JP2005260168A - トランジスタを備えた装置およびその製造方法 - Google Patents

トランジスタを備えた装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特性の異なる複数の薄膜トランジスタを同一基板上に備えた、高性能で信頼性の高い装置を提供する。
【解決手段】同一基板101の上に形成された高電圧用薄膜トランジスタ100Aおよび低電圧用薄膜トランジスタ100Bを含む複数のトランジスタを備えている。高電圧用薄膜トランジスタ100Aは、N層(Nは2以上の整数)の絶縁層104、107を含む第1ゲート絶縁膜と、第1ゲート絶縁膜を介して対向する第1半導体層103Aおよび第1ゲート電極108Aとを有し、低電圧用薄膜トランジスタ100Bは、N層の絶縁層104、107のうちの少なくともM層(Mは1以上でNより小さい整数)の絶縁層107を含む第2ゲート絶縁膜と、第2ゲート絶縁膜を介して対向する第2半導体層103Bおよび第2ゲート電極108Bとを有している。第2半導体層103Bは、N層の絶縁層104、107のうちで第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層104と第2ゲート絶縁膜とによって挟まれている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のトランジスタを備えた装置およびその製造方法に関する。
薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と略すことがある)は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置(LCD)において、画素毎に設けられるスイッチング素子として表示部に用いられるとともに、駆動回路にも用いられている。また、密着型イメージセンサ等のLSIにも応用されている。これらの用途では、従来から、非晶質シリコン膜を活性層として用いた非晶質シリコンTFTが広く用いられているが、最近では、多結晶シリコン膜を活性層として用いた多結晶シリコンTFTが実用化されている。以下、非晶質シリコンTFTは「α−Si TFT」、多結晶シリコンTFTは「p−Si TFT」とそれぞれ略すことがある。多結晶シリコン膜の電界効果移動度は、非晶質シリコン膜の電界効果移動度よりも高いため、p−Si TFTは、α―Si TFTよりも高速な動作が可能である。
また、p−Si TFTを用いてLCDを製造する場合、p−Si TFTは高速動作が可能であることから、画素スイッチング用TFTとして用いる以外に、駆動回路用TFTとしても用いることができる。これにより、駆動回路などの周辺回路と表示部とを同一基板上に一体形成することが可能となるため、駆動用ICが不要になるとともに、表示部と駆動用ICとの接続部が省略できるので、よりコンパクトなLCDを構成できるという利点がある。
さらに、近年、駆動回路だけではなく、より高度な機能回路(ロジックなど)を表示部と同一の基板上に集積する、いわゆるシステムオングラス(System On Glass)の実現が期待されており、そのような高度な機能回路用TFTを形成するために、p−Si TFTの高性能化に関する開発が盛んに行われている。
以下、図面を参照しながら、従来のp−Si TFTの構成および製造方法の一例を説明する。
図4(a)〜(f)は従来の薄膜トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。
まず、図4(a)に示すように、基板1上にSiO2膜(厚さ:例えば300nm)からなるベースコート2を形成する。その上に、PCVD(plasma chemical vapor deposition)法によりアモルファス状態のシリコン層(厚さ:例えば50nm)3aを形成する。次に、イオンドーピング法を用いて、ボロンイオンを1×1016〜1×1017/cm3程度の濃度になるようにシリコン層3aに注入する。
続いて、図4(b)に示すように、シリコン層3aを光で照射して、シリコン層3aを結晶化させる。これにより、図4(c)に示すように、多結晶シリコン層3bが得られる。
この後、図4(d)に示すように、多結晶シリコン層3bを所定の形状に加工し、半導体層4を得る。半導体層4を覆うように、例えばSiO2からなるゲート絶縁膜(厚さ:例えば10nm〜120nm)5を形成する。ゲート絶縁膜5の上には、スパッタ法を用いて400nmの導電層を堆積した後、導電層をドライエッチング等で所定の形状に加工することにより、ゲート電極6を形成する。
次に、図4(e)に示すように、ゲート電極6をマスクとして半導体層4にリンイオンをイオン注入する。半導体層4のうちリンイオンが注入された領域は、ソース領域7およびドレイン領域8となり、半導体層4のうちゲート電極6に覆われている領域は、チャネル領域9となる。この後、ソース領域7、ドレイン領域8を活性化させるために熱処理を行う。例えば、窒素雰囲気中で400〜640℃の温度で、1〜240分間の熱処理を行う。
次に、図4(f)に示すように、ゲート電極6およびゲート絶縁膜5の上に、層間絶縁膜10を形成する。層間絶縁膜10には、ソース領域7、ドレイン領域8にそれぞれ達するコンタクトホールを形成する。次に、コンタクトホールの内部および層間絶縁膜10の表面に金属膜を堆積した後、金属膜をパターニングすることにより、コンタクトホールを介してソース領域7、ドレイン領域8にそれぞれ接続された電極配線11が形成される。最後に、層間絶縁膜10および電極配線11を覆うパッシベーション膜12を形成する。これにより、p−Si TFTが得られる。
図4(f)に示すp−Si TFTを用いて、LCDの駆動回路および演算回路などの機能回路を同一基板上に形成しようとする場合、以下のような問題がある。
LCDの駆動回路用TFTは、液晶を駆動する為、比較的高い電圧(例えば7〜15V程度)で動作させる必要がある。
一方、より高度な機能回路を動作させる為、p−SiTFTを高性能化する方法の一つとして、ゲート絶縁膜を薄膜化する方法が知られている。この方法を用いるとp−SiTFTのしきい値電圧(Vth)を下げ、駆動能力を上げることが出来るが、TFTの耐圧が低くなってしまう。この為、機能回路用TFTは、比較的低い電圧(例えば3〜5V程度)で動作させることが望ましい。
これらのTFTが同一の構成を有していれば、図4(a)〜(f)に示すような従来方法を用いて、これらのTFTを同一基板上に同時に形成することが極めて容易である。しかし、高い電圧で動作させるTFT(以下、「高電圧用TFT」または「高電圧用薄膜トランジスタ」と称する)および、高電圧用TFTの駆動電圧よりも低い電圧で動作させるTFT(以下、「低電圧用TFT」または「低電圧用薄膜トランジスタ」と称する)では、要求される特性がそれぞれ異なっており、そのようなTFT特性を発揮できるTFT構成もそれぞれ異なっている。例えば、高電圧用TFTでは、高い電圧の印加に耐えるために、ゲート絶縁膜の厚さを大きくすることが望ましいが、ゲート絶縁膜の厚さを大きくする構成を低電圧用TFTに適用すると、TFTの駆動能力が低下し、高速動作が困難になる。
このように、高電圧用TFT(例えば駆動回路用TFT)と低電圧用TFT(例えば機能回路用TFT)とが同一の構成を有すると、それぞれのTFTは要求される特性を十分に備えることができないという問題が生じる。一方、従来方法を用いて、互いに異なる構成を有する高電圧用TFTおよび低電圧用TFTを同一基板上に製造しようとすると、工程数の大幅な増加や歩留の低下が生じるおそれがある。
上記問題を解決するために、製造工程数を大幅に増やすことなく、駆動電圧に応じて異なる構成を有する複数のTFTを同一基板上に形成する方法が提案されている。例えば、特許文献1は、表示装置の画素部および駆動回路部に共通のゲート絶縁膜を設けて、そのゲート絶縁膜に対して部分的にエッチングを行うことにより、画素部に厚いゲート絶縁膜を有するTFT、駆動回路部にゲート絶縁膜の薄いTFTをそれぞれ形成する方法を開示している。しかし、この方法では、各TFTのゲート絶縁膜の厚さを均一かつ精確に制御することは困難であり、TFTの信頼性を確保できない。
また、特許文献2は、高電圧用TFTのみをLDD構造とするとともに、高電圧用TFTのゲート絶縁膜の厚さを低電圧用TFTのゲート絶縁膜の厚さよりも大きくした薄膜トランジスタ装置およびその製造方法が提案されている。この特許文献では、高電圧用TFTと低電圧用TFTとの間でゲート絶縁膜の厚さを変えるために、図5(a)〜(c)に示す方法で各TFTを形成している。まず、基板1における、低電圧用TFTを形成する領域および高電圧用TFTを形成する領域に、それぞれ第1および第2半導体層4、4’を設け、それらを覆う第1の絶縁膜5を形成する。次いで、第1の絶縁膜5の上に金属層6aを形成する(図5(a))。この後、図5(b)に示すように、金属層6aをエッチングすることにより、第1半導体層4の上方に第1ゲート電極6を設ける。続いて、基板1の全面に第2の絶縁膜15を形成した後、第2半導体層4’の上方に、第2ゲート電極6’を設ける。これにより、第1および第2の絶縁膜5、15からなる厚いゲート絶縁膜を有する高電圧用TFTと、第1の絶縁膜5のみからなる薄いゲート絶縁膜を有する低電圧用TFTを同一基板上に形成できる。
