JP2021512975A - 塩化ビニル重合体及びこの製造方法 - Google Patents

塩化ビニル重合体及びこの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、塩化ビニル重合体及びこの製造方法に関し、より詳しくは、多分散度が2.0から2.3であり、気孔率が60%以上である塩化ビニル重合体と前記塩化ビニル重合体の製造方法を提供するものである。塩化ビニル重合体の製造方法は、具体的に、予備重合を介して5から20%の転換率を有する塩化ビニル重合シードを先に製造した後、前記塩化ビニル重合シードに塩化ビニル単量体を投入して塩化ビニル重合体を重合(本重合)し、このとき、予備重合と本重合の温度の差を5から15℃に調節することにより、前記製造方法は、重合生産性を改善させる効果があり、前記製造方法で重合された塩化ビニル重合体は、前記物性を発現することができるので、フィッシュアイ品質及び初期着色性が改善されるとともに、加工性に優れるという効果がある。

Description

本出願は、2018年4月30日付韓国特許出願10−2018−0049563号及び2019年4月25日付韓国特許出願10−2019−0048264号に基つく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願等の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、加工性に優れ、フィッシュアイ及び初期着色性が改善された塩化ビニル重合体、及び重合生産性が向上した塩化ビニル重合体の製造方法に関する。
塩化ビニル重合体は、安価でありながらも品質バランスに優れるので、硬質及び軟質などの種々広範囲な分野で用いられている。具体的に、硬質分野では、パイプ、フィルム、窓枠などの用途として用いられており、軟質分野では、電線被覆、ラップフィルム、シートなどの用途として用いられている。
一般に、塩化ビニル重合体の製造費用を減少させ、工程上の効率を改善するための方法としては、反応の単位体積当たりの重合生産性を向上させることが重要である。このような重合生産性を向上させる方法としては、例えば、重合反応時間は一定であり重合転換率を増加させて一つのバッチ当たりの算出量を増加させる方法と、重合反応時間を短縮させる方法がある。
このような重合生産性の向上方法のうち、重合転換率を増加させる方法として塩化ビニル重合体の重合開始剤を追加投入する方法が提案された。一例として、米国特許公開第2005−008027号は、重合反応器の内部圧力が低下する時点に開始剤を追加投入することで、重合転換率を増加させる方法に対して開示されている。しかし、前記の方法によって収得される塩化ビニル重合体は重合転換率が多少増加したが、重合反応器の内部圧力が低下する時点は重合転換率が70%以上なので、この時点で投入された開始剤による重合転換率の増加の効果が僅かであり、フィッシュアイが増加したり、微細粒子が増加したりして初期着色性が低下するという問題点がある。また、塩化ビニル重合体の品質を考慮したとき、一般的な重合転換率が83から85%であることを勘案すれば、重合転換率を増加させる方法は重合生産性を向上させるのにその効果が大きいものではない。したがって、塩化ビニル樹脂の生産性の向上のために、大部分重合反応時間を短縮させるために多くの努力を傾けている。
塩化ビニル重合体の重合反応時間を短縮させる方法として、米国特許公開第2005−0054795号は、半減期が短い開始剤を反応中に投入する方法を記述している。しかし、前記の方法によって半減期が短い開始剤が反応中に投入されるため、局部的に発生される反応熱によって不均一な内部粒子形態が作製され、フィッシュアイ(Fish−eye)が増加し得るという問題点がある。
また、日本特許公開第1998−338701号は、油溶性開始剤と水溶性開始剤を重合初期に併用して重合反応時間を短縮させる方法を開示しており、米国特許第6,861,488号は、油溶性重合開始剤とt−amylperoxyneodecanoateとパーオキシド系重合開始剤を用いて懸濁重合下で初期変色を防ぐ塩化ビニル重合体の生産方法に対して記述している。しかし、前記方法による反応時間の短縮効果はある程度期待できるが、塩化ビニル重合体の製造時に、塩化ビニル単量体は油溶性の性質を有する物質であって、重合初期には塩化ビニル単量体と重合水である脱イオン水と殆ど相分離された状態で存在しているが、重合反応が進められて重合転換率60%以上の重合後期には重合体に転換されない未反応の塩化ビニル単量体の殆どが水相に溶けて存在するので、反応初期に油溶性開始剤とともに用いられた水溶性開始剤による反応時間の短縮効果は大きく現われないだけでなく、重合反応初期に水溶性開始剤によって生成された微細粒子によるフィッシュアイが発生するという問題点が残っている。
このように、前記の方法は、重合生産性を改善しようとする側面で提案された方法であるが、製造される重合体のフィッシュアイや初期着色性などのような品質が落ちるという問題が発生することがあり、さらに製造された重合体の加工性を担保できないという問題がある。
したがって、重合生産性を向上させながらも、重合体のフィッシュアイ、初期着色性のような品質が共に改善され、重合体の加工性を向上させ得る塩化ビニル重合体の製造方法と塩化ビニル重合体に対する研究が必要な実情である。
米国特許出願公開第2005/008027A号明細書 米国特許出願公開第2005/0054795A号明細書 特開平10−338701号公報
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、塩化ビニル重合体の製造時に重合生産性が低いという問題を解決しながら、反応物の未溶解粒子によるフィッシュアイと初期着色性が低下するという問題を解決し、優れた加工性を有する塩化ビニル重合体を製造する方法を提供するものであり、具体的に予備重合反応器で5から20%の転換率を有する塩化ビニル重合シードを製造し、前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送した後、予備重合と本重合の重合温度の差を調節して塩化ビニル重合体を重合する製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、多分散度が2.0から2.3であり、気孔率が60%以上であり、平均孔径が300nm以上である塩化ビニル重合体であって、フィッシュアイ及び初期着色性のような重合体の品質が改善され、加工性に優れた塩化ビニル重合体を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、多分散度(PDI)が2.0から2.3であり、気孔率(porosity)が60%以上であり、平均孔径が300nm以上である塩化ビニル重合体を提供する。
また、本発明は、予備重合反応器で第1塩化ビニル単量体を重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造する段階(段階1);及び前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送し、前記本重合反応器に投入される第2塩化ビニル単量体と重合して塩化ビニル重合体を製造する段階(段階2);を含み、前記段階1及び段階2の重合温度の差は5から15℃であり、前記塩化ビニル重合体は塩化ビニル単独重合体であるものである塩化ビニル重合体の製造方法を提供する。
