JPH1192525A - 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

Info

Publication number
JPH1192525A
JPH1192525A JP26014397A JP26014397A JPH1192525A JP H1192525 A JPH1192525 A JP H1192525A JP 26014397 A JP26014397 A JP 26014397A JP 26014397 A JP26014397 A JP 26014397A JP H1192525 A JPH1192525 A JP H1192525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
resin
chloride resin
chlorine
chlorination
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26014397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Asahina
研一 朝比奈
Yoshihiko Eguchi
吉彦 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP26014397A priority Critical patent/JPH1192525A/ja
Publication of JPH1192525A publication Critical patent/JPH1192525A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル化性能と耐熱性とに優れた塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、上記塩化ビニ
ル系樹脂は、BET比表面積値が、1.3〜8m 2 /g
であり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、上記塩素
化は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部と水性媒体2
00〜500重量部とからなる塩化ビニル系樹脂懸濁液
に対して、液体塩素200〜500重量部を、上記液体
塩素の液相状態を維持するに必要な圧力下において添加
することにより行うものである塩素化塩化ビニル系樹脂
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂(以下、PVC樹脂と
もいう)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた材
料として、多くの分野に用いられている。しかしなが
ら、耐熱性に劣るため、PVC樹脂を塩素化することに
より耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(以
下、CPVC樹脂ともいう)が開発されている。
【0003】PVC樹脂は、熱変形温度が低く使用可能
な上限温度が60〜70℃付近であるため、熱水に対し
て使用できないのに対し、CPVC樹脂は熱変形温度が
PVC樹脂よりも20〜40℃も高いため、熱水に対し
ても使用可能であり、例えば、耐熱パイプ、耐熱継手、
耐熱バルブ等に好適に使用されている。
【0004】しかしながら、CPVC樹脂は熱変形温度
が高いため、成形加工性時にゲル化させるには高温と強
い剪断力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しや
すいという傾向があった。従って、CPVC樹脂は成形
加工幅が狭く、不充分なゲル化状態で製品化されること
が多く、素材のもつ性能を充分発揮できているとはいえ
なかった。また、これらゲル化性能向上の要求に加え
て、より高い耐熱性も要求されるようになっている。
【0005】このような問題点を解決するため、例え
ば、特開昭49−6080号公報には、イオン性乳化
剤、水溶性金属塩及び水溶性高分子分散剤からなる懸濁
安定剤を使用し、約1μmの基本粒子からなる凝集体で
構成されたPVC樹脂を塩素化する方法が開示されてい
る(樹脂粒子の改良提案)。しかしながら、この方法で
は、成形加工時のゲル化性能は向上しているもののまだ
充分ではなく、また、重合の際に多量のスケールが発生
し、これが重合槽の壁面に付着して除熱効果を阻害する
ため、そのスケール除去作業を必要とするという問題点
があった。
【0006】特開平5−132602号公報には、CP
VC樹脂とPVC樹脂とを特定の粘度範囲内になるよう
にブレンドし、高耐熱性を得る方法が開示されている
(樹脂ブレンドによる改良提案)。しかしながら、この
方法では、ビカット値で3〜4℃程度の耐熱性の向上
と、溶融粘度の改善による若干のゲル化性能の向上が期
待できる程度で、我々が目指しているような高い耐熱性
とゲル化性能とを充分に達成するものではなかった。
【0007】耐熱性に優れたCPVC樹脂の製造方法と
して、塩素をPVC樹脂粒子内部に均一に拡散させた後
に塩素化反応を行う方法が古くから知られている。例え
ば、特公昭45−6032号公報には、塩素をPVC樹
脂粒子内部に均一に拡散するために、クロロホルム、四
塩化炭素等の塩素含有溶媒で樹脂を膨潤処理する技術が
開示されている。しかしながら、反応系での塩素含有溶
媒の使用は、一定の効果はみられるものの、これら塩素
含有溶媒を反応後に除去する工程が煩雑であり、また、
大幅な耐熱性向上を達成するものではなかった。
【0008】特表昭57−501184号公報には、液
体塩素をPVC樹脂の膨潤剤として使用する技術とし
て、予め少量の液体塩素でPVC樹脂を膨潤させた後、
固体離散の粉体状態で反応を進める方法が開示されてい
る。このような技術は、膨潤剤自身が同時に塩素化のた
めの塩素源でもあるため、塩素化反応プロセス上、優れ
た方法ではあるが、塩素化反応においてのPVC樹脂粒
子位置によるバラツキが大きすぎるため、充分な耐熱性
を有するCPVC樹脂を得ることができない問題があっ
た。また、同様に液体塩素をPVC樹脂の膨潤剤として
使用する技術として、特表昭57−502218号公報
には、PVC樹脂の5〜30倍という大量の液体塩素を
