JP4078223B2 - 全窒素測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体試料中の全窒素の定量分析に用いられる全窒素分析方法に関し、特に、例えば海水等の液体試料中の全窒素の定量分析に適した全窒素分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
「紫外線吸収を利用した下水処理水中の亜硝酸と硝酸性窒素の簡易な同時測定」(日本水処理技術研究会発行 「水処理技術」 Vol.35 No.7 1994 p.355〜362)
JIS K 0102に規定される全窒素測定法のうち、45.2の紫外吸光光度法は、最も簡便な方法であり多くの自動測定装置に採用されている。この紫外吸光光度法の内容は、以下の通りである。
【0003】
試料にペルオキソ二硫酸カリウムのアルカリ性溶液を加え、約120℃に加熱して窒素化合物を硝酸イオンに変えるとともに有機物を分解する。この溶液のpHを2〜3とした後、硝酸イオンによる波長220nmの吸光度を測定して定量するのである。この方法は、試料中の有機物が分解されやすく、少量であり、また、試験に影響する量の臭化物イオン、クロムなどを含まない場合に適用する。
【0004】
ところで、前記紫外吸光光度法において、試料を約120℃に加熱して窒素化合物を硝酸イオンに変えるというステップは、オートクレーブ内に試料を投入することで行うことができるが、前記オートクレーブは、高い耐熱性、耐圧性、耐薬品性等を有することが不可欠であって、その製造にはセラミックスや特殊金属合金材等の特殊な材料が必要であることから、高価で、また、寿命も短く、さらに、その取り扱いに危険が伴うという難点があった。
【0005】
そこで、上記のステップを、紫外線照射を用いた酸化分解法により試料中の窒素化合物を硝酸イオンに変えるというステップに置換し、前記オートクレーブを不要とした自動測定装置が製作されている。この紫外線酸化分解法を採用した自動測定装置を使用するには、この装置を用いて行った測定の結果と、JIS法に則って行った測定の結果との間に良い相関関係が得られるという条件が満たされていなければならない。一般には、例えば、フィールド試験において試料液(排水)を測定した場合、両者の結果の差異が10%以内であれば、前記自動測定装置を排水の全窒素自動監視計器として使用することを推奨できる。
【0006】
前記紫外線酸化分解法を採用した自動測定装置は、オートクレーブ等の高温加熱器が必要なく、取り扱いが安全である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記紫外線酸化分解法を採用した自動測定装置を用いて種々の試料液について測定を繰り返した結果、試料液によってはその再現性などが不十分となることがあった。このような現象が生じる原因についてはまだ明らかではないが、海水などやハロゲン化物の塩分を多く含む溶液を試料液としたときに上記のような現象の発生が顕著となる傾向があることから、本発明者らは上記現象の原因を以下のように考えた。
【0008】
すなわち、前記自動測定装置では、紫外線照射を行うステップの後、ペルオキソ二硫酸カリウムの分解により生じた活性酸素のはたらきによって、全窒素化合物、溶解性有機化合物、塩素イオン等が酸化される。そして、このとき、着目物質である全窒素成分は硝酸イオン(NO 3 - )に酸化され、同時に、例えば、海水を試料液としてあれば、海水に含まれる多量の塩素イオン(Cl - )の一部が酸化されて次亜塩素酸イオン(ClO - )が生成されることとなる。この場合、臭素イオン(Br - )が含まれると、前記次亜塩素酸イオンのほか次亜臭素酸イオン等が同時に生成し、前記活性酸素が消費される。また、水分子が分解してOHラジカルを生成し再結合により過酸化水素が生成し易くなる。そのため、全窒素成分の硝酸イオンへの酸化反応が不十分となり、一部亜硝酸イオン(NO 2 - )が発生することとなる。
【0009】
そして、窒素化合物の一部が亜硝酸イオンとなった状態では、波長220nmの吸光度を測定しても、亜硝酸イオンの220nmの波長の吸光度は硝酸イオンの吸光度の約1/2以下であり、得られる測定値が、試料内に実際に存在する窒素化合物の量(濃度)に対応する値より小さくなるため、窒素化合物の定量を正確に行えないこととなる。
【0010】
一方、試料中に含まれる硝酸性窒素(硝酸イオン)および亜硝酸性窒素(亜硝酸イオン)の合量を測定する従来技術として、スペクトル分離法を利用する方法が提案されている(前記非特許文献1参照)。前記スペクトル分離法は、試料の構成成分が既知であり、予め各構成成分の純物質の吸収スペクトルが得られる場合にそれらを用いて試料の吸収スペクトルを各構成成分のスペクトルに分離しようとするものである。
