JPH11140122A - 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JPH11140122A
JPH11140122A JP30884097A JP30884097A JPH11140122A JP H11140122 A JPH11140122 A JP H11140122A JP 30884097 A JP30884097 A JP 30884097A JP 30884097 A JP30884097 A JP 30884097A JP H11140122 A JPH11140122 A JP H11140122A
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chlorine
vinyl chloride
pvc
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chlorination
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JP30884097A
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Kenichi Asahina
研一 朝比奈
Yoshihiko Eguchi
吉彦 江口
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/18Introducing halogen atoms or halogen-containing groups
    • C08F8/20Halogenation
    • C08F8/22Halogenation by reaction with free halogens

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル化性能と耐熱性とに優れた塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニ
ル系樹脂は、BET比表面積値が1.3〜8m2/gで
あり、ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表
面分析において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネ
ルギー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×
2/炭素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、
且つ、塩素化反応において、塩化ビニル系樹脂を水性媒
体中で懸濁状態となした状態で、反応器内に液体塩素又
は気体塩素を導入し、反応温度を20〜60℃の範囲
で、10時間半減期温度が20〜60℃の範囲の油溶性
開始剤を使用して、塩素化反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂(以下、PVCとい
う)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた材料と
して、多くの分野に用いられている。しかしながら、耐
熱性に劣るため、PVC樹脂を塩素化することにより耐
熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、CP
VCという)が開発されている。
【0003】PVCは、熱変形温度が低く使用可能な上
限温度が60〜70℃付近であるため、熱水に対して使
用できないのに対し、CPVCは熱変形温度がPVCよ
りも20〜40℃も高いため、熱水に対しても使用可能
であり、例えば、耐熱パイプ、耐熱継手、耐熱バルブ等
に好適に使用されている。
【0004】しかしながら、CPVCは熱変形温度が高
いため、成形加工性時にゲル化させるには高温と強い剪
断力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しやすい
という傾向があった。従って、CPVCは成形加工幅が
狭く、不充分なゲル化状態で製品化されることが多く、
素材のもつ性能を充分発揮できているとはいえなかっ
た。また、これらゲル化性能向上の要求に加えて、より
高い耐熱性も要求されるようになっている。
【0005】このような問題点を解決するため、例え
ば、特開昭49−6080号公報には、イオン性乳化
剤、水溶性金属塩及び水溶性高分子分散剤からなる懸濁
安定剤を使用し、約1μmの基本粒子からなる凝集体で
構成されたPVCを塩素化する方法が開示されている
(樹脂粒子の改良提案)。しかしながら、この方法で
は、成形加工時のゲル化性能は向上しているもののまだ
充分ではなく、また、重合の際に多量のスケールが発生
し、これが重合槽の壁面に付着して除熱効果を阻害する
ため、そのスケール除去作業を必要とするという問題点
があった。
【0006】また、特開平5−132602号公報に
は、CPVCとPVCとを特定の粘度範囲内になるよう
にブレンドし、高耐熱性を得る方法が開示されている
(樹脂ブレンドによる改良提案)。しかしながら、この
方法では、ビカット値で3〜4℃程度の耐熱性の向上
と、溶融粘度の改善による若干のゲル化性能の向上が期
待できる程度で、我々が目指しているような高い耐熱性
とゲル化性能とを充分に達成するものではなかった。
【0007】一方、塩素化反応時に塩素を樹脂粒子内部
に均一に拡散させた後に塩素化反応を行う方法は均一に
塩素化する方法として従来より知られているが、例え
ば、特公昭45−6032号公報及び特公昭48−61
94号公報には、塩素を樹脂粒子内に均一に拡散させる
ために、クロロホルム等の塩素含有溶媒で樹脂を膨潤処
理することを提案している。しかしながら、反応系での
クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶媒の使用は、そ
の添加効果である塩素源の円滑な浸透については認めら
れるものの、反応後に溶媒を除去する工程が煩雑であ
り、又大幅な耐熱性向上の目的は達せられないものであ
った。
【0008】又、特表昭57−501184号公報、及
び特表昭57−502218号公報では、いずれも液体
塩素を膨潤剤として使用する提案であり、膨潤溶媒自身
が同時に塩素化のための塩素源でもある点で、塩素化反
応プロセス上、優れた方法である。しかしながら、特表
昭57−501184号公報の提案は、予め少量の液体
塩素でPVCを膨潤させた後、粉体状態で反応を進めて
いるが、塩素化反応の樹脂粒子位置によるバラツキが大
きく、好ましい耐熱性が得られないという問題点があっ
