JP2005289859A - X線ct用造影組成物およびその製造方法 - Google Patents

X線ct用造影組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
X線CT、特にマルチスライスCTスキャンに好適なX線CT用造影組成物およびその製造方法などを提供すること。
【解決手段】
本発明のX線CT用造影組成物は、脂質膜を有するリポソームを含み、該リポソームはその脂質膜にリン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、かつその脂質膜の内外の水相にヨウド系化合物および製剤助剤を含有することを特徴とする。該リポソームの調製には、実質的に有機溶剤を使用せずにヨウド化合物を効率よくリポソームに封入することができる超臨界二酸化炭素を用いる方法を使用する。静脈内に投与すると、数十分後以降でも、肝臓などではΔCT値(注入前のCT値を差し引いたCT値)が高い。
【選択図】 図1

Description

本発明は医用生体内画像を得るために使用されるX線CT用造影組成物に関し、特にマルチスライスCTスキャンを実施可能なX線CT用造影組成物およびその製造方法、使用方法に関する。
最近、患者、被検者等の医療用検査対象(以下、場合により「被検体」ともいう)を透過したX線強度に基づいて当該被検体の画像を得る装置の一つとしてX線CT装置の普及が目覚しい。X線CT装置によって得られた画像は、疾病の診断、治療、手術計画などに不可欠な情報を提供し、画像診断の一翼を担っている。
医用画像診断において、造影剤を使用する検査が併用されることが多い。被検体に造影剤を注入することによりこの被検体の所定部位(たとえば特定の臓器、循環器)を強調表示することで、当該部位をより認識し易くするとともに、当該部位における腫瘍、狭窄の有無、機能異常などを判断する用に供している。造影剤によるこのような造影画像化技術はX線CT装置の飛躍的進歩によって、さらに画像表示の精緻化、高度化を実現することが可能となった。
上述のX線CT技術にあって、MD−CT(Multidetector-row computed tomography
;多列検出器型CT)の登場に見られるようにX線CT装置および周辺機器の改良は急速である。同じく、コンピュータ技術を駆使してCTデータ処理および画像処理の進歩も著しい。最新のイメージング技術としては、たとえば、リアルタイム画像再構成技術やマルチスライススキャン技術による画像化技術などが挙げられ、さらにイメージング技術は立体化、4D化へと進んでいる。満足すべきCT画像を得るとともに、被検者の拘束的な検査における負担、被爆を軽減するためには、そうした測定装置およびデータ処理技術の発展と呼応して、医療現場での使用者側の実施プロトコル、使用されるX線造影剤についても相応の改良、発展がなされるべきであることは言うまでもない。
X線CT検査にあたり、実際には短時間の高速撮像のため、高濃度の造影剤を迅速に投与する方式を採用することが多い。そのようなボーラス投与に対して、好適な特性を有する造影剤が、X線CT検査には望ましい(特許文献1参照)。造影剤の注入後、好ましいコントラストで強調された画像を得ることができるように造影タイミングを最適に設定することが容易であり、しかも1回の投与により多面的に被検者の体内情報を大量に提供することが可能な造影剤が求められている。造影物質の基本的性能および安全性を向上させるとともに、目的部位へのターゲティング性が図られれば、造影剤の低用量化もまた期待できる。
検査時間の短縮と被検者への被曝低減を可能とするものとして、前記のマルチスライススキャン技術による画像収集方法がある。マルチスライススキャン技術とは、多列に並べた検出器により短時間の1回(X線菅の1回転)スキャンにより被検体の広範囲部分を複
数の薄いスライスとして同時に投影データを収集することを可能とする技術である(特許文献2参照)。このようなマルチスライスCT技術に対応するもので、撮影のタイミングを逸することなく、かつ好ましく使用できるX線CT診断用造影剤もまた望まれている。
特表平11−501638号公報 特開平10−127621号公報
本発明者らは上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、造影化合物であるヨウド系化合物をリポソームに安定的に効率よく内包させることで上記要求に応えうることを見出し、かつCT検査に適するような特性を有する剤形上の態様を確立した。さらに本来のX線CT診断用造影組成物として具備すべき低毒性、安全性などを満たしている造影用組成物を開発して本発明を完成した。
本発明は造影剤を用いたCT検査において適切なタイミングで造影画像を得ることを容易にするとともに、従来に比べて、被検者の検査の負担ならびに被曝低減を可能とするX線CT診断用造影組成物を提供することを目的とする。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物は、脂質膜を有するリポソームを含み、その脂質膜の内外の水相にヨウド系化合物および製剤助剤を含有しており、かつ
該リポソームがその脂質膜にリン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、実質的にクロル系溶剤を含まないリポソームであることを特徴としている。
前記リポソームが、リン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素に混合させ、ヨウド系化合物を該リン脂質などに接触させることにより形成されたリポソームであることを特徴としている。
前記脂質膜内のヨウド系化合物の濃度が、前記リポソームが懸濁している水性媒体におけるヨウド系化合物濃度と実質的に同じであることが好ましい。
前記リポソームの平均粒径が、0.05〜0.5μmであることを特徴としている。
前記製剤補助剤が、アミン系緩衝剤、エデト酸系キレート化剤、抗酸化剤、安定化剤から選ばれる少なくとも1つ以上であることを特徴としている。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物は、ダイナミックCTまたはマルチスライスCTに使用されることが望ましい。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物は、被検者の静脈内に投与が開始されてから0.5〜90分後に該被検者の胸腹部位をマルチスライスCTによるスキャンが行われるこ
とを特徴としている。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物は、被検者の静脈内に投与が開始されてから30〜600秒後に該被検者の胸腹部位をマルチスライスCTによるスキャンが行われ、な
らびに15〜90分後に再度、該スキャンが行われることを特徴としている。
前記被検者の静脈内に、0.5〜5mL/kg体重の容量で0.1〜1.0mL/秒・kg体重の静注速度で投与されることが好ましい。
本発明による方法は、請求項1に規定するコンピュータ断層撮影用組成物を製造するた
めの前記リポソームの使用である。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物の製造方法は、リポソーム膜成分としてリン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素に混合させた後、ヨウド系化合物含有水溶液を導入し、二酸化炭素を排出して形成されたリポソームを0.1〜0.5μmの孔径を有する濾過膜を通し、最終的にヨウド系化合物が該膜内外で
それぞれ実質的に同一濃度で含有されるリポソームを含めてなる方法である。
本発明のX線CTデータの処理方法は、前記コンピュータ断層撮影用造影組成物の静脈内投与が開始されてから30〜600秒後に、メインスキャンとして被検者の胸腹部位をマル
チスライスCTによるダイナミックスキャンを行ない、次いで15〜90分後に再び少なくとも1回、サブスキャンとしてその同一被検者の胸腹部位をマルチスライスCTスキャンを
行なうことにより得られた複数の時系列CT値の組から、コンピュータ処理により、必要であればノイズ、レベルの補正を行い、両スキャンにより得られた画像群の並置、重ね合わせ、オフセットを含む画像再構成処理工程を経て、最終的な画像診断用データを作成することを特徴とする処理方法である。
[発明の具体的説明]
以下、本発明をX線CT用造影組成物、造影化合物、リポソーム、X線CTにおける使用の順に詳細に説明する。
X線CT用造影組成物
本発明のコンピュータ断層撮影(CT)用造影組成物は、その造影性能が特にX線CT診断において好適に発揮されるように調製されるX線CT用造影組成物である。X線CT検査に使用される造影組成物が優れた造影性能を発揮できるためには、X線CTの造影効果に関与する因子について調べ、検討することが必要である。具体的には、造影剤の種類、投与量、濃度、投与速度、投与後のスキャン開始タイミングなどが考慮すべき因子として挙げられる。これらを画一的に定め得る基準はなく、撮影目的、撮像臓器、被検者側因子などによっても変化するため、使用者の経験をも援用して総合的に判断され、撮像プロトコルの一部として策定される。
