JP2013227406A - 塩化ビニル重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、塩化ビニル重合体に関するものであり、更に詳しくは、熱安定性の高い塩化ビニル重合体に関する。
塩化ビニル重合体は安価であり、機械的物性、化学的物性に優れ、また可塑剤量の調整により硬質から軟質までの成形体が得られるため、フィルム、パイプなどの種々の用途に利用されている。
しかし、通常のラジカル重合で合成した塩化ビニル重合体はモノマーへの連鎖移動反応、Head to Head付加、Backbiting反応などの副反応により、アリル塩素や3級塩素などの異常構造を多く含む。異常構造は正規構造(−CH2−CHCl−)に比べ、熱的に分解しやすく、異常構造が塩化ビニル重合体の熱安定性低下の原因となっている。従来は加工時に鉛やスズなどを含む安定剤を添加することで、熱安定性低下を補ってきた。しかし、鉛やスズはヒトへの安全性や環境的な問題から代替が望まれており、代替品も性能に劣るのが現状である。また、安定剤を多量に添加すると安定剤の滲み出しなどの問題もある。そこで、塩化ビニル重合体自体の熱安定性向上が望まれている。
塩化ビニル重合体の熱安定性を向上させる方法としては、例えば、ハーフメタロセン化合物/MAOを用いてアニオン重合を行う方法(非特許文献1)などが提案されている。しかし、これらの触媒は水に弱く水系媒体中での重合ができないため、懸濁重合や乳化重合といった実際のプロセスへの適用が困難という問題点があった。
また、チオカルボニルチオ構造を有する化合物を用いた方法(特許文献1)なども提案されている。この方法は一般式R−S−C(=S)−Z1で表されるチオカルボニルチオ化合物とラジカル重合開始剤の存在下で塩化ビニル単量体の重合を行うものである。この方法では得られる塩化ビニル重合体の分子量分布が狭いため、熱安定性が向上するが、熱安定性の改善はまだ不十分であった。また、分子の末端にチオカルボニルチオ末端を有するため、着色や成形加工時の臭気発生の原因となるという問題点もあった。
このようなチオカルボニルチオ末端の除去方法としては、一般的には、塩基により処理する方法、大量のラジカル重合開始剤で処理する方法などが知られている(非特許文献2)。しかし、塩化ビニル重合体の場合、塩基処理を行うと、脱HCl反応が並行して起こるため、共役二重結合の生成に伴い、着色や熱安定性低下が生じるという問題があった。また、大量のラジカル重合開始剤で処理する場合も、末端除去効率が十分でないために熱安定性を十分に改善することができず、多量の開始剤を用いた場合には、ラジカル重合開始剤処理により樹脂が劣化し、着色や熱安定性低下が生じるという問題があった。そのため、チオカルボニルチオ末端の除去により熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を得ることは困難であった。
Polymer(2008)49、1180−1184
Macromolecules(2007)40、4446−4455
本発明の目的は、着色がなく、熱安定性の高い塩化ビニル重合体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の構造をもつ末端修飾した塩化ビニル重合体が、着色することなく、熱安定性に優れるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は一般式(1)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体である。
また、一般式(1)において、nは0〜10の整数である。nが10を超えると、アルキル鎖の結晶化等により、加工性や機械的特性など塩化ビニル重合体が本来有する物性を損なうおそれがあるため好ましくない。また、耐候性など塩化ビニル重合体本来の物性を損なわないことから、nは0であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル重合体を製造する方法は如何なる方法であっても良いが、リビングラジカル重合の一つである可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)を用いることが好ましい。この可逆的付加開裂連鎖移動重合はRizzardoら、Aust.J.Chem.2009,62,1402−1472などに記載の重合である。
本発明の重合体の製造手順は如何なる方法であっても良いが、次の工程[I]、[II]で製造することが好ましい。
工程[I]:可逆的連鎖移動剤とラジカル重合開始剤の存在下、塩化ビニル単量体の重合を行い塩化ビニル単独重合体(A)を得る工程。
工程[II]:塩化ビニル単独重合体(A)をラジカル重合開始剤の存在下、エチレンと反応る工程。
ここで、可逆的連鎖移動剤としては、下記一般式(2)の化合物を用いることが好ましい。
R1は炭素数1〜20のアルキル基、アルキルシアノ基及び前記一般式(3)で表される官能基からなる群より選ばれる置換基であるが、可逆的連鎖移動剤の脱離基であって、脱離することによりラジカル重合開始剤として作用する。
