JP7052423B2 - オゾン溶解水の製造装置及びこれを用いたオゾン溶解水の製造方法 - Google Patents
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2O3 → 3O2 (1)
したがって、かかる発明(発明3)によれば、余剰ガスに含まれる水分の除去だけではなく、余剰ガスの無害化をも行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るオゾン溶解水の製造装置10を示す模式的説明図である。図1に示すオゾン溶解水の製造装置10は、ガス溶解膜モジュール1と、第一圧力計2と、第二圧力計3と、水分除去機構4と、圧力制御機構5と、気体供給ラインL1と、気体排出ラインL2と、液体供給ラインL3と、液体排出ラインL4とを主に備える。
オゾン含有ガスGとは、オゾンガスと酸素ガスとの混合ガスを意味する。オゾン含有ガスGとしては、例えば水の電気分解や、空気又は酸素ガス中での無声放電等を利用したオゾナイザによって発生させた混合ガスを用いることができるが、これに限られない。本実施形態においては、酸素ガスをオゾナイザ7へ供給することによってオゾン含有ガスGを発生させている。発生したオゾン含有ガスGのオゾンガス濃度は、200g/Nm3程度であることが好ましい。このようなオゾン含有ガスGは、多くの場合、10-20重量%のオゾンガスと、80-90重量%の酸素ガスを含有する。
被処理水Wとしては、洗浄に適する水質であることに加えて、製造されるオゾン溶解水WOのオゾンガス濃度を維持するために、pHが中性以下であって、また、過酸化水素濃度が十分に低く(好ましくは10ppb以下)であるものが好ましく、例えば不純物を極限まで除去した超純水又は純水が好適に用いられる。本実施形態においては、被処理水Wとして超純水を使用しているがこれに限られず、例えば超純水に炭酸ガスを溶解した炭酸水等を使用してもよい。
ガス溶解膜モジュール1は、ガス溶解膜11により気相室12と液相室13とが区画形成されている。ガス溶解膜モジュール1の気相室12に供給されたオゾン含有ガスGと液相室13に供給された被処理水Wとがガス溶解膜11を介して気液接触することによって、オゾン含有ガスGが被処理水Wに溶解し、オゾン溶解水WOが製造される。なお、ガス溶解膜モジュール1で溶解しなかった未溶解のオゾン含有ガスG、つまり余剰ガスGRは、水分除去機構4によって水分を除去された後、気体排出ラインL2を経て、最終的に外部へ排出される。
第一圧力計2は、液相室13の出口圧力、つまりオゾン溶解水WOの水圧を測定するものである。第一圧力計2は、耐オゾン性があり、オゾン溶解水WOの水圧を測定することができれば、その構成は特に制限されるものではなく、例えば市販の液体圧力計を使用することができる。また、後述する圧力制御機構5が、第一圧力計2の測定値と第二圧力計3の測定値とに基づき気相室12内の気体の圧力を制御することから、第一圧力計2は、図1に示すように、測定値をデータとして圧力制御機構5へ出力する第一伝送出力手段T1を有することが好ましい。第一圧力計2が第一伝送出力手段T1を有することにより、オゾン溶解水WOのユースポイントPでの使用状況に起因して液相室13の出口圧力に変動が生じた場合でも、圧力制御機構5によって、容易に追従制御することができる。
第二圧力計3は、気相室12の出口圧力、つまり余剰ガスGRの圧力を測定するものである。第二圧力計3は、耐オゾン性があり、余剰ガスGRの圧力を測定することができれば、その構成は特に制限されるものではなく、例えば市販の気体圧力計を使用することができる。また、後述する圧力制御機構5が、第一圧力計2の測定値と第二圧力計3の測定値とに基づき気相室12内の気体の圧力を制御することから、第二圧力計3は、図1に示すように、測定値をデータとして圧力制御機構5へ出力する第二伝送出力手段T2を有することが好ましい。第二圧力計3が第二伝送出力手段T2を有することにより、オゾン溶解水WOのユースポイントPでの使用状況に起因して液相室13の出口圧力に変動が生じた場合でも、圧力制御機構5によって、容易に追従制御することができる。
