JP2013227407A - 塩化ビニル重合体のチオカルボニルチオ末端を除去する方法 - Google Patents

塩化ビニル重合体のチオカルボニルチオ末端を除去する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 着色することなく、塩化ビニル重合体からチオカルボニルチオ末端を効率的に除去できる方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)に、ラジカル重合開始剤および炭素数3〜20のα−オレフィンを反応させることにより、塩化ビニル重合体(A)のチオカルボニルチオ末端を除去する方法。
【化1】
Figure 2013227407

(式中、Zは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、塩化ビニル重合体からチオカルボニルチオ末端を効率的に除去する方法に関する。
塩化ビニル系重合体は安価であり、機械的物性、化学的物性に優れ、また可塑剤量の調整により硬質から軟質までの成形体が得られるため、フィルム、パイプなどの種々の用途に利用されている。工業的には従来、ラジカル重合で生産されている。しかし、従来のラジカル重合では、連鎖移動反応や停止反応が生じるため、得られる塩化ビニル系重合体の分子量分布が広く、分子量や末端基構造を制御することが難しく、ブロック共重合体の製造も困難であった。
これらの課題を解決する方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合とは活性種とドーマント種と呼ばれる非活性種との平衡反応よりなる重合開始剤系により、2分子停止などの副反応を抑制することで、リビング的な挙動を示す重合方法のことである。リビングラジカル重合を用いれば、分子量分布が狭く、分子量や末端基構造を制御することができ、ブロック共重合体を製造することも可能となる。
リビングラジカル重合による塩化ビニル重合体の製造方法として、チオカルボニルチオ構造を有する化合物を用いた方法(特許文献1)などが提案されている。この方法は一般式 R−S−C(=S)−Z
で表されるチオカルボニルチオ化合物とラジカル重合開始剤の存在下で塩化ビニル単量体の重合を行うものである。この方法では得られる塩化ビニル重合体の分子量分布を狭くすることは可能となるが、分子の末端にチオカルボニルチオ末端を有するため、着色や成形加工時の臭気発生の原因となるという問題点があった。
このようなチオカルボニルチオ末端の除去方法としては、一般的には、塩基により処理する方法、大量のラジカル重合開始剤で処理する方法などが知られている(非特許文献1)。しかし、塩化ビニル重合体の場合、塩基処理を行うと、脱HCl反応が並行して起こるため、共役二重結合の生成に伴い、着色や熱安定性低下が生じるという問題があった。また、大量のラジカル重合開始剤で処理する場合も、末端除去効率が十分でないという問題があった。
特開2002−363217公報(特許請求の範囲)
Macromolecules(2007)40、4446−4455
本発明の目的は、塩化ビニル重合体からチオカルボニルチオ末端を効率的に除去する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の構造をもつ単量体を反応させることで、塩化ビニル重合体からチオカルボニルチオ末端を効率的に除去する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)に、ラジカル重合開始剤および炭素数3〜20のα−オレフィンを反応させることにより塩化ビニル重合体(A)のチオカルボニルチオ末端を除去する方法(以下、チオカルボニルチオ末端除去方法という場合がある。)に関するものである。
Figure 2013227407
(式中、Zは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基である。)
ここで、チオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)はリビングラジカル重合の一つである可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)により合成することができる。この可逆的付加開裂連鎖移動重合はRizzardoら、Aust.J.Chem.2009,62,1402−1472などに記載の重合である。他のリビングラジカル重合法に比べ、多様なモノマー種を重合可能であるほか、遷移金属錯体を使用する必要がないなど優れた特性を示す。本発明はこの可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)により合成したチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)のチオカルボニルチオ末端を除去する方法に関するものである。
ここで、前記一般式(1)におけるZは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基である。
そして、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、3−エチルペントキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ジエチレングリコキシモノメチルエーテル基、フェノキシ基、メトキシフェノキシ基、シクロヘキシルメトキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルサルファニル基又はアリールサルファニル基としては、メチルサルファニル基、エチルサルファニル基、n−プロピルサルファニル基、イソプロピルサルファニル基、n−ブチルサルファニル基、2−ブチルサルファニル基、ドデカンサルファニル基、3−エチルペンチルサルファニル基、シクロヘキシルサルファニル基、フェニルサルファニル基、ナフチルサルファニル基、等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ドデカン基、等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、等が挙げられる。
