JP3481099B2 - 塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造方法 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造方法

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JP3481099B2 JP29100397A JP29100397A JP3481099B2 JP 3481099 B2 JP3481099 B2 JP 3481099B2 JP 29100397 A JP29100397 A JP 29100397A JP 29100397 A JP29100397 A JP 29100397A JP 3481099 B2 JP3481099 B2 JP 3481099B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/18Introducing halogen atoms or halogen-containing groups
    • C08F8/20Halogenation
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂(以下、PVC樹脂と
もいう)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた材
料として、多くの分野に用いられている。しかしなが
ら、耐熱性に劣るため、PVC樹脂を塩素化することに
より耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(以
下、CPVC樹脂ともいう)が開発されている。
【0003】PVC樹脂は、熱変形温度が低く使用可能
な上限温度が60〜70℃付近であるため、熱水に対し
て使用できないのに対し、CPVC樹脂は熱変形温度が
PVC樹脂よりも20〜40℃も高いため、熱水に対し
ても使用可能であり、例えば、耐熱パイプ、耐熱継手、
耐熱バルブ等に好適に使用されている。
【0004】しかしながら、CPVC樹脂は熱変形温度
が高いため、成形加工性時にゲル化させるには高温と強
い剪断力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しや
すいという傾向があった。従って、CPVC樹脂は成形
加工幅が狭く、不充分なゲル化状態で製品化されること
が多く、素材のもつ性能を充分発揮できているとはいえ
なかった。また、これらゲル化性能向上の要求に加え
て、より高い耐熱性も要求されるようになっている。
【0005】このような問題点を解決するため、例え
ば、特開昭49−6080号公報には、イオン性乳化
剤、水溶性金属塩及び水溶性高分子分散剤からなる懸濁
安定剤を使用し、約1μmの基本粒子からなる凝集体で
構成されたPVC樹脂を塩素化する方法が開示されてい
る(樹脂粒子の改良提案)。しかしながら、この方法で
は、成形加工時のゲル化性能は向上しているもののまだ
充分ではなく、また、重合の際に多量のスケールが発生
し、これが重合槽の壁面に付着して除熱効果を阻害する
ため、そのスケール除去作業を必要とするという問題点
があった。
【0006】特開平5−132602号公報には、CP
VC樹脂とPVC樹脂とを特定の粘度範囲内になるよう
にブレンドし、高耐熱性を得る方法が開示されている
(樹脂ブレンドによる改良提案)。しかしながら、この
方法では、ビカット値で3〜4℃程度の耐熱性の向上
と、溶融粘度の改善による若干のゲル化性能の向上が期
待できる程度で、我々が目指しているような高い耐熱性
とゲル化性能とを充分に達成するものではなかった。
【0007】更に、特開平6−128320号公報で
は、PVC樹脂の塩素化方法として、2段階の工程によ
る塩素化方法(2段階後塩素化法)が開示されている。
この方法は、塩素含有率を70〜75重量%と高くする
ことにより、高い耐熱性をもつCPVC系樹脂を得よう
とするものである(高塩素化方法による改良提案)。し
かしながら、この方法では、塩素含有率に応じて高耐熱
性を期待することはできるものの、高塩素化により予測
されるゲル化性能の悪化を食い止めるための手段が示さ
れていないため、高耐熱性とゲル化性能とを実用レベル
で達成するものではなかった。
【0008】従って、これら従来の技術では、塩素化に
際して、塩化ビニル系樹脂粒子の表面状態、内部状態に
同時に着目していないため、得られる塩素化塩化ビニル
系樹脂ではいずれも充分な性能を有しているといえるも
のではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、ゲル化性能と耐熱性とに優れた塩素化塩化ビニル系
樹脂及び製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル系
樹脂を塩素化してなる塩素化塩化ビニル系樹脂であっ
て、上記塩化ビニル系樹脂は、BET比表面積値が、
1.3〜8m2 /gであり、電子分光化学分析による粒
子表面分析において、炭素原子と塩素原子との1S結合
エネルギー値(eV)におけるピーク比〔(塩素原子ピ
