JP2005262955A - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱膨張によるエアバッグカバーの外観低下を防止できる歩行者用エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】歩行者用エアバッグ装置M1は、車両の板金製のフードパネル8の後部8a側に搭載される。エアバッグ装置M1は、歩行者を保護可能に、膨張用ガスを流入させて、フードパネルの後部側上面からフロントピラーの前面付近までを覆うように膨張するエアバッグ38と、折り畳んだエアバッグを収納するケース26と、膨張時のエアバッグを突出可能として、エアバッグの上方側を覆う合成樹脂製のエアバッグカバー42と、を備える。エアバッグカバー42は、フードパネルの前部8c側の上面8dと連なるように、フードパネルの後部8a側の上方で、かつ、フードパネルの幅方向に長く延びて、配設されるとともに、フードパネルの幅方向に移動可能として、フードパネル8に取り付けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両の板金製のフードパネルの後部側に搭載されて、膨張用ガスを流入させて、少なくともフードパネルの後部側上面を覆うように膨張するエアバッグ、を備えて構成される歩行者用エアバッグ装置に関する。
従来、歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグは、車両のフードパネル後端付近において、ケース内に折り畳まれて収納されていた。このケースは、折り畳まれたエアバッグの上方を覆うエアバッグカバーとともに、一体化された合成樹脂製としていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−306101公報
しかし、従来の歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグカバーと一体化されたケースが、合成樹脂製として、板金製のフードパネルに対し、ボルト等を利用して、強固に固定されていた。
そのため、合成樹脂製のケースが、板金製のフードパネルに対して、熱膨張率を一桁程度大きくしていることから、雰囲気温度が高ければ、ケースのエアバッグカバー部位が、熱膨張により、フードパネルに対して大きく変形し、エアバッグ装置の外観を低下させてしまう。特に、フードパネルの下方には、エンジン等の熱源が配設されていることから、このような熱膨張による変形が、顕著に現れてしまう。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、熱膨張によるエアバッグカバーの外観低下を防止できる歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置は、車両の板金製のフードパネルの後部側に搭載されて、
膨張用ガスを流入させて、少なくともフードパネルの後部側上面を覆うように膨張するエアバッグと、
エアバッグを折り畳んで収納するケースと、
膨張時のエアバッグを突出可能として、折り畳んだエアバッグの上方側を覆う合成樹脂製のエアバッグカバーと、
を備えて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
エアバッグカバーが、フードパネルの前部側の上面と連なるように、フードパネルの後部側の上方で、かつ、フードパネルの幅方向に長く延びて、配設されるとともに、フードパネルの幅方向に移動可能として、フードパネルに取り付けられていることを特徴とする。
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置では、合成樹脂製のエアバッグカバーが、板金製のフードパネルの後部側で、フードパネルの幅方向に長く延びて、幅広く配設されていても、フードパネルの幅方向に移動可能に、フードパネルに取り付けられていることから、熱により、エアバッグカバーが、フードパネルより大きく膨張しても、フードパネルの幅方向に、フードパネルと干渉することなく、移動でき、その外観を低下させない。
そしてまた、エアバッグカバーは、フードパネルの前部側の上面と連なるように、配設されているため、フードパネルと一体感を生じさせることができて、エアバッグ装置の外観を良好にできる。
したがって、本発明に係る歩行者用エアバッグ装置では、フードパネルの後部側で幅広く配設されているエアバッグカバーの熱膨張による変形を、防止できて、エアバッグカバーの外観低下を防止することができる。
そして、エアバッグカバーを、フードパネルの幅方向の全域に、配設させるように構成すれば、エアバッグカバーにおけるフードパネルの幅方向に、フードパネルとの見切りがないことから、フードパネルの上面側の見栄えを、良好にすることができる。
また、エアバッグカバーを、膨張するエアバッグに押されて開く扉部を有してケースの上方側を覆うケースカバー部と、一般部と、を設けて構成し、ケースカバー部を、フードパネルの後端から離れたエアバッグカバーの前側に、配設させ、一般部を、少なくともフードパネルの後端側に、配設させてもよい。
このような構成では、フードパネルの後部側の前縁付近、すなわち、フードパネルの前後方向の中間付近に、折り畳んだエアバッグを収納したケースを、配設させて、そのケースをケースカバー部で覆うように、エアバッグカバーを配設させても、エアバッグカバーが、前後方向に沿って、ケースの上方側からフードパネルの後端まで長く覆うことから、フードパネルの上面側に、前後方向でのエアバッグカバーとの境界部位、すなわち、前後方向での見切り線を、一つ設けるだけで、エアバッグ装置をフードパネルに搭載することができて、フードパネルの上面側の意匠を良好にすることができる。
この場合、フードパネルの後端側の一般部が、フードパネルの前後方向にも移動可能として、フードパネルに取り付けられていれば、前後方向にも長くなっているエアバッグカバー全体に、熱によって前後方向の伸びが大きく生じても、フードパネルと干渉することなく、エアバッグカバーが後方側へ伸びるように変形することができて、エアバッグカバーの外観低下を防止することができる。