た。特表昭57−502218号公報では、液体塩素を
溶媒としてPVCの5〜30倍という大量に使用し、膨
潤時の温度は−50〜+50℃という範囲であり、塩素
化反応の好ましい範囲は−30〜+25℃としている。
この方法の問題点は、液化塩素をPVCの懸濁媒体とし
て使用しているが、液化状態を保つ為に低温下で膨潤と
反応を継続する必要があり、光照射による反応開始後の
ラジカル転移反応が遅く、又バラツキが大きいことであ
る。従って、好ましい高い耐熱性も得られず、又大過剰
の液体塩素を回収再生するプロセスも煩雑であり、工程
コストが嵩むという問題点もあった。
【0009】更に、特開平6−128320号公報で
は、PVCの塩素化方法として、2段階の工程による塩
素化方法(2段階後塩素化法)が開示されている。この
方法は、塩素含有率を70〜75重量%と高くすること
により、高い耐熱性をもつCPVCを得ようとするもの
である(高塩素化方法による改良提案)。しかしなが
ら、この方法では、塩素含有率に応じて高耐熱性を期待
することはできるものの、高塩素化により予測されるゲ
ル化性能の悪化を食い止めるための手段が示されていな
いため、高耐熱性とゲル化性能とを実用レベルで達成す
るものではなかった。
【0010】このように、従来の技術では、塩素化に際
して、塩素の均一拡散を念頭に置いた塩素化プロセスと
PVCの粒子構造とから検討していないため、最適な塩
素化分布状態が得られず、従って耐熱性と加工性に優れ
たCPVCが得られていないのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、塩素化反応に供するPVCの表面特性を特定化し、
且つ、塩素化に際して塩素の均一拡散を念頭に置いた塩
素化反応触媒と反応プロセス条件を提案し、最適な塩素
化分布状態を達成し、その結果として、ゲル化性能と耐
熱性に優れたCPVCの製造方法を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、本発明1という)は、塩化ビニル系樹脂を塩素化し
てなる塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前
記塩化ビニル系樹脂は、BET比表面積値が1.3〜8
2 /gであり、ESCA分析(電子分光化学分析)に
よる粒子表面分析において、炭素元素と塩素元素との1
S結合エネルギー値(eV)におけるピーク比(塩素元
素ピーク×2/炭素元素ピーク)が、0.6を超えるも
のであり、且つ、塩素化反応において、塩化ビニル系樹
脂を水性媒体中で懸濁状態となした状態で、反応器内に
液体塩素又は気体塩素を導入し、反応温度を20〜60
℃の範囲で、10時間半減期温度が20〜60℃の範囲
の油溶性開始剤を使用して、塩素化反応を行うことを特
徴とする。
【0013】請求項2記載の発明(以下、本発明2とい
う)は、塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素化塩化
ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニル系樹
脂は、BET比表面積値が1.3〜8m2 /gであり、
ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表面分析
において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネルギー
値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭
素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、且つ、
塩素化反応において、塩化ビニル系樹脂と塩素原子を含
む液状物質とを水性媒体中で懸濁状態となした状態で、
油溶性開始剤を添加し、その油溶性開始剤の10時間半
減期温度は10〜60℃の範囲であり、その10時間半
減期温度をT(℃)とすると、〔T−30〕〜〔T−1
0〕(℃)の範囲で5〜60分間保持した後、系内温度
を〔T−5〕〜〔T+25〕(℃)の範囲にして塩素化
反応進めることを特徴とする。
【0014】以下に本発明1を詳述する。上記PVCと
は、塩化ビニル単量体(以下、VCMという)単独、又
は、VCM及びVCMと共重合可能な他の単量体の混合
物を公知の方法で重合してなる樹脂である。上記VCM
と共重合可能な他の単量体としては特に限定されず、例
えば、酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル類;エチ
レン、プロピレン等のα−モノオレフィン類;塩化ビニ
リデン;スチレン等が挙げられる。これらは単独で用い
られてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】上記PVCの平均重合度は特に限定され
ず、通常用いられる400〜3,000のものが使用で
きる。
【0016】本発明で用いられるPVCは、比表面積等
の表面特性及び懸濁分散剤に由来するスキン層の存在に
ついて、特に、塩素化反応での塩素拡散に関係するの
で、次の範囲に限定される。即ち、本発明で用いられる
PVCのBET比表面積値は、1.3〜8m2 /gに制
限される。比表面積値が1.3m2 /g未満であると、
PVC粒子内部に0.1μm以下の微細孔が少なくなる
ため、塩素化が均一になされなくなり、熱安定性が向上
しなくなる。比表面積値が8m2 /gを超えると、塩素
化前のPVC粒子自体の熱安定性が低下するため、得ら
れるCPVCの加工性が悪くなるので、上記範囲に限定
される。好ましくは、1.5〜5m2 /gである。
【0017】上記PVCは、ESCA分析(電子分光化
学分析)による粒子表面分析において、炭素元素と塩素
元素との1S結合エネルギー値(eV)におけるピーク
比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピーク)が、0.6
を超えるものに制限される。0.6以下であると、PV
C粒子表面に分散剤等の添加剤が吸着していると考えら
れるため、後工程での塩素化速度が遅くなるだけでな
く、得られるCPVCの成形加工性に問題を生じる。好
ましくは、上記ピーク比が0.7を超えるものである。
【0018】上記ピーク比が0.6を超えるPVCの中
には、PVC粒子表面の表皮(以下、スキンという)面
積が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)が露出し
ている粒子(スキンレスPVCという)が存在する。同
じエネルギー比である場合は、スキンレスPVCを用い
