JP2002060421A - 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JP2002060421A
JP2002060421A JP2000252308A JP2000252308A JP2002060421A JP 2002060421 A JP2002060421 A JP 2002060421A JP 2000252308 A JP2000252308 A JP 2000252308A JP 2000252308 A JP2000252308 A JP 2000252308A JP 2002060421 A JP2002060421 A JP 2002060421A
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chloride resin
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Yuki Goto
祐樹 後藤
Hideki Inoue
秀樹 井上
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル化性と熱安定性とに優れた、高塩素含有
率の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、塩素化反応の
第一段階において、反応温度65〜95℃で、塩素含有
率66重量%未満まで反応し、塩素化反応の第二段階に
おいて、塩素化反応を促進させる触媒の存在下で、反応
温度95〜130℃で、塩素含有率66〜76重量%ま
で反応することを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル系樹脂(以下、P
VCという)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れ
た材料として、多くの分野に用いられている。しかしな
がら、耐熱性に劣るため、PVC樹脂を塩素化すること
により耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(以
下、CPVCという)が開発されている。PVCは、熱
変形温度が低く、使用可能な上限温度が60〜70℃付
近であるため、熱水に対して使用できないのに対し、C
PVCは熱変形温度がPVCよりも20〜40℃も高い
ため、熱水に対しても使用可能であり、例えば、耐熱パ
イプ、耐熱継手等に好適に使用されている。
【0003】しかしながら、CPVCは、熱変形温度が
高いために、成形加工時にゲル化させるには、高温と強
い剪断力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しや
すいという傾向がある。従って、特に高塩素含有率のC
PVCでは、成形加工幅が狭く、不充分なゲル化状態で
製品化されることが多いため、素材の持つ性能を充分に
発揮できているとはいえなかった。そこで、充分なゲル
化状態で製品化させるために、高温でも分解し難い熱安
定性をもつCPVCが要求されている。
【0004】さらに、CPVCは、塩素化反応の際に、
塩素含有率が高くなるとともに反応速度が低下してくる
ため、この反応速度を向上させるために、酸素、過酸化
水素又は有機過酸化物等の触媒を反応器内に導入・添加
することが多い。この場合、上記触媒の添加量が多けれ
ば多いほど、初期着色性が悪くなり、成形時に分解しや
すくなるといった傾向があるため、良好な初期着色性を
要求される製品には、上記触媒の添加量ができるだけ少
ないCPVCを用いる必要があった。
【0005】このような問題を解決するために、例え
ば、特開平6−128320号公報には、PVCの塩素
化方法として、2段階の工程による塩素化方法(2段階
後塩素化法)が開示されている。この方法は、塩素含有
率を70〜75重量%と高くすることにより、高い耐熱
性を持つCPVCを得ようとするものである。しかしな
がら、この方法では、高塩素化により予測されるゲル化
性能の悪化を防止する手段が示されておらず、また、有
機過酸化物の多量の添加および酸素導入により起こる初
期着色性の悪化および成形時の熱安定性の低下に対する
改良が認められていなかった。
【0006】また、例えば、特開平5−132602号
公報には、CPVCとPVCとを、特定の粘度範囲内に
なるようにブレンドすることにより、高耐熱性を得る方
法が開示されている。しかしながら、この方法では、ビ
カット軟化点の値で、3〜4℃程度の耐熱性の向上と、
溶融粘度の改善による若干のゲル化性能の向上が期待で
きる程度であり、本発明で目的とするような高い耐熱性
とゲル化性能とを充分に達成するものではなかった。
【0007】上述したように、従来の技術では、優れた
ゲル化性と、熱安定性とを併せ持つ高塩素含有率のCP
VCは、未だ得られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、ゲル化性と熱安定性とに優れた、高塩素含有率の
塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の塩素化塩化ビニ
ル系樹脂の製造方法は、塩化ビニル系樹脂を塩素化して