媒体として用い、また、膨潤時の温度を−50〜50℃
とし、塩素化反応を−30〜25℃において実施する方
法が開示されている。しかしながら、液体塩素をPVC
樹脂の懸濁媒体として使用しているため、液化状態を保
つためには、低温下で膨潤と反応とを継続する必要があ
り、光照射による反応開始後のラジカル転移反応遅く、
また、バラツキが大きい。従って、高い耐熱性を有する
CPVC樹脂を得ることができず、また、大過剰の液体
塩素を回収再生するプロセスも煩雑であり、工程コスト
がかさむという問題があった。
【0009】更に、特開平6−128320号公報で
は、PVC樹脂の塩素化方法として、2段階の工程によ
る塩素化方法(2段階後塩素化法)が開示されている。
この方法は、塩素含有率を70〜75重量%と高くする
ことにより、高い耐熱性をもつCPVC系樹脂を得よう
とするものである(高塩素化方法による改良提案)。し
かしながら、この方法では、塩素含有率に応じて高耐熱
性を期待することはできるものの、高塩素化により予測
されるゲル化性能の悪化を食い止めるための手段が示さ
れていないため、高耐熱性とゲル化性能とを実用レベル
で達成するものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、ゲル化性能と耐熱性とに優れた塩素化塩化ビニル系
樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル系
樹脂を塩素化してなる塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方
法であって、上記塩化ビニル系樹脂は、BET比表面積
値が、1.3〜8m2/gであり、電子分光化学分析に
よる粒子表面分析において、炭素原子と塩素原子との1
S結合エネルギー値(eV)におけるピーク比〔(塩素
原子ピーク)×2/炭素原子ピーク〕が、0.6を超え
るものであり、上記塩素化は、上記塩化ビニル系樹脂1
00重量部と水性媒体200〜500重量部とからなる
塩化ビニル系樹脂懸濁液に対して、液体塩素200〜5
00重量部を、上記液体塩素の液相状態を維持するに必
要な圧力下において添加することにより行うものである
塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法である。以下に本発
明を詳述する。
【0012】従来の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
においては、塩素の均一拡散を念頭に置いた塩素化プロ
セスと、塩化ビニル系樹脂の粒子構造との両方に着目し
たものはなかった。本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の
製造方法は、この両方に着目して、最適な塩素化分布状
態を達成することにより、ゲル化性能と耐熱性とが共に
優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得るものである。
【0013】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方
法は、塩化ビニル系樹脂を塩素化してなるものである。
上記塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単量体単独、又
は、塩化ビニル単量体及び塩化ビニル単量体と共重合可
能な他の単量体の混合物を公知の方法で重合してなる樹
脂である。上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単
量体としては特に限定されず、例えば、酢酸ビニル等の
アルキルビニルエステル類;エチレン、プロピレン等の
α−モノオレフィン類;塩化ビニリデン;スチレン等が
挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上
を併用してもよい。上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度
としては特に限定されず、通常一般に用いられる400
〜3000のものを使用することができる。
【0014】上記塩化ビニル系樹脂のBET比表面積値
は、1.3〜8m2 /gである。1.3m2 /g未満で
あると、塩化ビニル系樹脂粒子内部に0.1μm以下の
微細孔が少なくなるため、塩素化が均一に行われず、そ
の結果、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の耐熱性が向
上しなくなり、8m2 /gを超えると、塩素化前の塩化
ビニル系樹脂粒子自体の耐熱性性が低下するため、得ら
れる塩素化塩化ビニル系樹脂の加工性が悪くなるので、
上記範囲に限定される。好ましくは、1.5〜5m2
gである。
【0015】上記塩化ビニル系樹脂は、電子分光化学分
析(ESCA分析)による粒子表面分析において、炭素
原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(eV)にお
けるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素原子ピー
ク〕が、0.6を超えるものである。0.6以下である
と、塩化ビニル系樹脂粒子表面に分散剤等の添加剤が吸
着していると考えられるため、後工程での塩素化速度が
遅くなるだけでなく、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂
の成形加工性に問題を生じる。好ましくは、0.7を超
えるものである。
【0016】上記ピーク比が0.6を超える塩化ビニル
系樹脂の中には、塩化ビニル系樹脂粒子表面の表皮(以
下、スキンという)面積が少なく、粒子内部の微細構造
(1次粒子)が露出している粒子(スキンレス塩化ビニ
ル系樹脂という)が存在する。同じエネルギー比である
場合は、スキンレス塩化ビニル系樹脂を用いることが好
ましい。
【0017】上記塩化ビニル系樹脂の化学的構造の原子
存在比は、塩素原子:炭素原子=1:2であり(末端構
造、分岐を考慮しない時)、上記1S結合エネルギー値
(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭素
元素ピーク)は0〜1の値となる。ピーク比が0の場合
