JP4097611B2 - ポリオレフィン鎖含有ブロックポリマー - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン鎖とポリオレフィンを側鎖に持つグラフトポリマー鎖とが結合したブロックポリマーに関する。
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンは、軽量かつ安価な上に、優れた物性と加工性を持つという特性を有する反面、印刷性、塗装性、耐熱性、耐衝撃性および他の極性を有するポリマーとの相溶性などの高機能性を付与するという観点ではその高い化学的安定性が妨げとなっている。この欠点を補い、ポリオレフィンに機能性を持たせる方法として、例えばラジカル重合法によりオレフィンと酢酸ビニル、メタクリル酸エステルなどの極性モノマーを共重合する方法や、過酸化物の存在下にポリオレフィンに無水マレイン酸などの極性モノマーをグラフトさせる方法が知られている。しかしながら、これらの方法は得られるポリマー中におけるポリオレフィン部分の構造を精密に制御することが困難であり、ポリオレフィン本来の優れた物性を保持するには不充分であった。
構造が精密に制御されたポリオレフィン部分を有し、かつポリオレフィンのみでは発現し得ない機能を有するポリマー構造の一形態として、ポリオレフィンと極性ポリマーのブロックポリマーが挙げられる。このようなブロックポリマーの製造例としては、例えば国際公開WO98/02472号や、特開昭60−252614号公報、特開昭60−252623号公報、特表平5−503546号公報、特開平8−92338号公報などにポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンとポリメチルメタクリレートなどの極性ポリマーとのブロックポリマーを製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの先行文献に記載されているブロックポリマーは、一分子中に1種類のポリオレフィン鎖しか存在しないため、例えば1種類のポリオレフィンと極性ポリマーに対する相容化剤
として使用することはできても、複数のポリオレフィンと極性ポリマーの混合系に対する相容化剤や改質剤としてはポリオレフィン同士の相容化能に劣るため使用できないという難点があり、また、ブロックポリマー中のポリオレフィンと極性ポリマーとの含有量を制御するには、重合条件の選択により分子量を精密にコントロールする方法しかなく、実際にそれぞれのセグメントの含有量をコントロールすることは困難である。
WO98/02472号公報 特開昭60−252614号公報 特開昭60−252623号公報 特表平5−503546号公報 特開平8−92338号公報
かかる現状に鑑みて本発明者らは鋭意検討の結果、末端に官能基を有するポリオレフィンと、ポリオレフィン側鎖を含有するグラフトポリマーとが結合した、新規な構造を有するブロックポリマー、およびその製造方法を発明するに至った。本発明のブロックポリマーは、分子中に複数のポリオレフィンセグメントを持つため、互いに相容化しないポリオレフィン同士と極性ポリマーとの混合系においても充分な相容化能や改質能が期待でき、かつ、ポリオレフィンセグメントと極性ポリマーセグメントの含有量コントロールにおいて、各セグメントの分子量を制御する方法以外にポリオレフィン側鎖のグラフト量を制御する方法を用いてコントロールすることが可能であり、より汎用性の高い分野に適用できる。
本発明に係るブロックポリマーは、下記一般式(I)で表される。
Figure 0004097611
〔式(I)中、Xはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P1はCH2=CHR1(R1は炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させてなるポリマー鎖であり、P2はポリオレフィン鎖を側鎖に有するグラフトポリマー鎖である。〕
本発明の方法により、ポリオレフィン鎖とポリオレフィンを側鎖に持つグラフトポリマー鎖とが結合した新規なブロックポリマーが提供される。
本発明に係るブロックポリマーは、下記一般式(I)で表される。
Figure 0004097611
上記一般式(I)において、P1で表されるポリオレフィン鎖としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリヘキセンなどのα−オレフィンのホモ重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などのエチレン系共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体などのプロピレン系共重合体などが挙げられる。
Xで表されるヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基としては、具体的にはエステル基、エーテル基、アミド基から選ばれる基を含む基である。以下にXとして具体的な構造式を例示する。
Figure 0004097611
2で表される、ポリオレフィン鎖を側鎖に有するグラフトポリマー鎖としては、主鎖が付加重合によって製造されるポリマー鎖であり、且つ側鎖がポリオレフィン鎖であれば制限なく使用できる。具体的には、主鎖としてはポリ(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド系ポリマー、ポリ(メタ)アクリロニトリル系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーなどを、側鎖としては上記P1で例示されたものと同様のポリオレフィンなどを例示することができる。
以下に、本発明に係るブロックポリマーの製造法について具体的に説明する。
上記一般式(I)で表されるブロックポリマーは、例えば次に示される工程1、工程2および工程3を順次実施することによって製造される。
(工程1)下記一般式(V)
Figure 0004097611
〔式(V)中、Zは13族元素を含む基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、酸無水物基から選ばれる官能基を含む基であり、P1は上記一般式(I)と同一である。〕
で表される末端に官能基を有するポリオレフィンを製造する工程。
(工程2)前記一般式(V)中のZで示される官能基を含む基を、ラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する基に変換する工程。
(工程3)前記工程2で得られた、ラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する基を持つポリオレフィンを重合開始剤として、下記一般式(II)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A1)、下記一般式(III)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A2)および下記一般式(IV)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A3)
Figure 0004097611
Figure 0004097611
Figure 0004097611
〔式(II)(III)(IV)中、R2は水素原子またはメチル基であり、Yはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P3はCH2=CHR3(R3は炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させてなるポリマー鎖である。〕
から選ばれるマクロモノマーを単独重合あるいは2種類以上を共重合するか、または(A1)(A2)および(A3)から選ばれる少なくとも1種類以上のマクロモノマーと炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマー(B)とを共重合することによりグラフトポリマーを製造する工程。
以下、各工程別に本発明のグラフトポリマーの製造方法について詳細に述べる。
工程1は、上記一般式(IV)で示される、末端に13族元素を含む基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、あるいは酸無水物基から選ばれる官能基を含む基を有するポリオレフィンを製造する工程である。以下、上記の官能基を含む基を有するポリオレフィンを製造する方法例について述べるが、本発明はこれらの方法に何ら限定されるものではない。
13族元素を含む基を有するポリオレフィンの製造
13族元素を含む基を有するポリオレフィンの製造方法は、(a)13族元素を含む化合物の存在下で公知重合触媒によってオレフィン重合する方法と、(b)末端に不飽和結合を持つポリオレフィンと13族元素を含む化合物と反応によって製造する方法に大別される。
以下、各々について説明する。
〔(a)13族元素を含む化合物の存在下でオレフィン重合する方法〕
