JP4850788B2 - トリハロメタン測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水中に含まれる低融点有機塩素化合物であるトリハロメタンの濃度を測定するトリハロメタン測定装置に関する。
トリハロメタン測定装置としては、特開平2−145961号公報や、特開平3−218461号公報、特開平4−158261号公報、特開平6−160370号公報などに記載されているように、蛍光分析法を用いて水中のトリハロメタンを精度良く連続分析する装置が開発され、実用化されている。これらの従来の装置の例を図4に示す。
図5に示すように、この装置では、先ず、送液ポンプ13を用いて、支管11から供給されるトリハロメタンを含む試料水と、支管12から供給される酸性還元剤溶液とを混合して試料溶液とし、主管14を介してこれを分離溶解部30の試料溶液流路33に送る。また、送液ポンプ63を用いて、支管61から供給されるトリハロメタン用蛍光分析試薬と、支管62から供給される水酸化ナトリウムとを混合してキャリア液とし、主管65を介してこれを分離溶解部30のキャリア液流路34に送る。
分離溶解部30では、試料溶液流路33を流れる試料溶液を、ヒータ35で約70℃に加熱し、試料溶液中からトリハロメタンガスを分離除去する。このトリハロメタンガスは、試料溶液流路33からガス分離用微孔性平膜31およびガス分離用微孔性チューブ32の各微孔を通過して、キャリア液流路34を流れるキャリア液に溶解する。
次に、このトリハロメタンが溶解したキャリア液を反応部40に導入し、約90℃まで加温することで、キャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬が反応して蛍光物質が生成する。この蛍光物質を含むキャリア液を検出部50に導入し、キャリア液中の蛍光物質の蛍光強度を測定することで、トリハロメタンの定量を行う。
特開平4−158261号公報 特開平6−160370号公報
このような蛍光分析法を用いたトリハロメタン測定装置では、以下の二つの課題がある。先ず、第一番目の課題として、配管61から供給されるトリハロメタン用蛍光分析試薬と、配管62から供給される水酸化ナトリウムとを混合したキャリア液が、配管60を介して分離溶解部30のキャリア液流路34に供給されるが、これら2液の粘度は極端に異なることから、混合が不十分であるという問題がある。
蛍光分析試薬用および水酸化ナトリウム用の支管61、62は、通常、内直径が1mmと細く、0.75ml/分の低流量で液体を連続的に流すために、2液ともに層流域である。一般に層流域での液体が混合するには両者の拡散によるため、短時間での混合は難しい。従って、蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムが送液ポンプ63直後で合流するが、混合は不十分な状態である。このようにキャリア液の混合が不十分な状態で、分離溶解部30のキャリア液流路34においてトリハロメタンガスが溶解した場合、特にトリハロメタンの定量下限に近い低濃度域で、トリハロメタンと蛍光分析試薬との反応が不十分となり、蛍光強度の測定値に大きなばらつきがでるという問題がある。トリハロメタン濃度が5μg/lの試料水を、図5に示す構成の測定装置で測定した際の検出器50のセンサ出力結果を図6に示す。
この問題の対策として、層流でも攪拌混合できるコイルタイプやTタイプのインラインミキサーが市販されているが、高価である上に、装置サイズが大きい等の問題の他、本装置で扱う試薬および溶媒の液量が一回の測定で数十ml程度と非常に少ないことや、流速が1.6cm/秒と遅いことなどから、図5のように市販のインラインミキサー64を用いても、攪拌混合が不充分であるという問題がある。
第二番目の課題として、キャリア液と、トリハロメタンガスとの接触時間、反応時間が長いほうが(すなわち、分離溶解部30におけるキャリア液の流速が遅い方が)、検出部50のセンサの感度が上昇するという新たな知見が得られた。しかしながら、送液ポンプ63の流量を下げてキャリア液の流速を現行より更に下げてしまうと、蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムの混合が一層不十分になる他、図5に示すように、1台の送液ポンプ63によって、蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムの分離溶解部30への供給からキャリア液の検出部50への送液まで行っているため、一回当たりの測定時間が長くなるという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、トリハロメタン用蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムとを十分に混合することができ、且つ測定時間を長くすることなく、検出部のセンサ出力のばらつき及び感度を向上することができるトリハロメタン測定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るトリハロメタン測定装置は、トリハロメタンを含む試料水と酸性還元剤溶液とを混合した試料溶液を送り出す試料送液部と、トリハロメタン用蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムとを混合したキャリア液を送り出すキャリア液送液部と、前記試料溶液と前記キャリア液が供給され、前記試料溶液中のトリハロメタンを前記キャリア液中に溶解移行させる分離溶解部と、前記トリハロメタンが溶解移行したキャリア液が供給され、このキャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬とから蛍光物質を生成する反応部と、前記蛍光物質を含むキャリア液が供給され、このキャリア液中の蛍光物質の蛍光強度を測定することで、トリハロメタンを定量する検出部とを備えたトリハロメタン測定装置であって、前記キャリア液送液部が、前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムとが導入される混合タンクと、前記混合タンク内を負圧にすることで、前記混合タンク内に前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムを導入するエアポンプと、前記混合タンク内に導入された前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムとに空気を吹き込んで撹拌混合して前記キャリア液とする空気吹込み用配管と、前記混合タンク内のキャリア液を前記分離溶解部に送り出す送液ポンプとを備えたことを特徴とする。
このように、エアポンプによって蛍光分析用試薬と水酸化ナトリウムを混合タンク内に一時的に貯留するとともに、空気吹込み用配管から空気を吹込むことで、粘度が極端に異なる蛍光分析用試薬と水酸化ナトリウムをインラインで十分に撹拌混合することができる。よって、試料水中のトリハロメタンが低濃度であっても、反応部におけるトリハロメタンと蛍光分析用試薬との反応効率が向上することから、検出部における蛍光強度のセンサ出力のばらつきを低減することができる。
また、送液ポンプの流量を下げてキャリア液の流速を下げることで、トリハロメタンガスとキャリア液との接触時間、反応時間が長くなることから、検出部における蛍光強度のセンサ出力の感度を向上させることができる。その際、キャリア液の流速低下により、キャリア液が分離溶解部から検出部まで移動する時間は長くなる。しかしながら、混合撹拌および流速低下により反応効率が向上することから、反応が飽和するまでの時間は短くなる。これにより、流速低下分の時間増加が相殺され、測定時間が長くなるのを回避することができる。
前記キャリア液送液部は、前記混合タンク内の圧力を測定する圧力計と、前記圧力計で測定した圧力値に基づいて、前記エアポンプの運転を制御する制御手段とを更に備えることが好ましい。このように、圧力計で測定する値に基づいて、エアポンプの運転を制御することで、混合タンク内の圧力を、蛍光分析試薬および水酸化ナトリウムを短時間で混合タンク内に汲み上げることができる所定の負圧の範囲内にすることができる。
このように本発明によれば、トリハロメタン用蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムとを十分に混合することができ、且つ測定時間を長くすることなく、検出部のセンサ出力のばらつき及び感度を向上することができるトリハロメタン測定装置を提供できる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るトリハロメタン測定装置の一実施の形態について説明する。図1は、本発明に係るトリハロメタン測定装置の一実施の形態を示す模式図である。
図1に示すように、本実施の形態のトリハロメタン測定装置は、トリハロメタンを含む試料水と酸性還元剤溶液とを混合した試料溶液を送り出す試料送液部10と、トリハロメタン用蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムとを混合したキャリア液を送り出すキャリア液送液部20と、試料溶液中のトリハロメタンをキャリア液中に溶解移行させる分離溶解部30と、このトリハロメタンが溶解移行したキャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬とから蛍光物質を生成する反応部40と、この蛍光物質を含むキャリア液の蛍光強度を測定することで、トリハロメタンを定量する検出部50とから主に構成されている。
