JP2003116843A - 脳組織内毛細血管の血流動態に関するインデックス演算方法、装置及び記憶媒体 - Google Patents

脳組織内毛細血管の血流動態に関するインデックス演算方法、装置及び記憶媒体

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JP2003116843A
JP2003116843A JP2001318344A JP2001318344A JP2003116843A JP 2003116843 A JP2003116843 A JP 2003116843A JP 2001318344 A JP2001318344 A JP 2001318344A JP 2001318344 A JP2001318344 A JP 2001318344A JP 2003116843 A JP2003116843 A JP 2003116843A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、空間及び時間分解能の低下を
抑えて、ノイズを抑制することにより、CBPスタディ
の解析精度を向上することにある。 【解決手段】本発明は、脳血管透過性を持たない造影剤
を注入された被検体の脳を撮影対象として連続的に取得
した複数のCT画像各々を構成する画素間の類似度を、
複数のCT画像にわたる各画素の時間濃度曲線に基づい
て判定し、類似度に応じた重みにより画像ごとに画素を
局所内で加重平均するコヒーレントフィルタ処理部11
0と、加重平均された複数のCT画像から脳動脈画素の
時間濃度曲線と脳組織画素の時間濃度曲線とを生成し、
脳動脈画素の時間濃度曲線に対する脳組織画素の時間濃
度曲線の伝達関数を計算し、伝達関数に基づいて脳組織
内の毛細血管の血流動態に関するCBP,CBV,MT
T,Errを演算するCBPスタディ処理部120とを
具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脳組織内毛細血管
の血流動態に関するインデックスの演算方法及び演算装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からX線CT検査では単純CT像か
ら形態情報を、造影CTによるダイナミックスキャンで
病巣の周りの血流の動態情報をそれぞれ視覚情報として
得ることができる。近年、マルチスライスCTによる高
速スキャンが可能になり益々造影CTのダイナミックス
キャンの活用範囲が拡大していくものと考えられる。
【0003】その一つの方向性として、脳組織内毛細血
管の血流動態に関するインデックスを演算するためのC
BPスタディと呼ばれる方法がある。CBPスタディで
は、”毛細血管を通過する血流”の動態を定量的に表す
CBP、CBV、MTT、Err等のインデックスを求
め、またこれらインデックスのマップを出力する。
【0004】CBPは、脳組織内の単位体積及び単位時
間あたりの血流量[ml/100ml/min]を表し、CBV
は、脳組織内の単位体積あたりの血液量[ml/100ml]、
MTTは毛細血管の血液平均通過時間[秒]を表してい
る。
【0005】これら脳組織中の毛細血管の血流動態を定
量的に表しているインデックスCBP、CBV、MTT
は、脳虚血が発症してからの経過時間情報ととともに、
虚血性脳血管障害の病体鑑別、毛細血管の拡大の有無、
血流速などの評価のための有益な情報として期待されて
いる。例えば、一般に虚血性の脳血管障害では、提供す
る動脈の血圧が低下し、その血管内の血流速の低下が見
られる。その結果、CBVは一定でも、MTTが延長
し、CBPは低下する。また、脳梗塞超急性期では、血
圧低下による血流速の低下を補うために、毛細血管を拡
張させ、血流速を増加させることにより、血流量CBP
の低下を抑制しようとする働き(オートレギュレーショ
ン)がある。従って、MTTが延長することにより、C
BPが低下しても、CBVが増加していれば、毛細血管
の再開通の可能性を示唆する情報となる。
【0006】CBPスタディではトレーサーとして脳血
管透過性を持たない造影剤、例えばヨード造影剤が使用
される。ヨード造影剤は例えばインジェクターにより肘
静脈から注入される。インジェクターにより静注された
ヨード造影剤は、心臓、肺を経由して、脳動脈から流れ
込む。そして、脳動脈から、脳組織内の毛細血管を経
て、脳静脈へと流れ出ていく。このとき、ヨード造影剤
は正常な脳組織内の毛細血管では造影剤は血管外へ漏れ
出ることなく通過する。図1はこの様子を模式的に示し
ている。
【0007】造影剤の通過の様子をダイナミックCTで
撮影して、その連続画像から、脳動脈の画素の時間濃度
曲線Ca(t)、毛細血管を含む脳組織の画素の時間濃
度曲線Ci(t)、脳静脈の画素の時間濃度曲線Css
s(t)をそれぞれ測定する。
【0008】ここで、CBPスタディでは、造影剤の血
中濃度について脳組織に近い脳血管の血中濃度Ca
(t)と毛細血管の血中濃度Ci(t)との間で成り立
つ理想的な関係を解析モデルとしており、つまり脳組織
に入る直前の血管から造影剤を注入した場合、毛細血管
を含む脳組織単位体積(1画素)内の時間濃度曲線は立
ち上がりが垂直で、しばらくは一定の値を維持し、その
後、急勾配で立ち下がる形になる。これを矩形関数で近
似する(box−MTF法:box−Modulati
on Transfer Function meth
od)。
【0009】脳動脈血中時間濃度曲線Ca(t)を入力
関数、脳組織の時間濃度曲線Ci(t)を出力関数とし
て、トレーサーが毛細血管を通過する過程の特徴を、矩
形の伝達関数として求めることができる。
【0010】このようなCBPスタディにおける第1の
問題は次の通りである。肘静脈に、ボーラスインジェク
ションを行った場合、CTで観察される造影効果は、血
液のCT値(造影されない時数十HU)が最大数百HU
に上昇する。しかし、脳血流を有効に解析するためには
造影効果を高々数パーセント以内の誤差で計測できなく
てはならない。すなわち、血液の造影効果(CT値の上
昇)が20〜40HU程度であってもこれを検出できる
必要がある。
【0011】単位体積の脳組織中に占める毛細血管の体
積比率は高々3〜4パーセント程度である。従って、血
液のCT値が20〜40HU上昇した場合、脳組織の平
均CT値は、0.5〜1.5HU程度上昇するに過ぎな
い。
【0012】CT画像ではノイズの標準偏差(sd)
は、照射X線量の平方根に反比例し、典型的な照射条件
においてsdは例えば5〜10HU程度である。従っ
て、0.5HUの造影効果を検出するためには、X線量
を10〜100倍程度増やさねばならず、これは患者の
被曝線量が著しく大きくなることを意味する。さらに、
ダイナミックCTにおいては同一箇所を数十回に渡って
撮影するのであるから、撮影箇所に於ける皮膚の被曝は
通常の数百〜数千倍に至ることになり、炎症・脱毛・壊
死・発癌等の放射線障害が生じる恐れがある。
【0013】むしろダイナミックCTにおいてはX線量
を通常の撮影よりも減らさなくてはならない。一般に、
1スキャン当たりのX線量を例えば通常の1/2〜1/
10程度に減じることが行われる。これによって、通常
の1回のCT撮影に比べて数倍〜20倍程度のX線被曝
に留めることができ、これは放射線障害を生じない程度
である。しかし、このようなX線量を低減したCT画像
において、sdは例えば15〜20HU程度であり、
0.5〜1.5HU程度の造影効果は到底検出できな
い。
【0014】そこで、画像のノイズ成分を抑制すること
が、CBPスタディでは最も重要な課題の1つである。
そのため、1)スライス厚を厚くする、2)画素束ね、
3)画像の平滑化、が一般的に取りうる方策である。し
かしこれらには以下のような問題点がある。
【0015】“スライス厚を厚くする”ために、撮影時
にスライス厚を厚く設定するか、連続する薄いスライス
の画像数枚を平均して厚いスライスの画像を生成する。
スライス厚に比例して画素当たりのX線量が増えるた
め、画像ノイズのsdは、スライス厚の平方根に反比例
して小さくなる。しかしながら、スライス厚を厚くする
ことによって、パーシャルボリューム効果が生じ、すな
わち1個の画素が、一様な脳組織を表して居らず、複数
の組織(白質、灰白質、血管、脳溝、脳室など)の平均
的なCT値を表すことになる確率が大きくなり、解析結
果として得られる脳血流量等の値の誤差が大きくなる。
【0016】特に血管の影響を含む画素は、正常な解析
が不可能である。このためスライス厚を厚くすると、不
正確で、しかも解析不可能な画素を沢山含む非常に品質
の悪い結果しか得られなくなる。
【0017】“画素束ね”では、空間解像度が或る程度
犠牲になる。例えば一辺がn個の画素からなる正方形の
領域(n×n個の画素を含む)の平均値を求め、これを
その正方形全体の平均CT値とし、このような正方形を
画素とみなし、これを敷き詰めて「画素束ね画像」を構
成する。もとの画像が例えば一辺512個の画素からな
る(512×512個の画素を含む)とし、n=2とす
れば、「画素束ね画像」は一辺(512/2)個の画素
から構成される(256×256個の画素を含む)画像
となる。この方法によれば、ノイズは、nに反比例して
減少させることが可能である。さらに、解析対象となる
画素の数が1/(n×n)倍になるため、計算量も小さ
くなるという利点がある。
【0018】しかしながら、nを大きくすると、空間解
像度が低下し、それに伴ってパーシャルボリューム効果
が生じ、すなわち1個の画素が、一様な脳組織を表して
居らず、複数の組織(白質、灰白質、血管、脳溝、脳室
など)の平均的なCT値を表すことになる確率が大きく
なり、解析結果として得られる脳血流量等の値の誤差が
大きくなる。特に血管の影響を含む画素は、正常な解析
が不可能である。このため、nを大きくすると、空間解
像度が低く、不正確で、しかも解析不可能な画素を沢山
含む非常に品質の悪い結果しか得られなくなる。このた
め、実用上は、n=2〜4程度が限界であり、これだけ
では十分なノイズ抑制効果が得られない。
【0019】また、画像の平滑化、すなわち1枚のCT
画像ごとに、2次元の空間フィルタを作用させて平滑化
を行う方法を用いると、十分なノイズ抑制効果と引き換
えに、空間解像度が著しく損なわれる。特に、太い血管
(動脈・静脈)が存在する箇所に近接している画素に
は、太い血管において生じた造影効果の影響が及ぶこと
になり、これらの画素の時間濃度曲線は正しくなくなっ
てしまう。従ってごく軽度の平滑化を行うに留めねばな
らない。ここで、ごく軽度の平滑化を行うに際して重要
なのは、画像フィルタのサイズをごく小さくする事、例
えば、3×3程度に設定することである。3×3の平滑
化フィルタを用いて最大の画像ノイズ抑制効果を得よう
とすると、その上限は、ノイズsdを1/3に低減する
ことであり、それ以上にノイズを抑制するのは不可能で
ある。従って十分なノイズ抑制効果は得られない。
【0020】一方、時間的平滑化、すなわち各画素につ
いて得られた時間濃度曲線を曲線とみなして、これを1
次元フィルターで平滑化する手法を用いると、十分なノ
イズ抑制効果を得ようとすると時間分解能を著しく損な
う。元来、CBPスタディでダイナミックCTを行うの
は短いサンプリング周期で撮影を行うことによって高い
時間分解能を得て、時間濃度曲線の僅かな変化(特に生
理学的構造に起因する平滑化効果がどの程度生じている
か)を精密に計測することが目的であるから、時間的平
滑化は全く適当でない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、空間
及び時間分解能の低下を抑えて、ノイズを抑制すること
により、CBPスタディの解析精度を向上することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、脳血管透過性
を持たない造影剤を注入された被検体の脳を撮影対象と
して連続的に取得した複数のCT画像各々を構成する画
素間の類似度を、前記複数のCT画像にわたる各画素の
時間濃度曲線に基づいて判定し、前記類似度に応じた重
みにより画像ごとに画素を局所内で加重平均し、前記加
重平均された複数のCT画像から脳動脈画素の時間濃度
曲線と脳組織画素の時間濃度曲線とを生成し、前記脳動
脈画素の時間濃度曲線に対する脳組織画素の時間濃度曲
線の伝達関数を計算し、前記伝達関数に基づいて、前記
脳組織内の毛細血管の血流動態に関する複数種類のイン
デックスを演算する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を好