【0011】
そして、前記スペクトル分離法を利用する方法の概容は、以下の通りである。すなわち、試料中の成分を、目的成分(測定対象)としての硝酸性窒素および亜硝酸性窒素と、その他の成分とに分け、その他の成分をunknown成分として一括して取り扱う。そして、unknown成分を一律的に3次の多項式で近似させた上で、紫外部吸収スペクトルの多波長データを利用して硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の濃度計算を行うのである。
【0012】
しかし、上記の方法では、前記unknown成分の中に、測定波長域に吸収帯を持っている臭素イオンなどが入っていると大きな誤差が生じることとなる。なお、予め臭素イオンの存在が明らかな場合には、前記多項式に臭素イオンによる吸収項を新たに加えることで臭素イオンによる測定への妨害を取り除くことができるとの考えも示されているが、試料の構成成分が特定できず、前記臭素イオンの存在が不明である場合には、上記の方法の適用が困難となるという問題がある。
【0013】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、試料液の種類にかかわらず、再現性などの向上を図り、正確な測定を行うことが可能な全窒素測定方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の全窒素測定方法は、試料に酸化剤のアルカリ性溶液を加えるステップと、この試料に紫外線を照射するステップと、前記試料を酸性とするステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとをこの順に有する全窒素測定方法であって、試料を酸性とするステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとの間に、試料に対して再度紫外線を照射するステップを設けている(請求項1)。
【0015】
また、試料に対して再度紫外線を照射する前記ステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとの間に、試料をエアーバブリングするステップを設けたとしてもよい(請求項2)。
【0016】
【0017】
【0018】
上記の構成により、試料液の種類にかかわらず、再現性などの向上を図り、正確な測定を行うことが可能な全窒素測定方法を提供することが可能となる。
【0019】
すなわち、従来の全窒素測定方法では、海水など塩分を含む試料の全窒素測定を行おうとしても、次亜ハロゲン化物による過酸化水素の生成で、試料中の窒素化合物の一部が硝酸イオンにならず亜硝酸イオンとなっていたことから正確な測定が不可能であったが、本発明の全窒素測定方法および装置では、前記吸光度測定を行う前に試料に対して再度紫外線を照射することにより、窒素化合物の硝酸イオン及び亜硝酸イオンが存在する状態で酸化され易い亜硝酸イオンのみを硝酸イオンに変換することができ、窒素化合物を完全かつ確実に硝酸イオンへと変換するようにしてあることから、再現性、直線性が確保される精度の高い測定を行うことができる。
【0020】
また、上記のように試料に対して再度紫外線照射を行った後、エアーバブリングを行えば、試料中に存在する吸光度測定の妨害となるハロゲンガス(Cl 2 及びBr 2 )を排除することができるため、非常に正確な全窒素測定を実施することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例に係る全窒素測定方法を実施するための全窒素測定装置Dの構成を概略的に示す説明図である。
前記全窒素測定装置Dは、例えば、試料中の全窒素を自動で測定する全窒素自動測定装置であり、試料取入口1と、この試料取入口1からの試料を計量するための試料計量部2と、この試料計量部2にて計量された試料Sを希釈するための手段としての希釈槽3と、混合槽4と、紫外線酸化分解器5と、この紫外線酸化分解器5を経た後の試料を計量するための計量管6と、測定セル7と、排出口8と、ブランク水取入口9と、このブランク水取入口9からのブランク水を収容し、ブランク水を前記希釈槽3へと供給するためのブランク水タンク10と、前記計量管6に塩酸溶液(あるいは硫酸溶液でもよい)を供給するための溶液タンク11と、前記混合槽4に酸化剤のアルカリ性溶液を供給するためのタンク(水酸化ナトリウム水溶液タンク12およびペルオキソ二硫酸カリウム水溶液タンク13)とを備えている。