ーク)×2/炭素原子ピーク〕が、0.6を超えるもの
であり、上記塩素化後の塩素化塩化ビニル系樹脂は、平
均塩素化度が、66〜72重量%であり、TOF−SI
MS分析における割断粒子内部の塩素濃度(Cin)と粒
子表面の塩素濃度(Csu)との比(Cin/Csu)が、
1.0<(Cin/Csu)≦1.3である粒子からなる
素化塩化ビニル系樹脂である。また、本発明の製造方法
は、塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素化塩化ビニ
ル系樹脂の製造方法であって、反応温度100〜140
℃、塩素分圧0.5〜3kg/cm2 において、平均塩
素化度が70〜75重量%となるまで塩素化する工程
(1)、及び、その後、金属類似水素化物の存在下に水
懸濁状態において、平均塩素化度が66〜72重量%と
なるように水素置換する工程(2)を含むものである。
以下に本発明を詳述する。
【0011】上記塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単
量体単独又は塩化ビニル単量体及び塩化ビニル単量体と
共重合可能な他の単量体の混合物とを公知の方法で重合
してなる樹脂である。上記塩化ビニル単量体と共重合可
能な他の単量体としては特に限定されず、例えば、酢酸
ビニル等のアルキルビニルエステル類;エチレン、プロ
ピレン等のα−モノオレフィン類;塩化ビニリデン;ス
チレン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用
して用いてもよい。
【0012】上記塩化ビニル系樹脂の製造法は特に限定
されず、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の通常知られ
ている方法によって製造されたものを用いることができ
る。
【0013】上記塩化ビニル系樹脂の重合に用いられる
重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及び構造としては
特に限定されず、従来より塩化ビニル系樹脂の重合に使
用されているものを用いることができる。攪拌翼として
は特に限定されず、例えば、ファウドラー翼、パドル
翼、タービン翼、ファンタービン翼、ブルマージン翼等
の汎用的に用いられているものが挙げられる。邪魔板
(バッフル)との組み合わせについても特に制限されな
い。
【0014】上記塩化ビニル系樹脂のBET比表面積値
は、1.3〜8m2 /gである。1.3m2 /g未満で
あると、塩化ビニル系樹脂粒子内部に0.1μm以下の
微細孔が少なくなるため、後工程での塩素化速度が遅く
なるだけでなく、塩素化前の塩化ビニル系樹脂粒子自体
の加工性が悪いため得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の
加工性も悪くなり、8m2 /gを超えると、塩素化前の
塩化ビニル系樹脂粒子自体の熱安定性が低下するため、
得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の加工性が悪くなるの
で、上記範囲に限定される。好ましくは、1.5〜5m
2 /gである。
【0015】上記塩化ビニル系樹脂は、電子分光化学分
析(ESCA分析)による粒子表面分析において、炭素
原子と塩素原子との1S結合エネルギー値(eV)にお
けるピーク比[(塩素原子ピーク)×2/炭素原子ピー
ク]が、0.6を超えるものである。0.6以下である
と、塩化ビニル系樹脂粒子表面に分散剤等の添加剤が吸
着していると考えられるため、後工程での塩素化速度が
遅くなるだけでなく、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂
の成形加工性に問題を生じるため、上記範囲に限定され
る。好ましくは、0.7を超えるものである。
【0016】上記ピーク比が0.6を超える塩化ビニル
系樹脂の中には、塩化ビニル系樹脂粒子表面の表皮(以
下、スキンという)の面積が少なく、粒子内部の微細構
造(1次粒子)が露出している粒子(以下、スキンレス
塩化ビニル系樹脂という)が存在する。同じエネルギー
比である場合は、スキンレス塩化ビニル系樹脂を用いる
ことが好ましい。
【0017】上記塩化ビニル系樹脂の化学構造における
原子の存在比は、塩素原子:炭素原子=1:2であり
(末端構造、分岐を考慮しないとき)、上記1S結合エ
ネルギー値(eV)におけるピーク比は0〜1の値とな
る。ピーク比が1である場合には、完全に塩化ビニル系
樹脂粒子表面が、完全に塩化ビニル成分のみで覆われて
いることを意味する。
【0018】上記に示したBET比表面積値及び1S結
合エネルギー値(eV)におけるピーク比を有する塩化
ビニル系樹脂は、例えば、分散剤として高ケン化度(6
0〜90モル%)若しくは低ケン化度(20〜60モル
%)又はその両方のポリ酢酸ビニル、高級脂肪酸エステ
ル類等を、乳化剤としてアニオン系乳化剤、ノニオン系
乳化剤等を添加して水懸濁重合することにより得ること
ができる。
【0019】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上述
