JP2005259628A - 透明導電膜形成方法、該方法により形成された透明導電膜および該透明導電膜を有する物品 - Google Patents

透明導電膜形成方法、該方法により形成された透明導電膜および該透明導電膜を有する物品 Download PDF

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Abstract

【課題】 安全性が高く、生産性に優れ、良好な光学及び電気特性、プラスチックフィルム基材上での優れた限界曲率半径を有する透明導電膜の形成方法、該方法によって形成された透明導電膜および該透明導電膜を有する物品を提供する。
【解決手段】 大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法において、前記反応性ガスが、還元ガスを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略する)、電子ペーパー、タッチパネルや太陽電池等の各種エレクトロニクス素子に好適に用いられる透明導電膜の形成方法および透明導電膜を有する物品に関する。
従来より、透明導電膜は液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池、タッチパネル、電磁波シールド材、赤外線反射膜等に広く使用されている。透明導電膜としてはPt、Au、Ag、Cu等の金属薄膜、SnO2、In23、CdO、ZnO2、SnO2:Sb、SnO2:F、ZnO:AL、In23:Snなどの酸化物及びドーパントによる複合酸化物膜、カルコゲナイド、LaB6、TiN、TiC等の非酸化物がある。中でも錫をドープした酸化インジウム膜(以下、ITOという)が、優れた電気特性とエッチングによる加工の容易さからもっとも広く使用されている。これらは真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空プラズマCVD法、スプレーパイロリシス法、熱CVD法、ゾルゲル法等により形成されている。
近年液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイにおいては大面積化、高精細化が進んでおりより高性能な透明導電膜が求められている。液晶素子においては電界応答性の高い素子あるいは装置を得るうえから、電子移動度の高い透明導電膜の利用が求められている。また、有機EL素子においては電流駆動方式をとるために、より低抵抗な透明導電膜が求められている。
透明導電膜の形成方法の中で真空蒸着法やスパッタリング法は、低抵抗な透明導電膜を得ることができる。工業的にはDCマグネトロンスパッタリング装置を用いることにより比抵抗値で10-4Ω・cmオーダーの優れた導電性を有するITO膜を得ることが出来る。
しかしながら、これらの物理的製作法(PVD法)では気相中で目的物質を基板に堆積させて膜を成長させるものであり、真空容器を使用する。そのため装置が大がかりで高価なうえ原料の使用効率が悪くて生産性が低い。また大面積の成膜も困難であった。さらに、低抵抗品を得るためには製膜時に200〜300℃に加熱する必要があり、プラスチックフィルムへの低抵抗な透明導電膜の製膜は困難である。
ゾルゲル法(塗布法)は分散調液、塗布、乾燥といった多くのプロセスが必要なだけでなく、被処理基材との接着性が低いためにバインダー樹脂が必要となり透明性が悪くなる。また、得られた透明導電膜膜の電気特性もPVD法に比較すると劣る。
熱CVD法は、スピンコート法やディップコート法、印刷法などにより基材に目的物質の前駆物質を塗布し、これを焼成(熱分解)することで膜を形成するものであり、装置が簡単で生産性に優れ、大面積の成膜が容易であるという利点があるが、通常焼成時に400℃から500℃の高温処理を必要とするため基材が限られてしまうという問題点を有していた。特に、プラスチックフィルム基板への成膜は困難である。
上記、ゾルゲル法(塗布法)による高機能な薄膜が得にくいデメリット、および、真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する方法(以下、大気圧プラズマCVD法という)が提案されている。特許文献1に大気圧プラズマCVD法により透明導電膜を形成する技術が開示されている。しかしながら、得られる透明導電膜の抵抗は比抵抗値で〜10-2Ω・cmと高く、比抵抗値1×10-3Ω・cm以下の優れた電気特性が要求される液晶素子、有機EL素子、PDP、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ用透明導電膜としては不十分である。更に、CVD原料にトリエチルインジウムを用いており、この化合物は常温、大気中で発火、爆発の危険性があるなど、安全性にも問題がある。
特開2000−303175号公報
本発明者らは、種々検討した結果、還元性反応性ガスを用いる大気圧プラズマCVD法により透明導電膜を形成することで良好な光学及び電気特性を有する透明導電膜を高い生産性で得ることができることを見出した。
本発明の目的は、安全性が高く、生産性に優れ、良好な光学及び電気特性、プラスチックフィルム基材上での優れた限界曲率半径を有する透明導電膜の形成方法、該方法によって形成された透明導電膜および該透明導電膜を有する物品を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
(請求項1)
大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法において、前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする透明導電膜形成方法。
(請求項2)
前記還元ガスが水素であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項3)
前記反応性ガスが、有機金属化合物から選ばれる少なくとも一種の材料ガスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項4)
前記放電空間には前記反応性ガスと不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、前記不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項5)
前記混合ガスに対する前記還元ガスの量が、0.0001〜5.0体積%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項6)
前記放電空間に導入する混合ガスが、実質的に酸素を含まないことを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項7)
前記放電空間に印加する電界が、周波数0.5kHz以上であって、且つ、出力密度が100W/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項8)
前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、且つ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項9)
前記透明導電膜を形成する前記基材の表面温度が、300℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
(請求項10)
請求項1〜9のいずれか1項の透明導電膜形成方法で形成されたことを特徴とする透明導電膜。
(請求項11)
前記透明導電膜の比抵抗値が1×10-3Ω・cm以下であることを特徴とする請求項10に記載の透明導電膜。
(請求項12)
前記透明導電膜のキャリア移動度が10cm2/V・sec以上であることを特徴とする請求項10または11に記載の透明導電膜。
(請求項13)
前記透明導電膜のキャリア密度が1×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の透明導電膜。
(請求項14)
前記透明導電膜のキャリア密度が1×1020cm-3以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の透明導電膜。
(請求項15)
前記透明導電膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In23−ZnO系アモルファス透明導電膜のうち、いずれかを主成分とすることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の透明導電膜。
(請求項16)
前記透明導電膜がITO膜であって、前記ITO膜がIn/Sn原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする請求項15に記載の透明導電膜。
(請求項17)
前記透明導電膜の炭素含有量が0〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする請求項15または16に記載の透明導電膜。
