JP2005272386A - 高純度カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

高純度カプロラクタムの製造方法 Download PDF

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Kazuyoshi Higuchi
和義 樋口
Shoji Morita
正二 森田
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Abstract

【課題】
不溶解物を含んだ粗カプロラクタムを有機溶媒により抽出する際に、エマルションの発生を防止することで抽出効率の低下を抑制し高純度のカプロラクタムを、安価にまた効率良く製造する方法を提供。
【解決手段】
溶融した抽出前の粗カプロラクタム及び水を含む溶液からカプロラクタムを抽出する際に、抽出前の粗カプロラクタム水溶液に含まれる不溶解物に対して5〜50重量%のリン酸塩を含む界面活性剤の存在下で、有機溶媒によりカプロラクタムを抽出する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度のカプロラクタムを、安価にまた効率良く製造する方法に関する。
カプロラクタムは、ポリアミド原料として高純度品が使用されている。高純度カプロラクタムの製造は一般的に、シクロヘキサノンオキシムを発煙硫酸を触媒としたベックマン転位によりカプロラクタムを合成し、得られたカプロラクタム硫酸塩溶液をアンモニアで中和して、硫安を主成分とする水相と、カプロラクタムを主成分とした油相に分け、油相より粗カプロラクタムを得る。
ついで該粗カプロラクタムは、有機溶媒で抽出し、粗カプロラクタムに含まれる水溶性不純物を分離した後、蒸留などの単位操作の組み合わせにより精製され、高純度カプロラクタムが製造される。(特許文献1)
また、カプロラクタムの抽出に用いられる有機溶媒は、n−ブタノール、n−アミノアルコール、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、ベンゼン、トリクロロエチレンあるいはシクロヘキサンのように、水に不溶であり、かつ、カプロラクタムとの沸点差が充分あり、カプロラクタムの溶解度の高いものが用いられる。(特許文献2)
特開2002−145863号公報 特公昭45−14544号公報
しかしながら、上述の製造方法は硫酸やアンモニアを使用するので、粗カプロラクタム中にはスルホン酸やアンモニウム塩の炭化物といった、水にも有機溶媒にも溶解しないものが含まれる。ただし、これらの不溶解物は苛性ソーダなどのアルカリに溶解するので従来は抽出の際に、抽出前の粗カプロラクタムと水の混合液中に苛性ソーダなどのアルカリを加え、不溶解物を溶解したのち抽出を行っていた。ところが苛性ソーダが不足したり、前工程のスタートなど非定常に起因して不溶解物が大量に抽出工程に供給されると、析出した不溶解物が油相と水相の界面上に蓄積しエマルションを形成するため、抽出効率の低下、または、抽出操作そのものができなくなる問題があった。
本発明は、溶融した粗カプロラクタム及び水を含む溶液から、リン酸塩を含む界面活性剤の存在下、有機溶媒でカプロラクタムを抽出することを特徴とする高純度カプロラクタムの製造方法である。
本発明は、上述したような不溶解物の析出によるエマルションの発生で抽出効率が低下する問題を解決するためになされたものであって、抽出前の粗カプロラクタムと水の混合液中、あるいは直接、抽出塔にリン酸塩を含む界面活性剤を添加することで、エマルションの発生を防止することができる。この結果、不溶解物の溶解のためのアルカリを使用することなく、不溶解物の存在下でも、非常に安定した抽出操作が可能となり製造工程の生産効率が向上する。