ることが好ましい。
【0019】上記PVCの化学的構造の原子存在比は、
塩素原子:炭素原子=1:2であり(末端構造、分岐を
考慮しない時)、上記1S結合エネルギー値(eV)に
おけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピー
ク)は0〜1の値となる。ピーク比が0の場合は、PV
C粒子表面がPVC以外で、かつ、塩素を含まない他の
物質により覆われていることを意味し、ピーク比が1の
場合は、PVC粒子表面が、完全に塩化ビニル成分のみ
で覆われていることを意味する。
【0020】上記に示したBET比表面積値及び1S結
合エネルギー値(eV)におけるピーク比を有するPV
Cは、例えば、分散剤として高ケン化度(60〜90モ
ル%)若しくは低ケン化度(20〜60モル%)又はそ
の両方のポリ酢酸ビニル、高級脂肪酸エステル類等を、
乳化剤としてアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等を
添加して水懸濁重合することにより得ることができる。
【0021】本発明1で上記PVCを重合する際に用い
ることができる重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及
び構造としては特に限定されず、従来よりPVCの重合
に使用されているもの等を用いることができる。また、
攪拌翼としては特に限定されず、例えば、ファウドラー
翼、パドル翼、タービン翼、ファンタービン翼、ブルマ
ージン翼等の汎用的に用いられているもの等が挙げられ
るが、特にファウドラー翼が好適に用いられ、邪魔板
(バッフル)との組み合わせも特に制限されない。
【0022】上記PVCを塩素化する方法としては、P
VCを水性媒体中で懸濁状態となした後、反応器内に液
体塩素又は気体塩素を導入し、反応温度を20〜60℃
の範囲で、10時間半減期温度が20〜60℃の範囲の
油溶性開始剤を使用して、塩素化反応を行うことを骨子
とする方法である。
【0023】本発明1に使用する塩素化反応器の材質
は、グラスライニングが施されたステンレス製反応器の
他、チタン製反応器等、一般に使用されるものが適用で
きる。
【0024】本発明1では、塩素化はPVCを水性媒体
により懸濁状態になした状態で、液体塩素又は気体塩素
を導入することにより、塩素源を塩素化反応器内に導入
するが、液体塩素を導入することが工程上からも効率的
である。反応途中の圧力調製の為、又、塩素化反応の進
行に伴う塩素の補給については、液体塩素の他、気体塩
素を適宜吹き込むこともできる。
【0025】上記PVCを懸濁状態に調製する方法とし
ては、PVCを重合の後、乾燥させたものを再度、水性
媒体で懸濁化してもよく、あるいは、重合系中より、塩
酸等、塩素化反応に好ましくない物質を除去した懸濁液
を使用しても良い。反応器内に仕込む水性媒体の量は、
特に制限はないが、一般にPVCの重量1に対して2〜
10倍(重量)量を仕込む。
【0026】上記懸濁した状態で塩素化する場合は、例
えば、反応生成物に光を照射して光反応的に塩素化を促
進する方法、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩
素化を促進する方法等により行うことができる。光エネ
ルギーにより塩素化する場合に用いられる光源としては
特に限定されず、例えば、紫外光線;水銀灯、アーク
灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク灯等の可視光線
等が挙げられ、特に、紫外光線が効果的である。熱エネ
ルギーにより塩素化する場合の加熱方法としては特に限
定されず、例えば、反応器壁からの外部ジャケット方式
の他、内部ジャケット方式、スチーム吹き込み方式等が
挙げられ、通常は、外部ジャケット方式又は内部ジャケ
ット方式が効果的である。
【0027】上記塩素化の工程で、得られるCPVCの
塩素含有率が、60〜72重量%となるように調製する
のが好ましく、63〜70重量%がより好ましい。塩素
含有率が60重量%未満では、耐熱性に乏しく、72重
量%を超えるとゲル化性能が悪化して、耐熱成形品を成
形するのに不利である。
【0028】上記塩素化反応温度は、20〜60℃に限
定され、25〜40℃がより好ましい。反応温度が20
℃未満では塩素化反応速度が遅くなり、反応に長時間を
要することになり、粒子外部の塩素化が更に進行するた
め塩素化の均一性が損なわれ、耐熱性を向上させること
が難しい。反応温度が60℃を超えると、塩素が水性媒
体又はPVC中に溶解、膨潤の形で存在する量が少なく
なり、塩素が気相に移動し、塩素化が均一に進行しにく
くなり、耐熱性の向上には不利である。
【0029】上記反応器内のゲージ圧力は、特に限定さ
れないが、塩素圧力が高いほど塩素がPVC粒子の内部
に浸透し易いため、0.3〜2MPaの範囲が好まし
い。
【0030】塩素化反応温度については、一般に紫外線
ランプ照射等の光エネルギー源による光塩素化では40
〜90℃、熱エネルギーによる塩素化反応では、70〜
150℃で実施されるのが通例である。本発明では、塩
素の樹脂粒子内への拡散を促進させる為に水性媒体中へ
の塩素溶解量を確保すべく、20〜60℃という相対的
に低温度領域での塩素化反応を提示した。この温度にお
いては、塩素化反応速度は遅くなるが、低温により反応
速度が低下する塩素化反応を加速するために、油溶性開
始剤を使用し、その10時間半減期温度が20〜60℃
の範囲のものが選択される。
【0031】上記10時間半減期温度が20〜60℃の
油溶性開始剤としては、有機パーオキサイド化合物、ア
ゾ系化合物の中から選択される。
【0032】上記10時間半減期温度が20〜60℃の
有機パーオキサイド化合物の例としては、t−ブチルパ
ーオキシピバレート(半減期=56℃、以下同じ)、t
−ヘキシルパーオキシピバレート(53℃)、t−ヘキ
シルネオヘキサノエート(49℃)、t−ブチルパーオ
キシネオデカノエート(47℃)、t−ヘキシルパーオ
キシネオデカノエート(45℃)、α−クミルパーオキ
シネオヘキサノエート(41℃)、2,4,4−トリメ
チルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカノエート
(41℃)、α−クミルパーオキシネオデカノエート
(38℃)、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パ
ーオキシフェノキシアセテート(38℃)、アセチルシ
クロヘキサンスルホニル(37℃)等のパーエステル化
合物;
【0033】ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ
ーオキシジカーボネート(47℃)、ジ(sec−ブチ
ル)パーオキシジカーボネート(45℃)、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート(45℃)、ビス(4−
t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
(44℃)、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネート(44℃)、ジメトキシイソプロピルパーオキ
シジカーボネート(44℃)、ジ(3−メトキシブチ
ル)パーオキシジカーボネート(43℃)、ジ−2−エ
トキシエチルパーオキシジカーボネート(43℃)、ジ
−n−プロピルパーオキシジカーボネート(41℃)、
ジミリスチルパーオキシジカーボネート(41℃)、ジ
アリルパーオキシジカーボネート(39℃)等のパーオ
キシカーボネイト化合物;
【0034】ラウロイルパーオキサイド(60℃)、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド
(60℃)、o−メチルベンゾイルパーオキサイド(5
7℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド
(54℃)、イソブチリルパーオキサイド(33℃)等
のジアシルパーオキサイド化合物が挙げられる。
【0035】又、上記10時間半減期温度が20〜60
℃のアゾ系化合物としては、アゾニトリル化合物に限ら
れ、例えば、α,α’−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)(54℃)、α,α’−アゾビス(2−
シクロプロピルプロピオニトリル)(42℃)、α,
α’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)(30℃)等のアゾ化合物が挙げられる。
【0036】より好ましい塩素化反応触媒の例として
は、油溶性開始剤のうち10時間半減期温度が30〜5
0℃の範囲の油溶性開始剤が挙げられ、上記記載のパー
エステル化合物、パーオキシカーボネイト化合物、ジア
シルパーオキサイド化合物及びアゾ化合物の中から選択
される。
【0037】塩素化反応触媒の添加量は、PVC(重
量)に対して、0.001〜0.5重量%の範囲が好ま
しく、0.005〜0.1重量%がより好ましい。
【0038】以上の本発明1の骨子は、PVCの表面状
態及び粒子表面積、並びに塩素化反応条件を限定するこ
とにより、均一に塩素化を進行させ、高耐熱性と易ゲル
化性を達成することができるのである。
【0039】以下に本発明2を詳述する。本発明2のP
VCとは、本発明1と同様にVCM単独、又は、VCM
及びVCMと共重合可能な他の単量体の混合物を公知の
方法で重合してなる樹脂である。上記VCMと共重合可
能な他の単量体としては特に限定されず、本発明1と同
様のものが用いられる。又、上記PVCの平均重合度は
特に限定されず、本発明1と同様の範囲のものが使用で
きる。
【0040】本発明2で用いられるPVCは、比表面積
等の表面特性及び懸濁分散剤に由来するスキン層の存在
について、特に、塩素化反応での塩素拡散に関係するの
で、本発明1と同様の範囲に限定される。即ち、本発明
2で用いられるPVCのBET比表面積値は、本発明1
と同様の理由により1.3〜8m2 /gに制限される。
【0041】上記PVCは、ESCA分析(電子分光化
学分析)による粒子表面分析において本発明1と同様の
理由により、炭素元素と塩素元素との1S結合エネルギ
ー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/
炭素元素ピーク)が、0.6を超えるものに制限され
る。好ましくは、上記ピーク比が0.7を超えるもので
ある。上記PVCの化学的構造の原子存在比は、本発明
1に記述した通りである。
【0042】上記ピーク比が0.6を超えるPVCの中
には、PVC粒子表面の表皮(以下、スキンという)面
積が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)が露出し
ている粒子(スキンレスPVCという)が存在する。同
じエネルギー比である場合は、スキンレスPVCを用い
ることが好ましい。
【0043】上記に示したBET比表面積値及び1S結
合エネルギー値(eV)におけるピーク比を有するPV
Cは、例えば、分散剤として高ケン化度(60〜90モ
ル%)若しくは低ケン化度(20〜60モル%)又はそ
の両方のポリ酢酸ビニル、高級脂肪酸エステル類等を、
乳化剤としてアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等を
添加して水懸濁重合することにより得ることができる。
【0044】本発明2で上記PVCを重合する際に用い
ることができる重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及
び構造としては特に限定されず、本発明1と同様のもの
が使用できる。
【0045】本発明2の塩素化反応において、PVCと
塩素原子を含む液状物質とを水性媒体中で懸濁状態とな
した状態で、油溶性開始剤を添加し、その油溶性開始剤
の10時間半減期温度は10〜60℃の範囲であり、そ
の10時間半減期温度をT(℃)とすると、〔T−3
0〕〜〔T−10〕(℃)の範囲で5〜60分間保持し
た後、系内温度を〔T−5〕〜〔T+25〕(℃)の範
囲にして塩素化反応進めることを特徴とするCPVCの
製造方法である。
【0046】上記塩素原子を含む液状物質とは、液体塩
素の他、モノクロロメタン(=クロロホルム)、ジクロ
ロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、クロロエタ
ン系化合物、塩化ビニル等が挙げられる。より好ましく
は、液体塩素である。上記塩素を含む液状物質の役割
は、その後の工程で添加される油溶性開始剤をPVCへ
円滑に膨潤ないしは含浸させる為である。
【0047】液体塩素以外の塩素原子を含む液状物質の
添加量は、PVC100重量部に対して、2〜10重量
部が好ましい。2重量部未満では、油溶性開始剤がPV
C内部へ十分に含浸せず、塩素化反応の進行が遅く、粒
子内部の均一塩素化も得られず、耐熱性が良くない。1
0重量部を超えると、液状物質がPVCへ含浸できる量
を超えることになり、油溶性開始剤がPVC内部に浸透
しなくなるので好ましくない。
【0048】液体塩素の場合の添加量は、PVC100
重量部に対して、2〜80重量部が好ましく、4〜50