特に、色相への悪影響が少なく、チオカルボニルチオ末端の除去を効率的に行うことができることから、Zはアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては如何なるものも使用でき、例えばクミルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−等のパーエステル型開始剤;ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のジカーボネート型開始剤;イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシル型開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ型開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性開始剤等を挙げることができ、これらのラジカル重合開始剤は1種以上で使用することができる。
特に、チオカルボニルチオ末端の除去効率に優れることから、ラジカル重合開始剤は、パーエステル型開始剤、ジカーボネート型開始剤、ジアシル型開始剤、アゾ型開始剤から選ばれる油溶性ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
該ラジカル重合開始剤の使用量は特に限定されないが、通常、チオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)100wt%あたり、0.05〜100wt%である。着色することなく、チオカルボニルチオ末端の除去効率を高めることができることから、使用量が0.5〜50wt%であることが好ましい。使用量が0.5wt%よりも少ない時には、チオカルボニルチオ末端の除去が効率的でなく、使用量が100wt%より多い時には塩化ビニル樹脂の劣化が生じ、共役二重結合量の増加や着色が生じてしまう。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。特に、チオカルボニルチオ末端を効率的に除去することを目的に1−ヘキセンであることが好ましい。
本発明では、チオカルボニルチオ末端の除去に炭素数3〜20のα−オレフィンを用いているが、α−オレフィンは、ラジカル重合では、単独重合しない。一方、α−オレフィンはラジカル重合可能な単量体と共重合であればラジカル重合することが知られている。しかし、塩化ビニル重合体の生長ラジカルにα−オレフィンのみを反応させた場合では、α―オレフィンの単独重合が進行せず、また、他のチオカルボニルチオ基と反応するほど反応性が高くないために、水素引き抜き反応等で停止すると考えられる。この性質を利用して、チオカルボニルチオ末端を除去することが可能となると考えられる。
α−オレフィン以外の単量体を用いると、チオカルボニルチオ末端が生成した重合体のチオカルボニルチオ末端に残存してしまい、チオカルボニルチオ末端を効率的に除去することは困難である。また、塩化ビニル重合体以外の成分が単独重合やブロック重合により増加してしまうため、熱安定性や力学物性、加工性などの物性を損なってしまう。それに対し、本発明の手法では、α−オレフィンの単独重合体は生成せず、チオカルボニルチオ末端への導入量も限定的であるために、他の物性を損なうことなく、チオカルボニルチオ末端を除去することが可能となる。
α−オレフィンの使用量は特に限定されないが、チオカルボニルチオ末端の除去効率を高めることができることから、チオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)100wt%あたり、50〜5000wt%であることが好ましい。
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法としては、バルク、有機溶媒中、乳化水溶液中、懸濁液中など、いずれの方法を採用しても良い。特にチオカルボニルチオ末端の除去効率が優れることから、有機溶媒中で行うことが好ましい。
処理温度としては、ラジカル重合開始剤の分解が可能であれば如何なる温度であってもよく、特に熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を効率的に得ることが可能となることから0℃〜100℃であることが好ましく、特に50℃〜80℃であることが好ましい。
チオカルボニルチオ末端除去方法としては、前記の工程の後に反応を停止させる工程、得られた塩化ビニル重合体の洗浄・精製を行う工程、等の付加的工程の追加を行う事も可能である。
本発明で用いるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)の分子量は特に限定されないが、通常、数平均分子量Mnが1,000〜100,000である。
本発明で用いるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)の分子量分布Mw/Mnは特に限定されないが、通常、分子量分布Mw/Mnが1〜3である。
チオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)の構造に特に限定はないが、下記工程[I]で製造された重合体であることが好ましい。
工程[I] 下記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤(B)とラジカル重合開始剤(C)の存在下、塩化ビニル単量体を重合する工程。
Figure 2013227407
(式中、Zは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基であり;Rは炭素数1〜20のアルキル基、アルキルシアノ基及び下記一般式(3)で表される官能基からなる群より選ばれる置換基である。)
Figure 2013227407
(式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、アルキルエーテル基又はアリールエーテル基である。)
は炭素数1〜20のアルキル基、アルキルシアノ基及び前記一般式(3)で表される官能基からなる群より選ばれる置換基であるが、可逆的連鎖移動剤(B)の脱離基であって、脱離することによりラジカル重合開始剤として作用する。
は前記の通りであるが、具体的に例示すると、t−ブチル基などのアルキル基;メチルシアノ基、2−プロピオノニトリル基、2−イソブチロニトリル基などのアルキルシアノ基;酢酸メチル基、酢酸エチル基、酢酸デカン基、プロピオン酸メチル基、プロピオン酸、イソ酪酸メチル基、イソ酪酸エチル基などの前記一般式(3)で表される官能基などが挙げられる。
は塩化ビニル重合体の色相が優れたものとなることを目的に前記一般式(3)で表される官能基であることが好ましい。なかでも、より色相に優れる塩化ビニル重合体となることから、前記一般式(3)のR、Rの両方が水素原子であることがより好ましい。
