JPH11158221A - 塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂

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JPH11158221A
JPH11158221A JP7224998A JP7224998A JPH11158221A JP H11158221 A JPH11158221 A JP H11158221A JP 7224998 A JP7224998 A JP 7224998A JP 7224998 A JP7224998 A JP 7224998A JP H11158221 A JPH11158221 A JP H11158221A
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JP
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vinyl chloride
resin
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chloride resin
chlorine
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JP7224998A
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Yoshihiko Eguchi
吉彦 江口
Kenichi Asahina
研一 朝比奈
Yukio Shibazaki
行雄 柴崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種配合物を高充填、高分散することが可能
な高空隙率であって微細孔を粒子内部に有する塩化ビニ
ル系樹脂、及び、ゲル化性能と耐熱性とに優れた塩素化
塩化ビニル系樹脂を提供する。 【解決手段】 BET比表面積値が、1.3〜8m2
gであり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、水銀圧入
法により圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率
が、27〜40容量%であり、かつ、平均細孔径が、
0.1〜0.5μmである塩化ビニル系樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂及び塩化ビニル系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂(以下、PVC樹脂と
もいう)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた材
料として、多くの分野に用いられている。しかしなが
ら、PVC樹脂は、耐衝撃性に劣るという欠点があるた
め、耐衝撃性を向上させるための種々の改良方法が提案
されており、例えば、ゴム的性質を有する共重合体の添
加や、無機材、金属粉等の高充填等が実施されている。
【0003】特公昭44−453号公報には、PVC樹
脂に対して分散質としてメタクリル酸メチル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体(MBS共重合体)をブレンドす
る方法が開示されている。また、特開平2−20545
号公報には、PVC樹脂に対して分散質として塩素化ポ
リエチレン(CPE樹脂)をブレンドする方法が開示さ
れている。
【0004】しかしながら、PVC樹脂に対して、MB
S共重合体又はCPE樹脂をブレンドすると、耐衝撃性
はある程度向上するものの、成形加工性が低下する問題
があった。また、このようなPVC樹脂に対してゴム的
性質を有する共重合体をブレンドする方法は、分散質に
のみ着目し、分散媒であるPVC樹脂自身に着目したも
のではないため、耐衝撃性向上の効果にも限界があっ
た。
【0005】また、PVC樹脂に対しては、機械的強度
や機能付与のために、充填剤、フィラー、強化材等を充
填配合することが多い。このため、異種材料の分散能力
に優れ高充填が可能であるゲル化性能に優れたPVC樹
脂が求められている。また、ゲル化性能に優れたPVC
樹脂は、高速成形性に優れているため、このような観点
からも、ゲル化性能に優れたPVC樹脂が求められてい
る。
【0006】これらゲル化性能、異種材料の高充填性、
分散性を向上させるためには、崩壊しやすく、高空隙
で、微細孔を樹脂粒子内部に有するPVC樹脂であるこ
とが必要である。
【0007】一方で、PVC樹脂は、耐熱性に劣るた
め、PVC樹脂を塩素化することにより耐熱性を向上さ
せた塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、CPVC樹脂とも
いう)が開発されている。
【0008】PVC樹脂は、熱変形温度が低く、使用可
能な上限温度が60〜70℃付近であるため、熱水に対
して使用できないのに対し、CPVC樹脂は熱変形温度
がPVC樹脂よりも20〜40℃も高いため、熱水に対
しても使用可能であり、例えば、耐熱パイプ、耐熱継
手、耐熱バルブ等に好適に使用されている。
【0009】しかしながら、CPVC樹脂は熱変形温度
が高いため、成形加工性時にゲル化させるには高温と強
い剪断力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しや
すいという傾向があった。従って、CPVC樹脂は成形
加工幅が狭く、不充分なゲル化状態で製品化されること
が多く、素材のもつ性能を充分発揮できているとはいえ