重量部がより好ましい。2重量部未満では、油溶性開始
剤がPVC内部へ十分に含浸せず、塩素化反応の進行が
遅く、粒子内部の均一塩素化も得られず、耐熱性が良く
ない。80重量部を超えると、油溶性開始剤ががPVC
の外部に存在する量が多くなり、PVCの粒子内部の均
一塩素化が得られず好ましくない。
【0049】このように、液体塩素と液体塩素以外の塩
素原子を含む液状物質との添加すべき最適量の違いは、
液体塩素が油溶性開始剤の樹脂への浸透効果を呈するば
かりでなく、塩素源としても働くからである。その為、
液体塩素の添加量が10重量部を超えても、油溶性開始
剤の樹脂への浸透効果は多少減じても、後の塩素化反応
時の塩素源として、液体塩素の優れた浸透性が均一塩素
化の目的に適合しているからである。
【0050】上記油溶性開始剤として使用される10時
間半減期温度が10〜60℃の範囲の物質は、有機パー
オキサイド化合物、アゾ系化合物の中から選択される。
油溶性開始剤の10時間半減期温度が10℃未満では、
低温で分解するため、取り扱いが難しく、又、分解を促
進するために、還元剤との併用が必要になる場合もある
等、工程上煩雑であり好ましくない。油溶性開始剤の1
0時間半減期温度が60℃を超えると、分解に高い温度
が必要であり、反応温度を高くする必要がある。温度が
高いと、塩素の膨潤や含浸には有利だが、塩素の拡散や
水性媒体中への塩素の溶解性は悪化し、本発明2の趣旨
を十分に発揮できなくなるので好ましくない。
【0051】上記10時間半減期温度が10〜60℃の
有機パーオキサイド化合物としては、本発明1で例示さ
れる有機パーオキサイド化合物が例示される。
【0052】又、上記10時間半減期温度が10〜60
℃のアゾ系化合物としては、本発明1で例示されるアゾ
系化合物が例示される。
【0053】より好ましい塩素化反応触媒の例として
は、油溶性開始剤のうち10時間半減期温度が20〜5
0℃の範囲のものが選ばれる。具体的な物質としては、
上記例示物質のうち、10時間半減期温度が20〜50
℃の範囲のものが選択できる。
【0054】塩素化反応触媒の添加量は、PVC(重
量)に対して、0.001〜0.5重量%の範囲が好ま
しく、0.005〜0.1重量%がより好ましい。
【0055】上記油溶性開始剤を系内に添加後の保持温
度は、該油溶性開始剤の10時間半減期温度をT(℃)
とすると、〔T−30〕〜〔T−10〕(℃)の範囲に
限定され、〔T−25〕〜〔T−10〕(℃)が好まし
い。添加後の保持時間は5〜60分間に限定され、10
〜40分が好ましい。
【0056】上記油溶性開始剤を系内に添加後の保持温
度は、〔T−30〕(℃)より低いと、後の反応開始の
為の昇温時間が長くなるため好ましくない。〔T−1
0〕(℃)より高いと、油溶性開始剤がPVC粒子内に
膨潤ないしは含浸する前に分解し、ラジカル生成が無視
できなくなり、塩素化反応の均一性が損なわれ、耐熱性
が悪化する。
【0057】添加後の保持時間が5分未満では、油溶性
開始剤の浸透ないしは含浸が十分に行われなくなり、塩
素化反応の均一性が損なわれ、耐熱性が悪化する。添加
後の保持時間が60分を超えても油溶性開始剤の膨潤な
いしは含浸が飽和状態に達するため、塩素化反応工程の
生産性を損なうこととなる。
【0058】更に上記保持時間後、上記系内温度を、
〔T−5〕〜〔T+25〕(℃)の範囲に、好ましくは
〔T〕〜〔T+20〕(℃)に高めて塩素化反応を進め
る。系内温度が、〔T−5〕(℃)より低いと、油溶性
開始剤の分解が円滑に進行せず、従って、塩素化反応の
進行が損なわれる。系内温度が、〔T+25〕(℃)よ
り高いと、一時に油溶性開始剤の分解が進むため、塩素
化反応時に発生する熱の除去が難しく、反応制御面で好
ましくない。
【0059】本発明2における塩素化反応に供する塩素
源は、液体塩素又は気体塩素が好ましい。本発明2で
は、液体塩素を導入することが工程上からも効率的であ
る。即ち、上述から明らかなように、液体塩素は、塩素
源であるばかりでなく、油溶性開始剤の樹脂内部への浸
透を促進する物質としても作用するからである。従っ
て、液体塩素の場合は、上記油溶性開始剤の添加に先立
ち、PVCと塩素原子を含む液状物質の混合工程時に
は、液体塩素の添加量は、前述の通り100重量部に対
して、2〜80重量部が好ましいが、油溶性開始剤の添
加完了後であれば、液体塩素は塩素化反応の為に必要な
仕込み量に対して、仕込み残量分を分割しても残量全て
を一括添加しても良い。気体塩素の場合でも、油溶性開
始剤の添加完了後であれば、適宜ガスを導入しても良
い。気体塩素と液体塩素の併用も適宜実施して良い。反
応開始後も、反応途上の圧力調製の為、又、塩素化反応
の進行に伴う塩素の補給については、液体塩素の他、気
体塩素を適宜吹き込むこともできる。
【0060】本発明1に使用する塩素化反応器の材質
は、グラスライニングが施されたステンレス製反応器の
他、チタン製反応器等、一般に使用されるものが適用で
きる。
【0061】上記PVCを懸濁状態に調製する方法とし
ては、PVCを重合の後、乾燥させたものを再度、水性
媒体で懸濁化してもよく、あるいは、重合系中より、塩
酸等、塩素化反応に好ましくない物質を除去した懸濁液
を使用しても良い。反応器内に仕込む水性媒体の量は、
特に制限はないが、一般にPVCの重量1に対して2〜
10倍(重量)量を仕込む。
【0062】上記懸濁した状態で塩素化する場合は、例
えば、反応生成物に光を照射して光反応的に塩素化を促
進する方法、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩
素化を促進する方法等により行うことができる。光エネ
ルギーにより塩素化する場合に用いられる光源としては
特に限定されず、本発明1に例示されたものと同様の光
源が挙げられ、特に、紫外光線が効果的である。熱エネ
ルギーにより塩素化する場合の加熱方法としては特に限
定されず、本発明1に例示されたものと同様の方式等が
挙げられ、通常は、外部ジャケット方式又は内部ジャケ
ット方式が効果的である。
【0063】上記塩素化の工程で、得られるCPVCの
塩素含有率は本発明1と同様な理由により、60〜72
重量%となるように調製するのが好ましく、63〜70
重量%がより好ましい。
【0064】上記反応器内のゲージ圧力は、特に限定さ
れないが、塩素圧力が高いほど塩素がPVC粒子の内部
に浸透し易いため、0.3〜2MPaの範囲が好まし
い。
【0065】以上の本発明2の骨子は、PVCの表面状
態及び粒子表面積、並びに塩素化反応条件を限定するこ
とにより、均一に塩素化を進行させ、高耐熱性と易ゲル
化性を達成することができるのである。その技術的ポイ
ントは、塩素原子を含む液状物質を予め樹脂中に浸透さ