ましい実施形態により説明する。本実施形態の特徴とし
ては、コヒーレントフィルタを用いて空間及び時間分解
能の低下を抑えながら、ノイズを効果的に抑制すること
により、脳組織の毛細血管の血流動態を定量的に表すC
BP等のインデックスを高精度に計算することにある。
【0024】(装置構成)図2には、本実施形態に係る
X線CT装置の構成を示している。X線CT装置は、ガ
ントリ部10とコンピュータ装置20とから構成され
る。ガントリ部10は、X線管101、高電圧発生装置
101a、X線検出器102、データ収集部103(D
AS;Data Aquisition Syste
m)とを有する。X線管101とX線検出器102と
は、高速で且つ連続的に回転する図示しない回転リング
に被検体Pを挟んで互いに対向する位置に搭載される。
【0025】コンピュータ装置20は、画像処理装置3
0と、画像表示部107と、入力部109とから構成さ
れる。画像処理装置30は、制御部108を中枢とし
て、データ収集部103から出力される生データを補正
処理等を経て投影データに変換する前処理部104、投
影データを記憶するメモリ部105、投影データからC
T画像データを再構成する画像再構成部106、CT画
像データを保管する記憶装置10M、CT画像データに
対してコヒーレントフィルタ処理を実行するコヒーレン
トフィルタ処理部110、及びコヒーレントフィルタ処
理を受けたCT画像データを使ってCBPスタディ処理
を実行するCBPスタディ処理部120とから構成され
る。
【0026】コヒーレントフィルタ処理部110は、分
散値推定部111、重み関数演算部112、画素値演算
部(コヒーレントフィルタ部)113とから構成され
る。これら分散値推定部111、重み関数演算部11
2、画素値演算部113の機能については後述するコヒ
ーレントフィルタ処理の詳細説明の中で説明する。
【0027】CBPスタディ処理部120は、ROI設
定支援部121、時間濃度曲線作成部122、脳動脈時
間濃度曲線補正部123、MTF処理部124、インデ
ックス計算部125、マップ作成部126、マップ合成
部127から構成される。
【0028】ROI設定支援部121は、CT画像上に
脳動脈や脳静脈に対して関心領域ROIを設定する作業
を支援するための情報(脳動脈ROIのためのATマッ
プ、PTマップ、TTマップ等)を作成し提供する。
【0029】なお、脳動脈ROIは、前大脳動脈(AC
A)、中大脳動脈(MCA)、後大脳動脈(PCA)を
対象として、左脳、右脳それぞれの領域に個別に設定さ
れる。従って、左右に3個ずつ、合計6個の脳動脈RO
Iが設定される。また、脳動脈の時間濃度曲線Ca
(t)を補正するために、他の時間濃度曲線Csss
(t)が利用される。この時間濃度曲線Csss(t)
は、パーシャルボリュームを含まない画素が存在するの
に充分に太い血管上に設定されたROIに関して作成さ
れる。例えば、脳血管の中で最も太い上矢状静脈洞に設
定することが好ましい。
【0030】時間濃度曲線作成部122は、記憶装置1
0Mに記憶されているダイナミックCT画像データ(時
間的に連続した複数枚の画像データ)から脳動脈、脳静
脈及び脳組織(毛細血管)に関する時間濃度曲線を作成
する。なお、脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)は、設定
された6つの脳動脈ROIに関して個々に作成される。
脳静脈の時間濃度曲線Csss(t)は、上矢状静脈洞
に設定された脳静脈ROIに関して作成される。また、
脳組織の時間濃度曲線Ci(t)は、脳組織上の全画素
を対象として画素ごとに作成される。
【0031】脳動脈時間濃度曲線補正部123は、ノイ
ズやパーシャルボリューム効果の影響を除去するため
に、脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)を、上矢状静脈洞
の時間濃度曲線Csss(t)に基づいて補正する。こ
の補正方法については後述する。MTF処理部124
は、補正された脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)と、脳
組織の時間濃度曲線Ci(t)とに基づいて、box−
MTF法により、伝達関数MTFを、脳組織上の全画素
を対象として画素ごとに計算する。
【0032】インデックス計算部125は、計算された
伝達関数MTFから脳組織の血流動態を表すインデック
ス(CBP、CBV、MTT、Err)を、脳組織上の
全画素を対象として画素ごと計算する。マップ作成部1
26は、計算されたインデックス各々のマップを、脳動
脈(ACA,MCA,PCA)ごとに生成する。このマ
ップは、各スライスに関して、インデックスの種類(=
4)×脳動脈の種類の数(ACA,MCA,PCAの3
つ)=12種類作成される。マルチスライスでは、その
スライス数倍の種類のマップが作成される。この膨大な
枚数のマップの枚数を合成処理により減らして診断効率
を向上させるためにマップ合成部127が設けられてい
る。
【0033】以下に、コヒーレントフィルタ処理とCB
Pスタディ処理について順番に説明する。
【0034】コヒーレントフィルタの原理について簡単
に説明すると、近傍の3×3等の局所内画素を加重平均
し、その加重平均値を局所中心画素の値とすることを基
本として、周辺画素各々の重みを中心画素と周辺画素と
の間の類似度に従って変えることを特徴としたものであ
る。ここで言う類似度とは、画素間で、解剖学的に近い
組織、具体的には同じ脳動脈の支配下にある毛細血管ど
うしである可能性の度合いを示す指標であり、この類似
度が高い画素に対しては高い重みを与え、逆に類似度が
低い画素に対してはゼロに近い低い重みを与えることに
より、ノイズ抑制を果たしながらも、空間分解能の低下
を抑制することを可能としている。ここで類似度の計算
が重要になるが、本実施形態では、脳血管透過性を持た
ない造影剤、例えばヨード造影剤を注入(静注)された
被検体の脳を撮影対象として連続的に取得した複数のC
T画像(ダイナミックCT画像)を用いて、各画素の時
間濃度曲線の比較により類似度を計算する。そのため類
似度の確からしさは、サンプリング周波数、つまり単位
時間あたりの画像枚数と、サンプリング数、つまり全画
像枚数とに依存して決まる。そこでスキャン間隔を例え
ば0.5秒に短縮することが効果的である。
【0035】(コヒーレントフィルタ) (コヒーレントフィルタの一般的説明) (画素値v(x))一般に、カメラ等の撮像手段を介し
て取得されたデジタル画像は、複数の画素(pixe
l)から構成されている(あるいは、当該画像をそのよ
うな画素の集合として考えることができる。)。以下の
説明では、当該画素の位置をベクトルx(すなわち座標
値のベクトル)として表し、画素xが有する値(例えば
濃淡を表わす数値、CT値HU)をK次元ベクトルとし
て表す。2次元画像の場合、画素xとは画像上における
位置を表す座標値(x、y)を示す2次元ベクトルであ
る。ある画素xについて定義される「画素値v(x)」
を、 v(x)=(v(x),v(x),…,v(x)) … (1) と表記する。なお、この(1)式の右辺における、v
(x),v(x),…,v(x)それぞれを、以下
では、画素xについての「スカラー値」と呼ぶことにす
る。
【0036】例えば、画像が「カラー画像」であると
き、各画素が、それぞれ三原色(赤,緑,青)の明るさ
(スカラー値)を有することから、これら各画素の画素
値v(x)は、その次元がK=3のベクトルであると考
えることができる(上記(1)式の右辺各項で、その添
え字が例えば「赤」,「緑」及び「青」である場合を想
定されたい。また例えば、画像がK枚の静止画像から構
成される動画像であって、第n番目の画像の各画素はス
カラー値v(x)を持つという場合には、K枚の静止
画像上、共通の同一点(同一座標)の画素xの持つ画素
値(スカラー値)を並べて構成される、K次元ベクトル
値v(x)=(v(x),v(x),…,v
(x))が以下で述べるベクトル値としての画素値で
ある。
【0037】(類似度(適合度ないし危険率)p(x,
y)と重みw(p(x,y)))上記画素xに対して、
適当な画素の集合N(x)を考える(この集合N(x)
は画素xを含んでよい。)。次に、N(x)の要素であ
るそれぞれの画素yと、前記画素xとの間で、重みw
(p(x,y))を考える。この重みw(p(x,
y))は、次に記す性質を有する。
【0038】(類似度p(x,y))まず、重みw(p
(x,y))の値を左右する関数p(x,y)の意味に
ついて述べる。このp(x,y)は、本実施形態にいう
「類似度」を定量化する手段であり、一般的にいえば、
画素xと画素y∈N(x)とが、何らかの意味でどの程
度類似しているか(例えば、両画素x及びyの上記画素
値v(x)及びv(y)間に認められる統計的差異の程
度)、を示す具体的数値を与える。
【0039】より具体的には例えば、p(x,y)が小
さな値を与えるときには、画素xと画素yとが、その画
素値v(x)及びv(y)間に「統計的に有意な差がな
く(つまり類似度が高い)」、類似である可能性が高い
と判断され、p(x,y)が大きな値を与えるときに
は、「統計的に有意な差があり(つまり類似度が低
い)」、の如く判断されるということである。
【0040】ところで、画素値v(x)及びv(y)
(ないしスカラー値v(x),…,v(x)及びv
(y),…,v(y))には、必ずノイズが含まれ
ていると考えなければならない。例えば、画像がCCD
撮像素子により取得された場合を考えると、それを構成
する各画素については、素子内の暗電流や外界から入射
する光量の不規則変動に起因するノイズ等が存在する。
【0041】このようなノイズは、一般に、全画素につ
いてまちまちな値をとるため、画素xと画素yとが、仮
に(外界における)同一物体を反映したものである場合
であっても、実際に観測される画像上では、同一の値を
持たないことがある。このことを逆にいえば、いずれも
同一物体を反映した画素xと画素yにおいて、それぞれ
のノイズを除去した状況を仮に想定すれば、これらは該
同一物体を表象するものとして画像上に表示され(=そ
のように認識され)るし、また、両者は本来同一の(あ
るいはごく近い)画素値を有する。
【0042】そこで、上述したノイズの性質を踏まえ、
上記のp(x,y)に関し、統計的検定法でよく知られ
ている「帰無仮説」の概念を用いると、このp(x,
y)については、具体的に次のように言うことができ
る。すなわち、帰無仮説H「画素xと画素yとはそれぞ
れのノイズを除去した場合に同一の画素値を有する」言
いかえれば「v(x)=v(y)、ただし、両画素のノ
イズに起因する差異を除く」を立てる(つまり、このよ
うな命題が成立する場合、「両画素x及びyとの間の類
似度が高い(適合度が大きい)」と考える。)と、関数
p(x,y)は、この仮説Hを棄却する場合の危険率
(あるいは、有意水準)であるということができる(こ
の場合、p(x,y)は、その値域が[0,1]であるよ
うな関数として定義される(p(x,y)∈[0,
1])。)。
【0043】したがって、危険率p(x,y)が大きい
場合、すなわち棄却が誤りである危険性が大きい場合に
は上記仮説Hを満たす可能性が高いといえ、逆に小さい
場合、すなわち棄却が誤りである危険性が小さい場合に
は仮説Hを満たさない可能性が高いということができる
(なお、統計的検定における周知事項ではあるが、仮説
Hが「棄却」されないといっても、それが「真」である
ことを意味するわけではない。この場合、仮説Hが示す
命題が、否定し得ないことを意味するに過ぎない。)。
【0044】(重みw(p(x,y)))さて、重みw
(p(x,y))は、その表され方から明らかな通り、
上記したような危険率p(x,y)の関数(より一般に
は、適合度の関数(適合度をρ(x,y)とすれば、w
(ρ(x,y))となるように構成できる)であり、ま
た、この重みw(p(x,y))を求めるため、x及び
yの組み合わせそれぞれについて求められた危険率p
(x,y)に作用させる重み関数wは、一般的にいう
と、上記「棄却」を具現化する作用を有するものであ
る。具体的には、危険率p(x,y)が大きい場合には
重み関数wの値、すなわち重みw(p(x,y))が大
きな正の値をとり、その逆の場合には小さな正の値(又
は“0”)をとる、等というように調整されている(重
み関数wの具体的形式については後述する。)。つま
り、重みw(p(x,y))は、画素xと画素yとが、
上記仮説Hに示される命題を満たすらしい場合には、大