本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体は、多分散度が2.0から2.3を満たし、気孔率が60%以上であることを満たすことで、可塑剤などとの配合時に溶融粘度が低いので加工性に優れ、可塑剤吸収率に優れるので、フィッシュアイ品質及び初期着色性品質が改善されるという効果がある。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、本重合前の予備重合を介して重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造し、前記重合シードを用いて本重合を行い、このとき前記重合シードの転換率及び予備重合と本重合の重合温度の差を調節することで、重合反応時間を短縮して重合生産性を顕著に改善させるとともに、製造される重合体の加工性、フィッシュアイ、初期着色性品質に優れるという効果がある。
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳しく説明する。
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
本発明の一実施形態によれば、多分散度(Polydispersity index,PDI)が2.0から2.3であり、重合体の気孔率(porosity)が60%以上である塩化ビニル重合体を提供する。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の平均孔径(average pore diameter,4V/A)は、300nm以上であるものであってよい。
本発明において「塩化ビニル重合体」は、塩化ビニル単量体を重合して生成された化合物を示すものであって、塩化ビニル単量体から誘導された重合体鎖を意味するものであってよい。
また、本発明において「多分散度(Polydispersity index,PDI)」は、分子量分布の広さを示す基準となる指標であって、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)を示す値である。すなわち、前記多分散度は、重量平均分子量と数平均分子量を測定した後、重量平均分子量を数平均分子量で割って求めた値である。このとき、本発明における数平均分子量及び重量平均分子量は、塩化ビニル重合体の試料0.02gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに入れ、24時間溶かして0.45umのフィルターで濾過した後、GPC機器(Waters 2414 Refractive Index Detector,Waters 1525 Binary HPLC Pump及びWaters 717 Autosampler,Waters社)を用いて25℃、常圧(1atm)の条件で測定した後、標準試料(Styrene 標準分子量(g/mol)1320、2750、6760、19700、50600、124000、279000、768000、1540000、2350000)を用いて検量線を引いた後、換算して示したものである。
また、本発明の平均孔径(average pore diameter,4V/A)及び気孔率(porosity)は、常温(23±2℃)、常圧(1atm)の条件で水銀ポロシメーター、具体的にはAuto Pore IV 9520(Micromeritics社)を用いて塩化ビニル重合体粒子内に浸入した水銀の量から表面気孔(Pinter)、開気孔(accessible intravoid,Pacc)及び閉気孔(inaccessible intravoid,Pinacc)をそれぞれ測定し、その測定結果から導出された値である。このとき、気孔率(%)は、体積基準百分率を示したものである。
本発明でのように多分散度が2.0から2.3でありながら、気孔率が60%以上であり、平均孔径が300nm以上である塩化ビニル重合体は、加工性に優れ、フィッシュアイ品質及び初期着色性の低下の問題が改善され得る。
具体的に、前記多分散度が2.0から2.3である塩化ビニル重合体は、加工性に優れ、かつ機械的強度が良好である。これとは異なり、前記多分散度が2.0未満の場合には、分子量分布が狭いため、加工時に加工性が悪化されるという問題が発生し、前記多分散度が2.3を超過する場合には、分子量分布が広すぎるため、可塑剤及び加工副原料等との配合時に機械的物性が低下し得る。
また、気孔率が60%未満の場合には、気孔率が低すぎるため、可塑剤及び加工時に添加される副原料の吸収率が落ちるという問題が発生し、これによって加工時に配合物の均一な分散がなされないため、フィッシュアイ品質及び初期着色性品質が悪化されるという問題が発生し得る。また、平均孔径もやはり、300nm未満で直径が小さすぎる場合には、可塑剤及び加工副原料の吸収率が落ちることがあるため、前記と同様の問題が発生し得る。
ここで、フィッシュアイ(Fish−eye)は、反応物の未溶解粒子によって発生する白色透明な粒子をいうものであって、重合体の突起品質を確認できる指標である。フィッシュアイが多いほど、重合体の品質が落ちることを意味する。
具体的に、本発明の一実施形態によれば、塩化ビニル重合体は、前記多分散度を満しながら気孔率は60から75%であってよく、より好ましくは気孔率が60から70%であってよい。また、平均孔径は300から600nmであってよく、より好ましくは平均孔径が300から500nmであってよい。前記数値範囲を満たす場合、前述した配合物性がさらに極大化することができる。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体は、重合度が700から1300、好ましくは1000から1200であってよい。本発明において「重合度(degree of polymerization)」は、重合体を構成する繰り返された単位(単位体または単量体)の数を示すものであって、ASTM D1243−79に基づいて測定した値であってよい。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体は、単独重合体(homopolymer)であってよい。単独重合体は一種類の単量体で形成された重合体であって、本発明の塩化ビニル重合体は塩化ビニル単量体のみを用いて重合した重合体であってよい。
前記したところのような物性を発現する本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体は、シード重合方法を適用して製造してよい。このとき、予備重合反応器で重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造してよく、シードを重合する予備重合とシードを用いて最終塩化ビニル重合体を重合する本重合の重合温度の差は5から15℃であってよい。これによって、本発明の他の一実施形態によれば、前記塩化ビニル重合体の製造方法が提供される。
すなわち、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、予備重合反応器で第1塩化ビニル単量体を重合転換率が5から20%になるように塩化ビニル重合シードを製造する段階(段階1);及び前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送し、前記本重合反応器に投入される第2塩化ビニル単量体と重合して塩化ビニル重合体を製造する段階(段階2);を含んでよく、このとき、前記段階1及び段階2の重合温度の差は5から15℃であり、前記塩化ビニル重合体は塩化ビニル単独重合体であるものであってよい。