なかった。また、これらゲル化性能向上の要求に加え
て、より高い耐熱性も要求されるようになっている。
【0010】このような問題点を解決するため、例え
ば、特開昭49−6080号公報には、イオン性乳化
剤、水溶性金属塩及び水溶性高分子分散剤からなる懸濁
安定剤を使用し、約1μmの基本粒子からなる凝集体で
構成されたPVC樹脂を塩素化する方法が開示されてい
る(樹脂粒子の改良提案)。しかしながら、この方法で
は、成形加工時のゲル化性能は向上しているもののまだ
充分ではなく、また、重合の際に多量のスケールが発生
し、これが重合槽の壁面に付着して除熱効果を阻害する
ため、そのスケール除去作業を必要とするという問題点
があった。
【0011】特開平5−132602号公報には、CP
VC樹脂とPVC樹脂とを特定の粘度範囲内になるよう
にブレンドし、高耐熱性を得る方法が開示されている
(樹脂ブレンドによる改良提案)。しかしながら、この
方法では、ビカット値で3〜4℃程度の耐熱性の向上
と、溶融粘度の改善による若干のゲル化性能の向上が期
待できる程度で、我々が目指しているような高い耐熱性
とゲル化性能とを充分に達成するものではなかった。
【0012】特開平6−128320号公報には、PV
C樹脂の塩素化方法として、2段階の工程による塩素化
方法(2段階後塩素化法)が開示されている。この方法
は、塩素含有率を70〜75重量%と高くすることによ
り、高い耐熱性をもつCPVC系樹脂を得ようとするも
のである(高塩素化方法による改良提案)。しかしなが
ら、この方法では、塩素含有率に応じて高耐熱性を期待
することはできるものの、高塩素化により予測されるゲ
ル化性能の悪化を食い止めるための手段が示されていな
いため、高耐熱性とゲル化性能とを実用レベルで達成す
るものではなかった。
【0013】特表昭57−501285号公報には、紫
外線照射による塩素化反応方法において、塩素圧力を2
5〜100psi(1.75〜7kg/cm2 )の範囲
とし、樹脂粒子を、孔度0.1〜0.7cc/g、か
つ、表面積0.7〜2m2 /gのものに制限した高耐熱
性のCPVC樹脂の製造方法が開示されている。しかし
ながら、この塩素化反応において高耐熱性を達成するた
めの条件は、塩素化圧力だけであり、樹脂粒子の孔度や
表面積の範囲は広すぎて好ましい範囲を提示していない
ため、得られるCPVC樹脂の耐熱性は低かった。ま
た、この技術が提示する塩素化プロセスで有効な部分
は、紫外線照射による塩素化反応開始前の「ソーキン
グ」と呼ばれる予備浸透工程であるが、この工程条件で
は高い耐熱性を得ることはできなかった。
【0014】特開平1−217008号公報には、断続
照射による光塩素化反応方法において、PVC樹脂の平
均粒子径と空隙率の範囲限定を行っている。この提案
は、非照射工程における塩素の拡散促進により、樹脂粒
子内での塩素化反応の均一化を図ったものである。しか
しながら、樹脂粒子の表面性(スキン層)を考慮してい
ないため、得られるCPVC樹脂の耐熱性を向上する
が、易ゲル化性の向上は図れていなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、各種配合物を高充填、高分散することが可能な高空
隙率であって微細孔を粒子内部に有するPVC樹脂、及
び、ゲル化性能と耐熱性とに優れたCPVC樹脂を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、BET比表面
積値が、1.3〜8m2 /gであり、電子分光化学分析
による粒子表面分析において、炭素原子と塩素原子との
1S結合エネルギー値(eV)におけるピーク比〔(塩
素原子ピーク)×2/炭素原子ピーク〕が、0.6を超
えるものであり、水銀圧入法により圧力2000kg/
cm2 で測定した空隙率が、27〜40容量%であり、
かつ、平均細孔径が、0.1〜0.5μmである塩化ビ
ニル系樹脂である。以下に本発明を詳述する。
【0017】本発明のPVC樹脂は、塩化ビニル単量体
単独、又は、塩化ビニル単量体及び塩化ビニル単量体と
共重合可能な他の単量体の混合物を公知の方法で重合し
てなる樹脂である。上記塩化ビニル単量体と共重合可能
な他の単量体としては特に限定されず、例えば、酢酸ビ
ニル等のアルキルビニルエステル類;エチレン、プロピ
レン等のα−モノオレフィン類;塩化ビニリデン;スチ
レン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、
2種以上を併用してもよい。上記PVC樹脂の平均重合
度としては特に限定されず、通常一般に用いられる40
0〜3000のものを使用することができる。
【0018】本発明のPVC樹脂のBET比表面積値
は、1.3〜8m2 /gである。1.3m2 /g未満で
あると、PVC樹脂粒子内部に0.1μm以下の微細孔
が少なくなるため、塩素化する場合に塩素化が均一に行
われず、得られるCPVC樹脂の耐熱性が向上しなくな
り、8m2 /gを超えると、PVC樹脂粒子自体の耐熱
性が低下するので、上記範囲に限定される。好ましく
は、2〜6m2 /gである。
【0019】本発明のPVC樹脂は、電子分光化学分析
(ESCA分析)による粒子表面分析において、炭素原
子と塩素原子との1S結合エネルギー値(eV)におけ
るピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素原子ピー
ク〕が、0.6を超えるものである。0.6以下である
と、PVC樹脂粒子表面に分散剤等の添加剤が吸着して
いると考えられるため、PVC樹脂自体の易ゲル化性を
損ねたり、得られるCPVC樹脂の成形加工性に問題を