13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、例えば既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒を用いて13族元素を含む化合物の存在下、CH2=CHR1で示されるオレフィンを単独重合または共重合させて製造される。R1は、炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。
このようなCH2 =CHR1 で示されるオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンなどが挙げられる。
13族元素を含む化合物としては、例えば有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば下記式(VI)で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
Ra nAlA3-n ・・・・・(VI)
〔式(VI)中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Aはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。〕
a は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド
;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
また有機アルミニウム化合物として、下記式(VII)で示される化合物を用いることもできる。
Ra nAlB3-n ・・・・・(VII)
上記式(VII)において、Raは上記と同様であり、Bは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg)AlRh 2 基であり、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、RdおよびRh はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Re は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物を例示できる。
(i)Ra nAl(ORb)3-nで表される化合物、例えば、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、(ii)Ra nAl(OSiRc)3-nで表される化合物、例えば、Et2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など、(iii)Ra nAl(OAlRd 2)3-nで表される化合物、例えば、 Et2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2など、(iv)Ra nAl(NRe 2)3-nで表される化合物、例えば、Me2AlNEt2、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt 、Et2AlN(Me3Si)2 、(iso-Bu)2AlN(Me3Si)2 など、(v)Ra n Al(SiRf 3)3-nで表される化合物、例えば、(iso-Bu)2AlSiMe3など、(vi)Ra nAl〔N(Rg )-AlRh 2 3-nで表される化合物、例えば、Et2AlN(Me)-AlEt2、(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2など。
また、これに類似した化合物、例えば酸素原子、窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。より具体的には、(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2、など、さらにメチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類(有機アルミニウムオキシ化合物)を挙げることができる。
また、下記式(VIII)の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
RaAlAB ・・・・・(VIII)
〔Ra、A、Bは上記式(VI)または(VII)と同様である。〕
13族元素を含む化合物として、有機ホウ素化合物を用いることもできる。有機ホウ素化合物としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、テキシルボラン、ジシクロヘキシルボラン、ジシアミルボラン、ジイソピノカンフェニルボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、カテコールボラン、B-ブロモ-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ボラン-トリエチルアミン錯体、ボラン-メチルスルフィド錯体などが挙げられる。
また、有機ホウ素化合物としてイオン性化合物を使用してもよい。このような化合物としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモンニウム]ノナボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモンニウム]デカボレートなどが挙げられる。
また、これらの13族元素を含む化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いることもできる。
〔(b)末端に不飽和結合を持つポリオレフィンから製造する方法〕
また、13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、末端に不飽和結合を持つポリオレフィンを用いて製造することもできる。具体的には、末端が不飽和結合であるポリオレフィンと、13族元素を含む化合物、例えば有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物とを反応させて、13族元素を含む基を有するポリオレフィンとする方法である。
片末端が不飽和結合であるポリオレフィン(末端不飽和ポリオレフィン)は、例えば既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒の存在下に炭素原子数2〜20のオレフィンを重合または共重合させて製造することができる。炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましく用いられる。
このようにして得られた末端不飽和ポリオレフィンと13族元素を含む化合物を反応させて13族元素を含む基を有するポリオレフィンに変換する。なお、得られたポリオレフィンが、片末端に13族元素が結合したものと、片末端が不飽和結合末端であるものとの混合物である場合にも、必要に応じて、片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンの末端を13族元素が結合した末端に変換してもよい。
反応に用いられる13族元素を含む化合物は、有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物が好ましく用いられる。中でも、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハイドライドまたは1つ以上の水素−ホウ素結合を有するホウ素化合物であることがより好ましく、有機アルミニウムとしてはジアルキルアルミニウムハイドライドが特に好ましく、有機ホウ素化合物としては9-ボラビシクロ[3,3,1]ノナンが特に好ましい。
片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンと、13族元素を含む化合物との反応は、例えば以下のようにして行われる。
(i) 末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、ジイソブチルアルミニウムハイドライドの0.01〜5モル/リットル−オクタン溶液を5〜1000ミリリットルとを混合し、0.5〜6時間還流させる。
(ii) 末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、5〜1000ミリリットルの無水テトラヒドロフランと、0.1〜50ミリリットルの9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの0.05〜10モル/リットル−テトラヒドロフラン溶液とを混合し、20〜65℃で0.5〜24時間攪拌する。
以上のようにして、13族元素を含む基を有するポリオレフィンが製造される。
水酸基含有ポリオレフィンへの変換
このようにして製造された13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、
(方法a)該ポリオレフィンの13族元素を含む基と官能基構造を有する化合物との置換反応を行い、次いで加溶媒分解するか、または、
(方法b)該ポリオレフィンの13族元素を含む基を加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物との置換反応を行い、次いで加溶媒分解することにより、一般式(V)におけるZが水酸基を含む基である下記一般式(IX)で示されるポリオレフィンに変換することができる。