せた後、油溶性開始剤を添加する。これにより、油溶性
開始剤は樹脂粒子内部に浸透する。その後、塩素源を添
加し、塩素化反応に必要な温度に設定し、塩素化反応を
開始させる。これにより、粒子内部より塩素化反応を進
行させ、粒子内に塩素化分布を形成せしめ、耐熱性を高
めると共に、粒子の外部は相対的に低塩素化として、ゲ
ル化性を高めることで、相乗的に耐熱性と易ゲル化性を
向上することができるのである。
【0066】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0067】(実施例1) 〔PVCの調製〕内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、平均ケン化度72モル%及び重合度70
0の部分ケン化ポリ酢酸ビニル450ppm、ソルビタ
ンモノラウレート1,200ppm、ラウリン酸1,2
00ppm、ポリアクリルアミド(20℃、1atmで
0.1重量%水溶液のブルックフィールズ粘度が51c
ps)150ppm並びにt−ブチルパーオキシネオデ
カノエート550ppmを投入した。次いで、重合器内
を45mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体33
kgを仕込み攪拌を開始した。重合器を57℃に昇温し
て重合を開始し、重合反応終了までこの温度を保った。
【0068】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVCを
得た。得られたPVCのBET比表面積値は3.7m2
/gであった。また、スキン層の存在程度を示すESC
A分析値は、0.80であった。なお、BET比表面
積、及び、ESCA分析の測定は、下記方法により実施
した。
【0069】〔CPVCの調製〕内容積250リットル
のチタン製耐圧反応槽に脱イオン水60kg〔対樹脂量
比=2〕と上記で得たPVC30kg〔これを1とす
る〕とを入れ、攪拌してPVCを水中に分散させ、その
後反応槽を30℃に保持した。次いで、反応槽内に窒素
ガスを吹き込み、槽内を窒素ガスで置換した。次に、反
応槽内に予め30℃に保温した液体塩素60kg〔対樹
脂量比=2〕を導入した。この時点での反応器内の圧力
は、0.8MPaであった。液体塩素を導入後、約1時
間30℃に保持したまま攪拌した。その後、塩素化反応
触媒として、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネートをPVCに対して500ppm(重量比)加え
て塩素化反応を開始した。その後、槽内の塩酸濃度を測
定して、塩素化反応の進行状況を確認しながら塩素化反
応を続け、生成したCPVCの塩素含有率が69.0重
量%に達した時点で、塩素化反応を終了させた。反応時
間は120分であった。更に、槽内に窒素ガスを吹き込
んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水酸化ナトリ
ウムで中和した後、水で洗浄し脱水、乾燥して粉末状の
CPVCを得た。得られたCPVCの塩素含有率は、6
9.0重量%であった。
【0070】(実施例2) 〔PVCの調製〕内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、平均ケン化度76モル%及び重合度70
0の部分ケン化ポリ酢酸ビニル700ppm、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩150pp
m並びにt−ブチルパーオキシネオデカノエート500
ppmを投入した。次いで、重合器内を45mmHgま
で脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌
を開始した。重合器を57℃に昇温して重合を開始し、
重合反応終了までこの温度を保った。
【0071】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVCを
得た。得られたPVCのBET比表面積値は1.4m2
/gであった。また、スキン層の存在程度を示すESC
A分析値は、0.65であった。
【0072】〔CPVCの調製〕塩素化反応条件につい
て表1に示した条件以外は、実施例1と同様に実施し
た。但し、反応時間は130分であった。
【0073】(実施例3)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表1に示す通り実
施した。反応温度を30℃として、反応は水銀ランプに
より反応器内を紫外線で照射して塩素化反応を行った。
塩素化反応触媒はα,α’−アゾビス(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用し、その添加
量はPVC(重量対比)で300ppmとした。
【0074】(実施例4)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表2に示す通り実
施した。水性媒体量は、PVCに対して4とした。反応
温度を30℃として、塩素は気体塩素を反応器圧力を見
ながら圧力が0.7MPaに達する迄吹き込んだ。反応
は熱エネルギーのみにより塩素化反応を行った。塩素化
反応中の圧力は0.7〜0.5MPaの範囲であった。
又、塩素化反応触媒は実施例1と同じものを使用し、そ
の添加量はPVC(重量対比)に対して150ppmと
した。
【0075】(実施例5)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表2に示す通り実
施した。反応温度を20℃として、反応は熱エネルギー
のみにより塩素化反応を行った。塩素化反応中の圧力は
0.5〜0.4MPaの範囲であった。又、触媒はα−
クミルパーオキシネオデカノエートを使用し、その添加
量はPVC(重量対比)に対して500ppmとした。
【0076】(実施例6)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表2に示す通り実
施した。水性媒体量は、PVCに対して4とした。反応
温度を55℃として、塩素は実施例4と同様に気体塩素
を反応器圧力を見ながら圧力が0.7MPaに達する迄
吹き込んだ。反応は水銀ランプにより反応器内を紫外線
で照射して塩素化反応を行った。塩素化反応中の圧力は
0.7〜0.5MPaの範囲であった。又、触媒はt−
ブチルパーオキシピバレートを使用し、その添加量はP
VC(重量対比)に対して100ppmとした。
【0077】(比較例1) 〔PVCの調製〕内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、平均ケン化度72モル%及び重合度75