また、エアバッグカバーが、膨張するエアバッグに押されて開く扉部を有してケースの上方側を覆うケースカバー部、を備えて構成される場合には、ケースカバー部を、エアバッグカバーの前後方向の略全域を占めて、フードパネルの後端に、配設させてもよく、このような構成では、エアバッグカバーの前後方向の長さ寸法を短くして、フードパネルの後端側に、エアバッグカバーを搭載することができる。そして、このような構成では、エアバッグカバーが、熱により、前後方向に延びても、フードパネルの後端に、エアバッグカバーが配設されていることから、後側に自由に伸びて、エアバッグカバーの外観低下を防止することができる。
そして、フードパネルが、上面側のアウタパネルと、下面側に位置して、アウタパネルより強度を向上させたインナパネルと、を備えて構成される場合には、ケースは、インナパネルに結合し、若しくは、インナパネルと一体化して、エアバッグカバーの少なくとも前縁側は、アウタパネルに、取り付けることが望ましい。
このような構成では、エアバッグ装置のケースが強度を有したフードパネルのインナパネルに結合若しくは一体化されることから、安定してエアバッグ装置をフードパネルに搭載でき、かつ、エアバッグカバーの少なくとも前縁側がフードパネルの上面側のアウタパネルに取り付けられることから、フードパネル後部側に配設されるエアバッグカバーの前縁側とアウタパネルとの位置合わせが容易となって、エアバッグカバーの外観意匠を良好にすることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1は、図1〜5に示すように、車両Vの板金製のフードパネル8の後部8a側に搭載されて、エアバッグ38、エアバッグ38に膨張用ガスを供給するインフレーター33、折り畳まれたエアバッグ38とインフレーター33とを収納するケース26、及び、エアバッグカバー42、を備えて構成されている。
なお、本明細書では、前後と上下の方向は、車両Vの前後と上下と一致する方向を基準とし、左右の方向は、車両Vの前方側から後方側を見た際の左右の方向を基準とする。
また、車両Vには、図1に示すように、フロントバンパ5に、歩行者との衝突を検知若しくは予知可能なセンサ6が配設され、図示しないエアバッグ作動回路が、歩行者との衝突を検知した信号をセンサ6から入力させた際、インフレーター33を作動させて、エアバッグ38を展開膨張させるように、構成されている。
さらに、フードパネル8は、図1〜5に示すように、板金製として、上面側のアウタパネル9と、下面側に位置して、アウタパネル9より強度を向上させたインナパネル15と、を備えて構成されている。このフードパネル8は、後端8b付近における幅方向の両縁、すなわち、左右両側に、図示しないヒンジ部を介して車両Vのボディ1側に連結支持されており、前開きタイプとしている。また、フードパネル8の後端(後縁)8bは、エアバッグカバー42に上方を覆われているものの、図2に示すように、フロントウィンドシールド3の下端3aと略平行となるように、幅方向の中央を前方側に突出させるように、湾曲させて、構成されている。
アウタパネル9は、インナパネル15に比べて、歩行者と干渉する際に撓みやすく構成されて、後部9a側に、下方に下がった段差部10を備えており、段差部10には、略長方形形状に開口したエアバッグ装置M1の配設用の配設孔11が、設けられている。なお、段差部10の前縁10aと配設孔11とは、フードパネル8の後縁8bと略平行に、左右方向の中央付近を前方側に突出させるように、上方から見て、湾曲している。
アウタパネル9の配設孔11の周縁における前縁側の前縁部12は、図3〜5・8に示すように、左右方向に沿って、すなわち、フードパネル8の幅方向に沿って、凹凸が設けられており、後方へ突出する複数の凸部12aには、左右方向に沿って長い案内孔12bが設けられて、案内孔12bには、エアバッグカバー42の円柱状の案内ピン45が挿通されている。また、前縁部12の凸部12a間の後縁12cには、エアバッグカバー42の係止フック44が、上下の移動を規制されて、係止されている。
なお、案内孔12bや後縁12cの左右方向に沿う形態は、具体的には、その配置部位の前方側における段差部10の前縁10aに沿うように、配設されている。
アウタパネル9の配設孔11の周縁における後縁側の後縁部13には、図3〜5・9に示すように、インナパネル15の後部15aに設けられた案内孔19aとともに、円形状の案内孔13aが、形成されている。これらの案内孔13a・19aは、フードパネル3の幅方向、すなわち、左右方向に沿って、複数並設されており、それぞれ、エアバッグカバー42の円筒状の案内ボス46が挿通されている。
インナパネル15にも、後部15a側に、エアバッグ装置M1を配設させるための長方形に開口した配設孔17を備えた段差部16が、配設されている。なお、段差部16には、剛性を上げるための断面U字状のリブ16bが、配設されている。また、段差部16の前縁16aや配設孔17は、段差部10の前縁10aや配設孔11と同様に、フードパネル8の後縁8bと略平行に、左右方向の中央付近を前方側に突出させるように、上方から見て、湾曲している。
そして、配設孔17の前後の周縁には、ケース26を固定するための取付座18が、配設されている。取付座18には、フードパネル8の幅方向に沿って複数配設されている取付孔18aが、貫通され、取付座18の下面側の各取付孔18aの周縁には、ケース26を強固に固定する結合手段21としてのナット21bが、固着されている。また、配設孔17の後方側の後縁部19には、エアバッグカバー42の案内ボス46を挿通させる案内孔19aが、アウタパネル9の案内孔13aとともに、円形に開口されて、フードパネル8の幅方向に沿って複数並設されている。