本発明のX線CT用造影組成物は、造影物質としてヨウド系化合物を使用し、これをマイクロキャリヤーであるリポソームに担持させることによって、ターゲティング性を付与し、さらにCT検査に好適な特性を備えるように設計されている。リポソームによる造影物質の保持の効率は、リポソーム構造の安定化ならびに造影物質の内包安定化を通じて改善されている。
本発明の造影組成物の好ましい態様は、上記リポソームの膜内部の水相とそのリポソームが分散されている水性媒体との両方に、ヨウド系化合物および製剤助剤を含有している形態である。好ましい組成物は、該リポソーム膜内外でそれぞれの濃度が実質的に同一となっている組成物である。
ここで「実質的に」とは、通常の場合、ほとんど濃度が同一であることをいう。「製剤助剤」とは、製剤化に際し、造影物質とともに添加されるものであり、これまでの造影剤製造技術に基づいて各種の物質が使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、EDTANa2−Ca、EDTANa2などといったエデト酸系のキレート化剤、薬理的活性物質(血管拡張剤、凝固抑制剤など)、さらに必要に応じて、浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤としてα‐トコフェロール、アスコルビン酸、粘度調節剤、保存剤などが挙げられる。好ましくは、水溶性アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含める。pH緩衝剤としては、アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が好ましく用いられるが、さらに好ましくはアミン系緩衝剤であり、中でもトロメタモールが望ましい。キレート化剤は好ましくは、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム2ナトリウム)である。
また、「水性媒体」とは、ヨウド系化合物、製剤助剤などを溶解する水をベースとする溶媒である。リポソームの膜内部の水相(封入された水溶液)以外の水溶液(すなわち該リポソームが分散されている水性媒体)にも少なくともヨウド系化合物の他に、製剤助剤(たとえば水溶性アミン系緩衝剤、キレート化剤など)が含まれている場合には、該膜内外で著しい浸透圧差が生じることはなく、これによりリポソームの構造安定性が保たれる

造影化合物
本発明において造影物質として使用されるヨウド系化合物は、好ましくは水溶性ヨウド系化合物である。造影性があればイオン性、非イオン性を問わず特に規定されない。一般的に非イオン性ヨウド系化合物の方が、イオン性ヨウド系化合物よりも浸透圧が低いために望ましい。水溶性の非イオン性ヨウド系化合物として、特にヨウ化フェニルを含み、たとえば2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド系化合物が好適である。
そのような非イオン性ヨウド系化合物として、具体的にはイオヘキソール、イオペントール、イオジキサノール、イオプロミド、イオトロラン、イオメプロール、N,N′−ビス
〔2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−エチル〕−5−〔〔(2−ヒドロキシ−1−オキソプピル)−アミノ〕−2,4,6−トリヨード−1,3−ベンゼン−ジカルボキシアミド(イオパミドール);メトリザミドなどが挙げられる。
その他のヨウド系化合物として、ジアトリゾイン酸;ジアトリゾエートナトリウム;メグルミンジアトリゾエート;アセトリゾイン酸およびその可溶性塩;ジプロトリゾ酸;ヨーダミド、ヨージパミドナトリウム、メグルミンヨージパミド、ヨード馬尿酸およびその可溶性塩;ヨードメタム酸;ヨードピラセットヨード−2−ピリドン−N−酢酸、3,5−
ジヨード−4−ピリドン−N−酢酸(ヨードピラセット);前記酸のジエチルアンモニウム塩;イオタラム酸;メトリゾイン酸およびその塩;イオパノ酸、イオセファム酸、イオフェノ酸およびそれらの可溶性塩;チロパノエートナトリウム、イオポダートナトリウムおよび他の同様にヨウ素化された化合物などを挙げることができる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。またその例示に限定されるものではない。なお本明細書において、化合物は遊離形態の他に、その塩、水和物なども含めて言及することがある。
本発明のX線CT用造影組成物に好適なヨウド系化合物として、高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならないイオメプロール、イオパミドール、イオトロラン、イオジキサノールなどが挙げられる。特にイオトラン、イオジキサノールといった二量体非イオン性ヨウド系化合物では、同一ヨウド濃度の造影剤を調製しても全体のモル数が低いために浸透圧をさらに低下させる利点がある。
本発明の造影組成物におけるリポソーム内外の水溶性ヨウド系化合物濃度は、該造影化合物の性質、意図する製剤の投与経路および臨床上の指標といった諸要因に基づき任意に設定することができる。リポソーム内に封入されたヨウド系化合物の量は、典型的にはX線造影剤における全ヨウド系化合物の5〜95質量%、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは5〜70質量%である。特にヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの経時的な不
安定化を充分に防止するには、リポソーム内に封入されたヨウド系化合物の量は、X線造影剤における全ヨウド系化合物の5〜35質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%であることが望ましい。X線造影剤において、リポソーム内に封入されたヨ
ウド系化合物の割合が好ましくは全体の5〜30質量%(より好ましくは5〜25質量%)であれば、残り70〜95質量%(より好ましくは75〜95質量%)が存在するリポソーム外の水性分散液へ流出する量については実質的に無視できる。したがって、ヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの浸透圧効果による不安定化を十分に防止でき、リポソームにおける造影物質の保持安定性は向上する。
リポソーム
本発明のX線CT用造影組成物において、上記造影化合物を目標の臓器、組織などの標的部位へ選択的に効率よく送達されるようにマイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に
封入した形態で使用される。本発明の造影組成物は、血中安定性が改善されたリポソームを用いることにより血中滞留性を向上させて、効率的な薬物送達ならびにターゲティングの実現を図っている。特に優れた腫瘍描出性を獲得するために有効とされるEPR(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進および滞留)効果を生じさせるために
は、リポソーム構造の安定化および封入物質の保持安定性という、キャリヤーとしての担持の効率を改善させた上で、血中安定性、血中滞留性といった特性を有することが求められる。
本発明のX線CT用造影組成物は、造影化合物を内包するリポソームの粒径(粒子径)およびその二分子膜を適切に設計することによりターゲティング機能を実現することができる。受動的ターゲティングおよび能動的ターゲティングいずれも考慮される。前者は、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整は、後述する方法に基づき容易に行われる。リポソーム膜表面の設計は、リン脂質の種類と組成、共存物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。
造影組成物の体内移動に関して、より高度な選択性と集積性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム表面にポリアルキレンオキシド高分子鎖またはポリエチレングリコール(PEG)を導入することは、標的部位までの誘導過程を制御し得るため、極めて有益である。本発明のX線CT用造影組成物に好適なリポソームとは、その表面にポリアルキレンオキシドまたはPEGを付加する修飾を施す結果、その血中滞留性が一層高められ、肝臓などの細網内皮系細胞に貪食されにくいリポソームである。癌組織、疾患部位などに到達しなかったX線CT用造影組成物は、正常部位に集積することなく、副作用が発現する前にリポソームが分解されて体外に排泄される。このことはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切にコントロールすることにより可能である。造影物質は、水溶性ヨウド系化合物を使用するため、腎臓を経由して速やかに尿中に排泄される。したがって徒に体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