Figure 0004097611
式中、P1は前記と同様である。
(方法a)で用いられる、官能基構造を有する化合物としては、ハロゲンガス、メチルクロロホルミエート、フタル酸クロライドなどが挙げられる。また、(方法b)で用いられる、加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物としては、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素などが挙げられる。
上記のようにして得られた13族元素を含む基を有するポリオレフィンの13族元素を含む基と、官能基構造を有する化合物または加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物との置換反応は、通常0〜300℃、好ましくは10〜200℃の温度で、0〜100時間、好ましくは0.5〜50時間行われる。置換反応を行った後、加溶媒分解する際の温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度であり、加溶媒分解時間は、0〜100時間、好ましくは0.5〜50時間である。加溶媒分解に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水などが挙げられる。
また、上記一般式(V)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zがエポキシ基であるポリオレフィンは、前記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンを、例えば特開昭63−305104号公報などに示される方法を用いて不飽和結合をエポキシ化することによっても製造することができる。
具体的には、上記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンに、1) ギ酸、酢酸などの有機酸と過酸化水素との混合物を反応させる、あるいは、2) m-クロロ過安息香酸などの有機過酸化物を反応させることによって製造することができる。
さらに、上記一般式(V)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zが酸無水物基であるポリオレフィンは、上記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンを、例えばMakromol. Chem. Macromol. Symp., 48/49, 317 (1991)、あるいはPolymer, 43, 6351 (2002) などに示される方法を用いて、例えば無水マレイン酸などと熱反応させることにより末端に酸無水物を導入する方法を用いて製造することができる。
また、上記一般式(V)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zがカルボキシル基であるポリオレフィンは、上記一般式(IX)で示される水酸基を有するポリオレフィンを酸化することにより水酸基をカルボキシル基に変換する方法を用いて製造することができる。
また、上記一般式(V)で示される末端に官能基を有するポリオレフィンは、既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒を用い、CH2=CHR4で示されるオレフィンと官能基を有するオレフィン類とを共重合することによっても製造することが可能である。官能基を有するオレフィン類を末端に選択的に導入する方法については、例えばJ. Am. Chem. Soc., 124, 1176 (2002)の成書に示されるような方法を例示することができる。R4は、炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。
このようなCH2 =CHR4で示されるオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンなどが挙げられる。
共重合に用いられる官能基を有するオレフィン類としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、10−ウンデセン−1−オールなどの炭化水素部分が直鎖状である不飽和アルコール類、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸などの不飽和カルボン酸類、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物および上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類、上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類などが挙げられる。
工程2は、前記工程1で得られたポリオレフィン中の末端官能基をラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する基に変換する工程である。ラジカル重合開始能を有する基としては、例えばChem. Rev., 101, 3661 (2001)の成書で開示されているような、ニトロキシドを有する基が結合し、熱的な開裂によりラジカルを発生させるものや、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)やChem. Rev., 101, 3689 (2001)などの成書で開示されているような、末端ハロゲン原子を有する基が結合し、ルテニウムや銅の塩化物またはそれらの遷移金属原子を有する錯体を添加することによりラジカルを発生させるもの、またはアゾ基を有する基や酸素−酸素結合を有する基が結合し、熱的な開裂によりラジカルを発生させるものなどを例示することができる。
これらのラジカル重合開始能を有する基への前記一般式(V)で表されるポリオレフィンに含まれる末端官能基の変換方法としては、ラジカル重合開始能を有する基と前記一般式(V)で表されるポリオレフィンに含まれる末端官能基と反応しうる官能基の両方を有する化合物(C)と、前記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンとを反応させる方法が挙げられる。
ラジカル重合開始能を有する基と前記一般式(V)で表されるポリオレフィンに含まれる末端官能基と反応しうる官能基の両方を有する化合物(C)の具体例としては、例えば下図に示すような化合物を例示することができる。
Figure 0004097611
また、化合物(C)の具体例としては、2,2'アゾビス(2−シアノプロパノール)、3,3'−アゾビス(3−シアノブタノール)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノール)、5,5'−アゾビス(5−シアノヘキサノール)、6,6'−アゾビス(6−シアノヘプタノール)、7,7'−アゾビス(7−シアノオクタノール)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、5,5'−アゾビス(5−シアノヘキサン酸)、6,6'−アゾビス(6−シアノヘプタン酸)、7,7'−アゾビス(7−シアノオクタン酸)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸クロリド)、5,5'−アゾビス(5−シアノヘキサン酸クロリド)、6,6'−アゾビス(6−シアノヘプタン酸クロリド)、7,7'−アゾビス(7−シアノオクタン酸クロリド)などの官能基含有アゾ化合物類なども挙げられる。
また、これらの化合物との反応による変換方法の他に、例えばProg. Polym. Sci., 27, 39 (2002)に開示されているような方法によってラジカル重合開始能を持つ官能基に変換することもできる。すなわち、13族元素を含む基を有するポリオレフィンを酸化することにより、13族元素と炭素原子との間にラジカル重合開始能を有する酸素−酸素結合を導入することができる。このようにして得られた酸素−酸素結合は熱的にホモ開裂し、ラジカル重合開始剤として機能する。
上記一般式(V)で表されるポリオレフィンの末端官能基をアニオン重合開始能を持つ化合物に変換する方法としては、例えば末端に水酸基を有するポリオレフィンを、金属リチウムや金属カリウムなどのアルカリ金属類、水素化リチウムや水素化カリウムなどのアルカリ金属の水素化物類、上記一般式(VI)、(VII)および(VIII)で表されるアルキルアルミニウム化合物類などと反応させることによって金属アルコキシド含有ポリオレフィンとする方法が挙げられる。