生じる。また、塩素化後期の塩素化速度が遅くなるの
で、上記範囲に限定される。好ましくは、0.7を超え
るものである。
【0020】上記ピーク比が0.6を超えるPVC樹脂
の中には、PVC樹脂粒子表面の表皮(以下、スキンと
いう)面積が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)
が露出している粒子(スキンレスPVC樹脂という)が
存在する。同じエネルギー比である場合は、スキンレス
PVC樹脂を用いることが好ましい。
【0021】本発明のPVC樹脂の化学的構造の原子存
在比は、塩素原子:炭素原子=1:2であり(末端構
造、分岐を考慮しない時)、上記1S結合エネルギー値
(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭素
元素ピーク)は0〜1の値となる。ピーク比が0の場合
は、塩化ビニル系樹粒子表面が塩化ビニル樹脂以外の物
質であって、かつ、塩素を含まない他の物質により覆わ
れていることを意味し、ピーク比が1の場合は、PVC
樹脂粒子表面が、完全に塩化ビニル成分のみで覆われて
いることを意味する。
【0022】本発明のPVC樹脂は、水銀圧入法により
圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率が、PVC
樹脂粒子体積に対して27〜40容量%のものである。
27容量%未満であると、塩素化反応の際に塩素が樹脂
空隙内に充分拡散せず塩素化分布が大きくなりすぎるた
め、成形加工性に劣る。更に、塩素化反応時間も長いと
いう欠点がある。また、40容量%を超えると、成形時
にスクリューへの食い込みが悪くなり、ゲル化性が劣る
ので、上記範囲に限定される。好ましくは、30〜37
容量%である。
【0023】本発明のPVC樹脂は、平均細孔径が0.
1〜0.5μmのものである。0.1μm未満である
と、間隙が狭すぎるため、無機材等の高充填性の向上は
望めず、また、塩素化反応に際しては、その間隙は塩素
化反応に有効に作用しないため塩素が充分拡散せず、樹
脂粒子内の塩素化分布が大きくなりすぎるので、得られ
るCPVC樹脂の耐熱性が悪くなり、更には、塩素化反
応時間も長くなる。また、0.5μmを超えると、無機
材等の分散性が向上せず、また、塩素化反応に際して
は、塩素がPVC樹脂粒子の細部に拡散することができ
ず、樹脂粒子内の塩素化分布が大きくなりすぎるので、
得られるCPVC樹脂の耐熱性が悪くなる。
【0024】上記平均細孔径は、PVC樹脂粒子内の空
隙をより定量的に限定するために測定される数値であ
り、水銀圧入法により圧力0〜2000kg/cm2
での範囲で測定できる。すなわち、樹脂粒子内の空隙細
孔径は、樹脂の空隙細孔部に圧入される水銀の圧力との
関数になっているため、圧入圧力と水銀重量を連続的に
測定すれば、空隙細孔径の容積分布が測定できることに
なる。このようにして測定された空隙細孔径の分布から
平均細孔径を計算することができる。
【0025】上記PVC樹脂については、水銀圧入法に
より圧力0〜2000kg/cm2で測定した細孔容積
分布において、全空隙容積に対する0.001〜0.1
μmの空隙容積率(A1)は特に限定されないが、2〜
10容積%のものであることが好ましい。
【0026】上記0.001〜0.1μmの範囲の空隙
容積率(A1)が全空隙容積中の2容積%未満である
と、樹脂粒子が持つ微細孔な空隙部分が減少し、塩素の
拡散がバランスよく行われなくなることがある。すなわ
ち、粒子内の空隙細孔径の小さな領域への塩素の拡散が
円滑に進行せず、樹脂粒子内の塩素化分布が大きくなり
すぎるおそれがある。また、10容積%を超えると、粒
子内の空隙細孔径の小さな領域への塩素の拡散が進みす
ぎて、塩素の供給自体が追いつかず、同様に樹脂粒子内
の塩素化分布が大きくなりすぎるおそれがある。より好
ましくは、3〜7容積%である。
【0027】本発明のPVC樹脂は、例えば、分散剤と
して高ケン化度(60〜90モル%)若しくは低ケン化
度(20〜60モル%)又はその両方の部分ケン化ポリ
酢酸ビニル、高級脂肪酸エステル類等を、乳化剤として
アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等を添加して水懸
濁重合することにより得ることができる。
【0028】上記PVC樹脂を重合する際に用いること
ができる重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及び構造
としては特に限定されず、従来よりPVC樹脂の重合に
使用されているもの等を用いることができる。また、攪
拌翼としては特に限定されず、例えば、ファウドラー
翼、パドル翼、タービン翼、ファンタービン翼、ブルマ
ージン翼等の汎用的に用いられているもの等が挙げられ
るが、特にファウドラー翼が好適に用いられ、邪魔板
(バッフル)との組み合わせも特に制限されない。本発
明のPVC樹脂は、塩素化することによって、ゲル化性
能と耐熱性とに優れたCPVC樹脂を得ることができ
る。
【0029】本発明2は、塩化ビニル系樹脂を塩素化し
てなる塩素化塩化ビニル系樹脂であって、上記塩化ビニ
ル系樹脂は、BET比表面積値が、1.3〜8m2 /g
であり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、水銀圧入
法により圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率
が、27〜40容量%であるものであり、上記塩素化塩
化ビニル系樹脂は、水銀圧入法により圧力0〜2000
kg/cm2 で測定した細孔容積分布において、全空隙
