JP3550763B2 - ラクタム環含有高分子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ラクタム環を含有する重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
N−ビニルアミドの重合体およびその加水分解で生成するビニルアミン単位を有する重合体は、極性の高いアミノ基やアミド基を利用して、熱可塑性樹脂の相溶化剤や各種分散剤、バインダー、増粘剤等の分野への応用が期待されている。例えば、特開昭57−517017には、アクリルアミド、N−ビニルアシルアミド及びビニルスルホン酸の共重合体及びその加水分解物が、長時間の温度安定性が高く、石油三次回収用の高分子として適していることが示されている。
【0003】
一方、Schmidt反応によりポリアクリル酸のカルボキシル基の一部をアミノ基とする際に、隣接する重合単位のアミノ基とカルボキシル基の間にラクタム環が形成されることが知られている(Journal of PolymerScience:Polymer Symposium 74,17−30(1986))。しかしながら、この反応においてはアミノ基への変換効率が非常に低く、ラクタム環の含有量が多い重合体を製造することは実際には困難である。更に、得られたラクタム環を有する重合体の物性についての検討はなされていない。
【0004】
また、特開平3−118804には、N−ビニルアセトアミドとアクリロニトリルの共重合体の変性によりビニルアセトアミドから生成したアミノ基とアクリロニトリルから生成したアクリルアミドのアミド基との反応によりラクタム環が生成することが示されているが、実施例中の重合体におけるラクタム環を有する構造単位の割合は、最大で8モル%と少量であり、ラクタム環を多く含む高分子についての開示はなく、更に、かかる構造単位の物性への寄与についての言及もない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アミド基、アミノ基等の極性基を含有しつつ、なおかつ熱安定性などの物性において優れた重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的に鑑み種々の検討を重ねた結果、例えば、N−ビニルホルムアミドとアクリルアミドのような単量体を共重合させ、得られた共重合体を比較的強い条件下で変性することにより、ラクタム環を多く含有し、かつ、熱安定性に優れているという特徴を有する新規な重合体が得られることなどを見い出し本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明の重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を20〜100モル%、下記一般式(2)で表される構造単位を0〜70モル%、及び、下記一般式(3)で表される構造単位と下記一般式(4)で表される構造単位の合計が0〜70モル%であることを特徴とするラクタム環含有高分子に存する。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素原子またはメチル基を表す。Xは、COOR4 及び/またはCONR5 R6 を表す。ここに、R4 ,R5 ,R6 は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
そして、本発明の重合体の更に代表的な組成としては、構造単位(1)が30〜80モル%、構造単位(2)が5〜50モル%、構造単位(3)と(4)が合計で5〜50モル%である。そして、一般に構造単位(1)の割合が高いものほど、例えば、構造単位(1)が30〜80モル%のものが、耐熱性に優れた物性を示す。なお、以後、構造単位(1)をラクタム単位を呼ぶことがある。
【0010】
上記のラクタム単位を含有する高分子の製造方法は特に限定されるものではないが、一般的には、一級アミノ基または反応によりそれに誘導可能な置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、カルボキシル基または反応によりそれに誘導可能な基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を製造し、その後、該共重合体中の隣接の一級アミノ基とカルボキシル基を反応させて得ることができる。
【0011】
上記の置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、下記一般式(5)で示される化合物が好ましい。
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R1 ,R3 は水素原子またはメチル基を表す。)
一般式(5)で示される化合物としては、具体的には、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド等が挙げられるが、化学変性により一級アミノ基を効率よく得るにはN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、特にN−ビニルホルムアミドを用いることが好ましい。