前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤(B)は前記の通りであるが、具体的に例示すると、例えば、メトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、3−エチルペントキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシフェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)イソ酪酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)イソ酪酸エチルなどのZがアルコキシ基の化合物;メチルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エチルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、ドデカンサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェニルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチルなどのZがアルキルサルファニル又はアリールサルファニル基の化合物;チオアセチルサルファニル酢酸メチル、チオプロピオニルサルファニル酢酸メチルなどのZがアルキル基の化合物;チオベンゾイルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシチオベンゾイルサルファニル酢酸メチルなどのZがアリール基の化合物などが挙げられる。
特に、色相への悪影響が少なく、チオカルボニルチオ末端の除去を効率的に行うことができることから、メトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、3−エチルペントキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシフェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸エチルが好ましい。
工程[I]で用いる該ラジカル重合開始剤(C)はチオカルボニルチオ末端の除去に用いるラジカル重合開始剤の場合と同様のものを例示できる。
該ラジカル重合開始剤(C)の使用量は特に限定されないが、通常、塩化ビニル単量体100モル%あたり、0.001〜1モル%である。
チオカルボニルチオ末端の除去に用いるラジカル重合開始剤と、重合体(A)の製造に用いるラジカル重合開始剤の種類およびその量は同一又は異なるものを採用してもよい。
前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤の使用量には特に限定は無いが、適度な分子量を有し、熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を得ることを目的に、塩化ビニル単量体100モル%あたり、0.001モル%〜5モル%であることが好ましい。なお、工程[I]で生成する塩化ビニル単独重合体の分子量は塩化ビニル単量体と前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤との割合と重合転化率により調整することができ、所望の分子量を有する塩化ビニル単独重合体を得ることができる。
チオカルボニルチオ末端の除去に用いるラジカル重合開始剤と、重合体(A)の製造に用いるラジカル重合開始剤の種類およびその量は同一又は異なるものを採用でき、例えば、懸濁重合で製造した重合体(A)を、溶液中でチオカルボニルチオ末端の除去を行ってもよい。
工程[I]の重合方法として懸濁重合を用いる場合には、ラジカル重合開始剤、前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤を用い、分散剤の存在下、水性媒体中で塩化ビニル単量体の重合を行う。重合方法として懸濁重合を用いる場合の分散剤としては、懸濁重合において塩化ビニル単量体の分散が可能である分散剤であれば如何なるものも使用でき、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン等の有機物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機物等を挙げることができ、これら分散剤は1種以上で使用することができる。前記分散剤の使用量は、懸濁重合が可能であれば如何なる量であっても良いが、優れた粒子形態を有する塩化ビニル重合体を得ることが可能となることから、塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.01〜1重量部である。
工程[I]の重合方法として懸濁重合を用いる場合の水性媒体としては、水はもとより、イオン交換水、蒸留水、脱イオン水、工業用水、飲料水等を挙げることができ、例えばアルコール等の有機溶剤を懸濁重合に支障のない範囲で含んでいるものであってもよい。そして、水性媒体の使用量としては、懸濁重合が可能であれば如何なる量であっても良く、特に効率的に塩化ビニル重合体の製造が可能となることから塩化ビニル単量体100重量部に対し、100〜500重量部であることが好ましい。
工程[I]の重合温度としては、塩化ビニル単量体の懸濁共重合が可能であれば如何なる温度であってもよく、特に塩化ビニル単独重合体を効率的に得ることが可能となることから0℃〜100℃であることが好ましく、特に35℃〜70℃であることが好ましい。
工程[I]により、前記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体が生成する。
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法により生成する塩化ビニル重合体(D)の共役二重結合量は特に限定されないが、共役二重結合は着色や熱安定性低下の原因となるため、1000塩化ビニルモノマー単位中0.5個以下であることが好ましい。
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法により生成する塩化ビニル重合体のチオカルボニルチオ末端の量は特に限定されないが、着色や臭気発生の原因となるため、1000塩化ビニルモノマー単位中3個以下であることが好ましい。
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法により生成する塩化ビニル重合体のチオカルボニルチオ末端の除去率は特に限定されないが、着色や臭気発生の原因となるため、70%以上であることが好ましい。
