JP2005281621A - 空気入りタイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性と路面把握性を損なうことなく、ゴム加工時の作業性と低燃費性を改良することのできる空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ガラス転移点≧−70℃、スチレン含有量=10〜30重量%、ブタジエン部中のビニル含有量=40〜70重量%のスチレンブタジエン共重合体ゴムを50重量%以上含むゴム成分100重量部に対し、CTAB比表面積が100〜140m/gであるシリカ20〜100重量部と、カーボンブラック0〜100重量部を、シリカ/カーボンブラック=0.7/1〜1/0の比率で配合し、かつ、下記式(1)のシランカップリング剤をシリカ100重量部に対して2〜25重量部配合する。
(C2n+1O)Si−C2m−S−CO−C2k+1 (1)
(式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは5〜9の整数)

Description

本発明は、シリカが配合された空気入りタイヤ用ゴム組成物、及び、それを用いた空気入りタイヤに関するものである。
最近、環境あるいは安全への関心が高まるにつれ、タイヤにも低燃費性、路面把握性の向上、摩耗寿命の延長が強く要請されるようになった。
このような要請に対し、タイヤトレッドを形成するゴム組成物において、充填剤とオイルの配合量を増やすと、路面把握性を改良するものの、低燃費性、耐摩耗性が低下してしまう。また一方、該ゴム組成物において、ゴム成分としてガラス転移点の低いポリマーを使用すると、低燃費性は解消されるものの、路面把握性が低下してしまう。このように路面把握性と低燃費性は背反することが多く、両立させることは困難であった。
そこで、かかる問題を解決するために、充填剤としてシリカが一般的に使用されるようになっており、その場合、同時にシランカップリング剤も使用されている(下記特許文献1〜3参照)。しかしながら、従来一般に使用されているポリスルフィドシラン等のシランカップリング剤を使用した場合、混合回数の増加、押出し速度の低下など、作業性が大きく劣るという問題がある。
ところで、下記特許文献4には、加工中における許容できない粘度上昇を抑え、早期硬化(スコーチ)を改善するために、シリカと共に使用するシランカップリング剤として新規な保護化メルカプトシランが提案されている。しかしながら、同文献には、特定されたポリマーと大粒径シリカとの組み合わせにおいて、耐摩耗性と路面把握性を損なうことなく低燃費性と作業性を改良する上で、とりわけ優れた効果が得られることについては開示されていない。
特開平11−181157号公報。 特開2003−155383号公報。 特開2003−155384号公報。 特表2001−505225号公報。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、保護化メルカプトシランをシランカップリング剤として用い、これを特定のシリカと特定のスチレン−ブタジエンゴムとともに使用することにより、耐摩耗性と路面把握性を損なうことなく、ゴム加工時の作業性と低燃費性を改良することのできる空気入りタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、有機リチウム化合物を開始剤とする1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合により得られた共重合体ゴムであって、ガラス転移点が−70℃以上、スチレン含有量が10〜30重量%、かつブタジエン部中のビニル含有量が40〜70重量%である共重合体ゴムの単独、又は該共重合体ゴム50重量%以上と他のジエン系ゴム50重量%以下とのブレンドからなるゴム成分100重量部に対し、CTAB比表面積が100〜140m/gであるシリカ20〜100重量部と、カーボンブラック0〜100重量部を、シリカ/カーボンブラック=0.7/1〜1/0の比率で配合し、かつ、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤をシリカ100重量部に対して2〜25重量部配合してなるものである。
(C2n+1O)Si−C2m−S−CO−C2k+1 (1)
式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは5〜9の整数である。
本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物において、前記シリカは、CTAB比表面積(m/g)に対するDBP吸油量(cm/100g)の比DBP/CTABが1.4以上のものであることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、これらのゴム組成物からなるトレッドを有するものである。
本発明によれば、ゴム成分に特定のスチレン−ブタジエンゴムを用いるとともに、上記式(1)で表される保護化メルカプトシランをシランカップリング剤として大粒径のシリカとともに使用することにより、耐摩耗性と路面把握性を損なうことなく、ゴム加工時の作業性と低燃費性を改良することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として使用される共重合体ゴムは、有機リチウム化合物を開始剤とする1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合により得られるスチレン−ブタジエンゴムである。かかる共重合体ゴムは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテルなどの不活性有機溶媒を用いた公知の溶液重合法により製造することができ、上記有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチウムブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。この共重合体ゴムは、スズ系、ケイ素系、アルコキシシラン系カップリング剤により、その共重合体鎖末端が処理されたものであってもよく、また、末端または主鎖がシリカのシラノール基と相互作用や化学反応性を有する官能基(例えば、水酸基やアミノ基)で変性されたものであってもよい。
