JP2004014439A - 透明導電膜及びその形成方法 - Google Patents

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間宮 周雄
Toshio Tsuji
辻 稔夫
Takatoshi Kiyomura
清村 貴利
Hiroto Ito
伊藤 博人
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Abstract

【課題】生産性に優れ低抵抗かつ基材との密着性に優れた透明導電膜及びその形成方法を提供すること。
【解決手段】大気圧または大気圧近傍の圧力下で、放電空間にガスを導入し、電界を印加してプラズマ状態とした該ガスに基材を晒すことにより透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法において、堆積速度が2〜20nm/secでかつ、製膜後の該透明導電膜のXPSによる炭素含量が0.1〜3atom%であることを特徴とする透明導電膜の形成方法。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略する)、電子ペーパー、タッチパネルや太陽電池等の各種エレクトロニクス素子に好適に用いられる透明導電膜及びその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、透明導電膜は液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池、タッチパネル、電磁波シールド材、赤外線反射膜等に広く使用されている。透明導電膜としてはPt、Au、Ag、Cu等の金属薄膜、SnO、In、CdO、ZnO、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:AL、In:Sn等の酸化物及びドーパントによる複合酸化物膜、カルコゲナイド、LaB、TiN、TiC等の非酸化物がある。中でも錫をドープした酸化インジウム膜(以下、ITOという)が、優れた電気特性とエッチングによる加工の容易さから最も広く使用されている。これらは真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空プラズマCVD法、スプレーパイロリシス法、熱CVD法、ゾルゲル法等により形成されている。
【0003】
近年、液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイにおいては大面積化、高精細化が進んでおり、より高性能な透明導電膜が求められている。液晶表示素子においては電界応答性の高い素子あるいは装置を得るため、電子移動度の高い透明導電膜の利用が求められている。また、有機EL素子においては電流駆動方式をとるために、より低抵抗な透明導電膜が求められている。
【0004】
透明導電膜の形成方法の中で真空蒸着法やスパッタリング法は、低抵抗な透明導電膜を得ることができる。工業的にはDCマグネトロンスパッタリング装置を用いることにより比抵抗値で10−4Ω・cmオーダーの優れた導電性を有するITO膜を得ることができる。
【0005】
しかしながら、これらの物理的製作法(PVD法)では気相中で目的物質を基板に堆積させて膜を成長させるものであり、真空容器を使用する。そのため装置が大がかりで高価な上、原料の使用効率が悪くて製膜速度が低く生産性が低い。また大面積の製膜も困難であった。さらに、低抵抗品を得るためには製膜時に200〜300℃に加熱する必要があり、プラスチックフィルムへの低抵抗な透明導電膜の製膜は困難である。
【0006】
ゾルゲル法(塗布法)は大面積の製膜が可能であるが、分散調液、塗布、乾燥といった多くのプロセスが必要なだけでなく、基材との接着性が低いためにバインダー樹脂が必要となり透明性が悪くなる。また、得られた透明導電膜の電気特性もPVD法に比較すると劣る。
【0007】
熱CVD法は、スピンコート法やディップコート法、印刷法等により基材に目的物質の前駆物質を塗布し、これを焼成(熱分解)することで膜を形成するものであり、装置が簡単で生産性に優れ、大面積の製膜が容易であるという利点があるが、通常焼成時に400〜600℃の高温処理を必要とするため基材が限られてしまうという問題点を有していた。特に、プラスチックフィルム基板への製膜は困難である。
【0008】
上記、ゾルゲル法(塗布法)による高機能な薄膜が得にくいデメリット、及び真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、薄膜形成ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する方法(以下、大気圧プラズマCVD法という)が提案されている。
【0009】
特開2000−303175に大気圧プラズマCVD法により透明導電膜を形成する技術が開示されている。しかしながら、得られる透明導電膜の抵抗は比抵抗値でおよそ10−2Ω・cmと高く、比抵抗値10−3Ω・cm以下の優れた電気特性が要求される液晶素子、有機EL素子、PDP、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ用透明導電膜としては不十分である。また、耐湿、耐熱性が悪かった。更に、CVD原料にトリエチルインジウムを用いており、この化合物は常温、大気中で発火、爆発の危険性がある等、安全性にも問題がある。
【0010】
また、特開2001−74906には赤外線及び電磁波防止機能を有し、ハードコート層/透明導電層/反射防止層とを高い密着性を有する、耐擦傷性、表面硬度に優れたPDPまたはFED用反射防止フィルム及びその製造方法として透明導電層の例が開示されているが、該特許に記載の透明導電層ではより低抵抗な透明導電膜という要求に到底応えることはできない。また、基板に高分子フィルムを用いることを考慮すると、製造工程、市場での取り扱いに対する機械的な耐性も必要とされるが、これまでの製膜方法では機械的な耐性に問題があった。
【0011】
一般に、透明導電膜の製膜では基板温度を上げるほど比抵抗値は下がることが知られているが、大気圧プラズマ法で低抵抗かつ耐湿、耐熱性の良好な透明導電膜を形成する方法は開示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生産性に優れ低抵抗かつ基材との密着性に優れた透明導電膜及びその形成方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