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法により生成する塩化ビニル重合体は単独であっても、その他のものを含む混合物であっても良い。混合物としては特に限定されないが、本発明の製造過程で生成する塩化ビニル単独重合体、その他の塩化ビニル重合体、製造の過程で副生する可能性のある酢酸ビニルの単独重合体、各種熱可塑性樹脂、添加剤、可塑剤、混合物などが挙げられる。 本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法によれば、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)により合成したチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体から、着色や臭気の発生の原因であるチオカルボニルチオ末端を効率的に、かつ、着色や共役二重結合の増加なしに除去することができる。そのため、着色や臭気が発生することなく、熱安定性が高く、分子量分布の狭い塩化ビニル重合体を得ることが可能となる。
得られる塩化ビニル重合体は分子量分布が狭く、極めて低分子量の成分がないために、熱安定性や機械的性質に優れ、かつ、極めて高分子量の成分がないために、ゲル化性や加工性、透明性に優れる塩化ビニル系重合体を得ることができ、各種成形品への展開が期待できる。
着色することなく、塩化ビニル重合体からチオカルボニルチオ末端を効率的に除去できる。
以下、本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例における分子量、末端構造量、共役二重結合量、5%重量減少温度の測定は下記の方法により測定を行った。
〜分子量の測定〜
数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及びMw/Mnは、GPCにより求めた。充填カラムとして東ソー(株)製、(商品名)TSKgel MultiporeHXL−Mを2本用い、テトラヒドロフランを移動相として、ピーク検出には示差屈折計(東ソー(株)製、(商品名)RI−8020)を用い、カラム温度:40℃、流量:1.0mL/minで測定した。また、Mn及びMwは、東ソー(株)製の標準ポリスチレンにより検量線を作成し、求めた。
〜末端構造量の測定〜
末端構造量はH−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。
ヘキセン導入量は、0.85〜1.0ppmのピークの積分強度(a)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(b)から以下の式(4)に従って算出した。
ヘキセン導入量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(ヘキセン残基量/塩化ビニル残基量)=(a×1000)/b (4)
チオカルボニルチオ末端量は6〜6.2ppmのピークの積分強度(c)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(d)から以下の式(5)に従って算出した。
チオカルボニルチオ末端量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(チオカルボニルチオ末端量/塩化ビニル残基量)=(c×1000)/d (5)
末端除去率は式(5)により求めた処理前のチオカルボニルチオ末端を有する塩化ビニル重合体(A)のチオカルボニルチオ末端量(e)と末端処理後のチオカルボニルチオ末端量(f)から以下の式(6)に従って算出した。
末端除去率(%) = 100×(e―f)/e (6)
〜共役二重結合量の測定〜
共役二重結合量はH−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。6.4〜7.2ppmのピークの積分強度(g)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(h)から以下の式(7)に従って算出した。
共役二重結合量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(共役二重結合量/塩化ビニル残基量)=(g×1000)/h (7)
製造例1
(チオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体の製造)
パドル型撹拌翼、バッフルを装備した内容積1リットルのステンレス製重合器に窒素置換を3回行い、脱イオン水420g(300重量部)、ケン化度80モル%で平均重合度2600のポリビニルアルコール部分ケン化物0.128g(0.10重量部)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.051g(0.04重量部)を装入し、さらに窒素置換を3回行った。その後、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル0.495g(0.125モル%)、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.042g(0.025モル%)をエタノール30mLに溶解させ装入し、さらに、塩化ビニル単量体127.5g(100重量部)を装入し、撹拌を行いながら内温60℃で懸濁重合を行った。内温が60℃に到達後5時間で重合を停止(重合時間:5時間)し、未反応単量体を気化させ生成物をろ集した後、2リットルの脱イオン水で洗浄した。その後、35℃で3時間減圧乾燥を行い、さらに65℃で3時間減圧乾燥することによりチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)を得た(収量:18.5g、重合転化率:14.5%)。Mnは7300、Mw/Mnは1.41、チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量は7.3個/1000塩化ビニル単量体単位であった。
実施例1
(チオカルボニルチオ末端の除去)
攪拌子を備えた100mLのシュレンク管に製造例1のチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)を0.5g、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.059g(チオカルボニルチオ末端に対し、5当量)を導入し、窒素置換した。その後、十分に窒素バブリングした脱水テトラヒドロフラン20mLを導入し、塩化ビニル単独重合体を溶解後、十分に窒素バブリングした1−ヘキセンを6.0g導入し、60℃で5時間反応させた。反応溶液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することによりチオカルボニルチオ末端を除去した塩化ビニル重合体を得た。Mnは7,600、Mw/Mnは1.65であった。物性を表1に示す。