しかしながら、特許文献2の方法では、第1の絶縁膜5を形成した後、第2の絶縁膜15を形成する前に、第1の絶縁膜5の上に第1ゲート電極(低電圧用TFT用のゲート電極)6を設ける必要がある。第1ゲート電極6は、通常、金属層6aを形成し、この金属層6aをドライエッチングすることにより設けられる。そのため、高電圧用TFTのゲート絶縁膜を構成する2層の絶縁膜5、15の間に、図5(b)に示すように、金属元素を含む不純物が混入したりするおそれがある。その結果、高電圧用TFTにおいて、ゲート絶縁膜の耐圧等の信頼性が低下してしまい、LCDに要求される信頼性が得られなくなる。
特開平5−142571号公報 特開2003−45892号公報
本発明の目的は、同一基板上に形成された高電圧用薄膜トランジスタおよび低電圧用薄膜トランジスタの信頼性を確保しつつ、それぞれの薄膜トランジスタの特性を、用途に応じて制御することである。
本発明の装置は、同一基板上に形成された高電圧用薄膜トランジスタおよび低電圧用薄膜トランジスタを含む複数のトランジスタを備えており、前記高電圧用薄膜トランジスタは、N層(Nは2以上の整数)の絶縁層を含む第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜を介して対向する第1半導体層および第1ゲート電極とを有し、前記低電圧用薄膜トランジスタは、前記N層の絶縁層のうちの少なくともM層(Mは1以上でNより小さい整数)の絶縁層を含む第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜を介して対向する第2半導体層および第2ゲート電極とを有し、前記第2半導体層は、前記N層の絶縁層のうちで前記第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層と前記第2ゲート絶縁膜とによって挟まれている。
前記第1ゲート電極のチャネル方向のサイズは、前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズよりも長いことが好ましい。
ある好ましい実施形態において、前記第1半導体層は、第1導電型の不純物を第1濃度で含む第1チャネル領域を有しており、前記第2半導体層は第2チャネル領域を有し、前記第2チャネル領域は前記第1導電型の不純物を第2濃度で含むチャネル層を含む。
前記第1チャネル領域における前記第1濃度は、前記第2チャネル領域の前記チャネル層における前記第2濃度と異なることが好ましい。
前記第1チャネル領域における前記第1濃度は、前記第2チャネル領域の前記チャネル層における前記第2濃度よりも高くてもよい。
前記第2チャネル領域は、前記チャネル層と前記第2ゲート絶縁膜との間に形成された他のチャネル層をさらに有していてもよい。
ある好ましい実施形態において、前記他のチャネル層は、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含み、前記他のチャネル層の前記第2導電型の不純物の濃度は、前記チャネル層における前記第2濃度よりも高い。
前記第1導電型はn型、前記第2導電型はp型であり、前記チャネル層の前記第1導電型の不純物はボロンであり、前記他のチャネル層の前記第2導電型の前記不純物はリンであり、前記チャネル層の前記第2濃度は1×1016/cm3以上1×1018/cm3以下であってもよい。
ある好ましい実施形態において、前記他のチャネル層は前記第1導電型の不純物を含み、前記他のチャネル層の前記第1導電型の不純物の濃度は、前記チャネル層の前記第2濃度よりも低い。
前記第1導電型はp型であり、前記チャネル層の前記第1導電型の不純物はボロンであってもよい。
ある好ましい実施形態において、前記他のチャネル層は真性半導体である。
前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズは1.0μm以下であってもよい。
前記他のチャネル層の厚さの前記チャネル層の厚さに対する比(他のチャネル層の厚さ/チャネル層の厚さ)は、0.1以上であり、かつ2よりも小さいことが好ましい。
本発明による製造方法は、N層(Nは2以上の整数)の絶縁層を含む第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜を介して対向する第1半導体層および第1ゲート電極とを有する高電圧用薄膜トランジスタ、および前記N層の絶縁層のうちの少なくともM層(Mは1以上でNより小さい)の絶縁層を含む第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜を介して対向する第2半導体層および第2ゲート電極とを有する低電圧用薄膜トランジスタを含む複数のトランジスタを備えた装置の製造方法であって、前記製造方法は、(a)前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第1半導体層を形成する工程と、(b)前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第2半導体層を形成する工程と、(c)前記高電圧用および低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記N層の絶縁層を形成する工程を包含し、前記工程(c)は、(c1)前記N層のうちで前記第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層を形成する工程と、(c2)前記M層の絶縁層を形成する工程とを含んでおり、前記工程(b)は、前記工程(c1)および工程(c2)の間に実行される。なお、工程(c1)および工程(c2)のうちいずれの工程が先に実行されてもよい。従って、工程(c1)の後、工程(b)を経て工程(c2)が実行されてもよいし、工程(c2)の後、工程(b)を経て工程(c2)が実行されてもよい。また、工程(a)は、工程(b)や工程(c)の後に実行されてもよいし、それらの工程の前に実行されてもよい。
ある好ましい実施形態において、(d)前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第1ゲート電極を設ける工程と、(e)前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第2ゲート電極を設ける工程とをさらに包含し、前記第1ゲート電極のチャネル方向のサイズが前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズよりも長くなるように、前記第1および第2ゲート電極が設けられる。
前記工程(a)は、第1導電型の不純物を第1濃度で含む第1シリコン膜を形成する工程を含み、前記工程(b)は、(b1)前記第1導電型の不純物を、前記第1濃度と異なる第2濃度で含む第2シリコン膜を形成する工程を含むことができる。
前記工程(b)は、(b2)他のシリコン膜を形成する工程をさらに含み、前記工程(b2)は、前記工程(b1)と前記工程(c2)との間に実行されてもよい。
ある好ましい実施形態において、前記他のシリコン膜は、前記第2濃度よりも低い濃度で、前記第1導電型の不純物を含む。
ある好ましい実施形態において、前記他のシリコン膜は、前記第2濃度よりも高い濃度で、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む。
ある好ましい実施形態において、前記他のシリコン膜は、実質的に不純物を含まない。
本発明による他の製造方法は、高電圧用薄膜トランジスタおよび低電圧用薄膜トランジスタを含む複数の薄膜トランジスタを備えた装置の製造方法であって、前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層を覆う第1絶縁層とを有する基板を用意する工程と、前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域において、前記第1絶縁層の上に第2半導体層を形成する工程と、前記第1絶縁層および前記第2半導体層の上に第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層の上に、第1ゲート電極および第2ゲート電極を設ける工程であって、前記第1ゲート電極は前記第1半導体層のうちチャネル領域となる領域を覆うように形成され、前記第2ゲート電極は前記第2半導体層のうちチャネル領域となる領域を覆うように形成される、工程と、前記第1および第2ゲート電極をそれぞれマスクとして、前記第1半導体層および前記第2半導体層に不純物元素をドープする工程とを包含する。