R1は前記の通りであるが、具体的に例示すると、t−ブチル基などのアルキル基;メチルシアノ基、2−プロピオノニトリル基、2−イソブチロニトリル基などのアルキルシアノ基;酢酸メチル基、酢酸エチル基、酢酸デカン基、プロピオン酸メチル基、プロピオン酸、イソ酪酸メチル基、イソ酪酸エチル基などの前記一般式(3)で表される官能基などが挙げられる。
R1は色相に優れ、耐熱性を損うことなく、熱安定性の高い塩化ビニル重合体を効率的に得ることを目的に、前記一般式(3)で表される官能基であることが好ましい。なかでも、より色相に優れ、熱安定性に優れる塩化ビニル重合体となることから、前記一般式(3)のR2、R3の両方が水素原子であることがより好ましい。
ここで、前記一般式(2)におけるZは炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキルサルファニル基、アリールサルファニル基、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基であり、これら以外のものである場合、耐熱性を損うことなく、熱安定性の高い塩化ビニル重合体を効率的に得ることは困難となる。
そして、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、3−エチルペントキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ジエチレングリコキシモノメチルエーテル基、フェノキシ基、メトキシフェノキシ基、シクロヘキシルメトキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルサルファニル基又はアリールサルファニル基としては、メチルサルファニル基、エチルサルファニル基、n−プロピルサルファニル基、イソプロピルサルファニル基、n−ブチルサルファニル基、2−ブチルサルファニル基、ドデカンサルファニル基、3−エチルペンチルサルファニル基、シクロヘキシルサルファニル基、フェニルサルファニル基、ナフチルサルファニル基、等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ドデカン基、等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤は前記の通りであるが、具体的に例示すると、例えば、メトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、3−エチルペントキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシフェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)イソ酪酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)イソ酪酸エチルなどのZがアルコキシ基の化合物;メチルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エチルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、ドデカンサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェニルサルファニルチオカルボニルサルファニル酢酸メチルなどのZがアルキルサルファニル又はアリールサルファニル基の化合物;チオアセチルサルファニル酢酸メチル、チオプロピオニルサルファニル酢酸メチルなどのZがアルキル基の化合物;チオベンゾイルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシチオベンゾイルサルファニル酢酸メチルなどのZがアリール基の化合物などが挙げられる。
特に、色相への悪影響が少なく、かつ、効率的に熱安定性を高めることができることから、メトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、3−エチルペントキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、フェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、4−メトキシフェノキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸エチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸メチル、2−(エトキシチオカルボニルサルファニル)プロピオン酸エチルが好ましい。
前記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤の使用量には特に限定は無いが、適度な分子量を有し、熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を得ることを目的に、塩化ビニル単量体100モル%あたり、0.001モル%〜5モル%であることが好ましい。なお、工程[I] で生成する塩化ビニル単独重合体(A)の分子量は塩化ビニル単量体と前記一般式(3)で表される可逆的連鎖移動剤との割合と重合転化率により調整することができ、所望の分子量を有する塩化ビニル単独重合体(A)を得ることができる。