(請求項18)
基材上に請求項10に記載の透明導電膜を有する物品において、前記透明導電膜の比抵抗値が1×10-3Ω・cm以下であることを特徴とする物品。
(請求項19)
前記透明導電膜のキャリア移動度が10cm2/V・sec以上であることを特徴とする請求項18に記載の物品。
(請求項20)
前記透明導電膜のキャリア密度が1×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項18または19に記載の物品。
(請求項21)
前記透明導電膜のキャリア密度が1×1020cm-3以上であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の物品。
(請求項22)
前記透明導電膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In23−ZnO系アモルファス透明導電膜のうち、いずれかを主成分とすることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の物品。
(請求項23)
前記ITO膜がIn/Snの原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする請求項22に記載の物品。
(請求項24)
前記ITO膜のX線回折法における(222)の回折強度I1と(400)の回折強度I2との比(I2/I1)が0.3以下、(222)の回折強度I1と(440)の回折強度I3との比(I3/I1)が0.3以下であることを特徴とする請求項22または23に記載の物品。
(請求項25)
前記I2/I1が0.05〜0.25の範囲にあり、I3/I1が0.05〜0.25の範囲にあることを特徴とする請求項24に記載の物品。
(請求項26)
前記透明導電膜の炭素含有量が0.1〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする請求項22〜25のいずれか1項に記載の物品。
(請求項27)
前記基材が、透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項22〜26のいずれか1項に記載の物品。
(請求項28)
前記透明導電膜の表面の凹凸が10nm以内であることを特徴とする請求項22〜27のいずれか1項に記載の物品。
(請求項29)
前記透明樹脂フィルムが、タッチパネル用フィルム基材、液晶素子プラスチック基板、有機EL素子プラスチック基板、PDP用電磁遮蔽フィルムまたは電子ペーパー用フィルム基板であることを特徴とする請求項27または28に記載の物品。
(請求項30)
前記透明導電膜と前記基材上に形成した前記透明導電膜の限界曲率半径が8mm以下であることを特徴とする請求項18〜29のいずれか1項に記載の物品。
(請求項31)
前記透明導電膜がパターニングされた電極であることを特徴とする請求項22〜30のいずれか1項に記載の物品。
(請求項32)
基材上に透明導電膜を有する物品において、前記透明導電膜のダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが、変動係数5%以下であることを特徴とする基材上に透明導電膜を有する物品。
(請求項33)
前記透明導電膜が、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成されたことを特徴とする請求項32に記載の物品。
(請求項34)
前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする請求項33に記載の物品。
(請求項35)
前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、且つ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項33または34に記載の基材上に透明導電膜を有する物品。
本発明により、安全性が高く、生産性に優れ、良好な光学及び電気特性、プラスチックフィルム基材上での優れた限界曲率半径を有する透明導電膜の形成方法、該方法によって形成された透明導電膜および該透明導電膜を有する物品を提供することが出来た。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、透明導電膜とは、一般に工業材料としてよく知られているものであり、可視光(400〜700nm)を殆ど吸収せず透明で、しかも良導体の膜のことである。電気を運ぶ自由荷電体の透過特性が可視光域で高く、透明であり、しかも電気伝導性が高いため、透明電極や帯電防止膜として用いられる。
なお、「膜」と称しているが、用途によってその機能を有する程度に被処理体上に形成できればよく、必ずしも被処理体の全部または一部を覆う連続的な膜である必要はない。透明導電膜としてはPt、Au、Ag、Cu等の金属薄膜、SnO2、In23、CdO、ZnO2、SnO2:Sb、SnO2:F、ZnO:AL、In23:Snなどの酸化物及びドーパントによる複合酸化物膜、カルコゲナイド、LaB6、TiN、TiC等の非酸化物がある。
次いで、本発明の透明導電膜形成方法である大気圧プラズマCVD法について説明する。
本発明は大気圧または大気圧近傍の圧力下において、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法において、前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする透明導電膜形成方法である。
本発明の大気圧プラズマCVDおいては、対向する電極間に、0.5kHzを越えた高周波電圧で、且つ、100W/cm2以下の電力(出力密度)を供給し、反応性ガスを励起してプラズマを発生させる。
本発明において、電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下である。さらに好ましくは15MHz以下である。
また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは0.5kHz以上、さらに好ましくは10kHz以上である。より好ましくは100KHzを越える周波数である。
また、電極間に供給する電力の下限値は、好ましくは0.1W/cm2以上であり、より好ましくは1W/cm2以上である。上限値としては、好ましくは100W/cm2以下、さらに好ましくは60W/cm2以下である。尚、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、更に好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。
また、基材を電極間に載置あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、基材を片方の電極に接して搬送出来るロール電極仕様にするだけでなく、更に誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつポーラスで無い高精度の無機誘電体を被覆することで大きく耐久性を向上させることができる。
また、高温下での金属母材に対する誘電体被覆による電極製作において、少なくとも基材と接する側の誘電体を研磨仕上げすること、更に電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差をなるべく小さくすることが必要であり、そのため製作方法において、母材表面に、応力を吸収出来る層として泡混入量をコントロールして無機質の材料をライニングする、特に材質としては琺瑯等で知られる溶融法により得られるガラスであることが良く、更に導電性金属母材に接する最下層の泡混入量を20〜30vol%とし、次層以降を5vol%以下とすることで、緻密でかつひび割れ等が発生しない良好な電極が出来る。
また、電極の母材に誘電体を被覆する別の方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%以下まで緻密に行い、更にゾルゲル反応により硬化する無機質の材料にて封孔処理を行うことであり、ここでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化が良く、更に封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
このような電極を用いたプラズマ放電処理装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1〜図6のプラズマ放電処理装置は、アース電極であるロール電極と、対向する位置に配置された印加電極である固定電極との間で放電させ、当該電極間に反応性ガスを導入してプラズマ状態とし、前記ロール電極に巻回された長尺フィルム状の基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、薄膜を形成するものであるが、本発明の薄膜形成方法を実施する装置としてはこれに限定されるものではなく、グロー放電を安定に維持し、薄膜を形成するために反応性ガスを励起してプラズマ状態とするものであればよい。他の方式としては、基材を電極間ではない電極近傍に載置あるいは搬送させ、発生したプラズマを当該基材上に吹き付けて薄膜形成を行うジェット方式等がある。