本発明における造影化合物のキャリヤーとして使用されるリポソームの設計、製造方法について、以下に詳述する。
リポソームは、通常、脂質二重膜から形成されている。したがって本明細書では、リポソーム膜を脂質膜と称することもある。その脂質膜の成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。
本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、
ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などを挙げることができる。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
リポソームの膜構成成分として、上記脂質の他に必要に応じ他の物質を加えることもできる。たとえば、膜安定化剤として作用するステロール類、たとえばコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、ラノステロールまたは2,4−ジヒドロラノステロールなどが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)これらのうち、コレステロールが特に好ましい。
ステロール類の使用量として、リン脂質1重量部に対して0.05〜1.5重量部、好ましく
は0.2〜1重量部、より好ましくは0.3〜0.8重量部の割合が望ましい。0.05重量部より少ないと混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が発揮されず、2重量部よ
り多すぎるとリポソームの形成が阻害されるか、形成されても不安定となる。
リポソーム膜中のコレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。具体的にはリポソーム膜構成成分として膜中に含めるコレステロールには、必要に応じリンカーを介してその先にポリアルキレンオキシド基を結合させてもよい。リンカーには、短鎖のアルキレン基、オキシアルキレン基などを用いる。特開平09−3093号公報には、ポリオキシアルキレン鎖の先端に、効率よく種々の機能性物質を共有結合により固定化することができ、リポソームの形成成分として利用することができる新規なコレステロール誘導体が開示されている。
上記ステロール類の他にリポソームの膜構成成分として、グリコール類を加えてもよい。リポソームを作製する際に、リン脂質などともにグリコール類を添加すると、リポソーム内での水溶性ヨウド系化合物の保持効率が上昇する。グリコール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ピナコールなどが挙げら
れる。グリコール類の使用量として、脂質全質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が望ましい。
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミンが例示される。
本発明では、リポソーム膜の一成分として、ポリアルキレンオキシド(PAO)基または類似の基を有するリン脂質または化合物をX線CT用造影組成物の意図する目的に応じて使用してもよい。これまでもリポソームが細網内皮系細胞で捕捉されてしまう問題ならびに崩壊、凝集といったリポソーム自体の不安定性を解決する方法として、リポソーム膜
の表面に高分子鎖であるポリエチレングリコール(PEG)鎖、すなわち−(CH2CH2O)n−Hを導入することが試みられている(たとえば、特開平1−249717号公報、FEBS letters, 268, 235(1990))。
ポリアルキレンオキシド基(ポリオキシアルキレン鎖)またはPEG鎖をリポソーム膜表面に付けることにより、新たな機能をリポソームに付与することができる。たとえば、PEG化リポソームには免疫系から認識されにくくなる(いわゆる「ステルス化」された状態である)効果が期待できる。さらにリポソームは親水的傾向を持つことにより血中安定性を増して、長時間にわたり血液中の濃度を維持できることが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。リポソームの血中滞留性を向上させるために、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質をリポソーム脂質膜に含有させる手法が開示された(特開2002-37833号公報)。そのようなリポソームでは経時安定性も改善されていることが示されている。
上記の性質を利用してX線CT診断用造影組成物に臓器選択性を与えることもできる。一例として、脂質成分は肝臓に貯まりやすいことから肝臓の選択的な造影を目的とする場合には、PEGを使用しないか、あるいはPEG含有量の少ないリポソームを用いるのが望ましい。また粒径を0.2μm以上に大きくすると、肝臓Kupffer細胞の食作用により速や
かに取り込まれる可能性が高くなり、肝臓の該部位に集積する。肝臓癌の撮像においては、その癌組織には正常組織に比べてKupffer細胞が少ないために、造影剤リポソームの取
込み量は、相対的に少なくなり造影のコントラストが鮮明となる。脾臓においても同様である。
他の臓器を造影する場合、PEGを導入すればリポソームをステルス化して肝臓などに集まりにくくすることができるため、PEG化リポソームの使用が推奨される。PEGの導入により水和層が形成されてリポソームは安定化し、血中滞留性も向上する。PEGのオキシエチレン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEGとして、オキシエチレン単位が10〜3500、好ましくは100〜2000の
ポリエチレングリコールが好適である。またPEGを使用する場合の使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して0.1〜30質量%、好ましくは1〜15質量%程度含むのがよい。
リポソームのPEG化には、公知の技術を利用することができる。PEGが結合するアンカー(たとえばコレステロールなど)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化PEGを結合させてもよい。なお、リポソーム表面に導入されたポリエチレングリコール基は、後記「機能性物質」とは反応しないため、そうしたリポソーム表面上に「機能性物質」を固定化することは困難である。代わりに、PEG先端に何らかの修飾をさらに施したPEGをリン脂質に結合させ、これをリポソーム構成成分として含めてリポソームを作製することもできる。
上記PEGに代わり、公知の各種ポリアルキレンオキシド基、−(AO)n−Yをリポ
ソーム膜表面に導入してもよい。ここでAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数である。また、Yは、水素原子、アルキル基または機能性官能基を表す。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(AOで表される)として、たとえばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基などが挙げられる。これらのオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基である。
nは1〜2000、好ましくは10〜500、さらに好ましくは20〜200の正の整数である。
nが2以上の場合、オキシアルキレン基の種類は、同一のものでも異なるものでもよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。ポリアルキレンオキシド鎖に親水性を付与する場合、AOとしてはエチレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドを付加する場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付加しているのが望ましい。ポリアルキレンオキシド鎖に親油性を付与する場合には、エチレンオキシド以外のAOの付加モル数を多くする。たとえばポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのブロック共重合物を含有するリポソームは、本発明の好ましい態様である。