0の部分ケン化ポリ酢酸ビニル1,200ppmを懸濁
分散剤として添加後、t−ブチルパーオキシネオデカノ
エート550ppmを投入した。次いで、重合器内を4
5mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体33kg
を仕込み攪拌を開始した。重合器を57℃に昇温して重
合を開始し、重合反応終了までこの温度を保った。
【0078】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPVCを
得た。得られたPVCのBET比表面積値は0.7m2
/gであった。また、スキン層の存在程度を示すESC
A分析値は、0.20であった。 〔CPVCの調製〕塩素化反応触媒としてt−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期
温度=74℃)とし、添加量を500ppmとしたこと
以外は、実施例1と同様に実施した。塩素化反応時間は
230分であった。
【0079】(比較例2)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、実施例1と同様に
塩素源として液体塩素、反応温度を15℃として、反応
は熱エネルギーのみにより塩素化反応を行った。塩素化
反応触媒はα,α’−アゾビス(2−メチルブチロニト
リル)を使用し、その添加量はPVC(重量対比)で3
00ppmとした。塩素化反応触媒の10時間半減期温
度が67℃と高く、反応温度15℃ではラジカルの生成
が弱く、反応時間は400分を要した。
【0080】(比較例3)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、塩素源として気体
塩素とし、塩素化反応触媒を比較例1と同様のt−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半
減期温度=74℃)とし、添加量を300ppmとし
た。塩素化反応温度を70℃として、塩素化反応中の圧
力は0.7〜0.5MPaの範囲で塩素化反応を行っ
た。
【0081】(比較例4、5)PVCの調製は、比較例
1と同様に実施した。CPVCの調製は、比較例4、5
共に、塩素源として気体塩素とし、紫外線ランプを使用
し、反応温度を70℃とした。比較例4では、塩素化反
応触媒を使用しなかった。その為反応時間は530分を
要した。比較例5では、塩素化反応触媒として過酸化水
素を使用した。過酸化水素の分解がしにくいので、反応
時間は410分を要した。上記実施例1〜6、比較例1
〜5で得られたCPVCにつき、下記の性能評価を行
い、その結果を表1〜3に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】尚、表1〜3中塩素化反応触媒の物質名は
以下の通りである。 BP:t−ブチルパーオキシピバレート、PC:ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、CD:α
−クミルパーオキシネオデカノエート、BE:t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ZX:α、
α’−アゾビス(4−メトキシ−ジメチルバレロニトリ
ル)、ZY:α、α’−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)。 (実施例7)PVCの調製は、実施例1と同様に実施し
た。 〔CPVCの調製〕内容積250リットルのチタン製耐
圧反応槽に脱イオン水60kg〔対樹脂量比=2〕と上
記で得たPVC30kg〔これを1とする〕とを入れ、
攪拌してPVCを水中に分散させ、その後反応槽を30
℃に保持した。次いで、反応槽内に窒素ガスを吹き込
み、槽内を窒素ガスで置換した。次に塩素原子を含む液
状物質として、反応槽内に予め30℃に保温した液体塩
素を9kg〔PVC100重量部対比=30重量部〕を
導入した。液体塩素を導入後、約15分間、30℃に保
持したまま攪拌した。その後、塩素化反応触媒として、
ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートをP
VCに対して500ppm(重量比)加えた後、液体塩
素を30kg〔PVC100重量部対比=100重量
部〕を導入した後、速やかに反応系内を50℃に昇温
し、塩素化反応を開始した。この時点の反応系内圧力は
1.4MPaであった。槽内の塩酸濃度を測定して、塩
素化反応の進行状況を確認しながら塩素化反応を続け、
生成したCPVCの塩素含有率が69.0重量%に達し
た時点で、塩素化反応を終了させた。反応終了時の槽内
圧力は1.2MPaであった。反応時間は80分であっ
た。更に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除
去し、得られた樹脂を水酸化ナトリウムで中和した後、
水で洗浄し脱水、乾燥して粉末状のCPVCを得た。更
に、槽内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、
得られた樹脂を水酸化ナトリウムで中和した後、水で洗
浄し脱水、乾燥して粉末状のCPVCを得た。得られた
CPVCの塩素含有率は、69.0重量%であった。
【0086】(実施例8)PVCの調製は実施例2と同
様に実施した。CPVCの調製は表4に示した条件以外
は実施例7と同様に実施した。但し、反応時間は90分
であった。
【0087】(実施例9)PVCの調製は、実施例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表4に示す通り実
施した。初期に投入する液体塩素の量を70重量部と
し、添加後の保持温度と保持時間は、実施例7と同様に
行う。その後、反応温度を50℃として、反応は水銀ラ
ンプにより反応器内を紫外線で照射して塩素化反応を行
った。塩素化反応中の圧力は1.5〜1.2MPaの範
囲であった。塩素化反応触媒は実施例7と同じものを使
用し、その添加量はPVC(重量対比)に対して300
ppmとした。塩素源として投入する液体塩素の量は、
実施例7と同様にPVC100重量部に対して100重
量部とした。
【0088】(実施例10〜13)PVCの調製は、実
施例1と同様に実施した。CPVCの調製は、表5に示
す通り実施した。実施例10及び11は、塩素原子を含
む液状物質として、それぞれ、クロロホルム及びジクロ
ロメタンを使用した。
【0089】(比較例6)PVCの調製は、比較例1と