実施例2
実施例1において、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.059gの代わりに、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.59gを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.59であった。であった。物性を表1に示す。
実施例3
実施例1において、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.059gの代わりに、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)5.9mgを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.45であった。物性を表1に示す。
実施例4
実施例1において、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)の代わりに、ベンゾイルパーオキサイドを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.6であった。物性を表1に示す。
実施例5
実施例1において、1−ヘキセンの代わりに、1−デセンを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,500、Mw/Mnは1.72であった。物性を表1に示す。
比較例1
実施例1において、1−ヘキセン6.0gを用いた代わりに、溶媒であるテトラヒドロフラン8mLを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,000、Mw/Mnは1.64であった。物性を表1に示す。
比較例2
比較例1において、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.059gの代わりに、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.59gを用いた以外は比較例1と同じ方法で行った。Mnは7,200、Mw/Mnは1.58であった。物性を表1に示す。
比較例3
製造例1の塩化ビニル単独重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。同じ操作をもう1回繰り返したのち、40℃で10時間真空乾燥することにより塩化ビニル単独重合体を得た。Mnは7,300、Mw/Mnは1.51であった。固体はわずかに薄紫色を呈していた。物性を表1に示す。
比較例4
スターラー、攪拌子を備えた300mLのフラスコに製造例1の塩化ビニル単独重合体を0.5gを加え窒素置換後、十分に窒素バブリングしたテトラヒドロフラン50mLを加え、塩化ビニル単独重合体を溶解させた。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液50mLを導入し、70℃で3時間反応させた。反応後、反応液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することで固体を得た。Mnは6,800、Mw/Mnは1.82であった。であった。固体は黄色く着色していた。物性を表1に示す。
Figure 2013227407
本発明のチオカルボニルチオ末端除去方法によれば、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)により合成したチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体から、着色や臭気の発生の原因であるチオカルボニルチオ末端を効率的に、かつ、着色や共役二重結合の増加なしに除去することができる。そのため、着色や臭気が発生することなく、熱安定性が高く、分子量分布の狭い塩化ビニル重合体を得ることが可能となる。得られる塩化ビニル重合体の分子量分布が狭いため、極めて低分子量の成分がないために、熱安定性や機械的性質に優れ、かつ、極めて高分子量の成分がないために、ゲル化性や加工性、透明性に優れる塩化ビニル系重合体を得ることができ、各種成形品への展開が期待できる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)に、ラジカル重合開始剤および炭素数3〜20のα−オレフィンを反応させることにより、塩化ビニル重合体(A)のチオカルボニルチオ末端を除去する方法。
    Figure 2013227407
    (式中、Zは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基である。)
  2. 前記一般式(1)で表されるチオカルボニルチオ末端構造を有する塩化ビニル重合体(A)が、下記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤とラジカル重合開始剤の存在下、塩化ビニル単量体を重合することによって製造された重合体であることを特徴とする請求項1に記載のチオカルボニルチオ末端の除去方法。
    Figure 2013227407
    (式中、Zは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基であり;Rは炭素数1〜20のアルキル基、アルキルシアノ基及び下記一般式(3)で表される官能基からなる群より選ばれる置換基である。)
    Figure 2013227407
    (式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、アルキルエーテル基又はアリールエーテル基である。)
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016147954A (ja) * 2015-02-12 2016-08-18 リケンテクノス株式会社 医療用塩化ビニル系樹脂組成物
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WO2024010011A1 (ja) * 2022-07-05 2024-01-11 国立大学法人山形大学 アルコキシ基含有ラジカル発生剤、ラジカル重合体、組成物及びラジカル重合体の製造方法

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