水分除去機構4は、圧力制御機構5に流入する余剰ガスGRに含まれる水分を予め除去するものである。水分除去機構4としては、余剰ガスGRに含まれる水分を除去することができれば、その構成は特に制限されるものではなく、例えばガス分解手段や水分を吸着除去可能な吸湿剤等を有するものを使用することができるが、余剰ガスGRに含まれる水分の除去だけではなく、余剰ガスGRの無害化をも行うことができる点で、燃焼式や触媒燃焼式のガス分解手段を有するものが好ましい。
2O3 → 3O2 (1)
圧力制御機構5は、第一圧力計2の測定値と第二圧力計3の測定値とに基づき、余剰ガスGRの流量を制御することで、気相室12内の気体の圧力を制御するものである。具体的には、圧力制御機構5は、第一圧力計2の測定値P1と第二圧力計3の測定値P2との差分が下記式(2)を満たすよう、制御するものであることが好ましく、測定値P2が測定値P1より0.02MPa小さくなるように制御するものであることがより好ましい。
P1>P2 (2)
圧力制御機構5により、気相室12内の圧力を液相室13内の圧力に応じて精密に制御することにより、バブリング現象の発生を防ぐことができる。
気体供給ラインL1は、オゾン含有ガスGを気相室12に供給可能であるように気相室12に連通しており、気体排出ラインL2は、処理後の余剰ガスGRを排出可能であるように気相室12に連通している。気体供給ラインL1及び気体排出ラインL2の材質としては、パーフルオロアルコキシアルカンやポリテトラフルオロエチレン等の耐オゾン性を有するフッ素樹脂素材を使用することが好ましい。
液体供給ラインL3は、被処理水Wを液相室13に供給可能であるように液相室13に連通しており、液体排出ラインL4は、処理後のオゾン溶解水WOを排出可能であるように液相室13に連通している。液体供給ラインL3の材質としては、接触する液体によって腐食されない材質であれば特に制限はなく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂系の配管材料が好適であるが、低濃度域であれば塩化ビニル(PVC)等も使用することができる。また、液体排出ラインL4の材質としては、パーフルオロアルコキシアルカンやポリテトラフルオロエチレン等の耐オゾン性を有するフッ素樹脂素材が好適に使用される。
次に、上述したような本実施形態のオゾン溶解水の製造装置10を用いたオゾン溶解水の製造方法について図1を参照しつつ詳説する。
気体供給工程においては、オゾン含有ガスGがガス溶解膜モジュール1の気相室12に供給される。なお、本実施形態においては、気体供給工程の前に、気体供給ラインL1の気体供給口から供給された酸素ガスの流量をガス流量調整機構6により調製するガス流量調整工程と、ガス流量調整工程により流量が調整された酸素ガスをオゾナイザ7に供給してオゾン含有ガスGを発生させるオゾン含有ガス生成工程とをこの順に行っている。ガス流量調整工程を備えることにより、気体供給ラインL1に供給された酸素ガスの圧力を調整することができるので、好適な圧力でもってオゾナイザ7でのオゾン含有ガス生成工程を行うことが可能となる。
液体供給工程においては、被処理水Wをガス溶解膜モジュール1の液相室13に供給する。なお、本実施形態においては、液体供給工程の前に、液体供給ラインL3の液体供給口から供給された被処理水Wの流量を被処理水流量調整機構8により調製する被処理水流量調整工程と、被処理水流量調整工程により流量が調整された被処理水Wの流量を流量計9により測定する被処理水流量測定工程とをこの順に行っている。被処理水流量調整工程を備えることにより、液体供給ラインL3に供給された被処理水Wの圧力を調整することができるので、好適な圧力でもってガス溶解膜モジュール1でのガス溶解工程を行うことが可能となる。