ある好ましい実施形態において、前記第2半導体層を形成する工程は、前記第1絶縁層の上にシリコン膜を形成する工程と、前記シリコン膜の上に他のシリコン膜を形成する工程と、前記シリコン膜および前記他のシリコン膜をパターニングする工程とを含む。
本発明によると、用途に応じて良好な特性をそれぞれ有する複数の薄膜トランジスタを同一基板上に備えた、高性能で信頼性が高い装置を提供できる。
また、本発明によれば、上記装置を簡便に製造できる。
(実施形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明による薄膜トランジスタを備えた装置の第1の実施形態を説明する。本明細書における「薄膜トランジスタを備えた装置」は、アクティブマトリクス基板や、液晶表示装置、有機EL表示装置、LSI等を広く含むものとする。
図1は、薄膜トランジスタを備えた装置100における2種類の薄膜トランジスタ100A、100Bを示している。本実施形態の装置100は、2種類以上の薄膜トランジスタをそれぞれ単数または複数個備えているが、図1には、簡単のため、薄膜トランジスタ100A、100Bをそれぞれ1個ずつ示している。薄膜トランジスタ100A、100Bはいずれもトップゲートであるが、薄膜トランジスタ100A、100Bのうちいずれか一方または両方がボトムゲートであってもよい。なお、以下の図面では、同様の機能を有する部分は同じ番号を用いて示している。
図1に示す薄膜トランジスタ100A、100Bは、基板101の表面に形成されたベースコート102の上に形成されている。ここでは、薄膜トランジスタ100Aは、比較的高い電圧(例えば7V〜15V)で駆動する高電圧用TFTであり、薄膜トランジスタ100Bは、高電圧用TFTの駆動電圧よりも低い電圧(例えば3〜5V)で駆動する低電圧用TFTである。
薄膜トランジスタ100Aは、基板101の上に、ベースコート102を介して形成された半導体層103Aと、半導体層103Aを覆う第1および第2の絶縁層104、107と、第2の絶縁層107の上に設けられたゲート電極108Aとを有している。第1および第2の絶縁層104、107は、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜として機能する。半導体層103Aは、チャネル領域106Aとその両端に設けられたソースおよびドレイン領域105Aとを有している。チャネル領域106Aは、例えば、不純物(ボロンなど)が注入された多結晶シリコン薄膜から形成されている。不純物の濃度は、1×1016/cm3〜1×1018cm3の範囲で、薄膜トランジスタ100Aがエンハンスメント型TFTとなるように適宜選択されることが好ましい。
第2の絶縁層107およびゲート電極108Aを覆うように、層間絶縁層116が形成されている。層間絶縁層116、第1の絶縁層104および第2の絶縁層107には、ソースおよびドレイン領域105Aにそれぞれ達するコンタクトホールが形成されている。層間絶縁層116の上には、ソースおよびドレイン電極117Aが形成されている。ソースおよびドレイン電極117Aは、コンタクトホールを介して、それぞれソースおよびドレイン領域105Aと接続されている。また、ゲート電極108Aは、ゲート配線(図示せず)と接続されている。好ましくは、層間絶縁層116とソースおよびドレイン電極117Aを覆うように、パッシベーション膜119が設けられている。
一方、薄膜トランジスタ100Bは、基板101の上に、ベースコート102を介して形成された第1の絶縁層104の上に形成された半導体層103Bと、半導体層103Bを覆う第2の絶縁層107と、第2の絶縁層107の上に設けられたゲート電極108Bとを有している。第2の絶縁層107は、薄膜トランジスタ100Bのゲート絶縁膜として機能する。半導体層103Bは、チャネル領域106Bとその両端に設けられたソースおよびドレイン領域105Bとを有している。チャネル領域106Bは、例えば、多結晶シリコン薄膜に不純物(ボロンなど)を注入することにより形成されている。チャネル領域106Bの不純物の濃度は、1×1016/cm3〜5×1017cm3の範囲で、薄膜トランジスタ100Aが所望のVthが得られるように適宜選択されることが好ましい。
第2の絶縁層107およびゲート電極108Bを覆うように、層間絶縁層116が形成されている。層間絶縁層116および第2の絶縁層107には、ソースおよびドレイン領域105Bにそれぞれ達するコンタクトホールが形成されている。層間絶縁層116の上には、ソースおよびドレイン電極117Bが形成されている。ソースおよびドレイン電極117Bは、コンタクトホールを介して、それぞれソースおよびドレイン領域105Bと接続されている。また、ゲート電極108Bは、ゲート配線(図示せず)と接続されている。好ましくは、層間絶縁層116とソースおよびドレイン電極117Bを覆うように、パッシベーション膜119が設けられている。
薄膜トランジスタを備えた装置100は、上記構成を有しているので、異なる特性を有する少なくとも2種類の薄膜トランジスタ100A、100Bを同一基板上に有する。
薄膜トランジスタ100Aでは、第1および第2の絶縁層104、107をゲート絶縁膜として用いているため、印加される電圧に対して従来よりも高い耐圧を有している。一方、薄膜トランジスタ100Bでは、第2の絶縁層107のみをゲート絶縁膜として用いているため、ゲート絶縁膜の厚さが小さい。従って、従来よりも高い駆動能力が可能となっている。
好ましくは、ゲート電極108Aのチャネル方向のサイズ(ゲート長LA)は、ゲート電極108Bのチャネル方向のサイズ(ゲート長LB)よりも大きい。これにより、薄膜トランジスタ100Aの信頼性をさらに向上できるとともに、薄膜トランジスタ100Bの駆動能力をさらに向上できる。
薄膜トランジスタ100A、100Bのゲート絶縁膜の厚さはそれぞれ適宜選択され得る。本実施形態において、薄膜トランジスタ100Aの駆動電圧を7〜15V程度に設定する場合、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜の厚さ(第1および第2の絶縁層104、107の厚さの合計)は、例えば20nm以上150nm以下である。また、薄膜トランジスタ100Bの駆動電圧を3〜5V程度に設定する場合、薄膜トランジスタ100Bのゲート絶縁膜の厚さ(第2の絶縁層107の厚さ)は、例えば10nm以上50nm以下である。
本実施形態では、薄膜トランジスタ100Aのゲート長LAは、例えば3.0μm以上7.0μm以下の範囲に設定される。また、薄膜トランジスタ100Bのゲート長LBは、ゲート長LAよりも小さく、例えば1.0μm以上5.0μm以下の範囲に設定される。
第1および第2半導体層103A、103Bの厚さはそれぞれ、オフリーク電流の増加を抑制するためには100nm以下であることが好ましく、例えば50nmである。
なお、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜は2層から構成されているが(N=2)、ゲート絶縁膜の層数は3以上であってもよい。同様に、薄膜トランジスタ100Bのゲート絶縁膜は、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜を構成するN層のうち1層または複数層を含むことができる。
次に、図面を参照しながら、薄膜トランジスタ100A、100Bの製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、基板101上に、例えばSiO2膜からなるベースコート(厚さ:例えば300nm)102を形成する。ベースコート102の上に、アモルファス状のシリコン薄膜などの非晶質半導体膜(厚さ:例えば50nm)103aを形成する。非晶質半導体膜103aは、シラン(SiH4)と、あらかじめHe、H2で希釈したB25とを混合した混合シランガス(混合比(B25/SiH):10〜100ppm)を用いて、300〜500℃の温度でPCVD法により形成することができる。非晶質半導体膜103aの不純物(ボロン)濃度は、例えば1×1016/cm3〜1×1018cm3である。
次に、図2(b)に示すように、非晶質半導体膜103aをアニールして結晶化させた後、所定の形状に加工して半導体層103Aを得る。非晶質半導体膜103aの結晶化は、例えばエキシマレーザ等を用いた光照射によって行うことができる。得られた半導体層103Aを覆うように、半導体層103Aおよびベースコート102の上に、SiO2層などの第1の絶縁層104(厚さ:例えば10〜100nm)を形成する。