きい値をとり、その逆の場合には小さい値をとる。一例
として特に、wのとりうる値が”0”かまたは”0”で
ない一定値の2通りしかないように構成してもよい。
【0045】なお、以上までに述べた仮説H、危険率p
(x,y)、重みw(p(x,y))間の関係をまとめ
ると、帰無仮説Hが正しい可能性が高いとき、類似度p
も高くなり、その画素に与える重みwを高くし、一方、
帰無仮説Hが正しい可能性が低いとき、類似度pも低く
なり、その画素に与える重みwを低くする。このように
加重平均値への寄与度(重み)を類似度に応じて変える
ことにより、分解能の低下を抑えながら、ノイズを効果
的に抑制することが可能となる。また、重み関数w
(t)は、より一般に、「t∈[0,1]で定義される
非負の単調増加関数」ということができ、また、該w
(t)の満たすべき性質は、少なくともそのようであれ
ばよい。
【0046】(コヒーレントフィルタ処理)以上までの
説明により、「コヒーレントフィルタ」は次のように導
かれる。すなわちまず、画像を構成するある画素xに対
し、集合N(x)の要素たる画素yのすべてについて上
記した重みw(p(x,y))を計算する。次に、これ
ら複数の重みw(p(x,y))を用いて、当該画素x
を構成する新たなスカラー値v´(x)を、以下の
(2)式で計算する。すなわち、
【数1】
【0047】ただし、k=1,2,…,Kである。そし
て、この式で求められたv´(x)を用いて、当該画
素xの変換後の画素値(新たな画素値)v´(x)を、 v´(x)=(v´(x),v´(x),…,v´(x)) … (3) として構成する。
【0048】ここに、上記(1)式で表される、画素値
v(y)=(v(y),v(y),…,v
(y))(y=xである場合を含む。)を、v´
(x)=(v´(x),v´(x),…,v´
(x))に変換するフィルタが、「コヒーレントフィ
ルタ」の形式である。これはその表式から明らかな通
り、画素値を構成するスカラー値v(y)の重み付け
平均値を表している。
【0049】このような処理は、以下のような結果をも
たらす。すなわち、画素値v´(x)は、画素xとノイ
ズを除いて同一の画素値をとることが確からしい(=上
記仮説Hの命題を満たす可能性が高い)画素yを重視し
た重み付け平均値v´(x)から構成されたベクトル
を表すこととなる。また、このような画素yが十分な数
存在するならば、画素値v´(x)は、画素xが本来有
すべきその真値から外れることなく、上記したような平
均化の作用によりノイズのみを抑制した値を有すること
となる。
【0050】なお、危険率p(x,y)が小さく、した
がって、帰無仮説Hが「棄却」され、重みw(p(x,
y))が小さくなるような場合であっても、上記記述か
らもわかる通り、必ずしもこれを完全に「棄却」すると
は限らない。このようなことは、後述する重み関数wの
具体的形式に依存するところであるが、危険率p(x,
y)が“0”(=0%)に近いような場合でも、w(p
(x,y))≠0(ただし、p(x,y)が“1”に近
い場合に比べて、より小さな正の値ではある。)として
よい(なお、p(x,y)=1である場合とは、後述す
るように、v(x)=v(y)のときである。)。
【0051】すなわち、完全な棄却ということではな
く、小さな寄与は認めてよいということである(なおこ
のような場合に、w(p(x,y))=0とするのであ
れば、完全な棄却を行うのと同義である。
【0052】このような処理は、一般的に次のように言
える。すなわち、ある画像を構成する(複数の)画素x
が存在するとき、この画素xとある任意の画素y(上記
ではy∈N(x)とされた。)との適合度を定量化し
(上記では、p(x,y)に基づいていた。)、該適合
度が大きい場合には、画素値v(y)を利用した重み付
き平均化処理において、当該画素yについて大きな寄与
を認め、適合度が小さい場合には小さな寄与しか認めな
いようにすることで、当該画素xのノイズを有効に抑制
する画像処理方法である、といえる。いわば、画素xと
画素yとが「似たもの同士」のときには、該画素yを前
記平均化処理に、より貢献させ、「似ていないもの同
士」のときには、該画素yを殆ど又は全く無視する(重
みをゼロ又はその近似値)、と言い換えてもよい。
【0053】このような処理を画像全体に施すことによ
り、画像のぼけ、つまり空間的分解能の低下を殆ど生じ
ることなく、極めて高いノイズ抑制効果を発揮すること
ができる。また、ノイズ抑制という用途に限定せず、例
えばパターン認識の分野においても、重み関数、あるい
はコヒーレントフィルタを好適な具体的形式にすること
によって、優れた効果を発揮することができる。
【0054】ここで上記した「ダイナミックCT」撮影
とは、上記X線管101及びX線検出器102が被検体
Pの同一部位を反復撮影(反復スキャン、連続回転型C
T装置では、連続回転による反復撮影がしばしば行われ
る。)して次々に投影データを取得するとともに、該投
影データに基づいて次々に再構成処理を行って時系列的
な一連の画像を得る撮影方式のことをいう(この場合、
画像表示部107における画像表示は、例えば図示しな
いカウンタ等によって、その画像の元となった投影デー
タ収集に係るスキャン開始点又は終点から一定時間後に
行われるように制御される。)。
【0055】したがって、このように取得・表示される
画像は、映画等と同様に時系列的な複数枚の静止画像か
らなる、いわゆる動画像となる。なお、このような撮影
方式は、典型的には、被検体Pに対し造影剤を注入し、
その経時変化を観察・解析して、例えば血管における狭
窄や閉塞等その他病変部の病態を分析するために用いら
れる。また、造影剤投与の前後2回だけに限り同一部位
のCT撮影を行う方式も、広義のダイナミックCT撮影
と考えることができる。
【0056】さて、従来においては、上記のような「ダ
イナミックCT」撮影時、例えばK回の撮影を実施する
間に被検体Pに何らかの変化(例えば、造影剤の濃度変
化や呼吸動等が一般的に考えられる)があった場合、空
間解像度を損なわず画像ノイズを抑制するためには、時
間方向の平滑化を行うほかなかった。その結果、時間分
解能が損なわれるという弊害は避け得なかった。
【0057】ところが、ダイナミックCT撮影により取
得される画像は、上述したように、動画像であって時間
的変化を仔細に観察する目的で行うものであるから、そ
の分解能が損なわれるというのは、本来、好ましい状況
とは言えない。
【0058】コヒーレントフィルタを利用すれば、分解
能を損ねず、K枚の静止画像のすべて(複数枚の画像)
につきそのノイズを抑制することが可能な、次のような
ダイナミック・コヒーレントフィルタ処理を実施するこ
とができる。
【0059】まず、上記のようにして得られた動画像た
るK枚の静止画像につき定義される画素xについては、
既に述べたように、画素値v(x)として、 v(x)=(v(x),v(x),…,v(x)) … (1再掲) を構成することができる。ここで右辺各項における添え
字1,2,…,Kは、K枚の各静止画像の通し番号であ
る。
【0060】次に、この場合における重み関数w1の具
体的形式を、例えば次の(4)式により与える。
【0061】
【数2】
【0062】ただし、y∈N(x)であって、かつ、こ
の集合N(x)は、画素xにつき任意に設定してよい
(=どのような基準によって設定してもよい。)。しか
し実際上は、画素xと該画素xから遠く離れた位置にあ
る画素yとが仮説「v(x)=v(y)。ただし、両画
素のノイズに起因する差異を除く」を満たす可能性は一
般に低いといえるから、集合N(x)をxに近接してい
る画素の集合という基準で限定することは、演算速度向
上等の実用的な意義がある。
【0063】したがってここでは、その一例として、集
合N(x)を、当該画素xを中心としたその周囲の矩形
状エリアに含まれる画素の集合、とする。より具体的
に、集合N(x)としては、例えば、いま注目している
静止画像一枚を構成する全画素が128×128画素で
あるような場合に、前記画素xを中心とした3×3画素
分のエリアとしたり、また、512×512画素である
ような場合に、当該画素xを中心とした13×13画素
分のエリア等としてもよい。
【0064】また、上記(4)式におけるσは、k枚
目の静止画像の各画素が、そのどれにも共通な一定の程
度で有するものと仮定して推定されたノイズの標準偏差
であり、一方Cは、重みw1(p(x,y))が、上記
(4)式に代入された場合における作用の程度を決定調
節可能なするパラメータである。
【0065】以下、これらσ及びCについての説明を
順に行う。まず、(4)式におけるσについて説明す
る(以下では、分散σ として説明する。)。このσ
は、上述したように、k枚目の静止画像上の各画素
のスカラー値が有するノイズ成分の分散である。そして
また、上記(4)式における分散σ は、k枚目の画
像の各画素のスカラー値について一定値たる分散σ
を持つノイズを含んでいるものと仮定して推定したもの
である。一般に、このような仮定は、次に記すようなこ
とを背景として、十分な正当性を持つ。
【0066】被検体Pの大きさ、X線管101及びX線
検出器102、再構成部106等の構造が一定で、か
つ、照射X線のエネルギを一定にした状態では、CT画
像のノイズは、照射X線量、すなわちこれと比例関係に
あるX線管101における管電流と照射時間との積(い
わゆる管電流時間積(mA・s))によって決定され
る。
【0067】一方、CT画像のノイズは加法的であり、
概ねガウス分布に従うことも知られている。すなわち、
ある画素xの画素値v(x)を構成する任意のスカラー
値v (x)(n=1,2,…,K)について、その真
値(ノイズの寄与分を除去した値)をv (x)とす
ると、これらの差の値v(x)−v (x)は、概
ね平均0、分散σ のガウス分布に従う(なお、照射
X線量ないし管電流時間積m・Asとノイズの分散σ
とは、概ね反比例関係にある。)。
【0068】また、この分散σ は、画素xの位置そ
のもの(上で述べたように、例えば各座標値x=(x,
y))にも依存するが、通常のX線CT装置100にお
いては、X線管101及びX線検出器102の間に、X
線照射量を調節する物理的なX線フィルタ(例えば銅箔
や金属塊等により構成された、いわゆる「ウェッジ」あ
るいは「X線フィルタ」と呼称されるもの)を備えてい
るため、これを無視することができる。なぜならばウェ
ッジは、被検体Pが水とほぼ同じ密度を持つ物質から構
成されていることを利用して、どのX線検出器102に
おいても同程度のX線量が検出されるよう、照射される
X線量の一部減弱する作用を有するものであり、従って
このようなウェッジによれば、結果的に、ノイズの分散
σ を画素xの位置に殆ど依らない概ね一定値にする
効果を生じるからである(ちなみに、このウェッジは、
一般に、X線検出器102のダイナミックレンジを有効
に利用することを本来の目的として設置されるものであ
る。)。
【0069】以上のことから、ダイナミックCT撮影に
より取得されたK枚の静止画像上においては、k枚目の
静止画像上におけるすべての画素について、分散σ
がほぼ一定であると推定することは妥当である。むろ
ん、画素ごとに分散が異なる場合について本実施形態を
拡張することも容易に推考できる。
【0070】さて次に、上記(2)式を具体的に演算す
るためには、その分散σ として、どのような数値を
あてるか、が問題となる。このようなことが問題となる
のは、通常、ノイズの分布の形は想定できても(上記で
はガウス分布)、分散σ の具体値は不明であること
が多いからである。
【0071】更に、一般的に、毎回の撮影毎に照射線量
(X線管電流×照射時間(mAs))を変更して撮影を
行ってもよい。
【0072】さて、k枚目の画像(k=1,2,…,
K)に於いて各画素のスカラー値が持つノイズの分散を
σ とし、k枚目の画像の撮影に用いた照射線量をR
とするとき、σ はRに比例する。従って少なく
ともひとつのk=kについてσkO が指定できれ
ば、他のkに関しても、
【0073】
【数3】 によってσ を正確に推定することができる。
【0074】本実施形態(このような事情が当てはま
る)に於いては少なくともひとつのkについて、以下の
ような方法でσ の具体的数値の推定を行うことがで
きる。
【0075】K回の撮影のうち、被検体Pに殆ど変化が
なかったと仮定することのできるN回(1<N≦K)の
画像を用いて、実測により、分散σ に対する期待値
E[σ ]を求める方法が有効である。以下説明を簡単
にするために、これらN枚の画像における照射線量は同