また、上記のカルボキシル基または反応によりそれに誘導可能な基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、下記一般式(6)で示される化合物が好ましい。
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、R2 は水素原子またはメチル基であり、XはCOOR4 及び/またはCONR5 R6 を表す。ここにR4 ,R5 ,R6 は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(6)で示される化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。このうち、ラクタム環形成の反応性という点において、アクリルアミド又はアクリル酸エステルが好ましい。更に、一般式(5)と(6)の化合物の交互共重合性が高いものほどラクタム環を形成し易いという点で、アクリルアミドが特に好ましい。
【0016】
以上のモノマーを共重合する場合、一般式(5)と(6)で示される化合物をモル比で20:80〜80:20、特に40:60〜60:40の範囲に設定することが好ましい。なお、本発明で規定するラクタム環含有高分子の組成範囲内であって、その特徴とする耐熱性に優れた物性を維持する範囲内において、一般式(5)と(6)で示される以外のモノマー化合物を含んでいてもよく、アリルアルコール、ビニルアルコール等の中性単量体、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン類、ビニルイミダゾール、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアリルアルキルアンモニウム塩、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩等の塩基性単量体、(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸等の酸性単量体の金属塩またはアンモニウム塩が挙げられ、またメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルエーテル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルまたはハロゲン化ビニリデン;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、グリシジルメタアクリレート、スチレン等を挙げることができる。
【0017】
以上のモノマーの共重合方法としては、塊状重合、水あるいは種々の有機溶媒を用いる溶液重合、沈澱重合、分散重合、懸濁重合、エマルジョン重合等のいずれも用いることができる。モノマーを溶液状で重合する場合、目的とする重合体の分子量、重合発熱を考慮して単量体の濃度、重合方法、および重合反応器の形状が適宜選択され、以下の方法が例示される。単量体濃度5〜20重量%の条件で溶液状で重合を開始し、重合体を溶液状または沈澱物として得る方法、単量体濃度20〜60重量%の条件下重合を開始し、重合物を溶媒を含むゲル状または析出物として得る方法である。溶液重合の場合には、得られた重合液に酸・塩基を添加した後、加熱することで、次に行う化学変性を連続して行うことができる。
【0018】
重合方法としては、ラジカル重合、イオン重合のいずれの方法を用いてもよいが、分子量を容易に制御できる点からラジカル重合が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、通常、水溶性または油溶性単量体の重合に用いられる一般的な開始剤の何れもが使用されるが、重合溶媒に水を使用する場合には水溶性のアゾ化合物が好ましく、具体的には2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。通常、その使用量はモノマーの重量に対して0.01〜10重量%であり、重合反応は不活性ガス気流下40〜150℃の条件下で実施される。
【0019】
次に得られた重合体は、化学変性によりラクタム環を形成させる。その変性反応は、重合体中の置換アミノ基が一端、一級アミノ基となり、一方、重合体中のカルボキシ基の場合はそのまま、エステル基、アミド基の場合は一端、カルボキシル基となってから、隣接する一級アミノ基とカルボキシル基の間で脱水反応が起こりラクタム環が形成されるものと考えられる。
【0020】
この変性反応条件としては、該重合体を、例えば、置換アミノ基やカルボキシル基に対して当量以上の過剰当量の酸又は塩基の存在下、通常50〜200℃、好ましくは60〜120℃程度で加熱する方法が例示される。重合体を固体状で変性してもよいが、溶媒中、特に水溶液中で変性する方法が好ましい。特に、酸性水溶液中、特に、一般式(5)で示される化合物に由来する構造単位に対して当モル以上の酸を、すなわち、一般式(5)で示される化合物に由来する構造単位の置換アミノ基に対して当量以上の過剰の酸を、含む水溶液中の存在下で変性する方法が、最もラクタム環が形成し易いという点で好ましい。一方、塩基性水溶液では加水分解による重合体の両性化が優先する傾向があり、ラクタム単位の含有量を多くする方法としてはあまり有効ではない。また、酸としては強酸性のものが好ましく、塩酸、硫酸、スルファミン酸等が例示され、塩基としては強塩基が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示される。なお、変性を行う際、未反応の一般式(5)で示される化合物のモノマー由来の化合物による重合体の三次元架橋化を防ぐ目的で、ヒドロキシルアミンの塩酸塩や硫酸塩等を反応系に加えると効果的である。
