JP2005270793A - 窒素溶解水の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ガス透過性膜によって区画された水室と気室とを備えた膜式ガス溶解装置、(B)脱酸素された水を該水室に供給する脱酸素水供給管、(C)該水室からガス溶解水を排出するガス溶解水排出管、(D)該気室に窒素を供給する窒素供給管、(E)該気室への窒素供給量を調整する窒素供給量調整手段、及び、(F)該気室の圧力を測定する圧力計を有し、該圧力計の測定値にもとづいて窒素供給量調整手段により窒素供給量を調整し、該気室の圧力を設定値に維持することを特徴とする窒素溶解水の製造装置。
【選択図】図1
Description
微粒子の除去には、水素を溶解した洗浄水を用いる超音波洗浄が最も効果的であるが、ガスの取り扱いの容易さから、窒素を溶解した窒素溶解水が使われることも多くなった。超純水への窒素の溶解手段としては、水槽中での窒素バブリングが挙げられる。この手段は非常に簡便であるが、溶存窒素濃度を高い値で精度よく維持することは困難である。さらに、ガス透過性膜モジュールを用いた単純なガス溶解技術もある。ガス透過性膜モジュールを用いると、比較的容易に溶存窒素濃度の高い窒素溶解水を得ることが可能であるが、溶存窒素濃度が一定し、かつ過飽和でない窒素溶解水を安定して製造することは困難であった。
これらに対して、ガス溶解装置に超純水と窒素とを供給し、得られた窒素溶解水の溶存窒素濃度を窒素濃度計で測定し、目標窒素濃度と対比して、供給窒素量を制御する方法が知られている。しかし、従来の窒素濃度計による測定では、計器へのパージガスの供給、試料水の流量調整などの操作条件の設定が面倒であり、また、計器はサンプリング配管を分岐して設置することから面倒で手間がかかり、試料水を常時排水しなければならないので無駄である。
原水中の溶存ガスを脱気処理により完全に除去したのち、ガス透過性膜モジュールを用い、特定のガスを必要量だけ供給して溶解させることにより、原水に所定濃度のガスを溶解した水を、気泡を発生させることなく製造することができる。図3は、従来の窒素溶解水の製造装置の一例の工程系統図である。超純水タンク25からポンプ26により送り出された超純水が、膜脱気装置27において溶存ガスが完全に除去され、膜式ガス溶解装置28において所定量の窒素が溶解され、所定濃度の窒素溶解水が製造される。
電子材料などの洗浄に用いられる超純水は、脱酸素及び脱二酸化炭素を目的として脱気処理され、溶存ガスが除去されたのち、上部空間が窒素雰囲気に保たれた貯槽に貯留される場合が多い。このような場合には、超純水にある程度の窒素が溶解しているので、脱気処理により溶存窒素を完全に除去したのち、必要量の窒素を供給して溶解させることは、工程が多くなり無駄が多い。このために、簡便かつ精度よく溶存窒素濃度が管理された水を製造することができる手段が求められていた。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ガス透過性膜によって区画された水室と気室とを備えた膜式ガス溶解装置、(B)脱酸素された水を該水室に供給する脱酸素水供給管、(C)該水室からガス溶解水を排出するガス溶解水排出管、(D)該気室に窒素を供給する窒素供給管、(E)該気室への窒素供給量を調整する窒素供給量調整手段、及び、(F)該気室の圧力を測定する圧力計を有し、該圧力計の測定値にもとづいて窒素供給量調整手段により窒素供給量を調整し、該気室の圧力を設定値に維持することを特徴とする窒素溶解水の製造装置、及び、
(2)水が、超純水である(1)記載の窒素溶解水の製造装置、
を提供するものである。
図1は、本発明の窒素溶解水の製造装置の一態様の工程系統図である。本態様の装置においては、超純水タンク1に脱酸素された超純水が貯留されている。超純水を脱酸素することにより、洗浄される被洗浄物の表面の酸化を防ぐとともに、水中の生菌の繁殖をも防ぐことができる。脱酸素処理の際には、水中でイオン化し、電気伝導率を高める原因となる二酸化炭素も同時に除去される。脱酸素された超純水を貯留する超純水タンクの上部の空間は、窒素で満たされている。したがって、超純水中にはある程度の量の窒素が溶解しているが、飽和濃度以上の窒素が溶解することはほとんどない。タンク内の超純水の溶存窒素濃度は、タンク内の場所により差があり、超純水のタンク内での滞留時間によっても変動し、ほとんどの場合は管理されていない。