ケース26は、図3〜7に示すように、板金製とされて、上端側を開口させるとともに略上下方向に沿って配設される略四角筒形状の周壁部27と、周壁部27の下端側を閉塞するように配設される底壁部31と、を備えた略箱形状とされている。ケース26の周壁部27は、フードパネル8の後縁8bに沿うように、上方から見て、左右方向の中央付近を前方側に突出させるように、湾曲して、形成されるとともに、フードパネル8の上下に貫通した配設孔11・17に前後左右の四方を囲まれる形状に、形成されている。
そして、周壁部27における前後の壁部27a・27bの上縁には、それぞれ、周壁部27の外方側へ、すなわち、前方側と後方側とへ、突出する固定片部28と連結片部29とが、配設されている。これらの固定片部28と連結片部29とは、フードパネル8の幅方向に沿って、交互に複数配設されている。
各固定片部28は、ケース26をフードパネル8のインナパネル15に固定する部位であり、インナパネル15の配設孔17の前後の周縁における取付座18の各取付孔18a部位の上方側を覆うように突設されて、取付孔18aと対応する取付孔28aが、上下方向に貫通している。取付孔28aには、ボルト21aとナット21bとからなる結合手段21のボルト21aが、挿通されて、ボルト21aは、取付孔28a・18aを挿通して、ナット21bに螺合されることにより、ケース26が、インナパネル15に固定されている。
また、各連結片部29は、エアバッグ38の膨張時に、円滑にエアバッグカバー42の扉部51の周囲の破断予定部53を破断させるように、エアバッグカバー42の連結壁部50を、上下の大きな移動を規制して、ケース26に連結させる部位であり、周壁部27の外方側へ、すなわち、前方側と後方側とへ、突出する横板部29aと、横板部29aの先端から下方に屈曲する係止板部29bと、を備えた逆J字形状に、形成されている。
なお、ケース周壁部27の後方側の壁部27bに設けられた連結片部29Bの横板部29aは、前方側の連結片部29Aの横板部29aに比べて、前後方向の寸法が長く設定されている。
ケース26の底壁部31は、図3に示すように、折り畳まれたエアバッグ38の下方側に配設されており、インフレーター33をケース26に取り付けるためのボルト35を挿通させる挿通孔31aを、備えて構成されている。挿通孔31aは、インフレーター33が、フードパネル8の左右両側に配設されることから、底壁部31の左右両側付近に配設されている。
インフレーター33は、ケース26の左右両端側となる2箇所に、配設されて、それぞれ、ガス吐出口(図示せず)を備えた略円柱状とされている。各インフレーター33は、図2に示すように、エアバッグ38内に膨張用ガスを流出可能に、エアバッグ38に連結されている。また、各インフレーター33は、図3に示すように、板金製のブラケット34により保持されており、このブラケット34を、ボルト35を利用して、ケース底壁部31に固定させることにより、ケース26に取付固定されている。
エアバッグ38は、インフレーター33から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて展開膨張するもので、第1実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等を使用した織布から形成された袋状としている。エアバッグ38は、図1・2の二点鎖線に示すように、膨張完了時の形状を、正面から見て、左右方向に幅広とした略U字形状に形成されるもので、左右方向に沿って配設される本体部39と、本体部39の左右両端からフロントピラー4・4の前面側を覆うように後方側に延びるピラーカバー部40・40と、を備えて構成されている。本体部39は、エアバッグ38の膨張完了時において、フードパネル8の後部8a付近の上面からフロントウィンドシールド3の下部付近までの領域を、左右方向の略全長にわたって覆うように、構成されている。
そして、フードパネル8とフロントウィンドシールド3との間には、カウルパネル2aと、カウルパネル2aの上方に配設されるカウルルーバ2bと、から構成されるカウル2が、配設されている。そのため、エアバッグ38の本体部39は、膨張完了時に、フードパネル8の後部8aとカウル2との上方側とを略全面にわたって覆い可能な構成とされている。
エアバッグカバー42は、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、ケース26の周壁部27で囲まれた開口26aの上方を覆うケースカバー部49と、ケース26の上方を覆わずに、フードパネル8の上方を覆う一般部43と、を備えて構成されて、フードパネル8の後部8a側の上方で、フードパネル8の幅方向、すなわち、左右方向の全域に配設されるとともに、フードパネル8の前部8cの上面8d側と連なって、すなわち、前縁42aをアウタパネル9の段差部10の前縁10aと前後で一致させ、かつ、前縁上面42bをフードパネル8の前部8c側の上面8dと高さを一致させて、後縁8bの上方位置まで伸びるように、配設されている。
そして、ケース26が、左右方向の幅寸法を、フードパネル8の幅寸法より小さい寸法として、構成されていることから、ケースカバー部49も、エアバッグカバー42の幅寸法より若干小さく構成されており、その結果、一般部43が、ケースカバー部49の前後左右を囲むように、配設されている。すなわち、ケースカバー部49の前方側に、一般部43の前側部43aが配設され、ケースカバー部49の後方側に、一般部43の後側部43bが配設され、ケースカバー部49の左右両側に、図2に示すように、一般部43の左側部43cと右側部43dとが配設されることとなる。
ケースカバー部49には、膨張するエアバッグ38に押されて開く扉部51と、連結壁部50(50A・50B)と、が配設されている。扉部51は、ケース26の周壁部27に囲まれ、かつ、連結壁部50A・50B間の領域に、配設されて、上方から見て、左右方向の中央を前方側に突出させた湾曲形状に、形成されている。扉部51は、後縁側から左右両縁側を経て僅かに前縁側に侵入するように、周囲を、連続的若しくは断続的に薄肉とした破断予定部53に囲まれており、膨張するエアバッグ38に押された際、破断予定部53の配設されていない扉部51の前縁側を、ヒンジ部52として、前方側へ上開きで開くように、構成されている。