上記共重合体ゴムは、ガラス転移点(Tg)が−70℃以上であることが必要である。ガラス転移点が−70℃よりも低いと、路面把握性が低下する。ガラス転移点は、より好ましくは−50℃以上である。なお、ガラス転移点の上限は特に限定されないが、通常−10℃以下である。
上記共重合体ゴムは、また、スチレン含有量が10〜30重量%であることが必要である。スチレン含有量が10重量%未満では、路面把握性が低下し、30重量%を越えると低燃費性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
上記共重合体ゴムは、また、ブタジエン部中のビニル含有量が40〜70重量%であることが必要である。ビニル含有量が40重量%未満では、路面把握性が低下し、70重量%を越えると、低燃費性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
本発明のゴム組成物におけるゴム成分は、上記共重合体ゴムの単独、又は該共重合体ゴム50重量%以上と他のジエン系ゴム50重量%以下とのブレンドゴムからなる。該共重合体ゴムの比率が50重量%未満では、上記した本発明の効果を充分に発揮することができない。ここで、他のジエン系ゴムとしては、特に限定はなく、天然ゴムの他、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、ニトリルゴムなどのジエン系合成ゴムが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても2種以上併用してもよい。これらの内でも、天然ゴム、ブタジエンゴムがより好ましい。
本発明のゴム組成物に使用されるシリカ(含水珪酸)は、そのコロイダル特性が、100≦CTAB比表面積(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)≦140m/gである大粒径のものが用いられる。このような大粒径のシリカを用いることにより、転がり抵抗を下げ、また未加硫ゴム組成物の粘度を下げて加工性に寄与することができる。CTAB比表面積が100m/g未満では補強性が低下して耐摩耗性が悪化してしまう。CTAB比表面積のより好ましい上限は130m/gである。なお、本発明において、CTAB比表面積は、ASTM D3765に準じて測定される値である。
上記シリカとしてはまた、CTAB比表面積(m/g)に対するDBP吸油量(cm/100g)の比DBP/CTABが1.4以上である高ストラクチャーのものが好ましく用いられる。DBP/CTABが1.4未満では、低燃費性が低下する。DBP/CTABのより好ましい範囲は1.4〜2.4である。このように、シリカの粒子特性として、比表面積が比較的小さいが、ストラクチャーが高いものを用いることにより、シリカとポリマーの結合量を増やして、低い転がり抵抗でありながら、耐摩耗性や路面把握性の低下を抑制することができる。なお、本発明において、DBP吸油量はJIS K−5101に準拠して測定される値である。
上記シリカは、ゴム成分100重量部に対して20〜100重量部配合される。シリカの配合量が20重量部未満であると、上記した本発明の効果を充分に発揮することができなくなる。シリカのより好ましい配合量は、下限が30重量部、上限が80重量部である。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、必須ではないがカーボンブラックを配合してもよく、カーボンブラックは、ゴム成分100重量部に対して0〜100重量部配合される。また、シリカとカーボンブラックは、シリカ/カーボンブラック=0.7/1〜1/0の比率で配合される。シリカの比率がこの範囲よりも少ないと、路面把握性を確保しながら低燃費性を下げることが難しくなる。
本発明のゴム組成物に使用されるシランカップリング剤は、上記一般式(1)で表される保護化メルカプトシランである。かかる保護化メルカプトシランは特表2001−505225号公報に記載の方法に準拠して製造することができる。この保護化メルカプトシランは、上記した本発明の効果を充分に発揮させる上で、シリカ100重量部に対して2〜25重量部配合される。なお、かかるシランカップリング剤は、予めシリカに処理しておいて、この処理済みのシリカを上記ゴム成分に添加混合して配合することもできる。
本発明のゴム組成物には、上記した成分の他に、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤など、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。なお、ゴム組成物の混合は、公知の混合機を用いて行うことができ、その際、上記ゴム成分とシリカ(場合によりカーボンブラックを含んでもよい)とシランカップリング剤を150〜180℃で混合することが、本発明の上記効果を発揮させる上で好ましい。
以上よりなるゴム組成物であると、ゴム成分に特定のスチレン−ブタジエンゴムを用い、かつ上記保護化メルカプトシランをシランカップリング剤として、大粒径かつ高ストラクチャーのシリカとともに使用したことにより、耐摩耗性と路面把握性(特にウェット性能)の低下を伴うことなく、ゴム加工の作業性を向上させ、また、転がり抵抗を下げて低燃費性を改良することができる。そのため、このゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッドを形成するゴムとして好ましく使用される。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ゴム組成物の調製)
シリカとしては、下記表1に示す3種類のシリカを用いた。そのうち、シリカ(1)はタイヤトレッド用ゴム組成物に配合するシリカとして汎用されている日本シリカ工業製「ニップシール AQ」である。