膜式ガス溶解装置の気室が窒素で満たされ、その圧力が標準大気圧である0kPa(ゲージ圧)であると、窒素溶解水の溶存窒素濃度は飽和濃度となる。例えば、温度20℃、大気圧101.3kPaのときは、窒素19.0mg/Lを溶解した窒素溶解水が得られる。気室を完全に真空にして、圧力−101.3kPa(ゲージ圧)とすると、水室から排出される水の溶存窒素濃度は0mg/Lとなる。温度t℃における水に対する窒素の飽和溶解度をαtmg/Lとすると、膜式ガス溶解装置の気室の圧力を−101.3kPa(ゲージ圧)のx倍(0≦x≦1)としたとき、ガス溶解水排出管から排出される窒素溶解水の溶存窒素濃度は、αt(1−x)mg/Lとなる。この関係を利用して、気室の圧力が設定値になるように窒素を供給することにより、所定の溶存窒素濃度の窒素溶解水を製造することができる。 膜式ガス溶解装置の気室の圧力は、窒素を供給する取り合い点より最も遠い位置で測定することが好ましい。
本発明の窒素溶解水の製造装置においては、(G)気室からガスを排出するガス排出管を設けることができる。図1に示す態様においては、膜式ガス溶解装置の気室にガス排出管10が設けられ、ガス排出管には、バルブ11とポンプ12が設けられている。ガス排出管は、本発明装置の運転を開始するに際し、気室に窒素を送り込んで内部の空気を窒素で置換するとき、空気が混合したガスの排出に使用することができる。また、超純水タンクより供給される超純水の溶存窒素濃度よりも、製造する窒素溶解水の溶存窒素濃度が低い場合は、ガス透過性膜を経由して抜き取った窒素の排出に使用することができる。
本発明装置において、超純水タンクより供給される超純水の溶存窒素濃度よりも、製造する窒素溶解水の溶存窒素濃度が低い場合は、膜式ガス溶解装置の気室の圧力は、窒素溶解水を製造すると上昇する。このとき、圧力計6の測定値が信号として制御器8に送られ、制御器において設定値との差が自動計算され、信号がバルブ11に送られてバルブを開くことより窒素排出量が調整され、気室内の圧力が設定値に維持される。バルブ11より下流側は、ポンプ12により大気圧以下に保たれる。
本発明装置において、脱酸素された超純水を原水とすると、窒素以外のガスは溶解しておらず、圧力計で測定される圧力は、直ちに窒素溶解水の溶存窒素濃度に対応し、窒素溶解水の溶存窒素濃度を正確に制御することができる。また、膜式ガス溶解装置の気室に供給される窒素は、通常は純度100体積%のガスであるために、圧力の測定値は溶存窒素濃度に対応することになる。換言すれば、原水に脱酸素された超純水を用い、供給する窒素として純度100体積%のガスを用いるために、気室の圧力を測定することにより、所定の溶存窒素濃度の窒素溶解水を製造することができる。
本発明装置において、膜式ガス溶解装置に供給される超純水が、超純水製造工程又は供給の途中の超純水タンクで窒素でパージされていると、窒素が溶解した超純水が膜式ガス溶解装置に供給されるが、本発明装置では、このあらかじめ溶解している窒素も、そのまま溶存窒素として使用され、不足分の窒素が補充される。
本発明装置に用いるガス透過性膜の材質に特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドなどを挙げることができる。本発明装置においては、腐食性などのない窒素を溶解させるので、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン系のガス透過性膜を好適に用いることができる。本発明装置において、ガス透過性膜の形式に特に制限はなく、例えば、平面膜、管型、スパイラル、中空糸、モノリス型、槽浸漬型、回転円盤膜などを挙げることができる。
図2は、本発明の窒素溶解水の製造装置の他の態様の説明図である。本態様においては、膜式ガス溶解装置として中空糸膜式ガス溶解装置13が用いられ、中空糸膜14の内側に窒素が供給され、中空糸膜の外側に超純水が供給される。膜式ガス溶解装置の一端にガス供給室15、他端にガス排出室16が仕切板17、18を介して設けられ、仕切板を貫通して中空糸がガス供給室及びガス排出室に開口している。窒素源19から流量調節弁20を経由して、窒素供給管21がガス供給室に接続されている。また、ガス排出管22がガス排出室に接続されている。圧力計23によりガス排出室の圧力が測定され、圧力計の測定値が信号として制御器24に送られ、制御器において設定値との差が自動計算され、信号が流量調節弁に送られて弁の開度により窒素排出量が調整され、中空糸膜の内側の圧力が設定値に維持される。