連結壁部50A・50Bは、破断予定部53を介在させて、扉部51の前後に配設されており、上下方向に延びるように配設されている。前後の連結壁部50は、ケース26の周壁部27の前後の壁部27a・27bと対応するように、左右方向の中央付近を前方側に突出させるように湾曲して、形成されるとともに、図6・7に示すように、下端に凹凸を設けて、構成されている。各連結壁部50A・50Bにおける下方へ突出した凸部50aには、長方形形状に開口して、前後方向に貫通する連結孔50bが形成されている。各連結孔50bには、ケース26の各連結片部29の横板部29aが挿入されて、連結孔50b周縁が、係止板部29bに係止されている。
そして、連結孔50bと連結片部29とは、合成樹脂製の連結壁部50が、エアバッグカバー42の熱膨張時、板金製のケース26に対して、フードパネル8の幅方向、すなわち、左右方向、に移動可能に連結される連結手段23を構成するものであり、各連結孔50bの左右方向の幅寸法A1は、係止させる連結片部29の幅寸法B1より、大きく(5mm程度以上)設定されている。
なお、この大きくする寸法差は、雰囲気温度の最高値におけるフードパネル8とエアバッグカバー42との膨張差を考慮して、適宜設定する。
また、各連結壁部50の凸部50a間の凹部50cには、ケース26の各固定片部28が貫通することとなる。そして、エアバッグカバー42の熱膨張時、この各凹部50cの左右方向の幅寸法A2も、合成樹脂製の連結壁部50が、板金製のケース26に対して、フードパネル8の幅方向に移動可能となるように、貫通させる固定片部28の幅寸法B2より、大きく(5mm程度以上)設定されている。
なお、エアバッグカバー42の左右両端付近が、熱膨張時、フードパネル8に対して、大きくずれやすいことから、連結孔50bや凹部50cは、中央付近のものを小さくし、左右両端付近のものを、中央付近のものより、幅寸法B1・B2に対する幅寸法A1・A2を、大きくしてもよい。
一般部43における前側部43aの下面には、図3〜5・8に示すように、左右方向に沿って、具体的には、エアバッグカバー42の前縁42aに沿って、係止フック44と案内ピン45とが、交互に、下方へ突出するように、複数配設されている。そして、各係止フック44は、後方側へ凹む凹溝44aに、アウタパネル9の前縁部12の後縁12cを嵌挿させている。案内ピン45は、円柱状として、アウタパネル前縁部12の凸部12aの案内孔12bに挿通されている。
これらの係止フック44と案内ピン45とは、アウタパネル9の前縁部12の後縁12cや案内孔12bとともに、エアバッグカバー42の熱膨張時に、フードパネル8に対する上下の位置規制をしつつ、幅方向のずれを許容する取付手段22を構成するものである。そして、合成樹脂製の一般部43の前側部43aが、板金製のフードパネル(アウタパネル9)8に対して、フードパネル8の幅方向に移動可能となるように、凸部12a間の後縁12cの幅寸法A3は、係止フック44の幅寸法B3より、大きく(5mm程度以上)設定され、また、案内孔12bの左右方向の寸法A4も、案内ピン45の外径寸法B4より、大きく(5mm程度以上)設定されている。
なお、この場合も、前側部43aの左右両端付近が、熱膨張時、フードパネル8に対して、大きくずれやすいことから、凸部12a間の後縁12cや案内孔12bは、中央付近を小さくし、左右両端付近のものを、中央付近のものより、寸法B3・B4に対する寸法A3・A4を、大きくしてもよい。
また、一般部43における後側部43bの下面には、図3〜5・9に示すように、左右方向に沿って、複数の円柱状の案内ボス46が、下方へ突設されるとともに、案内ボス46の後方側に、アウタパネル9の上面9bに当接する複数の支持突起47が形成されている。各案内ボス46は、フードパネル8の案内孔13a・19aに挿入されて、案内ボス46に締め付けられるワッシャ24b付きのタッピングねじ24aにより、アウタパネル9に取り付けられている。ねじ24aは、案内ボス46や支持突起47とともに、エアバッグカバー42の熱膨張時に、フードパネル8に対する上下の位置規制をしつつ、幅方向と前後方向とのずれを許容する取付手段24を構成するものである。そして、合成樹脂製の一般部43の後側部43bが、板金製のフードパネル(アウタパネル9)8に対して、フードパネル8の幅方向と前後方向とに移動可能となるように、案内孔13a・19aの内径寸法A5が、案内ボス46の外径寸法B5より、大きく(5mm程度以上)設定されている。なお、案内ボス46の長さ寸法L(図5参照)は、ねじ24aをボス46に締め付けても、ワッシャ24bがフードパネル8の案内孔19a周縁に強く圧接されず、ボス46が、フードパネル8に対して、前後左右に移動できる程度に、設定されている。また、ワッシャ24bの外径寸法Dは、案内孔13a・19aの内径寸法A5より大きく、ねじ24aを螺着させたボス46が前後左右にずれても、ワッシャ24bが案内孔19a内に落ち込まないように、設定されている。
そして、この場合も、後側部43bの左右両端付近、あるいは、後端付近が、熱膨張時、フードパネル8に対して、大きくずれやすいことから、案内孔13a・19aにおけるボス46の外径寸法B5に対する内径寸法A5を、中央付近のものを小さくし、左右両端付近のものを、中央付近のものより、大きくし、また、前方側のものを小さくして、後端付近のものを、前方側のものより、大きくしてもよい。
この第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、車両搭載状態において、インフレーター33に作動信号が入力されれば、インフレーター33から膨張用ガスが吐出され、エアバッグ38が、膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。そして、エアバッグカバー42の扉部51が、エアバッグ38に押されて、破断予定部53を破断させて、車両Vの前方側に向かって開き、エアバッグ38が、ケース26の開口26aから上方に向かって突出し、図1・2の二点鎖線に示すように、膨張を完了させることとなる。