上記一般式(V)で表されるポリオレフィン中に含まれる末端官能基をラジカル重合またはアニオン重合開始能を持つ基に変換する際の、上記一般式(V)で表されるポリオレフィン中に含まれる末端官能基に対する上記ラジカル重合開始能を有する基と前記一般式(V)で表されるポリオレフィンに含まれる末端官能基と反応しうる官能基の両方を有する化合物(C)の使用量は、少なすぎるとポリオレフィン中に含まれる末端官能基の変換率が低くなるため、工程3で得られるブロックポリマーの収量が低下し、多すぎると未反応の化合物(C)が残留し、工程3においてホモポリマーが副生する可能性があるため、上記一般式(V)で表されるポリオレフィン中に含まれる末端官能基に対して、通常0.1〜100倍モル、好ましくは0.3〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜10倍モ
ルである。
反応溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキセンなどの脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、2,4-ジクロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、複数を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記化合物(C)との反応においては、反応に関与する官能基の種類にもよるが、縮合剤や塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。
縮合剤としては、例えば濃硫酸、五酸化二リン、無水塩化亜鉛などの無機脱水縮合剤類、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩などのカルボジイミド類、ポリリン酸、無水酢酸、カルボニルジイミダゾール、p−トルエンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
塩基性触媒としては、具体的には、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン類、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウムなどのアルカリ金属化合物類などが挙げられる。
反応温度は、通常−100〜200℃であり、好ましくは−50〜150℃である。反応時間は、反応温度や使用する化合物(C)および官能基を有するポリオレフィンの種類や量によって異なるが、通常1〜48時間である。
なお、一般式(V)で示される官能基を有するポリオレフィンおよび上記化合物(C)のうち、官能基としてカルボキシル基を持つ場合には、まず、例えば五塩化リンや塩化チオニルなどと反応させて酸クロリド化合物とし、これとそれぞれ対応する化合物(C)または上記一般式(V)で示される官能基を有するポリオレフィンとを適当な溶媒中、塩基の存在下、反応させることによっても製造することができる。
工程3は、上記工程1および2で得られたラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する官能基を持つポリオレフィンをマクロ開始剤として、下記一般式(II)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A1)、下記一般式(III)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A2)および下記一般式(IV)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A3)
Figure 0004097611
Figure 0004097611
Figure 0004097611
〔式(II)(III)(IV)中、R2は水素原子またはメチル基であり、Yはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P3はCH2=CHR3(R3は炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させてなるポリマー鎖である。〕
から選ばれるマクロモノマーを単独重合あるいは2種類以上を共重合するか、または(A1)(A2)および(A3)から選ばれる少なくとも1種類以上のマクロモノマーと炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマー(B)とを共重合することによりポリオレフィンの末端からグラフトポリマー鎖を重合する工程である。
本工程で用いられるポリオレフィンマクロモノマーのうち、上記一般式(II)で表される末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するポリオレフィンマクロモノマー(A1)は、末端に水酸基を有するポリオレフィンとアクリル酸ハライド、メタクリル酸ハライド、アクリル酸またはメタクリル酸とを反応させることにより得られる。
末端に水酸基を有するポリオレフィンは、上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンのうち、Zが水酸基であるものと同様の方法で製造される。得られた末端に水酸基を有するポリオレフィンとアクリル酸ハライド、メタクリル酸ハライド、アクリル酸またはメタクリル酸との反応は、例えば以下のようにして行われる。
[1]トリエチルアミン等の塩基存在下、末端に水酸基を有するポリオレフィンをアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等のアクリル酸ハライドまたはメタクリル酸ハライドと反応させる方法。
[2]酸触媒の存在下、末端に水酸基を有するポリオレフィンをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させる方法。
反応に際し、アクリル酸ハライド、メタクリル酸ハライド、アクリル酸またはメタクリル酸は、ポリオレフィン末端の水酸基1モルに対し、0.1〜100モル、好ましくは0.2〜50モルの範囲で用いられる。反応温度は、通常−100〜150℃、好ましくは0〜120℃であり、反応時間は通常0.1〜48時間、好ましくは0.5〜12時間である。
ポリオレフィンマクロモノマーのうち、上記一般式(V)で表される末端にスチリル基を有するポリオレフィンマクロモノマー(A2)は、下記一般式(X)
Figure 0004097611
〔式(X)中、Wはハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、イソシアナート基から選ばれる官能基を含む基である。〕
で示されるスチレン誘導体と、下記一般式(XI)
Figure 0004097611
〔式(XI)中、Vは水酸基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、イソシアナート基から選ばれる官能基を含む基であり、P3は上記一般式(V)中のP1と同一である。〕で表される末端に官能基を有するポリオレフィンとを反応させることにより得られる。上記一般式(XI)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンは、上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと同様の方法で製造される。
上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体の具体例としては、例えばm−クロロスチレン、p−クロロスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、m−ヨードスチレン、p−ヨードスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、m−ブロモメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、m−ヨードメチルスチレン、p−ヨードメチルスチレン、p−(2−クロロエチル)スチレン、p−(2−ブロモエチル)スチレン、p−(3−クロロプロピル)スチレン、p−(3−ブロモプロピル)スチレン、p−(4−クロロブチル)スチレン、p−(4−ブロモブチル)スチレン、p−(5−クロロペンチル)スチレン、p−(5−ブロモペンチル)スチレン、p−(6−クロロヘキシル)スチレン、p−(6−ブロモヘキシル)スチレンなどのハロゲン含有スチレン類、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシメチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−(2−ヒドロキシエチル)スチレン、p−(3−ヒドロキシプロピル)スチレン、p−(4−ヒドロキシブチル)スチレンなどの水酸基含有スチレン類、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、(3−ビニルフェニル)酢酸、(4−ビニルフェニル)酢酸、3−(4−ビニルフェニル)プロピオン酸、4−(4−ビニルフェニル)ブタン酸、5−(4−ビニルフェニル)ペンタン酸、6−(4−ビニルフェニル)ヘキサン酸などのカルボキシル基含有スチレン類、3−ビニル安息香酸クロリド、4−ビニル安息香酸クロリド、3−ビニル安息香酸ブロミド、4−ビニル安息香酸ブロミド、3−ビニル安息香酸ヨージド、4−ビニル安息香酸ヨージド、(3−ビニルフェニル)酢酸クロリド、(4−ビニルフェニル)酢酸クロリド、3−(4−ビニルフェニル)プロピオン酸クロリド、4−(4−ビニルフェニル)ブタン酸クロリド、5−(4−ビニルフェニル)ペンタン酸クロリド、6−(4−ビニルフェニル)ヘキサン酸クロリドなどの酸ハロゲン化物基含有スチレン類、3−ビニルアニリン、4−ビニルアニリン、3−ビニルベンジルアミン、4−ビニルベンジルアミン、2−(4−ビニルフェニル)エチルアミン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルアミン、4−(4−ビニルフェニル)ブチルアミン、5−(4−ビニルフェニル)ペンチルアミンなどのアミノ基含有スチレン類、グリシジル−(3−ビニルベンジル)エーテル、グリシジル−(4−ビニルベンジル)エーテルなどのエポキシ基含有スチレン類、3−イソシアナートスチレン、4−イソシアナートスチレン、3−イソシアナートメチルスチレン、4−イソシアナートメチルスチレン、4−(2−イソシアナートエチル)スチレン、4−(3−イソシアナートプロピル)スチレン、4−(4−イソシアナートブチル)スチレンなどのイソシアナート基含有スチレン類などが挙げられる。