ラジカル重合開始剤としては、塩化ビニル単量体の重合を開始できるラジカル重合開始剤であれば如何なるものも使用でき、例えばクミルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーエステル型開始剤;ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のジカーボネート型開始剤;イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシル型開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ型開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性開始剤等を挙げることができ、これらのラジカル重合開始剤は1種以上で使用することができる。
工程[I]で用いる該ラジカル重合開始剤の使用量は特に限定されないが、通常、塩化ビニル単量体100モル%あたり、0.001〜1モル%である。
工程[I]、[II]のラジカル重合開始剤の種類およびその量は同一又は異なるものを採用してもよい。
工程[II]で用いる該ラジカル重合開始剤の使用量は特に限定されないが、通常、塩化ビニル重合体100wt%あたり、0.1〜100wt%である。特に塩化ビニル重合体の熱安定性が優れたものとなることから、使用量が1〜50wt%であることが好ましい。使用量を0.1wt%以上とするとチオカルボニルチオ末端を効率的に除去でき、使用量を100wt%以下とすると塩化ビニル樹脂の劣化による着色を防止することができる。
工程[I]で生成する塩化ビニル重合体の構造は特に限定されないが、一般式(4)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体を例示できる。
工程[I]で生成する塩化ビニル重合体の構造は特に限定されないが、一般式(4)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体を例示できる。
ここで、一般式(4)のZは一般式(2)のZと同一であり、前記の通りである。
工程[II]でエチレンを用いているが、エチレンは10MPa未満の圧力の低い条件でのラジカル重合では、高分子量体が生成せず、10量体未満のオリゴマーがわずかに生成することが知られている。これは、エチレン単量体の反応性が低く、生成したエチレンラジカルの反応性が非常に高いため、エチレンラジカルが水素引き抜き反応等で停止するためである。すなわち、圧力10MPa未満の条件では、工程[II]において、固体のポリエチレンが生成しないと言える。
一方、塩化ビニルとエチレンの共重合であれば、比較的低圧(1MP程度)でも可能である。これは、ポリ塩化ビニル重合体の生長ラジカルがエチレンと、下記(5)式のように反応可能であることを示している。
−CH2−CHCl・ → −CH2−CHCl−CH−CH2・ (5)
本発明では、工程[I]において、可逆的付加開裂連鎖移動重合により、前記一般式(4)で表される末端を有する塩化ビニル重合体(A)が生成するが、塩化ビニル重合体(A)をラジカル重合開始剤、エチレンの存在下で反応させると、下記(6)式の反応が進行し、前記一般式(1)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体が生成すると考えられる。
本発明では、工程[I]において、可逆的付加開裂連鎖移動重合により、前記一般式(4)で表される末端を有する塩化ビニル重合体(A)が生成するが、塩化ビニル重合体(A)をラジカル重合開始剤、エチレンの存在下で反応させると、下記(6)式の反応が進行し、前記一般式(1)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体が生成すると考えられる。
エチレン以外の単量体を用いると、チオカルボニルチオ末端が生成した重合体の末端に残存してしまい、末端を除去することは困難である。また、塩化ビニル重合体以外の成分が単独重合やブロック重合により増加してしまうため、熱安定性や力学物性、加工性などの物性を損なってしまう。それに対し、本発明の手法では、チオカルボニルチオ末端を除去でき、エチレンの単独重合体は生成せず、末端への導入量も限定的であり、導入される末端構造も熱的に安定なものであることから、熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を得ることが可能となる。
工程[II]のエチレンの圧力には特に限定はないが、生産性に優れ、かつ、エチレン単独重合体が生成しないことを目的に、10MPa以下の圧力であることが好ましい。
本発明の重合体の製造方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など塩化ビニル単量体を重合できる方法であれば何れの方法でも良いが、特に品質に優れ、生産性に優れる製造方法となることから、懸濁重合が好ましい。
工程[I]、[II]の重合方法は同一又は異なる重合法を採用でき、例えば、工程[I]を懸濁重合で行った後に、工程[II]で溶液重合を行ってもよい。