そして、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、合成樹脂製のエアバッグカバー42が、板金製のフードパネル8の後部8a側で、フードパネル8の幅方向の全域に、幅広く配設されていても、フードパネル8の幅方向に移動可能に、フードパネル8に取り付けられている。
すなわち、エアバッグカバー42の一般部43の前側部43aでは、エアバッグカバー42の熱膨張時に、フードパネル8に対する上下の位置規制をしつつ、幅方向のずれを許容できるように、前側部43aをフードパネル8に取り付ける取付手段22を設けている。具体的には、エアバッグカバー42の前縁42aに沿って、取付手段22を構成する所定数の係止フック44と案内ピン45とを設けて、各係止フック44の後方側へ凹む凹溝44aに、アウタパネル9の前縁部12の後縁12cを嵌挿させ、かつ、案内ピン45を、アウタパネル前縁部12の凸部12aの案内孔12bに挿通させている。そして、凸部12a間の後縁12cの幅寸法A3を、係止フック44の幅寸法B3より、大きく設定し、また、案内孔12bの左右方向の寸法A4も、案内ピン45の外径寸法B4より、大きく設定していることから、熱により、エアバッグカバー42の前側部43aが、フードパネル8より幅寸法を大きく膨張させても、フードパネル8の幅方向に、フードパネル8と干渉することなく、移動でき、その外観を低下させない。
同様に、エアバッグカバー42の後側部43bでも、エアバッグカバー42の熱膨張時に、フードパネル8に対する上下の位置規制をしつつ、幅方向のずれを許容できるように、後側部43bをフードパネル8に取り付ける取付手段24を設けている。具体的には、フードパネル8の後縁8bに沿って取付手段24を構成する所定数の案内ボス46と支持突起47とを設け、支持突起47をアウタパネル9の上面9bに当接させるとともに、案内ボス46を、フードパネル8の案内孔13a・19aに挿入させて、ワッシャ24b付きのタッピングねじ24aにより、上下の移動を規制させて、アウタパネル9に取り付けている。そして、
案内孔13a・19aの内径寸法A5を、案内ボス46の外径寸法B5より、大きく設定していることから、熱により、エアバッグカバー42の後側部43bが、フードパネル8より幅寸法を大きく膨張させても、フードパネル8の幅方向に、フードパネル8と干渉することなく、移動でき、その外観を低下させない。
さらに、エアバッグカバー42のケースカバー部49でも、合成樹脂製の連結壁部50A・50Bが、エアバッグカバー42の熱膨張時、板金製のケース26に対して、フードパネル8の幅方向、すなわち、左右方向、に移動可能に連結されるように、各連結孔50bの左右方向の幅寸法A1を、孔50bに係止させる連結片部29の幅寸法B1より、大きく設定し、かつ、各連結壁部50A・50Bの凸部50a間における凹部50cの左右方向の幅寸法A2も、凹部50cを貫通する固定片部28の幅寸法B2より、大きく設定しており、熱により、エアバッグカバー42のケースカバー部49が、幅寸法を大きく膨張させても、フードパネル8の幅方向に、フードパネル8と干渉することなく、移動でき、その外観を低下させない。
そしてまた、エアバッグカバー42は、フードパネル8の前部8c側の上面8dと連なるように、配設されているため、フードパネル8と一体感を生じさせることができて、エアバッグ装置M1の外観を良好にできる。
したがって、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、フードパネル8の後部8a側で幅広く配設されているエアバッグカバー42の熱膨張による変形を、防止できて、エアバッグカバー42の外観低下を防止することができる。
そして、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、エアバッグカバー42が、フードパネル8の幅方向の全域に、配設されており、エアバッグカバー42におけるフードパネル8の幅方向に、フードパネル8との見切りがないことから、フードパネル8の上面側の見栄えを、良好にすることができる。
また、第1実施形態では、エアバッグカバー42が、膨張するエアバッグ38に押されて開く扉部51を有してケース26の上方側を覆うケースカバー部49と、一般部43と、を設けて構成され、ケースカバー部49が、フードパネル8の後端8bから離れたエアバッグカバー42の前側に、配設され、一般部43の後側部43bが、フードパネル8の後端8b側に、配設されている。
このような構成では、フードパネル8の後部8a側の前縁10a付近、すなわち、フードパネル8の前後方向の中間付近に、折り畳んだエアバッグ38を収納したケース26を、配設させて、そのケース26をケースカバー部49で覆うように、エアバッグカバー42を配設させても、エアバッグカバー42が、前後方向で、ケース26の上方側からフードパネル8の後端8bまで長く覆うことから、フードパネル8の上面8d側に、前後方向でのエアバッグカバー42との境界部位、すなわち、前後方向での見切り線BLを、一つ設けるだけで、エアバッグ装置M1をフードパネル8に搭載することができて、フードパネル8の上面8d側の意匠を良好にすることができる。