Yは、水素原子、アルキル基または機能性官能基である。アルキル基として、炭素数1〜5の、分岐していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられる。上記の機能性官能基は、ポリアルキレンオキシド鎖の先端に糖、糖タンパク質、抗体、レクチン、細胞接着因子といった「機能性物質」を付するためのもので、たとえばアミノ基、オキシカルボニルイミダゾール基、N-ヒドロキシコハク酸イミド基といった反応性に富む官能基が挙げられる。
先端に「機能性物質」を結合しているポリアルキレンオキシド鎖が固定化されたリポソームは、ポリアルキレンオキシド鎖導入の効果に加えて、ポリアルキレンオキシド鎖に妨げられることなく「機能性物質」の機能、たとえば「認識素子」として特定臓器指向性、癌組織指向性などの作用が充分に発揮される。
ポリアルキレンオキシド基を有するリン脂質または化合物は、一種類を単独で使用することができ、あるいは二種以上のものを組み合わせて使用することもできる。その含有量は、リポソーム膜構成成分の合計量に対し、0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜25モル
%、より好ましくは0.1〜10モル%である。0.001モル%未満では期待される効果が小さくなる。
リポソーム膜へのポリアルキレンオキシド鎖の導入は、公知の技術を利用することができる。たとえばポリアルキレンオキシドが結合するアンカー(コレステロールなど)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化ポリアルキレンオキシドを結合させてもよい。このような方法では、リポソーム調製後にリポソーム膜表面上で多段階の化学反応を行う必要がある。このため目的とする前記「機能性物質」の導入量が低く制限され、また反応による副生成物や不純物が混入し、リポソーム膜へのダメージが大きいなどの問題点もある。別の製造方法として、原料のリン脂質類の中に、予めリン脂質ポリアルキレンオキシド(PEO)誘導体などを含めてリポソームを作成してもよい。その方法に好適な、下式で示される修飾リン脂質が提案された(特開平7-165770号公報)。
Figure 2005289859
(式中、R1、R2は炭素数2〜29のアルキル基、Mは水素原子またはナトリウムもしくは
カリウムなどのアルカリ金属であり、AO、nおよびYは上記のとおり。)
具体例として、ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレンオキシド(PEO)誘導体、たとえばジステアロイルホスファチルジルエタノールアミンポリエチレンオキシド(DSPE−PEO)などが挙げられる。さらに特開2002−37883号公報には、血中
滞留性を高めた水溶性化高分子修飾リポソームを作製するための高純度ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質が開示されている。そうしたリポソームを作製する際にモノアシル体含量が低いポリアルキレンオキシド修飾リン脂質を使用すると、リポソーム分散液の経時安定性が良好であったことが記載されている。
リポソームを作製する方法として、これまで種々の方法が提案されている。作製方法が異なると、最終的に出来上がったリポソームの形態および特性もまた著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応じて製造
方法を適宜選択することが行なわれている。一般にリポソームは、リン脂質、ステロール、レシチンといった脂質成分を、ほとんど例外なくまず有機溶媒、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなどと
ともに容器中で溶解、混合することにより調製されている。特にクロル系溶媒が良く用いられている。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。残存するこれらの有機溶媒を除去するために、多段階の工程および長時間の処理を要しているのが現状である。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒については、生体に及ぼす悪影響、たとえば副作用が懸念される。
本発明の造影組成物に使用するリポソームを作製するには、有機溶媒、特にクロル系有機溶媒を使用しないため上記の問題点を回避できる超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法を用いる。二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が75.3 kg/cm2と比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高
純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により好適である。この方法により作製されたリポソームは、後記するようにX線CT診断用造影組成物のヨウド系化合物を内包するのに種々の好ましい特性および利点を有している。
超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用してリポソームを作製する場合、上記脂質膜成分を、超臨界状態(亜臨界状態を含む)にある二酸化炭素に溶解、分散または混合することが必要となる。その際、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテルなどのアルコールを溶解助剤として1種または2種以上併用することは、上記脂質膜成分の溶解性が一層向上するために望ましい。たとえばアルコール類を超臨界二酸化炭素の0.1
〜10質量%、好ましくは、1〜8質量%の割合で助溶媒として使用するのがよい。このうち
、より好ましい溶解助剤は、安全性の観点からエタノールである。
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、通常25〜200℃、好ましくは31〜100℃、さらに好ましくは35〜80℃である。好適な圧力は、通常50〜500 kg/cm2、好ましくは100〜400 kg/cm2、特に好ましくは90〜150 kg/cm2
範囲である。
本発明のX線CT用造影組成物に使用するリポソームの作製方法は、具体的には以下のようにして行なわれる。圧力容器に液体二酸化炭素を加え、上記の好適な圧力および温度のもとにある超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素にリポソーム膜構成成分としてリン脂質および脂質膜安定化物質を溶解または分散する。膜脂質成分としてカチオン性リン脂質、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物、ポリエチレングリコール基を有する化合物、ステロール類、グリコール類から少なくとも1種選ばれた化合物を上記リン脂質とともに
混合して溶解、分散させる。あるいは予めこれらの化合物を加えた圧力容器に液体二酸化炭素を加え、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして混合してもよい。引き続き生成したリン脂質および脂質膜安定化物質を含有する超臨界二酸化炭素中に、ヨウド系化合物、必要に応じて後述の製剤助剤を含む水溶液を添加する。なお、添加する側と加えられる側を逆にしてもよい。充分に混合した後に、系内を減圧して二酸化炭素を排出すると、ヨウド系化合物を内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。この場合、該リポソーム膜内外の水相にヨウド系化合物が含まれていてもよい。リポソーム内部にも上記水溶液が封入されているため、ヨウド系化合物はリポソームの外部水相のほか、主としてリポソーム内部の水相に存在し、いわゆる「内包」の状態にある。さらに該リポソームを0.1〜0.5μmの孔径を有する濾過膜を通す。次いで、滅菌処理、パッケージングなど
の製剤過程を経て、本発明のX線CT用造影組成物が調製される。
超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法は、従来法に比べてリポソームの生成率、封入する物質の内包率、封入物質のリポソーム内の保持率が高いことが示されている(上記特許文献3参照)。さらに工業的スケールでの応用も可能である。実質的に有機溶剤を使用せずに非イオン性かつ水溶性の物質を効率よくリポソームに封入することができる本法は、本発明のX線CT用造影組成物の製造には有用な方法である。なお、実質的にとは、造影剤中の濃度の上限値が10μg/Lであることを意味する。
本発明のX線CT用造影組成物に用いられるリポソームは、好ましくは数枚の脂質膜からなるリポソームであるか、あるいは実質的に一枚膜リポソーム、すなわちリン脂質二重層が一層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。ここで
「実質的に」とは、以下の凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、レプリカが概ね1つの層として認められるリン脂質二重