図1は、本発明の薄膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置のプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
図1において、長尺フィルム状の基材Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極25に巻回されながら搬送される。固定されている電極26は複数の円筒から構成され、ロール電極25に対向させて設置される。ロール電極25に巻回された基材Fは、ニップローラ65、66で押圧され、ガイドローラ64で規制されてプラズマ放電処理容器31によって確保された放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ67を介して次工程に搬送される。また、仕切板54は前記ニップローラ65、66に近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器31内に進入するのを抑制する。
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器31内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップローラ65および66により、それを達成することが可能である。
尚、放電プラズマ処理に用いられる混合ガス(不活性ガスと、反応性ガスである還元ガスおよび有機金属化合物)は、給気口52からプラズマ放電処理容器31に導入され、処理後のガスは排気口53から排気される。
図2は、図1と同様に、本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図であるが、図1においては、ロール電極25に対向する固定されている電極26は円柱型の電極が用いられているのに対し、角柱型電極36に変更した例を示している。
図1に示した円柱型の電極26に比べて、図2に示した角柱型の電極36は、放電範囲を広げる効果があるので、本発明の薄膜形成方法に好ましく用いられる。
図3(a)、(b)は各々、上述の円筒型のロール電極の一例を示す概略図、図4(a)、(b)は各々、円筒型で固定されている電極の一例を示す概略図、図5(a)、(b)は各々、角柱型で固定されている電極の一例を示す概略図である。
図3(a)及び図3(b)において、アース電極であるロール電極25cは、金属等の導電性母材25aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体25bを被覆した組み合わせで構成されているものである。セラミック被覆処理誘電体を片肉で1mm被覆し、ロール径を被覆後200φとなるように製作し、アースに接地してある。または、金属等の導電性母材25Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体25Bを被覆した組み合わせ、ロール電極25Cで構成してもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。金属等の導電性母材25a、25Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。尚、本実施の形態においては、ロール電極の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
図4(a)、(b)および図5(a)、(b)は、印加電極である固定の電極26c、電極26C、電極36c、電極36Cであり、上記記載のロール電極25c、ロール電極25Cと同様な組み合わせで構成されている。すなわち、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を被覆し、放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。尚、セラミック被覆処理誘電体の被覆後12φまたは15φとなるように製作され、当該電極の数は、上記ロール電極の円周上に沿って14本設置している。
印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
図6は、本発明に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。図6において、プラズマ放電処理容器31の部分は図2の記載と同様であるが、更に、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット60等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット60の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
図6に記載の電極25、36は、図3、4、5等に示したものと同様であり、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
前記プラズマ放電処理容器31内にロール電極25、固定されている電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に入れ、前記プラズマ放電処理容器31内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口53より排気する。次に電源41により電極36に電圧を印加し、ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材61より基材Fを供給し、ガイドローラ64を介して、プラズマ放電処理容器31内の電極間を片面接触(ロール電極25に接触している)の状態で搬送され、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後にガイドローラ67を介して、次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
電源41より固定されている電極36に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は0.5kHz以上150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な膜が得られる。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
また、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材表面の温度を常温(15℃〜25℃)〜300℃以下の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜200℃以下、より好ましくは常温から100℃以下に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
本発明においては、上記の放電プラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
また、本発明の薄膜形成方法に係る放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
尚、上述した図1〜図6に示すプラズマ放電処理装置10は、基材Fがフィルム等のように曲げられることのできる場合に使用される装置であったが、ある程度の厚みのある基材Lまたは硬い基材L、例えば、ガラスやレンズ等、基材をロール電極に巻き回すことが困難な場合であれば、図7に示すような平行平板型のプラズマ放電処理装置100を使用できる。
プラズマ放電処理装置100は、電源110、電極120等から構成されており、電極120は、上側平板電極121と下側平板電極122とを備えており、上側平板電極121と下側平板電極122とは上下に対向して配置されている。
上側平板電極121は、複数の略矩形状の平板電極121aが横一列に配置されて構成されたもので、これらの複数の電極121aの間の隙間がそれぞれガス流路部を構成しており、ガス供給口123が基材Lに対向するように位置している。つまり、上側平板電極121の上方には、ガス発生装置124が設けられており、このガス発生装置124から反応性ガスや不活性ガスがそれぞれのガス供給口123に給送されて、下側平板電極122との間で噴出される。
下側平板電極122は、アースに接地してあり、基材Lをその表面に装着し、かつ、基材Lをガス供給口123に対して図中の矢印のように左右方向に往復移動させる。したがって、この下側平板電極122が移動することによって、上側平板電極121と下側平板電極122との間でプラズマ状態とされ、基材Lに製膜が行われる。このように、基材Lが移動することによって、放電面積より大面積の基材Lに対しても製膜を行うことができるのみでなく、膜厚むらのない均一な製膜が可能となる。