上記一般式(III)で示されるポリオレフィン鎖P3の末端にスチリル基を有するポリオレフィンマクロモノマーを製造する際の、上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンとの組み合わせについては、例えば下記に示される組み合わせが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(1)上記一般式(X)において、Wがカルボキシル基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(2)上記一般式(X)において、Wがカルボキシル基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vがアミノ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(3)上記一般式(X)において、Wが水酸基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vがエポキシ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(4)上記一般式(X)において、Wが水酸基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vがカルボキシル基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(5)上記一般式(X)において、Wが水酸基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが酸無水物基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(6)上記一般式(X)において、Wが水酸基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが酸ハロゲン基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(7)上記一般式(X)において、Wが酸ハロゲン基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(8)上記一般式(X)において、Wが酸ハロゲン基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vがアミノ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(9)上記一般式(X)において、Wがハロゲンを含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(10)上記一般式(X)において、Wがエポキシ基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(11)上記一般式(X)において、Wがアミノ基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vがカルボキシル基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(12)上記一般式(X)において、Wがアミノ基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが酸ハロゲン基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(13)上記一般式(X)において、Wがアミノ基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが酸無水物基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(14)上記一般式(X)において、Wがイソシアナート基を含む基であるスチレン誘導体と、上記一般式(XI)において、Vが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
本発明の末端にスチリル基を有するポリオレフィンマクロモノマーを製造する際の上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンに対する上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体の使用量は、官能基を有するポリオレフィンに対して、通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜10倍モルである。
反応溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキセンなどの脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、2,4-ジクロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、複数を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体と上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンとの反応に際しては、反応を効率よく進行させるために、必要に応じて縮合剤を添加することができる。
縮合剤としては、例えば濃硫酸、五酸化二リン、無水塩化亜鉛などの無機脱水縮合剤類、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩などのカルボジイミド類、ポリリン酸、無水酢酸、カルボニルジイミダゾール、p−トルエンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
また、上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体と上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンとの反応は塩基性触媒の存在下で行うのが好ましい。具体的には、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、n−ブチルリチウムなどのアルカリ金属化合物類などが挙げられる。
なお、上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体および上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、官能基としてカルボキシル基を持つ場合には、まず、例えば五塩化リンや塩化チオニルなどと反応させて酸クロリド化合物とし、これとそれぞれ対応する上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンおよび上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体とを適当な溶媒中、反応させることによっても製造することができる。
また、上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体のうち、ハロゲン原子を含む基を持つ場合には、まず、Vが水酸基である上記一般式(XI)で示される官能基を有するポリオレフィンを金属アルコキシド化剤でアルコキシドに変換し、これとハロゲン原子を含む基を持つ上記一般式(X)で示されるスチレン誘導体とを適当な溶媒中、反応させることによっても製造することができる。金属アルコキシド化剤としては、例えば金属ナトリウム、金属カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ソーダアミドなどが挙げられる。
本工程で用いられるポリオレフィンマクロモノマーのうち、上記一般式(V)で表される末端にビニル基またはビニリデン基を有するポリオレフィンマクロモノマー(A3)は、例えば既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒の存在下に炭素原子数2〜20のオレフィンを重合または共重合させて製造することができる。炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましく用いられる。