試料送液部10には、分離溶解部30の試料溶液流路33に接続する試料溶液用の主管14と、この主管に接続する2本の支管、すなわちトリハロメタンを含む試料水用の支管11と、酸性還元剤溶液用の支管12とが配設されている。2本の支管11、12には、液体を主管側に送り出すための送液ポンプ13が設置されている。また、2本の支管11、12には、それぞれ開閉用電磁弁が設置されている。
キャリア液送液部20には、トリハロメタン用蛍光分析試薬用の支管21と、水酸化ナトリウム用の支管22と、これら支管が接続された密閉型の混合タンク23が設けられている。この混合タンク23には、混合タンク23内を負圧にするためのエアポンプ25と、混合タンク23内の圧力を測定するための圧力計16とが設置された配管24が配設されている。また、混合タンク23の側面下部と分離溶解部30のキャリア液流路34との間には、これらを結ぶキャリア液用の主管26が配設されている。この主管26には、液体を分離溶解部側に送り出すための送液ポンプ29が設置されている。
さらに、混合タンク23には、混合タンク23内を大気開放するための配管27と、混合タンク23内の底部から空気を吹き出すように構成された空気吹込み用の配管28とが配設されている。これら配管27、28並びに上記の支管21、22には、それぞれ開閉用電磁弁が設置されている。
分離溶解部30は円筒形状を有しており、その内部には、その軸方向と平行なガス透過性チューブ32が設けられている。また、分離溶解部30の軸方向内壁とガス透過性チューブ32との間には、これらと平行にガス透過性平膜31が設けられている。分離溶解部30内壁とガス透過性平膜31とで閉空間を構成しており、この空間が試料溶液流路33となる。また、ガス透過性チューブ32の内側空間がキャリア液流路34となる。残りの空間、すなわち、ガス透過性チューブ32と、ガス透過性平膜31および分離溶解部30内壁との間の空間は、気相空間である。
分離溶解部30には、試料溶液流路33を流れる試料溶液中のトリハロメタンが揮発する温度に加熱するためのヒータ35が設けられている。また、分離溶解部30の気相空間には、気相空間内に洗浄用空気を供給するための洗浄用空気配管36と、洗浄後の空気を排出するための排気用配管38とが設けられている。この洗浄用空気配管36には、空気を送り込むためのエアポンプ37と、開閉用電磁弁とが設置されている。分離溶解部30の試料溶液流路33には、トリハロメタンが分離除去された試料溶液を排出するための排液用配管39が設けられている。
分離溶解部30のキャリア液流路34と反応部40との間は、これらを結ぶキャリア液用の配管41が配設されている。反応部40には、キャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬が反応して蛍光物質を生成する温度に加熱する手段(図示省略)が設けられている。例えば、沸騰水でキャリア液用の配管を加熱する。
反応部40と検出部50との間は、これらを結ぶキャリア液用の配管51が配設されている。検出部50には、キャリア液中の蛍光物質の蛍光強度を測定し、その測定値と予め設定してある検量線とから、試料水中のトリハロメタンの濃度を演算する手段(図示省略)が設けられている。検出部50には、測定後のキャリア液を排出する配管52が設けられており、この配管52は、分離溶解部30の排液用配管39と合流した後、廃液処理設備(図示省略)へとつながっている。
以上の構成によれば、先ず、蛍光分析用試薬用の支管21、水酸化ナトリウム用の支管22、大気開放用の配管27、空気吹込み用の配管28の各電磁弁を閉じた状態で、且つ送液ポンプ29が停止した状態で、エアポンプ25の運転を開始する。これにより混合タンク23内の圧力が低下する。圧力は圧力計16で測定する。混合タンク23内の圧力が所定の負圧に達したら、蛍光分析用試薬用の支管21および水酸化ナトリウム用の支管22の両電磁弁を開く。これにより支管21、22から蛍光分析用試薬および水酸化ナトリウムが混合タンク23内へと汲み上げられる。
なお、蛍光分析用試薬としては、ニコチン酸アミド溶液を用いることが好ましく、その濃度は30〜40%が好ましい。水酸化ナトリウムとしては、水酸化ナトリウム溶液を用いることが好ましく、その濃度は0.2〜0.4Mが好ましい。これら2液の混合比は、例えば50:50とすることが好ましい。