本発明の透明導電膜形成方法に係るガスについて説明する。
本発明の透明導電膜形成方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい透明導電膜の種類によって異なるが、基本的に、放電を起こすためのキャリアガスとしての不活性ガスと、透明導電膜を形成するためにプラズマ状態となる反応性ガスの混合ガスである。
本発明で用いる反応性ガスには還元ガスが含有される。還元ガスとしては分子内に酸素を含まない、化学的還元性を有する無機ガスである。具体的な例として、水素、及び硫化水素を挙げることが出来る。特に好ましいのは水素ガスである。還元ガスの量は混合ガスに対して、0.0001〜5.0体積%の範囲で用いることが出来る。好ましい範囲は、0.001〜3.0体積%である。
還元ガスは透明導電膜を形成する反応性ガスに作用し、良好な電気特性を有する透明導電膜を形成させる効果があると考えられる。
本発明におけるプラスマ放電空間に導入する混合ガスは実質的に酸素ガスを含まないことが好ましい。実質的に酸素ガスを含まないとは、上記述べたような還元ガスによる良好な電気特性を付与する作用を阻害しないことを意味する。本発明の透明導電膜の形成方法においては酸素ガスの存在は、透明導電膜の電気特性を劣化させる傾向があり、劣化させなければ若干の含有は許容される。実質的に酸素ガスを含まない雰囲気を形成するためには本発明においては用いる不活性ガスとして高純度ガスを用いることが好適である。
反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が得られる。
上記不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、アルゴンまたはヘリウムが特に好ましく用いられる。
反応性ガスは、放電空間でプラズマ状態となり、透明導電膜を形成する成分を含有するものであり、βジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が用いられる。反応性ガスには透明導電膜主成分となる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスがある。更に、透明導電膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスがある。
本発明の透明導電膜形成法により得られる透明導電膜はは高いキャリア移動度を有する特徴をもつ。よく知られているように透明導電膜の電気伝導率は以下の(1)式で表される。
σ=neμ (1)
ここで、σは電気伝導率、nはキャリア密度、eは電子の電気量、そしてμはキャリアの移動度である。電気伝導度をあげるためにはキャリア密度あるいはキャリア移動度を向上させる必要があるが、キャリア密度を向上させていくと2×1021cm-3付近から反射率が大きくなるため透明性が失われる。そのため、電気伝導率を向上させるためにはキャリア移動度を向上させる必要がある。市販されているDCマグネトロンスパッタリング法により作製された透明導電膜のキャリア移動度は30cm2/sec・V程度であるが、本発明の透明導電膜の形成方法によれば条件を最適化することによりDCマグネトロンスパッタリング法により形成された透明導電膜を超えるキャリア移動度を有する透明導電膜を形成することが可能であることが判明した。
本発明の透明導電膜の形成方法は高いキャリア移動度を有する為、ドーピングなしでも比抵抗値で1×10-3Ω・cm以下の低抵抗な透明導電膜を得ることが出来る。ドーピングを行いキャリア密度を増加させることで更に抵抗を下げることが可能である。また、必要に応じて抵抗値を上げる反応性ガスを用いることで比抵抗で1×10-2以上の高抵抗の透明導電膜を得ることも出来る。
本発明の透明導電膜の形成方法によって得られる透明導電膜は、キャリア移動度が、10cm2/V・sec以上のものである。
また、本発明の透明導電膜の形成方法によって得られる透明導電膜は、キャリア密度が、1×1019cm-3以上、より好ましい条件下においては、1×1020cm-3以上となる。
また、本発明の透明導電膜は、反応性ガスとして有機金属化合物を用いるため、微量の炭素を含有する場合がある。その場合の炭素含有率は、0〜5.0原子数濃度であることが好ましい。特に好ましくは0.01〜3原子数濃度の範囲内にあることが好ましい。
また、本発明の透明導電膜は、該透明導電膜のダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以下であることを特徴とする。このような透明導電膜の製造方法としては、上記述べた本発明の大気圧プラズマ放電による薄膜形成方法において、水素ガスを還元ガスとして用いることによって得ることができる。
本発明の前記該透明導電膜のダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが変動係数5%以下である透明導電膜においては、金属含有膜の動的二次イオン質量分析測定を行った場合、該金属含有膜中の水素イオンと主たる金属酸化物の金属由来の金属元素イオンのピーク強度比H/M(Hは水素イオンピークの強度、Mは主たる金属元素イオンのピーク強度)の深さ方向におけるばらつきが一定以下である事を特徴としている。ばらつきは変動係数で表す事が好ましく、変動係数は好ましくは5%以内、より好ましくは3%以内、更に好ましくは1%以内である動的二次イオン質量分析(以下装置を含めダイナミックSIMSという)に関しては表面科学会編実用表面分析二次イオン質量分析(2001年、丸善)を参照すればよい。
本発明において好ましいダイナミックSIMS測定の条件は以下の通りである。
装置:Phisical Electronics社製ADEPT1010あるいは6300型2次イオン質量分析装置
一次イオン:Cs
一次イオンエネルギー:5.0KeV
一次イオン電流:200nA
一次イオン照射面積:600μm角
二次イオン取り込み割合:25%
二次イオン極性:Negative
検出二次イオン種:H-及びM-
上記条件で金属含有膜の深さ方向に関してスパッタリングを行いつつ質量分析を行う。得られたデプスプロファイルから水素イオンと主たる金属酸化物の金属由来の金属元素イオンのピーク強度比H/Mを求める。尚、測定点は100nmに対し50点以上、より好ましくは75点以上の測定を行う事が好ましい。深さ方向にたいしてH/M比を求めた後、深さ方向の15〜85%についてH/M比の平均と相対標準偏差を求め、相対標準偏差を平均で除して100倍し、H/M比の変動係数すなわちばらつきを求める。
尚、本発明において、H/M比の絶対値は0.001から50の間であることが好ましい。より好ましくは0.01から20の間である。この場合も、ダイナミックSIMSを用いて深さ方向に関し上記条件で測定した結果を基にH/M比を求め、深さ方向の15〜85%についてH/M比の平均を、H/M比と定義する。
更に、本発明における透明導電膜中の水素濃度は、0.001〜10原子%が好ましく、より好ましくは0.01〜5原子%が好ましく、より好ましくは0.5〜1原子%が好ましい。水素濃度の評価も、ダイナミックSIMSで行うことが好ましい。測定条件は上記の通りである。実際には、はじめに基準となる透明導電膜中の水素濃度をラザフォード後方散乱分光法により求め、この基準品のダイナミックSIMS測定を行い、検出される水素イオンの強度を基に相対感度係数を決定し、次いで、実際に用いる透明導電膜についてダイナミックSIMS測定を行い、その測定から得られた信号強度と先に求めた相対感度係数を用いて、試料中の水素濃度を算出する。尚、本発明における水素濃度は、透明導電膜の全厚さ方向にわたって、水素濃度を求める、いわゆるデプスプロファイルを行い、透明導電膜の15〜85%深さの水素濃度の平均を水素濃度と規定する。
本発明に係るダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが、変動係数として5%以下の透明導電膜を得る方法は、特に限定はされないが、上述したような大気圧プラズマ放電処理による製膜方法をとることができる。すなわち、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法である。好ましくは、前記反応性ガスが、還元ガスを含有すると前記変動係数を5%以下としやすい。また、さらに好ましくは、前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、かつ出力密度が1W/cm2以上とすると、同様に前記変動係数を5%以下としやすい。詳細不明であるが、おそらくこのような還元雰囲気で、且つ、ハイパワーの電界条件が、透明導電膜の均質な製膜に適した条件であって、よって膜厚方向の水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度のばらつきを抑えることが出来ているのであろうと推定している。