第1の絶縁層104の上に、アモルファス状のシリコン薄膜などの非晶質半導体膜(厚さ:例えば50nm)103bを形成する。非晶質半導体膜103bは、非晶質半導体膜103aと同様の方法で形成できる。このとき、非晶質半導体膜103bの不純物(ボロン)濃度(例えば1×1016/cm3〜5×1017cm3)は、非晶質半導体膜103aの不純物濃度とは別個に制御できるので、有利である。続いて、図2(c)に示すように、非晶質半導体膜103bをアニールする。ここでは、エキシマレーザ等を用いた光照射106により、アニールを行う。
その結果、図2(d)に示すように、非晶質半導体膜103bが結晶化されて、結晶質半導体膜103B’が得られる。この後、図2(e)に示すように、結晶質半導体膜103B’を所定の形状に加工することにより、半導体層103Bを形成する。これにより、下層である第1の絶縁層104に金属等の不純物汚染を与えることなく、半導体層103Bを形成できる。続いて、半導体層103Bを覆うように、半導体層103Bおよび第1の絶縁層104の上に、SiO2層などの第2の絶縁層(厚さ:例えば10〜50nm)107を形成する。第2の絶縁層107の上には、半導体層103A、103Bのチャネル領域となる領域をそれぞれ覆うように、ゲート電極108A、108Bを設ける。ゲート電極108A、108Bは以下の方法で形成できる。まず、スパッタ法を用いてタングステンなどの導電膜を形成する。この後、導電膜を所定の形状に加工する。このとき、好ましくは、ゲート電極108Aのゲート長LAがゲート電極108Bのゲート長LBよりも大きくなるように、導電膜を加工する。これにより、ゲート電極108A、108Bを得る。
続いて、図2(f)に示すように、ゲート電極108A、108Bをマスクとして、半導体層103A、103Bに不純物イオン(例えばリンイオン)109を注入する。これにより、半導体層103Aにソースおよびドレイン領域105A、半導体層103Bにソースおよびドレイン領域105Bが形成される。半導体層103Aのうちゲート電極108Aで覆われた領域は、薄膜トランジスタ100Aのチャネル領域106Aとなり、半導体層103Bのうちゲート電極108Bで覆われた領域は、薄膜トランジスタ100Bのチャネル領域106Bとなる。この後、ソースおよびドレイン領域105A、105Bを活性化するために熱処理を行ってもよい。ここでは、窒素雰囲気中で、400〜600℃の温度で1〜240分の熱処理を行う。
次に、図2(g)に示すように、第2の絶縁層107の上に層間絶縁層116を形成する。次いで、層間絶縁層116、第1の絶縁層104および第2の絶縁層107に、ソースおよびドレイン領域105Aにそれぞれ達するコンタクトホールを形成する。また、層間絶縁層116および第2の絶縁層107に、ソースおよびドレイン領域105Bにそれぞれ達するコンタクトホールを形成する。この後、コンタクトホール内部および層間絶縁層116上に導電膜を堆積し、その導電膜をパターニングすることにより、ソース/ドレイン領域105A、105Bと接続するソース/ドレイン電極117A、117Bを形成する。最後に、ソース/ドレイン電極117A、117Bおよび層間絶縁層116を覆うパッシベーション膜119を形成する。これにより、薄膜トランジスタ100A、100Bを同一基板上に形成できる。
上記製造方法によれば、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜として機能する複数の絶縁層(第1および第2の絶縁層104、107)を順次形成するプロセスの間に、ゲート電極となる金属層の形成およびエッチングを行う必要がないので、信頼性に影響する様な金属汚染を防止できる。なお、本実施形態では、上記プロセスの間に、半導体膜の形成およびエッチングを行うことにより、薄膜トランジスタ100Bの半導体層103Bを設ける必要がある。しかし、半導体膜は比較的薄い為、比較的厚い金属層からゲート電極を形成する場合に比べ、オーバーエッチ時間を少なく出来る。この為、半導体膜の下層にある第1の絶縁層104は、オーバーエッチ時にプラズマに曝されることによる損傷が比較的少なくてすむ。従って、金属元素を含む不純物が第1の絶縁層104に混入することや、金属層のエッチングの際に第1の絶縁層104が損傷を受けることなどに起因する、薄膜トランジスタ100Aのゲート絶縁膜の信頼性の低下を防止できる。
上記製造方法において、薄膜トランジスタ100A、100Bにおけるチャネル領域106A、106Bの不純物濃度は、別個に制御されることが望ましい。これにより各薄膜トランジスタの用途に応じて最適なVthが得られる。
チャネル領域106Aの不純物濃度は、チャネル領域106Bの不純物濃度よりも高いことが好ましい。これにより、薄膜トランジスタ100AのVthを、薄膜トランジスタ100BのVthよりも高くすることができる。
薄膜トランジスタ100Aのチャネル領域106Aの不純物濃度は、例えば、ゲート長LAが4.0μmのときVthが2.0V程度となるように設定される。このようにVthを十分高くすることにより、ゲート電圧が0Vのときにドレイン電流が流れることを防止できる。また、薄膜トランジスタ100Aのゲート長LAを比較的長く(例えば4.0μm程度)すると、より高い信頼性を確保できるので好ましい。
一方、薄膜トランジスタ100Bのチャネル領域106Bの不純物濃度は、例えば、ゲート長LBが2.0μmのときVthが1.0V程度となるように設定される。このようにVthを十分低くするとともに、ゲート絶縁膜(第2の絶縁層107)の厚さを小さくすると、低い駆動電圧(3〜5V)で十分な駆動能力を有する薄膜トランジスタ100Bを形成できる。
この結果、薄膜トランジスタ100Aは、高電圧用TFT(例えば、液晶表示装置の駆動回路用TFTなど)として好適に用いられ、薄膜トランジスタ100Bは、低電圧用TFT(例えば、液晶表示装置の機能回路用TFTなど)として好適に用いられる。
なお、薄膜トランジスタ100A、100Bがボトムゲートの場合には、薄膜トランジスタ100Aの第1ゲート電極および薄膜トランジスタ100Bの第2ゲート電極を設けた後、それらのゲート電極を覆う第1絶縁層を形成する。その後、第2ゲート電極と重なるように第2半導体層を形成する。次いで、第1絶縁層と第2半導体層との上に第2絶縁層を形成する。第2絶縁層の上には、第1ゲート電極と重なるように第1半導体層を形成する。これによりゲート絶縁膜の厚さが異なる2つのボトムゲートTFTを同一基板上に形成できる。この場合でも、ゲート絶縁膜を形成する工程(第1絶縁層および第2絶縁層を形成する工程)の間に、金属層の形成およびエッチングを行わないので、信頼性の高い薄膜トランジスタを形成できる。同様に、薄膜トランジスタ100A、100Bのうち、いずれか一方の薄膜トランジスタがトップゲートであり、他方がボトムゲートである場合でも、ゲート絶縁膜を形成する工程の間に第2半導体層を形成することにより、高い信頼性を有し、ゲート絶縁膜の厚さが異なる複数の薄膜トランジスタを同一基板上に形成できる。
(実施形態2)
駆動電圧に応じて異なる構成を有する複数のTFTを同一基板上に備えた装置において、各TFTをさらに高性能化できれば有利である。TFT(p−Si TFT)を高性能化する技術は従来から開発されているが、そのような技術の一つにゲート長(L)を短くし、ゲート絶縁膜を薄膜化する等、トランジスタをより微細化する方法がある。特に、機能回路などに用いられる低電圧用TFTをさらに微細化できれば、より高機能な回路(メモリやCPUなど)を同一基板上に集積できるメリットがある。
しかし、低電圧用TFTのゲート長LBを短くし、ゲート絶縁膜の厚さを小さくすると、チャネル層内の空乏層が広がり、実行的なゲート長が短くなる、いわゆる「短チャネル効果」が表れてくる。短チャネル効果を抑制するために、チャネル層の不純物濃度を増加させ、空乏層の広がりを抑制する方法が知られているが、チャネル層の不純物濃度を単純に増加させるとTFTのしきい値電圧Vthが増大するおそれがある。
Vthが増大すると、3〜5V程度の低電圧で高速に駆動できなくなる。また、高速に駆動させる為に電圧を上げると、ゲート絶縁膜の厚さが小さい為に、TFTの耐圧が低下しTFTが劣化しやすくなるという問題が発生する。
上記問題を解決するために、本実施形態の薄膜トランジスタを備えた装置は以下のような構成を有する。より高い駆動能力が求められる低電圧用TFTを微細化するために、ゲート長LBを例えば1.0μm以下とすると、前述したような短チャネル効果がより顕著に発生する。そこで、本実施形態では、低電圧用TFTのチャネル領域内の不純物濃度分布を精密に制御する。これにより、ゲート長LBを短くした場合でも、短チャネル効果を抑制しつつ、しきい値電圧Vthを低くすることができる。