Figure 2005281621
バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合に従い、ゴム組成物を調製した。その際、ゴム組成物の混合温度は160℃とした。表2の各成分の詳細は以下の通りである。
・SSBR1:有機リチウム化合物を開始剤として溶液重合により製造されたスチレン−ブタジエンゴム(ガラス転移点=−38℃、スチレン含有量=20重量%、ブタジエン部中のビニル含有量=60重量%)
・SSBR2:旭化成製の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム「TUF3330」(ガラス転移点=−42℃、スチレン含有量=31重量%、ブタジエン部中のビニル含有量=30重量%)
・天然ゴム:STR20
・ブタジエンゴム:JSR製「BR01」
・カーボンブラック:三菱化学社製「ダイヤブラックN339」
・保護化メルカプトシラン:上記式(1)で表されるカップリング剤(n=2,m=3,k=7)、GEシリコーンズ社製「NXT」
・汎用カップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製「Si−69」。
また、各ゴム組成物には、共通配合として、アロマ系プロセス油(ジャパンエナジー社製「JOMOプロセスX−140」)30重量部、亜鉛華(三井金属鉱業製「亜鉛華1号」)3重量部、老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」)2重量部、ワックス(日本精鑞製「オゾエース0355」)2重量部、加硫促進剤(大内新興化学工業製「ノクセラーCZ」)1.5重量部、加硫促進剤(大内新興化学工業製「ノクセラーD」)1.8重量部、硫黄(細井化学工業製「粉末硫黄150メッシュ」)1.8重量部を配合した。
(評価)
得られた各ゴム組成物について加工性を評価するとともに、各ゴム組成物を用いて空気入りタイヤを作製した。タイヤは、キャップ/ベース構造のトレッドを有する205/65R15 94Hのラジアルタイヤのキャップトレッドに各ゴム組成物を適用し、定法に従い加硫成形することにより製造した。そして、得られた各タイヤについて、低燃費性、ウェット制動性、および耐摩耗性を評価した。各評価方法は次の通りである。
・加工性:JIS K6300に準拠してムーニー粘度を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど粘度が低いこと、即ち加工性が良好であることを示す。
・低燃費性:使用リムを15×6.5JJとしてタイヤを装着し、空気圧230kPa、荷重450kgfとして、転がり抵抗測定ドラムにて23℃で80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、よって低燃費性に優れることを示す。
・ウェット制動性:2000ccのFF車に上記空気入りタイヤを4本装着し、2〜3mmの水深で水をまいた路面上を走行し、時速90kmでABSを作動させて20km/hまで減速時の制動距離を測定した。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が大きいほどウェット制動性に優れることを示す。
・耐摩耗性:2000ccのFF車に上記空気入りタイヤを4本装着し、時速90kmで約20000km走行後、残溝深さを測定した。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
Figure 2005281621
表2に示すように、特定のSBRと大粒径シリカと保護化メルカプトシランを組み合わせて使用した実施例1〜4では、ウェット制動性及び耐摩耗性を損なうことなく、加工性及び低燃費性が改良されており、保護化メルカプトシランを使用していない比較例2に比べて加工性だけでなく、低燃費性についても大幅な改良が認められた。一方、比較例3では、SBRのスチレン含有量及びビニル含有量が本発明所定の範囲から外れるため、低燃費性の改善効果が低いだけでなく、ウェット性能及び耐摩耗性も劣るものであった。また、比較例4では、SBRの配合量が少ないためウェット性能及び耐摩耗性が低下しており、比較例5では、カーボンブラックに対するシリカの比率が低いことから、低燃費性の改善効果がみられず、ウェット性能にも劣るものであった。更に、比較例6では、大粒径シリカではないため、加工性及び低燃費性の改善効果に劣るものであった。

Claims (3)

  1. 有機リチウム化合物を開始剤とする1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合により得られた共重合体ゴムであって、ガラス転移点が−70℃以上、スチレン含有量が10〜30重量%、かつブタジエン部中のビニル含有量が40〜70重量%である共重合体ゴムの単独、又は該共重合体ゴム50重量%以上と他のジエン系ゴム50重量%以下とのブレンドからなるゴム成分100重量部に対し、CTAB比表面積が100〜140m/gであるシリカ20〜100重量部と、カーボンブラック0〜100重量部を、シリカ/カーボンブラック=0.7/1〜1/0の比率で配合し、かつ、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤をシリカ100重量部に対して2〜25重量部配合してなる空気入りタイヤ用ゴム組成物。
    (C2n+1O)Si−C2m−S−CO−C2k+1 (1)
    (式中、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数、kは5〜9の整数である)
  2. 前記シリカは、CTAB比表面積(m/g)に対するDBP吸油量(cm/100g)の比DBP/CTABが1.4以上のものであることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2記載のゴム組成物からなるトレッドを有する空気入りタイヤ。
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