は、塩化ビニル系樹粒子表面が塩化ビニル樹脂以外で、
かつ、塩素を含まない他の物質により覆われていること
を意味し、ピーク比が1の場合は、塩化ビニル系樹粒子
表面が、完全に塩化ビニル成分のみで覆われていること
を意味する。
【0018】上記に示したBET比表面積値及び1S結
合エネルギー値(eV)におけるピーク比を有する塩化
ビニル系樹脂は、例えば、分散剤として高ケン化度(6
0〜90モル%)若しくは低ケン化度(20〜60モル
%)又はその両方のポリ酢酸ビニル、高級脂肪酸エステ
ル類等を、乳化剤としてアニオン系乳化剤、ノニオン系
乳化剤等を添加して水懸濁重合することにより得ること
ができる。
【0019】上記塩化ビニル系樹脂を重合する際に用い
ることができる重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及
び構造としては特に限定されず、従来より塩化ビニル系
樹脂の重合に使用されているもの等を用いることができ
る。また、攪拌翼としては特に限定されず、例えば、フ
ァウドラー翼、パドル翼、タービン翼、ファンタービン
翼、ブルマージン翼等の汎用的に用いられているもの等
が挙げられるが、特にファウドラー翼が好適に用いら
れ、邪魔板(バッフル)との組み合わせも特に制限され
ない。
【0020】本発明においては、上記塩化ビニル系樹脂
の塩素化を、上記塩化ビニル系樹脂と水性媒体とからな
る塩化ビニル系樹脂懸濁液に対して、液体塩素を添加す
ることにより行う。
【0021】上記塩化ビニル系樹脂懸濁液は、例えば、
重合された上記塩化ビニル系樹脂を乾燥させた後、再
度、水性媒体で懸濁させたものであってもよく、上記塩
化ビニル系樹脂を重合した後の重合系中から塩酸等の塩
素化反応に好ましくない物質を除去したものであっても
よい。
【0022】上記塩化ビニル系樹脂懸濁液における水性
媒体の割合は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対
して、200〜500重量部である。すなわち、上記塩
化ビニル系樹脂懸濁液を、重合された上記塩化ビニル系
樹脂を乾燥させた後、再度、水性媒体で懸濁させること
により調製する場合は、200〜500重量部の水性媒
体中に100重量部の上記塩化ビニル系樹脂を投入す
る。水性媒体の割合が200重量部未満であると、上記
塩化ビニル系樹脂を充分に懸濁することができないた
め、後工程で投入される液体塩素が樹脂粒子中に充分に
浸透し塩素として充分に拡散することができなくなり、
塩素化が均一に進行しないため、得られる塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の耐熱性が向上しない。また、水性媒体の割
合が500重量部を超えると、充分な懸濁状態は得られ
るが、水性媒体が相対的に樹脂に対して多すぎるため、
後工程で投入される液体塩素が充分に樹脂を膨潤するこ
とができず、塩素化が均一に進行しないため、得られる
塩素化塩化ビニル系樹脂の耐熱性が劣るので、上記範囲
に限定される。好ましくは、250〜400重量部であ
る。
【0023】上記塩化ビニル系樹脂懸濁液の温度につい
ては特に限定されないが、後工程で投入される液体塩素
が充分に拡散し、上記塩化ビニル系樹脂が充分に膨潤す
るためには、−10〜40℃が好ましい。また、後工程
で投入される液体塩素の温度に対して、±10℃以内が
好ましい。
【0024】上記塩素化において、液体塩素の添加量
は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、20
0〜500重量部である。200重量部未満であると、
液体塩素による塩化ビニル系樹脂の膨潤が充分になされ
ないため塩素化が充分に行われず、塩素化の均一性に劣
り、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の耐熱性が悪くな
り、500重量部を超えると、塩素化の際の発生塩酸と
の物質移動が効率的に進められないおそれがあるため、
塩素化の均一性が劣り、得られる塩素化塩化ビニル系樹
脂の耐熱性を悪化させるため、上記範囲に限定される。
好ましくは、250〜400重量部である。
【0025】上記塩素化において、上記液体塩素は、該
液体塩素の液相状態を維持するに必要な圧力下において
添加される。上記液体塩素が気相状態になると、上記塩
化ビニル系樹脂を膨潤する能力が著しく低下する。
【0026】上記液体塩素は、0〜40℃であることが
好ましい。0℃未満であると、液体塩素の膨潤能力が低
下し、拡散速度も低下するおそれがあるため、上記塩化
ビニル系樹脂粒子内への塩素の拡散が充分にできず、塩
素化の均一性がやや低下し、得られる塩素化塩化ビニル
系樹脂の耐熱性が低くなる場合がある。また、40℃を
超えると、上記水性媒体中に溶解し得る塩素量が限られ
るため、液体塩素による膨潤が不充分になるおそれがあ
り、塩素化の均一性がやや劣り、得られる塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の耐熱性が低くなる場合がある。より好まし
くは、5〜30℃である。
【0027】上記塩素化における塩素化反応は、上記塩
化ビニル系樹脂懸濁液に対して上記液体塩素を添加した
後、例えば、光を照射して光反応的に塩素化を促進させ
る方法、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩素化
を促進する方法等により行われる。光エネルギーにより
塩素化する場合の光源としては、例えば、紫外光線;水
銀灯、アーク灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク等
の可視光線等が挙げられる。これらのうち、紫外光線が
効果的である。熱エネルギーにより塩素化する場合は、
加熱方法として、例えば、反応器壁からの外部ジャケッ
ト方式、内部ジャケット方式、スチーム吹き込み方式等
が挙げられる。これらのうち、外部ジャケット方式、内
部ジャケット方式が効果的である。
【0028】上記塩素化反応は、50〜100℃で行わ
れることが好ましい。50℃未満であると、塩素化反応
が長時間を要するおそれがあるために、上記塩化ビニル
系樹脂粒子外部の塩素化が更に進行してしまい、塩素化
