JP2005145845A - X線検査用造影剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、安全性の高い微粒子状の造影剤により効率性および選択性の高い非経口X線造影剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
水溶性ヨウド系化合物を脂質膜重量に対して3〜8の重量比で含有し、中心粒径が50〜130nmの一枚膜リポソームを含むことを特徴とするX線検査用造影剤である。該リポソーム
は、超臨界二酸化炭素法により作製されるためクロル系溶剤などの有毒な溶剤を含まないため安全性が高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、X線検査用造影剤に関し、詳しくは内部に造影物質を内包したリポソームを含むX線検査用造影剤に関する。
X線単純撮影やCT撮影法(コンピュータ断層撮影法)は、今日の画像診断の中核をなしている。骨、歯などのいわゆる硬組織はX線を良好に吸収するために容易に高コントラスト像を得ることができる。これに対し、軟組織間ではX線吸収の差が小さいため高いコントラスト像を得ることは困難である。このような場合、コントラストの高い像を得るために造影剤を使用することが一般に行なわれている。
現在実用化されているX線造影剤の大部分は、トリヨードフェニル基を含有し水溶性化した化合物を造影物質とするものである。これらの造影剤は、血管、尿管、輸卵管などの管腔部位に投与され、管腔の形状、狭窄などの診断に使用されている。しかしながら、これらの化合物は組織や疾患部位と相互作用をすることなく管腔部位から速やかに排出されるために、組織や疾患部位、特に癌組織をより詳細に診断する目的には役立たない。このため目標とする組織もしくは疾患部位に選択的に集積し、その周囲またはその他の部位と明瞭なコントラストで区別できる画像を提供するX線造影剤が望まれている。そのようなX線検査用造影剤であれば、微細な癌組織であっても精度良く検出することが可能となる。
国際公開WO98/46275、同WO95/31181、同WO94/19025、同WO96/28414、同WO96/00089、米国特許4873075号、同4567034号などには、疎水性ヨウド化合物を界面活性剤や油脂の存在下で水中に分散させ、腫瘍、肝臓、脾像、副腎皮質、動脈硬化巣、血管プール、リンパ系などを造影する方法が開示されている。これらの方法では、造影剤を微粒子化することにより体内での滞留時間を長くして疾患部位を選択的に造影しようとするものである。しかしながら、その目的のためには、提案された製剤方法は、造影の効率および選択性とも充分でない。さらに使用するヨウド化合物が疎水性であるために、造影後に体外への排出速度が遅く患者への負担が大きいという問題点もある。
一方、造影剤を微粒子状にする方法として、造影性のある化合物を生体膜と類似の脂質から構成され安全性が高いとされているリポソームに内包させる手法も検討されている。たとえば特許第2619037号(特許文献1)では、水溶性のヨウド化合物をリポソーム内に封入し、リポソーム内のヨウド化合物量が脂質の量に対し、1.5〜6g/gと高くする
ことによって臓器選択性を持たせようとしている。しかしながら、腫瘍に対しては選択性が低かった。これは粒径が実質0.5〜1.0μmと大きめの粒子であったためと推定される。
腫瘍組織への蓄積には100nm前後の大きさの粒子が好ましいとされるが、上記特許内容の
製造方法では小粒径化が難しく、また小粒径にするとヨウド化合物の脂質の量に対する比率が小さくなる。また、製造過程においてリポソームを構成するリン脂質の溶剤として、有機溶媒、特にクロル系溶剤を使用するために実用に至っていない。
他方、特開2003-119120号(特許文献2)では、リポソームを含有する化粧
料、皮膚外用剤を、超臨界二酸化炭素を用いて製造する方法が開示されており、親水性薬効成分や親油性薬効成分をリポソームに内包する皮膚外用剤の製造例が示されている。しかし、親水性薬効成分の量はきわめて少なく、また粒径も0.5μmと大きい。
特許第2619037号 特開2003-119120号公報
本発明は、微粒子状造影物質の使用により効率性および選択性に優れ、しかも安全性が高いX線検査用造影剤を提供することを目的とする。より具体的には毒性のある有機溶媒を使用することなくリポソーム内に水溶性ヨウド系化合物を封入した、腫瘍描出性が良好なX線造影剤ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の構成を有する。
本発明は中心粒径が50〜130nm(0.05〜0.13μm)のリポソームを含み、該リポソームが水溶性ヨウド系化合物を脂質膜重量に対して3〜8の重量比で含有していることを特徴とするX線検査用造影剤である。
本発明のX線検査用造影剤に含まれるリポソームは実質的に一枚膜リポソームである。