さらに、第1実施形態では、フードパネル8の後端8b側の一般部43bが、フードパネル8の前後方向にも移動可能として、フードパネル8に取り付けられている。すなわち、エアバッグカバー42の熱膨張時に、フードパネル8に対する上下の位置規制をしつつ、幅方向と前後方向とのずれを許容できるように、取付手段24を構成する支持突起47を、アウタパネル9の上面9bに当接させるとともに、取付手段24を構成する案内ボス46を、フードパネル8の案内孔13a・19aに挿入させて、ワッシャ24b付きのタッピングねじ24aにより、上下に移動を規制させて、アウタパネル9に取り付けており、そして、案内孔13a・19aの内径寸法A5を、案内ボス46の外径寸法B5より、幅方向のみならず、前後方向にも、大きくなるように、設定している。そのため、前後方向に長くなっているエアバッグカバー42全体に、熱によって前後方向の伸びが大きく生じても、フードパネル8と干渉することなく、エアバッグカバー42が後方側へ伸びるように変形することができて、エアバッグカバー42の外観低下を防止することができる。
なお、第1実施形態の場合、ケース周壁部27の後方側の壁部27bに設けられた連結片部29Bの横板部29aが、前方側の連結片部29Aの横板部29aに比べて、前後方向の寸法を長く設定され、連結壁部50Bの板厚(連結孔50bの長さ寸法)に比べても、長く設定されている。そのため、エアバッグカバー42のケースカバー部49付近が、熱により、前後方向に膨張しても、後方側の連結壁部50Bが、前方側の連結壁部50Aに対して、後方側へ移動でき、ケースカバー部49付近の外観低下も防止できる。
さらに、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、フードパネル8が、上面側のアウタパネル9と、下面側に位置して、アウタパネル9より強度を向上させたインナパネル15と、を備えて構成されて、ケース26が、ボルト21aとナット21bとからなる結合手段21を利用して、インナパネル15に、強固に固定され、エアバッグカバー42の前縁42a側が、係止フック44やねじ42等を備えてなる取付手段22を利用して、アウタパネル9に、取り付けられている。そのため、エアバッグ装置M1における膨張時のエアバッグ38の突出する際の反力を受けるケース26が、強度を有したフードパネル8のインナパネル15に強固に固定されることから、安定してエアバッグ装置M1をフードパネル8に搭載できる。また、エアバッグカバー42の前縁42a側がフードパネル8の上面側のアウタパネル9に取り付けられることから、見切り線BL部位のエアバッグカバー42の前縁42aとアウタパネル9の段差部10の前縁10aとの位置合わせが容易となって、エアバッグカバー42の前部側の外観意匠を良好にすることができる。
さらに、第1実施形態の場合、エアバッグカバー42の後縁42cも、取付手段24を利用して、アウタパネル9に連結されており、後縁42c側の浮き上がりや沈み込みを的確に防止でき、エアバッグカバー42の後部側の外観意匠も良好にすることができる。
また、図10〜12に示す第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2のように構成してもよい。この第2実施形態のエアバッグ装置M2では、合成樹脂製のエアバッグカバー42Aが、膨張するエアバッグ38に押されて開く扉部51を有してケース26Aの上方側を覆うケースカバー部49A、を備えて構成されている。そして、ケースカバー部49Aが、フードパネル8Aの幅方向の全域に配設されるとともに、エアバッグカバー42Aの前後方向の全域を構成して、フードパネル8Aの後端8bに、配設されている。
このような構成では、エアバッグカバー42Aの前後方向の長さ寸法を短くして、フードパネル8Aの後端8b側に、エアバッグカバー42Aを搭載することができる。そして、このような構成では、エアバッグカバー42Aが、熱により、前後方向に延びても、フードパネル8Aの後端8bに、エアバッグカバー42Aが配設されていることから、後方側に自由に伸びて、エアバッグカバー42Aの外観低下を防止することができる。
ちなみに、この第2実施形態では、エアバッグカバー42Aが、ケースカバー部49Aの前方側や後方側に、フードパネル8Aの上方部位を覆う一般部を備えていない。さらに、ケースカバー部49Aは、扉部51の前後から下方に延びる側壁部55・56と、側壁部56の下端から前方に延びて折り畳まれたエアバッグ38の下方に配置される底壁部57と、底壁部57から上方に伸びる延設部58と、を備えて、前方側の側壁部55と延設部58とが、重ねられて、結合連結手段60を構成する複数のボルト61・ナット62とを使用して、共締めされて、フードパネル8Aに組み付けられている。
フードパネル8Aは、アウタパネル9Aとインナパネル15Aとが、後端8b側で下方へ下がる段差部10・16を備えて、段差部10・16の前縁10a・16aの縦壁部9c・15cに、フードパネル8Aの幅方向に沿って配設された複数の取付孔9d・15dが、配設され、各取付孔9d・15dが、ボルト61を挿通可能として、左右方向(フードパネル8Aの幅方向)に長く形成されていることから、エアバッグカバー42Aが、熱により、幅方向に膨張しても、変形することなく、フードパネル8Aに対して、ずれ移動することとなる。
そして、この第2実施形態のエアバッグ装置M2では、ケース26Aが、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、側壁部55・56・底壁部57・延設部58から構成されて、折り畳んだエアバッグ38と、エアバッグ38に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を収納保持している。このように、ケース26Aが合成樹脂製としていても、板金製のフードパネル8Aの強度を有するインナパネル15に、結合連結手段60を利用して、固定されているため、安定して、エアバッグ38を突出させることができる。さらに、ケース26Aが、エアバッグ38の膨張時に開く扉部51を備えたケースカバー部49Aと、一体的に、折り畳んだエアバッグ38やインフレーターを、筒状にくるんでいることから、ケース26Aは、安定して、エアバッグ38とインフレーターとを収納保持することができる。
また、第2実施形態の場合、エアバッグカバー42Aは、ケース26Aと一体化されて、前縁付近の側壁部55が、結合連結手段60を利用して、アウタパネル9Aに取り付けられていることから、アウタパネル9Aとの見切りを良好としている。