の均一性がやや損なわれるため、得られる塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の耐熱性を向上させるのに不利となり、10
0℃を超えると、上記液体塩素により上記塩化ビニル系
樹脂中に膨潤し拡散した塩素が気相に移動するため、塩
素化が均一に進行しない場合があるため、得られる塩素
化塩化ビニル系樹脂の耐熱性を向上させるのに不利とな
る。より好ましくは、60〜90℃である。
【0029】上記塩素化反応は、得られる塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の塩素含有率が、60〜72重量%となるよ
うに調整して実施することが好ましい。より好ましく
は、63〜70重量%である。
【0030】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方
法は、塩化ビニル系樹脂の表面状態及び粒子表面積、更
には、塩素化反応条件を限定したものである。このた
め、塩素化を均一に進行させることが可能となり、ゲル
化性能と耐熱性とに優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得
ることができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0032】実施例1PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度72モル%及び
重合度700)450ppm、ソルビタンモノラウレー
ト1200ppm、ラウリン酸1200ppm、ポリア
クリルアミド(20℃、1atmで0.1重量%水溶液
のブルックフィールズ粘度が51cpsのもの)150
ppm、並びに、t−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト550ppmを投入した。次いで、重合器内を45m
mHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕
込み攪拌を開始した。重合器を57℃に昇温して重合を
開始し、重合反応終了までこの温度を保った。
【0033】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVC樹
脂を得た。得られたPVC樹脂のBET比表面積値は、
3.7m2 /gであった。また、スキン層の存在程度を
示すESCA分析値は、0.80であった。なお、BE
T比表面積の測定、及び、ESCA分析は、下記方法に
より実施した。
【0034】CPVC樹脂の調製 内容積250リットルのチタン製耐圧反応槽に脱イオン
水60kg(対樹脂量比=3)と上記で得たPVC樹脂
20kg(これを1とする)とを入れ、攪拌してPVC
樹脂を水中に分散させ、反応槽を20℃に保持した。そ
の後反応槽内に窒素ガスを吹き込み、槽内を窒素ガス置
換した。次に、反応槽内に予め20℃に保温した液体塩
素70kg(対樹脂量比=3.5)を導入した。液体塩
素を導入後、塩素をPVC樹脂粒子内部に浸透、拡散さ
せるべく約1時間、20℃に保温したまま攪拌した。そ
の後、徐々に反応槽内を70℃まで昇温し、水銀ランプ
により槽内を紫外線で照射して、塩素化反応を実質的に
開始させた。槽内の塩酸濃度を測定して塩素化反応の進
行状況を確認しながら塩素化反応を続け、生成したCP
VC樹脂の塩素含有率が69.0重量%に達した時点
で、水銀ランプによる照射を停止し、塩素化反応を終了
した。更に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を
除去し、得られた樹脂を水酸化ナトリウムで中和した
後、水で洗浄し脱水、乾燥して粉末状のCPVC樹脂を
得た。得られたCPVC樹脂の塩素含有率は、69.0
重量%であった。
【0035】実施例2PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度76モル%及び
重合度700)700ppm、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸エステル塩150ppm、並びに、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート550ppmを投
入した。次いで、重合器内を45mmHgまで脱気した
後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を開始し
た。重合器を57℃に昇温して重合を開始し、重合反応
終了までこの温度を保った。
【0036】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVC樹
脂を得た。得られたPVC樹脂のBET比表面積値は、
1.4m2 /gであった。また、スキン層の存在程度を
示すESCA分析値は、0.65であった。なお、BE
T比表面積の測定、及び、ESCA分析は、下記方法に
より実施した。
【0037】CPVC樹脂の調製 塩素化反応条件については、表1に示した塩素化反応条
件としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0038】実施例3〜6 PVC樹脂の調製は、実施例1と同様に実施した。CP
VC樹脂の調製は、実施例3及び5については、表1に
示した塩素化反応条件としたこと以外は、実施例1と同
様に実施した。また、実施例4及び6については、水銀
ランプを使用せず、反応触媒として過酸化水素水を適宜
使用して反応を進め、表1に示した塩素化反応条件とし
たこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0039】比較例1PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度72モル%及び
重合度750)1200ppmを懸濁分散剤として添加
後、t−ブチルパーオキシネオデカノエート550pp
mを投入した。次いで、重合器内を45mmHgまで脱
気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を開
始した。重合器を57℃に昇温して重合を開始し、重合
反応終了までこの温度を保った。