前記リポソームは、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームであることを特徴としている。
また前記リポソームは、0.1〜0.4μの孔径を有する濾過膜を通されていることを特徴としている。
前記X線検査用造影剤の製造方法は、リポソーム膜成分を超臨界二酸化炭素に溶解した後、ヨウド系化合物の水溶液を導入することによりミセルを形成させ、次いで水を加えて二酸化炭素を排出して、ヨウド系化合物が内部に含有するリポソームを作製し、さらに該リポソームを0.1〜0.4μの孔径を有する濾過膜を通すことを特徴とする製造方法である。
〔発明の具体的説明〕
上記のように本発明のX線検査用造影剤は、いずれも狭い粒径範囲に揃えたリポソーム中に水溶性ヨウド系化合物を内包させている。この構成により造影化合物の血中滞留性を高め、造影剤の効率的送達および良好なターゲティングを達成することができる。結果として、優れた腫瘍描出性を実現し、X線造影による診断的検査の精度を高めることができる。以下、本発明を造影化合物、リポソーム、X線検査用造影剤の順に詳細に説明する。
造影化合物
本発明における水溶性ヨウド系化合物は、造影性があればイオン性、非イオン性を問わず、特に規定されない。一般的には非イオン性ヨウド化合物の方が、イオン性ヨウド化合物よりも浸透圧が低く毒性が低いためにより望ましい。水溶性の非イオン性ヨウド系化合物として、ヨウ化フェニルを含み、2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド化合物が好適である。
具体的には、そのような非イオン性ヨウド化合物として、イオヘキソール、イオペントール、イオジキサノール、イオプロミド、イオトロラン、イオメプロール、N,N′−ビス
〔2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−エチル〕−5−〔〔(2−ヒドロキシ−1−オキソプピル)−アミノ〕−2,4,6−トリヨード−1,3−ベンゼン−ジカルボキシアミド(イオパミドール);メトリザミドなどが挙げられる。
また、その他のヨウド系化合物として、ジアトリゾイン酸;ジアトリゾエートナトリウム;メグルミンジアトリゾエート;アセトリゾイン酸およびその可溶性塩;ジプロトリゾ酸;ヨーダミド,ヨージパミドナトリウム、メグルミンヨージパミド、ヨード馬尿酸およ
びその可溶性塩;ヨードメタム酸;ヨードピラセットヨード−2−ピリドン−N−酢酸、3,5−ジヨード−4−ピリドン−N−酢酸(ヨードピラセット);前記酸のジエチルアン
モニウム塩;イオタラム酸;メトリゾイン酸およびその塩;イオパノ酸、イオセファム酸、イオフェノ酸およびそれらの可溶性塩;チロパノエートナトリウム、イオポダートナトリウムおよび他の同様なヨウ素化された化合物などを挙げることができる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。またその例示に限定されるものではない。なお本明細書において、化合物は遊離形態の化合物の他に、その塩、水和物なども含めて言及することがある。
本発明のX線検査用造影剤として好適なヨウド系化合物として、高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならないイオメプロール、イオパミドール、イオトロラン、イオジキサノールなどが好ましい。特にイオトラン、イオジキサノールといった二量体非イオン性ヨウド化合物では、同一ヨウド濃度の造影剤を調製しても全体のモル数が低いために浸透圧を低下させる利点がある。
本発明の造影剤において水溶性ヨウド系化合物の濃度は、該造影剤の性質、意図する最終生成物の投与経路および臨床上の指標といった要因に基づき任意に設定することができる。リポソーム内に封入されたヨウド系化合物量は、典型的にはX線造影剤における全ヨウド化合物の5〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは20〜70質量%である。
リポソーム
本発明のX線検査用造影剤は、上記造影化合物を目標とする臓器、組織などに、すなわち標的部位へ選択的に効率よく送達するためにリポソーム内に封入して使用される。本発明の造影剤は、マイクロキャリヤーとしてリポソームを使用し、血中滞留性の向上、効率的な薬物送達ならびにターゲティングの実現を図っている。特に優れた腫瘍描出性を獲得するために有効とされるEPR(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進お
よび滞留)効果を生じさせるためには、リポソームがこれらの特性を有することが不可欠である。
本発明のX線造影剤は、造影化合物を内包するリポソームの粒径およびその表面設計を通じてターゲティング機能を実現することができる。本発明の造影剤では、受動的ターゲティングおよび能動的ターゲティングいずれも考慮される。前者は、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整は、後述する方法に基づき容易に行われる。リポソーム表面の設計は、リン脂質の種類と組成を変えることにより所望の特性を付与することができる。