重合方法として懸濁重合を用いる場合には、ラジカル重合開始剤、前記一般式(3)で表される可逆的連鎖移動剤を用い、分散剤の存在下、水性媒体中で塩化ビニル単量体の重合を行う。重合方法として懸濁重合を用いる場合の分散剤としては、懸濁重合において塩化ビニル単量体の分散が可能である分散剤であれば如何なるものも使用でき、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン等の有機物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機物等を挙げることができ、これら分散剤は1種以上で使用することができる。前記分散剤の使用量は、懸濁重合が可能であれば如何なる量であっても良いが、優れた粒子形態を有する塩化ビニル重合体を得ることが可能となることから、塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.01〜1重量部である。
重合方法として懸濁重合を用いる場合の水性媒体としては、水はもとより、イオン交換水、蒸留水、脱イオン水、工業用水、飲料水等を挙げることができ、例えばアルコール等の有機溶剤を懸濁重合に支障のない範囲で含んでいるものであってもよい。そして、水性媒体の使用量としては、懸濁重合が可能であれば如何なる量であっても良く、特に効率的に塩化ビニル重合体の製造が可能となることから塩化ビニル単量体100重量部に対し、100〜500重量部であることが好ましい。
工程[I]の重合温度としては、塩化ビニル単量体の懸濁共重合が可能であれば如何なる温度であってもよく、特に塩化ビニル単独重合体を効率的に得ることが可能となることから0℃〜100℃であることが好ましく、特に35℃〜70℃であることが好ましい。
工程[II]の重合温度としては、ラジカル重合開始剤の分解が可能であれば如何なる温度であってもよく、特に熱安定性に優れる塩化ビニル重合体を効率的に得ることが可能となることから0℃〜120℃であることが好ましく、特に50℃〜100℃であることが好ましい。
重合方法としては、前記の工程の後に重合を停止させる工程、得られた塩化ビニル重合体の洗浄・精製を行う工程、等の付加的工程の追加を行う事も可能である。
本発明の塩化ビニル重合体の分子量は特に限定されないが、熱安定性、加工性、力学強度などの特性を満足するために、数平均分子量Mnが1,000〜100,000の間であることが好ましく、熱安定性を高めるために、数平均分子量Mnが5,000〜100,000であることがより好ましい。
本発明の塩化ビニル重合体の分子量分布Mw/Mnは特に限定されないが、塩化ビニル重合体の熱安定性が優れるものとなることから、分子量分布Mw/Mnが1〜3であることが好ましく、塩化ビニル重合体の熱安定性が優れるものとなることから、分子量分布Mw/Mnが1〜2であることがより好ましく、塩化ビニル重合体の熱安定性が優れるものとなることから、1.8以下がより好ましい。
本発明の塩化ビニル重合体の共役二重結合量は特に限定されないが、共役二重結合は着色や熱安定性低下の原因となるため、1000塩化ビニルモノマー単位中0.5個以下であることが好ましい。
本発明のチオカルボニルチオ末端の量は特に限定されないが、着色や臭気発生の原因となるため、1000塩化ビニルモノマー単位中5個以下であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル重合体は単独であっても、その他のものを含む混合物であっても良い。混合物としては特に限定されないが、本発明の製造過程で生成する塩化ビニル単独重合体、その他の塩化ビニル重合体、製造の過程で副生する可能性のある酢酸ビニルの単独重合体、各種熱可塑性樹脂、添加剤、可塑剤、混合物などが挙げられる。このとき、混合物の熱安定性が優れるものとなることから、本発明の塩化ビニル重合体が混合物全体の30%以上であることが好ましい。
本発明の塩化ビニル重合体を用いれば、共役二重結合量が少なく、着色がなく、臭気発生の原因である硫黄原子を含む置換基を含まない、熱安定性の高い塩化ビニル重合体であるため、色相や熱安定性、透明性に優れる塩化ビニル重合体として各種成形体への展開が見込める。また、熱安定性に優れるため、安全性や環境的に問題のある鉛やスズ系の安定剤からの代替がより容易であり、安全性や環境性に優れる塩化ビニル重合体としても各種成形体への展開が見込める。
本発明によれば、着色することなく、熱安定性の高い塩化ビニル重合体を提供することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例における分子量、Mw/Mn、末端構造量、共役二重結合量、5%重量減少温度の測定は下記の方法により測定を行った。
〜分子量の測定〜
数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及びMw/Mnは、GPCにより求めた。充填カラムとして東ソー(株)製、(商品名)TSKgel MultiporeHXL−Mを2本用い、テトラヒドロフランを移動相として、ピーク検出には示差屈折計(東ソー(株)製、(商品名)RI−8020)を用い、カラム温度:40℃、流量:1.0mL/minで測定した。また、Mn及びMwは、東ソー(株)製の標準ポリスチレンにより検量線を作成し、求めた。
