JP2014224176A - 熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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充志 冨永
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憲史 大迫
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Abstract

【課題】耐衝撃性と耐熱性とが両立した塩素化塩化ビニル系樹脂成形体およびそのような成形体を作成可能な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物は、熱塩素化塩化ビニル系樹脂および耐衝撃改質剤を含み、熱安定化剤としての無機化合物を実質的に含まない。これによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の向上された耐衝撃性が得られる一方で、許容可能なレベルの耐熱性が維持される。好ましくは、耐衝撃改質剤は、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とジエン系ゴム質重合体との共重合体であって、共重合体中のアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量は、26重量%以上40重量%以下であり、平均粒子径が0.1〜240μmの粒子を含むものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物および成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、対候性、耐薬品性などに優れた材料として、多くの分野に用いられている。一方、耐熱性には劣ることから、塩化ビニル系樹脂を塩素化することにより耐熱性を向上させた塩素化ビニル系樹脂が開発された。塩化ビニル系樹脂の塩素化の方法としては、光塩素化および熱塩素化(たとえば、特許文献1参照)が知られている。
特開2006−104485号公報
塩化ビニル系樹脂の耐熱性向上の手段の1つとして、上述のように塩素化が行われてきた。
一方、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性改良の手段としては、通常、耐衝撃改質剤の添加が行われてきた。しかしながら、耐衝撃改質剤は、適量を超えて加えると耐熱性が低下する点で問題がある。
つまり、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性と耐熱性とを両立させることが困難であった。
そこで本発明の目的は、耐衝撃性と耐熱性とが両立した塩素化塩化ビニル系樹脂成形体およびそのような成形体を作成可能な樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、塩素化塩化ビニル系樹脂として熱塩素化塩化ビニル系樹脂を使用し、さらに、塩素化塩化ビニル系樹脂の耐熱性向上のための熱安定化剤として当然に用いられてきた無機化合物を実質的に使用しないことによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性が向上する一方で、許容可能なレベルの耐熱性が維持されることを見出した。
本発明はこのような知見により完成された。
(1)
本発明の一局面に従う熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物は、熱塩素化塩化ビニル系樹脂および耐衝撃改質剤を含み、熱安定化剤としての無機化合物を実質的に含まない。
これによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の向上された耐衝撃性が得られる一方で、許容可能なレベルの耐熱性が維持される。
(2)
耐衝撃改質剤はアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を含む共重合体であってよい。この場合、共重合体中のアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量は、26重量%以上40重量%以下である。
これによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂のより向上された耐衝撃性が得られる。
(3)
耐衝撃改質剤はアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とジエン系ゴム質重合体との共重合体であってよい。この場合、共重合体中のジエン系モノマー成分の含有量は40重量%以上56重量%以下である。
これによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂のより向上された耐衝撃性が得られる。
(4)
耐衝撃改質剤は、平均粒子径が0.1μm以上240μm以下の粒子を含むものであってよい。
これによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂のより向上された耐衝撃性が得られる。
(5)
本発明の他の一局面に従う熱塩素化塩化ビニル系樹脂成形体は、上述の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の成形体である。
これによって、熱塩素化塩化ビニル系樹脂成形体における耐衝撃性と耐熱性との両立が可能である。
本発明により、耐衝撃性と耐熱性とが両立した塩素化塩化ビニル系樹脂成形体およびそのような成形体を作成可能な樹脂組成物を提供することができる。
実施例におけるシャルピー衝撃強度試験の結果である。 実施例における落錘衝撃性能試験の結果である。 実施例における熱間内圧クリープ試験結果である。 実施例における熱安定性評価の試験結果である。
[熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物]