造影剤のより高度な集積性と選択性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム表面にポリエチレングリコール(PEG)を導入することは、標的部位までの誘導過程が制御し得るため、極めて有益である。本発明のX線造影剤では、リポソーム表面にPEGを付加することにより血中滞留性が一層高められ、肝臓などの細網内皮系細胞に貪食されにくくなる。癌組織、疾患部位などに到達しなかったX線造影剤は、正常部位に集まることなく、副作用が発現する前にリポソームは分解されて体外に排泄される。このことはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切にコントロールすることにより可能である。造影物質として、水溶性のヨウド系化合物を使用するため、腎臓を経由して速やかに尿中に排泄され、徒に体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
本発明のX線造影剤における上記薬物送達システムに使用されるリポソームの設計、製造方法について、以下に詳述する。
リポソームは、通常、脂質二重膜から形成されている。その脂質膜の成分として、通常リン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。
本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。これらは単独でも併用してもよい。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他、動植物に由来するホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホス
ファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などを挙げることができる。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
必要に応じリポソームの膜構成成分として、上記の他に他の成分を加えることもできる。その例として、膜安定化剤またはポリアルキレンオキシド基導入用アンカーとしてコレステロール、コレステロールエステルなどのステロール類、荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。
本発明における好ましいリポソームの別の態様として、膜構成成分としてホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリンからなる群より選ばれるリン脂質を用いることができ、両者を組み合わせてもよい。

本発明では、ポリエチレングリコール(PEG)をX線造影剤の意図する目的のためにリポソームの一成分として使用することができる。すなわちPEGをリポソームに付けることにより、新たな機能を付与することができる。たとえば、造影剤の臓器特異性、リポソームが親水的傾向を有することになるか、免疫系から認識されにくくなる(いわゆる「ステルス化」された状態である)特性、あるいは血中安定性を増すなどの効果が期待できる。具体的には脂質成分は肝臓に貯まりやすいために肝臓の選択的な造影を目的とする場合には、PEGを使用しないか、あるいはPEG含有量の少ないリポソームを用いる。また粒径を200nm以上と大きくすると、肝臓Kupffer細胞の食作用により速やかに取り込まれる可能性が高くなり、肝臓の該部位に集積する。肝臓癌の撮像においては、その癌組織に
は正常組織に比べて、Kupffer細胞が少ないために造影剤リポソームの取込み量は、相対
的に少なくなり、コントラストが鮮明となる。脾臓においても同様である。
反対に他臓器の造影の場合、PEGを導入すればリポソームをステルス化して肝臓などに集まりにくくすることができるため、PEG化リポソームの使用が推奨される。PEGの導入により、水和層が形成されるためリポソームは安定化し、血中滞留性も向上する。PEGのオキシエチレン単位の長さ、導入する割合を変えることにより、あるいはPEGに何らかの修飾をさらに加えることによりその機能を調節することができる。PEGとして、オキシエチレン単位が10〜3500のポリエチレングリコールが好適である。またPEGを使用する場合の使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して0.1〜30質量%、好ま
しくは1〜15質量%程度含む。あるいは必要に応じてPEGの他に、公知の各種ポリアル
キレンオキシドをリポソーム表面に導入してもよい。