本発明において透明導電膜の主成分に用いられる反応性ガスは、分子内に酸素原子を有する有機金属化合物が好ましい。例えば、インジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、インジウムメチル(トリメチル)アセチルアセテート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムイソポロポキシド、インジウムトリフルオロペンタンジオネート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、ジンクアセチルアセトナート等を挙げることが出来る。この中で特に、好ましいのはインジウムアセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジンクアセチルアセトナート、ジ−n−ブチルジアセトキシスズである。
ドーピングに用いられる反応性ガスとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、ニッケルアセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、ボロンイソプロポキシド、n−ブトキシアンチモン、トリ−n−ブチルアンチモン、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−t−ブチルジアセトキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、テトラブチルスズ、ジンクアセチルアセトナート、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン、4フッ化メタン等を挙げることができる。
透明導電膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスとしては、例えば、チタントリイソプロポキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができる。
透明導電膜主成分として用いられる反応性ガスとドーピングを目的に少量用いられる反応性ガスの量比は、成膜する透明導電膜の種類により異なる。例えば、酸化インジウムにススをドーピングして得られるITO膜においては得られるITO膜のIn/Snの原子数比が100/0.1〜100/15の範囲になるように反応性ガス量を調整する。好ましくは、100/0.5〜100/10の範囲になるよう調整する。In/Snの原子数比はXPS測定により求めることができる。
酸化錫にフッ素をドーピングして得られる透明導電膜(FTO膜という)においては、得られたFTO膜のSn/Fの原子数比が100/0.01〜100/50の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。Sn/Fの原子数比はXPS測定により求めることが出来る。
In23−ZnO系アモルファス透明導電膜においては、In/Znの原子数比が100/50〜100/5の範囲になるよう反応性ガスの量比を調整する。In/Znの原子数比はXPS測定で求めることが出来る。
上述したような薄膜形成方法により基材上に形成される透明導電層特にITO膜においては、X線回折法における(222)の回折強度I1と(400)の回折強度I2との比(I2/I1)が0.3以下であり、(222)の回折強度I1と(440)の回折強度I3との比(I3/I1)が0.3以下であることが好ましく、これらは上述したような薄膜形成方法において、例えば電極に印加する高周波を連続するサイン波とし、0.1W/cm2以上の電力を投入することにより製造することができる。
ITO膜において、結晶面比が前記の範囲にある膜中においては、結晶サイズが大きくなって、結晶の粒界における電子の散乱が抑えられ、(電子の)移動度がアップして低抵抗となる。
また、ITO膜の前記I2/I1の値およびI3/I1の値を調節するには、上述したような薄膜形成方法において、例えば電極に印加する高周波の周波数を100kHz以上とし、電力密度を変更すればよい。
また、本発明において、透明導電膜中の炭素濃度は、0.1〜5.0原子%、好ましくは0.1〜3.0原子%、より好ましくは0.1〜2.0原子%の範囲である。炭素含有率は後述するように、XPS表面分析装置を用いてその値を測定することができるが、透明導電層の炭素含有量(濃度)を0.1〜5.0原子%の範囲とするには、上述したような薄膜形成方法において、例えば電極に印加する高周波を連続するサイン波とし、0.1W/cm2以上の電力を投入すればよい。
本発明に用いることができる基材としては、フィルム状のもの、シート状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、透明導電膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材が電極間に載置できるものであれば、電極間に載置することによって、基材が電極間に載置できないものであれば、発生したプラズマを当該基材に吹き付けることによって透明導電膜を形成すればよい。
基材を構成する材料も特に限定はないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂フィルムを好ましく用いることができる。例えば、フィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
本発明においては透明導電膜はガラス、プラスチックフィルム等の基材上に形成されるが、必要に応じて基材と透明導電性膜の間に接着性を向上させるために接着層を設けてもよい。また、光学特性を改良するために、透明導電膜を設けた面の反対の面に反射防止膜を設けることも可能である。さらに、フィルムの最外層に防汚層を設けることも可能である。その他、必要に応じてガスバリア性、耐溶剤性を付与するための層等を設けることも可能である。
これらの層の形成方法は特に限定はなく、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、大気圧プラズマCVD法等を用いることができる。特に好ましいのは大気圧プラズマCVD法である。
これらの層の大気圧プラズマCVDによる形成方法としては例えば反射防止膜の形成方法としては特願2000−21573等に開示された方法を用いることができる。
本発明においては、上記記載のような基材面に対して本発明に係わる透明導電膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
また本発明に係わる透明導電膜を有する物品において、透明導電膜の表面凹凸は10nm以内であることが好ましい。
ここに「表面凹凸」とは、透明導電膜の表面における最大凹部と最大凸部との間の距離を意味し、例えば以下のような方法で求めることが出来る。
測定機器として、蝕針式表面粗さ計(例えばスローン社製DEKTAK3030)を用い、これを透明導電膜上の任意の位置で20mgの荷重下で、1mmにわたって掃引させ、最大凹部と最大凸部との間の距離を測定する。この測定を5回行い、その平均値を、本発明における表面凹凸とする。
表面凹凸が10nmを超える場合、特にEL用透明電極として用いたときに発光欠陥や輝度ムラ等の不具合が生じやすくなる。表面凹凸のより好ましい値は5nm以内、更に好ましくは2nm以内である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
基材としてアルカリバリアコートとして膜厚約50nmのシリカ膜が形成されたガラス基板(50mm×50mm×1mm)を用意した。
プラズマ放電装置には、図7に記載の電極が平行平板型のものを用い、この電極間に上記ガラス基板を載置し、且つ、混合ガスを導入して薄膜形成を行った。
尚、電極は、以下の物を用いた。200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
一方、印加電極としては、中空の角型の純チタンパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
また、プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000にて周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給した。
電極間に以下の組成のガスを流した。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:水素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
ガラス基材上に上記反応ガス、反応条件により大気圧プラズマ処理を行い、錫ドープ酸化インジウム膜を作製した。以下の方法で、作製した膜の評価を行った。
〈透過率〉
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計1U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
〈膜厚、製膜速度〉
