63g(15.7mmol)
をトルエン(20℃における誘電率:2.24)18.0gに混合
した溶液にベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.02g
を添加し、撹伴下に溶解してから三方コックを取り付け
たスリ付試験管に入れ、凍結真空脱気法により窒素置換
した。120℃の油浴に入れて反応液を昇温して重合を開
始した。重合開始24時間後に液温を室温まで冷却して
反応を停止したところ、薄黄色の粘ちょうな溶液が得ら
れた。重合液をメタノールに投じると、重合体は白色の
沈澱物として分離でき、溶出する残存モノマー量はHP
LC(Finepak SIL C18-5、溶離液:メタノール−水)
により定量分析した。結果は〔表1〕に示した。参考ま
でにCHMA−Mの5%トルエン溶液を100℃で24時間熱
処理したが、無水マレイン酸は全く生成しなかった。
【0018】実施例2 CHMA−M0.67g(3.17mmol)、スチレン1.33g(12.8mmo
l)、トルエン18.0g、BPO0.02gに変更した以外には実
施例1と同様に重合を行った。結果は〔表1〕に示し
た。
【0019】実施例3 N−フェニルマレアミド酸メチルエステル(PMA−
M)0.36g(1.75mmol)とスチレン1.64g(15.7mmol)をp−
キシレン(20℃における誘電率:2.27)18.0gに混合し
た溶液にBPO0.02gを添加し、撹伴下に溶解してから
三方コックを取り付けたスリ付試験管に入れ、凍結真空
脱気法により窒素置換した。120℃の油浴に入れて反応
液を昇温して重合を開始した。重合開始24時間後に液
温を室温まで冷却して反応を停止したところ、薄黄色の
粘ちょうな溶液が得られた。重合液をメタノールに投じ
ると、重合体は白色の沈澱物として分離でき、溶出する
残存モノマー量はHPLC(Finepak SIL C18-5、溶離
液:メタノール−水)により定量分析した。結果は〔表
1〕に示した。参考までにPMA−Mの5%トルエン溶
液を100℃で24時間熱処理したが、無水マレイン酸は全
く生成しなかった。
【0020】実施例4 PMA−M0.66g(3.22mmol)、スチレン1.34g(12.9mmo
l)、トルエン18.0g、BPO0.02gに変更した以外には実
施例3と同様に重合を行った。結果は〔表1〕に示し
た。
【0021】比較例1 CHMA−M0.67g(3.17mmol)とスチレン1.33g(12.8mmo
l)をDMF(20℃における誘電率:37.5)18.0gに混合
した溶液にBPO0.02gを添加し、撹伴下に溶解してか
ら三方コックを取り付けたスリ付試験管に入れ、凍結真
空脱気法により窒素置換した。120℃の油浴に入れて反
応液を昇温して重合を開始した。重合開始24時間後に
液温を室温まで冷却して反応を停止したところ、薄黄色
の粘ちょうな溶液が得られた。重合液をメタノールに投
じると、重合体は白色の沈澱物として分離でき、溶出す
る残存モノマー量はHPLC(Finepak SIL C18-5、溶
離液:メタノール−水)により定量分析した。結果は
〔表1〕に示した。参考までにCHMA−Mの5%DM
F溶液を100℃で24時間熱処理したが、無水マレイン酸
は全く生成しなかった。
【0022】比較例2 PMA−M0.66g(3.22mmol)とスチレン1.34g(12.9mmol)
をDMF18.0gに混合した溶液にBPO0.02gを添加し、
撹伴下に溶解してから三方コックを取り付けたスリ付試
験管に入れ、凍結真空脱気法により窒素置換した。120
℃の油浴に入れて反応液を昇温して重合を開始した。重
合開始24時間後に液温を室温まで冷却して反応を停止
したところ、薄黄色の粘ちょうな溶液が得られた。重合
液をメタノールに投じると、重合体は白色の沈澱物とし
て分離でき、溶出する残存モノマー量はHPLC(Fine
pak SIL C18-5、溶離液:メタノール−水)により定量
分析した。結果は〔表1〕に示した。参考までにPMA
−Mの5%DMF溶液を100℃で24時間熱処理したが、無
水マレイン酸は全く生成しなかった。
【0023】比較例3 N−シクロヘキシルマレアミド酸(CHMA)0.64g(3.
24mmol)とスチレン1.36g(13.1mmol)をDMF18.0gに混
合した溶液にBPO0.02gを添加し、撹伴下に溶解して
から三方コックを取り付けたスリ付試験管に入れ、凍結
真空脱気法により窒素置換した。120℃の油浴に入れて
反応液を昇温して重合を開始した。重合開始24時間後
に液温を室温まで冷却して反応を停止したところ、赤橙
色の粘ちょうな溶液が得られた。重合液をメタノールに
投じると、重合体は白色の沈澱物として分離でき、溶出
する残存モノマー量はHPLC(Finepak SIL C18-5、
溶離液:メタノール−水)により定量分析した。結果は
〔表1〕に示した。参考までにCHMAの5%DMF溶
液を100℃で24時間熱処理したところ、加熱前のCHM
Aに対して68mol%の無水マレイン酸の生成が認められ
た。
【0024】比較例4 N−フェニルマレアミド酸(PMA)0.63g(3.30mmol)
とスチレン1.37g(13.2mmol)をDMF18.0gに混合した溶
液にBPO0.02gを添加し、撹伴下に溶解してから三方
コックを取り付けたスリ付試験管に入れ、凍結真空脱気
法により窒素置換した。120℃の油浴に入れて反応液を
昇温して重合を開始した。重合開始24時間後に液温を
室温まで冷却して反応を停止したところ、赤橙色の粘ち
ょうな溶液が得られた。重合液をメタノールに投じる
と、重合体は白色の沈澱物として分離でき、溶出する残
存モノマー量はHPLC(Finepak SIL C18-5、溶離
液:メタノール−水)により定量分析した。結果は〔表
1〕に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】上記実施例および〔表1〕から明らかな
ように、N−置換マレアミド酸エステル化合物は重合中
に無水化反応を起こすことなく、一定の誘電率範囲を持
つ媒体中で高い重合率を示すことがわかる。本発明によ
り、N−置換マレアミド酸エステル系重合体を効率的に
製造することが可能になり、N−置換マレアミド酸を用
いた場合には無水化反応により製造が困難であった、N
−置換マレイミド系重合体の前駆体を効果的に製造する
ことができるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 236/04 C08F 236/04 (56)参考文献 特開 昭57−161859(JP,A) 特開 平7−286012(JP,A) 特開 平3−223247(JP,A) 特開 昭61−16904(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 C08F 212/04,220/10,220/42 C08F 222/36,236/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)〔化1〕で表されるマレア
    ミド酸エステル化合物および/またはN−置換マレアミ
    ド酸エステル化合物0.1 〜80モル%と、 【化1】 芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ジエン化
    合物および不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物か
    らなる群より選択された一種以上の重合性ビニルモノマ
    ー20〜99.9モル%との共重合体を製造する方法におい
    て、20℃あるいは25℃における誘電率が1.8〜30.0の範
    囲にある媒体中で両者を重合することを特徴とするN−
    置換マレアミド酸エステル化合物の重合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、重合性ビニルモノマ
    ーがスチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、または
    メチル(メタ)アクリレートの一種以上であるN−置換
    マレアミド酸エステル化合物の重合方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の重合方法によって得
    られたマレイミド系重合体。
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