混合タンク23内に所定の量の蛍光分析用試薬および水酸化ナトリウムを汲み上げたら、支管21、22の電磁弁を閉じ、エアポンプ25を停止する。混合タンク23内に汲み上げる蛍光分析用試薬および水酸化ナトリウムの量は、一回の測定で使用する量であり、合計で例えば40mlにすることが好ましい。また、混合タンク23内の圧力は、汲み上げに要する時間が1分以内、例えば10秒程度と短時間になるような範囲が好ましく、例えば、5〜10kPaの範囲にすることが好ましい。なお、混合タンク23内の圧力が所定の範囲内になるように、圧力計16で測定した値に基づいて、シーケンサ等の制御手段(図示省略)によりエアポンプ25の運転および停止を行うことができる。
混合タンク23内への蛍光分析用試薬および水酸化ナトリウムの汲み上げが終了したら、空気吹込み用配管28の電磁弁を開き、蛍光分析用試薬および水酸化ナトリウム中に空気を吹き込む。これにより蛍光分析用試薬と水酸化ナトリウムは、十分に撹拌混合されて、キャリア液となる。
次に、空気吹込み用配管28の電磁弁を閉じ、大気開放用の配管27を開き、送液ポンプ29の運転を開始することで、混合タンク23内のキャリア液の全量を、キャリア液用の主管26を介して分離溶解部30のキャリア液流路34に送液する。キャリア液の送液が終了し、混合タンク23内が空になったら、大気開放用の配管27の電磁弁を閉じ、送液ポンプ29を停止する。そして、次の測定に備えて、再びエアポンプ25の運転開始から始まる上述した一連の操作を行い、混合タンク23内に十分に混合されたキャリア液を一時的に貯留しておく。なお、支管21、22の電磁弁、空気吹込み用配管28の電磁弁、大気開放用の配管27の電磁弁の各開閉についても、前記制御手段によって制御することができる。
送液ポンプ29の運転開始とともに、試料水および酸性還元剤溶液用の支管11、12の電磁弁を開き、送液ポンプ13の運転を開始する。これにより、支管11、12から供給される試料水と酸性還元剤溶液を主管14で混合して試料溶液とし、分離溶解部30の試料溶液流路33に供給する。なお、酸性還元剤溶液としては、硫酸ヒドラジン溶液が好ましく、その濃度は例えば1%程度でよい。また、試料水の流量を例えば4ml/分とし、酸性還元剤溶液の流量を例えば0.5ml/分とすることで、試料水と酸性還元剤溶液の混合比を89:11の容量比にすることができる。
そして、分離溶解部30の試料溶液流路33に供給した試料溶液をヒータ35で例えば70℃に加熱することで、試料溶液中のトリハロメタンはガス状となり、ガス分離用微孔性平膜31の孔を通過して、試料溶液流路33の試料溶液から分離する。このトリハロメタンガスは、さらにガス分離用微孔性チューブ32の孔を通過して、キャリア液流路34を流れるキャリア液に溶解する。
このトリハロメタンが溶解したキャリア液を反応部40に導入し、約90℃まで加温することで、キャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬が反応して蛍光物質が生成する(蛍光分析試薬がニコチン酸アミドの場合、藤原反応が起こる)。この蛍光物質を含むキャリア液を検出部50に導入し、キャリア液中の蛍光物質の蛍光強度を測定し、この測定値とあらかじめ標準液から求めておいた検量線から、試料水中のトリハロメタンの濃度を求めることができる。
検出部50で蛍光強度を測定した後のキャリア液は、排液用配管52から排出する。分離溶解部30の試料溶液流路33でトリハロメタンを分離除去した試料溶液は、排液用配管39から排出する。また、測定終了にあたり、洗浄用空気配管36の電磁弁を開き、エアポンプ37を運転することで、分離溶解部30の気相空間内に空気を導入し、排気用配管38から排出することで、残留するトリハロメタンガスをパージし、分離溶解部30の気相空間内を洗浄することができる。
このように、蛍光分析用試薬と水酸化ナトリウムを混合タンク32内に一時的に貯留し、空気の吹込みによりインラインで撹拌混合することで、粘度が極端に異なっても十分に混ざり合うことから、試料水中のトリハロメタンが低濃度であっても、反応部40におけるトリハロメタンと蛍光分析用試薬との反応効率が向上し、したがって、検出部50における蛍光強度のセンサ出力のばらつきが低減するとともに、信号対雑音比(S/N)が向上する。
図2に、トリハロメタン濃度が5μg/lの試料水を、図1に示す構成の測定装置で測定した際の検出器50のセンサ出力結果を示す。空気吹込みによる撹拌混合を行わなかった図6と比べ、センサ出力のばらつきが大幅に低減され、S/Nも向上していることがわかる。
また、送液ポンプ29の流量を大幅に下げて、分離溶解部30、反応部40、検出部50と流れるキャリア液の流速を下げることで、反応部40におけるトリハロメタンと蛍光分析用試薬との反応効率が向上し、したがって、検出部50における蛍光強度のセンサ出力の感度を大幅に向上させることができる。