より具体的には、低電圧用TFTにおいて、複数層(2層以上)を有するチャネル領域を形成する。例えば、高い不純物濃度を有するチャネル層(第1チャネル層)とゲート絶縁膜との間に、Vthを低くするための他のチャネル層(第2チャネル層)を設ける。第2チャネル層は、第1チャネル層に含まれる不純物の導電型と同一の導電型の不純物を、第1チャネル層の不純物濃度よりも低い不純物濃度で含んでいてもよい。または、第1チャネル層に含まれる不純物の導電型と異なる導電型の不純物を含んでいてもよい。さらに、第2チャネル層は実質的に不純物を含まない真性半導体層であってもよい。
以下、図面を参照しながら、本実施形態の薄膜トランジスタを備えた装置の構成を説明する。
図3(f)は、本実施形態の装置200における2種類の薄膜トランジスタ200A、200Bを示す。薄膜トランジスタ200A、200Bは、基板201の表面に形成されたベースコート202の上に形成されている。ここでは、薄膜トランジスタ200Aは、比較的高い電圧(例えば7V〜15V)で駆動する高電圧用TFTであり、薄膜トランジスタ200Bは、高電圧用TFTの駆動電圧よりも低い電圧(例えば3〜5V)で駆動する低電圧用TFTである。
薄膜トランジスタ200Aは、基板201の上に、ベースコート202を介して形成された半導体層203Aと、半導体層203Aを覆う第1および第2の絶縁層204、207と、第2の絶縁層207の上に設けられたゲート電極208Aとを有している。第1および第2の絶縁層204、207は、薄膜トランジスタ200Aのゲート絶縁膜として機能する。半導体層203Aは、チャネル領域206Aとその両端に設けられたソースおよびドレイン領域205Aとを有している。チャネル領域206Aは、例えば、不純物(ボロンなど)が注入された多結晶シリコン薄膜から形成されている。不純物の濃度は、1×1016/cm3〜1×1018cm3の範囲で、薄膜トランジスタ200Aがエンハンスメント型TFTとなるように適宜選択することが好ましい。また、ゲート電極208Aのゲート長LAは、好ましくは、後述する薄膜トランジスタ200Bのゲート長LBよりも長い。
第2の絶縁層207およびゲート電極208Aを覆うように、層間絶縁層216が形成されている。層間絶縁層216、第1の絶縁層204および第2の絶縁層207には、ソースおよびドレイン領域205Aにそれぞれ達するコンタクトホールが形成されている。層間絶縁層216の上には、ソースおよびドレイン電極217Aが形成されている。ソースおよびドレイン電極217Aは、コンタクトホールを介して、それぞれソースおよびドレイン領域205Aと接続されている。また、ゲート電極208Aは、ゲート配線(図示せず)と接続されている。好ましくは、層間絶縁層216とソースおよびドレイン電極217Aを覆うように、パッシベーション膜219が設けられている。
一方、薄膜トランジスタ200Bは、ベースコート202の上に設けられた第1の絶縁層204の上に形成された半導体層203Bと、半導体層203Bを覆う第2の絶縁層207と、第2の絶縁層207の上に設けられたゲート電極208Bとを有している。第2の絶縁層207は、薄膜トランジスタ200Bのゲート絶縁膜として機能する。半導体層203Bは、チャネル領域206B、チャネル領域206Bの両端に設けられたソースおよびドレイン領域205Bを有している。チャネル領域206Bは、第1チャネル層220Bと、第1チャネル層220Bの上に形成された第2チャネル層221Bとの積層構造を有している。なお、チャネル領域206Bは、2層以上の積層構造を有していてもよい。ゲート電極208Bのゲート長LBは、薄膜トンラジスタ200Aのゲート長LAよりも短いことが好ましく、例えば1.0μm以下である。チャネル領域206Bは、例えば、不純物(ボロンなど)が注入された多結晶シリコン薄膜から形成されている。第1チャネル層220Bの不純物の濃度は、例えば1×1016/cm3〜1×1018cm3である。短チャネル効果防止の観点から、第1チャネル層220Bの不純物濃度は比較的高く設定されることが好ましい。より好ましくは、チャネル領域206Bに広がる空乏層の幅をゲート長LBの約10分の1になるように設定される。例えばゲート長LBを1.0μmとする場合、不純物濃度は約1×1017/cm3に設定することが好ましい。第2チャネル層221Bは、薄膜トランジスタ100BのVthを制御できる層であればよく、その構成は特に限定されない。第2チャネル層221Bの厚さおよび不純物濃度は、薄膜トランジスタ200BのVthを低く抑えることができるように制御される。第2チャネル層221Bの具体的な構成例は後述する。
第2の絶縁層207およびゲート電極208Bを覆うように、層間絶縁層216が形成されている。層間絶縁層216および第2の絶縁層207には、ソースおよびドレイン領域205Bにそれぞれ達するコンタクトホールが形成されている。層間絶縁層216の上には、ソースおよびドレイン電極217Bが形成されている。ソースおよびドレイン電極217Bは、コンタクトホールを介して、それぞれソースおよびドレイン領域105Bと接続されている。また、ゲート電極208Bは、ゲート配線(図示せず)と接続されている。好ましくは、層間絶縁層216とソースおよびドレイン電極217Bを覆うように、パッシベーション膜219が設けられている。
本実施形態の薄膜トランジスタを備えた装置200は、上記構成を有しているので、異なる特性を有する少なくとも2種類の薄膜トランジスタ200A、200Bを同一基板上に形成できる。薄膜トランジスタ200Aでは、第1および第2の絶縁層204、207をゲート絶縁膜として用いているため、ゲート絶縁膜の厚さが大きく、これにより、耐圧を向上できる。また、比較的長いゲート長LAを有していると、信頼性を向上できるので好ましい。一方、薄膜トランジスタ200Bでは、第2の絶縁層207のみをゲート絶縁膜として用いている。そのためゲート絶縁膜の厚さが小さく、駆動能力を向上できる。さらに、薄膜トランジスタ200Bは、ゲート長LBをより小さくできる点で有利である。ゲート長LBがより小さい場合でも、高い不純物濃度を有する第1チャネル層220Bと、Vthを制御するための第2チャネル層221Bとを有しているので、短チャネル効果を抑制しながら、Vthを低くできる。これにより、薄膜トランジスタ200Bをさらに微細化できる。
このように、チャネル領域206A、第1チャネル層220B、および第2チャネル層221Bの不純物濃度をそれぞれ別個に制御でき、かつ、第1および第2チャネル層220B、221Bの厚さを別個に制御できるため、各薄膜トランジスタの用途に応じて最適なVthが得られる。例えば、薄膜トランジスタ200AのVthを、薄膜トランジスタ200BのVthよりも高くすることができる。薄膜トランジスタ200Aは、高電圧用TFT(例えば、液晶表示装置の駆動回路用TFTなど)として、薄膜トランジスタ200Bは、低電圧用TFT(例えば、液晶表示装置の機能回路用TFTなど)として用いることができる。特に薄膜トランジスタ200Bは、より微細な構造を有するため、より高機能な回路(メモリ、CPUなど)を集積する場合に有利である。
好ましくは、高電圧用TFTとして用いられる薄膜トランジスタ200Aのチャネル領域206Aの不純物濃度は、例えば、ゲート長LAが4.0μmのときVthが2.0V程度となるように設定される。このように、薄膜トランジスタ200Aは高いVthを有するため、ゲート電圧が0Vのときにドレイン電流が流れることを防止できる。また、薄膜トランジスタ200Aのゲート長LAが比較的長い(例えば4.0μm程度)こと、およびゲート絶縁膜が2層(第1および第2の絶縁層204、207)で形成され、比較的厚いことから、薄膜トランジスタ200Aは、耐圧に優れ、高い信頼性を有する。
一方、低電圧用TFTとして用いられる薄膜トランジスタ200Bでは、ゲート長LBが比較的短いので、駆動能力を向上できるとともに、低電圧用TFTのサイズを微細化できる。また、チャネル領域206Bのうち第1チャネル層(下層)220Bの不純物濃度は比較的高く設定されるので、ゲート長LBを小さくするために生じる短チャネル効果を効果的に抑制できる。さらに、チャネル領域206Bのうち第2チャネル層(上層)221Bの不純物濃度、不純物の種類(導電型など)、厚さ等を制御することにより、低電圧用TFTのVthを所定の低い電圧に制御できる。
薄膜トランジスタ200Bにおける半導体層203Bの厚さは、オフリーク電流の増加を抑制するためには100nm以下であることが好ましい。本実施形態では、半導体層203Bの厚さ(第1および第2チャネル層220B、221Bの合計厚さ)は、例えば50nmである。