リポソームのPEG化は、公知の技術を利用して調製することができる。PEGが結合するアンカー(たとえばコレステロールなど)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化PEGを結合させてもよい。あるいは後述するリポソームの製造方法において、原料のリン脂質類の中に、ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレンオキシド(PEO)誘導体などを含めてリポソームを製造する。これにはDSPE−PEGなどが例示される。特開2002−37883号公報には、安全性の高い水溶性高分子修飾リポソーム用の高純度ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質およびその製造方法が開示されている。モノアシル体含量が低いポリアルキレンオキシド修飾リン脂質を使用するとリポソーム分散液の保存安定性が良好であることが記載されている。
リポソームを作製する方法として、これまでに種々の方法が提案されて来ている。作製方法が異なると、最終的に出来上がったリポソームの形態および特性もまた著しく異なることが多い。所望するリポソームの形態、特性に応じてその製造方法を適宜選択することが行なわれている。一般的にはリポソームは、リン脂質、ステロール、レシチンといった脂質成分を有機溶媒、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなどとともに容器中で混合することにより調製され
ている。揮発性物質を減圧下で蒸発せしめた後、脂質混合物を、所定量の封入物質を含有する緩衝液中に分散させる。次いで全体を数時間撹拌し(これがリポソームの形成を引き起こす)、そうして生成したリポソーム小胞内にその分散液の一部(封入物質を含む)を封入する。次に分散液を超音波処理によるか、界面活性化剤の使用による方法でそれらリポソームのサイズおよび分散液の粘度を減少させる。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒は完全に除去することが困難であり、生体に及ぼす悪影響が懸念される。
本発明に使用するリポソームを調製するには、上記の問題点を回避できる超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法を利用する。二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)と臨界圧力(73.8 bar)が比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できる理由などにより好適である。さらにこの方法により作製されたリポソームは、後記するようにX線造影剤のヨウド化合物を内包するのに種々の好ましい特性および利点を有している。
超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用してリポソームを作製する場合、上記脂質成分を、超臨界状態(亜臨界状態を含む)にある二酸化炭素に溶解、分散または混合することが必要となる。かかる超臨界二酸化炭素は、物質中に浸透しやすいため溶解性に優れている。その際、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテルなどのアルコールを助溶媒として1種または2種以上併用することは、上記脂質成分の溶解性が一層向上するために
望ましい。たとえばアルコール類を超臨界二酸化炭素の0.1〜10質量%、好ましくは、1〜8質量%の割合で助溶媒として使用するのがよい。このうち、より好ましい溶解助剤とし
ては、安全性の観点および除去の容易性からエタノールである。
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の好適な圧力は、50〜500kg/cm2、好ましくは100〜400 kg/cm2である。また好適な臨界状態の二酸化炭素ガスの温度としては、25〜200℃、好ましくは31〜100℃、さらに好ましくは35〜80℃である。これらの範囲内で、温度および圧力を適宜選択して組み合わせることにより、超臨界状態(亜臨界状態を含む)を確立するのがよい。
本発明のX線造影剤に使用するリポソームの好適な調製方法は、具体的には以下のように行なわれる。上記の好適な圧力および温度のもとにある超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に脂質成分さらに必要に応じてPEGリン脂質を添加して、撹拌下、溶解する。その際、必要に応じて脂質の上記溶解助剤を併用することができる。続いてヨウド系化合物の水溶液を連続的に添加して、水相/二酸化炭素エマルジョンを形成する。このエマルジョン系において脂質成分はミセル状となり離合集散をしていると推定される。しばらく撹拌を続行してミセルを含むエマルジョンが安定化した後に、さらに二酸化炭素相と水相とが分離するまで水を連続的に添加する。水相の増大とともに系の相転移が起こり、水/炭酸ガスエマルジョン+炭酸ガス/水エマルジョンの2相系を経て、過剰な炭酸ガスが炭酸ガス/水エマルジョンと分離する。リポソームは水相に転相しているため、系内を減