図3に、キャリア液の流速が現行(1.6cm/秒)で空気による撹拌混合をしなかった場合と、流速がその1/3で空気による撹拌混合をした場合とで、試料水中のトリハロメタン濃度と蛍光強度のセンサ出力との関係を示す。図3に示すように、流速を現行の3分の1にすれば、感度が現行の2倍以上に向上することが期待できる。
なお、キャリア液の流速を下げると、キャリア液が分離溶解部30から検出部50まで移動する時間は長くなるが、トリハロメタンと蛍光分析用試薬の反応効率が上昇していることから、反応が飽和するまでの時間は短くなる。よって、キャリア液の流速を現行より下げても、測定時間が長くなるのを回避することができる。
図4に、キャリア液の流速を現行(1.6cm/秒)の1/3に下げた場合の測定開始から測定終了までにおける蛍光強度のセンサ出力の変化を示す。なお、比較のため、現行のセンサ出力の変化を破線で示す。図4に示すように、試料溶液とキャリア液の供給を開始するA点から、キャリア液が検出部に到達してセンサ出力が上昇を始めるB点まで、現行の約3分の3倍の時間がかかる。しかしながら、反応効率が向上するため、B点から、反応が飽和してセンサ出力が安定するC点までの時間は、現行の約30分から約20分に短縮できる。なお、C点から、エアポンプによりトリハロメタンガスのパージを開始するD点までの時間は、現行と同様に約15分かかる。また、D点から、パージが完了した際のキャリア液が検出部に到達してセンサ出力が完全に下がるE点まで、現行の約3分の3倍の時間がかかる。よって、測定開始のA点から測定終了のF点までの一回当たりの測定時間は、流速を現行の1/3にしても、現行の流速と同様に、約60分(マージン含む)に維持することができる。
本発明に係るトリハロメタン測定装置の一実施形態を示す模式図である。 図1に示す構成での検出部のセンサ出力の結果を示すグラフである。 キャリア液の流速が現行の場合と1/3に下げた場合のトリハロメタン濃度とセンサ出力との関係を示すグラフである。 キャリア液の流速を現行の1/3に下げた場合の測定時間に対するセンサ出力の変化を示すグラフである。 従来のトリハロメタン測定装置の一例を示す模式図である。 図5に示す構成での検出部のセンサ出力の結果を示すグラフである。
符号の説明
10 試料送液部
11 試料水用の支管
12 酸性還元剤溶液用の支管
13、29 送液ポンプ
16 圧力計
20 キャリア液送液部
21 蛍光分析試薬用の支管
22 水酸化ナトリウム用の支管
23 混合タンク
25、37 エアポンプ
27 大気開放用の配管
28 空気吹込み用の配管
30 分離溶解部
31 ガス透過性平膜
32 ガス透過性チューブ
33 試料溶液流路
34 キャリア液流路
35 ヒータ
36 洗浄用空気配管
38 排気用配管
39、52 排液用配管
40 反応部
50 検出部

Claims (2)

  1. トリハロメタンを含む試料水と酸性還元剤溶液とを混合した試料溶液を送り出す試料送液部と、
    トリハロメタン用蛍光分析試薬と水酸化ナトリウムとを混合したキャリア液を送り出すキャリア液送液部と、
    前記試料溶液と前記キャリア液が供給され、前記試料溶液中のトリハロメタンを前記キャリア液中に溶解移行させる分離溶解部と、
    前記トリハロメタンが溶解移行したキャリア液が供給され、このキャリア液中のトリハロメタンと蛍光分析試薬とから蛍光物質を生成する反応部と、
    前記蛍光物質を含むキャリア液が供給され、このキャリア液中の蛍光物質の蛍光強度を測定することで、トリハロメタンを定量する検出部と
    を備えたトリハロメタン測定装置であって、
    前記キャリア液送液部が、
    前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムとが導入される混合タンクと、
    前記混合タンク内を負圧にすることで、前記混合タンク内に前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムを導入するエアポンプと、
    前記混合タンク内に導入された前記蛍光分析試薬と前記水酸化ナトリウムとに空気を吹き込んで撹拌混合して前記キャリア液とする空気吹込み用配管と、
    前記混合タンク内のキャリア液を前記分離溶解部に送り出す送液ポンプと
    を備えたものであるトリハロメタン測定装置。
  2. 前記キャリア液送液部が、前記混合タンク内の圧力を測定する圧力計と、前記圧力計で測定した圧力値に基づいて、前記エアポンプの運転を制御する制御手段とを更に備えたものである請求項1に記載のトリハロメタン測定装置。
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