本発明装置において、窒素供給量調整手段に特に制限はなく、例えば、手動又は自動により、圧力の測定値が所定の溶存窒素濃度に対応する設定値となるように、窒素供給量を調整することができる。自動により窒素供給量を調整する場合は、圧力の測定値を演算装置に入力し、圧力の設定値と比較演算し、その差に相当する信号を窒素供給量調整手段に送り、窒素供給量を調整することができる。窒素供給量の調整手段としては、例えば、窒素供給管又は窒素排出管に設けた流量調整弁などを挙げることができる。手動による場合は、弁の開度を人手によって調整することができる。
実施例1
図1に示す装置を用いて、20℃において、溶存窒素濃度12mg/Lの窒素溶解水を製造した。膜式ガス溶解装置は、ポリプロピレン中空糸を備えた、外形寸法が直径120mm、長さ835mmの膜モジュールである。
超純水タンク1から、溶存窒素濃度7.6mg/Lの超純水を、ポンプ2により膜式ガス溶解装置4の水室に20L/分送り込み、膜式ガス溶解装置の気室の圧力が−37kPa(ゲージ圧)になるように圧力計6とバルブ9により窒素の供給量を制御した。窒素の供給量は70mL(標準状態)/分となり、膜式ガス溶解装置から流出する窒素溶解水の窒素濃度は12.0mg/Lであった。膜式ガス溶解装置に供給された窒素70mL(標準状態)/分は、超純水20L/分の溶存窒素濃度の増加分4.4mg/Lと一致し、膜式ガス溶解装置に供給された窒素が超純水の溶存窒素濃度の増加に費消されたことが確認された。
実施例2
実施例1と同様にして、溶存窒素濃度15g/Lの窒素溶解水を製造した。
膜式ガス溶解装置の気室の圧力が−21kPa(ゲージ圧)になるように圧力計6とバルブ9により窒素の供給量を制御した以外は、実施例1と同じ操作を行った。窒素の供給量は118mL(標準状態)/分となり、膜式ガス溶解装置から流出する窒素溶解水の窒素濃度は15.0mg/Lであった。膜式ガス溶解装置に供給された窒素118mL(標準状態)/分は、超純水20L/分の溶存窒素濃度の増加分7.4mg/Lと一致し、膜式ガス溶解装置に供給された窒素が超純水の溶存窒素濃度の増加に費消されたことが確認された。
実施例1及び実施例2の結果から分かるように、20℃において、膜式ガス溶解装置の気室の圧力が−101.3kPa(ゲージ圧)の0.37倍又は0.21倍となるように制御して、気室に窒素を供給することにより、溶存窒素濃度が飽和濃度19.0mg/Lの0.63倍又は0.79倍である窒素溶解水が得られる。したがって、膜式ガス溶解装置の水室に供給される超純水の溶存窒素濃度が変動しても、膜式ガス溶解装置の圧力が設定値になるように制御して膜式ガス溶解装置の気室に窒素を供給することにより、所定の溶存窒素濃度の窒素溶解水を製造することができる。
2 ポンプ
3 脱酸素水供給管
4 膜式ガス溶解装置
5 窒素供給管
6 圧力計
7 ガス溶解水排出管
8 制御器
9 バルブ
10 ガス排出管
11 バルブ
12 ポンプ
13 中空糸膜式ガス溶解装置
14 中空糸膜
15 ガス供給室
16 ガス排出室
17 仕切板
18 仕切板
19 窒素源
20 流量調節弁
21 窒素供給管
22 ガス排出管
23 圧力計
24 制御器
25 超純水タンク
26 ポンプ
27 膜脱気装置
28 膜式ガス溶解装置
Claims (2)
- (A)ガス透過性膜によって区画された水室と気室とを備えた膜式ガス溶解装置、(B)脱酸素された水を該水室に供給する脱酸素水供給管、(C)該水室からガス溶解水を排出するガス溶解水排出管、(D)該気室に窒素を供給する窒素供給管、(E)該気室への窒素供給量を調整する窒素供給量調整手段、及び、(F)該気室の圧力を測定する圧力計を有し、該圧力計の測定値にもとづいて窒素供給量調整手段により窒素供給量を調整し、該気室の圧力を設定値に維持することを特徴とする窒素溶解水の製造装置。
- 水が、超純水である請求項1記載の窒素溶解水の製造装置。
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