また、本発明の一実施形態による前記塩化ビニル重合体の製造方法は、前述した塩化ビニル重合体、具体的に多分散度が2.0から2.3であり、気孔率が60%以上である塩化ビニル重合体を製造する方法であってよい。または、多分散度が2.0から2.3であり、気孔率が60%以上でありながら、平均孔径が300nm以上である塩化ビニル重合体を製造する方法であってよい。
また、前記段階1及び段階2の重合は、懸濁重合で行われてよく、前記懸濁重合は、保護コロイド剤及び重合開始剤の存在下に行われることを意味してよい。すなわち、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、懸濁シード重合により重合体を製造するものであってよい。
前記のように懸濁重合シードを用いた塩化ビニル重合体の製造方法は、本重合に先立って予備重合反応器で塩化ビニル重合シードを重合し、前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送した後、本重合反応器に投入される塩化ビニル単量体と懸濁重合反応を行うので、重合反応時間を短縮して重合生産性を画期的に向上させ、反応物の未溶解粒子により発生するフィッシュアイを遮断し、初期着色性を改善することができる。また、本発明で特定した重合転換率及び予備重合と本重合の温度差を満たす場合、前記改善効果だけでなく、製造される重合体の多分散度が向上するので、加工性が改善されるという効果がある。
以下、各段階別に詳しく説明する。
段階1
本発明の一実施形態による段階1は、予備重合反応器を用いて塩化ビニル重合シードを製造する段階であり、具体的に予備重合反応器で第1塩化ビニル単量体を重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造するものである。前記段階1は、予備重合段階を意味するものであってよい。
前記段階1の塩化ビニル重合シードは、重合開始剤及び保護コロイド剤の存在下に行われる懸濁重合方法で製造されるものであってよい。また、前記塩化ビニル重合シードは、塩化ビニル単量体(vinyl chloride monomer;VCM)に溶けず、シード粒子の大きさは100から120μmである。
予備重合反応器を用いて重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造することが好ましいが、さらに好ましくは重合転換率が5から15%、さらに好ましくは重合転換率が10から15%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造することが好ましい。
本発明において重合転換率は、ガスクロマトグラフィーを装着したブタントレーサー(Butane tracer)を用いて測定した値であってよい。具体的に、一定の重合条件で時間による塩化ビニル単量体とブタンとの比率による重合転換率の曲線を重合条件の度毎に作成しておき、これに基づいて重合条件による重合転換率を測定した値であってよい。
段階1)において、前記範囲未満の重合転換率になるように塩化ビニル重合シードを製造する場合は、重合シードの重合が充分になされないので、本重合反応器に投入される重合シードの量が非常に少なく、重合生産性の増大の効果が僅かであり、前記範囲を超過する重合転換率になるように塩化ビニル重合シードを製造する場合は、重合シードの成長がある程度なされ、安定性が大きくなっているため、本重合反応器で投入される塩化ビニル単量体との合一/再分散が起こり難いので、重合体粒子の内部形態の調節及び重合体の分子量の調節が困難となり、これによって多分散度、気孔率、平均孔径などを調節し難いので、フィッシュアイ及び初期着色性などの品質が安定した高品質の塩化ビニル重合体の製造が困難となり得る。また、加工性もまた落ちるという問題が発生し得る。
前記段階1)の重合は、通常の懸濁重合による塩化ビニル重合体の重合温度で行われてよく、具体的には、前記懸濁重合は30から80℃の温度、好ましくは45から75℃の温度で行われてよい。前記懸濁重合時の温度は、前記範囲内で目的とする重合度及び重合時間(生産性)によって適宜調節することができる。例えば、重合度の側面では、目的とする重合度が高いほど、前記温度は低くなり、目的とする重合度が低いほど、前記温度は高くなり得る。
また、前記懸濁重合のうち撹拌速度は、塩化ビニル重合体を製造するために通常用いられる速度であってよく、目的とする塩化ビニル重合体の物性や、反応器の大きさ、撹拌機の模様及び種類によって調節可能である。したがって、特に制限されないが、例えば、本発明の一例において、1m3の反応器で前記撹拌速度は180から250rpm未満であってよい。
本発明の一実施形態による前記段階1)は、具体的に重合水に保護コロイド剤、第1塩化ビニル単量体及び重合開始剤を混合して反応混合物を製造することを含む。ここで、第1塩化ビニル単量体は、塩化ビニル単量体を意味するものであって、後述する第2塩化ビニル単量体と同一のものであってよく、投入順序を区分するために番号を特定したものであってよい。
このとき、前記重合水は重合溶媒であって、蒸留水または脱イオン水など多様な種類の重合水が用いられてよく、好ましくは脱イオン水を用いてよい。前記重合水の温度は、懸濁重合が行われる温度を考慮して適宜選択されてよく、前記重合水の量も重合条件によって適宜用いてよく、例えば、前記段階1)及び段階2)の重合水の全含量は、前記第1及び第2塩化ビニル単量体の総100重量部に対して70重量部以上で用いてよい。
前記保護コロイド剤は、塩化ビニル重合体の製造工程において塩化ビニル単量体の安定性を維持させ、目標とする程度の塩化ビニル重合体の平均粒径、見掛比重(B.D.)、粒径分布、及び可塑剤吸収率(CPA)などの物性を得るための目的として用いられてよく、前記保護コロイド剤としては、例えば、水和度が30から90%であり、常温で4%水溶液の粘度が5から100cpsであるビニルアルコール系樹脂、メトキシ基が15から40重量%であり、水酸化プロピル基が3から20重量%であり、23±5℃で測定した2%水溶液の粘度が10から20,000cpsであるセルロース及び不飽和有機酸からなる群から選択された1種以上を挙げることができ、好ましくは水和度が30から90%であり、常温で4%水溶液の粘度が5から100cpsであるビニルアルコール系樹脂、メトキシ基が15から40重量%であり、水酸化プロピル基が3から20重量%であり、常温(20±5℃)で測定した2%水溶液の粘度が10から20,000cpsであるセルロース、またはこれらの混合物であってよい。このとき、水和度の単位%は、重量%として解釈され得る。
また、前記段階1)及び段階2)の保護コロイド剤の総含量は、第1及び第2塩化ビニル単量体の総100重量部を基準に0.03から5.0重量部であってよく、好ましくは0.05から2.5重量部であってよい。前記保護コロイド剤の総使用量が0.03重量部未満であれば、液滴安定性が落ち、重合シード及び最終重合される塩化ビニル重合体の粒子の大きさが過渡に増加してフィッシュアイが発生する恐れがあり、5.0重量部を超過すれば、微細粒子等の増加によって初期着色性の低下の恐れがある。