層によりリポソームが構成されていることをいう。観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものを一枚膜と判定される。2つ以上の段差が認められるものは「多層膜」と判定されるが、2枚もしくは3枚の膜で構成されるリポソームは、一枚膜リポソームより強度が増している。したがって本発明のX線CT用造影組成物において、このような一枚膜リポソーム、または数枚の膜で構成されるリポソームを、造影組成物中に含まれる全リポソームのうち、少なくとも80%、好ましくは90%以上含む。
上記の一枚膜リポソームまたは数枚の膜からなるリポソームは、脂質類の溶媒として前記超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方法により効率よく作製できる。これに対し、従来のリポソーム作製方法によると、様々なサイズ、形態の多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームがかなりの割合で存
在することが多い。一枚膜または数枚膜のリポソームの比率を高めるためには、さらに超音波を照射するか、一定孔サイズのフィルターに何度も通すなどの操作を必要としていた。一枚膜または数枚膜のリポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
リポソーム膜の脂質膜枚数が少ないリポソーム、特に粒径の大きい一枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar veislcles)は、多重層リポソームに比べて、大きい封
入容量を提供するという利点がある。本発明の造影組成物に使用するリポソームは、粒径が0.2〜1μm のLUVと、粒径が0.05μm 未満の小さい一枚膜リポソームであるSUV(Small unilamellar vesicles)との中間に位置する。このため、保持容積もSUVより大きくなり、水溶性ヨウド系化合物のトラップ効率、換言すると内包効率も、後述するように格段に優れたものとなる。また、MLV、LUVと違い、細網内皮系細胞に取り込まれて急速に血流から消失することもない。しかしながらヨウド系化合物の内包効率が良好な一枚膜または数枚膜のリポソームでも、内包するヨウド系化合物の重量が相対的に多過ぎるとリポソームの安定性は低下する。特にイオン強度の急激な変化には脆弱である傾向が観察されていた。本発明の造影組成物のリポソームは、比較的小さい粒径に調整されている。さらにリポソーム膜にポリアルキレンオキシド基を有する化合物(たとえばリン脂質)、ステロール類、グリコールから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させて、脂質膜の安定化を図っている。その結果、そうしたリポソームは、塩ショックに対しても安定的であることが判明した。
リポソーム粒子のサイズとその分布の調整は、本発明のX線CT用造影組成物が目指す、高い血中滞留性、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径(粒子径)はヨウド系化合物を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「平均粒径」とは、観察された造影剤粒子の一定の個数、たとえば20個の径の単純平均を指している。これは粒径分布で最も出現頻度の高い粒径を言う「中心粒径」と、通常一致するか、または概ね近似している。粒径の調整は、処方またはプロセス条件により行なうことができる。たとえば、上記の超臨界状態の圧力を大きくすると形成されるリポソーム粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜、セルロース系の膜などで濾過してもよい。この場合、濾過膜として0.1〜0.5μmの孔径のフィルターを装着したエクストルーダーに通
すことにより、平均粒径として0.4μm 以下のリポソームを効率よく調製することができ
る。押出しろ過法については、たとえばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に
記載されている。このような「押出し」操作を取り入れることにより、上記サイジングに加えて、リポソーム外に存在するヨウド系化合物の濃度の調整、リポソーム分散液の交換、望ましくない物質の除去も併せて可能になるという利点もある。
上記のように受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、その粒径のサイズ調整が重要である。特許2619037号公報には、粒径3μm以上のリポソームを排除するこ
とにより、肺の毛細血管における不都合な滞留が回避されると記載されている。しかし、0.5〜3μmの粒径範囲のリポソームは、必ずしも向腫瘍性とはならない。
本発明の造影組成物におけるリポソームの平均粒径は、通常0.05〜0.5 μm、好ましく
は0.05〜0.3μm 、より好ましくは0.05〜0.2μm 、特に好ましくは0.05〜0.13μm である。X線撮像の目的に応じて、平均粒径を適切に設定してもよい。たとえば腫瘍部分の選択的撮像目的の場合には、特に0.11〜0.13μm が好ましい。リポソームの平均粒径を0.1〜0.2μm 、より好ましくは0.11〜0.13μm の範囲に揃えることにより癌組織へ選択的にX線CT用造影組成物を集中させることが可能となる。これは「EPR効果」として知られている。固形癌組織にある新生血管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サ
イズ、0.03〜0.08μm に比べて異常に大きく、概ね0.1μm 〜0.2μm の大きさの分子でも血管壁から漏れ出る。このようなEPR効果は、癌組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血管壁より透過性が高いことによるものである。
血管壁の孔から漏れ出た造影剤は、癌細胞の周辺にはリンパ管が充分に発達していないため、血管に再び戻らずその場に長く留まる。EPR効果は、血流を利用する受動的な輸送であることから、それが有効に発現するための要件として、血中滞留性の向上が図られねばならない。つまり造影剤粒子(ヨウド系化合物を内包するリポソーム粒子)が、血中に長くとどまって、癌細胞近くの血管を何度も通過することが必要である。本発明のX線CT診断用造影組成物のリポソームは、特に大きい粒子でもないため、細網系内皮細胞による捕獲の対象になりにくい。またリポソームがいわば赤血球類似の姿と挙動をしていて腎臓を経由して速やかに排出されることはなく、さらにステルス(隠蔽)化されている場合には細網系内皮細胞に貪食されることもなく、血流中に比較的長くとどまる。EPR効果により、標的の臓器、組織への造影化合物の移行性が高まり、造影剤の癌組織への選択的集中と蓄積が達成される。造影化合物の腫瘍細胞/正常細胞集積比の上昇は、X線CT診断用造影組成物のコントラスト性能を高める。このような腫瘍描出性の改善は、これまで検出困難であった微小転移性癌の発見すらも可能とする。
CTにおける使用
造影CT検査においては、患者の疾患、病態を考慮しつつ、対象臓器の構造的特徴、機能的特性、循環動態、疾患病理を検討した撮像プロトコルのもとに行われる。一般的には造影剤が目的臓器に到達して浸透する際の造影効果の有無もしくは程度の違いの検索、造影部位の形状の観察等により、動静脈溜、血管狭窄、癌細胞といった病変または臓器の異常を発見することが可能になる。
造影剤の流入経路が異なると、たとえ同一臓器内であっても造影される組織が異なってくることが多い。この現象を臓器内の病変部を発見したり、病変部の性質を見極める際に役立てることも可能である。実際に、目的臓器への造影剤の流入経路を異ならせて造影検査を行なうことがある。また目的臓器への造影剤の流入経路は、造影剤注入時からの経過時間により変化する。たとえば、ある時間帯において、目的臓器は動脈から流入する造影剤により造影され、また別の時間帯では目的臓器は静脈からの造影剤の流入によって造影される。
肝臓の病変、具体的には肝硬変、肝癌などをCT検査・診断する場合、肝臓の血行動態と造影物質の移動、結節・肝腫瘤などの形態異常、各種細胞の分布状態、癌組織の特徴(たとえば多血性もしくは乏血性)などが考慮される。肝臓へ向かう造影物質の移動から識別される血行動態は、動脈と門脈の2系統血流により動脈相、続いて門脈相、次に平衡相へと移行していく様相を通常示すことが知られている。このような時間依存性の造影剤分布を利用して多時相性のダイナミックCT(ダイナミックスキャンを行うCT)が行われる。「ダイナミックスキャン」とは、造影剤の注入後、(同じスキャンレベルで)連続的にスキャンを行う方法である。時間分解能に優れるマルチスライスCTでは、肝癌や多血性転移性肝腫瘍の評価の場合、特定の相(たとえば動脈相)の2回撮像も必要に応じて行われる。それにより被検者の個人差による血行動態の差による動脈相のタイミングのずれを補うことができる。さらにマルチスライスCTには、短時間の1スキャンであっても広範囲にわたる高分解能の多断面再構成(multi-planar reconstruction)像が得られるほ