膜厚はPhotal社製FE−3000反射分光膜厚計により測定し、得られた膜厚をプラズマ処理時間で徐したものを製膜速度とした。
〈比抵抗値〉
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
〈Hall効果〉
三和無線測器研究所M1−675システムを用いてvan der Pauw法にて測定を行い、キャリア密度、キャリア移動度を求めた。
〈膜組成〉
ガラス基板上の膜を塩酸にて溶解し、誘導結合プラズマ発光分光装置(セイコー電子製SPS−4000)を用いて膜中のインジウムと錫の比(Sn/In比)を求めた。
〈炭素含有率の測定〉
膜組成、炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定する。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定をおこなう前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定おいては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。錫とインジウムの比も、上記結果から得られた原子数濃度の比とした。
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。
Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
〈回折ピーク強度比〉
X線回折装置は日本電子製回転対陰極型X線回折装置JDX11RAを用い、ブラッグ−ブレンターノの光学系を用いて測定した。ターゲットには銅を用い、40kV−100mAでX線を発生させる。発散スリット、受光スリットを1°、散乱スリットを0.15°とした。受光側にグラファイトのモノクロメータを用いる。各結晶格子面のピークは(222)面が2θとして29〜32°、(400)面が32〜37°、(440)面が2θとして49〜51°の範囲を0.004°刻みで一刻みあたり1秒かけて測定する。得られた回折パターンからKα1、2線の分離を行わず、回折ピークのピークトップからそのピークのベースラインを直線としたときのベースライン強度の差を回折ピークの強度とした。このようにして膜中の結晶面(222)の回折強度I1と(400)の回折強度I2との比(I2/I1)、および、(222)の回折強度I1と(440)の回折強度I3との比(I3/I1)をそれぞれ測定した。
〈表面凹凸〉
スローン社製DEKTAK3030を用い、これを透明導電膜上の任意の位置で20mgの荷重下で、1mmにわたって掃引させ、最大凹部と最大凸部との間の距離を測定し、これを5回行ってその平均値を表面凹凸とした。
(実施例2)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製した。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例3)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス1:水素 0.5体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例4)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.75体積%
反応性ガス1:水素 1.00体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例5)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:硫化水素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例6)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:アルゴン 98.5体積%
反応性ガス1:水素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例7)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:アルゴン 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例8)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウムとアルゴンの混合ガス(ヘリウム/アルゴン体積比70/30) 98.5体積%
反応性ガス1:水素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例9)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウムとアルゴンの混合ガス(ヘリウム/アルゴン体積比70/30) 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例10)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:窒素 98.5体積%
反応性ガス1:水素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(比較例1)
実施例1で用いたガラス基材をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1×10-3Pa以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10-3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて製膜を行い、評価を行った。
(比較例2)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(比較例3)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.70体積%
反応性ガス1:酸素 0.05体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(比較例4)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:アルゴン 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(比較例5)
実施例1において反応性ガスの濃度を以下にしたこと以外は実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、評価を行った。
不活性ガス:ヘリウムとアルゴンの混合ガス(ヘリウム/アルゴン体積比70/30) 98.5体積%
反応性ガス1:酸素 0.25体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(比較例6)
2−メトキシメタノール22.2gにモノエタノールアミン0.4gと酢酸インジウム3.8g、Sn(OC49)0.16gを添加し、10分間攪拌混合した。この液に実施例1で用いたものと同じガラス基材を1.2cm/分の速度でディップコートした。コーティングの後、電気炉中500℃で1時間加熱した。
上記実施例1〜10および比較例1〜6の評価結果を表1にまとめる。
Figure 2005259628
(実施例11)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.15体積%
反応性ガス2:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛 1.2体積%
(実施例12)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.15体積%
反応性ガス2:ジブチル錫ジアセテート 1.2体積%
(実施例13)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:アルゴン 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.15体積%
反応性ガス2:ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫 1.2体積%
(実施例14)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.14体積%
反応性ガス2:ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫 1.2体積%
反応性ガス3:4フッ化メタン 0.01体積%
(実施例15)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛 0.5体積%
(実施例16)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫 0.5体積%