また、上記オレフィン重合触媒の存在下に重合して得られたポリオレフィンを、熱またはラジカルにより分解して得られる、分子末端の一部または全部に二重結合を有する低分子量ポリオレフィンも、ポリオレフィンマクロモノマー(A3)として用いることができる。
このようにして上記一般式(II)、(III)、(IV)で表されるポリオレフィンマクロモノマー(A1)、(A2)、(A3)が製造される。
本発明に係るブロックポリマーは、前記工程1および2によって得られたラジカル重合またはアニオン重合開始能を有するポリオレフィン開始剤の存在下、ポリオレフィンマクロモノマー(A1)、(A2)、(A3)を単独あるいは2種類以上を組み合わせて、または(A1)(A2)および(A3)から選ばれる少なくても1種のマクロモノマーと炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマー(B)とを組み合わせて共重合することにより製造される。
モノマー(B)は、炭素ー炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる。炭素−炭素不飽和結合とは炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合である。このような有機化合物の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、N−ビニルカルバゾール、インデン、イソブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。また、これらの有機化合物単独あるいは複数を重合して得られるポリマーの末端に重合性の(メタ)アクリロイル基やスチリル基などを有する化合物、すなわち、マクロモノマーも成分(B)として使用できる。これらの有機化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて成分(B)として使用しても構わない。
本発明に係るラジカル重合は、必要に応じて触媒の共存下で実施される。このような触媒としては、CuBr、CuCl、RuCl、RuCl、FeCl、FeClなどを例示することができる。触媒を用いる場合、その使用量はポリオレフィン末端に存在するラジカル重合開始能を有する末端基の量によるが、通常、ラジカル重合開始能を有する末端基の量に対し、0.1〜100等量、好ましくは0.5〜50等量である。また、反応系中での触媒の溶解性を上げるために、配位性の脂肪族アミン類や芳香族アミン類などを添加することや、反応促進剤としてのアルコキシアルミニウムを添加することもできる。
ラジカル重合において使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
反応温度はラジカル重合反応が進行する温度であれば何れでも構わず、所望する重合体の重合度、使用するラジカル重合開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、−100℃〜250℃である。好ましくは−50℃〜180℃であり、更に好ましくは0℃〜160℃である。反応は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施できる。上記重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
アニオン重合においては、使用できる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、モノグリム、ジグリムなどのエーテル系溶媒などが用いられる。これらの溶媒は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、芳香族炭化水素とエーテル系溶媒が好ましく用いられる。重合は、通常−100℃〜100℃、好ましくは−80℃〜80℃、より好ましくは−70℃〜70℃の重合温度で、1分間〜500時間、好ましくは10分間〜300時間、より好ましくは15分間〜150時間かけて実施される。
上記工程1〜3を順次実施することにより、上記一般式(I)で表されるブロックポリマーが製造される。
また、本発明に係る、上記一般式(I)で表されるブロックポリマーは、例えば次に示される工程4、工程5および工程6を順次実施することによっても製造できる。
(工程4)上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンを製造する工程。
(工程5)下記一般式(XII)
Figure 0004097611
〔式(XII)中、Sはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P2はポリオレフィン鎖を側鎖に有するグラフトポリマー鎖である。〕で表される末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーを製造する工程。
(工程6)上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)で表される末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーとを結合する工程。
以下、各工程別に本発明のグラフトポリマーの製造方法について詳細に述べる。
工程4は、前記工程1と同様の方法を用いることができる。
工程5は、末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーを製造する工程である。このようなグラフトポリマーを製造する方法としては、前記工程2において使用した、ラジカル重合開始能を有する基と上記一般式(V)で表されるポリオレフィンに含まれる末端官能基と反応しうる官能基の両方を有する化合物(C)を開始剤として、前記工程3において使用したポリオレフィンマクロモノマー(A1)、(A2)および(A3)から選ばれるマクロモノマーを単独重合あるいは2種類以上を共重合するか、または(A1)、(A2)および(A3)から選ばれる少なくとも1種類以上のマクロモノマーと炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマー(B)とを共重合することにより製造される。得られた上記一般式(XII)で表されるポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーは、その末端に開始剤に由来する官能基を有する。
工程6は、前記工程4により得られた末端に官能基を有するポリオレフィンと、前記工程5により得られた末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーとのカップリング反応を行う工程である。この工程を実施する際の、上記一般式(V)で表されるポリオレフィン中に含まれる官能基Zと、上記一般式(XII)で表されるグラフトポリマー中に含まれる末端官能基Sとの組み合わせについては、例えば下記に示される組み合わせが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(1)上記一般式(V)において、Zがカルボキシル基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(2)上記一般式(V)において、Zがカルボキシル基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがアミノ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(3)上記一般式(V)において、Zが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがエポキシ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(4)上記一般式(V)において、Zが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがカルボキシル基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(5)上記一般式(V)において、Zが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sが酸ハロゲン基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(6)上記一般式(V)において、Zが酸ハロゲン基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(7)上記一般式(V)において、Zが酸ハロゲン基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがアミノ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(8)上記一般式(V)において、Zが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがハロゲンを含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(9)上記一般式(V)において、Zがエポキシ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sが水酸基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(10)上記一般式(V)において、Zがアミノ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sがカルボキシル基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