同様に実施した。CPVCの調製は、表6に示した通り
実施した。
【0090】(比較例7〜10)PVCの調製は、実施
例1と同様に実施した。CPVCの調製は、表6、7に
示した通り実施した。比較例10は、塩素原子を含む液
状物質を添加しなかった。
【0091】(比較例11、12)PVCの調製は、比
較例1と同様に実施した。CPVCの調製は、比較例1
1は油溶性開始剤を添加しない例であり、比較例12は
塩素化反応触媒として油溶性開始剤でない過酸化水素を
使用した例である。上記実施例7〜13、比較例6〜1
2で得られたCPVCにつき、下記の性能評価を行い、
その結果を表4〜7に示した。
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【表7】
【0096】尚、表4〜7中塩素化反応触媒の物質名は
以下の通りである。 BP:t−ブチルパーオキシピバレート、PC:ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、CD:α
−クミルパーオキシネオデカノエート、BE:t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ZX:α、
α’−アゾビス(4−メトキシ−ジメチルバレロニトリ
ル)、ZY:α、α’−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)。
【0097】〔評価方法〕 (1)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面測定装置「BELSORP 28SA」(日本ベル
社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用した。
【0098】(2)ESCA分析 PVC粒子の表面をESCA(Electron Sp
ectroscopyfor Chemical An
alysis:電子分光化学分析)でスキャンし、C1S
(炭素)、Cl1S(塩素)、O1S(酸素)の各ピーク面
積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニル樹脂成分を
定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(Mg Kα線)、12kV−15
mA ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0099】(3)加工性(ゲル化温度の測定) Haake社製プラストミル「レオコード90」を使用
して、下記樹脂組成物55gを、回転数40rpmで、
温度を150℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させなが
ら混練し混練トルクが最大になる時の温度を測定した。
なお、樹脂組成物としては、CPVC100重量部に対
して、三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリン酸
鉛1重量部及びMBS樹脂10重量部からなるものを使
用した。
【0100】(4)熱安定性試験 上記樹脂組成物を、8インチロール2本からなる混練機
に供給してロール表面温度205℃で混練し、混練物を
ロールに巻き付けてから30秒毎に巻き付いたCPVC
樹脂シートを切り返しながら、3分毎に少量のシートを
切り出して、シートの着色度を比較し、黒褐色に変わる
時間で熱安定性を判定した。
【0101】(5)ビカット軟化温度 上記熱安定性試験で作製した5mm厚のCPVCシート
を、15mm角に切り出して測定用サンプルとし、J1
S K 7206(重り1.0kgf)に準拠して測定
した。
【0102】
【発明の効果】本発明によって得られるCPVCは、上
述の樹脂構造からなるので、ゲル化性能及び耐熱性に優
れている。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニ
    ル系樹脂は、BET比表面積値が1.3〜8m 2 /gで
    あり、ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表
    面分析において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネ
    ルギー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×
    2/炭素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、
    且つ、 塩素化反応において、塩化ビニル系樹脂を水性媒体中で
    懸濁状態となした状態で、反応器内に液体塩素又は気体
    塩素を導入し、反応温度を20〜60℃の範囲で、10
    時間半減期温度が20〜60℃の範囲の油溶性開始剤を
    使用して、塩素化反応を行うことを特徴とする塩素化塩
    化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニ
    ル系樹脂は、BET比表面積値が1.3〜8m 2 /gで
    あり、ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表
    面分析において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネ
    ルギー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×
    2/炭素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、
    且つ、塩素化反応において、塩化ビニル系樹脂と塩素原
    子を含む液状物質とを水性媒体中で懸濁状態となした状
    態で、油溶性開始剤を添加し、その油溶性開始剤の10
    時間半減期温度は10〜60℃の範囲であり、その10
    時間半減期温度をT(℃)とすると、〔T−30〕〜
    〔T−10〕(℃)の範囲で5〜60分間保持した後、
    系内温度を〔T−5〕〜〔T+25〕(℃)の範囲にし
    て塩素化反応進めることを特徴とする塩素化塩化ビニル
    系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩素原子を含む液状物質が液体塩素であ
    ることを特徴とする請求項2記載の塩素化塩化ビニル系
    樹脂の製造方法。
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