本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物は、熱塩素化塩化ビニル系樹脂を主成分とし、添加物として、耐衝撃改質剤を含み、熱安定化剤としての無機化合物は実質的に含まない。また、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物は、添加物として、さらに、熱安定化剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、加工助剤およびその他のいかなる添加物を含んでもよい。
[熱塩素化塩化ビニル系樹脂]
熱塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、「CPVC」と記載する。)は、塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」と記載する。)の熱塩素化により得られる樹脂である。
PVCとしては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、および塩化ビニルモノマーと重合体とのグラフト共重合体などが挙げられる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとしては、たとえば、炭素数2以上16以下のα−オレフィン(たとえば、エチレン、プロピレン、およびブチレン);炭素数2以上16以下の脂肪族カルボン酸のビニルエステル(たとえば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル);炭素数2以上16以下のアルキルビニルエーテル(たとえば、ブチルビニルエーテルおよびセチルビニルエーテル);炭素数1以上16以下のアルキル(メタ)アクリレート(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートおよびブチルアクリレート);アリール(メタ)アクリレート(たとえば、フェニルメタクリレート);芳香族ビニル(たとえば、スチレンおよびα−置換スチレン(たとえば、α−メチルスチレン));ハロゲン化ビニル(たとえば、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン);およびN−置換マレイミド(N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミド)が挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いられていてもよいし、2種以上が併用されていてよい。
塩化ビニルモノマーとともにグラフト共重合体を与える重合体としては、塩化ビニルモノマーにグラフト重合可能な重合体であれば単独重合体および共重合体を問わず、いかなるものも含まれる。たとえば、α−オレフィンとビニルエステルとの共重合体(たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体);α−オレフィンとビニルエステルと一酸化炭素との共重合体(たとえば、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体);α−オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(たとえば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体およびエチレン−エチルアクリレート共重合体);α−オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートと一酸化炭素との共重合体(たとえば、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体);異なる2種以上のα−オレフィンの共重合体(たとえば、エチレン−プロピレン共重合体);不飽和ニトリルとジエンとの共重合体(たとえば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体);ポリウレタン;および塩素化ポリオレフィン(たとえば、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ポリプロピレン)が挙げられる。これら重合体は単独で用いられていてもよいし、2種以上が併用されていてもよい。
CPVCの塩素含有率は特に限定されないが、たとえば65重量%以上68重量%未満、好ましくは、塩素含有率は66重量%以上68重量%未満、より好ましくは66重量%以上67重量%以下である。塩素含有率が上記範囲を下回ると耐熱性向上効果が不十分となる傾向にあり、上記範囲以上であると成形加工性が困難となる傾向にある。
なお、塩素含有率は、JIS K 7229に準拠して測定することができる。
CPVCの分子構造中に含まれる各種メチレン基、具体的にはジクロロメチレン基(−CCl−)、クロロメチレン基(−CHCl−)およびメチレン基(−CH−)の比率は、たとえば、−CCl−が6.2モル%以下、−CHCl−が58.0モル%以上、且つ、−CH−が35.8モル%以下であり、好ましくは、−CCl−が5.9モル%以下、−CHCl−が59.5モル%以上、且つ、−CH−が34.6モル%以下である。各種メチレン基の比率が上記範囲を外れると、塩素化されている部位と塩素化されていない部位との偏りすなわち塩素化状態の不均一性によって分子構造の安定性が低下する傾向にあり、その結果、熱安定性が低下する傾向にある。
CPVCの分子構造中に含まれる4連子以上の塩化ビニルモノマー単位(以下、「VC単位」という)は、たとえば30.0モル%以下、好ましくは28.0%以下である。VC単位の連続数が上記範囲を上回ると、ジッパー反応と呼ばれる連続的脱HCl反応により熱安定性が低くなる傾向にある。なお、VC単位とは塩素化されていない塩化ビニルモノマー単位(−CH−CHCl−)をいい、4連子以上のVC単位とは、VC単位が4個以上連続して結合している単位を意味する。