の塩化ビニル系樹脂を塩素化してなるものである。上記
塩素化後の塩素化塩化ビニル系樹脂は、平均塩素化度
が、66〜72重量%である。66重量%未満である
と、充分な耐熱性の向上が期待できず、72重量%を超
えると、ゲル化性能の悪化を改善することが難しくなる
ため、上記範囲に限定される。好ましくは、67〜70
重量%である。
【0020】上記塩素化塩化ビニル系樹脂は、TOF−
SIMS分析における割断粒子内部の塩素濃度(Cin)
と粒子表面の塩素濃度(Csu)との比(Cin/Csu)
が、1.0<(Cin/Csu)≦1.3の関係を充たす
子からなるものである。1以下であると、粒子表面付近
の塩素濃度が相対的に大きくなるため、塩素化度の上昇
に伴うゲル化性能の悪化を改善することが困難となり、
1.3を超えると、粒子表面の塩素濃度は低いが、不均
一の度合いが大きすぎて熱安定性に劣るため、上記範囲
に限定される。
【0021】通常、水懸濁状態で塩素化を行うと、粒子
表面付近が粒子内部よりも塩素濃度が高くなり、割断粒
子内部の塩素濃度(Cin)と粒子表面の塩素濃度
(Csu)との比(Cin/Csu)は、1.0以上とはなら
ず、そのため、塩素化度が高くなると、粒子表面の高塩
素濃度部分により成形性の悪化を招く。上記式の関係を
充たす上記塩素化塩化ビニル系樹脂とは、粒子表面付近
の塩素濃度が粒子内部よりも相対的に低い濃度を有する
ことを意味しており、粒子内部の高塩素濃度部分は、耐
熱性の向上を発現させることができ、粒子表面付近の低
塩素濃度部分は、融着温度を低下させ、塩素化度上昇に
伴う成形性の悪化を防止することができる。
【0022】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方
法は、反応温度100〜140℃、塩素分圧0.5〜3
kg/cm2 において、平均塩素化度が70〜75重量
%となるまで塩素化する工程(1)、及び、その後、金
属類似水素化物の存在下に水懸濁状態において、平均塩
素化度が66〜72重量%となるように水素置換する工
程(2)を含むものである。
【0023】上記塩素化方法としては特に限定されず、
従来公知の方法を用いることができ、例えば、塩化ビニ
ル系樹脂を懸濁した状態で塩素と接触させる方法等が挙
げられる。塩化ビニル系樹脂を懸濁重合法により調製
し、塩化ビニル系樹脂を懸濁した状態で塩素化する場合
には、懸濁状態によって得られた塩化ビニル系樹脂を水
性媒体から分離せずに、懸濁重合によって得られた懸濁
物そのものの中へ直接塩素を吹き込むことにより塩素化
することができる。
【0024】上記水性媒体中には、効率よく塩素化を行
う目的で、アセトン、メチルエチルケトン等の少量のケ
トン類を加えてもよく、更に、必要に応じて、塩酸、ト
リクロロエチレン、四塩化炭素等の少量の塩素系溶剤を
添加してもよい。
【0025】上記懸濁した状態で塩素化する場合は、反
応生成物に光を照射して光反応的に塩素化を促進させる
方法、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩素化を
促進する方法等を用いることができる。
【0026】光エネルギーにより塩素化する場合の光源
としては、例えば、紫外光線;水銀灯、アーク灯、白熱
電球、蛍光灯、カーボンアーク灯等の可視光線等が挙げ
られる。なかでも、紫外光線が好適に用いられる。熱エ
ネルギーにより塩素化する場合は、加熱方法として、例
えば、反応器壁からの外部ジャケット方式、内部ジャケ
ット方式、スチーム吹き込み方式等が挙げられる。なか
でも、外部ジャケット方式、内部ジャケット方式が好適
に用いられる。
【0027】上記工程(1)において、塩素化反応の反
応温度は、100〜140℃である。100℃未満であ
ると、塩素化反応速度が遅く、狙いとする平均塩素化度
に到達するまでに長い時間を要するため非効率的であ
る。140℃を超えると、塩素の樹脂粒子内の拡散係数
は大きくなるが、反応速度大の寄与の方が大きく、結果
として、粒子内部よりも粒子表面で塩素化がおこってし
まう。また、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂に着色等
の問題が生じるので、上記範囲に限定される。反応器内
の塩素分圧は、0.5〜3kg/cm2 である。0.5
kg/cm2未満であると、塩素が塩化ビニル系樹脂の
内部に浸透しにくくなり、3kg/cm2 を超えると、
反応速度大の寄与の方が大きくなり、粒子表面での塩素
化がおこり易いため、上記範囲に限定される。
【0028】上記工程(1)においては、塩化ビニル系
樹脂を平均塩素化度が70〜75重量%となるまで塩素
化反応を行う。70重量%未満であっても、75重量%
を超えても、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の耐熱
性、ゲル化性能が劣化するため、上記範囲に限定され
る。
【0029】本発明の製造方法は、上記工程(1)の
後、金属類似水素化物の存在下に水懸濁状態において、
平均塩素化度が66〜72重量%となるように水素置換
する工程(2)を含むものである。
【0030】上記金属類似水素化物としては特に限定さ
れず、例えば、水素化トリブチル錫等が挙げられる。