か、 CT angiographyなどの利点がある。
膵臓または胆道系の病変は一般に微小な病巣が多く、周囲の臓器、血管系との関係が複雑であるために、より高い空間分解能が必要とされる。肺臓では実質臓器の染まりよりは、むしろ病変と血管のコントラストが重要視される。
胸腹部の実質臓器、血管などのCT検査において、上記のことがらを撮影プロトコルに含められるパラメータであるdetector厚、再構成(スライス)厚、ピッチ、造影剤注入速度、delay時間などの設定に反映させて、撮像目的に応じた検査が実施される。
本発明のCT用造影組成物は、X線CTにおける造影CT用造影剤、特にダイナミックCTまたはマルチスライスCTにおいて使用される造影剤用として好適である。これらの新しい撮影手法は、全身撮像、または身体の特定部位、特に胸腹部の造影検査においても時間分解能、空間分解能の点で良好な画像を提供するとともに、多様な適用と多面的な解析を可能とするため、1回のスキャンであっても得られる情報は質的にも量的にも従来の
CTをはるかに凌ぐ。
本発明のようにヨウド系化合物をリポソームというマイクロキャリヤーに封入する場合には、造影物質の送達効率および保持安定性に加えてリポソームの膜脂質の重量も考慮されねばならない。リポソームの膜脂質の重量が多くなると造影組成物の粘度が大きくなる。リポソーム内へのヨウド系化合物の封入量として、リポソーム内に封入された水溶液中に、ヨウド系化合物がリポソーム膜脂質に対して、1〜10、好ましくは3〜8、より好まし
くは5〜8の重量比で含有されていることが望ましい。
リポソーム水相にカプセル化されたヨウド系化合物の重量比が1未満であると、比較的多量の脂質を注入することが必要となり、結果的に造影物質の送達効率が悪くなる。特許2619037号公報の記載によると、当該比が1でも当時の技術水準からは高い値とされてい
た。一枚もしくは数枚の膜からなるリポソームは、保持容積および内包効率に優れるだけでなく、X線CT用造影組成物の粘度がその脂質量によって左右されることからも有利である。反対に、リポソーム膜脂質に対するヨウド系化合物の封入重量比が10を超えると、リポソームは構造的にも不安定となり、リポソーム膜外へのヨウド系化合物の拡散、漏出は貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。またリポソーム懸濁薬剤が製造され、分離した直後は100%の封入が達成されても、浸透圧効果による不安定化に基づき
、早くも短時間に封入成分が減少していくことが記載されている(特表平9−505821号公
報)。
本発明のX線CT造影用組成物は、注射剤または点滴注入剤として、非経口的に、具体的には血管内投与、好ましくは静脈内投与により被検者に投与されX線照射により撮像される。一般にCT検査、特に血管性病変、腫瘍性病変の描出を目的とする場合には、比較的高濃度の造影剤を大量に短時間で投与されることが多い。このようなボーラス注入を可能とするために、造影用組成物に課せられる要件は、組成物の流動性と低い粘度である。注入抵抗を少なくして被検者の苦痛を軽減し、血管外漏出の危険を回避するため、本発明の組成物溶液の粘度(オスワルド法で測定した場合)は、37℃で、20 mPa・s以下、
好ましくは18 mPa・s以下、より好ましくは15 mPa・s以下である。撮影身体部位に
よっては、体液による希釈が緩慢に進むようある程度の粘度を有することが望ましい場合もある。
造影用組成物のオスモル濃度が高いと、心臓・循環系の負担が大きい。血液と等張の溶液または懸濁液を得るには、等張液を提供する濃度で、造影剤を媒質中に溶解もしくは懸濁させる。たとえば造影化合物の溶解性が低いために造影化合物だけでは等張液を提供できない場合、等張の溶液もしくは懸濁液が形成されるように他の非毒性の水溶性物質、たとえば塩化ナトリウムのごとき塩類、マンニトール、グルコース、ショ糖、ソルビトールなどの糖類を媒質中に添加してもよい。
ヨウド化合物の至適濃度は、症状ごとに、またはX線造影検査の種類ごとに設定するのが通例である。X線造影の良好なコントラスト性能を可能とする標的臓器へのヨウ素の必
要な送達量は、明らかにされている(たとえば特許2619037号公報)。その用量は、基本
的には従来のCT造影検査において使用されるヨウド系造影剤に準じる。リポソーム内のヨウド総量、またはそれとリポソーム外のヨウド総量の和が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。実質臓器の造影効果は、主として体重あたりの投与ヨウド量(造影剤濃度×投与造影剤量)に規定され、投与ヨウド量に応じて造影効果は上昇することが多い。たとえば肝実質の充分な造影効果を得るには、600mgI/kg体重の量である。しかしながら、余りに高濃度の溶液とすると、リポソーム同士の凝集、粘度の増大という側面を考慮されねばならない。
本発明の方法により製造されるX線CT用造影組成物は、ヨウド含有量として、通常、想定される10〜300mLの製剤溶液の投与量では、30〜500mgI/mLであり、好ましくは150〜500mgI/mL、より好ましくは、250〜400mgI/mLの範囲である。もっとも使用されるCT
手法によっては、投与量の抑制が見込める場合もある。
本発明の造影組成物を投与する速度は、次のようにするのが望ましい。一般に肝臓のダイナミックCT撮像のためには、通常、1〜5mL/秒で100〜150mLの経静脈注入(静注)
である。動脈以外の血管、実質臓器では、2〜3mL/秒が好ましい。あるいは、25秒間〜30秒間というような一定の注入時間とする方法でも良い。高速撮像が可能なマルチスライスCTでは、造影組成物の注入速度を上げている。すなわち、前記被検者の静脈内に、0.5
〜5mL/kg体重、好ましくは1〜3mL/kg体重の容量で、0.1〜1.0mL/秒・kg体重、好ましくは0.3〜0.6mL/秒・kg体重の静注速度で投与される。造影剤の注入速度を上げると動脈の染
まりのピーク値が上昇し、血管や実質臓器の造影時間は早まる一方、そのピークの時間は短くなる傾向にある。
造影組成物の注入開始から当該造影組成物が体内の所定(所望)部位に到達するまでには若干の時間がかかるのが普通であり、個人差もある。より好ましく強調された画像を得るには、スキャンのタイミングを適切に選定しないと、ある場合は造影剤が所定部位に到達する前に、またある場合は逆に造影剤が所定部位を通過してしまった後にスキャンすることになってしまったりすることがある。スキャン開始タイミングは、テスト注入造影法、モニタスキャンのほか、「撮影タイミング検出機構」(リアルプレップ機能、スマートプレップ機能など)を利用する方法がある。多時相撮像のタイミングを最適に設定する際、本発明の造影組成物は、ヨウド化合物の一部がリポソームにカプセル化されていることによって、血中滞留性が良好であり、かつ目的臓器に到達してそこに留まる時間も延びているため、遷移する相を捉えるタイミングを決めるには好都合である。推奨される撮像のタイミングとして、被検者の静脈内に投与が開始されてから30〜600秒後に該被検者の胸
腹部位をマルチスライスCTによるスキャンが行われることが望ましい
本発明のCT診断造影用組成物を使用する腹部領域のマルチスライスCTではその好ましいCT検査の態様は、動脈の造影効果も考慮して、ディテクター厚が、2〜5mm、好ましくは2.5〜3.75mm、ピッチは3〜6、好ましくは3、スライス厚は0.6〜5mm、好ましくは2.5〜5mmである。
本発明のCT用造影組成物は、リポソームの膜内部の水相とその膜外部の水相(すなわちリポソームが分散されている水性媒体)との両方に、ヨウド系化合物および製剤助剤を含有しており、好ましくは該膜内外ではそれぞれの濃度が実質的に同一である。同一種類のヨウド系化合物がリポソーム膜の内外に存在する場合には、そのヨウド系化合物が同一のX線CT用造影組成物中で異なる存在形態にあることを意味する。リポソームが分散されている水性媒体中にあるヨウド系化合物は、従来からの遊離形のヨウド系化合物と同様の挙動で体内を移行する。他方、リポソーム内に内包されたヨウド系化合物もまた、体内でのリポソームの移動とともに移送される。本発明のX線CT用造影組成物を用いること
により、カプセル化されていない造影化合物とリポソーム内にカプセル化された造影化合物との体内拡散時間の違いが、経時的に分布挙動の異なった画像を与えて診断上の有益な情報を提供することができる。たとえば、正常細胞と癌細胞では、血管系の発達度、血管の性状、リンパ管などが相違しており、血行動態、灌流状態を通じて造影物質の挙動に反映される。