オゾンガス溶解工程においては、ガス溶解膜モジュール1の気相室12に供給されたオゾン含有ガスGと液相室13に供給された被処理水Wとがガス溶解膜11を介して気液接触することによって、オゾン含有ガスGが被処理水Wに溶解し、オゾン溶解水WOが製造される。なお、本実施形態においては、ガス溶解膜11として、図1に示すような平膜状のものを使用しているが、これに制限されず、例えば中空糸膜状やスパイラル巻状等のものを使用することができる。
第一圧力測定工程においては、ガス溶解膜モジュール1の液相室13の出口圧力が第一圧力計2により測定される。なお、後述する圧力制御工程においては、第一圧力測定工程による測定値と第二圧力測定工程による測定値とに基づき、圧力制御機構5によって気相室12内の気体の圧力を制御することから、第一圧力測定工程は、得られた測定値をデータとして圧力制御機構5へ出力する第一伝送出力工程を有することが好ましい。第一圧力測定工程が第一伝送出力工程を有することにより、オゾン溶解水WOのユースポイントPでの使用状況に起因して液相室13の出口圧力に変動が生じた場合でも、圧力制御工程において、容易に追従制御することができる。
第二圧力測定工程においては、ガス溶解膜モジュール1の気相室12の出口圧力が第二圧力計3により測定される。なお、後述する圧力制御工程においては、第一圧力測定工程による測定値と第二圧力測定工程による測定値とに基づき、圧力制御機構5によって気相室12内の気体の圧力を制御することから、第二圧力測定工程は、得られた測定値をデータとし圧力制御機構5へ出力する第二伝送出力工程を有することが好ましい。第二圧力測定工程が第二伝送出力工程を有することにより、オゾン溶解水WOのユースポイントPでの使用状況に起因して液相室13の出口圧力に変動が生じた場合でも、圧力制御工程において、容易に追従制御することができる。
水分除去工程においては、第二圧力測定工程の後の余剰ガスGRに含まれる水分を水分除去機構4により除去する。水分除去工程は、水分除去機構4により、余剰ガスGRに含まれる水分を除去することができれば、その構成は特に制限されるものではないが、余剰ガスGRに含まれる水分の除去だけではなく、余剰ガスGRの無害化をも行うことができる点で、燃焼式や触媒燃焼式のガス分解手段を有する水分除去機構4により行うことが好ましい。
2O3 → 3O2 (1)
圧力制御工程は水分除去工程の後に行われる。圧力制御工程においては、第一圧力測定工程で得られた第一圧力計2の測定値と第二圧力測定工程で得られた第二圧力計3の測定値とに基づき、圧力制御機構5によって、気相室12内の気体の圧力を制御する。本実施形態において圧力制御工程は、第一圧力測定工程による伝送指示及び第二圧力測定工程による伝送指示を受けた圧力制御機構5が、余剰ガスGRの流量を制御することで、気相室12内の気体の圧力を制御している。
図1に示すオゾン溶解水の製造装置10を用いて、オゾン溶解水の製造を行った。条件は以下の通りである。
ガス溶解膜:GNH-01R(ジャパンゴアテックス社製)
オゾナイザ:GR-RB(住友精密工業社製)
水分除去機構:オゾン分解触媒 KMS-200(ワコーシステムコントロール社製)
圧力制御機構:MFC MC-3000L(リンテック社製)
圧力制御機構によって、気相室の出口圧力が液相室の出口圧力より0.02MPa低くなるように、余剰ガスの流量を制御するとともに、液相室の出口圧力に変動が生じた際には、その差分を追従制御した。
液相室の出口圧力、つまりオゾン溶解水の水圧は、オゾン溶解水のユースポイントでの使用状況、例えば洗浄装置における使用状況によって変動する。本実施例においては、ユースポイントに接続された複数の洗浄装置の使用タイミングが重なると、オゾン溶解水の水圧が0.2MPaから0.15MPa以下まで瞬間的に又はある一定時間に低下することがあった。そのため、比較例においては、安全策をとって気相室の出口圧力、つまり余剰ガスの圧力が0.12MPa程度となるように制御した。