一方、本発明の一例において、前記保護コロイド剤は、水和度が異なる2以上のビニルアルコール系樹脂の混合物を含んでよく、例えば、水和度が50%超過90%以下であるビニルアルコール系樹脂(高水和度樹脂)、及び水和度が30%から50%であるビニルアルコール系樹脂(低水和度樹脂)の混合物を含んでよい。
また、前記保護コロイド剤は、前記ビニルアルコール系樹脂の他に、前記セルロースを共に含むものであってよく、このとき、前記セルロースのの総含量は、第1及び第2塩化ビニル単量体の総100重量部を基準に0.001から0.5重量部の量で含まれてよく、前記セルロースとしては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを挙げることができ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。この中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであってよく、前記セルロースは、より具体的にはメトキシ基が15から40重量%であり、水酸化プロピル基が3から20重量%であり、20±5℃で測定した2%水溶液の粘度が10から20,000cpsであるものであってよい。
また、前記不飽和有機酸重合体としては、アクリル酸重合体、メタアクリル酸重合体、イタコン酸重合体、フマル酸重合体、マレイン酸重合体、またはコハク酸重合体などを挙げることができ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。
また、本発明の一実施形態による段階1)及び段階2)の重合開始剤の総含量は、重合に用いられる第1及び第2塩化ビニル単量体の総100重量部に対して、0.02重量部から0.2重量部で用いられてよい。具体的には、前記重合開始剤は、第1及び第2塩化ビニル単量体の総100重量部に対して、0.03重量部から0.12重量部で用いられるものであってよい。もし、重合開始剤の総含量が0.02重量部未満であれば、重合反応時間が長くなり、塩化ビニル重合体への転換率が低くなるので生産性が低下する恐れがあり、0.2重量部を超過すれば、重合過程中で重合開始剤が完全に消耗されず、最終製造された塩化ビニル重合体内に残留して前記重合体の熱安定性及び色相品質などを低下させる恐れがある。
前記重合開始剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジクミルパーオキシド、ジペンチルパーオキシド、ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド系開始剤、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート系開始剤、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオヘプタノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ヒドロキシ−ジメチルブチルパーオキシエステルなどのパーオキシエステル系開始剤、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、ポタシウムパーサルフェート、アンモニウムパーサルフェートなどのサルフェート系開始剤などを挙げることができ、これらの単独または2種以上の組み合わせによって用いられてよい。
本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、前記で製造された反応混合物を撹拌することを含んでよく、前記撹拌を介して懸濁重合が行われてよい。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、必要に応じて水素イオン濃度調節剤として重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、硼酸ナトリウム(Na247)、第2リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、酒石酸カリウム(KHC446)、フタル酸水素カリウム(KHC844)または水酸化カリウム(Ca(OH)2)のうちいずれか一つであるか、これらのうち二つ以上の混合物をさらに含んでよい。
また、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、必要に応じて架橋剤としてジアリルマレート(DAM,DiAllyl Maleate)、ジアリルフタレート(DAP,DiAllyl Phthalate)、エチレングリコールジメチルアクリレート(EGDMA,Ethyl Glycol DiMethyl Acrylate)またはトリアリルイソシアヌレート(TAIC,TriAllyl Isocyanurate)のうちいずれか一つであるか、これらのうち二つ以上の混合物をさらに含んでよい。
また、前記段階1)で特定した重合転換率範囲のうちいずれか一時点で、製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送して本重合を行ってよい。
段階2
本発明の一実施形態による段階2)は、段階1)で製造された塩化ビニル重合シードを用いて、本重合を介して塩化ビニル重合体を製造する段階であって、具体的には、前記段階1)の前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送し、前記本重合反応器に投入される第2塩化ビニル単量体と重合して塩化ビニル重合体を製造する段階であってよい。また、前記段階2)は、本重合段階を意味するものであってよい。また、前記段階2)を行った後に製造された塩化ビニル重合体は、単独重合体であるものであってよい。
すなわち、前記段階2)は、前記段階1)の前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送し、前記本重合反応器に投入された第2塩化ビニル単量体と前記移送された塩化ビニル重合シードを重合して塩化ビニル重合体を製造するものであってよい。
本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法は、塩化ビニル単独重合体を製造することによって、共重合体を製造する工程に比べて単量体間の相溶性が優れるため、重合生産性が顕著に向上し得る。
また、共重合体の場合、塩化ビニル単量体と共重合する共単量体の種類、含量比によって全重合体の構造及び特性が変化し得るため、重合度を調節することが容易でなく、共単量体の影響によって本発明で測定する方法では重合度測定値の信頼度も確保し難いので、正確な重合度値を測定できないという問題点がある。また、樹脂組成物で配合する場合にも、前記のように共単量体の種類、含量比によって物性が大きく変化するので、単独重合体に比べて配合物性の予測が困難であるところ、成型品の品質などを制御することが容易でない。よって、本発明の塩化ビニル重合体は、塩化ビニル単独重合体に特定することで前記共重合体の問題点を全て解消しながら、優れた重合生産性と配合物性を確保することを特徴とする。