さらに、CPVCでは、UV吸光度の値により、塩素化反応時の分子鎖中の異種構造を定量化し、定量化された値を熱安定性の指標の1つとすることができる。具体的には、CPVCは、216nmの波長におけるUV吸光度が0.8以下であることが好ましい。上記範囲を上回ると、二重結合した炭素の隣の炭素に付いた塩素原子を起点とした脱HClにより熱安定性が低くなる傾向にある。
なお、UV吸光度は、紫外吸収スペクトルを測定し、CPVC中の異種構造である、−CH=CH−C(=O)−及び−CH=CH−CH=CH−が吸収をもつ、波長216nmのUV吸光度の値を読み取る方法で測定することができる。
さらに、CPVCは、190℃における脱HCl量が7000ppmに到達するのに必要な時間が、たとえば50秒以上、好ましくは60秒以上、より好ましくは70秒以上である。上記範囲を上回ると、熱分解によるHClの発生により熱安定性が低くなる傾向にある。
CPVCは、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中における主成分であり、たとえば、樹脂組成物中85重量%以上95重量%以下の割合で含まれることができる。
CPVCは、PVCを原料とし、原料PVCを熱塩素化反応に供することによって得られる。熱塩素化反応は従来公知の任意の方法を用いて当業者によって適宜行われる。たとえば、反応器内においてPVCを水性溶媒中で懸濁状態とした状態で、反応器内に塩素を導入し、加熱条件下で熱塩素化反応を行うことができる。
反応器の素材には、グラスライニングが施されたステンレス、チタン、その他一般に使用されている素材が特に限定されることなく使用できる。
PVCの水性媒体中懸濁液は、たとえば、重合後のPVCを脱モノマー処理したケーキ状のPVC、またはその後乾燥させたPVCを、水性媒体に懸濁して調製することができる。または、重合系中から塩素化反応に不要の物質を除去して調製してもよい。懸濁液調製に用いる水性媒体の量は特に限定されないが、通常、PVCの重量に対して2倍以上10倍以下である。
塩素の導入には、効率性の観点から液体塩素を用いてもよいし、反応途中の圧力の調整又は塩素の補給の容易性の観点から、気体塩素を用いてもよい。気体塩素としては、ボンベ塩素の5重量%以上10重量%以下をパージした後の塩素を用いることが好ましい。反応器内の塩素分圧は特に限定されないが、たとえば0.3MPa以上2MPa以下、好ましくは0.2MPa以上1MPaである。上記範囲とすることによって、塩素がPVC粒子の内部に浸透し易くなる。
熱塩素化反応の反応温度としては、たとえば60℃以上140℃以下である。上記範囲内の上限値は、135℃、110℃、100℃、90℃または85℃であってもよい。上記範囲内の下限値は、65℃、70℃または100℃であってもよい。上記範囲を上回ると、塩素化反応と並行する脱HCl反応によりCPVCが着色しやすい傾向にある。上記範囲を下回ると、塩素化反応速度が低下する傾向にある。
熱塩素化反応においては、熱エネルギーによりPVCの結合および/または塩素を励起させて塩素化を促進することができる。熱エネルギーにより塩素化する際の加熱方法としては、特に限定されず、たとえば、反応器壁からの外部ジャケット方式によるものが挙げられる。
特に、熱塩素化反応は、反応温度として60℃以上100℃以下、好ましくは65℃以上90℃以下と、塩素分圧として0.2MPa以上1MPa以下との条件の組み合わせにより行われることが好ましい。このことにより、CPVCにおいて0.1μm以下の微細孔による高い空隙率(例えば60容量%以上)が得られ、加工性に優れる。
熱塩素化反応においては、過酸化水素を連続的または断続的に添加することができる。添加される過酸化水素は、無溶媒および水溶液のいずれの態様であってもよい。過酸化水素によって、塩素化反応速度を向上させることができる。過酸化水素の添加速度は、たとえば5ppm/Hr以上500ppm/Hr以下、好ましくは5ppm/Hr以上50ppm/Hr以下、より好ましくは5ppm/Hr以上30ppm/Hr以下である。上記範囲を上回ると、CPVCの耐熱性が低下する傾向にあり、上記範囲を下回ると、塩素化反応速度向上効果が小さくなる傾向にある。
過酸化水素の添加開始は、熱塩素化反応の開始と同時であってもよいし、反応再現性の観点から所定の時間経過後であってもよい。後者の場合、たとえば、反応系中のCPVCの塩素含有量が60重量%、61重量%または62重量%に到った時点で過酸化水素を添加開始することができる。
過酸化水素の全添加量は、たとえば60ppm以上200ppm以下、好ましくは60ppm以上150ppm以下である。上記範囲を下回ると塩素化反応速度向上効果が小さくなる傾向にあり、上記範囲を上回るとCPVCの耐熱性が低下する傾向にある。
熱塩素化反応の停止は、CPVC中の塩素含有量が所定の量に到達した時に、残存塩素を排除し、冷却することにより行うことができる。得られたCPVCスラリーは、水洗による塩酸除去、必要に応じ中和剤等の添加、脱水、および乾燥の工程に供され、粉末化されることができる。
なお、熱塩素化反応に供される原料PVCの平均重合度は特に限定されないが、成形加工性の観点から、通常は400以上3,000以下、好ましくは500以上2,000以下、より好ましくは600以上1,500以下である。
原料PVCの空隙率は、熱塩素化反応時間を助長させない観点から高いことが好ましいが、たとえば20容量%以上である。また、PVCの比表面積は、熱塩素化反応時間を助長させない観点および得られるCPVCの熱安定性の観点から大きいことが好ましいが、たとえば1m2/g以上である。
さらに、原料PVCの平均粒子径は、100μm以上200μm以下であることが好ましい。原料PVCの平均粒子径が上記範囲を上回ると塩素化反応時間が長くなる傾向にあり、上記範囲を下回ると取り扱いが困難になる傾向にある。