本発明の造影組成物においては、造影物質の2相的な存在様式から、以下のような特有のCT実施方法を可能とする。肝臓の腫瘍性疾患におけるCT検査の場合、投与直後にリポソーム内にカプセル化されていない造影物質は、肝臓類洞の間隙を自由に通過して肝臓実質細胞に到達し、まず健康な肝臓組織の画像濃度が上昇するが、これは急速に低下する。この濃度低下は引き続いて遅れて到達するリポソーム内の造影物質からの補強により補償されて長時間にわたり造影物質の高濃度が維持される。あるいはカプセル化されていた造影物質が、遊離して水相内に存在していた造影物質との間で移動、分布の挙動に差異を示すことから、このことに基づいて組織状態についての詳細な分析が可能となる。
別の測定手法である間欠スキャンにより得られるX線CTデータの本発明による処理方法は、次のとおりである。上記のコンピュータ断層撮影用造影組成物の静脈内投与が開始されてから30〜600秒後に、メインスキャンとして被検者の胸腹部位をマルチスライスC
Tによるダイナミックスキャンを行ない、次いで15〜90分後に再び少なくとも1回、サブ
スキャンとしてその同一被検者の胸腹部位をマルチスライスCTスキャンを行なうことにより得られた複数の時系列CT値の組から、コンピュータ処理により、必要であればノイズ、レベルの補正を行い、両スキャンにより得られた画像群の並置、重ね合わせ、オフセットを含む画像再構成処理工程を経て、最終的な画像診断用データを作成することを特徴とするX線CTデータの処理方法である。本方法は、具体的には次のようなステップを含む。
(i) メインスキャンとして、CT診断用造影組成物の静脈内投与が開始されてから30〜600秒後、マルチスライスCTによるダイナミックスキャンを行う。その時点のスキャン位
置にて、メインスキャンモード照射幅に照射されるX線が被検体の胸腹部位を透過し、X線検出器が前記被検体を透過するX線を検出し、該透過X線に基づいてメインスキャンの画像データを記録、表示する。
(ii) 次いでCT診断用造影組成物の静脈内投与が開始されてから15〜90分後に再び少な
くとも1回、サブスキャンとして前記メインスキャンの照射幅より同等または狭い照射幅
で、同一被検者の胸腹部位をマルチスライスCTスキャンが行われる。かかるサブスキャンモードにおいて、前記スキャン位置と同じ位置または異なる位置にて、メインスキャンモード照射幅より同等または狭い照射幅に照射されるX線が前記被検体を透過することにより、前記X線検出器が前記被検体を透過するX線を検出し、該透過X線に基づいてサブスキャンの画像データを記録、表示する。
(iii) このようにメインおよびサブのスキャンにより得られた複数の時系列CT値の組から、コンピュータ処理によりノイズ除去およびレベル補正の少なくとも一つを経て、最終的な画像診断用データを作成する画像再構成処理工程に移る。該再構成部は、上記のメインスキャンで得られたデータ群、サブスキャンで得られたデータ群それぞれに基づいてメインスキャン断層像およびサブスキャン断層像をそれぞれ再構成する。前記メインスキャンおよびサブスキャンの画像を並置、重ね併せ、オフセットすることにより、最終的な画像診断用のために断層画像表示用のデータを作成、記録することを含む。
そのように実施されたCTの間欠スキャンにより収集されたCTデータの処理および画像解析により、造影後の血管内腔や組織の濃染程度の相違、時間推移を比較検討することにより、造影剤の静脈注入を繰り返すことなく1回で体内に投与された造影組成物の動向を通じて、さらに豊富な情報が得られる。
高速スキャンを実現できる場合には、メインスキャンとして通常、1〜3相、必要に応じて5〜10相からなるマルチフェーズのスキャンであり、サブスキャンも同様のマルチフェーズとしてもよく、臓器の機能診断などに有利となる可能性がある。サブスキャンは少なくとも1回実施される。このような多数回照射では、必然的に被検者の被曝線量が増大
することとなるが、前ステップで得られた断層像上に設定される関心領域を狭くすることにより、被曝量を減らせる。
本発明のコンピュータ断層撮影用造影組成物として望ましい態様は、特に腫瘍描出性およびリポソームの造影物質保持性が改善されたものである。その一例を以下に示す。
本発明のCT用造影組成物の好ましい形態は、脂質膜を有するリポソームを含み、該リポソームはその脂質膜にポリアルキレンオキシド基を有する化合物(たとえばポリアルキレンオキシド修飾リン脂質)、ステロール類、グリコール類から少なくとも1種選ばれる化合物を含有し、かつその脂質膜内外の水相にヨウド系化合物および製剤助剤を含有している。少なくとも該ヨウド系化合物が該膜内外でそれぞれ実質的に同一濃度で含有されることが望ましい。さらに該リポソームは平均粒径が0.05〜0.4μmで、一枚または数枚の膜からなるリポソームであり、該ヨウド系化合物をリポソーム膜脂質に対して3〜8の重量比で含有し、かつ、リポソーム内に封入された該ヨウド系化合物がX線CT診断用造影組成物における全ヨウド系化合物の5〜25質量%であることを特徴としているX線CT用造影
組成物である。
本発明の造影用組成物は、撮影対象となる特定の臓器、たとえば、肝臓、胃腸管、胆道、膵臓、胸腹部血管用に特別に調製された組成物であってもよい。このように特定の臓器用に特化させるには、リポソームの平均粒径、脂質膜の構成、懸濁・分散の程度などを調整する。別の形態として、投与直前にリポソーム膜外のリポソームが分散する水性媒体におけるヨウド化合物の濃度を適宜変更できるような形態で供給されてもよい。そのような場合、ヨウド系化合物を内包させたリポソームは、通常、乾燥された状態または濃縮された懸濁状態で保存するのが好都合である。製剤的にはヨウド系化合物および製剤助剤の濃度がそれぞれリポソーム膜内外で実質的に同じであることが、リポソーム粒子の安定性からは望ましい。リポソームが分散する水性媒体におけるヨウド系化合物の濃度は容易に調整できるため、撮影目的に応じて、リポソーム内のヨウド系化合物濃度と異なる造影剤を投与直前に調製して投与することもできる。そうした場合、造影剤の時間−濃度曲線(time-dependent density curve)は異なる様相を示し、これを利用したCT検査も考えられる。実際、後述するように、「時間−ΔCT値パターン」を変える因子として、造影剤の投与速度、リポソーム内に内包されているヨウド系化合物の内包率、リポソーム膜外の水性媒体におけるヨウド系化合物の濃度が挙げられる。
本発明の造影用組成物における造影化合物は、ターゲティング性が図られているリポソーム内に詰められているため、1回の造影組成物の注入により目的臓器へ集中的に送達される。しかも1回の投与について、リポソームに内包された造影化合物が、内包されていない造影化合物とは異なる体内移行態様を示すことを利用して、マルチスライスCT、多相性ダイナミックCTを駆使する多面的な撮像に加えて、複数の時点でのCTも可能である。よって単純X線造影剤に比べて、得られる情報量は飛躍的に増大する。逆に被検者側からは、撮像時間の短縮とあいまって何度も注射、点滴などによる再注入の必要がなくなり、検査の種類も減って、投与される造影剤総量も減少するため、負担の軽減は著しい。[発明の効果]
本発明のX線CT診断造影用組成物は、ボーラス投与に適する特性を有しているため、マルチスライスCT手法にとり特に好適な造影組成物である。両者を組み合わせた使用により低侵襲性かつ高精度のCT検査を実現できる。
本発明の造影用組成物は、撮像の開始タイミング、多時相撮像のタイミングなどを決め
るのに好都合な体内移行様式を示すので、検査の種類を減らせるとともに無駄な試行撮影、反復撮影、再検査を回避できる。
本発明の造影用組成物は、1回の投与で臨床情報を多く収集できることができる。加え
て、造影物質の目的部位へのターゲティング性を持たせることにより造影組成物の低用量化が可能となり、さらに実質的にクロル系有機溶媒を含まず安全性が向上しているために、被検者の負担が一層軽減される。
[実施例]
以下、本発明を具体な例を示してさらに詳細に説明する。以下の実施例中で用いる装置名、示された使用材料、その濃度、使用量、処理時間、処理温度等の数値的条件、処理方法等はこの発明の範囲内の好適例にすぎない。
造影組成物の作成
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)19.2mgの混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オ
ートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨
界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。さらに撹拌しながら、造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩
酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)5mLを定量ポンプで連続的に50分間かけて注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過した。得られたリポソーム含有造影剤を試料11とした。