じであり、従ってk=1,2,…Nに関してσ は一
定(σと書く)と仮定する。これらN枚の画像におけ
る、ある画素xの画素値v(x)を構成する各スカ
ラー値v(x),v(x),…,v (x
が含むノイズは、上述したように平均0、分散σのガ
ウス分布に従うと予想されるから、これらの平均値を以
下の(6)式、
【数4】
【0076】を用いると、真の分散σに対する期待値
E[σ]を、
【数5】
【0077】として求めることができる。そして、この
分散の期待値E[σ]は、上述した通り、K枚すべての
静止画像上の全画素xにつき妥当するものと考えること
ができ、真の分散σの代用として用いるのに、一定程
度以上確からしさが保証された値である。したがって、
上記(4)式の実際の演算においては、このE[σ]を
(4)式のσに代入すればよい。
【0078】なお、このようなE[σ]は、より具体的
には、K枚の静止画像中、例えば1枚目と2枚目の静止
画像に基づく実測値により求めてもよい(上記(6)及
び(7)式で言えば、N=2とすることに該当す
る。)。また、上記(6)及び(7)式の実際の演算に
供される画素xについては、例えば、空気や骨が撮像
されている部分を除いた適当な画素xのみを選定する
(複数選定した場合は得られるE[σ]すべての平均を
とる)等といった工夫を施してもよい。さらに、その他
一般的には、被検体Pの動きによる影響を抑える工夫等
を施すと尚よい。
【0079】これらN枚の画像の撮影において照射線量
が一定でない場合においても、σ がRに比例する
ことを利用して正しくσ を推定することは容易に推
考できるであろう。
【0080】さて次に、上記(4)式におけるパラメー
タCについての説明を行う。まず、(4)式において
は、上記一般的形態で述べた危険率p(x,y)の考え
方が、以下のようにして含まれている。すなわち、
(4)式の右辺分子における根号内の表式は、いわゆる
χ二乗分布に従うとされる当該χ値に一致するもので
あり、これを(2σ)で除し、括弧の全体をeの肩に
置いた値は、危険率p1(x,y)そのものである。つ
まり、
【数6】
【0081】そして、上記(4)式は、この(8)式の
ように表されるp1(x,y)に関し、
【数7】
【0082】としたものに他ならない。尚、Aは定数で
p1が(0〜1)の値になるように規格化されたもので
ある。
【0083】結局、(4)式においては、上記したよう
な一般的形態で述べた危険率p(x,y)が陽には表示
されてはいないが、重みw1(p(x,y))の実態
は、上述したように、まさしく危険率(=p1(x,
y))の関数であると見ることができ((9)式)、す
なわち「適合度の関数」である(ただし、危険率と適合
度とは、上述したように、一方が増えれば他方も増加す
る関係にある)。
【0084】そして、上記(9)式からわかるように、
パラメータCは、重みw1(p(x,y))が、危険率
p1(x,y)にどの程度敏感に反応するかを決める効
果がある。つまり、Cを大きくすると、p1(x,y)
がわずかに小さくなるだけで、w1(p(x,y))は
0に近づく。また、Cを小さくするとそのような過敏な
反応を抑制することができる。なお、Cとして、具体的
には1乃至10程度とすればよく、好適にはC=3とす
るとよい。
【0085】本実施形態においては、両画素x及びyに
関する類似判定、言い換えると、両画素x及びyに関す
る上述した帰無仮説Hの棄却の判定は、上述したことか
ら明らかなように、上記危険率p1(x,y)に基づい
て、いわゆるχ二乗検定法(統計的検定法)によって決
定されている。
【0086】また、上記(4)式の表式からわかるよう
に、本発明においては、危険率p(x,y)をx,yの
組み合わせそれぞれについて計算した後、重みw(p
(x,y))を求めるといった手順を踏む必要は必ずし
もなく、危険率p(x,y)を具体的に求めずに、合成
関数としての(wOp)を、直接計算する構成としても
よい。
【0087】以上述べたように、分散σの推定をし
(例えば、(7)式のE[σ])、かつ、パラメータC
を適当に決める(例えば、C=3)ことにより、(4)
式を用いて、ある画素xにつき定義される集合N(x)
(上述したように、例えば画素xを中心とした3×3画
素分のエリア等)に含まれるすべての画素yについて、
具体的な重みw1(p(x,y))を求めることができ
る。後は、上記(2)式におけるw(p(x,y))に
代えて、このw1(p(x,y))を用いることによ
り、コヒーレントフィルタの具体的な数値演算を実施す
ることが可能となる。そしてその結果、時間分解能は勿
論のこと、空間分解能をも損なわずに、ノイズを強く抑
制した画素値v´(x)=(v´(x),v´
(x),…,v´ (x))(=(3)式)、すなわ
ちそのようなK枚の静止画像ないし動画像を、得ること
ができる。
【0088】このような画像処理を、概念的に把握しや
すいよう図示したものが、図3である。すなわちまず、
図3(a)においては、1,2,…,K枚ある静止画像
において、ある画素xにつき、該画素xを中心とした3
×3画素分の矩形状エリアN 3×3(x)が想定されて
いる。この矩形状エリアN3×3(x)の左角隅におけ
る画素を、yとすれば、この画素yは、図3に併せ
て示すように、画素値v(y)を有している。
【0089】そして、この画素値v(y)を構成する
スカラー値v(y),v(y ),…,v(y
)と画素値v(x)におけるスカラー値v(x),
(x),…,v(x)とのそれぞれにより、上記
(4)式によって重みw1(p(x,y))が計算さ
れる(図3(b))。また、矩形状エリアN
3×3(x)の残る画素y,…,yについても同様
で、結局図3(b)に示すように、w1(p(x,
)),…,w1(p(x,y))及び、w1(p
(x,x))が得られる。(この場合、(8)式より危
険率p(x,x)は、“1”であり、したがって重みw
1(p(x,x))も、(9)式より“1”である(=
最大の重み付けがされている))。
【0090】次に、このようにして得られた、重みw1
(p(x,y)),…,w1(p(x,y)),w
1(p(x,x))を、対応する画素の、k枚目の画像
におけるスカラー値v(y),v(y),…,
(y),v(x)にそれぞれ乗算して総和を取
り(上記(2)式における分子に該当する。)、これを
矩形状エリアN3×3(x)に関する重みw1の総和
(同じく(2)式の分母に該当する。)により除せば、
当該k枚目の画像における画素xについての、ノイズが
抑制されたスカラー値v´(x)を求めることができ
る(図3(c))。また、k=1,2,…,Kのすべて
の画像につき、同じ重みw1(p(x,y )),…,
w1(p(x,y)),w1(p(x,x))を用い
て、ノイズが抑制されたスカラー値v´(x)を求め
ることによって、画素xにおけるノイズが抑制された画
素値v´(x)=(v´(x),v´(x),
…,v´(x))が得られる。すべての画素xにつ
き、上記演算を繰り返せば、ノイズを抑制したK枚の画
像が得られる。
【0091】このようにしてコヒーレントフィルタで算
出された画素値v´(x)で構成される画像では、オリ
ジナル画像で見られたランダムなノイズが、十分に抑制
される。
【0092】なお、以上までに述べた各処理は、例えば
図4に示すようなフローチャートに則ってこれを行えば
よく、また、当該各処理に係る演算・画像表示等を実際
のX線CT装置100上で実現するためには、例えば、
図2に示すように、分散値推定部111、重み演算部1
12及び画素値演算部113により構成される画像処理
部110を設けて、これを実施すればよい。
【0093】このうち重み演算部112は、上述した手
順通り、画素値v(x)及びv(y)から直接重みw1
(p(x,y))を求める構成となっている。したがっ
て当該演算部112は、危険率p1(x,y)の値を具
体的に求めることなく(すなわち、「危険率演算部(本
発明にいう「適合度定量化部」を内蔵し)、重みを直接
に求める装置である。なお、上記したような構成ではな
く、具体的に危険率p1(x,y)の値を求める「危険
率演算部(適合度定量化部)」と、その出力に基づいて
重みw1(p(x,y))を求める「重み演算部」とい
う、二段の手順を踏む構成としてもよい。いずれにせ
よ、重み演算部112は、分散値推定部111により推
定された分散σと、v(x)及びv(y)を用いて重
みw1(p(x,y))を算出する。
【0094】また、画素値演算部113は、画素値v
(x)及びv(y)、並びに重み演算部112により数
値演算された重みw1(p(x,y))を使って、画素
値v´(x)を演算する。すなわち当該演算部113
は、元となる画像のノイズを抑制する処理、すなわちコ
ヒーレントフィルタの適用を実際に行う(以下、これを
「コヒーレントフィルタをかける」と表現する。)。
【0095】上記のようなダイナミック・コヒーレント
フィルタ処理においてK枚の静止画像から構成される動
画像に、コヒーレントフィルタをかける場合には、上記
画像処理部110における処理は、一旦すべての静止画
像を再構成した後、これらを上記記憶装置10Mに蓄
え、後処理として後にこれらに対してコヒーレントフィ
ルタをかけるようにしてもよいが、本実施形態はこのよ
うな形態に限定されるものではなく、上述した連続スキ
ャン、連続投影データ収集、連続再構成及び連続表示と
いう流れの中で、コヒーレントフィルタをかける処理を
リアルタイムに実施する(以下、これを「リアルタイム
・コヒーレントフィルタ処理」と呼ぶ。)のでもよい。
【0096】リアルタイム・コヒーレントフィルタ処理
の好ましい実施形態においては、新しい画像が撮影され
再構成されるたびに、以下のような処理を行う。最初に
得られた画像(画像番号1)から最新の画像(画像番号
M)までのうち、画像番号M,M−1,…,M−K+1
を持つK枚の静止画像上、共通の同一点(同一座標)の
画素xの持つ画素値(スカラー値)を並べてK次元ベク
トル値v(x)=(v (x),vM−1(x),…,
M−K+1(x))を構成する。こうして、上記の
「ダイナミック・コヒーレントフィルタ処理」と全く同
様にコヒーレントフィルタをかけることができる。ただ
し、画素値演算部113は実際には画素値v´(x)の
全ての要素を計算するのではなく、最新の画像(画像番
号M)に対応するスカラー値v´(x)だけを計算す
る。この結果、計算速度が向上するので、リアルタイム
でノイズが抑制された最新の画像を表示できる。
【0097】この「リアルタイム・コヒーレントフィル
タ処理」の別の好ましい実施例として、最初のK枚の画
像が得られた時点で、上記と全く同様にコヒーレントフ
ィルタをかけてv´(x),…,v´(x)を求め
ておき、以後は、K次元ベクトル値を画像番号M,M−
1,…,M−K+1を持つK枚の静止画像を用いてv
(x)=(v(x),vM−1´(x),…,v
M−K+1´(x))によって構成し、これに対して上
記のリアルタイム・コヒーレントフィルタ処理を適用す
るように構成してもよい。なお、これらのリアルタイム
・コヒーレントフィルタ処理の際に画素値ベクトルv
(x)の次元Kを、マニュアル設定、あるいは自動設定
によって、随時変更できるように構成しておくと便利で
ある。
【0098】このようにコヒーレントフィルタにより、
空間及び時間分解能を低下させることなく、ノイズだけ
を効果的に抑制したCT画像を使ってCBPスタディを
実行し、脳組織(毛細血管)の血液の動態を定量的に解
析し、そのインデックス(CBP、CBV、MTT、E
rr)を求めることにより、その精度及び信頼性の向上
が期待できる。
【0099】以下に、CBPスタディについて説明す
る。 (CBPスタディ) (原理)CBPスタディでは、脳組織内の”毛細血管を
通過する血流”の動態を定量的に表すCBP、CBV、
MTT、Errのインデックスを求め、またこれらイン
デックスのマップを出力する。
【0100】CBP:脳組織の毛細血管内の単位体積及
び単位時間あたりの血流量[ml/100ml/min] CBV:脳組織内の単位体積あたりの血液量[ml/10
0ml] MTT:毛細血管の血液平均通過時間[秒] Err:解析モデルからの実測値のずれ残差の指標。こ
の指標の多少により、脳動脈の支配組織と非支配組織と
の識別等の解析が可能となる。
【0101】CBPスタディでは、トレーサーとして脳
血管透過性を持たない造影剤、たとえばヨード造影剤が
使用される。ヨード造影剤は例えばインジェクターによ
り肘静脈から注入される。インジェクターにより静注さ
れたヨード造影剤は、心臓、肺を経由して、脳動脈から
流れ込む。そして、脳動脈から、脳組織内の毛細血管を