【0031】上記工程(2)は、粒子表面が優先的に水
素置換されるように、水懸濁状態で反応を行う。
【0032】上記工程(2)において得られる塩素化塩
化ビニル系樹脂の平均塩素化度は、66〜72重量%で
ある。66%未満であると、得られる塩素化塩化ビニル
系樹脂が耐熱性に乏しくなり、72重量%を超えると、
耐熱性は高くなるが、ゲル化性が悪化し、耐熱成形品の
成形に不利になる。好ましくは、67〜70重量%であ
る。
【0033】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造
方法は、塩化ビニル系樹脂の表面状態、内部状態及び塩
素化後の塩素分布状態に着目しているため、ゲル化性能
と耐熱性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得ることが
できる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0035】実施例1PVC樹脂の調製 内容積100リットルの重合器(耐圧オートクレーブ)
に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量体に対して、部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度76モル%及び
重合度700)650ppm、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸エステル塩150ppm、並びに、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート500ppmを投
入した。次いで、重合器内を45mmHgまで脱気した
後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を開始し
た。重合器を57℃に昇温して重合を開始し、重合反応
終了までこの温度を保った。
【0036】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVC樹
脂を得た。得られたPVC樹脂のBET比表面積は、
1.9m2 /gであった。また、スキン層の存在程度を
示すESCA分析値は、0.75であった。なお、BE
T比表面積の測定、ESCA分析及びTOF−SIMS
分析は、下記方法により実施した。
【0037】CPVC樹脂の調製 内容積300リットルのグラスライニング製反応槽に脱
イオン水150kgと上記で得たPVC樹脂40kgと
を入れ、攪拌してPVC樹脂を水中に分散させた後、反
応槽を加熱して反応槽内を120℃に保った。次いで、
反応槽内に窒素ガスを吹き込み、槽内を窒素ガス置換し
た。次に、反応槽内に塩素ガスを吹き込み、塩素分圧
1.5kg/cm2 で塩素化反応を行った。反応槽内の
塩酸濃度を測定して塩素化反応の進行状況を確認しなが
ら塩素化反応を続けた。生成したCPVC樹脂の塩素含
有率が71.0重量%に達した時点で、塩素ガスの供給
を停止し、塩素化反応を終了した。
【0038】更に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応
塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し脱水処理を行
った。塩酸除去した樹脂の水分量を測り、正味水量が1
50kgになるように塩素化した樹脂と脱イオン水とを
再度反応槽に仕込んだ。反応槽を80℃に加熱した後、
トリブチル錫ハイドライド(TBTH)30kg、アゾ
ビスイソブチロニトリル(AIBN)12gを加え、2
時間反応を続けた。反応終了後、得られた樹脂を水で洗
浄し、脱水、乾燥して粉末状のCPVC樹脂を得た。得
られたCPVC樹脂の平均塩素化度は、69.5重量%
で、塩素濃度比Cin/Csuは、1.09であった。得ら
れたPVC樹脂及びCPVC樹脂について、下記の性能
評価を行い、その結果を表1に示した。
【0039】(1)ESCA分析 PVC樹脂粒子の表面をESCA(Electron
Spectroscopy for Chemical
Analysis:電子分光化学分析)でスキャン
し、C1S(炭素)、Cl1s(塩素)、O1s(酸素)の各
ピーク面積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニル樹
脂成分を定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(Mg Kα線)、12kV−15
mA ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0040】(2)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面積測定装置「BELSORP 28SA」(日本ベ
ル社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用し
た。
【0041】(3)TOF−SIMS分析 塩化ビニル系樹脂表面及び液体窒素で冷却後カミソリ刃
により切断した切断面について、イオンスペクトルによ