【0022】
前記試料取入口1と試料計量部2との間には、送液手段としてのポンプPが接続されている。
【0023】
前記希釈槽3は、前記試料をブランク水によって所定倍に希釈するためのものであり、希釈槽3において希釈された試料は、前記混合槽4へと送られる。なお、前記試料の濃度が十分低い場合には、希釈槽3における試料の希釈は行われず、前記試料取入口1からの試料はそのまま前記混合槽4へと送られることになる。
【0024】
前記紫外線酸化分解器5は、紫外線ランプ51と、前記混合槽4からの試料を収容する分解槽52と、この分解槽52内を加熱するための加熱手段(ヒータ)53とを有している。
【0025】
前記紫外線ランプ51は、例えば、所定の波長を有する紫外線(例えば、185nmの波長を有する紫外線および/または254nmの波長を有する紫外線)を照射するための冷陰極型低圧水銀ランプからなる。なお、前記紫外線ランプ51は冷陰極型低圧水銀ランプに限るものではなく、例えば、熱陰極型の低圧水銀ランプなど他のランプであってもよい。
【0026】
前記測定セル7は、光源71と、セル本体72と、検出器73とを有している。
【0027】
前記光源71は、例えば、パルス点灯型のキセノンランプからなり、この光源71とセル本体72との間には、干渉フィルタ(図示せず)が配置され、光源71からの光が所定の波長を有する紫外線(例えば、波長220nmまたはその前後の波長の紫外線)となってセル本体72に照射されるように構成されている。
【0028】
前記ブランク水タンク10の下流側には、送液手段としてのポンプPが接続されており、さらに、その下流側には、三方電磁弁15を介して2つの流路が接続されている。そして、三方電磁弁15の下流側に接続される一方の流路は前記希釈槽3に接続されており、他方の流路は前記混合槽4に接続されている。
【0029】
混合槽4に供給される酸化剤としては、前記ペルオキソ二硫酸カリウム水溶液の他に、例えば、過酸化水素(H 2 O 2 ),オゾン(O 3 )などがある。
【0030】
次に、上記の構成からなる全窒素測定装置Dを用いて行う全窒素測定方法について説明する。
前記全窒素測定方法は、試料に酸化剤(本実施例ではペルオキソ二硫酸カリウム)のアルカリ性溶液を加える第1ステップと、エアーバブリングによりこの試料を攪拌する第2ステップと、前記試料に紫外線を照射する第3ステップと、前記試料を酸性とする(pHを2〜3またはその前後とする)第4ステップと、前記試料に対して再度紫外線を照射する第5ステップと、エアーバブリングによりこの試料を攪拌する第6ステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量する第7ステップとをこの順に有しており、以下のようにして行われる。
【0031】
まず、前記試料取入口1からの試料は、試料計量部2において計量され、所定量の試料が希釈槽3に送られる。
【0032】
ここで、前記試料を希釈する必要がある場合には、前記ブランク水タンク10からのブランク水が希釈槽3へと送られる。なお、試料が十分低い濃度である場合には、ブランク水の希釈槽3への供給は行われない。
【0033】
そして、希釈槽3内の試料は、前記混合槽4へと送られる。この混合槽4では、前記試料と、酸化剤のアルカリ性溶液(前記水酸化ナトリウム水溶液タンク12およびペルオキソ二硫酸カリウム水溶液タンク13からの水酸化ナトリウム水溶液およびペルオキソ二硫酸カリウム水溶液)とが混合される。これにより、前記第1ステップが完了する。
【0034】
その後、前記混合槽4内において、エアーバブリングにより前記試料が攪拌されることとなる。これにより、前記第2ステップが完了する。なお、前記エアーバブリングは、例えば、前記混合槽4に空気導入管(図示せず)を接続し、この空気導入管から圧縮空気を混合槽4内に導入することによって行うことができる。
【0035】
続いて、前記混合槽4内にて混合された試料は、前記加熱手段53によって60℃に保たれた分解槽52内に収容され、分解槽52内に収容された試料に対して前記紫外線ランプ51から紫外線が所定時間(例えば、30分程度)照射される。そして、この紫外線照射により試料中の窒素化合物が硝酸イオンに変換されることとなる。これにより、前記第3ステップが完了する。
【0036】
その後、前記試料は、計量管6へと送られて一定量計量され、そこに前記溶液タンク11からの塩酸溶液が注入されて、試料のpHを2〜3とする調整がなされる。以上で、前記第4ステップが完了する。
【0037】
次に、前記計量管6へと送られた試料を、切替え弁14のラインを切替えることで、再び分解槽52に戻し、試料に対して紫外線ランプ51から再度紫外線を数分(例えば、1〜10分程度)照射する。これにより、前記第5ステップが完了する。