なる塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、塩素
化反応の第一段階において、反応温度65〜95℃で、
塩素含有率66重量%未満まで反応し、塩素化反応の第
二段階において、塩素化反応を促進させる触媒の存在下
で、反応温度95〜130℃で、塩素含有率66〜76
重量%まで反応することを特徴とする。以下に本発明を
詳述する。
【0010】本発明のPVCとは、塩化ビニル単量体
(以下、VCMという)単独、又は、VCM及びVCM
と共重合可能な他の単量体との混合物を公知の方法で重
合してなる樹脂である。上記VCMと共重合可能な他の
単量体としては特に限定されず、例えば、酢酸ビニル等
のアルキルビニルエステル類;エチレン、プロピレン等
のα−モノオレフィン類;塩化ビニリデン;スチレン等
が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2
種以上が併用されてもよい。
【0011】上記PVCの平均重合度は特に限定され
ず、通常用いられる400〜4000の範囲のものが使
用できる。
【0012】上記PVCのBET比表面積値は、1.3
〜8m2/gが好ましく、1.5〜5m2/gがより好ま
しい。このBET比表面積値が1.3m2/g未満であ
ると、PVC粒子内部に0.1μm以下の微細孔が少な
くなるため、塩素化が不均一になり、熱安定性が向上し
にくくなる。また、ゲル化が遅くなり、成形加工上好ま
しくない。BET比表面積値が8m2/gを超えると、
塩素化前のPVC粒子自体の熱安定性が低下するため、
得られるCPVCの加工性が悪くなることがある。
【0013】また、上記PVCは、電子分光化学分析
(ESCA)による粒子表面分析において、炭素元素と
塩素元素との1S結合エネルギー値(eV)におけるピ
ーク比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピーク)が0.
6を超えるものが好ましく、0.7を超えるものがより
好ましい。上記ピーク比が0.6以下では、PVC粒子
表面に分散剤等の添加剤が吸着していると考えられるた
め、塩素化速度が遅くなるだけでなく、得られるCPV
Cの成形加工性に問題を生じ、また、熱安定性が劣るよ
うになる。上記ピーク比が0.6を超えるPVCの中に
は、PVC粒子表面の表皮(以下、スキンという)面積
が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)が露出して
いる粒子(以下、スキンレスPVCという)が存在す
る。同じエネルギー比である場合は、スキンレスPVC
を用いるのが好ましい。
【0014】上記PVCの化学的構造の原子存在比は、
塩素原子:炭素原子=1:2であり(末端構造、分岐を
考慮しない時)、上記1S結合エネルギー値(eV)に
おけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピー
ク)は0〜1の値となる。ピーク比が0の場合は、PV
C粒子表面がPVC以外の物質で、且つ、塩素を含まな
い他の物質に覆われている事を意味し、ピーク比が1の
場合は、PVC粒子表面が、完全にPVC成分のみで覆
われていることを意味する。
【0015】本発明のPVCは、例えば、分散剤として
高ケン化度(60〜90モル%)若しくは低ケン化度
(20〜60モル%)のポリ酢酸ビニル、又は高級脂肪
酸エステル類等を、乳化剤としてアニオン系乳化剤又は
ノニオン系乳化剤等を添加して水懸濁重合することによ
り得ることができる。
【0016】上記PVCを重合する際に用いられる重合
器(耐圧オートクレーブ)の形状及び構造としては、特
に限定されず、一般にPVCの重合に使用されているも
の等を用いることができる。また、撹拌翼としては、特
に限定されず、例えば、ファウドラー翼、パドル翼、タ
ービン翼、ファンタービン翼、ブルマージン翼等の汎用
的に用いられているもの等が挙げられるが、特にファウ
ドラー翼が好適に用いられ、邪魔板(バッフル)との組
み合わせも特に限定されない。
【0017】本発明において、上記PVCを塩素化する
方法としては、PVCを水性媒体中で懸濁状態となした
状態で、反応機内に液体塩素又は気体塩素を導入し、反
応温度65〜130℃の範囲で塩素化反応を行う方法で
ある。
【0018】本発明で使用する塩素化反応器の材質は、
グラスライニングが施されたステンレス製反応器の他、
チタン製反応器等、一般に使用されるものが適用でき
る。本発明では、塩素化はPVCを水性媒体により懸濁
状態になした状態で、液体塩素又は気体塩素を導入する
ことにより、塩素源を塩素化反応器内に導入する。ま
た、反応途中の圧力調整のため、塩素化反応の進行に伴
う塩素の補給については、液体塩素の他、気体塩素を適
宜吹き込むこともできる。
【0019】上記PVCを懸濁状態に調製する方法とし
ては、PVCを重合した後、脱モノマー処理したケーキ
上の樹脂を用いるのが好ましいが、乾燥させたものを再
度、水性媒体で懸濁化してもよく、あるいは、重合系中
より、塩素化反応に好ましくない物質を除去した懸濁液
を使用してもよい。また、反応器内に仕込む水性媒体の
量は、特に限定されないが、一般にPVCの重量1に対