(11)上記一般式(V)において、Zがアミノ基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)において、Sが酸ハロゲン基を含む基である末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマー。
上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)で表される末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーとの反応に際しての反応溶媒、反応温度、反応時間、用いる縮合剤や塩基性触媒などの各反応条件は、上記工程2における上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと上記化合物(C)との反応条件をラジカル重合またはアニオン重合開始能を持つ基に変換する際の反応条件と同一の条件を適用できる。
上記工程4〜6を順次実施することにより、上記一般式(I)で表されるブロックポリマーが製造される。
上記の方法により生成したブロックポリマーは、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーの留去あるいは非溶媒による再沈殿などの公知の方法を用いることにより単離される。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)マクロモノマーの合成
[末端Al化エチレン−プロピレン共重合体(EPR)の合成]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン800mlを入れ、エチレン20リットル/h、プロピレン80リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、50℃にてMAOをAl換算で20ミリモルおよびジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド0.02ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、50℃で120分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を停止した。反応液を1N塩酸水溶液100mlで5回洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、グラスフィルター(G3)でろ過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮し、得られたオイル状物質を10時間真空乾燥して無色透明のオイル状EPR118.7gを得た。該ポリマーの分子量(EPR
換算)をGPCにより測定したところ、Mwが1690、Mnが430、Mw/Mnは4.0であった。また、IR分析により該ポリマーのプロピレン含量は49mol%であり、末端ビニリデン基は1000炭素当たり27.5個含まれていた。得られた末端ビニリデン基含有EPR100gを充分窒素置換した1Lのガラス製反応器に入れ、トルエン500mlおよびジイソブチルアルミニウムヒドリド50mlを加えて110℃で6時間加熱攪拌を行った。このようにして末端Al化EPRを含むトルエン溶液を得た。
[末端OH化EPRの合成]
上記にて得られたトルエン溶液を105℃に保ち、窒素ガスを乾燥空気に切り替え、該温度を保ちながら100リットル/hの流量で7時間供給しつづけた後、溶液を分液漏斗に移し、1N塩酸水溶液300mlで3回洗浄し、さらに水200mlで2回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、グラスフィルター(G3)でろ過し、ろ液を濃縮後、得られた黄色オイル状物質を10時間真空乾燥して107.9gのオイル状ポリマーを得た。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルを1H−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、3.3−3.6ppmにヒドロキシル基に隣接するメチレン基に基づくシグナルが認められた。すなわち、以下の構造(化16)の末端を有するEPRが存在することを確認した。また、積分値からOH基含量は2.8mol%と算出された。
Figure 0004097611
[EPRマクロモノマーの合成]
充分窒素置換した200ml2口フラスコに、上記にて得られた末端OH化EPR50gを入れ、乾燥トルエン60mlおよびトリエチルアミン13.0ml、メタクリル酸クロリド18.3mlを加えて室温で18時間攪拌した。得られた反応液を1N塩酸水溶液200mlで3回洗浄し、さらに水200mlで3回洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。グラスフィルター(G3)で硫酸マグネシウムをろ別し、得られたろ液を濃縮して57.2gの黄褐色オイル状ポリマーを得た。このポリマー32.4gをヘキサンに溶解し、カラムクロマトグラフィーにより精製して微黄色オイル状ポリマー22.4gを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが1400、Mnが580、Mw/Mn=2.3であった。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルを1H−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、EPRに基づくシグナルの他に以下のシグナルが検出された。δ1.95ppm(s、3H;=C−C3)、δ3.8−4.1ppm(m、2H;−COO−C2−)、δ5.55ppm(s、1H;C2=)、δ6.1ppm(s、1H;C2=)。すなわち、以下の構造(化17)の末端を有するEPRマクロモノマーが存在することを確認した。また、積分値からメタクリル基含量は3.8mol%と算出された。
Figure 0004097611
(2)末端に水酸基を有するポリエチレン(PE)の合成
[末端アリルアルコール修飾PEの合成]
窒素置換された1Lガラス製重合器に、トルエン900mLを入れ、トリエチルアルミニウム 6.6ml(48mmol)、アリルアルコール 2.72ml(40mmol)を加え、50℃で5分間撹拌した。別の窒素置換された20mLシュレンクフラスコに、下記(化18)メタロセン 17.6mgを入れ、メチルアルモキサン(MAO)のトルエン溶液(Al=1.28M)1.12mlを加え、約10秒間撹拌した後、その溶液を重合溶液に添加した。同時に、エチレンガス を3L/hrで流通させ、50℃で105分撹拌した。イソブチルアルコール(30ml)と濃塩酸(6ml)で反応を停止させ、2Lのメタノールに注ぎポリマーを析出させた。一晩撹拌させた後、グラスフィルターでろ過し、得られたポリマーを50℃、10Torrの減圧条件下で10時間乾燥させ、8.63gの末端アリルアルコール修飾PEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で解析の結果、本ポリマーの分子量は、重量平均分子量(Mw)26500、分子量分布(Mw/Mn)は、2.26であった。1H−NMR測定の結果から、δ=3.3-3.4 ppmに、アリルアルコールの導入に由来する末端ヒドロキシメチレン(-CH 2-OH)のピークが観察された。
Figure 0004097611
(3)PE末端水酸基の重合開始基への変換
[2−ブロモイソブチリル基修飾PEの合成]
末端アリルアルコール修飾PE(Mw=26500、Mw/Mn=2.26)5.6gを、脱気窒素置換された500mL2口ナスフラスコに入れ、乾燥トルエン200ml、トリエチルアミン0.55ml、2−ブロモイソブチリルブロミド0.99mlをそれぞれ添加し、80℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応液をメタノール2Lに注ぎ析出したポリマーをグラスフィルターで濾過した。このとき、グラスフィルター上のポリマーをメタノール100mlで3回、1N塩酸100mlで1回、メタノール100mlで2回順次洗浄した。ポリマーを50℃、10Torrの減圧条件下で10時間乾燥させた。1H−NMRの結果から、δ=3.8-4.1 ppmに末端メチレン(-CH2-OCOCBr(CH3)2)が、δ=1.8 ppmに末端メチル(-CH2-OCOCBr(CH3)2)基が観察され、原料のヒドロキシメチレンピークが観察されないことから、すべてのヒドロキシル基が修飾された2−ブロモイソブチリル基修飾PEが得られたものと同定された。