なお、ケース26Aの左右方向の両側の壁部は、フードパネル8Aのアウタパネル9若しくはインナパネル15から延びるように、板金製の壁部を設けて、対応させてもよいし、あるいは、底壁部57から上方に伸びる合成樹脂製の壁部を設けて、対応させてもよい。
ちなみに、第1実施形態のケース26では、板金製のものを例示したが、エアバッグ38の突出時の強度を確保できれば、合成樹脂製としてもよい。
さらに、図13に示す第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置M3のように、折り畳んだエアバッグ38や図示しないインフレーターを収納するケース26Bを、フードパネル8Bのインナパネル15Bと一体化されるように、インナパネル15B自体から構成してもよい。このエアバッグ装置M3でも、エアバッグカバー42Bの前縁42aが、フードパネル8Bのアウタパネル9Bの配設孔11の周縁における前方側の縁12cを、左右方向(フードパネル8Bの幅方向)に延びた凹溝44aに嵌挿させており、見切り線BL部位におけるエアバッグカバー42Bの前縁42aとアウタパネル9Bとの位置合せが容易となって、エアバッグカバー42Bの意匠が良好となる。また、ケース26Bが、インナパネル15Bと一体的に結合されるように、インナパネル15Bと一体化されていることから、安定して支持されることとなる。
さらに、このエアバッグ装置M3でも、エアバッグカバー42Bを、上下の移動を規制して、アウタパネル9Bに取り付ける取付手段22の部位に関し、凹溝44aが、前縁42aを縁12cに対して左右方向に移動可能に、形成され、また、エアバッグカバー42Bのケースカバー部49Bの前後の連結壁部50A・50Bを、ケース26Bに連結させる連結手段23の部位に関し、連結壁部50A・50Bの連結孔50bが、その左右方向の幅寸法を、その孔50bに係止させるためのケース26Bの連結片部29の幅方向に比べて、大きく設定している。そのため、熱によって、エアバッグカバー42Bが、フードパネル8Bの幅方向に膨張しても、容易に、左右方向にずれ移動して、エアバッグカバー42Bの変形を防止することができる。
なお、この第3実施形態では、エアバッグカバー42Bの前後方向の長さ寸法が短く、エアバッグカバー42Bが熱膨張しても、フードパネル8Bに対する前後方向への伸びが少なくなって、エアバッグカバー42Bの変形の虞れがないことから、エアバッグカバー42Bの後方側へのずれ移動に関しては、考慮されていない。そして、このように、エアバッグカバー42Bの後方側への移動が少ない場合には、エアバッグカバー42Bをフードパネルの前後方向の中間部位に配置させて、エアバッグカバー42Bの後方側に、図13の二点鎖線に示すように、フードパネル8Bの後端側8eを配設させてもよい。
また、各実施形態では、エアバッグカバーをフードパネルの幅方向の全域に配設させた場合を示したが、図14・15に示す第4実施形態の歩行者用エアバッグ装置M4のように、構成してもよい。この第4実施形態では、エアバッグカバー42Cが、前後方向の寸法より、左右方向の寸法を長くしているものの、フードパネル8Cの幅方向の全域に配設されるのではなく、エアバッグカバー42Cの左右両縁42c・42dを、フードパネル8Cの左右の両縁8f・8gから、車両Vの中央側に、配置させて、フードパネル8Cの左右の縁8f・8gを上方に露出させるように、構成されている。勿論、この構成でも、フードパネル8Cの左右両縁8f・8gでは、縁8f・8gから離れた車両中央側に、アウタパネル9Cが、下方へ凹んでエアバッグカバー42Cの縁42c・42dの下面側に配置される段差部10Aを備えるとともに、エアバッグカバー42Cの左右両縁42c・42dから左右方向に離れる隙間Hを設けて、フードパネル8Cの上面8dから下がる段差部10Aの左右方向の端縁10bを、配置させている。そのため、エアバッグカバー42Cが、前後方向の寸法より、左右方向の寸法を長くした幅広として、幅方向に熱によって膨張し、エアバッグカバー42Cの一般部43の左側部43cや右側部43dを、フードパネル8Cの幅方向の左右両側へ伸ばすように移動させても、隙間H分、段差部10A上で滑るだけで、アウタパネル9Cと干渉しない。
なお、エアバッグカバー42Cの左右の縁42C・42d付近の下面側には、連結壁部50が配置されており、連結壁部50の左右方向の縁50dと、フードパネル8Cの段差部10Aにおける左右方向の内側の縁9eと、の間にも、隙間Hが設けられていることから、熱によって、連結壁部50が、ケース26を越えて、左右方向に伸びても、変形を生ずるようなフードパネル8Cとの干渉は、防止されることとなる。
したがって、エアバッグカバー42Cが、フードパネル8Cの幅方向の全域に配設されておらず、エアバッグカバー42Cの左右両縁42c・42d付近におけるフードパネル8Cの左右の縁8f・8gを上方に露出させるように、配設されていても、エアバッグカバー42Cの熱膨張による変形を、防止できる。
また、この第4実施形態の歩行者用エアバッグ装置M4は、エアバッグカバー42Cが、第1実施形態のエアバッグカバー42より、左右方向の幅寸法を若干小さくさせて、フードパネル8Cの幅方向の両縁8f・8gを、段差部10Aを設けて、上方に露出させた点が相違するだけであって、他のエアバッグ38やインフレーター33等の構成は、第1実施形態と同様であり、エアバッグカバー42Cは、連結手段23や図示しない取付手段22・23が設けられて、フードパネル8Cの幅方向に移動可能に、フードパネル8Cに取り付けられている。
そして、段差部10Aは、エアバッグカバー42Cの一般部43の前側部43aの下方のアウタパネル9Cの段差部10と、高さを略連なるように構成され、また、フードパネル8Cの縁8f・8gの上面8dは、フードパネル8Cの前部8c側の上面8dから、高さを略一致させて連なっている。そのため、フードパネル8Cの縁8f・8gの上面8dは、エアバッグカバー42Cの上面42dとも高さを略一致させている。