して2〜10倍(重量)量を仕込むのが好ましい。
【0020】上述したような懸濁した状態で塩素化する
方法としては、特に限定されないが、加熱により樹脂の
結合や塩素を励起させて塩素化を促進する方法が好適に
使用される。この加熱方法としては特に限定されず、例
えば、反応器壁からの外部ジャケット方式の他、内部ジ
ャケット方式、スチーム吹き込み方式等が挙げられ、通
常は、外部ジャケット方式又は内部ジャケット方式が効
果的である。また、紫外光線等の光エネルギーを併用し
ても良いが、この場合、高温、高圧条件下での紫外線照
射が可能な装置が必要になる。
【0021】本発明において、塩素化反応の第一段階の
反応温度は、65〜95℃に限定され70〜90℃が好
ましい。反応温度が65℃未満では、塩素化反応が進行
せず、反応を進行させるには、多量の過酸化物等を添加
しなくてはならなくなり、得られる樹脂の熱安定性が低
下する。逆に、反応温度が95℃を超えると、反応速度
が速くなるため塩素の供給が追いつかず、その結果、反
応器内部の塩素が不足するため、樹脂内部まで充分に塩
素が進入することができず、均一な塩素化が困難とな
る。
【0022】本発明の塩素化反応の第一段階において、
塩素含有率は66重量%未満に限定され、64重量%未
満が好ましい。塩素含有率が66重量%以上では、上記
反応温度の範囲では、反応の進行が困難になるため、多
量の過酸化物等を添加しなくてはならなくなり、得られ
る樹脂の熱安定性が低下する。
【0023】また、本発明の塩素化反応の第一段階にお
いて、反応を促進するために、酸素、過酸化水素又は有
機過酸化物等の触媒を添加しても良いが、多量に添加す
ると、生成物の熱安定性が低下するため、添加量はでき
るだけ少量が好ましく、より好ましくは無添加である。
【0024】本発明で使用する塩素としては、特開平6
−32822号公報に記載されているような、ボンベ塩
素の5〜10重量%をパージした後の塩素を用いるのが
好ましい。また、本発明の反応器内のゲージ圧力は、特
に限定されないが、塩素圧力が高いほど塩素がPVC粒
子の内部に浸透しやすいため、0.3〜2MPAの範囲
が好ましい。
【0025】本発明において、塩素化反応の第二段階の
反応温度は、95〜130℃に限定され、100〜12
0℃が好ましい。反応温度が95℃未満では、塩素化反
応が進行せず、反応を進行させるには、多量の過酸化物
等を添加しなくてはならなくなり、得られる樹脂の熱安
定性が低下する。逆に、反応温度が130℃を超える
と、通常の塩素化反応以外の副反応が進行するため、得
られる樹脂の熱安定性が低下する。
【0026】本発明の塩素化反応の第二段階において
は、塩素化反応を促進させる触媒の存在下で反応が行わ
れる。上記触媒としては、特に限定されず、酸素、過酸
化水素又は有機過酸化物等が挙げられる。また、その添
加量は、特に限定されないが、多量の触媒を添加する
と、熱安定性が低下するため、できるだけ少量が好まし
い。
【0027】本発明のCPVCの塩素含有率は、66〜
76重量%に限定され、67〜72重量%が好ましい。
塩素含有率が66重量%未満であると、耐熱性に劣り、
逆に、76重量%を超えると、上記反応温度の範囲では
反応の進行及び、成形加工時にゲル化させることが困難
となってくる。
【0028】本発明によるCPVCの製造方法では、反
応温度、触媒添加量、内部構造及び表面状態に特徴のあ
るPVCを原料として用いることにより、成形加工時の
ゲル化性、及び熱安定性に優れたCPVCを製造するこ
とができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0030】(実施例1) [PVCの調整]内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化
度72モル%及び重合度700)400ppm、ソルビ
タンモノラウレート(HLB8.6)1600ppm、
ラウリン酸1500ppm、ポリアクリルアミド(20
℃、1atmで0.1重量%水溶液のブルックフィール
ズ粘度が51cps)100ppm、及びt−ブチルパ
ーオキシネオデカノエート500ppmを投入した。次
いで、重合器内を6kPaまで脱気した後、塩化ビニル
単量体33kgを仕込み撹拌を開始した。重合器を57
℃に昇温して重合を開始し、重合反応終了までこの温度
を保った。重合転化率が90%になった時点で反応を終
了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体を
スラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVCを得
た。得られたPVCのBET比表面積値は3.7m2
gであった。また、スキン層の存在程度を示すESCA
分析値は、0.80であった。なお、BET比表面積、
及び、ESCA分析の測定は下記方法により実施した。
【0031】[CPVCの調整]内容積300リットル
のグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水150k
gと上記で得たPVC40kgを入れ、攪拌してPVC