本発明者らは、粗カプロラクタムと水の混合液からカプロラクタムを抽出する際にエマルションが形成される原因を調査した結果、ベックマン転位工程、および中和工程で副生するスルホン酸やアンモニウム塩の炭化物といった水にも有機溶媒にも溶解しない物質が抽出工程で、油相と水相の界面上に蓄積しエマルションを形成することをつきとめた。そこで、鋭意検討した結果、リン酸塩を含む特定の界面活性剤を添加することで、水にも有機溶媒にも溶解しない炭化物の存在下でも抽出前の粗カプロラクタムと水の混合液からカプロラクタムを効率よく抽出できることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、粗カプロラクタムと水の混合液からカプロラクタムを抽出する工程において、抽出前の粗カプロラクタムと水の混合液中、あるいは抽出塔内に直接、リン酸塩を含む界面活性剤を添加することで、不溶解物の溶解のアルカリを必要とせず、不溶解物の存在下においても効率よく抽出できる。この結果、安定した抽出操作が維持され、効率よく高純度のカプロラクタムを製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位反応によって製造された粗カプロラクタムの精製に適している。ベックマン転位反応の反応形式は攪拌槽式、またはパイプラインミキサー方式など、従来公知の方法のいずれでも良く、反応温度は通常80〜100℃の範囲から選択される。本発明では特に硫酸存在下でベックマン転位反応により得られた粗カプロラクタムに対して有効である。図1により本発明の高純度カプロラクタムの製造工程の概要について説明する。中和槽3では導管1よりベックマン転位反応により得られた反応液が供給され、導管2より供給されるアンモニアなどのアルカリで中和処理が行われる。中和処理された溶液は導管4より分離槽5に供給され、溶融した粗カプロラクタムの水溶液と、硫酸塩水溶液に静置分離される。分離後の硫酸塩水溶液は導管6より系外に払い出され、粗カプロラクタム水溶液は導管7より混合槽9で導管8より供給される界面活性剤と混合され、導管10より抽出塔12に供給され、導管11より供給される有機溶媒により常温でカプロラクタムが抽出される。
ここで、重要なのはカプロラクタムの抽出をリン酸塩を含む界面活性剤の存在下で実施することである。界面活性剤としてはリン酸塩を含むものであれば良い。リン酸塩を含む界面活性剤としてはリン酸ナトリウム塩やリン酸カリウム塩、あるいはリン酸エステルカリウム塩などが使用できる。好ましくはリン酸エステルカリウム塩である。具体的にはラウリルアルコールリン酸エステルカリウム塩やラウリルアルコール2リン酸エステルカリウム塩などがあげられる。
界面活性剤の使用量は粗カプロラクタムに含まれる不溶解物の量に対して5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%である。この範囲で界面活性剤を添加することで、抽出効率低下の原因となる不溶解物によるエマルションの発生を抑制することができる。ここで、不溶解物とは、ベックマン転位工程、および中和工程で副生するスルホン酸やアンモニウム塩の炭化物といった水にも有機溶媒にも溶解しない物質をいう。
不溶解物量の測定は、粗カプロラクタム100gに約1gのラウリルアルコールリン酸エステルカリウム塩を添加、溶解させた後、n−ブタノール、n−アミノアルコール、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、ベンゼン、トリクロロエチレンあるいはシクロヘキサンの中から選ばれる溶剤を、有機溶媒、カプロラクタム、水の3成分が分液する領域の混合比率で抽出率99%以上になるまで多段抽出する。抽出方法は、連続式でも分液漏斗を用いた回分式のどちららでも良い。抽出終了後、抽残液を5Cの濾紙を用いて濾過し、50℃で6時間減圧乾燥後、秤量して得る。
界面活性剤の添加方法は特に限定されることは無く、抽出前の粗カプロラクタムに添加する方法、つまり混合槽9に添加する方法、あるいは抽出前の有機溶媒に添加する方法、つまり導管11中や有機溶媒の貯槽に添加する方法、あるいは抽出中に添加する方法、つまり抽出塔12に直接添加する方法がある。上述した界面活性剤は有機溶媒により抽出されないものなので、抽出塔12では抽残液として導管14より水とともに系外に払い出される。
界面活性剤の存在下での有機溶媒によるカプロラクタムの抽出は通常の方法が採用できる。本発明の抽出による粗カプロラクタムの精製では、有機溶媒中に粗カプロラクタムを、水相中に硫安などの水溶性不純物を抽出して、カプロラクタムと、水や硫安などの不純物とを分離する。抽出操作は連続、あるいはバッチのいずれでも良く、また抽出塔12としてはミキサセトラーや多孔板塔、回転円盤塔など特に限定されない。抽出は通常、室温〜約80℃またはそれより幾分低いかまたは高い温度で実施することができる。具体的には60〜80℃が好ましい。有機溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、トリクロロエチレン、シクロヘキサン、あるいはベンゼンなどが用いられるが、カプロラクタムの溶解度が大きい有機溶媒が好ましい。