経て、脳静脈へと流れ出ていく。このとき、脳血管透過
性を持たない造影剤、たとえばヨード造影剤は正常な脳
組織内の毛細血管では造影剤は血管外へ漏れ出ることな
く通過する。
【0102】造影剤の通過の様子をダイナミックCTで
連続的に撮影して、その連続画像から、脳動脈上の画素
の時間濃度曲線Ca(t)、毛細血管を含む脳組織上の
画素の時間濃度曲線Ci(t)、脳静脈上の画素の時間
濃度曲線Csss(t)をそれぞれ測定する。
【0103】CBPスタディでは、造影剤の血中濃度に
ついて脳組織に近い脳血管の血中濃度の時間曲線Ca
(t)と、毛細血管の血中濃度の時間曲線Ci(t)と
の間で成り立つ理想的な関係を解析モデルとしており、
つまり脳組織に入る直前の血管から造影剤を注入した場
合、毛細血管を含む脳組織単位体積(1画素)内の時間
濃度曲線は立ち上がりが垂直で、若干の勾配を持って立
ち下がる形になる。これは、矩形関数で近似することが
できる(box−MTF法:box−Modulati
on Transfer Function meth
od)。
【0104】脳動脈血中時間濃度曲線Ca(t)を入力
関数、脳組織の時間濃度曲線Ci(t)を出力関数とし
て、毛細血管を通過する過程の特徴を、矩形関数で表さ
れる伝達関数として求めることができる。
【0105】(具体的な手順)図5、図6には、本実施
形態によるCBPスタディの典型的手順を示している。
まず、肘静脈等の血管にボーラスインジェクション(造
影剤を一気に投与する)を行い、その直後あるいは直前
からダイナミックCT(同じ箇所を反復して撮影する)
を行う。最も典型的な手技として、肘静脈へボーラスイ
ンジェクションを行った場合、概ね20〜40間に渡っ
て、例えば0.5〜2秒間隔で撮影を繰り返す。ダイナ
ミックCTで得たN枚のCT画像のうちのj枚目の各ピ
クセル(x、y)のCT値をv(x、y、j)とする。
これはこの画素(x、y)における時間濃度曲線(滑ら
かな曲線である)f(t、x、y)をサンプリングした
ものに他ならない。
【0106】まず、前処理として、ステップS1で、C
T画像各々から、明らかに脳組織以外の組織であること
が判別される画素を、解析対象から除外する。すなわ
ち、脳組織のCT値として考えられる範囲(例えばCT
値10〜60HU)に入らない値を示す画素は、空気や
骨、脂肪などに対応する画素であり、脳血流の定量とは
関係ないのでこれらは無視して良い。この解析範囲は、
デフォルトとして、10〜60HUに設定されるが、入
力部109を介して任意に設定可能である。
【0107】また、前処理として、ステップS2で、造
影効果の初期化が行われる。各画素に於ける造影効果
(CT値の上昇)を得るためには、各画素(x,y)に
ついて、その画素に対応する組織に造影剤が到達する以
前の画像(一般に複数枚得られる)を、通し番号1,
2,…Kで表すと、その時間的平均値は、
【数8】
【0108】を求め、この値をb(x,y)とする。そ
して、j=K+1、K+2、…,Nの各画像の画素値v
(x,y,j)について、 q(x,y,j)=v(x,y,j)−b(x,y) j<Kについて q(x,y,j)=0 とすればよい。処理を簡単にするためには、どの画素に
関しても同じKを採用しても良い。こうして得られたq
(x,y,j)は、造影効果の(滑らかな)時間濃度曲
線q(t,x,y)をt=t1,t2,…tNにおいて
サンプリングしたものに他ならないと考えることができ
る。このq(t,x,y)を用いて脳血流の定量解析を
行う。
【0109】定量解析にあたってはまず、右脳エリアと
左脳エリアをCT画像上で分離する必要がある。上述し
たようにCBPスタディでは、毛細血管の血流動態の様
子を、脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)に対する脳組織
の時間濃度曲線Ci(t)の伝達関数MTFとして求め
るものであり、従って、解析対象の脳組織が、Ca
(t)の脳動脈の支配下にがあることが前提とされる。
少なくとも左脳と右脳とでそれぞれ別々の脳動脈の時間
濃度曲線Ca(t)を使って個別に解析する、つまり左
脳の脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)は同じ左脳の脳組
織の解析にだけ使用し、動揺に、右脳の脳動脈の時間濃
度曲線Ca(t)は同じ右脳の脳組織の解析にだけ使用
することが必要とされる。
【0110】脳を左脳エリアと右脳エリアとを分割する
ために、図7に示すように、CT画像上に分割線が画面
上に図形として重ねて表示される(S3)。分割線が最
初は画像中央に表示されるように構成しても良い。操作
者は、画像を参照して、分割線を移動し、また分割線を
構成する複数の構成点を移動して任意に屈曲させること
により、左右エリアを分割する。
【0111】次に、CT画像上で脳動脈上に脳動脈RO
Iを設定するのであるが、この設定の精度を向上し且つ
容易にするためにROI設定支援部121により支援マ
ップが作成され、CT画像とは別に、またはCT画像に
重ねて表示される(S4)。支援マップとしては、例え
ば、AT(アピアランスタイム)マップ、PT(ピーク
タイム)マップ、TT(トランジットタイム)マップが
あげられる。各画素について、図8に示すように、造影
前の任意の時刻(例えばデータ収集開始時刻)T0から
造影剤濃度がピークpeakの数パーセント(例えば1
パーセント)に達する時刻までの時間AT、時刻T0か
ら造影剤濃度がピークに達した時刻までの時間(ピーク
タイム)PT、又は造影剤の移動時間を例えば半値幅で
表すTTが計算され、マップとして生成され表示され
る。デフォルトでは、これらATマップ、PTマップ、
TTマップの全種類が生成され表示されるようになって
いるが、任意の1種類、又は任意の2種類を操作者が選
択することが可能である。
【0112】脳動脈のこれら数値は他と比較して高いあ
る程度固有値で現れる傾向にあるので、その値を中心と
したウインドウ内が抽出して表示されるよう設定された
カラーマップ(ルックアップテーブル)を通してカラー
表示させることで、脳動脈の場所を容易に識別し、脳動
脈ROIを正確に設定することが可能となる(S5)。
典型的には、左右脳エリアそれぞれに、脳動脈ROI
は、前大脳動脈(ACA)、中大脳動脈(MCA)、後
大脳動脈(PCA)の3箇所ずつ設定される。
【0113】なお、マルチスライス、撮影の場合、例え
ば隣接する4枚のスライスを解析対象とする場合、図1
2に示すように、その各スライスで個々に脳動脈ROI
を設定することは作業負担が大きいばかりで、解析を行
う上では必要のない作業である。従って、ある任意の1
スライスで設定した脳動脈ROIを他のスライスにも共
用する。または、後述するコヒーレントレグレッション
法を使って全スライスで共通に用いることのできる脳動
脈の時間濃度曲線Ca(t)を作成するようにしてもよ
い。
【0114】次に、設定された脳動脈ROI各々に関し
て時間濃度曲線Ca(t)が、ダイナミックCTによる
連続画像データから時間濃度曲線作成部122により作
成される(S6)。
【0115】ここで、画素に比べて、脳動脈は非常に細
いものが多く、しかも一般にCTの撮影スライスに対し
て直交していないため、画像上のどの画素も正確に動脈
血のCT値を表しておらず、1画素が脳動脈と他の組織
との混在により構成され、そのパーシャルボリューム効
果のためにそれよりも低い造影効果しか示さないことが
ほとんどである。また、動脈をパーシャルボリュームと
して含むこれらの画素において、画像ノイズが大きい。
特に脳梗塞を生じている部位の動脈等においては、造影
効果が比較的小さいために、ノイズの影響は甚大であ
る。画像ノイズに関しては上述したコヒーレントフィル
タにより抑制されているものの、パーシャルボリューム
効果の影響は依然として残存している。
【0116】この問題は、脳動脈の時間濃度曲線は、単
一のスライス画像において計測するのではなく、その動
脈を含む立体内の画素を用いて後述するコヒーレントレ
グレッション法を適用することで抑圧することが可能で
ある。従って、上述したコヒーレントフィルタ法に代え
て、この段階でコヒーレントレグレッション法を適用す
るようにしてもよい。
【0117】また、この方式によれば、動脈ごとにそれ
に対応する唯一の脳動脈の時間濃度曲線が得られ、従っ
て、撮影範囲内にある全スライス中の任意の部位の解析
に利用することができ、これによって、特定の動脈につ
いて、その脳動脈の時間濃度曲線が最も明瞭に得られる
スライスを選んで、その脳動脈の時間濃度曲線を全スラ
イスに適用することができ、脳動脈の時間濃度曲線の数
を減らすことができる。
【0118】(コヒーレントレグレッション法)上記時
間濃度曲線の作成では、パーシャルボリューム効果、ラ
ンダムノイズの影響を除去することが重要である。ま
ず、「時間濃度曲線」とは、上記ダイナミックCT画像
中の特定の部位における像の濃度値の経時的変化を表す
曲線である。ことに、上記医用画像診断装置において
は、人体組織等における血流動態や代謝機能等の詳細を
調べる事を目的として、人体の特定組織内の造影剤濃度
等の経時的変化を時間濃度曲線として計測することが行
われている。また、天体観測等においては、特定の天体
の光度変化等を解析する目的で、時間濃度曲線が用いら
れる。より形式的に明示すると、すなわち、時間濃度曲
線とは、時刻tにおけるある部位の濃度値をdとす
るとき、対の列{<t,d>(k=1,2,・・
・,K)}として表現される。また、時間濃度曲線の多
くの用途においては、必ずしもdの絶対的な値が必要
なのではなく、むしろ最初の画像1を基準とする増分
(d−d)だけが得られれば十分である。さらにそ
のような用途のうちの多くでは、単に(d−d)に
比例するデータ A(d−d)(ここにAは未知の
比例係数)だけが得られれば十分である。この場合に
は、従って、対の列{<t,A(d−d)>(k
=1,2,・・・,K)}が、求める時間濃度曲線であ
る。
【0119】このような時間濃度曲線を求めるために
は、原理的には、上記ダイナミックCT画像を構成する
各画像k(k=1,2,・・・,K)における、該時間
濃度曲線を測定しようとする部位に含まれる画素xのス
カラー値v(x)を用いて、対の列{<t,v
(x)>}あるいは、{<t,A(v(x)−v
(x))>}を構成すればよい。
【0120】しかし、実用においては、上記医用画像診
断装置等によって撮影されたダイナミックCT画像にラ
ンダムなノイズが含まれているために、本来測定しよう
とする時間濃度曲線を正確に求められないという問題が
ある。
【0121】さらに、実用においては、これらのダイナ
ミックCT画像においては、いわゆる「パーシャルボリ
ューム効果」が生じる。パーシャルボリューム効果と
は、すなわち、被検体内の微小な物体の像は、画像上で
は少数個の画素によって表現されるが、これら少数個の
画素には、被検体内の隣接する物体の像も影響を与える
ため、これら少数個の画素の画素値は(本来計測しよう
とする濃度値の変動に比例するものの)比較的小さな変
動しか示さない、という現象である。言い換えれば、こ
れら少数個の画素の画素値は僅かな信号しか含まない。
従って、パーシャルボリューム効果が生じている場合に
は、どの画素xを取っても対の列{<t,v(x)
>(k=1,2,・・・,K)}は非常に信号レベルが
低く、本来計測しようとしているのではない組織におけ
る濃度値の変化の影響を受け、さらにランダムなノイズ
が存在するために、本来測定しようとする時間濃度曲線
{<t,d>}を正確に求められないという問題が
ある。
【0122】そこで、従来は、ランダムなノイズを抑制
するために、時間的又は空間的平滑化を用いていたが、
時間平均を行うと時間分解能が損なわれてしまい、ま
た、空間平均を行うと、本来の該測定しようとする部位
以外の部位の濃度の経時変化が計測値に混入するという
問題点があった。このような問題点を解決し、より正確
な時間濃度曲線を得るために、コヒーレントフィルタを
採用する。
【0123】まず、本実施形態のコヒーレントフィルタ
において用いるべき、帰無仮説について説明する。計測
しようとする部位における真の時間濃度曲線を{<
,d >(k=1,2,・・・,K)}であると仮
定するとき、その一次変換である{<t,A(d
)>(k=1,2,・・・,K)}(だたしAは未
知の係数)を計測することを目的とする場合において、
計測しようとする部位に概ね相当する画素の集合Rを設
定する。この集合Rの要素である任意の画素x∈Rにつ
いて、条件Q:「もし、この画素xが上記真の時間濃度