圧して二酸化炭素を排出すると、ヨウド系化合物を内包するリポソームが分散している水系分散液が生成する。この場合、該リポソームの内部以外の水相にヨウド系化合物が含まれていてもよい。リポソーム内部にも上記水溶液が封入されているため、ヨウド系化合物はリポソームの外部水相のほか、主としてリポソーム内部の水相に存在し、いわゆる「内包」の状態にある。さらに該リポソームを0.1〜0.4μの孔径を有する濾過膜を通す。次いで、滅菌処理、パッケージングなどの製剤過程を経て、本発明のX線検査用造影剤が調製される。
超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法は、従来法に比べてリポソームの生成率、封入する物質の内包率、封入物質のリポソーム内残存率が高いことが示されている(上記特許文献2参照)。さらに工業的スケールでの応用も可能であり、実質的に有機溶剤を使用せずに非イオン性かつ水溶性の物質を効率よくリポソームに封入することができる本法は、本発明のX線造影剤の製造に有用な方法である。
本発明のリポソームは、実質的に一枚膜リポソーム、すなわちリン脂質二重層が1つの
層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。ここで「実質
的に」とは、以下の凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法(または凍結破砕法)による透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、レプリカが概ね1つの層として認められ
るリン脂質二重層によりリポソームが構成されていることをいう。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものを一枚膜と判定し、2つ以上の段差が認められるものを「多層膜」と判定した。本発明のX線造影剤において、このような一枚膜リポソームを、造影剤中に含まれる全リポソーム量のうち、少なくとも80%、好ましくは90%以上含むものである。
このような一枚膜リポソームは、上記超臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方法により効率よく作製できる。これに対し、従来のリポソーム作製方法では、多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームがかなりの割合で存在することが多い。そのため、一枚膜リポソームの比率を高めるためには、超音波を照射するか、一定孔サイズのフィルターに通すなどの操作をさらに必要としていた。一枚膜リポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利
点もある。
一枚膜リポソーム、特に大きい一枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar veislcles)は、多重層リポソームに比べて、大きい封入容量を提供するという利点がある
。本発明の造影剤に使用するリポソームは、粒径が200〜1000nmLUVと、粒径が50nm未
満の小さい一枚膜リポソームであるSUV(Small unilamellar vesicles)との中間に位置する。このため、保持容積もSUVより大きくなり、ヨウド系化合物、特に水溶性ヨウド系化合物のトラップ効率、換言すると内包効率も、後述するように格段に優れたものとなる。また、MLV、LUVと違い、細網内皮系細胞に取り込まれて急速に血流から消失することもない。
リポソーム粒子のサイズおよびその分布は、本発明のX線造影剤が目指す、高い血中滞留性、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径はヨウド化合物を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「中心粒径」とは、粒子分布で最も出現頻度の高い粒径を指している。粒径の調整は、処方またはプロセス条件で行なうことができる。たとえば、上記の超臨界の圧力を大きくすると形成されるリポソーム粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜で濾過してもよい。この場合、濾過膜として0.1〜0.4μの孔径のフィルターを装着したエクストルーダーに通すことにより、一枚膜の中心粒径として 100〜300nm(0.1〜0.13μm)以下である最適寸法のリポソームを効率よく
調製することができる。押出しろ過法については、たとえばBiochim. Biophys.Acta 557