容積に対する0.001〜0.1μmの空隙容積率(A
2)が、5〜30容積%であるものである塩素化塩化ビ
ニル系樹脂である。
【0030】本発明2のCPVC樹脂の製造に用いるP
VC樹脂は、BET比表面積値が、1.3〜8m2 /g
であり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、水銀圧入
法により圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率
が、27〜40容量%であるものである。上記PVC樹
脂としては、本発明1のPVC樹脂を好適に使用するこ
とができる。
【0031】本発明2のCPVC樹脂は、上記PVC樹
脂を塩素化してなる。上記CPVC樹脂は、水銀圧入法
により圧力0〜2000kg/cm2 で測定した細孔容
積分布において、CPVC樹脂の全空隙容積に対する
0.001〜0.1μmの空隙容積率(A2)が、5〜
30容積%であるものである。5容積%未満であると、
せん断による粒子内部での摩擦熱が発生しにくく、成形
加工時のゲル化状態が不充分である。30容積%を超え
ると、ゲル化、溶融は速くなるが、局所的な発熱が急激
に起こりやすくなるため、成形加工上好ましくない。好
ましくは、10〜25容積%である。
【0032】上記CPVC樹脂の0.001〜0.1μ
mの空隙容積率(A2)は、PVC樹脂の0.001〜
0.1μmの空隙容積率(A1)との関係が下記式
(1)を満たすものであることが好ましい。 (A1)×2≦(A2) (1)
【0033】上記CPVC樹脂の0.001〜0.1μ
mの空隙容積率(A2)が、上記式(1)を満たさない
と、CPVC樹脂の成形性が求められる水準に達しない
場合がある。
【0034】上記本発明1のPVC樹脂、及び、本発明
2で使用するPVC樹脂を塩素化する方法としては特に
限定されず、PVC樹脂の多孔性、高空隙を維持する必
要があるため、上記PVC樹脂を懸濁した状態で、塩素
と接触させることにより行うことが好ましい。懸濁した
状態で塩素化する際、懸濁重合により得られるPVC樹
脂を水性媒体から分離せずに、懸濁物そのものの中へ直
接塩素を吹き込むことにより、塩素化することもでき
る。
【0035】上記懸濁した状態で塩素化する際、例え
ば、反応生成物に光を照射して光反応的に塩素化を促進
させる方法、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩
素化を促進する方法等により行うことができる。光エネ
ルギーにより塩素化する場合に用いられる光源としては
特に限定されず、例えば、紫外光線;水銀灯、アーク
灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク等の可視光線等
が挙げられ、特に、紫外光線が効果的である。熱エネル
ギーにより塩素化する場合の加熱方法としては特に限定
されず、例えば、反応器壁からの外部ジャケット方式、
内部ジャケット方式、スチーム吹き込み方式等が挙げら
れ、通常は、外部ジャケット方式又は内部ジャケット方
式が効果的である。
【0036】上記塩素化の方法としては、熱エネルギー
により樹脂の結合や塩素を励起させて塩素化を促進する
方法が好ましい。その理由は、本発明の着眼点は、樹脂
粒子の空隙率や細孔分布であり、特に粒子内部に3次元
階層的に存在するところの空隙分布である。均一塩素化
を図るためには、塩素拡散の均一化と同時に塩素化反応
の均一化を図る必要がある。熱エネルギーは粒子内部ま
で均一に作用するが、光照射エネルギー作用は樹脂粒子
表面に限られるため、塩素化反応は樹脂粒子表面の方が
必然的に多くなる。従って、均一塩素化を拡散と反応と
において具現するには、熱エネルギーによる塩素化方法
が好ましいのである。
【0037】上記塩素化の方法として熱により反応を行
う場合、20〜100℃で行うことが好ましい。100
℃を超えて反応を行うと、反応初期段階において、粒子
内部の階層構造が膨潤・軟化して細孔を埋めつくしてし
まうために、塩素化後の樹脂の成形加工性が劣ってしま
う。20℃よりも低い場合、反応速度が遅くなる。反応
速度をかせぐためには、有機系触媒を多量に添加する必
要があるが、得られるCPVC樹脂の熱安定性が悪くな
り、成形加工上好ましくない。より好ましくは、40〜
95℃である。
【0038】上記懸濁した状態で塩素化する際に用いら
れる水性媒体中には、アセトン、メチルエチルケトン等
の少量のケトン類を加えてもよく、更に必要に応じて、
塩酸、トリクロロエチレン、四塩化炭素等の少量の塩素
系溶剤を添加してもよい。
【0039】上記塩素化の工程においては、得られるC
PVC樹脂の塩素含有率が、60〜72重量%となるよ
うに調整することが好ましい。より好ましくは、63〜
70重量%である。
【0040】本発明1のPVC樹脂及び本発明2のCP
VC樹脂は、耐衝撃性改良剤、熱安定剤、安定化助剤、
滑剤、加工助剤、充填剤、顔料、可塑剤等の配合剤を適
宜配合し、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、バン
バリーミキサー等を使用して、ホットブレンド又はコー
ルドブレンドすることができる。
【0041】上記耐衝撃性改良剤としては特に限定され
ず、公知のもの等を使用することができ、例えば、ゴム
的性質を有する共重合体が好適に使用することができ
る。上記ゴム的性質を有する共重合体としては特に限定
されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタク
リル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MB