原料PVCの製造は、一般に塩化ビニルの重合に使用される方法を用いて当業者によって適宜行われる。例えば、重合器に塩化ビニル系モノマー、水性媒体および分散剤を投入し、更に重合開始剤を投入する工程、所定の重合温度に昇温して重合反応を開始する工程、塩化ビニル系モノマーの重合転化率が所定の割合(たとえば70重量%以上90重量%以下)に達した後、冷却、排ガス、および脱モノマーの後処理を行う工程、および得られたPVCを含むスラリーを脱水、乾燥することによりPVCを得る工程により製造される。なお、塩化ビニル系モノマーとは、塩化ビニルモノマー単独、または塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとの混合物をいう。他のモノマーの具体例は上述のとおりであり、それらは単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
[無機安定剤]
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、無機安定剤を実質的に含まない。無機安定剤を実質的に含まないとは、最も好ましくは無機安定剤を全く含まないが、無機安定剤として本来利用される耐熱性が実質的に発揮されない程度に混在し得る量は許容する意である。たとえば、塩化ビニル系樹脂組成物100重量に対し、0重量部超0.01重量部未満の量の無機安定剤を含むことを許容する。上記範囲を上回ると、成形体の耐衝撃性が低下する。上記範囲内の上限値は、0.007重量部、0.005重量部、0.003重量部、0.002重量部または0.001重量部であってもよい。
無機安定剤は、従来より塩化ビニル系樹脂成形物の熱安定性を向上させる目的で添加されてきた無機化合物であれば特に限定されるものではない。具体的には、無機安定剤は、CPVCから生じる有離HClの捕捉機能を有する受酸剤である。
より具体的には、無機安定剤は金属化合物である。たとえば、ゼオライト;ハイドロタルサイト;金属酸化物(たとえば、Mg、Ca、Ba、Pb、Znなどのニ価金属の酸化物);金属水酸化物(たとえば、Mg、Ca、Ba、Pb、Znなどのニ価金属の水酸化物);Li−Al複塩;Li−Al−Mg複塩;金属過塩素酸塩(たとえば、過塩素酸バリウム、過塩素酸ナトリウムおよび過塩素酸リチウムなどの一価または二価の金属の過塩素酸塩)が挙げられる。
なお、ゼオライトは、一般式:M ・[(AlO・(SiO]・zHO(式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数を示す)で表される。上記式中のMとしては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価および二価の金属からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオンが挙げられる。
また、ハイドロタルサイトは、一般式:M (OH)2x+3y−2Z(A2−・aHO(式中、Mは、Mgなどの二価の金属イオン、Mは、Alなどの三価の金属イオン、A2−は、COなどの二価のアニオンであり、x,yおよびzは8≧x/y≧1/4およびz/x+y>1/20を満足する正数、aは、0.25≦a/x+y≦1.0を満足する数である)で表される。
[耐衝撃改質剤]
耐衝撃改質剤としては、塩化ビニル系樹脂成形体の耐衝撃性を改質する目的で用いられるものであり、特に限定されるものではない。
耐衝撃改質剤は、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を主たる構成成分として含む重合体を用いてもよい。アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分としては、炭素数1以上12以下のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらモノマー成分は、単独で用いられてもよいし、2種以上(たとえば3種)が併用されてもよい。
重合体中のアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量は特に限定されないが、たとえば25重量%以上である。上記範囲を下回ると、分散性が低下する傾向となる場合がある。成形体への分散性の観点からは、上記範囲内の下限値は26重量%であることがより好ましく、27重量%であることがさらに好ましい。上記範囲内の上限値は特に限定されないが、たとえば40重量%、39重量%、38重量%、37重量%、36重量%、または35重量%である。
耐衝撃改質剤は、成形体の耐衝撃性の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば1重量部以上30重量部以下の割合で含有させることができる。
耐衝撃改質剤の具体例としては、たとえば、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とゴム質重合体との共重合体、およびアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とオルガノシロキサンモノマー成分とを含むシリコーンアクリルゴム(たとえば、オルガノポリシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとから構成されるシリコーン/アクリル複合ゴム)が挙げられる。
好ましくは、耐衝撃改質剤はアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とゴム質重合体とのグラフト共重合体である。このグラフト共重合体は、ゴム質重合体をコアとし、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を含む重合体をシェルとするコア−シェル構造を有する。この場合、たとえば、ゴム質重合体に、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合または乳化重合によるグラフト重合に供することによって合成される。
アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分に共重合するゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。ゴム質重合体としては、ジエン系ゴムおよび非ジエン系ゴムを問わず、単独重合体および共重合体(二元共重合体および三元共重合体を含む)も問わない。さらに、ゴム質重合体が共重合体である場合、共重合体の様式としては、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合およびグラフト共重合を問わない。
ジエン系ゴムは、主鎖中に二重結合を有していれば特に限定されるものではない。ジエンモノマー成分としては、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンなどが挙げられる。
ジエン系ゴムの単独重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびポリクロロプレンが挙げられる。ジエン系ゴムの共重合体としては、ジエン、不飽和ニトリル、α−オレフィンおよび芳香族ビニルからなる群から選ばれるモノマー成分を含む共重合体が挙げられる。より具体的には、不飽和ニトリルとジエンとの共重合体(たとえば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)、芳香族ビニルとジエンとの共重合体(たとえば、ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体)、オレフィンとジエンとの共重合体(たとえば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)などが挙げられる。
上記例示のジエン系ゴムを含む耐衝撃改質剤の中でも、より具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体およびメチルメタクリレート−(アクリル・シリコーン複合体)共重合体が好ましく使用される。
ゴム質重合体としてジエン系ゴムを含む耐衝撃改質剤を用いる場合、耐衝撃改質剤中のジエンモノマー成分の含有量は、たとえば56重量%以下または55重量%以下であってよい。上記範囲内の下限値は特に限定されないが、たとえば40重量%、または45重量%であってよい。ジエンモノマー成分の含有量を上記範囲とすることによって、所望の耐衝撃性を得ることができる。ジエンモノマー成分の含有量が上記範囲を下回ると、耐衝撃性の改良効果が低下する傾向にある。上記範囲を上回る場合も、塩素化塩化ビニル系樹脂成形物の耐衝撃性が低下する傾向となる場合がある。
上述の場合、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中におけるジエン系ゴムを含む耐衝撃改質剤の含有量は、成形体の耐衝撃性の観点から、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対し、たとえば1重量部以上30重量部以下である。
また、耐衝撃改質剤は、平均粒子径が小さいことが好ましい。耐衝撃改質剤粒子の平均粒子径は、たとえば0.1μm以上240μm以下、好ましくは0.1μm以上230μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上220μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上210μm以下の粒子を含んでいることが好ましい。平均粒子径を上記範囲とすることによって、熱塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂成形物の耐衝撃性に優れる。
非ジエン系ゴムとしては、アルキル(メタ)アクリレート、オレフィン、およびオルガノシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のモノマー成分を含む重合体が挙げられる。より具体的には、アクリルゴム(たとえば、ポリブチルアルキレートなど)、オレフィンゴム(たとえば、エチレン−プロピレンゴムなど)およびシリコーンアクリルゴムが挙げられる。
耐衝撃改質剤は、上述の化合物の他にも、塩素化ポリオレフィンを用いることができる。塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを塩素化により得られる樹脂である。塩素化ポリオレフィンを与えるポリオレフィンとしては、エチレン単独重合体およびエチレンモノマーとその他のオレフィンモノマーとの共重合体が挙げられる。このようなオレフィンモノマーとしては、炭素数3以上のα−オレフィン(たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1など)および炭素数1以上16以下のアルキル(メタ)アクリレート(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなど)が挙げられる。
塩素化ポリオレフィンは、成形体の耐衝撃性の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば1重量部以上30重量部以下の割合で含有させることができる。
[熱安定化剤]
熱安定化剤としては、たとえば、有機錫安定剤が好ましく用いられる。有機錫安定剤の具体例としては、マレート系(たとえば、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレートおよびジオクチル錫マレートポリマーなどのジアルキル錫マレートおよびジアルキル錫マレートポリマー)、ラウレート系(たとえば、ジブチル錫ラウレートおよびジブチル錫ラウレートポリマーなどのジアルキル錫ラウレートおよびジアルキル錫ラウレートポリマー)、およびメルカプト系(たとえば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプトなどのジアルキル錫メルカプト)などが挙げられる。上記の他、有機錫安定剤としては、カルシウム−亜鉛系安定剤およびバリウム−亜鉛系安定剤なども挙げられる。これらの有機錫安定剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、有機錫安定剤は、室温(25℃)で液体状態であることが好ましい。