を水中に分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、
ゲージ圧が−78.4kPaになるまで減圧した。窒素
ガスで圧戻し(ゲージ圧が0になるまで戻すこと)を行
い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除去し
た。この間、加熱したオイルをジャケットに通して反応
器内を加温した。反応槽内の温度が90℃に達したと
き、塩素ガスを供給し始め、90℃定温で反応を進行さ
せた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を計
算し、塩素含有率が63重量%の時点で反応温度を12
0℃まで昇温し、濃度200ppmの過酸化水素水を1
kg/hrで連続添加しながら反応を継続した。塩素含
有率が70.5重量%に達した時点で塩素ガスの供給を
停止し、塩素化反応を終了した。反応時間は6.5時間
であり、反応中添加した過酸化水素の量は、仕込み樹脂
量に対し22ppmであった。更に、反応槽内に窒素ガ
スを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水
で洗浄し脱水、乾燥して粉末状のCPVCを得た。得ら
れたCPVCの塩素含有率は70.5重量%、空隙率は
35.8容量%、BET比表面積値は10.2m 2
g、及び0.001〜0.1μmの範囲の空隙容積(以
下、空隙容積という)は12.1容積%であった。
【0032】(実施例2) PVCの調整は、実施例1と同様にして実施した。 [CPVCの調整]内容積300リットルのグラスライ
ニング製耐圧反応槽に脱イオン水150kgと上記で得
たPVC40kgを入れ、攪拌してPVCを水中に分散
させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、ゲージ圧が−
78.4kPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧戻し
を行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除
去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して
反応器内を加温した。反応槽内の温度が70℃に達した
とき、塩素ガスを供給し始め、70℃定温で反応を進行
させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を
計算し、塩素含有率60重量%の時点で濃度100pp
mの過酸化水素水を0.5kg/hrで連続添加しなが
ら反応を継続した。塩素含有率が63重量%の時点で反
応温度を110℃まで昇温し、濃度200ppmの過酸
化水素水を0.5kg/hrで連続添加しながら反応を
継続した。塩素含有率が69.5重量%に達した時点で
塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。反応
時間は7.0時間であり、反応中添加した過酸化水素の
量は仕込み樹脂量に対し55ppmであった。更に、反
応槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得
られた樹脂を水で洗浄し脱水、乾燥して粉末状のCPV
Cを得た。得られたCPVCの塩素含有率は69.5重
量%、空隙率は36.5容量%、BET比表面積値は1
1.8m 2/g、空隙容積は14.5容積%であった。
【0033】(実施例3) [PVCの調製]内容積100リットルの重合器(耐圧オ
ートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単量
体に対して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化度
72モル%及び重合度750)1300ppmを懸濁分
散剤として添加後、t−ブチルパーオキシネオデカノエ
ート550ppmを投入した。次いで、重合器内を6k
Paまで脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕込
み撹拌を開始した。重合器を57℃に昇温して重合を開
始し、重合反応終了までこの温度を保った。重合転化率
が90%になった時点で反応を終了し、重合器内の未反
応単量体を回収した後、重合体をスラリー状で系外へ取
り出し、脱水乾燥してPVCを得た。得られたPVCの
BET比表面積値は0.7m2/gであった。また、ス
キン層の存在程度を示すESCA分析値は、0.20で
あった。なお、BET比表面積、及び、ESCA分析の
測定は下記方法により実施した。
【0034】CPVCの調製は、実施例1と同様にして
実施した。得られたCPVCの空隙率は30.2容量
%、BET比表面積値は5.6m2/g、空隙容積は
4.5容積%であった。
【0035】(比較例1) PVCの調整は、実施例1と同様にして実施した。 [CPVCの調整]内容積300リットルのグラスライ
ニング製耐圧反応槽に、脱イオン水150kgと上記で
得たPVC40kgとを入れ、攪拌してPVCを水中に
分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、ゲージ圧