1.0μmで加圧濾過した後、分散液を60℃まで加熱し、セルロース系フィルター、0.45μmフィルター、0.3μmフィルターおよび0.2μmフィルターで加圧濾過した試料をそれぞれ
試料12、13、14とした。また試料11を60℃に加熱し超音波処理した試料を試料No.15とした。これらの試料のヨウド含有量を分光光度計で測定したところ、146〜148mg/mLであ
った。
それぞれの試料の平均粒径と内包率(リポソーム内に内包されているイオパミドールの全ヨウド化合物量に対する割合)を測定した(表1)。
リポソームの粒径
粒径(粒子径)は、ヨウド化合物を内包するリポソームを含む分散液を液体窒素にて急速に凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、形成されたこのカーボンを透過型電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定した。
粒径は、観察された造影剤粒子、20個の径の単純平均とした。
ヨウド化合物のヨウドの定量
試料(リポソーム分散液)を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊して、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。試料の全ヨウド化合物量に対する比率を内包率(質量%)として表した。
Figure 2005289859
コンピュータ断層撮影
体重3.1 Kgの家兎の腹部についてX線CTスキャナー(GE社製 Light Speed Ultra)を用い、管電圧120 kv、管電流350 mAの出力にて、スライス厚5 mm、スライス間隔2.5 mmでマルチスライス撮影を行い肝実質部分のCT値を計測した。次いで試料NO.12の造影組成
物12mLを0.5mL/秒・kg体重の速度で耳介静脈より注入した。注入開始後、30秒後、1分30秒後、5分後、10分後、20分後、75分後に、マルチスライス撮影を行い、肝臓の同位置部
分のCT値を計測した。注入後のCT値から、注入前のCT値を差し引いたΔCT値を求めた。
比較として、上記製造例に用いた造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後
に調整)12mLを用いて。同体重の家兎について、同様のマルチスライス撮影を行い、同様に注入後のCT値から、注入前のCT値を差し引いたΔCT値を求めた。注入後の時間経過を横軸に、ΔCT値を縦軸にとり、両者を比較した(図1)。
また、体重3.0 kgの家兎の腹部についてX線CTスキャナー(GE社製 Light Speed Ultra)を用い、管電圧120 kv、管電流350 mAの出力にて、スライス厚5 mm、スライス間隔2.5 mmでマルチスライス撮影を行い肝実質部分のCT値を計測した。次いで試料NO.13の造
影組成物6 mLを0.3mL/秒・kg体重の速度で耳介静脈より注入した。注入開始後、30秒以
降90分後まで、任意の時間で、マルチスライス撮影を行い、肝臓の同位置部分のCT値を計測した。注入後のCT値から、注入前のCT値を差し引いたΔCT値を求めた。
比較として、上記製造例に用いた造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後
に調整)6 mLを用いて。同体重の家兎について、同様のマルチスライス撮影を行い、同様に注入後のCT値から、注入前のCT値を差し引いたΔCT値を求めた。注入後の時間経過を横軸に、ΔCT値を縦軸にとり、両者を比較した(図2)。
これらの結果から明らかなように、本発明の造影組成物を用いた肝実質の撮影では、数十分後以降でもCT値が高く、静脈内に投与後、15〜90分のタイミングであれば任意の時間適切な造影画像を得ることができる。また静脈内に投与して10分以内に観察される最初のピークのCT値は、比較造影剤よりも強く現れている。この事実に基づき、従来行われている投与直後の動態観察においては、本発明の造影組成物を用いると造影剤量の低減あるいは被爆線量の低減を図ることができる。
また、本発明の造影組成物を用いた肝実質の撮影では、注入してから20分前後に見られる小さな増加が再び見られる。これは、注入した組成物のリポソームが肝臓Kupffer細胞
の食作用により取り込まれ、該部位にリポソーム内のヨウド系化合物が集積したものによるものと考えられる。この部分の増加の様子を比較することにより、撮影対象の部分についての臨床的情報がさらに得られることが期待される。
図1は、ΔCT値の経時変化を示す。 図2は、ΔCT値の経時変化を示す。

Claims (12)

  1. 脂質膜を有するリポソームを含み、その脂質膜の内外の水相にヨウド系化合物および製剤助剤を含有しており、かつ
    該リポソームがその脂質膜にリン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、実質的にクロル系溶剤を含まないリポソームである
    ことを特徴とするコンピュータ断層撮影(CT)用造影組成物。
  2. 前記リポソームが、リン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素に混合させ、ヨウド系化合物を該リン脂質などに接触させることにより形成されたリポソームであることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ断層撮影用
    造影組成物。
  3. 前記脂質膜内のヨウド系化合物の濃度が、前記リポソームが懸濁している水性媒体におけるヨウド系化合物濃度と実質的に同じであることを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ断層撮影(CT)用造影組成物。
  4. 前記リポソームの平均粒径が、0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物。
  5. 前記製剤補助剤が、アミン系緩衝剤、エデト酸系キレート化剤、抗酸化剤、安定化剤から選ばれる少なくとも1つ以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    コンピュータ断層撮影用造影組成物。
  6. ダイナミックCTまたはマルチスライスCTに使用されることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物。
  7. 被検者の静脈内に投与が開始されてから0.5〜90分後に該被検者の胸腹部位をマルチス
    ライスCTによるスキャンが行われることを特徴とする請求項6に記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物。
  8. 被検者の静脈内に投与が開始されてから30〜600秒後に該被検者の胸腹部位をマルチス
    ライスCTによるスキャンが行われ、ならびに15〜90分後に再度、該スキャンが行われることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物。
  9. 前記被検者の静脈内に、0.5〜5 mL/kg体重の容量で0.1〜1.0 mL/秒・kg体重の静注速度で投与されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物。
  10. コンピュータ断層撮影用組成物を製造するための請求項1〜4のいずれかに記載のリポ
    ソームの使用。
  11. リポソーム膜成分としてリン脂質とともに、ステロール類、グリコール類、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質から選ばれる少なくとも1種の化合物を超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素に混合させた後、ヨウド系化合物を含有する水溶液を導入し、二酸化炭素を排出して形成されたリポソームを0.1〜0.5μmの孔径を有する濾過膜を通し、最終的にヨウド系化合物が該膜内外でそれぞれ実質的に同一濃度で含有されるリポソームを含めることによりなるコンピュータ断層撮影用造影組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影用造影組成物の静脈内投与が開
    始されてから30〜600秒後に、メインスキャンとして被検者の胸腹部位をマルチスライス
    CTによるダイナミックスキャンを行ない、次いで15〜90分後に再び少なくとも1回、サ
    ブスキャンとしてその同一被検者の胸腹部位をマルチスライスCTスキャンを行なうことにより得られた複数の時系列CT値の組から、コンピュータ処理により、必要であればノイズ、レベルの補正を行い、両スキャンにより得られた画像群の並置、重ね合わせ、オフセットを含む画像再構成処理工程を経て、最終的な画像診断用データを作成することを特徴とするX線CTデータの処理方法。
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