熱安定化剤は、成形体の熱安定性の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.1重量部以上20重量部以下の割合で含有させることができる。
さらに、熱安定化助剤として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステルおよびポリオール、などが挙げられる。これらの熱安定化助剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
熱安定化助剤は、成形体の熱安定性の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.1重量部以上10重量部以下の割合で含有させることができる。
[滑剤]
滑剤は、成形加工時の樹脂粒子間の内部摩擦を軽減する性質(内部滑性)を利用する目的、および成形加工時の溶融樹脂と加工機部品との粘着を軽減する性質(外部滑性)を利用する目的で用いることができる。
滑剤の具体例としては、炭化水素(たとえば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)など);脂肪酸エステル(たとえば、ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、モンタン酸脂肪族2価アルコールエステル、エポキシ大豆油など)およびその部分ケン化物などの脂肪族エステルワックス;高級アルコール(たとえば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール)、脂肪酸(たとえば、ステアリン酸、リシノール酸など)およびその金属石鹸;ならびにビスアマイド(エチレンビスアマイドなど)が挙げられる。当業者によって内部滑性および外部滑性のバランスが考慮され、単独で、好ましくは複数が併用される。
滑剤は、成形性の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.1重量部以上20重量部以下の割合で含有させることができる。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系抗酸化剤などが挙げられる。酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
酸化防止剤は、酸化の進行を停止させる観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.01重量部以上 15重量部以下の割合で含有させることができる。
[帯電防止剤]
帯電防止剤としては、たとえば、界面活性剤、とくにノニオン系界面活性剤が挙げられる。帯電防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
帯電防止剤は、成形体の帯電防止の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.01重量部以上15重量部以下の割合で含有させることができる。
[顔料]
顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系および染料レーキ系などの有機顔料、ならびに酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物−セレン化物系及およびフェロシアン化物系などの無機顔料などが挙げられる。顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
顔料は、成形体の耐衝撃性等の観点から、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.01重量部以上5重量部以下の割合で含有させることができる。
[加工助剤]
加工助剤としては、たとえば、アクリル系加工助剤である。具体的には、たとえばアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を主として含む共重合体であるが、耐衝撃改質剤として用いられる物質とは当業者によって定性的に区別される。好ましくは、アクリル系加工助剤は、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートとの共重合体である。具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
上記の他、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分と他の成分(例えば、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレンなど)との共重合体も挙げられる。
加工助剤の重量平均分子量は、たとえば10万以上200万以下である。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、加工助剤を含ませることを許容するが、加工助剤を全く含ませなくてもよい。加工助剤を含ませる場合、本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物中、熱塩素化塩化ビニル系樹脂100重量に対したとえば0.1重量部以上20重量部以下の割合で含有させることができる。
[熱塩素化塩化ビニル系樹脂成形体]
熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物から成形体を得る場合には、成形時の加工性を高める目的で、上記樹脂組成物にさらに可塑剤を添加してよい。可塑剤としては、たとえば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、及びジ−2−エチルヘキシルアジペートなどが挙げられる。可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