巻,9ページ(1979)に記載されている。このような「押出し」操作を取り入れることにより、上記サイジングに加えて、リポソーム外に存在するヨウド系化合物の濃度の調整、リポソーム分散液の交換、望ましくない物質の除去も併せて可能になるという利点もある。
上記のように受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、その粒径のサイジングが重要である。特許第2619037号公報には、粒径3000nm以上のリポソームを排除することにより、肺の毛細血管における不都合な保持が回避されると記載されている。しかし、150〜3000nmの粒径範囲のリポソームは、向腫瘍性とはならない。
本発明の造影剤リポソームの中心粒径は、通常50〜300nm、好ましくは50〜200nm、より好ましくは50〜130nmである。X線撮像の目的に応じて、粒径を適切に設定することがで
きる。たとえば腫瘍部分の選択的撮像目的の場合には、特に110〜130nmが好ましい。リポソームの粒径を100〜200nm、より好ましくは110〜130nmの範囲に揃えることにより癌組織へ選択的にX線造影剤を集中させることが可能となる。これは「EPR効果」として知られている。固形癌組織にある新生血管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サイズ、30〜80nm未満に比べて異常に大きく、約100nm〜約200nmの大きさの分子でも血管壁から漏れ出る。すなわちEPR効果は、癌組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血管壁より透過性が高いことによるものである。
血管壁の孔から漏れ出た造影剤は、癌細胞の周辺にはリンパ管が充分に発達していないため、血管に再び戻らずその場に長く留まる。EPR効果は、血流を利用する受動的な輸送であることから、それが有効に発現するための要件として、血中滞留性の向上が図られねばならない。すなわち造影剤粒子(ヨウド化合物を内包するリポソーム粒子)が、血中に長くとどまって、癌細胞近くの血管を何度も通過することが求められる。本発明のX線造影剤は、特に大きい粒子でもないため、細網系内皮細胞による捕獲の対象になりにくい。またリポソームがいわば赤血球類似の姿と挙動をしていて腎臓を経由して速やかに排出されることはなく、さらにステルス(隠蔽)化されている場合には細網系内皮細胞に貪食されることもなく、血流中に比較的長くとどまる。EPR効果により、必然的に標的の臓
器、組織への造影化合物の移行性が高まり、造影剤の癌組織への選択的集中と蓄積が達成される。造影化合物の腫瘍細胞/正常細胞集積比の上昇は、X線造影剤のコントラスト性能を高める。このような腫瘍描出性の改善は、これまで検出困難であった微小転移性癌の発見すらも可能とする。
X線検査用造影剤
X線造影のコントラスト性能を規定する標的臓器へのヨウ素の必要な送達量は、明らかにされている(たとえば特許2619037号公報)。本発明のようにヨウド系化合物をリポソームというマイクロキャリヤーに封入する場合には、造影物質の送達効率および保持安定性に加えて脂質の用量も考慮されねばならない。脂質量が多くなると造影剤の粘度が大きくなる。リポソーム内へのヨウド系化合物の封入量として、すなわちリポソーム内に封入された水溶液中に、ヨウド系化合物がリポソーム膜脂質重量に対して、1〜10、好
ましくは3〜8、より好ましくは5〜8の重量比で含有されていることが望ましい。
リポソーム水相へカプセル化されたヨウド系化合物の重量比が1未満であると、比較的多量の脂質を注入することが必要となり、結果的に造影物質の送達効率が悪くなる。特許2619037号公報の記載によると、当該比が1でも当時の技術水準からは高い値とされていた。X線造影剤の粘度は、リポソームの脂質量にも左右されるため、保持容積および内包効率に優れる一枚膜リポソームの優位性は明らかである。反対に、リポソーム膜脂質重量に対するヨウド系化合物の封入重量比が10を超えると、リポソームが構造的にも不安定となり、リポソーム膜外へのヨウド系化合物の拡散、漏出は貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。またリポソーム懸濁薬剤が製造され、分離した直後は100
%の封入が達成されても、浸透圧効果による不安定化に基づき、早くも短時間に封入成分が減少していくことが記載されている(特表平9−505821号公報)。
本発明の方法により製造されるX線検査用造影剤は、ヨウド含有量として、通常、想定される10〜300mlの製剤溶液の投与量では、100〜500mgI/mlであり、好ましくは、150〜300mgI/mlである。また本発明の製剤溶液の粘度は、37℃で、6cPa以下、好ましくは0.9〜3cPaである。本発明の造影剤は、投与後にリポソームが体内に安定に維持されるように、体内の浸透圧に対し、等張の溶液または懸濁液の形でリポソーム中に封入される。そうした溶液もしくは懸濁液の媒質として、水、緩衝液、たとえばトリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液などを使用することができる。