実施例においては、ガス溶解膜モジュールの液相室内でバブリング現象が発生せず、30ppm程度の気泡を含まないオゾン溶解水を安定的に製造することができた。一方、比較例においては、実施例と比較して溶存オゾン濃度が平均して1~2ppm程度が低く、また、ユースポイントに接続された洗浄装置でオゾン溶解水の使用量が増加することによりオゾン溶解水の水圧が低下すると、ごく稀に瞬間的にオゾン溶解水中に気泡が生じることがあった。このように、比較例では、変則的にオゾン溶解水の水圧が0.12MPaより低下することがあったことから、余剰ガスの圧力を0.12MPaから更に下げる必要があった。
1 ガス溶解膜モジュール
11 ガス溶解膜
12 気相室
13 液相室
2 第一圧力計
3 第二圧力計
4 水分除去機構
5 圧力制御機構
6 ガス流量調整機構
7 オゾナイザ
8 被処理水流量調整機構
9 流量計
L1 気体供給ライン
L2 気体排出ライン
L3 液体供給ライン
L4 液体排出ライン
T1 第一伝送出力手段
T2 第二伝送出力手段
P ユースポイント
G オゾン含有ガス
GR 余剰ガス
W 被処理水
WO オゾン溶解水
Claims (4)
- ガス溶解膜により気相室と液相室とが区画形成されたガス溶解膜モジュールと、
前記気相室に連通し、オゾン含有ガスを供給可能な気体供給ラインと、
前記気相室に連通し、処理後の余剰ガスを排出可能な気体排出ラインと、
前記液相室に連通し、被処理水を供給可能な液体供給ラインと、
前記液相室に連通し、処理後のオゾン溶解水を排出可能な液体排出ラインと、
前記液体排出ラインに接続され、前記液相室の出口圧力を測定する第一圧力計と、
前記気体排出ラインに接続され、前記気相室の出口圧力を測定する第二圧力計と、
前記気体排出ラインの前記第二圧力計の下流側に設けられ、前記第一圧力計の測定値と前記第二圧力計の測定値とに基づき前記気相室内の気体の圧力を制御する圧力制御機構と、
前記気体排出ラインの前記圧力制御機構の上流側に設けられ、前記余剰ガスに含まれる水分を除去する水分除去機構とを備え、
前記水分除去機構が触媒燃焼式のガス分解手段を有し、
前記水分除去機構が前記第二圧力計の下流側に設けられる
オゾン溶解水の製造装置。 - 前記触媒燃焼式のガス分解手段は、前記余剰ガスを酸素ガスに分解する過程において生じる分解熱によって、前記余剰ガスに含まれる水分を消失させる請求項1に記載のオゾン溶解水の製造装置。
- ガス溶解膜により気相室と液相室とが区画形成されたガス溶解膜モジュールを備えるオゾン溶解水の製造装置を用いたオゾン溶解水の製造方法であって、
前記気相室にオゾン含有ガスを供給する気体供給工程と、
前記液相室に被処理水を供給する液体供給工程と、
前記ガス溶解膜を介して前記オゾン含有ガスを前記被処理水に溶解させるガス溶解工程と、
前記液相室の出口圧力を測定する第一圧力測定工程と、
前記気相室の出口圧力を測定する第二圧力測定工程と、
前記気相室から排出される余剰ガスに含まれる水分を除去する水分除去工程と、
前記第一圧力測定工程による測定値と前記第二圧力測定工程による測定値とに基づき前記気相室内の気体の圧力を制御する圧力制御工程とを備え、
前記水分除去工程が、触媒燃焼式のガス分解手段を有する水分除去機構により行われ、
前記水分除去工程の後に前記圧力制御工程を行う
オゾン溶解水の製造方法。 - 前記水分除去工程において、前記触媒燃焼式のガス分解手段は、前記余剰ガスを酸素ガスに分解する過程において生じる分解熱によって、前記余剰ガスに含まれる水分を消失させる請求項3に記載のオゾン溶解水の製造方法。
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