【0038】
前記第5ステップの後、前記試料は前記混合槽4へと戻され、この混合槽4内において、エアーバブリングにより再び前記試料が攪拌されることとなる。これにより、前記第6ステップが完了する。
【0039】
前記第6ステップが完了した後、前記試料は測定セル7内へと送られ、この測定セル7において、波長220nmの紫外吸光度の測定が行われる。そして、図示していない演算処理部において、前記吸光度に基づいて所定の処理が行われ、試料に含まれる全窒素の濃度が得られるのである。この場合、ダーク補正や海水中の干渉成分影響に相当するゼロ点補正などを併せて行うことにより、より精度の高い結果を得ることができる。以上で、前記第7ステップが完了する。
【0040】
上記の構成からなる全窒素測定方法によれば、試料液の種類にかかわらず、再現性などの向上を図り、正確な測定を行うことが可能となる。
【0041】
すなわち、上記第2ステップにおいて紫外線照射を行った後、ペルオキソ二硫酸カリウムの分解により生じた活性酸素のはたらきによって、全窒素化合物、溶解性有機化合物、塩素イオン等が酸化される。そして、このとき、着目物質である全窒素成分は硝酸イオンに酸化され、同時に、例えば、海水を前記試料としてあれば、海水に含まれる多量の塩素イオン(Cl - )の一部、臭素イオン(Br - )が酸化されて次亜塩素酸イオン(ClO - )および次亜臭素酸イオン(BrO - )が生成されることとなる。この場合、前記次亜塩素酸イオンほか酸化物イオンの生成に前記活性酸素が消費される。これらのハロゲン化酸化物により生成した過酸化水素の作用のため、全窒素成分の硝酸イオンへの酸化反応が不十分となり、一部亜硝酸イオンが発生し、試料内は、以下の式(1)で示される化学平衡反応が成立する状態となる。
ここで、R X は還元物質、O X は酸化物質(この場合、酸素分子O 2 )である。ClO - やBrO - により水分子が酸化され生成した過酸化水素H 2 O 2 が還元物質として作用することが考えられる。
【0042】
そして、窒素化合物の一部が亜硝酸イオンとなった状態では、波長220nmの吸光度を測定しても、亜硝酸イオンの220nmの波長の吸光度は硝酸イオンの吸光度の約1/2以下であり、得られる測定値が、試料内に実際に存在する窒素化合物の量(濃度)に対応する値より小さくなるため、窒素化合物の定量を正確に行えないこととなる。
【0043】
そこで、本実施例では、上記のような現象を生じさせる原因が、塩素や臭素などのハロゲンの共存により生成した過酸化水素によるものと考え、干渉影響となるハロゲンガスを試料から排除するよう構成してある。
【0044】
詳しくは、前記試料が、ハロゲンとして塩素および臭素を含有した海水である場合、初期の(第3ステップに至る前までの)試料の内部においては、塩素、臭素はそれぞれ塩素イオン(Cl - )、臭素イオン(Br - )として存在している。そして、第3ステップにおける試料に対する紫外線の照射により、Cl - 、Br - はそれぞれNaClO、NaBrOとなる。続いて、前記第4ステップにおいて塩酸溶液(HCl)が試料に加えられることにより、NaClO、NaBrOはそれぞれ、HClO、HBrOとなる。
【0045】
その後、前記第5ステップにおいて、試料に対して再び紫外線照射を行うことにより、試料中のHClO、HBrOがそれぞれCl 2 、Br 2 となるのであり、試料中のCl 2 、Br 2 は、塩酸酸性下において第6ステップのエアーバブリングによって揮散し、試料内から排除されることとなる。
【0046】
上述のように、前記全窒素測定方法では、pHが2〜3となるように調整された状態の試料に対して再度紫外線を照射する第5ステップを設けて、試料中における硝酸イオンの吸光度測定に対するハロゲンの影響を排するようにしてあるので、酸性(pH2〜3)であることおよび紫外線の2つの作用により、亜硝酸イオンを硝酸イオンへと完全にかつ確実に変換(酸化)させることができるのである。
【0047】
また、前記Cl 2 、Br 2 などのハロゲンは、波長220nmの光を若干吸収するが、前記第6ステップにおいてハロゲン(Cl 2 、Br 2 )を揮散させるようにしてあることから、第7ステップにおいて得られる波長220nmの紫外吸光度は、硝酸イオン濃度に対応した正確なものとなり、ひいては第7ステップにおいて得られる全窒素濃度が非常に正確なものとなるのである。
【0048】