が−78.4kPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧
戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素
を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通
して反応器内を加温した。反応槽内の温度が90℃に達
したとき、塩素ガスを供給し始め、90℃定温で反応を
進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有
率を計算し、塩素含有率63重量%の時点で濃度400
ppmの過酸化水素水を0.5kg/hrで連続添加し
ながら反応を継続した。塩素含有率が70.5重量%に
達した時点で塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終
了した。反応時間は11.5時間であり、反応中添加し
た過酸化水素の量は、仕込み樹脂量に対し324ppm
であった。更に、反応槽内に窒素ガスを吹き込んで未反
応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し脱水、乾燥
して粉末状のCPVCを得た。得られたCPVCの塩素
含有率は70.5重量%、空隙率は37.4容量%、B
ET比表面積値は12.8m 2/g、空隙容積は13.
6容積%であった。
【0036】(比較例2) PVCの調整は、実施例1と同様にして実施した。 [CPVCの調整]内容積300リットルのグラスライ
ニング製耐圧反応槽に、脱イオン水150kgと上記で
得たPVC40kgとを入れ、攪拌してPVCを水中に
分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、ゲージ圧
が−78.4kPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧
戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素
を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通
して反応器内を加温した。反応槽内の温度が90℃に達
したとき、塩素ガスを供給し始め、120℃定温で反応
を進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含
有率を計算し、塩素含有率66重量%の時点で濃度10
0ppmの過酸化水素水を0.5kg/hrで連続添加
しながら反応を継続した。塩素含有率が70.5重量%
に達した時点で塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を
終了した。反応時間は7.0時間であり、反応中添加し
た過酸化水素の量は、仕込み樹脂量に対し32ppmで
あった。更に、反応槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応
塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し脱水、乾燥し
て粉末状のCPVCを得た。得られたCPVCの塩素含
有率は70.5重量%、空隙率は29.5容量%、BE
T比表面積値は2.3m2/g、空隙容積は1.7容積
%であった。
【0037】(比較例3) PVCの調整は、実施例1と同様にして実施した。 [CPVCの調整]内容積300リットルのグラスライ
ニング製耐圧反応槽に、脱イオン水150kgと上記で
得たPVC40kgとを入れ、攪拌してPVCを水中に
分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、ゲージ圧
が−78.4kPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧
戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素
を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通
して反応器内を加温した。反応槽内の温度が60℃に達
したとき、塩素ガスを供給し始め、60℃定温で反応を
進行させた。反応開始時点から濃度500ppmの過酸
化水素水を0.5kg/hrで連続添加しながら反応を
継続した。塩素含有率が63重量%の時点で反応温度を
120℃まで昇温し、濃度100ppmmの過酸化水素
水を0.5kg/hrで連続添加しながら反応を継続し
た。塩素含有率が70.5重量%に達した時点で塩素ガ
スの供給を停止し、塩素化反応を終了した。反応時間は
6.5時間であり、反応中添加した過酸化水素の量は、
仕込み樹脂量に対し154ppmであった。更に、反応
槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得ら
れた樹脂を水で洗浄し脱水、乾燥して粉末状のCPVC
を得た。得られたCPVCの塩素含有率は70.5重量
%、空隙率は34.4容量%、BET比表面積値は9.