数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及びMw/Mnは、GPCにより求めた。充填カラムとして東ソー(株)製、(商品名)TSKgel MultiporeHXL−Mを2本用い、テトラヒドロフランを移動相として、ピーク検出には示差屈折計(東ソー(株)製、(商品名)RI−8020)を用い、カラム温度:40℃、流量:1.0mL/minで測定した。また、Mn及びMwは、東ソー(株)製の標準ポリスチレンにより検量線を作成し、求めた。
〜末端構造量の測定〜
末端構造量は1H−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。
末端構造量は1H−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。
メチル末端導入量は前記一般式(2)においてn=0である時のメチル末端の導入量とn=1以上である時のメチル末端の導入量の合計を表し、0.8〜1.0ppmのピークの積分強度(a)、1.0〜1.1ppmのピークの積分強度(b)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(c)から以下の式(7)に従って算出した。
メチル末端導入量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(メチル末端量/塩化ビニル残基量)=((a+b)×1000/3)/c (7)
チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量は6〜6.2ppmのピークの積分強度(d)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(e)から以下の式(8)に従って算出した。
チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量は6〜6.2ppmのピークの積分強度(d)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(e)から以下の式(8)に従って算出した。
チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量/塩化ビニル残基量)=(d×1000)/e (8)
メチル末端化率は式(7)により求めたメチル末端導入量(f)と数平均分子量(g)から以下の式(9)に従って算出した。
メチル末端化率 = f/(g/62.5) (9)
〜共役二重結合量の測定〜
共役二重結合量は1H−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。6.4〜7.2ppmのピークの積分強度(h)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(i)から以下の式(10)に従って算出した。
メチル末端化率は式(7)により求めたメチル末端導入量(f)と数平均分子量(g)から以下の式(9)に従って算出した。
メチル末端化率 = f/(g/62.5) (9)
〜共役二重結合量の測定〜
共役二重結合量は1H−NMR(日本電子社製、(商品名)GSX270)測定により求めた。なお、溶媒としてテトラヒドロフラン‐d8を用い、室温で測定を行った。6.4〜7.2ppmのピークの積分強度(h)と4.2〜5ppmのピークの積分強度(i)から以下の式(10)に従って算出した。
共役二重結合量(個/1000塩化ビニル単量体単位)=(共役二重結合量/塩化ビニル残基量)=(h×1000)/i (10)
〜5%重量減少温度の測定〜
5%重量減少温度はTG−DTA(セイコー電子工業株式会社製、(商品名)EXSTAR6000)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、窒素流量200mL/min、アルミニウム製のサンプルパンを用い、リファレンスとしてαアルミナを用いて測定した。初期重量から5%重量が減少した時の温度を5%重量減少温度とし、熱安定性の指標とした。
〜5%重量減少温度の測定〜
5%重量減少温度はTG−DTA(セイコー電子工業株式会社製、(商品名)EXSTAR6000)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、窒素流量200mL/min、アルミニウム製のサンプルパンを用い、リファレンスとしてαアルミナを用いて測定した。初期重量から5%重量が減少した時の温度を5%重量減少温度とし、熱安定性の指標とした。
製造例1
(塩化ビニル単独重合体の製造)