本発明の一実施形態によれば、前記段階1)で製造された塩化ビニル重合シードを移送させる時点と、本重合反応器に第2塩化ビニル単量体を投入する時点の順序は特に限定されず、例えば、前記本重合反応器に第2塩化ビニル単量体が充填された状態で、前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送してもよく、又は前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送した後、前記本重合反応器に第2塩化ビニル単量体を投入してもよい。また、他の例として、前記塩化ビニル重合シードの移送と、本重合反応器への第2塩化ビニル単量体の投入が同時に行われてもよい。
前記段階2)は、段階1)で前述した懸濁重合方法が同様に適用されてよく、具体的に、前記段階1)で移送された塩化ビニル重合シードの他に、保護コロイド剤及び重合開始剤の存在下に懸濁重合が行われてよい。このとき、保護コロイド剤及び重合開始剤は、第2塩化ビニル単量体と同時に本重合反応器に投入されるか、第2塩化ビニル単量体の投入以前に本重合反応器に投入されるものであってよい。また、前記保護コロイド剤及び重合開始剤は、前記段階1)で前述した種類の保護コロイド剤及び重合開始剤のうち選択されてよく、前記段階2)で適用する保護コロイド剤及び重合開始剤は、前記段階1)での保護コロイド剤及び重合開始剤と同一であるか、異なるものであってよい。その他にも、前記段階2)では、段階1)で前述した重合水が反応混合物にさらに含まれてよく、必要に応じて水素イオン濃度調節剤、架橋剤がさらに投入されてよい。このとき、段階2)で適用される重合水、水素イオン濃度調節剤及び架橋剤は、前記段階1)での重合水、水素イオン濃度調節剤及び架橋剤と同一であるか、異なるものであってよい。
また、段階2)の重合温度は、段階1)の重合温度と5から15℃の差を有する温度であってよく、好ましくは前記段階1)及び段階2)の重合温度の差が10から15℃であってよい。段階1)及び段階2)の重合温度の差が5から15℃を満たす場合、多分散度が2.0から2.3である塩化ビニル重合体が製造され、塩化ビニル重合体は前記多分散度を有することにより、加工性が改善されるという効果がある。
また、前記段階1)及び段階2)の重合温度は、前述した範囲の温度の差があるものであれば、段階2)に比べて段階1)が高いか低いことを特に限定してはおらず、製造される塩化ビニル重合体の物性改善の側面では、段階2)の重合温度を段階1)の重合温度に比べて高く調節してもよいが、重合生産性及び重合時間短縮の側面を考慮したとき、段階2)に比べて段階1)の重合温度がさらに高いことが好ましい。また、前述した第1塩化ビニル単量体及び第2塩化ビニル単量体は、投入手順を区分するための用語であって、塩化ビニル単独重合体を製造するためには、第1塩化ビニル単量体及び第2塩化ビニル単量体が同一の塩化ビニル単量体であることが好ましい。
また、前記段階2)の第2塩化ビニル単量体は、前記段階1)の第1塩化ビニル単量体より投入含量がさらに多いことがあり、第1塩化ビニル単量体及び第2塩化ビニル単量体の重量比は、一例として1:1.2から1:10、好ましくは1:2から1:8であってよい。
さらに、本発明の一実施形態による塩化ビニル重合体の製造方法の段階2)は、前記重合を終了して生成物(塩化ビニル重合体)を回収することをさらに含んでよい。
このとき、前記懸濁重合は、反応終結剤を投入して重合を終結してよく、前記終結時点は反応器内の圧力が6kgf/cm2から8kgf/cm2(または重合転換率が85%を超過する時点)である時点であってよい。
前記反応終結剤は、特に制限されるものではないが、例えば、フェノール化合物、アミン化合物、ニトリル化合物、硫黄化合物などであってよい。具体的には、前記反応終結剤は、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、t−ブチルカテコール、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロールなどのフェノール化合物、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン化合物、2−フェニルニトロニルニトロキシド(2−phenyl nitronylnitroxide)、3−イミダゾリンニトロキシド(3−imidazoline nitroxide)、4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリジン1−オキシル(4−hydroxy−2,2’,6,6’−tetramethyl−piperidine−1−oxyl)などのニトリル化合物、ドデシルメルカブタン、1,2−ジフェニル−2−チオールなどの硫黄化合物、ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト及びトリラウリルトリチオホスファイトなどのリン酸係化合物のうち選択された1種以上のものであってよく、好ましくはトリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートを含んでよい。
前記重合の停止によって製造された塩化ビニル重合体は、スラリー状であってよく、前記スラリーは、通常の反応条件で流動層乾燥機で水気が除去され、最終塩化ビニル重合体の形態で製造されてよい。
さらに、前記段階1)及び段階2)の重合は、前記記載した有効成分の他に、必要に応じて重合調節剤、連鎖移動剤、pH調節剤、酸化防止剤、架橋剤、帯電防止剤、スケール防止剤、界面活性剤などの添加剤をさらに添加してよく、前記添加剤の種類及び含量は特に制限されずに当業界で公知された通常の種類及び含量で用いられてよい。前記添加剤は、懸濁重合の初期、重合中又は重合後のうちいずれかの時点でも添加してよく、一括的に添加するか、連続的に添加してもよい。
本発明に用いられた反応器としては、撹拌機及びバッフルなどの撹拌装置の形状が特に限定されるものではなく、塩化ビニル重合体の懸濁重合に一般的に用いられている撹拌装置を用いてよい。具体的な例として、撹拌機としては撹拌翼がパドル(paddle)翼、ピッチド(pitched)パドル翼、ブルマージン(bloomers gin)翼、ファウドラー翼、タービン(turbine)翼、プロペラ(propeller)翼などを単独または2種以上の撹拌翼と組み合せられた撹拌機を用いてよく、バッフルとしては板状、円筒状、D状、ルーフ状またはフィンガー状などを用いてよい。
以下、実施例及び実験例によって本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらのみで限定されるものではない。
[実施例1]
内部容積0.2m3の反応器(予備重合反応器)に、脱イオン水90kg、ヒドロキシ−ジメチルブチルパーオキシエステル45g、水和度が80%であり常温での4%水溶液の粘度が30cpsであるポリビニルアルコール60g、水和度が40%であり常温での4%水溶液の粘度が20cpsであるポリビニルアルコール40gを反応器に投入して真空を加えた後、塩化ビニル単量体75kgを投入して重合反応温度を62℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率13%(13±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させる。このとき、重合転換率は、ガスクロマトグラフィーを装着したブタントレーサー(Butane tracer)を用いて測定した。一定の重合条件で時間による塩化ビニル単量体とブタンとの比率による重合転換率曲線を重合条件の度毎に作成しておき、これに基づいて重合条件による重合転換率を測定してよい。