S)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチ
レン−プロピレン−ジエンモノマー共重合体(EPD
M)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NB
R)等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)又は塩素
化ポリエチレン(CPE)がより好適に用いられる。
【0042】上記メタクリル酸メチル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(MBS)は、市販品を使用することが
できるが、耐衝撃性向上の点からは、ブタジエン含有量
30〜60重量%のものが好ましい。また、上記塩素化
ポリエチレン(CPE)としては、市販品を使用するこ
とができるが、耐衝撃性向上の点からは、塩素含有量3
0〜50重量%のものが好ましい。
【0043】上記耐衝撃性改良剤の添加量は、要求され
る耐衝撃性に応じて適宜決定されるが、本発明1のPV
C樹脂又は本発明2のCPVC樹脂100重量部に対し
て、1〜70重量部が好ましい。より好ましくは、2〜
35重量部である。
【0044】上記熱安定剤としては特に限定されず、例
えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、
ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジ
オクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、
ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー
等の有機錫化合物;ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸
鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系化合物;カルシウム−亜鉛
系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミ
ウム系安定剤等が挙げられる。
【0045】上記安定化助剤としては特に限定されず、
例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポ
キシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジ
エン、リン酸エステル等が挙げられる。
【0046】上記滑剤としては特に限定されず、例え
ば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエ
チレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコー
ル、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0047】上記加工助剤としては特に限定されず、例
えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアク
リレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアク
リル系加工助剤等を用いることができ、例えば、n−ブ
チルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2
−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート
/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0048】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。上記顔料
としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシア
ニン系、スレン系、染料レーキ等の有機顔料;酸化物
系、クロム酸モリブデン系、硫化物−セレン化物系、フ
ェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
【0049】上記可塑剤は、成形加工性を向上させるた
めに添加されるものである。上記可塑剤としては特に限
定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチ
ルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペ
ート等が挙げられる。
【0050】本発明1のPVC樹脂及び本発明2のCP
VC樹脂を各種物質と配合してなる樹脂組成物は、従来
公知の成形方法等により形成加工することが可能であ
り、例えば、押出成形、カレンダー成形、異形成形、プ
レス成形等により成形体を得ることができる。
【0051】本発明の技術的核心部分は、以下の発見に
基づいている。すなわち、PVC樹脂粒子はその粒子構
造において相似的な階層的構造を持っていることは従来
より知られている(「ポリ塩化ビニル樹脂−その基礎と
応用」p214〜218(社団法人 近畿化学協会ビニ
ル部会編、日刊工業新聞社、1988年発行))。しか
し、これまでその空隙の階層的構造については知られて
いなかった。
【0052】我々は鋭意検討の末、空隙も階層的構造を
持ち得ることを発見するに至った。特に空隙が階層的構
造を持つことは、BET比表面積値が1.3〜8m2