【0021】
以上の変性条件は、共重合体の組成、最終的に得たいラクタム環含有高分子の物性等を考慮し、適宜条件を選択していく必要がある。例えば、本発明の重合体は、重合体に含有される官能基の親水性・疎水性のバランスによって、水への溶解性が異なる。例えば、N−ビニルホルムアミドとアクリルアミドの共重合体を酸で加水分解する際には、ラクタム環の形成に伴って水への溶解性が低くなる傾向が観察されるが、更に大過剰の酸で変性を行った場合には、カルボキシル基の含有量が増えるため重合体は水溶性となる。
【0022】
また、他の水溶性の単量体、例えば、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を共重合することにより、ラクタム単位が多くなっても重合体の水溶性を維持することが可能である。重合体が水溶性であれば、石油三次回収用などの用途に特に好適である。また、樹脂改質剤などの用途であれば、特に水溶性であることは必要なく、ラクタム単位が多く、かつ、難水溶性の重合体を利用することもできる。
【0023】
本発明の重合体は、上述のように水などへの溶解性が低いものも包含するので溶液の還元粘度により分子量範囲を一義的に特定することは難しい。しかしながら、前記のラクタム環を形成させる変性前の共重合体は一般的に水溶性であって、かかる共重合体を1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液とした場合の25℃における還元粘度の値が、通常0.01〜50dl/g、特に0.05〜20dl/gである。このうち、一般に石油三次回収などの用途に用いる場合は比較的高粘度の重合体が用いられ、通常1〜50dl/g、好ましくは3〜50dl/gである。また、樹脂改質剤などの用途に用いる場合は比較的低粘度の重合体が用いられ、通常0.01〜20dl/g、好ましくは0.1〜15dl/gである。本発明の重合体で水溶性のものについては、該重合体を1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液とした場合の還元粘度の値が、上記の変性前の重合体の場合とほぼ同じ範囲であって、通常0.01〜50dl/g、特に0.05〜20dl/gである。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(重合体Aの製造)
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた1Lのセパラブル4つ口フラスコに、脱塩水を445g、アクリルアミド25g、N−ビニルホルムアミド25gを入れ、窒素ガス気流中、30分間撹拌し脱気を行った。その後60℃に昇温し、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩3%水溶液5gを添加して60℃で2時間、その後70℃で1時間重合を行った。次に、得られた重合体の反応液をメタノール中に添加し、重合体を析出させ、これを乾燥して重合体Aを得た。この重合体Aを1規定食塩水0.1g/dl溶液として25℃で測定した還元粘度は11.8であった。
【0025】
(重合体Bの製造)
重合体A1g、塩酸ヒドロキシルアミン0.5g、脱塩水7.5gを封管に入れ、70℃で加温して均一な溶液になってから1時間後に、濃塩酸0.73gと脱塩水1.27gの混合溶液を加え、7時間加熱した。反応後、反応液をメタノールに添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Bを得た。この重合体Bは水に難溶であった。
【0026】
(重合体の組成分析)
重合体Bの構造単位の割合は、13C−NMR(13C−核磁気共鳴スペクトル)の各構造単位に対応した吸収ピークの積分値より算出した。
各吸収ピークは、C.CHANGらの報告(Journal of Polymer Science:Polymr Symposium 74,17−30(1986))を参考として、182ppmをラクタム環のカルボニル炭素、180ppmをアクリルアミドのカルボニル炭素、179ppmをアクリル酸のカルボニル炭素、165ppmをN−ビニルホルムアミドのカルボニル炭素として帰属した。また、ビニルアミン単位の量は、仕込みのN−ビニルホルムアミド量と重合体中のN−ビニルホルムアミドとラクタム環の量を差し引いて計算で求めた。
【0027】
以上の組成分析の結果を表−1に示す。表−1における各構造単位は以下の意味を有する。
【表1】
【0028】
(重合体の熱安定性試験)
重合体Bの試料を、窒素200ml/分気流下、15℃/分で20℃より昇温した場合の重量減少量を、熱重量−示差熱分析計(TG−DTA)を用いて測定した。結果を表−1に示す。
【0029】
実施例2