還流コンデンサーを有する内部容積1m3の反応器(本重合反応器)に、脱イオン水360kg、クミルパーオキシジカーボネート60g、t−ブチルパーオキシネオデカノエート120gを投入し、水和度が80%であり常温での4%水溶液の粘度が30cpsであるポリビニルアルコール150g、水和度が40%であり常温での4%水溶液の粘度が20cpsであるポリビニルアルコール120g、そして水酸化プロピル基が10重量%であり常温で測定した2%水溶液の粘度が100pcsであるヒドロキシプロピルメチルセルロース30gを投入し、真空を加えた後、塩化ビニル単量体300kgを投入する。
予備重合反応器から塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体の移送が完了すると、重合反応温度を57℃に調節して重合反応の全過程の間維持しながら反応を行い、重合反応器の圧力が6.5kgf/cm2到達時点にトリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(酸化防止剤)を60g添加した後、未反応の単量体を回収し重合体スラリーを重合反応器で回収した。重合終了時の重合転換率は84%(84±2%)であった。前記で得られたスラリーを通常の方法で流動層乾燥機で乾燥して塩化ビニル重合体を得た。
[実施例2]
予備重合反応器の重合反応温度を67℃に昇温して重合反応を行い、本重合反応器の重合反応温度を56℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.3kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[実施例3]
予備重合反応器の重合反応温度を70℃に昇温して重合反応を行い、本重合反応器の重合反応温度を55.5℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.2kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[実施例4]
予備重合反応器の重合反応温度を67℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が7%(7±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を57℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.5kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[実施例5]
予備重合反応器の重合反応温度を68℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が18%(18±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を54.5℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.0kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[実施例6]
予備重合反応器の重合反応温度を54.5℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が13%(13±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を60℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が7.0kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例1]
還流コンデンサーを有する内部容積1m3の反応器に、脱イオン水360kg、クミルパーオキシジカーボネート60g、t−ブチルパーオキシネオデカノエート120gを投入し、水和度が80%であり常温での4%水溶液の粘度が30cpsであるポリビニルアルコール150g、水和度が40%であり常温での4%水溶液の粘度が20cpsであるポリビニルアルコール120g、水酸化プロピル基が10重量%であり常温で測定した2%水溶液の粘度が100pcsであるヒドロキシプロピルメチルセルロース30gを反応器に投入し、真空を加えた後、塩化ビニル単量体300kgを投入する。重合反応温度を57℃に昇温して重合反応の全過程の間維持しながら重合反応を行う。重合反応器の圧力が6.5kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に、反応終結剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル15g、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートを60g添加した後、未反応の単量体を回収して重合体スラリーを重合反応器で回収した。このように得られたスラリーを通常の方法で流動層乾燥機で乾燥して塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例2]
還流コンデンサーを有する内部容積1m3の反応器に、脱イオン水450kg、クミルパーオキシジカーボネート75g、t−ブチルパーオキシネオデカノエート150gを投入し、水和度が80%であり常温での4%水溶液の粘度が30cpsであるポリビニルアルコール188g、水和度が40%であり常温での4%水溶液の粘度が20cpsであるポリビニルアルコール150g、水酸化プロピル基が10%であり常温で測定した2%水溶液の粘度が100pcsであるヒドロキシプロピルメチルセルロース37gを反応器に投入し、真空を加えた後、塩化ビニル単量体375kgを投入する。重合反応温度を57℃に昇温して重合反応の全過程の間維持しながら重合反応を行う。重合反応器の圧力が6.5kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に、反応終結剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル15g、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートを75g添加した後、未反応の単量体を回収して重合体スラリーを重合反応器で回収した。このように得られたスラリーを通常の方法で流動層乾燥機で乾燥して塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例3]
予備重合反応器の重合反応温度を60℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が3%(3±1%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を57℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.5kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例4]