【0040】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVC樹
脂を得た。得られたPVC樹脂のBET比表面積値は、
0.7m2 /gであった。また、スキン層の存在程度を
示すESCA分析値は、0.2であった。なお、BET
比表面積の測定、及び、ESCA分析は、下記方法によ
り実施した。
【0041】CPVC樹脂の調製 塩素化反応条件については、実施例1と同様に実施し
た。
【0042】比較例2〜3 PVC樹脂の調製は、実施例1と同様に実施した。CP
VC樹脂の調製は、表1に示した塩素化反応条件とした
こと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0043】比較例4〜5 PVC樹脂の調製は、比較例1と同様に実施した。CP
VC樹脂の調製は、表1に示した塩素化反応条件とした
こと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0044】比較例6〜7 比較例6のPVC樹脂の調製は、実施例1と同様に実施
した。比較例7のPVC樹脂の調製は、比較例1と同様
に実施した。
【0045】CPVC樹脂の調製 内容積300リットルのグラスライニング製反応槽に脱
イオン水150kgと上記で得たPVC樹脂45kgと
を入れ、攪拌してPVC樹脂を水中に分散させ、その後
反応槽を加熱して槽内を70℃に保った。次に、反応槽
内に窒素ガスを吹き込み、槽内を窒素ガス置換した。次
に、反応槽内に塩素ガスを吹き込み、水銀ランプにより
槽内を紫外線で照射しながらPVC樹脂の塩素化を行っ
た。槽内の塩酸濃度を測定して塩素化反応の進行状況を
確認しながら塩素化反応を続け、塩素化反応開始後1時
間後からラジカル生成開始剤として過酸化水素水を使用
し反応促進を行った。生成したCPVC樹脂の塩素含有
率が69.0重量%に達した時点で、塩素化ガスの供給
を停止し、塩素化反応を終了した。更に、槽内に窒素ガ
スを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水
酸化ナトリウムで中和した後、水で洗浄し脱水、乾燥し
て粉末状のCPVC樹脂を得た。得られたCPVC樹脂
の塩素含有率は、69.0重量%であった。
【0046】上記実施例及び比較例で得られたPVC樹
脂及びCPVC樹脂について、下記の性能評価を行い、
その結果を表1に示した。
【0047】(1)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面測定装置「BELSORP 28SA」(日本ベル
社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用した。
【0048】(2)ESCA分析 PVC樹脂粒子の表面をESCA(Electron
Spectroscopy for Chemical
Analysis:電子分光化学分析)でスキャン
し、C1S(炭素)、Cl1s(塩素)、O1s(酸素)の各
ピーク面積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニル樹
脂成分を定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(Mg Kα線)、12kV−15
mA ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0049】(3)加工性(ゲル化温度の測定) Haake社製「レオコード90」を使用して、下記樹
脂組成物55gを、回転数40rpmで、温度を150
℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させながら混練し、混
練トルクが最大になる時の温度を測定した。なお、樹脂
組成物としては、CPVC樹脂100重量部に対して、
三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリン酸鉛1重
量部及びMBS樹脂10重量部からなるものを使用し
た。
【0050】(4)熱安定性試験 上記樹脂組成物を、8インチロール2本からなる混練機
に供給してロール表面温度205℃で混練し、混練物を
ロールに巻き付けてから30秒毎に巻き付いたCPVC
樹脂シートを切り返しながら、3分毎に少量のシートを
切り出して、シートの着色度を比較し、黒褐色に変わる
時間で熱安定性を判定した。
【0051】(5)ビカット軟化温度 上記熱安定性試験で作製した5mm厚のCPVC樹脂シ
ートを、15mm角に切り出して測定用サンプルとし、
J1S K 7206(重り1.0kgf)に準拠して
測定した。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
方法は、上述の構成からなるので、ゲル化性能及び耐熱
性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得ることができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニ
    ル系樹脂は、BET比表面積値が、1.3〜8m2 /g
    であり、電子分光化学分析による粒子表面分析におい
    て、炭素原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(e
    V)におけるピーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素
    原子ピーク〕が、0.6を超えるものであり、前記塩素
    化は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部と水性媒体2
    00〜500重量部とからなる塩化ビニル系樹脂懸濁液
    に対して、液体塩素200〜500重量部を、前記液体
    塩素の液相状態を維持するに必要な圧力下において添加
    することにより行うものであることを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 塩素化は、添加する液体塩素が、0〜4
    0℃であり、かつ、塩素化反応が50〜100℃で行わ
    れるものであることを特徴とする請求項1記載の塩素化