gの範囲であり、かつ、ESCA分析でのピーク比が
0.6を超えるものに顕著に見いだされた。この知見か
ら、特定の範囲の空隙率と特定の範囲の平均細孔径が最
適であることを見出した。塩素化反応が実際どのように
進行し、また、塩素化分布がどのようになっているかを
評価解析する適切な手段はないが、このようなPVC樹
脂を塩素化することにより得られるCPVC樹脂の耐熱
性(ビカット軟化温度)、加工性(ゲル化温度)及び熱
安定性評価は優れた特性を示しており、塩素化分布が好
ましい範囲内にあると考えられる。
【0053】換言すれば、本発明は、塩素化反応におい
て塩素が粒子の外縁部から中心部に拡散していく際に、
過不足なく塩素が拡散することができるPVC樹脂の構
造的因子を提示するものである。
【0054】本発明2は、PVC樹脂を塩素化すること
で耐熱性の向上を図るが、PVC樹脂と塩素化後に得ら
れるCPVC樹脂の両者において、その粒子内構造に特
徴を持たせることで、同時に、成形加工性の向上を図る
ものである。更に、そのPVC樹脂の細孔径0.001
〜0.1μmの範囲の空隙容積細孔分布が2〜10容積
%の範囲の空隙容積率(A1)をもつことにより、塩素
化過程において、細孔径0.001〜0.1μmの範囲
の細孔分布域の空隙容積がより拡大されることをも見出
し、この知見に基づいて本発明2を完成するに至ったの
である。この注目すべき現象は、PVC樹脂の比表面積
とESCA分析により限定される粒子構造に関係してい
ると推定される。
【0055】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0056】実施例1PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度72モル%及び
重合度700)450ppm、ソルビタンモノラウレー
ト1200ppm、ラウリン酸1200ppm、ポリア
クリルアミド(20℃、1atmで0.1重量%水溶液
のブルックフィールズ粘度が51cpsのもの)150
ppm、並びに、t−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト550ppmを投入した。次いで、重合器内を45m
mHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕
込み攪拌を開始した。
【0057】重合器を57℃に昇温して重合を開始し、
重合反応終了までこの温度を保った。重合転化率が90
%になった時点で反応を終了し、重合器内の未反応単量
体を回収した後、重合体をスラリー状で系外へ取り出
し、脱水乾燥してPVC樹脂を得た。得られたPVC樹
脂のBET比表面積値は、3.7m2 /gであった。ま
た、スキン層の存在程度を示すESCA分析値は、0.
80であった。また、空隙率は35.1容量%であっ
た。
【0058】CPVC樹脂の調製 内容積300リットルのグラスライニング製反応槽に脱
イオン水150kgと上記で得たPVC樹脂45kgと
を入れ、攪拌してPVC樹脂を水中に分散させ、その後
反応槽を昇温して90℃に保った。次いで、反応槽内に
窒素ガスを吹き込み、槽内を窒素ガスで置換した後、反
応槽内に塩素ガスを吹き込みPVC樹脂の塩素化を行っ
た。反応の進行を制御するために、塩素含有率61.0
重量%の時点で、仕込み樹脂量に対して25ppm/H
rの割合になるように過酸化水素水を添加した。槽内の
塩酸濃度を測定しながら塩素化反応を続け、生成したC
PVC樹脂の塩素含有率が68.5重量%に達した時点
で塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。
【0059】更に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応
塩素を除去し、得られた樹脂を水酸化ナトリウム及び炭
酸水素ナトリウムで中和した後、水で洗浄し脱水、乾燥
して粉末状のCPVC樹脂を得た。得られたCPVC樹
脂の塩素含有率は、68.5重量%であった。また、細
孔径0.001〜0.1μmの範囲の空隙容積は全空隙
容積中の15容量%であった。
【0060】実施例2 PVC樹脂の調製は、実施例1と同様に行った。CPV
C樹脂の調製は、下記記載の通り実施した。CPVC樹脂の調製 内容積300リットルのグラスライニング製反応槽に脱
イオン水150kgと上記で得たPVC樹脂45kgと
を入れ、攪拌してPVC樹脂を水中に分散させ、その後
反応槽を加熱して槽内を70℃に保った。次いで、反応
槽内に窒素ガスを吹き込み、槽内を窒素ガスで置換し
た。次に、反応槽内に塩素ガスを吹き込み、水銀ランプ
により槽内を紫外線で照射しながらPVC樹脂の塩素化
を行った。槽内の塩酸濃度を測定して塩素化反応の進行
状況を確認しながら塩素化反応を続け、生成したCPV
C樹脂の塩素含有率が68.5重量%に達した時点で塩
素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。
【0061】更に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応
塩素を除去し、得られた樹脂を水酸化ナトリウム及び炭
酸水素ナトリウムで中和した後、水で洗浄し脱水、乾燥
して粉末状のCPVC樹脂を得た。得られたCPVC樹
脂の塩素含有率は、68.5重量%であった。また、細
孔径0.001〜0.1μmの範囲の空隙容積は全空隙
容積中の17.2容量%であった。
【0062】実施例3 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均
ケン化度72モル%及び重合度700)を400pp