薄膜トランジスタ200Bにおける第2チャネル層221Bの具体的な構成を以下に例示する。第2チャネル層221Bが以下のいずれの構成を有していても、薄膜トランジスタ200BのVthを所望の値に設定できる。いずれの構成を採用するかは、薄膜トランジスタ200Bに要求される特性に応じて適宜決定できる。
<構成A>第2チャネル層221Bは、第1チャネル層220Bに含まれる不純物の導電型と異なる導電型の不純物を有することができる。例えば、第1チャネル層220Bにp型不純物であるボロン、第2チャネル層221Bにn型不純物であるリンを含む。第2チャネル層221Bに含まれる不純物の濃度が十分高くすることにより、薄膜トランジスタ200BのVthを低く制御できる。このとき、第1チャネル層220Bの不純物濃度と第2チャネル層221Bの不純物濃度とを別個に制御できるため、Vthを制御しやすい。ただし、チャネル領域206Bのうちキャリアが流れる領域(ゲート絶縁膜207とチャネル領域206Bとの界面付近)において、不純物濃度が高くなるため、薄膜トランジスタ200Bを動作するときに不純物散乱効果によりキャリアの移動度が低くなるという問題が生じるおそれもある。このため、第1チャネル層220Bの厚さを大きくするとともに、第2チャネル層221Bの不純物濃度を可能な範囲で低く抑えることが望ましい。
<構成B>代わりに、第2チャネル層221Bは真性半導体層であってもよい。この場合、第2チャネル層221Bは不純物を実質的に含まないので、薄膜トランジスタ200BのVthを低くできる。また、上記方法と比べて、キャリアが流れるチャネル領域(ゲート絶縁膜207とチャネル領域206Bの界面)に不純物が含まれないため、不純物散乱効果によりキャリアの移動度が低くなるという現象は生じない。この構成では、第2チャネル層221Bの厚さを変えることにより、Vthを制御することができる。
<構成C>また、第2チャネル層221Bは、第1チャネル層220Bに含まれる不純物の導電型と同一の導電型を示す不純物を含む層であってもよい。例えば、第1チャネル層220Bおよび第2チャネル層221Bはp型不純物であるボロンを含んでいてもよい。なお、不純物の種類は異なっていてもよい。典型的には、第2チャネル層221Bの不純物濃度と第1チャネル層220Bの不純物濃度とは異なっている。第2チャネル層221Bの不純物濃度が第1チャネル層220Bの不純物濃度よりも低いと、薄膜トランジスタ200BのVthを低くできるので好ましい。この構成では、ゲート絶縁膜207とチャネル領域206Bとの界面における不純物濃度は低いので、不純物散乱効果によってキャリアの移動度が低くなるという問題はあまり顕著に現れない。
なお、第2チャネル層が構成BまたはCを有する場合、薄膜トランジスタ200BのVthは、ゲート絶縁膜207とチャネル領域206Bとの界面のトラップ準位密度および第2チャネル層221Bのトラップ準位密度によって決まるVthよりも低くならない。従って、制御できるVthに限界がある点に留意する必要がある。
次に、構成A〜Cのいずれかを有する第2チャネル層221Bの厚さ(t221)と第1チャネル層220Bの厚さ(t220)の関係を説明する。第1チャネル層220Bの厚さt220に対して第2チャネル層221Bの厚さt221を大きくしすぎると、空乏層幅を抑制する効果があまり得られない。そのため、第1チャネル層220Bの厚さt220に対する第2チャネル層221Bの厚さt221の比(t221/t220)は2より小さいことが好ましい。一方、第1チャネル層220Bの厚さに対して第2チャネル層221Bの厚さが小さすぎると、Vthを十分に低く制御できなくなるため、厚さの比(t221/t220)は0.1以上であることが好ましい。
なお、第2チャネル層221Bの構成は、上記構成A〜Cに限定されず、第2チャネル領域206Bの不純物濃度に所定の分布を与えることにより、第1チャネル層220BのVthを制御できる構成を有していればよい。また、第1および第2チャネル層220B、221Bは、それぞれ積層構造を有していてもよい。
薄膜トランジスタ200Bのゲート長LBをさらに短くする場合、空乏層幅を抑制するために、第1チャンネル層220Bの不純物濃度をさらに高濃度にする必要がある。その場合でも、構成A〜Cのいずれかを有する第2チャネル層221Bの不純物濃度や厚さなどを制御することにより、所望のVthが得られる。
薄膜トランジスタ200A、200Bは、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、基板201上に、例えばSiO2膜からなるベースコート(厚さ:例えば300nm)202を形成する。ベースコート202の上に、半導体層203Aを形成する。半導体層203Aは、図2(a)を参照しながら説明した半導体層103Aを形成する方法と同様の方法で形成できる。得られた半導体層203Aを覆うように、半導体層203Aおよびベースコート202の上に、SiO2層などの第1の絶縁層204(厚さ:例えば10〜80nm)を形成する。
第1の絶縁層204の上に、アモルファス状のシリコン薄膜などの非晶質半導体膜230bおよび非晶質半導体膜240bを順に形成する(図3(a))。これらの非晶質半導体膜230b、240bの厚さの合計は、例えば50nmである。
非晶質半導体膜230bは、図2(a)を参照しながら説明した非晶質半導体膜103aの形成方法と同様の方法で形成できる。非晶質半導体膜230bの不純物(ボロン)濃度は、例えば1×1016/cm3〜1×1018cm3である。前述したように、非晶質半導体膜203bの不純物濃度は、薄膜トランジスタ200Bにおいて、チャネル領域内に広がる空乏層の幅をゲート長LBの約10分の1になるように設定することが望ましく、例えばゲート長LBを1.0μmとする場合、不純物濃度は約1×1017/cm3に設定することが好ましい。
一方、非晶質半導体膜240bは以下に説明する方法で形成できる。形成方法は、形成しようとする第2チャネル層221Bの構成(上記構成A〜C)によって異なる。
構成Aの第2チャネル層221Bを形成しようとする場合、非晶質半導体膜240bとして、非晶質半導体膜230bの不純物の導電型(ここではp型)と反対の導電型を示す不純物(例えば、リンなどのn型不純物)を含む非晶質シリコン膜を、例えば、シラン(SiH4)と、あらかじめHe、H2で希釈したB25とを混合した混合シランガス(混合比(B25/SiH):1〜200ppm)を用いて、300〜500℃の温度でPCVD法により形成することができる。非晶質半導体膜240bの不純物(リン)濃度は、例えば2×1016/cm3〜2×1018cm3である。非晶質半導体膜220bの厚さは、例えば、非晶質半導体膜230b、240bの合計厚さ(例えば50nm)の約1/5(10nm)である。
構成Bの第2チャネル層221Bを形成しようとする場合には、非晶質半導体膜240bとして、不純物を実質的に含まない(不純物濃度が実質的にゼロである)非晶質シリコン膜を、300〜500℃の温度で、シランガスを用いてPCVD法により形成できる。本実施形態では、第2チャネル層221Bの厚さを15nmとすることにより、Vthを十分低くできた。
さらに、構成Cの第2チャネル層221Bを形成しようとする場合には、非晶質半導体膜240bとして、非晶質半導体膜230bの不純物の導電型と同一の導電型を示す不純物を含む非晶質シリコン膜を形成してもよい。ただし、非晶質シリコン膜の不純物濃度は、非晶質半導体膜230bの不純物濃度よりも低い。このような非晶質シリコン膜は、シラン(SiH4)と、あらかじめHe、H2で希釈したB25とを混合した混合シランガス(混合比(B25/SiH):1〜50ppm)を用いて、300〜500℃の温度でPCVD法により形成することができる。非晶質半導体膜240bの不純物(ボロン)濃度は、例えば1×1015/cm3〜1×1017cm3である。非晶質半導体膜240bの厚さは、例えば非晶質半導体膜230b、240bの合計厚さ(例えば50nm)の約1/5(10nm)である。本実施形態では、第2チャネル層221Bの不純物濃度(例えばボロンの濃度)を、1×1015/cm3〜1×1017/cm3とし、第2チャネル層221Bの厚さを10nm以下とすることにより、Vthを十分低くできた。
非晶質半導体膜240bを形成した後、図3(b)に示すように、非晶質半導体膜230b、240bをアニールする。ここでは、エキシマレーザ等を用いた光照射206により、アニールを行う。