    塩化ビニル系樹脂の製造方法。
JP26014397A 1997-09-25 1997-09-25 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 Pending JPH1192525A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26014397A JPH1192525A (ja) 1997-09-25 1997-09-25 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26014397A JPH1192525A (ja) 1997-09-25 1997-09-25 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1192525A true JPH1192525A (ja) 1999-04-06

Family

ID=17343912

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26014397A Pending JPH1192525A (ja) 1997-09-25 1997-09-25 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1192525A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999067305A1 (fr) * 1998-06-25 1999-12-29 Sekisui Chemical Co., Ltd. Resine a base de chlorure de vinyle chlore et articles moules

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6590041B1 (en) 1998-01-14 2003-07-08 Sekisui Chemical Co., Ltd. Chlorinated vinyl chloride-based resin and molded articles
WO1999067305A1 (fr) * 1998-06-25 1999-12-29 Sekisui Chemical Co., Ltd. Resine a base de chlorure de vinyle chlore et articles moules

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2008062526A1 (fr) Résines de chlorure de vinyle chlorées et leur procédé de fabrication
JP7379575B2 (ja) ポリ塩化ビニルを塩素化するための方法
US6590041B1 (en) Chlorinated vinyl chloride-based resin and molded articles
JPH1192525A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP4331813B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の製造方法及びそれにより得られた樹脂粒子
JP3481099B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造方法
JP3487742B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11124407A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP3802668B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11158221A (ja) 塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂
JPH11140122A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2000273121A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法
JP2002060421A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH1149819A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂
JP2000136213A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法
JPH09278826A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11209425A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP3863279B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP4338703B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2000344830A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11158219A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法
JPH1135627A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11263808A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2006322013A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11166004A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂の製造方法