m、ソルビタンモノラウレートを1500ppmとした
こと以外は実施例1と同様に行った。CPVC樹脂の調
製は、実施例1と同様に実施した。
【0063】実施例4 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均
ケン化度72モル%及び重合度700)を1000pp
m、ソルビタンモノラウレートを900ppmとしたこ
と以外は実施例1と同様に行った。CPVC樹脂の調製
は、実施例2と同様に行った。
【0064】実施例5 PVC樹脂の調製については、部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ルの種類を平均ケン化度76モル%及び重合度1000
のものに変更して700ppm使用し、ソルビタンモノ
ラウレートをポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩に変更し140ppmとしたこと以外は実施
例1と同様に行った。CPVC樹脂の調製は、実施例1
と同様に実施した。
【0065】実施例6 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均
ケン化度72モル%及び重合度700)を450pp
m、ソルビタンモノラウレートを1200ppmとした
こと以外は実施例1と同様に行った。CPVC樹脂の調
製は、実施例2と同様に行った。
【0066】比較例1 PVC樹脂の調製は、下記記載の通り行った。CPVC
樹脂の調製は、実施例2と同様に実施した。PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度72モル%及び
重合度750)1200ppmを懸濁分散剤として添加
後、t−ブチルパーオキシネオデカノエート550pp
mを投入した。次いで、重合器内を45mmHgまで脱
気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を開
始した。
【0067】重合器を57℃に昇温して重合を開始し、
重合反応終了までこの温度を保った。重合転化率が90
%になった時点で反応を終了し、重合器内の未反応単量
体を回収した後、重合体をスラリー状で系外へ取り出
し、脱水乾燥してPVC樹脂を得た。得られたPVC樹
脂のBET比表面積値は、0.7m2 /gであった。ま
た、スキン層の存在程度を示すESCA分析値は、0.
2であった。また、空隙率25.2容量%であった。
【0068】比較例2 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの種類
を平均ケン化度76モル%及び重合度1000のものに
変更し800ppmとし、ソルビタンモノラウレートを
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩に
変更し80ppmとしたこと以外は実施例1と同様に行
った。CPVC樹脂の調製は、実施例1と同様に行っ
た。
【0069】比較例3 PVC樹脂の調製は、下記記載の通り行った。CPVC
樹脂の調製は、実施例2と同様に行った。PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度88モル%及び
重合度1000)1000ppmを懸濁分散剤として添
加後、t−ブチルパーオキシネオデカノエート550p
pmを投入した。次いで、重合器内を45mmHgまで
脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を
開始した。
【0070】重合器を57℃に昇温して重合を開始し、
重合反応終了までこの温度を保った。重合転化率が45
%になった時点で反応を終了し、重合器内の未反応単量
体を回収した後、重合体をスラリー状で系外へ取り出
し、脱水乾燥してPVC樹脂を得た。得られたPVC樹
脂のBET比表面積値は、0.45m2 /gであった。
また、スキン層の存在程度を示すESCA分析値は、
0.16であった。また、空隙率、平均細孔径、及び、
細孔分布のうち0.001〜0.1μmの容積%は、表
1に示した通りであった。
【0071】上記実施例及び比較例で得られたPVC樹
脂及びCPVC樹脂は、下記の測定方法に従って、BE
T比表面積値、ESCA分析におけるピーク比、並び
に、空隙率、細孔分布及び平均細孔径を求めた。結果を
表1に示した。
【0072】(1)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面測定装置「BELSORP 28SA」(日本ベル
社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用した。
【0073】(2)ESCA分析 PVC樹脂粒子の表面をESCA(Electron
Spectroscopy for Chemical
Analysis:電子分光化学分析)でスキャン
し、C1S(炭素)、Cl1s(塩素)、O1s(酸素)の各
ピーク面積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニル樹
脂成分を定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(Mg Kα線)、12kV−15
mA ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0074】(3)空隙率、細孔分布、及び、平均細孔
径 水銀圧入ポロシメーターを用いて、2000kg/cm
2 でPVC樹脂100gに圧入される水銀の容量を測定
して空隙率を求めた。空隙率とは、樹脂粒子体積に占め