パドル型撹拌翼、バッフルを装備した内容積1リットルのステンレス製重合器に窒素置換を3回行い、脱イオン水420g(300重量部)、ケン化度80モル%で平均重合度2600のポリビニルアルコール部分ケン化物0.128g(0.10重量部)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.051g(0.04重量部)を装入し、さらに窒素置換を3回行った。その後、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル0.495g(0.125モル%)、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.042g(0.025モル%)をエタノール30mLに溶解させ装入し、さらに、塩化ビニル単量体127.5g(100重量部)を装入し、撹拌を行いながら内温60℃で懸濁重合を行った。内温が60℃に到達後5時間で重合を停止(重合時間:5時間)し、未反応単量体を気化させ生成物をろ集した後、2リットルの脱イオン水で洗浄した。その後、35℃で3時間減圧乾燥を行い、さらに65℃で3時間減圧乾燥することにより塩化ビニル単独重合体を得た(収量:18.5g、重合転化率:14.5%)。Mnは7300、Mw/Mnは1.4、チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量は7.3個/1000塩化ビニル単量体単位であった。また、前記一般式(1)のR1、R2が水素原子、R3がメチル基である末端に由来するピークが3.67ppmにみられた。
(塩化ビニル単独重合体の製造)
パドル型撹拌翼、バッフルを装備した内容積1リットルのステンレス製重合器に窒素置換を3回行い、脱イオン水420g(300重量部)、ケン化度80モル%で平均重合度2600のポリビニルアルコール部分ケン化物0.128g(0.10重量部)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.051g(0.04重量部)を装入し、さらに窒素置換を3回行った。その後、エトキシチオカルボニルサルファニル酢酸メチル0.495g(0.125モル%)、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.042g(0.025モル%)をエタノール30mLに溶解させ装入し、さらに、塩化ビニル単量体127.5g(100重量部)を装入し、撹拌を行いながら内温60℃で懸濁重合を行った。内温が60℃に到達後5時間で重合を停止(重合時間:5時間)し、未反応単量体を気化させ生成物をろ集した後、2リットルの脱イオン水で洗浄した。その後、35℃で3時間減圧乾燥を行い、さらに65℃で3時間減圧乾燥することにより塩化ビニル単独重合体を得た(収量:18.5g、重合転化率:14.5%)。Mnは7300、Mw/Mnは1.4、チオカルボニルチオ末端に隣接する塩化ビニル残基量は7.3個/1000塩化ビニル単量体単位であった。また、前記一般式(1)のR1、R2が水素原子、R3がメチル基である末端に由来するピークが3.67ppmにみられた。
実施例1
(塩化ビニル重合体の製造)
攪拌子を備えた100mLのステンレス製オートクレーブに製造例1の塩化単独ビニル重合体を0.5g、ベンゾイルパーオキサイド8.7mg(塩化ビニル単独重合体のチオカルボニルチオ末端に対し、0.5当量)を導入し、窒素置換した。その後、十分に窒素バブリングした脱水テトラヒドロフラン10mL、十分に窒素バブリングした脱水トルエン10mLを導入し、1.1MPaのエチレンを導入し、圧力を1.1MPaに保った。80℃で5時間反応させ、反応溶液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することにより末端修飾した塩化ビニル重合体を得た。Mnは7,600、Mw/Mnは1.5であった。また、1H−NMRにおいて、1.0〜1.1ppmに前記一般式(1)においてn=0である時のメチル末端(C)に由来するピークが確認できた。また、0.8〜1.0ppmに前記一般式(1)においてnが1〜10である時のメチル末端(D)に由来するピークが確認でき、1.2〜1.35ppmに−CH2−(E)に由来するピークが確認できた。この時、−CH2−基(E)はメチル末端(D)の約2倍であったことから、n=1であった。なお、n=0であるメチル末端(C)は1.8個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は1.4個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。すなわち、この重合体は前記一般式(1)においてn=0とn=1である塩化ビニル重合体の混合物である。このことから、前記一般式(1)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、前記の重合体は精製を繰り返しているため、遊離のエチレンオリゴマーは生成していたとしても除去されている。このことからも、エチレン鎖と塩化ビニル鎖が化学的に結合していることがわかる。物性を表1に示す。
(塩化ビニル重合体の製造)