したがって、第4実施形態では、フードパネル8Cの縁8f・8gとエアバッグカバー42Cの縁42C・42dとの間に、段差部10Aの一部10cが露出するものの、フードパネル8Cの左右の縁8f・8gや前部8cの上面8dと、エアバッグカバー42Cの上面42bと、が、高さを略一致させることから、極力、エアバッグカバー42C付近の意匠性を良好にすることができる。
本発明の第1実施形態である歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の側面図である。 第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の平面図である。 第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の車両前後方向に沿った概略断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。 第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の車両前後方向に沿った概略断面図であり、図2のIV−IV部位に対応する。 図4の部分拡大図である。 図5のVI方向から見た概略図である。 図5のVII方向から見た概略図である。 図5のVIII方向から見た概略図である。 図5のIX方向から見た概略図である。 第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の平面図である。 第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置の車両前後方向に沿った概略断面図であり、図10のXI−XI部位に対応する。 図11のXII方向から見た概略図である。 第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置の車両前後方向に沿った概略断面図である。 第4実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の平面図である。 第4実施形態の歩行者用エアバッグ装置におけるフードパネルの幅後方に沿った概略部分断面図であり、図14のXV−XV部位に対応する。
符号の説明
8・8A・8B・8C…フードパネル、
8a…(フードパネルの)後部、
8b…(フードパネルの)後端、
8c…(フードパネルの)前部、
9・9A・9B・9C…アウタパネル、
15・15A・15B…インナパネル、
21…結合手段、
22・24…取付手段、
26・26A・26B…ケース、
33…インフレーター、
38…エアバッグ、
42・42A・42B・42C…エアバッグカバー、
43…一般部、
43a…前側部、
43b…後側部、
44…係止フック、
44a…凹溝、
45…案内ピン、
46…案内ボス、
47…支持突起、
49・49A・49B…ケースカバー部、
51…扉部、
60…結合連結手段、
V…車両、
M1・M2・M3・M4…歩行者用エアバッグ装置。

Claims (6)

  1. 車両の板金製のフードパネルの後部側に搭載されて、
    膨張用ガスを流入させて、少なくとも前記フードパネルの後部側上面を覆うように膨張するエアバッグと、
    該エアバッグを折り畳んで収納するケースと、
    膨張時の前記エアバッグを突出可能として、折り畳んだ前記エアバッグの上方側を覆う合成樹脂製のエアバッグカバーと、
    を備えて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグカバーが、前記フードパネルの前部側の上面と連なるように、前記フードパネルの後部側の上方で、かつ、前記フードパネルの幅方向に長く延びて、配設されるとともに、前記フードパネルの幅方向に移動可能として、前記フードパネルに取り付けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  2. 前記エアバッグカバーが、前記フードパネルの幅方向の全域に、配設されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグカバーが、膨張する前記エアバッグに押されて開く扉部を有して前記ケースの上方側を覆うケースカバー部と、一般部と、を備えて構成され、
    前記ケースカバー部が、前記フードパネルの後端から離れた前記エアバッグカバーの前側に、配設され、
    前記一般部が、少なくとも前記フードパネルの後端側に、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  4. 前記フードパネルの後端側の前記一般部が、前記フードパネルの前後方向にも移動可能として、前記フードパネルに取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  5. 前記エアバッグカバーが、膨張する前記エアバッグに押されて開く扉部を有して前記ケースの上方側を覆うケースカバー部、を備えて構成され、
    前記ケースカバー部が、前記エアバッグカバーの前後方向の略全域を占めて、前記フードパネルの後端に、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の歩行者用エアバッグ装置。
  6. 前記フードパネルが、上面側のアウタパネルと、下面側に位置して、前記アウタパネルより強度を向上させたインナパネルと、を備えて構成され、
    前記ケースが、前記インナパネルに、結合または一体化され、
    前記エアバッグカバーの少なくとも前縁側が、前記アウタパネルに、取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。
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