予備重合反応器の重合反応温度を65℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が25%(25±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を56℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が6.3kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例5]
予備重合反応器の重合反応温度を69℃に昇温して重合反応を行い、重合転換率が18%(18±2%)である時点に製造された塩化ビニル重合シード及び未反応の単量体を全て本重合反応器に移送させ、本重合反応器の重合反応温度を52℃に調節して重合反応を行った後、重合反応器の圧力が5.7kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、前記実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例6]
予備重合反応器で重合温度を57℃に昇温し、本重合で6.5kgf/cm2到達時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に重合反応を終了したことを除き、実施例1と同様の方法で行って塩化ビニル重合体を収得した。
[比較例7]
還流コンデンサーが備えられた内部容積0.2m3の反応器に脱イオン水80kgを投入し、水和度が80%であるポリビニルアルコール25g、水和度が42%であるポリビニルアルコール20g、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース5gを前記反応器に投入し、塩化ビニル単量体50kgとともにジ(2−エチルヘキシル)マレートと、ジ(2−エチルヘキシル)フマレートの混合物(重量比=95:5)34kgを投入した後、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート30gを投入して反応を開始した。重合反応の全過程の間57℃に反応を維持しながら反応を行い、重合転換率15%(15±2%)である時点で製造された反応生成物と未反応の単量体を全て2次重合反応器に移送した。
還流コンデンサーを有する内部容積1m3の反応器に脱イオン水360kgを投入し、水和度が80%であるポリビニルアルコール150g、水和度が42%であるポリビニルアルコール120g、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース30gを前記反応器に投入し、塩化ビニル単量体300kgを投入した後、ジクミルパーオキシド60g、t−ブチルパーオキシネオデカノエート120gを投入して反応を開始した。
重合反応の全過程の間50℃に維持しながら反応を行い、重合反応器の圧力が6.0kgf/cm2に到逹した時点(重合転換率は84%(84±2%)である時点)に、反応終結剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル5g、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートを35g添加した後、未反応の単量体を分離、回収し、製造された共重合体を重合反応器から回収した後、流動層乾燥機で乾燥して共重合体を収得した。
前記実施例1から6及び比較例1から7の予備重合及び本重合の重合条件をまとめると、下記表1の通りである。
Figure 2021512975
ここで、予備重合転換率(%)は、本重合反応器に移送する直前の予備重合反応での重合転換率を意味するものである。
<実験例1:重合生産性及び重合体の物性評価>
1)重合生産性の評価
実施例1から6及び比較例1から7の塩化ビニル重合体の重合生産性の評価のために、バッチ(batch)当たりの生産量単位で時間当たりに生産されるPVC重合体算出量を測定しており、その結果は下記表1に示した。
2)重合度の測定
ASTM D1243−79によって測定した。
3)分子量の測定
前記実施例1から6及び比較例1から7で製造した塩化ビニル重合体に対して、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び多分散度(polydispersity)をそれぞれ測定した。具体的には、塩化ビニル重合体試料0.02gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに入れ、24時間溶かして0.45umのフィルターで濾過した後、GPC機器(Waters 2414 Refractive Index Detector,Waters 1525 Binary HPLC Pump及びWaters 717 Autosampler,Waters社)を用いて25℃、常圧(1atm)条件で測定した後、標準試料(Styrene標準分子量(g/mol)1320、2750、6760、19700、50600、124000、279000、768000、1540000、2350000)を用いて検量線を引いた後、換算してMw及びMnをそれぞれ決定し、Mw/Mnの比から多分散度を決定した。その結果を下記表2に示した。
4)気孔特性の測定
前記実施例1から6及び比較例1から7で製造した塩化ビニル重合体に対して、水銀浸透を用いた方法(mercury porosimetry)で気孔物性を測定した。具体的に、常温(23±2℃)、常圧(1atm)の条件で水銀ポロシメーター(Auto Pore IV 9520,Micromeritics社製)を用いて塩化ビニル重合体の粒子内に浸入した水銀の量から表面気孔(Pinter)、開気孔(accessible intravoid,Pacc)及び閉気孔(inaccessible intravoid,Pinacc)をそれぞれ測定し、その結果から平均孔径(4V/A)及び気孔率(porosity)をそれぞれ算出しており、その結果を下記表2に示した。このとき、気孔率は体積に対する百分率を示す。
Figure 2021512975
前記表2に示すように、塩化ビニル重合シードを用いたシード懸濁重合方法を適用し、重合シードの製造時に重合転換率及び各重合反応温度の差を特定の範囲内に調節した実施例1から6は、比較例1から7に比べて同一転換率で反応時間が短縮され、単位時間当たりの重合生産量が改善されており、製造される重合体の平均孔径及び気孔率がさらに大きい値を有することが確認でき、特に60%以上の気孔率を確保できることが確認できる。また、多分散度(PDI)が2.0から2.3の範囲に含まれることが確認できる。
具体的に、シード重合を適用しない比較例1及び2と、本発明の数値範囲を外れる重合転換率を有する重合シードを製造し、予備重合と本重合の重合温度もまた本発明で特定の数値範囲を外れる比較例3は、全て実施例1から6に比べて重合生産量が顕著に落ち、多分散度が2.0未満であって、本発明で特定した重合体の物性を外れることが確認できる。また、重合体内の気孔物性を検討してみれば、平均孔径もまた実施例1から6に比べて小さい値を有し、気孔率が60%未満であって低い値を有することが確認できる。