攪拌子を備えた100mLのステンレス製オートクレーブに製造例1の塩化単独ビニル重合体を0.5g、ベンゾイルパーオキサイド8.7mg(塩化ビニル単独重合体のチオカルボニルチオ末端に対し、0.5当量)を導入し、窒素置換した。その後、十分に窒素バブリングした脱水テトラヒドロフラン10mL、十分に窒素バブリングした脱水トルエン10mLを導入し、1.1MPaのエチレンを導入し、圧力を1.1MPaに保った。80℃で5時間反応させ、反応溶液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することにより末端修飾した塩化ビニル重合体を得た。Mnは7,600、Mw/Mnは1.5であった。また、1H−NMRにおいて、1.0〜1.1ppmに前記一般式(1)においてn=0である時のメチル末端(C)に由来するピークが確認できた。また、0.8〜1.0ppmに前記一般式(1)においてnが1〜10である時のメチル末端(D)に由来するピークが確認でき、1.2〜1.35ppmに−CH2−(E)に由来するピークが確認できた。この時、−CH2−基(E)はメチル末端(D)の約2倍であったことから、n=1であった。なお、n=0であるメチル末端(C)は1.8個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は1.4個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。すなわち、この重合体は前記一般式(1)においてn=0とn=1である塩化ビニル重合体の混合物である。このことから、前記一般式(1)で表される末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、前記の重合体は精製を繰り返しているため、遊離のエチレンオリゴマーは生成していたとしても除去されている。このことからも、エチレン鎖と塩化ビニル鎖が化学的に結合していることがわかる。物性を表1に示す。
実施例2
実施例1において、ベンゾイルパーオキサイド8.7mgの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド0.087gを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.5であった。1H−NMR測定の結果、実施例1同様に、前記一般式(1)のn=0及びn=1に由来する末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、n=0であるメチル末端(C)は0.7個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は0.5個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。物性を表1に示す。
実施例1において、ベンゾイルパーオキサイド8.7mgの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド0.087gを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.5であった。1H−NMR測定の結果、実施例1同様に、前記一般式(1)のn=0及びn=1に由来する末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、n=0であるメチル末端(C)は0.7個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は0.5個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。物性を表1に示す。
実施例3
実施例1において、ベンゾイルパーオキサイド8.7mgの代わりに、アゾビスイソブチロニトリル8.7mgを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.6であった。1H−NMR測定の結果、実施例1同様に、前記一般式(1)のn=0及び1に由来する末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、n=0であるメチル末端(C)は0.9個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は0.5個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。物性を表1に示す。
実施例1において、ベンゾイルパーオキサイド8.7mgの代わりに、アゾビスイソブチロニトリル8.7mgを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,300、Mw/Mnは1.6であった。1H−NMR測定の結果、実施例1同様に、前記一般式(1)のn=0及び1に由来する末端構造を有する塩化ビニル重合体が得られていることを確認した。なお、n=0であるメチル末端(C)は0.9個/1000塩化ビニルモノマー単位、n=1であるメチル末端(D)は0.5個/1000塩化ビニルモノマー単位であった。物性を表1に示す。
比較例1
実施例1において、1.1MPaのエチレンを導入した代わりに、窒素を導入した以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,100、Mw/Mnは1.6であった。1H−NMRを測定したところ、1.0〜1.1ppm及び0.8〜1.0ppmにピークは観測されなかった。物性を表1に示す。