(実施例17)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫 0.5体積%
(実施例18)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム 1.2体積%
反応性ガス3:テトラブチル錫 0.5体積%
(実施例19)
実施例1において反応性ガスを以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
不活性ガス:ヘリウム 98.65体積%
反応性ガス1:水素 0.10体積%
反応性ガス2:トリエチルインジウム 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.5体積%
(比較例7)
比較例1においてスパッタリングターゲットを酸化亜鉛としたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例8)
比較例1においてスパッタリングターゲットを酸化錫としたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例9)
比較例1においてスパッタリングターゲットを酸化インジウム:酸化亜鉛=95:5としたこと以外は実施例1と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例10)
実施例11において水素ガスを酸素ガスにしたこと以外は実施例11と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例11)
実施例12において水素ガスを酸素ガスとした事以外は同様にして実施例12と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例12)
実施例13において水素ガスを酸素ガスとした事以外は実施例13と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例13)
実施例14において水素ガスを酸素ガスとした事以外は実施例14と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例14)
実施例15において水素ガスを酸素ガスとした事以外は実施例15と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例15)
実施例16において水素ガスを酸素ガスとした事以外は実施例16と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
(比較例16)
実施例17において水素ガスを酸素ガスとした事以外は実施例17と同様にしてガラス基板上に製膜を行った。
上記実施例11〜19および比較例7〜16の膜について実施例1と同様の方
法で製膜速度、透過率、比抵抗、回折ピーク強度比、表面凹凸を測定した。評価結果を表2に示す。
なお、表2中に記載の各反応ガスの略称の詳細は、以下の通りである。
In(AcAc)3:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム
Zn(AcAc)2:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛
DBDTA:ジブチルジ錫ジアセテート
Sn(AcAc)2:ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫
In(C253:トリエチルインジウム
TBT:テトラブチル錫
In(TMHD)3:トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム
Figure 2005259628
(実施例20)
実施例1においてプラズマ放電装置を図6に示したものとし、基材を非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(JSR社製ARTONフィルム:厚さ100μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製した。実施例1と同様に得られた膜の製膜速度、透過率、比抵抗を測定した。
また、以下の手順により限界曲率半径の測定を行った。
〈限界曲率半径の測定〉
実施例20で得られた錫ドープ酸化インジウム付きのフィルムを縦横10cmの長さに切断した。このフィルムについて室温25℃、湿度60%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを半径10mmのステンレス丸棒に隙間が出来ないように巻き付けた。その状態で3分間保持した後フィルムを丸棒よりとり、再度表面抵抗を測定した。この値をRとする。丸棒の半径を10mmから1mmずつ小さくし、同様の測定を繰り返した。R/R0の値が1を越えた丸棒の半径を限界曲率半径とした。
(実施例21)
実施例20において基材を日本ゼオン社製ゼオノアZF16(厚さ100μm)としたことは実施例20と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、実施例20と同様の評価を行った。
(実施例22)
実施例20において基材を流延法で形成したポリカーボネートフィルム(帝人社製ピュアエース:厚さ100μm)としたことは実施例20と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、実施例20と同様の評価を行った。
(実施例23)
実施例20において基材を取りアセチルセルロースフィルム(厚さ100μm)とした以外は、実施例20と同様にして錫ドープ酸化インジウム膜を作製し、実施例20と同様の評価を行った。
(比較例17)
真空槽、スパッタリングターゲット、気体導入系を有する巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置を用い、ポリエチレンテレフタレート上に錫ドープ酸化インジウム膜を作製した。装置内にフィルムを導入し、内部を4×10-4Paまで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後でフィルムの巻き返しを行い、脱ガス処理を行った。ついでアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=98.8:1.2)を1×10-3Paとなるまで導入し、メインロールの温度を室温、フィルムの繰り出し速度を0.1m/min、投入電力密度1W/cm2として製膜を行い、実施例14と同様に評価を行った。
実施例20〜23および比較例17の評価結果を表3に示す。
Figure 2005259628
次に、以下に示す実施例24、25及び26の透明導電膜を作製した。
(実施例24)
図7の平行平板型の大気圧プラズマ処理装置を用いて、以下の条件以外は上記実施例1と同様にして、透明導電膜を作製した。
電界条件 周波数:13.56MHz、出力:5W/cm2
ガス条件 不活性ガス:ヘリウム 98.74体積%
反応性ガス1:水 0.01体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例25)
以下の条件以外は、実施例24と同様にして、大気圧プラズマ処理を行い、基材上にITOを作製した。
ガス条件 不活性ガス:ヘリウム 98.60体積%
反応性ガス1:水素 0.15体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(実施例26)
特開2000−303175公報の実施例3に記載の大気圧プラズマ放電処理による製膜法を用いて、透明導電膜を作製した。ただし、基材、電極等については上記実施例24、25に記載のものと同様に行った。また、電界条件、ガス条件については、以下の条件を用いた。
電界条件 周波数:10kHz、出力:0.8W/cm2(ハイデン研究所製PHF−4K)
ガス条件 不活性ガス:ヘリウム 98.75体積%
反応性ガス1:水素 0.5体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト 1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
そして、これら本発明の実施例24、25および実施例26によって作製した透明導電膜に対して、上述したダイナミックSIMS測定により水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向における変動係数および水素濃度を求め、その結果を表4に示した。また、抵抗率、光透過率の評価についても表4に示した。
Figure 2005259628
表4の結果より、本発明に係る透明導電膜のピーク強度比H/Mの変動係数を5%以内にすることによって、透明導電膜の性能がさらに向上することが認められた。