上記溶液もしくは懸濁液の好ましいpH範囲は、室温で6.5〜8.5、さらに好ましくは6.8〜7.8である。X線造影剤が多ヒドロキシル基を有する水溶性ヨウド系化合物である場合、緩衝液は、米国特許第4278654号に記載されているような負の温度係数を有する緩衝液
である。アミン系緩衝液はこのような要求を満たす性質を有しており、特に好ましくはトリス(TRIS)である。このタイプの緩衝液は、オートクレーブ温度で低いpHを有し、このことがオートクレーブ中のX線造影剤の安定性を増し、他方、室温では生理的に許容されるpHに戻る。この場合、ろ過滅菌のようにリポソーム粒径の微小化という制約も受けない。したがって、注射用無菌造影剤を製造するために、リポソーム調製物をオートクレーブ滅菌できることは極めて便利であり、貯蔵安定性なども確保できる。しかしオートクレーブ滅菌を適用できないリポソームには、ろ過滅菌を行なうのがよい。
等張の溶液または懸濁液を得るには、等張液を提供する濃度で、造影剤を媒質中に溶解もしくは懸濁させる。たとえば造影剤化合物の溶解性が低いために造影剤が単独では等張液を提供できない場合、等張の溶液もしくは懸濁液が形成されるように他の非毒性の水溶性物質、たとえば塩化ナトリウムのごとき塩類、マンニトール、グルコース、ショ糖、ソルビトールなどの糖類を媒質中に添加してもよい。
本発明のX線造影剤は製剤化に際し、さらに製剤助剤として必要に応じて、生理学的に許容される安定化剤、キレート剤としてEDTANa2−Ca(エデト酸二ナトリウムカルシ
ウム)など、抗酸化剤としてα‐トコフェロール、粘度調節剤なども含めてもよい。
本発明のX線検査用造影剤は、注射剤または点滴注入剤として、非経口的に、具体的には血管内投与、好ましくは静脈内投与により被験者に投与されX線照射により撮像される。その用量は、従来のヨウド系造影剤に準じる。リポソーム内のヨウド総量、またはそれとリポソーム外のヨウド総量の和が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。実際の診断的検査においては、本発明のX線検査用造影剤を、コンピュータ断層撮影装置(CT)との組み合わせたX線撮影装置に使用することにより、その造影剤性能をさらに有効に発揮することも期待される。
本発明のX線検査用造影剤を用いることにより、カプセル化されていない造影物質とリポソーム内にカプセル化された造影物質との体内拡散時間の違いが、分布挙動の異なった画像を与えて診断上の有益な情報を提供することもある。たとえば肝臓腫瘍をコンピュータ断層撮影(CT)診断する場合、投与直後にリポソーム内にカプセル化されていない造影物質は、肝臓類洞の間隙を自由に通過して肝臓実質細胞に到達し、まず健康な肝臓組織の画像濃度が上昇するが、これは急速に低下する。この濃度低下は引き続いて同時に起こるリポソーム造影剤からの補強により補償されて長時間にわたり造影物質の高濃度が維持される。この遊離した非カプセル化造影物質が分布挙動に差異を示すことから、組織状態についての詳細な分析が可能となる。
本発明に係るX線造影剤は、水溶性ヨード化合物を、中心粒径を揃えたリポソームに内包するため、血中滞留性が良好であり、EPR効果が発揮され、その結果、目的とする疾患部位または組織、とりわけ癌組織に選択的に集中し蓄積する。造影後は、該ヨウド化合物が水溶性であるため、いずれ体外へ排泄される。
上記リポソームの製造は、リン脂質などを超臨界二酸化炭素に溶解して作製する方法を採用するため、有毒な溶媒、特に毒性の高いクロル系溶媒を使用する必要がない。
本発明に係るX線造影剤は、従来のX線造影剤に比べて使用量が少量で済み、毒性、副作用がはるかに軽減されている。したがって、その投与を受ける患者の負担は少ない。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。本発明は、かかる実施例によりなんら限定されるものではない。
〔試験〕
リポソームの形態および粒径
調製した造影剤中のリポソームの粒径および構造を凍結破砕法により透過型電子顕微鏡(TEM)で調べた。すなわち、リポソーム分散液を液体窒素にて急速に凍結し、凍結状態で破砕してリポソームの内部構造を露出させる。破砕面をカーボン蒸着し、形成されたカーボン膜を透過型電子顕微鏡で観察した。
粒径は、観察された造影剤粒子約20個の径の単純平均とした。リポソーム粒子の構造は、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものを「一枚膜」と判定し、2つ以上の段差が認められるものを「多層膜」と判定した。約20個の粒子を観察し、一枚膜構造のものが8割以上であるものを実質的に一枚膜リポソームと判定した。
ヨウド化合物のヨウドの定量