その結果、図3(c)に示すように、非晶質半導体膜230b、240bが結晶化されて、結晶質半導体膜230B’、240B’が得られる。この後、図3(d)に示すように、結晶質半導体膜230B’、240B’を所定の形状に加工することにより、第1層230Bおよび第2層240Bの積層構造を有する半導体層203Bが得られる。続いて、半導体層203Bを覆うように、半導体層203Bおよび第1の絶縁層204の上に、SiO2層などの第2の絶縁層(厚さ:例えば10〜50nm)207を形成する。第2の絶縁層207の上には、半導体層203A、203Bのチャネル領域となる領域をそれぞれ覆うように、ゲート電極208A、208Bを設ける。ゲート電極208A、208Bは以下の方法で形成できる。まず、スパッタ法を用いてタングステンなどの導電膜を形成する。この後、導電膜を所定の形状に加工する。このとき、ゲート電極208Aのチャネル方向のサイズ(ゲート長LA)がゲート電極208Bのチャネル方向のサイズ(ゲート長LB)よりも大きくなるように、導電膜を加工する。これにより、ゲート電極208A、208Bを得る。
続いて、図3(e)に示すように、ゲート電極208A、208Bをマスクとして、半導体層203A、203Bに不純物イオン(例えばリンイオン)209を注入する。これにより、半導体層203Aにソースおよびドレイン領域205A、半導体層203Bにソースおよびドレイン領域205Bが形成される。半導体層203Aのうちゲート電極208Aで覆われた領域は、薄膜トランジスタ200Aのチャネル領域206Aとなる。また、半導体層203Bの第1層230Bのうちゲート電極208Bで覆われた領域は、薄膜トランジスタ200Bの第1チャネル層220Bとなる。半導体層203Bの第2層240Bのうちゲート電極208Bで覆われた領域は、薄膜トランジスタ200Bの第2チャネル層221Bとなる。これにより、第1および第2チャネル層220B、221Bからなるチャネル領域206Bが形成される。
この後、ソースおよびドレイン領域205A、205Bを活性化するために熱処理を行ってもよい。
ここでは、窒素雰囲気中で、400〜600℃の温度で1〜240分の熱処理を行う。
次に、図3(f)に示すように、第2の絶縁層207の上に層間絶縁層216を形成する。次いで、層間絶縁層216、第1の絶縁層204および第2の絶縁層207に、ソースおよびドレイン領域205Aにそれぞれ達するコンタクトホールを形成する。また、層間絶縁層216および第2の絶縁層207に、ソースおよびドレイン領域205Bにそれぞれ達するコンタクトホールを形成する。この後、コンタクトホール内部および層間絶縁層216上に導電膜を堆積し、その導電膜をパターニングすることにより、ソース/ドレイン領域205A、205Bと接続するソース/ドレイン電極217A、217Bを形成する。最後に、ソース/ドレイン電極217A、217Bおよび層間絶縁層216を覆うパッシベーション膜219を形成する。これにより、薄膜トランジスタ200A、200Bを同一基板上に形成できる。
なお、薄膜トランジスタ200Bのチャネル領域206Bの形成方法は上記方法に限定されない。例えば、イオンドープ法などにより、所望の不純物濃度分布を有するチャネル領域206Bを形成してもよい。しかし、イオンドープ法などによると、得られる不純物濃度分布は、膜厚方向に対してガウス分布のような濃度分布になりやすいので、上記構成A〜Cのチャネル領域206Bを形成するのは困難な場合がある。従って、上述したようなPCVD法によって複数の半導体膜を順次形成する方法を用いることが好ましい。
本実施形態では、低電圧用TFT(薄膜トランジスタ200B)のチャネル領域206Bは、不純物濃度の異なる複数のチャネル層から構成されているが、本発明はこの構成に限定されない。高電圧用TFT(薄膜トランジスタ200B)の駆動電圧によっては、高電圧用TFTのチャネル層206Aも複数のチャネル層を有してもよい。
薄膜トランジスタ200A、200Bにおける各半導体層203A、203Bの不純物の種類や導電型は適宜選択できる。例えば、本実施形態では、ソースおよびドレイン領域205A、205Bの形成の際に不純物としてリンを注入しn型薄膜トランジスタを形成したが、p型不純物を注入することによりp型薄膜トランジスタを形成することができる。また、第1および第2の絶縁層204、207の厚さ、ゲート長LA、LBなどは上記の数値に限定されず、各薄膜トランジスタ200A、200Bに要求されるVthや信頼性などに応じて適宜選択される。これらの値の好適な範囲は、例えば実施形態1で説明した範囲と同様である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の薄膜トランジスタを備えた装置の他の態様を例示する。
本発明の薄膜トランジスタを備えた装置300は、図6(a)に示すように、比較的高い駆動電圧を有する高電圧用薄膜トランジスタ300Aおよび高電圧用薄膜トランジスタの駆動電圧よりも低い駆動電圧を有する低電圧用薄膜トランジスタ300Bを同一基板上に有している。高電圧用薄膜トランジスタ300Aは、第1半導体層34A、第1ゲート電極36Aおよびそれらの間に位置する第1ゲート絶縁膜35、45を有している。第1ゲート絶縁膜は、2以上の絶縁層(例えばN層:Nは2以上の整数)を含んでいる。一方、低電圧用薄膜トランジスタ300Bは、第2半導体層34B、第2ゲート電極36Bおよびそれらの間に位置する第2ゲート絶縁膜45を有している。第2ゲート絶縁膜は、第1ゲート絶縁膜を構成する絶縁層35、45のうち少なくとも1層(例えば、N層のうちのM層:MはNより小さい整数)の絶縁層45を含んでいる。第2半導体層34Bは、第1ゲート絶縁膜を構成する絶縁層のうち他の層(すなわち第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層35)と、第2ゲート絶縁膜45との間に形成されている。
本発明では、高電圧用薄膜トランジスタ300Aの第1ゲート絶縁膜を構成する複数の絶縁層35、45の間に、低電圧用薄膜トランジスタ300Bの第2半導体層34Bが設けられていることが重要である。これにより、高電圧用薄膜トランジスタ300Aのゲート絶縁膜の厚さを低電圧用薄膜トランジスタ300Bのゲート絶縁膜の厚さよりも大きくできる。また、高電圧用薄膜トランジスタ300Aにおける第1ゲート絶縁膜の厚さ、および低電圧用薄膜トランジスタ300Bにおける第2ゲート絶縁膜の厚さをそれぞれ精確に制御できるので、各薄膜トランジスタ300A、300Bの特性(Vth、耐圧など)を用途に応じて変えることができる。
上記高電圧用薄膜トランジスタ300Aおよび低電圧用薄膜トランジスタ300Bは、トップゲートであってもよいし、ボトムゲートであってもよい。また、いずれか一方がトップゲートであり、他方がボトムゲートであってもよい。低電圧用薄膜トランジスタ300Bがトップゲートであれば、図6(a)または(c)に示すように、第2半導体層34Bは、第1ゲート絶縁膜を構成するN層のうち第2ゲート絶縁膜に含まれない絶縁層35の上に形成される。これに対し、低電圧用薄膜トランジスタ300Bがボトムゲートであれば、図6(b)または(d)に示すように、第2半導体層34Bは、第2ゲート絶縁膜を構成する絶縁層35の上に形成される。
本発明によれば、特性の異なる複数の薄膜トランジスタを同一基板上に備えた、高性能で信頼性の高い装置を提供できる。また、本発明によれば、そのような装置を簡便に製造できる。
本発明は、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を用いた表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置など)に好適に適用できる。特に、液晶表示部を駆動できる高電圧用TFTと、ロジック等の機能回路を高速で駆動できる低電圧用TFTとを同一基板上に備えた周辺回路一体型液晶表示装置に適用すると、有利である。
本発明による実施形態1における薄膜トランジスタを備えた装置を模式的に示す断面図である。 (a)〜(g)は、図1の装置の製造方法を説明するための断面工程図である。 (a)〜(f)は、本発明による実施形態2における薄膜トランジスタを備えた装置の製造方法を説明するための断面工程図である。 (a)〜(f)は、従来の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図である。 (a)〜(c)は、従来の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面工程図である。 (a)〜(d)は、本発明による薄膜トランジスタを備えた装置の構成を説明するための図である。
符号の説明
100A、200A、300A 高電圧用薄膜トランジスタ
100B、200B、300B 低電圧用薄膜トランジスタ
101、201、31 基板
102、202 ベースコート
103A、103B、203A、203B、34A、34B 半導体層
104、204、107、207、35、45 絶縁層
105A、105B、205A、205B ソースおよびドレイン領域
106A、106B、206A、206B チャネル領域
108A、108B、208A、208B、36A、36B ゲート電極