実施例1での重合体A1g、濃塩酸19gを封管に入れ、75℃で7時間加熱した。反応後、反応液をアセトン中に添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Cを得た。この重合体Cは水溶性であった。重合体Cの組成及び熱安定性試験の結果を表−1に示す。
また、重合体Cを1規定食塩水で0.1g/dl溶液としたものを窒素置換した後、封管した試料を、90℃で10時間、加熱処理した後の還元粘度を測定した。表−3に加熱処理前の粘度に対する粘度保持率を示す。
【0030】
実施例3
重合体A1g、濃塩酸0.7g、脱塩水18.3gを封管に入れ、85℃で7時間加熱した。反応後、反応液をメタノールに添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Dを得た。この重合体Dは水に難溶であった。重合体Dの組成及び熱安定性試験の結果を表−1に示す。
【0031】
比較例1
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた11のセパラブル4つ口フラスコに、脱塩水を320gを入れ、70℃に加温し、撹拌しながら窒素脱気を行った。そこへ、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩の10重量%水溶液(開始剤水溶液)10gを加え、すぐに60重量%のN−ビニルホルムアミド水溶液170gの滴下を開始した。滴下は2時間かけて行い、途中、滴下開始1時間後に、開始剤水溶液5gを追加した。滴下終了後、更に3時間加熱して熟成を行った。反応終了後、反応液をアセトンに添加して重合体を析出させ、これを乾燥して重合体Eを得た。この重合体Eの還元粘度は0.6であった。この重合体Eの組成及び熱安定性試験の結果を表−1に示す。
【0032】
比較例2
重合体E10g、濃塩酸90gをセパラブルフラスコに入れ、80℃で5時間加熱した後、反応液をイソプロパノール中に添加して重合体を析出させ、乾燥して重合体Fを得た。この重合体Fの組成及び熱安定性試験の結果を表−1に示す。
【0033】
比較例3
重合体A10g、塩酸ヒドロキシルアミン0.5g、脱塩水7.5gを封管に入れ、70℃で加温して均一な溶液になってから1時間後に、濃塩酸0.22gと脱塩水1.78gの混合溶液を加え、7時間加熱した。反応後、反応液をメタノールに添加し、重合体を析出させ、これを乾燥して重合体Gを得た。この重合体Fの組成及び熱安定性試験の結果を表−1に示す。
【0034】
表−1に示した熱安定性試験において、加熱時の重合体の重量減少の傾向より各重合体の熱安定性を推定することができる。そして、本願の実施例の各重合体は、比較例の各重合体よりいずれも加熱重量減少の割合が小さく、熱安定性に勝っていることがわかる。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例4、比較例4
(重合体Hの製造)
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた1Lのセパラブル4つ口フラスコに、イソプロパノール167gを入れ、窒素ガス気流中、30分間撹拌し脱気を行った。その後60℃に昇温し、N−ビニルホルムアミド10g、アクリルアミド10g及びイソプロパノール13gの混合液を30分おきに3回に分けて添加した。この添加の際、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩を0.1g、0.06g、0.06gを同時に添加した。以上の添加の後、70℃で1時間重合を行った。得られた重合体の反応液をメタノール中に添加し、重合体を析出させ、これを乾燥して重合体Hを得た。この重合体Hの還元粘度は0.21であった。
【0037】
(重合体I、Jの製造)
重合体H20gに、濃塩酸58gと脱塩水321gの混合溶液を加え、80℃で8時間加熱したところ、反応液は沈殿物を含むスラリーとなった。該スラリーを濾過し、濾物を回収し、これにアセトンで洗浄し、乾燥して重合体Iを得た。一方、濾液にアセトンに添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Jを得た。重合体Iは水に難溶であっが、重合体Jは水溶性であった。重合体Cの組成及び熱安定性試験の結果を表−2に示す。
【0038】
実施例5
重合体H20gに、濃塩酸58gと脱塩水133gの混合溶液を加え、80℃で8時間加熱したところ、反応液は沈殿物を含むスラリーとなった。該スラリーを濾過し、濾物を回収し、これにアセトンで洗浄し、乾燥して重合体Kを得た。重合体Iは水溶性であった。重合体Kの組成及び熱安定性試験の結果を表−2に示す。
【0039】
比較例6
アクリルアミドの単独重合体L(平均分子量:1300万)についての熱安定性試験の結果を表−2に示す。また、重合体Lを1規定食塩水で0.1g/dl溶液としたものを窒素置換した後、封管した試料3本を90℃で10時間加熱処理した後の還元粘度を測定した。表−3に加熱処理前の粘度に対する粘度保持率を示す。表−2と表−3の結果より、アクリルアミド単独重合体(重合体L)を本発明の重合体と比較すると、固体としてはある程度の熱安定性は認められるが、溶液での熱安定性が劣っていることがわかる。
【0040】
【表3】
【0041】