(4)PE−b−(ポリメタクリル酸メチル−g−EPR)ブロックポリマーの合成
脱気窒素置換された100mlシュレンクフラスコに、2−ブロモイソブチリル基修飾PE 0.28g(末端Br:0.02mmol)、EPRマクロモノマー(MAEPR)0.40g(0.40mmol)をいれ、真空ポンプで脱気、窒素置換を5回繰り返した。
窒素気流下、更に、RuCl2(P(Ph)3)3 19mg(0.02mmol)、o−キシレン 0.98ml、ジ(n-ブチル)アミンの0.2M o-キシレン溶液0.40ml(0.08mmol),メタクリル酸メチル(MMA)0.42ml(3.96mmol)を順次加え、セプタムキャップを取り付けた。120℃に昇温し、撹拌しながら5時間反応させた。反応シュレンクフラスコを氷水で冷却した後、メタノール約5mlを加え反応を停止させ、更に、500mlのメタノールに注ぎ一晩撹拌した。析出したポリマーをグラスフィルターで濾別し、ポリマーを80℃、15Torrの減圧条件下で10時間乾燥させ、0.45gのポリマーを得た。1H−NMR測定より、エチレン:MMA:MAEPR(wt%)=60:28:12のPE−b−(MMA−g−EPR)ブロックポリマーを得た。
マクロモノマーの合成
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに精製トルエン250mlを入れ、エチレン40リットル/h、プロピレン60リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、60℃にてMAOをAl換算で12.5ミリモルおよびビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.05ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、60℃で180分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を停止した。反応液を1N塩酸水溶液200mlで5回洗浄し、さらに水200mlで2回洗浄後、ろ液を濃縮し、得られたオイル状物質を10時間真空乾燥して無色透明のオイル状EPR201.8gを得た。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルを1H−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、4.6−4.8ppmにビニリデン基に基づくシグナルが認められた。すなわち、以下の構造(化19)の末端を有するEPRが存在することを確認した。また、積分値から各ユニットの組成比はエチレン/プロピレン/ビニリデン基=51/47/2.1mol%と算出された。
Figure 0004097611
(2)PE−b−(PMMA−g−EPR)ブロックポリマーの合成
脱気窒素置換された30mlシュレンクフラスコに、2−ブロモイソブチリル基修飾PE 0.88g(末端Br:0.05mmol)、上記で合成したビニリデン基を有するEPRマクロモノマー(VdEPR)8.25g(5.0mmol)をいれ、真空ポンプで脱気、窒素置換を5回繰り返した。窒素気流下、更に、CuBr(I)7.3mg(0.05mmol)、o−キシレン 5.0ml、N,N,N',N',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(0.5M o-キシレン溶液)0.20ml(0.10mmol),メタクリル酸メチル(MMA)0.53ml(5.0mmol)を順次加え、セプタムキャップを取り付けた。120℃に昇温し、撹拌しながら5時間反応させた。反応シュレンクフラスコを氷水で冷却した後、メタノール約5mlを加え反応を停止させ、更に、400mlのメタノールに注ぎ一晩撹拌した。析出したポリマーをグラスフィルターで濾別し、フィルター上の固体をヘキサン10mlで3回洗浄した後、ポリマーを80℃、15Torrの減圧条件下で10時間乾燥させ、0.86gのポリマーを得た。1H−NMR測定より、エチレン:プロピレン:MMA(mol%)=60:28:12のPE−b−(PMMA−g−EPR)ブロックポリマーを得た。

Claims (4)

  1. 下記工程1、工程2および工程3を順次実施するか、または下記工程4、工程5および工程6を順次実施することによって、下記一般式(I)で表される、ポリオレフィン鎖Pとポリオレフィン側鎖を有するグラフトポリマー鎖Pとが結合基Xを介して結合したブロックポリマーを製造する方法
    Figure 0004097611
    〔式(I)中、Xはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、PはCH=CHR(Rは炭素原子数が1〜20の炭化水素基および水素原子から選ばれる基または原子)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させてなるポリマー鎖であり、Pはポリオレフィン鎖を側鎖に有するグラフトポリマー鎖である。〕
    (工程1)下記一般式(V)
    Figure 0004097611
    〔式(V)中、Zは13族元素を含む基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、酸無水物基から選ばれる官能基を含む基であり、P は上記一般式(I)と同一である。〕
    で表される末端に官能基を有するポリオレフィンを製造する工程。
    (工程2)前記一般式(V)中のZで示される官能基を含む基を、ラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する基に変換する工程。
    (工程3)前記工程2で得られた、ラジカル重合またはアニオン重合開始能を有する基を持つポリオレフィンを重合開始剤として、下記一般式(II)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A1)、下記一般式(III)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A2)および下記一般式(IV)で表される、ポリオレフィン鎖を有するマクロモノマー(A3)
    Figure 0004097611
    Figure 0004097611
    Figure 0004097611
    〔式(II)、(III)、(IV)中、R は水素原子またはメチル基であり、Yはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P はCH =CHR (R は炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させてなるポリマー鎖である。〕
    から選ばれるマクロモノマーを単独重合あるいは2種類以上を共重合するか、または(A1)、(A2)および(A3)から選ばれる少なくとも1種類以上のマクロモノマーと炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマー(B)とを共重合することによりグラフトポリマーを製造する工程。
    (工程4)上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンを製造する工程。
    (工程5)下記一般式(XII)
    Figure 0004097611
    〔式(XII)中、Sはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基であり、P はポリオレフィン鎖を側鎖に有するグラフトポリマー鎖である。〕で表される末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーを製造する工程。
    (工程6)上記一般式(V)で表される末端に官能基を有するポリオレフィンと、上記一般式(XII)で表される末端に官能基を有するポリオレフィン側鎖含有グラフトポリマーとを結合する工程。
  2. 上記一般式(III)において、Yで示される基が、カルボン酸エステル基、アミド基、エーテル基、カルバミン酸エステル基から選ばれる基を含むことを特徴とする請求項1に記載のブロックポリマーを製造する方法
  3. 上記一般式(I)において、Xで示される基が、エステル基、アミド基、エーテル基から選ばれる基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のブロックポリマーを製造する方法
  4. 上記一般式(I)中のポリオレフィン鎖Pと、上記一般式(II)および(III)中のポリオレフィン鎖Pとが互いに異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロックポリマーを製造する方法
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