8m2/g、空隙容積は10.3容積%であった。
【0038】(比較例4) PVCの調整は、実施例1と同様にして実施した。 [CPVCの調整]内容積300リットルのグラスライ
ニング製耐圧反応槽に、脱イオン水150kgと上記で
得たPVC40kgとを入れ、攪拌してPVCを水中に
分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引し、ゲージ圧
が−78.4kPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧
戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素
を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通
して反応器内を加温した。反応槽内の温度が90℃に達
したとき、塩素ガスを供給し始め、90℃定温で反応を
進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有
率を計算し、塩素含有率が63重量%の時点で反応温度
を140℃まで昇温し反応を継続した。塩素含有率が7
0.5重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止し、
塩素化反応を終了した。反応時間は6.5時間であっ
た。更に、反応槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素
を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し脱水、乾燥して粉
末状のCPVCを得た。得られたCPVCの塩素含有率
は70.5重量%、空隙率は32.2容量%、BET比
表面積値は8.8m2/g、空隙容積は9.8容積%で
あった。
【0039】上記実施例1〜3、及び比較例1〜4で得
られたCPVCについての性能評価を行い、その結果を
表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】[評価方法] 上記実施例1〜3、及び比較例1〜4で用いたPVC、
CPVCの評価方法は以下のとおりである。 (PVC評価) (1)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面積測定装置「BELSORP28SA」(日本ベル
社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用した。
【0042】(2)ESCA分析 PVC粒子の表面をESCA(Electron Sp
ectroscopyfor Chemical An
alysis:電子分光化学分析)でスキャンし、CI
S(炭素)、Cl1S(塩素)、O1S(酸素)の各ピ
ーク面積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニル樹脂
成分を定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(MgKα線)、12kV−15m
A ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0043】(CPVC評価) (1)塩素含有率測定 JIS K 7229に準拠して行った。 (2)空隙率、細孔分布測定 水銀圧入ポロシメーターを用いて、196MPaで塩素
化塩化ビニル系樹脂100gに圧入される水銀の容量を
測定して空隙率を求めた。空隙率とは樹脂粒子体積に占
める空隙の割合である。細孔分布は、空隙率を測定する
ために0〜196MPaまで圧力を上げるが、その際に
水銀圧入量を連続的に測定し、細孔径の分布を測定し
た。
【0044】(3)BET比表面積の測定 上記PVCのBET比表面積の測定方法と同様にして行
った。 (4)ESCA分析 上記PVCのESCA分析の測定方法と同様にして行っ
た。
【0045】(性能評価) (1)ゲル化性(ゲル化温度の測定) Haake社製プラストミル「レオコード90」を使用
して、下記樹脂組成物55gを、回転数40rpmで、
温度を150℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させなが
ら混練し、混練トルクが最大になる時の温度を、ゲル化
温度として測定した。なお、樹脂組成物としては、CP
VC100重量部に対して、三塩基性硫酸鉛3重量部、
二塩基性ステアリン酸鉛1重量部及びMBS樹脂10重
量部からなるものを使用した。
【0046】(2)熱安定性(分解時間)の評価 上記(1)の樹脂組成物を、8インチロール2本からな
る混練機に供給してロール表面温度215℃で混練し、
混練物をロールに巻き付けてから3分後に、巻き付いた
CPVCシートを取り出す。このシートを20mm×3
0mmの大きさに20個切り出したものを測定サンプル
に用い、210℃雰囲気下のオーブン中にセットし、5
分ごとに1個ずつ取り出す。取り出したサンプルを観察
し、サンプルに発泡、変色、黒化が現れた時間を分解時
間とする。
【0047】
【発明の効果】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
方法は、上述の構成よりなるので、本発明により、ゲル
化性及び熱安定性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を得
ることができ、耐熱パイプ、耐熱継手等の用途に好適に
使用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、塩素化反応の
    第一段階において、反応温度65〜95℃で、塩素含有
    率66重量%未満まで反応し、塩素化反応の第二段階に
    おいて、塩素化反応を促進させる触媒の存在下で、反応
    温度95〜130℃で、塩素含有率66〜76重量%ま
    で反応することを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、塩素化反応の
    第一段階において、反応温度65〜95℃で、塩素化反
    応を促進させる触媒を添加せずに、塩素含有率66重量
    %未満まで反応し、塩素化反応の第二段階において、塩
    素化反応を促進させる触媒の存在下で、反応温度95〜
    130℃で、塩素含有率66〜76重量%まで反応する
    ことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂が、BET比表面積値
    が1.3〜8m2/g、電子分光化学分析(ESCA)
    による粒子表面分析において、炭素元素と塩素元素との
    1S結合エネルギー値(eV)におけるピーク比(塩素
    元素ピーク×2/炭素元素ピーク)が0.6を超えるも
    のであることを特徴とする請求項1又は2記載の塩素化
    塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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