なお、表−2における各構造単位は表−1で示したものと同じ意味を有する。
実施例6
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた1Lのセパラブル4つ口フラスコに、脱塩水70g、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸14.8gを入れ、更に、水酸化ナトリウム2.8gを含む水溶液75gを加えて中和した。次に、N−ビニルホルムアミド10g、アクリルアミド10g及び脱塩水161gを加え、窒素ガス気流中、30分間撹拌し脱気を行った。その後、60℃に昇温し、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩34.5mgを含む水溶液5mlを添加した後、70℃に昇温して5時間重合を行った。得られた含水ゲル状の重合体20gをろ別して試験管に取り出し、これに塩酸ヒドロキシルアミン0.2gを加えて50℃で1時間加熱した後、濃塩酸1.7gを添加し、70℃で8時間加熱した。反応後、反応液にメタノールを添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Mを得た。この重合体Mの還元粘度は3.87であった。重合体Mを1規定食塩水で0.1g/dl溶液としたものを窒素置換した後、封管した試料を、90℃で10時間、加熱処理した後の還元粘度を測定した。表−3に加熱処理前の粘度に対する粘度保持率を示す。また、重合体Mの組成及び熱安定性試験の結果を表−4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
実施例7
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた1Lのセパラブル4つ口フラスコに、脱塩水87g、N−ビニルホルムアミド4.52g及びアクリルアミド酸メチル5.48gを含む水溶液75gを加えた。次に、窒素ガス気流中、30分間撹拌し脱気を行った。その後60℃に昇温し、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩30mgを含む水溶液3mlを添加した後、70℃で1時間重合を行った。得られた含水ゲル状の重合体20gをろ別して試験管に取り出し、これに塩酸ヒドロキシルアミン0.2gを添加し、70℃で8時間加熱した。得られたスラリーを濾過し、濾物を回収し、これをアセトンで洗浄し、乾燥して重合体を得た。この重合体1gに、脱塩水17g、濃塩酸を2倍希釈した水溶液1.34gを加え、80℃で4時間加熱した。反応後、反応液にアセトンを添加し、重合体を析出させ、これを乾燥し、重合体Nを得た。この重合体Nの還元粘度は3.60であった。重合体Mの組成及び熱安定性試験の結果を表−4に示す。
【0044】
【表5】
【0045】
なお、表−4における各構造単位は表−1で示したものと同じ意味を有する。また、表−1で示した以外の構造単位は以下の意味を有する。
【0046】
【表6】
【0047】
【化6】
【0048】
【発明の効果】
本発明における分子内にラクタム環構造を有する重合体は、極性基を有したまま耐熱性を改善することができ、熱可塑性樹脂の樹脂改質剤、石油三次回収用高分子添加剤、潤滑油洗浄分散剤、スケール防止剤、焼き入れ油用高分子、掘削泥水用増粘剤、パイプ輸送用増粘剤、バインダー等として利用することが可能である。
Claims (5)
- 下記一般式(5)で示される化合物と下記一般式(6)で示される化合物のモル比20:80〜80:20の混合物を重合し、得られた重合体を酸または塩基の存在下で変性してなる下記一般式(1)で表される構造単位を20〜100モル%、下記一般式(2)で表される構造単位を0〜70モル%、及び、下記一般式(3)で表される構造単位と下記一般式(4)で表される構造単位の合計が0〜70モル%であることを特徴とするラクタム環含有高分子。
たはCONR5 R6 を表す。ここに、R4 ,R5 ,R6 は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。) - 1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液とした場合の25℃における還元粘度が0.01〜50dl/gであることを特徴とする請求項1のラクタム環含有高分子。
- 構造単位(1)が30〜80モル%、構造単位(2)が5〜50モル%、構造単位(3)と(4)が合計で5〜50モル%であることを特徴とする請求項1又は2のラクタム環含有高分子。
- 変性前の重合体を1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液とした場合の25℃における還元粘度が0.01〜50dl/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかのラクタム環含有高分子。
- 酸水溶液中で変性することを特徴とする請求項1〜4のいずれかのラクタム環含有高分子。
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1994
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