リポソーム分散液を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊して、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)0.04gと、アデカ社製「プルロニック」
(F-88)1.2mg、エタノール0.9gの混合物をステンレス製オートクレーブに仕込み、オー
トクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。オートクレーブ内の
圧力を50kg/cm2から200kg/cm2にまで加圧し、オートクレーブ内を撹拌して、超臨界二酸
化炭素中にDPPCを溶解させた。この超臨界二酸化炭素溶液を撹拌しながら、イオヘキソール溶液647mg/mL(ヨウド含有率300mg/mL)、トロメタモールを1.21mg/mL、エデト酸カル
シウム2ナトリウム0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整した溶液5gを定量ポンプで連続的に注入した。その後系内を減圧して二酸化炭
素を排出し、イオヘキソールを含有するリポソームの分散液を得た。同じ作業を数回繰り返して得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.1μmで加圧濾過した。得られた造影剤を試料1とした。
上記造影剤中のリポソームの粒径は120nmであり、実質的に一枚膜のリポソームであっ
た。上記試料の脂質重量に対するリポソーム内に内包されているヨウド化合物のヨウド量の比は、5.6であった。
圧力を高圧側に調整すること、減圧速度を調整すること、使用リン脂質量を変更した以外は、実施例1と同様にして、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.1μmで加圧濾過して、リポソームの分散液を得て、これを試料2とした。試料2中のリポソームは、凍結破砕法によるTEM観察で、実質的に一枚膜リポソームであった。粒径などの測定結果を表1に示す。
圧力を高圧側に調整すること、減圧速度を調整すること、使用リン脂質量を変更した以外は、実施例1と同様にして、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.1μmで加圧濾過して、リポソームの分散液を得て、これを試料3とした。試料3中のリポソームは、凍結破砕法によるTEM観察で、実質的に一枚膜リポソームであった。粒径などの測定結果を表1に示す。
圧力を高圧側に調整すること、減圧速度を調整すること、使用リン脂質量を変更した以外は、実施例1と同様にして、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.2μmで加圧濾過して、リポソームの分散液を得て、これを試料4とした。試料4中のリポソームは、凍結破砕法によるTEM観察で、実質的に一枚膜リポソームであった。粒径などの測定結果を表1に示す。
〔比較例〕
従来のリポソーム作製方法において、リン脂質などを超臨界二酸化炭素の代わりに有機溶媒に溶解し、使用リン脂質量を変更することによりリポソームを含む分散液を作製した。これにより2種のX線造影剤(試料5および6)を調製した。粒径などの結果を表1に示す。
家兎の皮下にVX2カルシノーマの細胞浮遊液を移植した。移植2週間後に、実施例1で得た造影剤を静脈注射し、注射後にX線画像で観察した。また時間経過とともに造影レベルは減少するが、移植部分については造影レベルの減少は遅かった。
同様に実施例2〜4で作製した造影剤試料2〜4および比較例で作製した造影剤試料5、6ならびに、特許第2619037号明細書の実施例2の試料2Bを再現して作製した試料(試料7)についても同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005145845

Claims (4)

  1. 中心粒径が50〜130nmのリポソームを含み、該リポソームが水溶性ヨウド系化合物を脂
    質膜重量に対して3〜8の重量比で含有していることを特徴とするX線検査用造影剤。
  2. 前記リポソームが、実質的に一枚膜リポソームであることを特徴とする請求項1に記載のX線検査用造影剤。
  3. 前記リポソームが、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームであることを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査用造影剤。
  4. 前記リポソームが、0.1〜0.4μの孔径を有する濾過膜を通されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のX線検査用造影剤。
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