また、本発明と同様にシード重合を適用したが、シードの重合転換率が本発明の数値範囲を外れる比較例4は、重合生産量、多分散度及び平均孔径は本発明と類似の水準を維持しているが、重合体の気孔率が60%未満であって低い値を有することが確認でき、予備重合と本重合の温度の差が本発明の数値範囲を外れる比較例5は、重合生産量、平均孔径は本発明と類似の水準を維持しているが、多分散度が2.0を超過して本発明の範囲を外れ、気孔率もまた60%未満で低い値を有することが確認できる。
また、シード重合率が実施例と同一の数値範囲であるが、予備重合と本重合の重合温度を同様に維持した比較例6は、生産性向上の効果が実施例1から6に比べて僅かであり、気孔率が60%未満であり、多分散度もまた2.0未満の値を有するので所望の水準に到逹できないことが確認でき、重合転換率及び予備重合と本重合の重合温度の差が実施例と同一の水準であるが、単独重合体ではなく共重合体を製造した比較例7は、共単量体の影響で平均孔径及び気孔率が本発明の一実施形態による物性を満たさないことが確認でき、多分散度もまた2.0未満であって低い値を有することが確認できる。特に、比較例7は、実施例1から6に比べて重合時間が長く、単位時間当りの重合生産量が顕著に落ちることが確認できる。また、比較例7は、2種の単量体を用いた共重合体であることによって、信頼度のある重合度値の測定が困難な問題がある。
<実験例2:重合体の配合物性の評価>
1)初期着色性の評価
実施例1から6及び比較例1から6の塩化ビニル重合体の初期着色性を評価のために、各実施例及び比較例の塩化ビニル重合体100重量部に対して錫系安定剤1重量部、鉛系安定剤0.5重量部、安定剤1.5重量部、可塑剤(DOP)45重量部を配合し、ロール(roll)を用いて150℃で5分間混練した後、シート(sheet)を得た。このシートを切断して重ね、プレス成形を介して圧縮シートを得た。また、比較例7は、可塑剤45重量部を添加することを除き、前記と同様の方法で配合、混練及び圧縮して圧縮シートを得た。これを目視で観察して評価しており、その結果を下記表2に示した。
◎:比較例1と比較して、これと同程度の着色度合いであり、実用上問題ない水準。
○:比較例1と比較して、若干劣るが異常のない程度の着色度合いであり、実用上問題ない水準。
X:比較例1と比較して、明らかに着色度合いに差があり、実用上問題のある水準。
2)フィッシュアイ(Fish−eye)の量
実施例1から6及び比較例1から6の塩化ビニル重合体100重量部に、可塑剤(DOP)45重量部、ステアリン酸バリウム0.1重量部、錫系安定剤0.2重量部、カーボンブラック0.1重量部を140℃の6インチのロールを用いて6分間混合混練後、厚さ0.3mmのシートを作製し、このシートの100cm2中の白色透明粒子数で示しており、その結果を下記表2に示した。また、比較例7の塩化ビニル共重合体は、可塑剤(DOP)45重量部を添加することを除き、前記と同様の方法でシートを作製してフィッシュアイの量を測定した。
3)溶融粘度の測定(加工性評価)
実施例1から6及び比較例1から6の塩化ビニル重合体の各100重量部に対して可塑剤(DOP)45重量部を配合し、毛細管粘度計(capillary rheometer,RHEO−TESTER 2000,GOTTFERT社)を用いて溶融粘度を測定しており、その結果を下記表3に示した。また、比較例7は、塩化ビニル共重合体に可塑剤を配合せずに溶融粘度を測定した。
Figure 2021512975
前記表3に示すように、塩化ビニル重合シードを用いたシード懸濁重合方法を適用し、重合シードの製造時に重合転換率及び各重合反応の温度の差を特定の範囲内に調節した実施例1から6は、比較例1から7に比べてフィッシュアイ数が顕著に小さい値を有するので、フィッシュアイ品質(突起品質)が改善されることが確認でき、初期着色性もまた優れた水準で発現されることが確認できる。また、実施例1から6は、比較例1から3、6及び7に比べて溶融粘度が低いことが確認できるが、溶融粘度が低いことは流れ性がよいことを意味するところ、優れた加工性を有し得ることを示す指標である。したがって、実施例1から6は、比較例1から3、6及び7に比べて加工性が改善されたことが確認できる。
一方、比較例4及び5は、溶融粘度が本発明と類似の水準であるが、フィッシュアイ数が顕著に多く、初期着色性もまた実用上問題のある水準で品質が悪化されたことが確認できる。
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更しなくとも、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例等は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。
前記課題を解決するために、本発明は、多分散度(PDI)が2.0から2.3であり、気孔率(porosity)が60%以上である塩化ビニル重合体を提供する。
本発明でのように多分散度が2.0から2.3でありながら、気孔率が60%以上である塩化ビニル重合体は、加工性に優れ、フィッシュアイ品質及び初期着色性の低下の問題が改善され得る。

Claims (11)

  1. 多分散度(PDI)が2.0から2.3であり、気孔率(porosity)が60%以上である、塩化ビニル重合体。
  2. 前記塩化ビニル重合体は、平均孔径(Average pore diameter,4V/A)が300nm以上である、請求項1に記載の塩化ビニル重合体。
  3. 前記塩化ビニル重合体の気孔率は60から75%である、請求項1に記載の塩化ビニル重合体。
  4. 前記塩化ビニル重合体の平均孔径は300から600nmである、請求項1に記載の塩化ビニル重合体。
  5. 前記塩化ビニル重合体は、塩化ビニル単独重合体(homopolymer)である、請求項1に記載の塩化ビニル重合体。
  6. 予備重合反応器で第1塩化ビニル単量体を重合転換率が5から20%になるように重合して塩化ビニル重合シードを製造する段階(段階1);及び
    前記塩化ビニル重合シードを本重合反応器に移送し、前記本重合反応器に投入される第2塩化ビニル単量体と重合して塩化ビニル重合体を製造する段階(段階2);を含み、
    前記段階1及び段階2の重合温度の差は5から15℃であり、
    前記塩化ビニル重合体は塩化ビニル単独重合体である、塩化ビニル重合体の製造方法。
  7. 前記段階1及び段階2の重合は懸濁重合であり、
    前記懸濁重合は、保護コロイド剤及び重合開始剤の存在下に行われる、請求項6に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
  8. 前記段階1及び段階2の重合温度の差は、10から15℃である、請求項6に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
  9. 前記塩化ビニル重合シードは、重合転換率が5から15%になるように重合して製造される、請求項6に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
  10. 前記段階1の重合温度が、前記段階2の重合温度に比べて高い温度である、請求項6に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
  11. 前記第1塩化ビニル単量体及び第2塩化ビニル単量体は、同一の塩化ビニル単量体である、請求項6に記載の塩化ビニル重合体の製造方法。
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