曲線を良く反映し、しかも他の部位の経時的濃度変化の
影響をほとんど受けていない」のであれば、(ベクトル
値としての)画素値v(x)=(v(x),v
(x),...,v(x))について、パーシャル
ボリューム効果およびランダムノイズの影響を考慮する
ことによって、 v(x)=p(x) d+q(x)+γ(x) …(11) (k=1,2,・・・,K)が成り立つと仮定すること
ができる。ここに、p(x)およびq(x)は、画素x
ごとに異なるが画像番号k(すなわち撮影時刻t)に
よっては変化しない未知の係数であり、パーシャルボリ
ューム効果をモデル化したものである。またγ (x)
はランダムなノイズをモデル化したものであって、画素
xごとに、しかも画像番号kごとに値が異なるが、その
期待値は0であり、またその統計分布は画素xにも画像
番号kにも依存しない。
【0124】以上の仮定によれば、該集合Rの要素であ
る任意の2個の画素x,yに関して、もし「画素x,y
が共に(上記の)条件Qを満たす。」という命題が成り
立つのであれば、次式の関係が成り立つことが証明でき
る。
【0125】 v(x)=a(y)+a+ξ (k=1,2,・・・,K) … (12) ここに、aおよびaは、画素の組x,yごとに異な
るが画像番号k(すなわち撮影時刻t)によっては変
化しない未知の係数である。またξはランダムなノイ
ズであって、画素の組x,yごとに、しかも画像番号k
ごとに値が異なるが、その期待値は0である。
【0126】(12)式は以下のようにして導かれる。
すなわち、xにyを代入して得られる式 v(y)= p(y) d+q(y)+γ(y)… (13) を変形すると、
【数9】
【0127】とおくことによって、(12)式が導かれ
る。ここで、(16)式のaとaは、パーシャルボ
リューム効果を現すパラメータであり、また(16)式
のξは、ランダムなノイズを表す。
【0128】以上から、「画素x,yが共に条件Qを満
たす。」という命題は、帰無仮説H ´「v(x)=
(y)+a+ξ (k=1,…,K)で
ある。」と等価であることが示された。
【0129】次に帰無仮説H´「v(x)=a
(y)+a+ξ (k=1,…,K)であ
る。」を、実質的に等価であり、かつ実際に検定できる
形式の命題に変換する方法について述べる。この帰無仮
説を改めて数学的に厳密な表現で述べると、帰無仮説H
´「ある定数aおよびaが存在して、ξ=v
(x)−a(y)−a(k=1,…,K)は平
均0、分散(σh(a))の正規分布に従う。」と
なる。ここに係数h(a)は、 h(a)=1+a … (17) である。((17)式はaとξの定義である(1
6)式、および、ランダム変数に関する分散の持つ一般
的な性質から直ちに導かれる。)また、上記の分散σ
の値は、簡便かつ実用上十分正確に推定できる。
【0130】以上から、もし、上記の定数aおよびa
を決定することができれば、上記の帰無仮説H´を
検定することが可能である。そして実際上は、これらの
定数の最適な推定値a およびa が得られれば十
分である。
【0131】このような、定数aおよびaの最適な
推定値の算出には、公知の当てはめ法(fitting)がそ
のまま利用できる。そこで、以下では、そのような当て
はめ法の典型的な具体例として、線形最小二乗法を用い
る場合における概要を説明する。線形最小二乗法を本実
施例に適用するには、単に、上記の帰無仮説のξの二
乗和をS(a)として、すなわち
【数10】
【0132】を定義する。S(a)の値は定数ベクトル
a=(a,a)、すなわち上記の定数aおよびa
、の値に依存する。このS(a)が最小の値を取るよ
うな定数ベクトルaを算出すれば、定数aおよびa
に関する、不偏推定の意味での最適な推定値a およ
びa が得られる。なお、線形最小二乗法の具体的な
計算方法としては、様々な公知の方法を利用することが
でき、しかも、これら公知の計算方法はいずれも非常に
簡単であり、必要な計算時間はごく僅かである。
【0133】このようにして、上記の定数a,a
最適な推定値a ,a を算出した結果、次式で定
義される残差 r (x,y)=v(x)−a (y)−a …(19) を具体的に計算することができる。従って、この残差r
を用いて、上記の帰無仮説H´を、実質的に等価
な帰無仮説H”「r (x,y)(k=1,…,
K)は平均0、分散(1+(a )σの正規分
布に従う。」と言い換えることができる。これは、実際
に検定の計算を実行可能な具体的命題である。
【0134】なお、さらに、ベクトルによる表現
【数11】
【0135】(ただし、ベクトルa及びξは画素の組
x,yに依存する。)を導入し、また、次式 f(a~,v(y))=a v(y)+a … (21) で定義されるベクトル値関数fを用いて帰無仮説H´
を言い換えると、帰無仮説H”は「v(x)=f(a
~,v(y))+ξ、(ただし、ξは平均0、分散(1
+(a )σの正規分布に従う。)」となり、
これは上述した帰無仮説Hと全く同じ形式である。す
なわち、本実施形態は上述したコヒーレントフィルタの
一変形例であることは明らかである。なお、ここで、上
記f(a~,v(y))とは、すなわち、画素yの画素
値v(y)に対して、パーシャルボリューム効果を現す
パラメータaを最適に調節して、画素xの画素値v
(x)と最も高い適合度を持つように変換したものを意
味する。
【0136】次に、本実施形態において、上記の帰無仮
説H”を用いて、コヒーレントフィルタによって時間
濃度曲線を求める方法について説明する。計測しようと
する部位に概ね相当する画素の集合Rについて、この集
合Rに含まれるあるひとつの画素x∈Rについて、集合
Rの要素である全ての画素y∈Rに対して、以下の計算
を行う。すなわち、上記の方法を用いて実際に残差r
(x,y)(k=1,…,K)を算出し、次に、上記
の帰無仮説H”「r (x,y)(k=1,…,
K)は平均0、分散(1+(a )σの正規分
布に従う。」を棄却する場合の危険率p(x,y)ない
し重みw(p(x,y))を具体的に計算する。そし
て、重み付き平均v´(x)を下式(22)によって
計算し、画素xにおける時間濃度曲線{<t,v´
(x)−v´(x)>(k=1,2,・・・,K)}
を構成する。
【0137】
【数12】
【0138】こうして得られた時間濃度曲線は、画素x
における真の時間濃度曲線{<t,d>}の一次変
換である{<t,A(d−d)>}(だたしAは
未知の係数)を近似している計測値であり、しかも、重
み付き平均の効果によって、ランダムなノイズが抑制さ
れている。また、他の画素yの画素値ベクトルに対して
は、式から明らかなように、パーシャルボリューム効果
の影響を補正したものが用いられている。さらに、本実
施形態はコヒーレントフィルタの共通の特徴である、
「時間平均を全く使用せず、また空間平均を画素xとの
適合度に基づく重みを使って計算する」という性質を有
する。従って、本実施形態によって、時間分解能を損な
わず、パーシャルボリューム効果の影響を抑制し、しか
もランダムなノイズが抑制された時間濃度曲線を得るこ
とができる。なお、このようにして時間濃度曲線を求め
る方式を、特に「コヒーレントレグレッション法」と称
す。
【0139】次に、具体的に、医療用のX線CTにおけ
るダイナミックCT撮影等で得られたダイナミックCT
画像における、時間濃度曲線の臨床的利用の一例を説明
する。この応用例では、造影剤を血管に急速に注入しな
がら、ダイナミックCT等の撮影を行い、人体組織中に
存在する動脈の像の濃度変化を時間濃度曲線として計測
することによって、当該組織における血流動態を診断し
ようとするものである。
【0140】この応用例において、多くの場合、人体組
織中の動脈は一般に非常に細いために、CTによる断層
画像上に現れる動脈の像は、パーシャルボリューム効果
を生じる。さらに、像にはランダムなノイズが含まれて
いることは言うまでもない。このため、従来の方法で
は、動脈に関する十分に正確な時間濃度曲線を得ること
は困難であり、強いて計測を行えば、動脈に関する真の
時間濃度曲線<t,D >の一次変換である<t
A(D−D)>(ここにDは動脈の像に相当する
一群の画素の、時刻tにおける(スカラー値である)
画素値を表す。また、k=1,2,・・・,K)をある
程度近似する測定値<t,(v(x)−v
(x))>しか得られなかった。この測定値はランダ
ムなノイズを含む。また、パーシャルボリューム効果の
影響のために、係数Aは未知のままである。
【0141】そこで、<t,A(D−D)>を十分
に近似する測定値<t,(v´(x)−v´
(x))>(k=1,2,・・・,K)を得ることが
できる。一方、同じ断層画像上で観察できる静脈の中に
は、相当に太いものが存在し、従ってそれらの静脈に関
しては、従来の方法で、時間濃度曲線の十分に良い近似
値<t,(J−J)>(k=1,2,・・・,
K)を得ることができる。ここにJは静脈の像に相当
する一群の画素の、時刻tにおける画素値を表す。
【0142】ところで、血液循環に関する時間濃度曲線
においては、命題S:「もし、時刻tにおける血中の
造影剤濃度が0であるならば、どの血管dに関する時間
濃度曲線<t,(d-d)>も、その曲線下面積
(AUC:Area Under CurVe)が一致する」という性質
が成り立つことが知られている。ここで言う曲線下面積
とは、時間濃度曲線<t,(d-d)>の時間tに
関する積分を意味する。
【0143】従って、ある血管dに関する時間濃度曲線
<t,(d-d)>の曲線下面積AUC(d)は、
例えば次式によって近似的に計算することができる。
【0144】
【数13】
【0145】従って、静脈に関して従来の方法で得られ
た時間濃度曲線{<t,(J-J)>}に関する
曲線下面積AUC(J)を(22)式を用いて計算するこ
とができる。(dにJを代入すればよい。)また、動脈
に関して、仮に、時間濃度曲線{<t,(D−D
>}が知られていれば、曲線下面積AUC(D)を(1
8)式を用いて同様に計算することができ、しかも上記
命題Sに従って AUC(D)≒AUC(J) … (24) が成り立つ筈である。しかし、実際には、時間濃度曲線
<t,(D−D)>は未知であるため、AUC(D)
は計算できない。
【0146】一方、本発明に係る方式で得られた時間濃
度曲線<t,(v´(x)−v´(x))>は、
<t,A(D−D)>を近似するものであり、後者
は未知の係数Aを含んでいる。このため、{<t
(v´(x)−v´(x))>}から(23)式を
用いて具体的に計算できる曲線下面積AUC(v´)は、
AUC(D)のちょうどA倍でなくてはならない。すなわ
ち、 AUC(v´)≒A AUC(D) … (25) である。すなわち、(24)式と(25)式から、 A≒AUC(v´)/AUC(J) … (26) という関係が成り立つ。(26)式の右辺は(23)式
を用いて具体的に計算できるため、未知であった係数A
の値が具体的に決定できる。そこで、この係数Aの値を
用いて時間濃度曲線<t,(v´(x)−v´
(x))/A>を構成すれば、これは、動脈の時間濃
度曲線<t,(D−D)>を近似するものに他なら
ない。このように、曲線下面積を用いて、未知であった
比例係数Aの値を決定した時間濃度曲線を構成する方法
を「AUC法」と呼ぶ。
【0147】以上から、ダイナミックCT撮影等で得ら
れたダイナミックCT画像における、時間濃度曲線の臨
床的利用において、上記コヒーレントレグレッション法
に、さらに上記AUC法を組み合わせることによって、従
来の方法では計測が困難あるいは不可能であった、細い
動脈の時間濃度曲線に関しても、パーシャルボリューム
効果およびランダムなノイズの影響を排除し、しかも、
未知の比例係数Aを含まない測定値が得られる。
【0148】なお、もちろんAUC法は、単独で従来の方
法で計測された動脈に関する時間濃度曲線<t,(v
´(x)−v´(x))>に対しても適用でき、
(ランダムなノイズやパーシャルボリューム効果の影響
は排除できないものの、)未知であった比例係数Aの値
を決定した時間濃度曲線を構成できる。
【0149】(上矢状静脈洞の時間濃度曲線を使った脳
動脈の時間濃度曲線の補正(パーシャルボリューム効果
の影響を抑圧))パーシャルボリュームの影響を抑圧す
るために、このコヒーレントレグレッションに代えて又
は併用して、上矢状静脈洞の時間濃度曲線Csss
(t)を使って脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)を補正
するようにしてもよい。
【0150】まず、図5のステップS7において、図1