特にベンゼン、シクロヘキサン、またはトリクロロエチレンが好ましい。有機溶媒の使用量は、有機溶媒、カプロラクタム、水の3成分が分液する領域の混合比率であれば特に限定されないが、有機溶媒としてトリクロロエチレンを用いる場合には抽出液中のカプロラクタム濃度が通常10〜60重量%、更に10〜30重量%になるようにトリクロロエチレンを供給するのが好ましい。抽出後、抽残液は導管15より系外に払い出される。抽残液に残留する少量の有機溶媒は、静置分離や蒸留分離、あるいはこれらの組み合わせにより回収後再び抽出に用いることができる。一方、粗カプロラクタムと有機溶媒を含む抽出液は導管13より蒸留塔15に払い出される。抽出液中の有機溶媒も蒸留塔15で粗カプロラクタムと分離後、導管17より払い出され、有機溶媒貯槽を経て、抽出塔12で用いられる。蒸留塔15で分離された粗カプロラクタムは導管16より払い出され、更に他の方法により精製される。粗カプロラクタムの精製方法としては、減圧蒸留法、水添法、イオン交換処理法、晶析分離法など他の方法が提案されており、現在では多くの方法を組み合わせて使用することが可能である。このようにして得られた高純度カプロラクタムは、特にナイロン6原料として有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1:
シクロヘキサンを原料として特公昭39−22959号記載の光ニトロソ化反応により得られるシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位して得られる粗カプロラクタム水溶液 (粗カプロラクタム含量:75重量%、水分:20重量%、不溶解物析出量:3.0重量ppm、pH:5)を、苛性ソーダを用いてpHを7に調整したのち、抽剤にトリクロロエチレンを用いて抽出処理を行った。抽出は回転円盤を内蔵した抽出装置を用いて、回転数400rpm、内温を45℃にコントロールしながら、塔下部より界面活性剤を含む粗カプロラクタム水溶液、塔上部より抽剤であるトリクロロエチレンを供給し、塔下部から抽出液であるカプロラクタム含有トリクロロエチレン溶液を抜き出し、塔上部より抽残液である水溶性不純物、不溶解物、および界面活性剤を含有する水相をオーバーフローで抜き出した。界面活性剤としては成分がラウリルアルコールリン酸エステルK塩のもの(三洋化成品、品名:S005)を用いて、抽出塔に供給する粗カプロラクタム水溶液に含まれる不溶解物に対して20重量%になるように行った。
比較例1:
実施例1で界面活性剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
比較例2:
実施例1で界面活性剤として成分が硫酸エステルナトリウム塩のもの(三洋化成品、品名:EN-200)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
Figure 2005272386
*1:不溶解物の析出量に対する界面活性剤の添加量を示す。
*2:抽出液中のカプロラクタム量/粗カプロラクタム水溶液中のカプロラクタム量
表1において、実施例1および比較例1は界面活性剤の効果を示す結果である。リン酸エステルカリウム塩の界面活性剤添加量により、アルカリを添加しなくてもエマルションが発生しなかった。実施例1および比較例2は界面活性剤の成分の影響を示す結果である。界面活性剤の成分は硫酸塩に比べてリン酸塩の方がエマルションの発生の抑制効果が高い。
本発明の高純度カプロラクタムの製造工程の概要を示す図である。
符号の説明
3 中和槽
5 分離槽
9 混合槽
12 抽出塔
15 蒸留塔
1,2,4,6,6〜8、10〜11、13,14,16,17 導管

Claims (3)

  1. 溶融した粗カプロラクタム及び水を含む溶液から、リン酸塩を含む界面活性剤の存在下、有機溶媒でカプロラクタムを抽出することを特徴とする高純度カプロラクタムの製造方法。
  2. 有機溶媒がベンゼン、シクロヘキサン、またはトリクロロエチレンであることを特徴とする請求項1記載の高純度カプロラクタムの製造方法。
  3. 有機溶媒でカプロラクタムを抽出した後、抽出液から有機溶媒を分離することを特徴とする請求項1または2記載の高純度カプロラクタムの製造方法。
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