本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。 (a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型のロール電極の一例を示す概略図である。 (a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の円筒型電極の一例を示す概略図である。 (a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の角柱型電極の一例を示す概略図である。 本発明の透明導電膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。 本発明の透明導電膜形成方法に用いられる平行平板型のプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
25、25c、25C ロール電極
26、26c、26C、36、36c、36C 電極
25a、25A、26a、26A、36a、36A 金属等の導電性母材
25b、26b、36b セラミック被覆処理誘電体
25B、26B、36B ライニング処理誘電体
31 プラズマ放電処理容器
41、110 電源
51、124 ガス発生装置
52 給気口
53 排気口
60 電極冷却ユニット
61 元巻き基材
65、66 ニップローラ
64、67 ガイドローラ
100 プラズマ放電処理装置
L 基材
120 電極
121 上側平板電極
122 下側平板電極
123 ガス供給口

Claims (35)

  1. 大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法において、前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする透明導電膜形成方法。
  2. 前記還元ガスが水素であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成方法。
  3. 前記反応性ガスが、有機金属化合物から選ばれる少なくとも一種の材料ガスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜形成方法。
  4. 前記放電空間には前記反応性ガスと不活性ガスを含有する混合ガスを導入し、前記不活性ガスがアルゴンまたはヘリウムを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
  5. 前記混合ガスに対する前記還元ガスの量が、0.0001〜5.0体積%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の透明導電膜形成方法。
  6. 前記放電空間に導入する混合ガスが、実質的に酸素を含まないことを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電膜形成方法。
  7. 前記放電空間に印加する電界が、周波数0.5kHz以上であって、且つ、出力密度が100W/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
  8. 前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、且つ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電膜形成方法。
  9. 前記透明導電膜を形成する前記基材の表面温度が、300℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項の透明導電膜形成方法で形成されたことを特徴とする透明導電膜。
  11. 前記透明導電膜の比抵抗値が1×10-3Ω・cm以下であることを特徴とする請求項10に記載の透明導電膜。
  12. 前記透明導電膜のキャリア移動度が10cm2/V・sec以上であることを特徴とする請求項10または11に記載の透明導電膜。
  13. 前記透明導電膜のキャリア密度が1×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の透明導電膜。
  14. 前記透明導電膜のキャリア密度が1×1020cm-3以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の透明導電膜。
  15. 前記透明導電膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In23−ZnO系アモルファス透明導電膜のうち、いずれかを主成分とすることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の透明導電膜。
  16. 前記透明導電膜がITO膜であって、前記ITO膜がIn/Sn原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする請求項15に記載の透明導電膜。
  17. 前記透明導電膜の炭素含有量が0〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする請求項15または16に記載の透明導電膜。
  18. 基材上に請求項10に記載の透明導電膜を有する物品において、前記透明導電膜の比抵抗値が1×10-3Ω・cm以下であることを特徴とする物品。
  19. 前記透明導電膜のキャリア移動度が10cm2/V・sec以上であることを特徴とする請求項18に記載の物品。
  20. 前記透明導電膜のキャリア密度が1×1019cm-3以上であることを特徴とする請求項18または19に記載の物品。
  21. 前記透明導電膜のキャリア密度が1×1020cm-3以上であることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の物品。
  22. 前記透明導電膜が酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、Fドープ酸化錫、Alドープ酸化亜鉛、Sbドープ酸化錫、ITO、In23−ZnO系アモルファス透明導電膜のうち、いずれかを主成分とすることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の物品。
  23. 前記ITO膜がIn/Snの原子数比で100/0.1〜100/15の範囲であることを特徴とする請求項22に記載の物品。
  24. 前記ITO膜のX線回折法における(222)の回折強度I1と(400)の回折強度I2との比(I2/I1)が0.3以下、(222)の回折強度I1と(440)の回折強度I3との比(I3/I1)が0.3以下であることを特徴とする請求項22または23に記載の物品。
  25. 前記I2/I1が0.05〜0.25の範囲にあり、I3/I1が0.05〜0.25の範囲にあることを特徴とする請求項24に記載の物品。
  26. 前記透明導電膜の炭素含有量が0.1〜5.0原子数濃度の範囲であることを特徴とする請求項22〜25のいずれか1項に記載の物品。
  27. 前記基材が、透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項22〜26のいずれか1項に記載の物品。
  28. 前記透明導電膜の表面の凹凸が10nm以内であることを特徴とする請求項22〜27のいずれか1項に記載の物品。
  29. 前記透明樹脂フィルムが、タッチパネル用フィルム基材、液晶素子プラスチック基板、有機EL素子プラスチック基板、PDP用電磁遮蔽フィルムまたは電子ペーパー用フィルム基板であることを特徴とする請求項27または28に記載の物品。
  30. 前記透明導電膜と前記基材上に形成した前記透明導電膜の限界曲率半径が8mm以下であることを特徴とする請求項18〜29のいずれか1項に記載の物品。
  31. 前記透明導電膜がパターニングされた電極であることを特徴とする請求項22〜30のいずれか1項に記載の物品。
  32. 基材上に透明導電膜を有する物品において、前記透明導電膜のダイナミックSIMS測定による水素イオンと主金属元素イオンのピーク強度比H/Mの深さ方向におけるばらつきが、変動係数5%以下であることを特徴とする基材上に透明導電膜を有する物品。
  33. 前記透明導電膜が、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、反応性ガスを放電空間に導入してプラズマ状態とし、前記基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に透明導電膜を形成されたことを特徴とする請求項32に記載の物品。
  34. 前記反応性ガスが、還元ガスを含有することを特徴とする請求項33に記載の物品。
  35. 前記放電空間に印加する電界が、周波数100kHzを越えており、且つ、出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項33または34に記載の基材上に透明導電膜を有する物品。
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