可塑剤を樹脂組成物に混合する方法としては特に限定されず、たとえば、ホットブレンドによる方法、及びコールドブレンドによる方法等が挙げられる。樹脂組成物の成形方法としては特に限定されず、たとえば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法及びプレス成形法などが挙げられる。
本発明の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物から成形される成形体は、耐衝撃性に優れる。たとえば、本発明の成形体は、樹脂組成物中に含ませた耐衝撃改質剤の種類などによって異なるが、JIS K 7111に準拠して測定したシャルピー衝撃値として、25kJ/m以上、30kJ/m以上、40kJ/m以上、50kJ/m以上、60kJ/m以上、または70kJ/m以上の耐衝撃性能を達成することができる。
またたとえば、本発明の成形体は、樹脂組成物中に含ませた耐衝撃改質剤の種類などによって異なるが、JIS K 6776に準拠した熱間内圧クリープ試験において、破壊時間150分以上、300分以上、600分以上または700分以上の強度を達成することができる。
本発明の成形体は上記の強度に特に優れるため、たとえば従来の成形体であれば上記の強度を低下させる傾向のある添加剤を使用した場合であってもなお、十分な強度を担保することができる。これに伴って、添加剤の選択の幅を広げることができる。
さらに、本発明の成形体は、熱安定性にも優れる。たとえば、本発明の成形体を200℃のオーブンで加熱した場合に黒化するまでにかかる時間が50分以上、好ましくは60分以上、より好ましくは70分以上である。なおかつ、当該時間が80分未満または75分未満であることを許容する。
したがって、本発明の成形体は、耐衝撃性と熱安定性とのバランスに特に優れる。この特性を生かして、本発明の成形体は、たとえば管体(硬質塩化ビニル管)、雨樋、プレートなどに好適に使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
<予備実験>
下記の各種メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体のモノマー成分の含有比率を算出した。
M511(カネカ社製)
B564(カネカ社製)
MB838A(LG化学社製)
M51(Formosa社製)
まず、下記測定条件に従って、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(PGC/MS)を行った。
(装置)
PY:縦型ミクロ加熱炉熱分解装置 DOUBLE SHOT PYRLYZER
GC:GC2010(島津製作所製)
MS:GCM−QP 2010(島津製作所製)
質量分析器:四重極型
データベース:NIST147ライブラリ
(GC条件)
PY:熱分解温度 550℃
インターフェース温度 250℃
GC:キャリア流量 1ml/分(He)
スプリット比 100:1
分離カラム DB−5MS(0.25μm,0.25mmφ×30m)
オーブン温度 40℃(3分)−20℃/分−320℃(5分)
MS:インターフェース温度 250℃
イオン化温度 220℃
マスレンジ 30(m/z)−400(m/z)
試料量:約0.5mg
次に、解重合率を、ブタジエン10%、MMA,Bt100%、およびアクリルエステル類30%と仮定し、PCG/MSチャートのピーク面積から含有比率を算出した。各分解生成物の解重合率から算出した含有比率を下記表1に示す。
Figure 2014224176
また、各種メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体の平均粒子径は、M511が247μm、B564が208μm、MB838Aが319μmであった。また、M51は粒子径の異なる粒子の混合物であり、具体的には、平均粒子径100μmの粒子と平均粒子径220μmの粒子とが混合していた。
なお、平均粒子径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(型番:SALD-2200、(株)島津製作所製)によって測定した。
[実施例1]
(塩素化塩化ビニル系樹脂の調製)
内容積300リットルのグラスライニング製反応器に、脱イオン水200重量部と平均重合度1000の塩化ビニル樹脂(塩化ビニル単独重合体)40重量部を投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を脱イオン水中に分散させた後、反応器内を加熱して、70℃に昇温した。次いで、反応器中を真空にして酸素を除去した後、塩素ガスを塩素分圧が0.4MPaになるよう導入し、次いで1000ppmの過酸化水素水を0.8L/Hr(塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として20ppm/Hr)となるよう添加し塩素化反応を開始した。塩素化反応は70℃、塩素分圧0.4MPa一定の条件で、反応中も上記速度で一定量の過酸化水素水の添加を続けた。塩素含有量が66.5重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた熱塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して粉末状の熱塩素化塩化ビニル樹脂を得た。
(塩素化塩化ビニル樹脂組成物の調製)
得られた熱塩素化塩化ビニル樹脂100重量部に、有機錫系安定剤(日東化成社製、メルカプト系安定剤、商品名「KK6476」)1.00重量部、衝撃改質剤(カネカ社製、商品名「M511」)5.00重量部、滑剤(三井化学社製、商品名「Hiwax220MP」)1.5重量部及び滑剤(エメリーオレオケミカルズ社製、商品名「VPN963」)0.5重量部を添加し、撹拌混合して、塩素化塩化ビニル樹脂組成物を得た。なお、塩素化塩化ビニル樹脂組成物中には、無機安定剤は含ませなかった。
(塩素化塩化ビニル樹脂成形体の作成)
調製された塩素化塩化ビニル樹脂組成物を、押出機(プラスチック工学社製、商品名「SLM−90」)に供し、押出樹脂温度205℃、スクリュー回転数19.5rpmで押出成形を行い、外径114mm、厚さ6mmのパイプ状成形体を作成した。