116、216 層間絶縁層
119、219 パッシベーション膜
220B、221B チャネル層
117A、117B、217A、217B ソースおよびドレイン電極

Claims (22)

  1. 同一基板上に形成された高電圧用薄膜トランジスタおよび低電圧用薄膜トランジスタを含む複数のトランジスタを備えた装置であって、
    前記高電圧用薄膜トランジスタは、N層(Nは2以上の整数)の絶縁層を含む第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜を介して対向する第1半導体層および第1ゲート電極とを有し、
    前記低電圧用薄膜トランジスタは、前記N層の絶縁層のうちの少なくともM層(Mは1以上でNより小さい整数)の絶縁層を含む第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜を介して対向する第2半導体層および第2ゲート電極とを有し、
    前記第2半導体層は、前記N層の絶縁層のうちで前記第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層と前記第2ゲート絶縁膜とによって挟まれている、装置。
  2. 前記第1ゲート電極のチャネル方向のサイズは、前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズよりも長い、請求項1に記載の装置。
  3. 前記第1半導体層は、第1導電型の不純物を第1濃度で含む第1チャネル領域を有しており、前記第2半導体層は第2チャネル領域を有し、前記第2チャネル領域は前記第1導電型の不純物を第2濃度で含むチャネル層を含む、請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記第1チャネル領域における前記第1濃度は、前記第2チャネル領域の前記チャネル層における前記第2濃度と異なる、請求項3に記載の装置。
  5. 前記第1チャネル領域における前記第1濃度は、前記第2チャネル領域の前記チャネル層における前記第2濃度よりも高い、請求項4に記載の装置。
  6. 前記第2チャネル領域は、前記チャネル層と前記第2ゲート絶縁膜との間に形成された他のチャネル層をさらに有する、請求項3または4のいずれかに記載の装置。
  7. 前記他のチャネル層は、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含み、前記他のチャネル層の前記第2導電型の不純物の濃度は、前記チャネル層における前記第2濃度よりも高い、請求項6に記載の装置。
  8. 前記第1導電型はn型、前記第2導電型はp型であり、前記チャネル層の前記第1導電型の不純物はボロンであり、前記他のチャネル層の前記第2導電型の前記不純物はリンであり、前記チャネル層の前記第2濃度は1×1016/cm3以上1×1018/cm3以下である、請求項7に記載の装置。
  9. 前記他のチャネル層は前記第1導電型の不純物を含み、前記他のチャネル層の前記第1導電型の不純物の濃度は、前記チャネル層の前記第2濃度よりも低い、請求項6に記載の装置。
  10. 前記第1導電型はp型であり、前記チャネル層の前記第1導電型の不純物はボロンである、請求項3から9のいずれかに記載の装置。
  11. 前記他のチャネル層は真性半導体である、請求項6に記載の装置。
  12. 前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズは1.0μm以下である、請求項1から4および6から11のいずれかに記載の装置。
  13. 前記他のチャネル層の厚さの前記チャネル層の厚さに対する比(他のチャネル層の厚さ/チャネル層の厚さ)は、0.1以上であり、かつ2よりも小さい、請求項6から12のいずれかに記載の装置。
  14. N層(Nは2以上の整数)の絶縁層を含む第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜を介して対向する第1半導体層および第1ゲート電極とを有する高電圧用薄膜トランジスタ、および
    前記N層の絶縁層のうちの少なくともM層(Mは1以上でNより小さい)の絶縁層を含む第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜を介して対向する第2半導体層および第2ゲート電極とを有する低電圧用薄膜トランジスタ
    を含む複数のトランジスタを備えた装置の製造方法であって、
    前記製造方法は、
    (a)前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第1半導体層を形成する工程と、
    (b)前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第2半導体層を形成する工程と、
    (c)前記高電圧用および低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記N層の絶縁層を形成する工程
    を包含し、
    前記工程(c)は、
    (c1)前記N層のうちで前記第2ゲート絶縁膜に含まれていない絶縁層を形成する工程と、
    (c2)前記M層の絶縁層を形成する工程と
    を含んでおり、
    前記工程(b)は、前記工程(c1)および工程(c2)の間に実行される、製造方法。
  15. (d)前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第1ゲート電極を設ける工程と、
    (e)前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に前記第2ゲート電極を設ける工程と
    をさらに包含し、前記第1ゲート電極のチャネル方向のサイズが前記第2ゲート電極のチャネル方向のサイズよりも長くなるように、前記第1および第2ゲート電極が設けられる、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記工程(a)は、第1導電型の不純物を第1濃度で含む第1シリコン膜を形成する工程を含み、前記工程(b)は、
    (b1)前記第1導電型の不純物を、前記第1濃度と異なる第2濃度で含む第2シリコン膜を形成する工程
    を含む、請求項14または15に記載の製造方法。
  17. 前記工程(b)は、
    (b2)他のシリコン膜を形成する工程
    をさらに含み、前記工程(b2)は、前記工程(b1)と前記工程(c2)との間に実行される、請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記他のシリコン膜は、前記第2濃度よりも低い濃度で、前記第1導電型の不純物を含む、請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記他のシリコン膜は、前記第2濃度よりも高い濃度で、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む、請求項17に記載の製造方法。
  20. 前記他のシリコン膜は、実質的に不純物を含まない、請求項17に記載の製造方法。
  21. 高電圧用薄膜トランジスタおよび低電圧用薄膜トランジスタを含む複数の薄膜トランジスタを備えた装置の製造方法であって、
    前記高電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層を覆う第1絶縁層とを有する基板を用意する工程と、
    前記低電圧用薄膜トランジスタが形成されるべき領域において、前記第1絶縁層の上に第2半導体層を形成する工程と、
    前記第1絶縁層および前記第2半導体層の上に第2絶縁層を形成する工程と、
    前記第2絶縁層の上に、第1ゲート電極および第2ゲート電極を設ける工程であって、前記第1ゲート電極は前記第1半導体層のうちチャネル領域となる領域を覆うように形成され、前記第2ゲート電極は前記第2半導体層のうちチャネル領域となる領域を覆うように形成される、工程と、
    前記第1および第2ゲート電極をそれぞれマスクとして、前記第1半導体層および前記第2半導体層に不純物元素をドープする工程と
    を包含する、製造方法。
  22. 前記第2半導体層を形成する工程は、
    前記第1絶縁層の上にシリコン膜を形成する工程と、
    前記シリコン膜の上に他のシリコン膜を形成する工程と、
    前記シリコン膜および前記他のシリコン膜をパターニングする工程と
    を含む、請求項21に記載の製造方法。
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