実施例1において、1.1MPaのエチレンを導入した代わりに、窒素を導入した以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,100、Mw/Mnは1.6であった。1H−NMRを測定したところ、1.0〜1.1ppm及び0.8〜1.0ppmにピークは観測されなかった。物性を表1に示す。
比較例2
比較例1において、ベンゾイルパーオキサイド118.75mgの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド0.115gを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,000、Mw/Mnは1.7であった。1H−NMRを測定したところ、1.0〜1.1ppm及び0.8〜1.0ppmにピークは観測されなかった。物性を表1に示す。
比較例1において、ベンゾイルパーオキサイド118.75mgの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド0.115gを用いた以外は実施例1と同じ方法で行った。Mnは7,000、Mw/Mnは1.7であった。1H−NMRを測定したところ、1.0〜1.1ppm及び0.8〜1.0ppmにピークは観測されなかった。物性を表1に示す。
比較例3
製造例1の塩化ビニル単独重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。同じ操作をもう1回繰り返したのち、40℃で10時間真空乾燥することにより塩化ビニル単独重合体を得た。Mnは7,300、Mw/Mnは1.5であった。固体はわずかに薄紫色を呈していた。物性を表1に示す。
製造例1の塩化ビニル単独重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。同じ操作をもう1回繰り返したのち、40℃で10時間真空乾燥することにより塩化ビニル単独重合体を得た。Mnは7,300、Mw/Mnは1.5であった。固体はわずかに薄紫色を呈していた。物性を表1に示す。
比較例4
スターラー、攪拌子を備えた300mLのフラスコに製造例1の塩化ビニル単独重合体を0.5gを加え窒素置換後、十分に窒素バブリングしたテトラヒドロフラン50mLを加え、塩化ビニル単独重合体を溶解させた。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液50mLを導入し、70℃で3時間反応させた。反応後、反応液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することで固体を得た。Mnは6,800、Mw/Mnは1.8であった。固体は黄色く着色していた。物性を表1に示す。
スターラー、攪拌子を備えた300mLのフラスコに製造例1の塩化ビニル単独重合体を0.5gを加え窒素置換後、十分に窒素バブリングしたテトラヒドロフラン50mLを加え、塩化ビニル単独重合体を溶解させた。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液50mLを導入し、70℃で3時間反応させた。反応後、反応液を工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。その後、固体をテトラヒドロフランに溶解させ、再び、工業用エタノール200mLに注ぎ込み、固体をろ集した。40℃で10時間真空乾燥することで固体を得た。Mnは6,800、Mw/Mnは1.8であった。固体は黄色く着色していた。物性を表1に示す。
本発明の塩化ビニル重合体は、着色がなく、熱安定性の高い塩化ビニル重合体であり、色相や熱安定性、透明性に優れる塩化ビニル重合体として各種成形体への展開が見込める。また、熱安定性に優れるため、安全性や環境的に問題のある鉛やスズ系の安定剤からの代替がより容易であり、安全性や環境性に優れる塩化ビニル重合体としても各種成形体への展開が見込める。
Claims (3)
- 一般式(1)のnが0であることを特徴とする、請求項1に記載の塩化ビニル重合体。
- 下記工程[I]、[II]を経て製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
工程[I]:下記一般式(2)で表される可逆的連鎖移動剤とラジカル重合開始剤の存在下、塩化ビニル単量体の重合を行い、塩化ビニル単独重合体(A)を得る工程。
工程[II]:塩化ビニル単独重合体(A)をラジカル重合開始剤の存在下、エチレンと反応させる工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012099744A JP2013227406A (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | 塩化ビニル重合体及びその製造方法 |
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JP2012099744A JP2013227406A (ja) | 2012-04-25 | 2012-04-25 | 塩化ビニル重合体及びその製造方法 |
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