1に示すように、CT画像上で上矢状静脈洞を取り囲む
ように大き目に上矢状静脈洞ROIを設定する。上矢状
静脈洞は動脈に比べて大きく、また位置も固定的である
ので、上矢状静脈洞ROI設定は容易である。この大き
目の上矢状静脈洞ROIには、複数の画素が含まれてい
る。
【0151】次に、上矢状静脈洞ROIの中の全ての画
素がその全域に渡って上矢状静脈洞に含まれるように、
上矢状静脈洞ROIを縮小処理する(S8)。縮小処理
としては、例えば、まず、上矢状静脈洞ROI内の画素
各々について、しきい値処理(二値化)を実行し、RO
I内の二値マップ(“0”,“1”)を作成する。当該
しきい値は、上矢状静脈洞の像を、その周辺の組織や骨
の像と分離する値に設定される。“1”は上矢状静脈洞
の像上の画素であることを表し、“0”は周辺の組織や
骨の像上の画素であることを表している。この二値マッ
プの各画素(中心画素)を、その近傍4または8画素の
値に従って、置換する。中心画素が“1”であって、且
つ、近傍4または8画素全てが“1”である場合のみ、
中心画素の値を“1”に維持する。つまり、中心画素が
“0”である場合はもちろん、たとえ“1”であったと
しても、近傍4または8画素のなかの1つでも“0”を
示しているときには、当該中心画素の値を“0”に置換
する。従って、上矢状静脈洞ROIは、上矢状静脈洞の
像の外形よりも、少なくとも1画素分縮小される。それ
により縮小処理を受けた上矢状静脈洞ROIの中の全て
の画素は、上矢状静脈洞像上の画素であるという条件を
高い確度で実現され得る。
【0152】また、この手法に代えて、時間濃度曲線の
曲線下面積AUCを使って上矢状静脈洞ROIを修正す
るようにしてもよい。この場合、大き目のROIを探索
範囲として、その中の画素各々について時間濃度曲線の
曲線下面積AUCを計算する。造影効果により上矢状静
脈洞像上の画素の曲線下面積AUCは、周辺画素のそれ
に比べて明らかに高位を示す。従って、この曲線下面積
AUCに対してしきい値処理を実行することにより、R
OIの中から上矢状静脈洞像上の画素だけを選別するこ
とができる。
【0153】このようにしていずれかの手法又は両手法
を併用してアンド条件によりピックアップされた上矢状
静脈洞像上であるという確度の高い複数の画素に対し
て、各画素の時間濃度曲線が平均化され、上矢状静脈洞
の時間濃度曲線Csss(t)が作成される(S9)。
【0154】ここで、ヨード造影剤は関門非通過である
ので、原理的に、ヨード濃度は脳動脈と脳静脈とで変化
しない、つまり、上矢状静脈洞の時間濃度曲線Csss
(t)の曲線下面積AUCは、S6で作成した脳動脈の
時間濃度曲線Ca(t)の曲線下面積AUCに略等価に
なる。従って、図10に示すように、上矢状静脈洞の時
間濃度曲線Csss(t)の曲線下面積AUCsssに
対して、S6で作成した脳動脈の時間濃度曲線Ca
(t)の曲線下面積AUCaが略等価になるように、S
6で作成した脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)の各時刻
値に、AUC(sss/AUCa)を乗算することで補
正する(S10)。
【0155】次に、以上のようにノイズ及びパーシャル
ボリューム効果が抑圧された図13(a)に示す脳動脈
の時間濃度曲線Ca(t)を使って、脳組織(毛細血
管)の血流動態の様子を定量化する。そのためにまず、
脳組織上の各画素について、図13(b)に示す時間濃
度曲線Ci(t)が作成される(S11)。
【0156】次に、S12に示すように、左右エリアで
別々の脳動脈時間濃度曲線Ca(t)を使って、画素ご
とに、脳動脈時間濃度曲線Ca(t)を入力関数、脳組
織の時間濃度曲線Ci(t)を出力関数として、トレー
サーが毛細血管を通過する過程の特徴を、伝達関数MT
Fとして求める。つまり、左エリアの脳組織の時間濃度
曲線Ci(t)に対しては同じ左エリアの脳動脈の時間
濃度曲線Ca(t)を使い、また右エリアの脳組織の時
間濃度曲線Ci(t)に対しては同じ右エリアの脳動脈
の時間濃度曲線Ca(t)を使って、伝達関数MTFを
求める。また、上述したように脳動脈時間濃度曲線Ca
(t)は、ACA,MCA,PCAごとに作成されるの
で、各Ca(t)ごとに伝達関数MTFの計算が繰り返
される。
【0157】ここでは、図14に示すように、脳動脈の
時間濃度曲線Ca(t)と、毛細血管の時間濃度曲線C
i(t)との間で成り立つ理想的な関係を解析モデルと
して用いる。つまり脳組織に入る直前の血管から造影剤
(トレーサー)を瞬間的に注入した場合、毛細血管を含
む脳組織単位体積(1画素)内の時間濃度曲線は立ち上
がりが垂直で、若干の勾配を持って立ち下がる形にな
り、これが組織のインパルス応答、すなわち伝達関数を
表している。そこで伝達関数を、矩形関数で近似する。
これをbox−MTF法と呼ぶ。
【0158】図15にbox−MTF法の原理を示して
いる。脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)に対して、矩形
関数で表される伝達関数box−MTFをコンボリュー
トし、それにより得られたCi´(t)と、S11で作
成した実測Ci(t)との残差を評価し、その残差の二
乗和を減少させるように伝達関数box−MTFを修正
する。このルーチンを繰り返すことで、残差を最小化さ
せる。
【0159】残差を最小化する伝達関数box−MTF
に基づいて、図14に示すように、CBP、CBV、M
TTが計算され(S13)、またS12で最小化した残
差の二乗和がそのままErrとして取り込まれる。厳密
には、 CBP=CBP CBV=(1−Ht)/(1−b*Ht)*CBV' MTT=(1−Ht)/(1−b*Ht)*MTT' で補正される。ここで、Htは大血管のヘマトクリット
値であり、b*Htは末梢血管のヘマトクリット値(一
般的にはbは0.7程度)である。
【0160】こうしてbox−MTF法により得られた
伝達関数から計算されたCBP、CBV、MTT、Er
rに対して、図16に示すように、個々に出力範囲(適
正範囲)が設定される(S14)。それぞれ対応する出
力範囲内の値を持つ画素については、その値が維持さ
れ、出力範囲外の値を持つ画素にはその値から、例えば
表示上で黒に対応する値に置換される(S15)。
【0161】次に、図17に示すように、出力適正化を
受けたCBP、CBV、MTT、Errからそれぞれの
マップが生成される(S16)。CBP、CBV、MT
T、Errのインデックスは、前大脳動脈ACA,中大
脳動脈MCA,後大脳動脈PCAごと、しかも各スライ
スに対して個々に計算される。従って、マップは、1ス
ライスでも、図18に示すように、4×3=12枚にな
る。設定する脳動脈数を増加すれば、その増加数の4倍
でマップは増える。このような多くのマップを総合的に
評価することは現実的ではない。そこで、マップ枚数を
減少させるために、マップを合成する(S17)。
【0162】合成方法としては、前大脳動脈ACAのC
BPマップと、中大脳動脈MCAのCBPマップと、後
大脳動脈PCAのCBPマップとを、前大脳動脈ACA
の残差Err、中大脳動脈MCAの残差Err、後大脳
動脈PCAの残差Errに基づいて合成する。例えば前
大脳動脈ACAの時間濃度曲線Ca(t)とその支配下
にある脳組織の時間濃度曲線Ci(t)とから伝達関数
MTFを求めた場合、その残差Errは比較的少なく、
逆に、支配下にない脳組織の時間濃度曲線Ci(t)か
ら伝達関数MTFを求めた場合、その残差Errは比較
的多くなる。つまり、残差Errは各脳動脈の支配可能
性を表している。
【0163】従って、各画素ごとに、前大脳動脈ACA
のCBP値と、中大脳動脈MCAのCBP値と、後大脳
動脈PCAのCBP値との中から、最も残差Errの低
い値に対応するCBP値をその画素の値として選択す
る。こうして合成されたマップは、前大脳動脈ACA,
中大脳動脈MCA,後大脳動脈PCAの支配下にある可
能性の高い脳組織のCBP値から構成される。他のイン
デックスCBV、MTTのマップ合成についても同様で
ある。
【0164】また、最も残差Errが低い値を示す脳動
脈が、前大脳動脈ACAと中大脳動脈MCAと後大脳動
脈PCAとのいずれであるかを選択し、選択された前大
脳動脈ACA、中大脳動脈MCA又は後大脳動脈PCA
に応じて相違する色情報を与えることにより、前大脳動
脈ACAの支配領域と、中大脳動脈MCAの支配領域
と、後大脳動脈PCAの支配領域とを色分けにより区別
された支配マップを作成するようにしても良い。
【0165】ここで、マップ合成について以下に詳細に
説明する。動脈に対応する位置にある画素から得られる
時間濃度曲線は動脈血中造影剤濃度を反映しており、こ
れに上記したコヒーレントレグレッション法等を適用し
て正確な動脈血中造影剤濃度の時間濃度曲線を得ること
ができる。このような脳動脈の時間濃度曲線は動脈ごと
に作成可能であり、それぞれ血行状態によって違いがあ
る。特に脳血管障害等を起こしている症例に於いてはこ
の違いが著しい場合がある。例えばK箇所の動脈で得た
脳動脈の時間濃度曲線をA(t) (k=1,2,・・
・,K)で表すことにする。
【0166】ある組織の時間濃度曲線を、その組織を栄
養している(支配している)動脈の脳動脈の時間濃度曲
線と比較することによって、当該組織に於ける微小循環
(毛細血管系の構造、機能)を反映するCBP等のイン
デックスを得ることが出来る。これらのインデックスは
各部位(x,y,z)ごとに算出されるので、その値を画素
値とする画像を構成することができ、このような画像
が、インデックスマップである。例えばR種類(典型的
には上述したようにCBP,CBV,MTT,Errの
4種)のインデックスが得られる場合、R枚のマップが
構成できる。このようにして作成されたR枚のマップ
は、各画素がベクトル値をとる1枚のマップ(ベクトル
値マップ)と見なすことができる。すなわち、 V(x,y,z) = <Pk,1(x,y,z), Pk,2(x,y,
z), ... , Pk,R(x,y,z)> となる。
【0167】例えばCBPスタディでは、典型的には上
述したようにR=4とし、Pk,1(x,y)はCBPの値
を、Pk,2(x,y,z)はCBVの値を、Pk,3(x,y,
z)はMTTの値を、Pk,4(x,y,z)は残差Errの
値を表すように構成できる。
【0168】部位(x,y,z)の内で、解析の対象となる
臓器に対応していないことが明らかであるようなものは
初めから解析の対象外とし、Pk,r(x,y)には解析対
象外を示す特殊な値を代入するとよい(上記ステップS
14,S15)。そのような値として、負で絶対値が大
きい値を用いると便利である。或いは、ベクトルV
(x,y,z)に追加されるべきさらにもう一個の要素と
して、 Pk,R+1(x,y,z)=((x,y,z)が解析対象外であれ
ば0, さもなくば1) というマップを作っても良い。このようなマップは「マ
スク」と呼ばれる。
【0169】このようなベクトル値マップVは、参照
した脳動脈の時間濃度曲線Aごとに作成される。例え
ば、左右の中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈から脳
動脈の時間濃度曲線を得たとするとK=6、さらにおよ
び病変部周辺にある動脈数カ所から脳動脈の時間濃度曲
線を得たとすると、K=10〜15程度になる。
【0170】このうち、右半球にある動脈から得られた
脳動脈の時間濃度曲線は右半球に属する部位(x,y,z)
の解析にだけ、また左半球にある動脈から得られた脳動
脈の時間濃度曲線は左半球に属する部位(x,y,z)の解
析にだけ、用いられるべきである。そこで、右半球と左
半球の境目(正中線)を直線、曲線もしくは折れ線、或
いは平面、曲面等として操作者が指定し、それぞれの半
球ごとにマップを作るように構成するのが望ましい。し
かしそれでもなお、片側の半球ごとにK=3〜10程度
の数の脳動脈の時間濃度曲線が存在しうる。
【0171】このように脳動脈の時間濃度曲線A
(k=1,2,・・・,K)の数Kが大きい場合に、結
果として得られるベクトル値マップV(k=1,2,
・・・,K)の枚数が多いために、観察するのに不便で
ある。すなわち通常のグレースケール画像あるいはカラ
ースケール画像として観察しようとすれば、一つのマッ
プがR枚の画像から構成され、これがK組あるのだか
ら、合計K×R枚の画像を比較しなくてはならない。さ
らに、どの部位がどの動脈によって栄養されているのか
は必ずしも自明でなく、解剖学的知識を用いて、各部位
ごとにどのマップV(k=1,2,・・・,K)を観