なお、前記全窒素測定方法を用いて、試料としてKNO3標準液や他の窒素化合物、例えば(NH 4 ) 2 SO 4 標準液を用いて同様に測定した場合にも、上記と同様の効果が得られたのであり、前記全窒素測定方法の有効性を実証することもできた。
【0049】
上記の構成からなる全窒素測定方法では、従来の全窒素測定方法および装置では正確な測定が不可能であった海水など塩分やハロゲンを含む試料について、再現性、直線性が確保できる精度の高い測定を行うことが可能となる。
【0050】
また、試料中に共存する他の成分の濃度に影響を受けることなく、試料中に存在する窒素化合物を非常に高い割合で硝酸イオンへと変換することが可能となっている。
【0051】
さらに、前記第5ステップの紫外線照射についての操作は、前記第3ステップの紫外線照射についての操作と同様に行うことができ、また、第6ステップのエアーバブリングについての操作は、前記第2ステップのエアーバブリングについての操作と同様に行うことができるのであり、前記第1〜第4ステップおよび第7ステップを実行するように構成されていた従来の全窒素測定装置を用いれば、前記第5ステップの紫外線照射を行うための機器・部品や、第3ステップのエアーバブリングを行うための機器・部品を新たに追加せずとも、本実施例の全窒素測定方法および全窒素測定装置Dを実行・構成することができるのであり、コストパフォーマンスにも優れたものとなっている。ただし、もちろん、前記第1〜第4ステップおよび第7ステップを実行するように構成されていた従来の全窒素測定装置に、前記第5ステップの紫外線照射を行うための機器・部品や、第3ステップのエアーバブリングを行うための機器・部品を新たに追加して本実施例の全窒素測定装置を構成してもよいのである。
【0052】
なお、本実施例において、前記第2ステップおよび第6ステップのエアーバブリングを、混合槽4内で行うのではなく、前記分解槽52内やその他の場所で行ってもよい。前記分解槽52内でエアーバブリングを行う場合には、例えば、分解槽52に空気導入管(図示せず)を接続し、この空気導入管から分解槽52内に圧縮空気を行うように構成すればよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、試料液の種類にかかわらず、再現性などの向上を図り、正確な測定を行うことが可能な全窒素測定方法を提供することが可能となる。
【0054】
すなわち、従来の全窒素測定方法および装置では、海水など塩分を含む試料の全窒素測定を行おうとしても、試料中の窒素化合物の一部が硝酸イオンにならず亜硝酸イオンとなっていたことから正確な測定が不可能であったが、本発明の全窒素測定方法では、前記吸光度測定を行う前に試料に対して再度紫外線を照射することにより、窒素化合物の硝酸イオンへの変換に悪影響を及ぼすと考えられるハロゲンのはたらきを回避し、窒素化合物を完全かつ確実に硝酸イオンへと変換するようにしてあることから、再現性、直線性が確保される精度の高い測定を行うことができる。
【0055】
また、試料中に共存する他の成分の濃度に影響を受けることなく、試料中に存在する硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度との比率を安定させることができるのである。
【0056】
さらに、上記のように試料に対して再度紫外線照射を行った後、エアーバブリングを行えば、試料中に存在する吸光度測定の感度を下げるハロゲンを排除することができるため、非常に正確な全窒素測定を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る全窒素測定方法を実施するための全窒素測定装置の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
D…全窒素測定装置。
Claims (2)
- 試料に酸化剤のアルカリ性溶液を加えるステップと、この試料に紫外線を照射するステップと、前記試料を酸性とするステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとをこの順に有する全窒素測定方法であって、試料を酸性とするステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとの間に、試料に対して再度紫外線を照射するステップを設けたことを特徴とする全窒素測定方法。
- 試料に対して再度紫外線を照射する前記ステップと、波長220nmまたはその前後の波長の吸光度を測定して定量するステップとの間に、試料をエアーバブリングするステップを設けた請求項1に記載の全窒素測定方法。
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