るROI測定を行った。トータルイオンカウント(質
量:0〜1000)に対するCIカウント(質量35)
の割合を計算した。 ・使用機器:PHI−EVANS社製「TFS−200
0」 ・一次イオン:69Ga+ ・イオン電圧:15kV ・イオン電流:2μA ・分析時間:10分
【0042】(4)加工性(ゲル化温度の測定) Haake社製「レオコード90」を使用して、下記樹
脂組成物55gを、回転数40rpmで、温度を150
℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させながら混練し、混
練トルクが最大になる時の温度を測定した。なお、樹脂
組成物としては、CPVC樹脂100重量部に対して、
三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリン酸鉛1重
量部及びMBS樹脂10重量部からなるものを使用し
た。
【0043】(5)熱安定性試験 上記樹脂組成物を、8インチロール2本からなる混練機
に供給してロール表面温度205℃で混練し、混練物を
ロールに巻き付けてから30秒毎に巻き付いたCPVC
樹脂シートを切り返しながら、3分毎に少量のシートを
切り出して、シートの着色度を比較し、黒褐色に変わる
時間で熱安定性を判定した。
【0044】(6)ビカット軟化温度 上記熱安定性試験で作製した5mm厚のCPVC樹脂シ
ートを、15mm角に切り出して測定用サンプルとし、
JIS K 7206(重り1.0kgf)に準拠して
測定した。
【0045】実施例2 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニルを75
0ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして行っ
た。CPVC樹脂の調製は、塩素化反応温度を130
℃、塩素分圧1.0kg/cm2 で平均塩素化度70重
量%まで塩素化反応を行ったこと以外は実施例1と同様
にして行った。最終的に得られたCPVC樹脂の平均塩
素化度は、68.2重量%で、塩素濃度比Cin/C
suは、1.16であった。得られたPVC樹脂及びCP
VC樹脂について、実施例1と同様の性能評価を行い、
結果を表1に示した。
【0046】比較例1〜4 PVC樹脂の調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を用い
て適宜重合し、表1に示したESCA分析値、BET比
表面積となるように調製した。CPVC樹脂の調製は、
実施例1と同様にして実施した。得られたPVC樹脂及
びCPVC樹脂について、実施例1と同様の性能評価を
行い、結果を表1に示した。
【0047】比較例5〜8 PVC樹脂の調製は、実施例1と同様にして実施した。
CPVC樹脂の調製は、表1に示した平均塩素化度及び
塩素濃度比となるように適宜調製した。得られたPVC
樹脂及びCPVC樹脂について、実施例1と同様の性能
評価を行い、結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂及び製
造方法は、上述の構成からなるので、耐熱性に優れ、ゲ
ル化性能に優れた成形性の容易な塩素化塩化ビニル系樹
脂を得ることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素化
    塩化ビニル系樹脂であって、前記塩化ビニル系樹脂は、
    BET比表面積値が、1.3〜8m2 /gであり、電子
    分光化学分析による粒子表面分析において、炭素原子と
    塩素原子との1S結合エネルギー値(eV)におけるピ
    ーク比〔(塩素原子ピーク)×2/炭素原子ピーク〕
    が、0.6を超えるものであり、 前記塩素化後の塩素化塩化ビニル系樹脂は、平均塩素化
    度が、66〜72重量%であり、TOF−SIMS分析
    における割断粒子内部の塩素濃度(Cin)と粒子表面の
    塩素濃度(Csu)との比(Cin/Csu)が、 1.0<(Cin/Csu)≦1.3 である粒子からなることを特徴とする塩素化塩化ビニル
    系樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂
    の製造方法であって、反応温度100〜140℃、塩素
    分圧0.5〜3kg/cm2 において、平均塩素化度が
    70〜75重量%となるまで塩素化する工程(1)、及
    び、その後、金属類似水素化物の存在下に水懸濁状態に
    おいて、平均塩素化度が66〜72重量%となるように
    水素置換する工程(2)を含むことを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂の製造方法。
JP29100397A 1997-10-23 1997-10-23 塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造方法 Expired - Lifetime JP3481099B2 (ja)

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