察するべきかを判断しなくてはならない。特に脳梗塞等
の脳血管障害を生じている症例においては、組織を支配
しているのがどの動脈かは、必ずしも解剖学的知識とは
一致せず、異常な支配がしばしば見られる。これらの問
題によって、ベクトル値マップの読影が難しいという問
題点がある。
【0172】この問題を解決するために、マップ合成を
行う。つまり、残差マップを利用して、K個のベクトル
値マップV(k=1,2,・・・,K)を一つのベク
トル値マップVに集約する。例えば、Pk,R(x,y,z)
が残差マップである場合に、V(x,y,z) = V(x,
y,z) ただしk はk=1,2,・・・,Kのうちで|P
k,R(x,y,z)|が最小であるようなkとする。
【0173】また、各部位においてk=1,2,・・
・,Kのうちどれが採用されたかを示すためのマップ P(x,y,z)=(k=1,2,・・・,Kのうちで|P
k,R(x,y,z)|が最小であるようなk) を追加することもできる。
【0174】この方式によれば、すなわち通常のグレー
スケール画像あるいはカラースケール画像として観察し
ようとするときR枚ないしR+1枚の画像を観察すれば
よい。
【0175】この方式によれば、本来脳動脈の時間濃度
曲線Aを使って算出されるべき部位(x,y,z)におい
て誤ってAを使った算出結果が用いられる可能性があ
る。しかしながらこのような誤りが生じるには、V(x,
y,z)の定義から明らかなように、|Pk,R(x,y,z)
|<|Pj,R(x,y,z)|となることが必要であり、この
ような関係は、AとAが極めて類似している場合に
しか生じない。このため、部位(x,y,z)においてはV
(x,y,z)とVj(x,y,z)は元々類似していると考え
られ、この誤りによって、V(x,y,z)の解釈に誤りが
生じる可能性はほとんどない。
【0176】実際にこの方法を適用すると、AとA
が極めて類似している場合にだけ、概ね一様であると思
われる組織内において、部位ごとにP(x,y,z)=k
であったりP(x,y,z)=jであったりすることが起こ
り、そのときPk,r(x,y,z)≒Pj,r(x,y,z) (r=
1,2,...,R)であって、どちらを採用しても結果はほ
とんど違いがないことが観察される。
【0177】逆に、特定の動脈に支配されている組織で
あって、それに対応する脳動脈の時間濃度曲線Aが他
のカーブと似ていない場合には、本方式を用いることに
よって、当該組織中の部位(x,y,z)においてはほぼ確
実に、しかも自動的にV(x,y,z)が選択される。従
って、上記P(x,y,z)を観察することによって、解
剖学的知識なしに、どの組織がどの動脈の支配を受けて
いるかを観察することができる。
【0178】ここで、図6に戻る。図20(a)、図2
0(b)、図20(c)、図20(d)に示すように、
以上のように合成された、又は各脳動脈で単独のCBP
マップ、CBVマップ、MTTマップ、Errマップに
対して、複数画素を含む関心領域ROIを設定し(S1
8)、そのROI内の画素値(CBP値,CBV値、M
TT値、Err値)の平均値(CBP平均値、CBV平
均値、MTT平均値、Err平均値)を計算し(S1
9)、その平均値を診断材料とすることがある。この平
均化に際して、上記ステップS14でCBP、CBV、
MTT、Err各々に対して適正範囲を設定し、その範
囲内の値を維持し、その範囲から外れた値は、例えば黒
色表現に対応した最小値に置換したので、この置換した
値を含めて平均化すると、その平均値には当然にして誤
差が含まれてしまう。そのためこの平均化処理にあたっ
ては、適正範囲内の値だけを選択して、または置換した
値を除外して、平均化処理をすることが必要である。
【0179】また、この平均化のための関心領域ROI
の設定にあたっては、CBPマップ、CBVマップ、M
TTマップ、Errマップのいずれかのマップ上で当該
関心領域ROIを設定すれば、そのROIが他のマップ
にも共通で用いられるようになっており、、ROI設定
作業の簡素化を図り、また、同じROIに関する平均値
(CBP平均値、CBV平均値、MTT平均値、Err
平均値)の計算を可能としている。
【0180】以上のように本実施形態によれば、コヒー
レントフィルタ又はコヒーレントレグレッションを併用
することにより、空間及び時間分解能の低下を抑えて、
ノイズを抑制し、それによりCBPスタディの解析精度
を向上することができる。
【0181】(変形例)本発明は、上述した実施形態に
限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱
しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、
開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせに
より種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示
される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても
よい。
【0182】
【発明の効果】本発明によれば、コヒーレントフィルタ
又はコヒーレントレグレッションを併用することによ
り、空間及び時間分解能の低下を抑えて、ノイズを抑制
し、それによりCBPスタディの解析精度を向上するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CBPスタディの原理説明図。
【図2】本発明の実施形態に係る脳組織内毛細血管の血
流動態に関するインデックス演算装置の構成を示すブロ
ック図。
【図3】本実施形態のコヒーレントフィルタによる画像
処理の説明図。
【図4】本実施形態におけるコヒーレントフィルタによ
るノイズ抑制処理の流れを示すフローチャート。
【図5】本実施形態におけるインデックス演算処理全体
の前半部のフローチャート。
【図6】本実施形態におけるインデックス演算処理全体
の後半部のフローチャート。
【図7】図5のステップS3の分割線の一例を示す中間
調画像。
【図8】図5のステップS4のAT,PT,TTを示す
図。
【図9】図5のステップS4のATマップ,PTマッ
プ,TTマップを示す図。
【図10】図5のステップS10の脳動脈の時間濃度曲
線の補正に関する補足図。
【図11】図5のステップS7で設定される上矢状静脈
洞ROIを示す中間調画像。
【図12】図5のステップS6でスライス間で共通され
る脳動脈ROIを示す中間調画像。
【図13】図5のステップS10、S11で作成された
脳動脈の時間濃度曲線Ca(t)と脳組織の時間濃度曲
線Ci(t)との一例を示す図。
【図14】図6のステップS12のbox−MTF法の
原理説明図。
【図15】図6のステップS12のbox−MTF処理
の説明図。
【図16】図6のステップS14の各インデックスの出
力範囲設定画面の一例を示す図。
【図17】図6のステップS16で作成されたCBP,
CBV,MTT,Errの各マップの一例を示す中間調
画像。
【図18】図6のステップS16で脳動脈ごとに作成さ
れたCBPマップ,CBVマップ,MTTマップ,Er
rマップを一覧で表示した中間調画像。
【図19】図6のステップS17のマップ合成法を説明
するための中間調画像。
【図20】図6のステップS19で計算された平均値の
表示例を示す中間調画像。
【符号の説明】
10…ガントリ部、 20…コンピュータ装置、 101…X線管、 101a…高電圧発生装置、 102…X線検出器、 103…データ収集部、 30…画像処理装置、 107…画像表示部、 109…入力部、 108…制御部、 104…前処理部、 105…メモリ部、 106…画像再構成部、 110…コヒーレントフィルタ処理部、 120…CBPスタディ処理部、 111…分散値推定部、 112…重み関数演算部、 113…画素値演算部(コヒーレントフィルタ部)、 121…CBPスタディ処理部、 122…ROI設定支援部、 122…時間濃度曲線作成部、 123…脳動脈時間濃度曲線補正部、 124…MTF処理部、 125…インデックス計算部、 126…マップ作成部、 127…マップ合成部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脳血管透過性を持たない造影剤を注入さ
    れた被検体の脳を撮影対象として連続的に取得した複数
    のCT画像各々を構成する画素間の類似度を、前記複数
    のCT画像にわたる各画素の時間濃度曲線に基づいて判
    定し、 前記類似度に応じた重みにより画像ごとに画素を局所内
    で加重平均し、 前記加重平均された複数のCT画像から脳動脈画素の時
    間濃度曲線と脳組織画素の時間濃度曲線とを生成し、 前記脳動脈画素の時間濃度曲線に対する脳組織画素の時
    間濃度曲線の伝達関数を計算し、 前記伝達関数に基づいて、前記脳組織内の毛細血管の血
    流動態に関する複数種類のインデックスを演算すること
    を特徴とする脳組織内毛細血管の血流動態に関するイン
    デックス演算方法。
  2. 【請求項2】 時間軸に対する組織の濃度変化のインパ
    ルス応答が矩形関数で表されると仮定する解析モデルを
    用い、前記脳動脈画素の時間濃度曲線と前記伝達関数の
    コンボリューションにより得られる時間濃度曲線と、前
    記脳組織画素の時間濃度曲線との間の残差の指標が最小
    化するようにカーブフィッティングにより前記伝達関数
    を決定し、得られた伝達関数から前記インデックスを算
    出することを特徴とする請求項1記載のインデックス演
    算方法。
  3. 【請求項3】 前記インデックスとして、前記得られた
    伝達関数から、 CBP:前記脳組織内の単位体積及び単位時間あたりの
    血流量 CBV:脳組織内の単位体積あたりの血液量 MTT:毛細血管の血液平均通過時間 Err:前記最小化された残差の二乗和 とが計算されることを特徴とする請求項2記載のインデ
    ックス演算方法。
  4. 【請求項4】 前記類似度が比較的高い場合には比較的
    高い重み係数が与えられ、前記類似度が比較的低い場合
    には比較的低い重み係数が与えられることを特徴とする
    請求項1記載のインデックス演算方法。
  5. 【請求項5】 脳血管透過性を持たない造影剤を注入さ
    れた被検体の脳を撮影対象として連続的に取得した複数
    のCT画像各々を構成する画素間の類似度を、前記複数
    のCT画像にわたる各画素の時間濃度曲線に基づいて判
    定する手段と、 前記類似度に応じた重みにより画像ごとに画素を局所内
    で加重平均する手段と、 前記加重平均された複数のCT画像から脳動脈画素の時
    間濃度曲線と脳組織画素の時間濃度曲線とを生成する手
    段と、 前記脳動脈画素の時間濃度曲線に対する脳組織画素の時
    間濃度曲線の伝達関数をカーブフィッティングにより計
    算する手段と、 前記伝達関数に基づいて、前記脳組織内の毛細血管の血
    流動態に関する複数種類のインデックスを演算する手段
    とを具備することを特徴とする脳組織内毛細血管の血流
    動態に関するインデックス演算装置。
  6. 【請求項6】 脳組織内毛細血管の血流動態に関するイ
    ンデックスをコンピュータに演算させるためのプログラ
    ムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒
    体であって、前記プログラムコードは、 脳血管透過性を持たない造影剤を注入された被検体の脳
    を撮影対象として連続的に取得した複数のCT画像各々
    を構成する画素間の類似度を、前記複数のCT画像にわ
    たる各画素の時間濃度曲線に基づいて判定する手段と、 前記類似度に応じた重みにより画像ごとに画素を局所内
    で加重平均する手段と、 前記加重平均された複数のCT画像から脳動脈画素の時
    間濃度曲線と脳組織画素の時間濃度曲線とを生成する手
    段と、 前記脳動脈画素の時間濃度曲線に対する脳組織画素の時
    間濃度曲線の伝達関数をカーブフィッティングにより計
    算する手段と、 前記伝達関数に基づいて、前記脳組織内の毛細血管の血
    流動態に関する複数種類のインデックスを演算する手段
    とを具備することを特徴とする記憶媒体。
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