る空隙の容積である。平均細孔径と細孔分布とは、空隙
率を測定するために0〜2000kg/cm 2 まで圧力
を上げるが、その際に水銀圧入量を連続的に測定し、細
孔径の分布を測定し、また、平均した数値として求め
た。
【0075】上記実施例及び比較例で得られたCPVC
樹脂について、下記の性能評価を行い、その結果を表1
に示した。
【0076】(1)加工性(ゲル化温度の測定) Haake社製「レオコード90」を使用して、下記樹
脂組成物55gを、回転数40rpmで、温度を150
℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させながら混練し、混
練トルクが最大になる時の温度を測定した。なお、樹脂
組成物としては、CPVC樹脂100重量部に対して、
三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリン酸鉛1重
量部及びMBS樹脂10重量部からなるものを使用し
た。
【0077】(2)熱安定性試験 上記樹脂組成物を、8インチロール2本からなる混練機
に供給してロール表面温度205℃で混練し、混練物を
ロールに巻き付けてから30秒毎に巻き付いたCPVC
樹脂シートを切り返しながら、3分毎に少量のシートを
切り出して、シートの着色度を比較し、黒褐色に変わる
時間で熱安定性を判定した。
【0078】(3)ビカット軟化温度 上記熱安定性試験で作製した5mm厚のCPVC樹脂シ
ートを、15mm角に切り出して測定用サンプルとし、
J1S K 7206(重り1.0kgf)に準拠して
測定した。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明のPVC樹脂は、上述の構成から
なるものであるので、各種配合物を高充填、高分散する
ことが可能なものであり、耐衝撃性に優れたものとする
ことができ、これから得られるCPVC樹脂は、ゲル化
性能と耐熱性とに優れたものである。また、本発明2の
CPVC樹脂は、ゲル化性能と耐熱性とに優れたものと
することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BET比表面積値が、1.3〜8m2
    gであり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
    て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
    V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
    原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、水銀圧入
    法により圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率
    が、27〜40容量%であり、かつ、平均細孔径が、
    0.1〜0.5μmであることを特徴とする塩化ビニル
    系樹脂。
  2. 【請求項2】 水銀圧入法により圧力0〜2000kg
    /cm2 で測定した細孔容積分布において、全空隙容積
    に対する0.001〜0.1μmの空隙容積率(A1)
    が、2〜10容積%である請求項1記載の塩化ビニル系
    樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の塩化ビニル系樹脂
    を塩素化してなることを特徴とする塩素化塩化ビニル系
    樹脂。
  4. 【請求項4】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂であって、前記塩化ビニル系樹脂
    は、BET比表面積値が、1.3〜8m2 /gであり、
    電子分光化学分析による粒子表面分析において、炭素原
    子と塩素原子との1S結合エネルギー値(eV)におけ
    るピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素原子ピー
    ク〕が、0.6を超えるものであり、水銀圧入法により
    圧力2000kg/cm2 で測定した空隙率が、27〜
    40容量%であるものであり、前記塩素化塩化ビニル系
    樹脂は、水銀圧入法により圧力0〜2000kg/cm
    2 で測定した細孔容積分布において、全空隙容積に対す
    る0.001〜0.1μmの空隙容積率(A2)が、5
    〜30容積%であるものであることを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂は、水銀圧入法により
    圧力0〜2000kg/cm2 で測定した細孔容積分布
    において、全空隙容積に対する0.001〜0.1μm
    の空隙容積率(A1)が、2〜10容積%であるもので
    あって、塩素化塩化ビニル系樹脂の0.001〜0.1
    μmの空隙容積率(A2)は、前記塩化ビニル系樹脂の
    0.001〜0.1μmの空隙容積率(A1)との関係
    が下記式(1)を満たすものである請求項4記載の塩素
    化塩化ビニル系樹脂。 (A1)×2≦(A2) (1)
  6. 【請求項6】 塩素化塩化ビニル系樹脂の全空隙容積に
    対する0.001〜0.1μmの空隙容積率(A2)
    は、10〜25容積%である請求項4又は5記載の塩素
    化塩化ビニル系樹脂。
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