[実施例2]
耐衝撃改質剤としてM511(カネカ社製)の代わりにB564(カネカ社製)を用いたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
[実施例3]
耐衝撃改質剤としてM511(カネカ社製)の代わりにMB838A(LG化学社製)を用いたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
[実施例4]
耐衝撃改質剤としてM511(カネカ社製)の代わりにM51(Formosa社製)を用いたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
[比較例1]
無機安定剤としてゼオライト(商品名「ミズカライザーES」、水澤化学工業社製)0.50重量部をさらに含ませたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
[比較例2]
有機錫系安定剤として、KK6476(日東化成社製)の代わりにTVS8570(日東化成社製)を用い、無機安定剤としてゼオライト(商品名「ミズカライザーES」、水澤化学工業社製)0.50重量部をさらに含ませたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
[比較例3]
塩素化塩化ビニル樹脂として、熱塩素化塩化ビニル樹脂の代わりに光塩素化塩化ビニル樹脂(塩素含有量66.5重量%、商品名「HA−54K」、徳山積水工業社製)を用い、有機錫系安定剤として、KK6476(日東化成社製)の代わりにTVS8570(日東化成社製)を用い、無機安定剤としてゼオライト(商品名「ミズカライザーES」、水澤化学工業社製)0.50重量部をさらに含ませたことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、パイプ状成形体を作成した。
<塩素化塩化ビニル系樹脂成形体の評価>
(シャルピー衝撃強度)
作成したパイプ状成形体から試験片を切り出し、試験片をJIS K 7111に準拠した測定に供した。得られた結果を図1に示す。図1の比較例1と実施例1との比較で表されるように、無機安定剤を使用しない実施例1では、シャルピー衝撃強度の値が顕著に向上した。このため、実施例4のように、耐衝撃改質剤を最も耐衝撃改質効果が低いものに変更した場合であっても、十分に向上された耐衝撃性能が維持された。
(落錘衝撃性能)
作成したパイプ状成形体(呼び径φ100)を、以下の測定に供した。
JIS K 6742「水道用硬質ポリ塩化ビニル管」の附属書JA規定の衝撃試験装置を用いて、50%割れ高さを算出した。重りは9kgのものを用いて、数値はJIS K 7211「プラスチック−硬質プラスチックのパンクチャー衝撃試験方法」に記載の数値算出方法に従って算出した。
得られた結果を図2に示す。図2に示されるように、無機安定剤を使用しない実施例1から4において、落錘衝撃性能が向上したことが示された。(なお、データには示されていないが、比較例3と比較例1,2との間で、落錘衝撃性能に差がないことが本発明者らによって確認されている。)
(熱間内圧クリープ)
作成したパイプ状成形体(呼び径φ100)について、JIS K 6776に準拠した測定(条件90℃、1.0MPa)に供した。得られた結果を図3に示す。図3に示されるように、無機安定剤を使用しない実施例1から3において、熱間内圧クリープ試験の良好な結果が得られた。
(熱安定性評価)
作成したパイプ状成形体から2cm×3cmの試験片を切り出し、試験片を200℃のギアオーブンに入れ、10分ごとに取り出し、黒化時間を計測した。得られた結果を図4に示す。図4に示されるように、無機安定剤を使用しない実施例1および実施例4において、無機安定剤を使用する比較例1よりも熱安定性が低下するものの、十分に良好なレベルの熱安定性が維持された。その熱安定性のレベルは、光塩素化塩化ビニル樹脂を用いた比較例3に比べて有意に高い。データに示されていないが、実施例2および実施例3についても実施例1および実施例4と同等の熱安定性が維持されたことが、本発明者らによって確認された。
以上より、無機安定化剤を使用しない本実施例の熱塩素化塩化ビニル樹脂成形体は、耐衝撃性などの強度が向上した一方で、良好なレベルの熱安定性を維持したことが示された。すなわち、低耐衝撃性などの強度と熱安定性とが両立した熱塩素化塩化ビニル樹脂成形体が作成された。

Claims (5)

  1. 熱塩素化塩化ビニル系樹脂および耐衝撃改質剤を含み、熱安定化剤としての無機化合物を実質的に含まない、熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記耐衝撃改質剤がアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分を含む共重合体であり、前記共重合体中の前記アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量が、26重量%以上40重量%以下である、請求項1に記載の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 前記耐衝撃改質剤がアルキル(メタ)アクリレートモノマー成分とジエン系ゴム質重合体との共重合体であり、前記共重合体中のジエン系モノマー成分の含有量が40重量%以上56重量%以下である、請求項1または2に記載の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 前記耐衝撃改質剤は、平均粒子径が0.1μm以上240μm以下の粒子を含むものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の熱塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の成形体。
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