【0014】
1.大気圧または大気圧近傍の圧力下で、放電空間にガスを導入し、電界を印加してプラズマ状態とした該ガスに基材を晒すことにより透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法において、堆積速度が2〜20nm/secでかつ、製膜後の該透明導電膜のXPSによる炭素含量が0.1〜3atom%であることを特徴とする透明導電膜の形成方法。
【0015】
2.プラズマ放電の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする上記1記載の透明導電膜の形成方法。
【0016】
3.上記1または2に記載の透明導電膜の形成方法で形成し、透明導電膜の組成がITO(In:Sn)、ZnO、IZO(In:ZnO)またはFTO(F:In)であることを特徴とする透明導電膜。
【0017】
4.上記1または2に記載の透明導電膜の形成方法で形成し、透明導電膜の組成がITOで、その比抵抗値が10−3Ωcm以下であることを特徴とする透明導電膜。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意研究の結果、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、放電空間にガスを導入し、電界を印加してプラズマ状態としたガスに基材を晒し、堆積速度が2〜20nm/secでかつ、製膜後の透明導電膜のXPS(X−rayPhotoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)による炭素含量を0.1〜3atom%とすることにより、低抵抗かつ膜付きに優れた透明導電膜が得られることを見出した。
【0019】
本発明において、堆積速度は下記式で定義される。
放電処理時間(sec)=基材搬送速度(m/sec)/(放電電極の幅(m)×電極数(個))
堆積速度(nm/sec)=膜厚(nm)/放電処理時間(sec)
従来、堆積速度と透明導電膜の膜物性についての開示はほとんどない。本発明の機構については現在明確ではないが、元来、有機物である基材とITO等の無機物である透明導電膜材料は親和性が弱く膜付きが悪いが、堆積速度を上記速度にまで上げて透明導電膜中の炭素含量を調整することにより透明導電膜の物性が変化し、有機物である基材との親和性が増し、膜付きが向上するものと考えている。
【0020】
堆積速度を上記速度にまで上げるには、下記のような方法があり、これらを組み合わせて用いることができる。
(1)還元性ガス、例えば水素ガスの添加量の増加
(2)出力密度の増加
(3)電極間のギャップを狭くする
(4)薄膜形成ガスの供給速度の増加
(5)薄膜形成ガスの濃度の増加
(6)基材温度の上昇
本発明において、透明導電膜とは、一般に工業材料としてよく知られているものであり、可視光(400〜700nm)をほとんど吸収せず透明で、しかも良導体の膜のことである。電気を運ぶ自由荷電体の透過特性が可視光域で高く、透明であり、しかも電気伝導性が高いため、透明電極や帯電防止膜として用いられる。
【0021】
なお、「膜」と称しているが、用途によってその機能を有する程度に被処理体上に形成できればよく、必ずしも被処理体の全部または一部を覆う連続的な膜である必要はない。透明導電膜としてはPt、Au、Ag、Cu等の金属薄膜、SnO、In、CdO、ZnO、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:AL、In:Sn等の酸化物及びドーパントによる複合酸化物膜、カルコゲナイド、LaB、TiN、TiC等の非酸化物がある。本発明においては、透明導電膜の組成がITO(In:Sn)、ZnO、IZO(In:ZnO)またはFTO(F:In)であることが好ましい。
【0022】
本発明の透明導電膜の形成方法であるハイパワーの大気圧プラズマ放電薄膜形成方法及びその装置について説明する。
【0023】
先ず、本発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理方法及び装置について説明する。この本発明に係る方法を、以降において大気圧プラズマ放電薄膜形成方法及び大気圧プラズマ放電薄膜形成装置と略すことがある。
【0024】
本発明に係る大気圧プラズマ放電薄膜形成装置は、二つの電極が、例えば片方の電極がアース電極で、対向する位置に配置された他方の電極が印加電極で構成する対向電極を有し、これらの対向電極間(放電空間ということがある)にガスを導入し、対向電極間に高周波電源からの高周波電圧をかけて放電させ、ガスをプラズマ状態とし、放電空間を移送する基材をプラズマ状態のガスに晒すことによって、基材の上に透明導電膜の薄膜を形成させる装置である。また他の方式の大気圧プラズマ放電薄膜形成装置は、対向電極間の放電空間で上記と同様に放電させ、放電空間に導入したガスをプラズマ状態とし、対向電極外にジェット状にプラズマ状態のガスを吹出し、対向電極の近傍にある基材(静置していても移動していてもよい)をプラズマ状態のガスに晒すことによって基材の上に透明導電膜の薄膜を形成させるジェット方式の装置である。
【0025】
図1は、本発明に係る大気圧プラズマ放電薄膜形成装置の一例を示す概略図である。図1はプラズマ放電処理装置30、ガス供給手段50、電圧印加手段40、及び電極温度調節手段60から構成されている。ロール回転電極35と角筒型固定電極群36として、基材Fをプラズマ放電処理するものである。この図1では、ロール回転電極35はアース電極で、角筒型固定電極群36は高周波電源41に接続されている印加電極である。基材Fは図示されていない元巻きから巻きほぐされて搬送して来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴して来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回されながら角筒型固定電極群36との間を移送され、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取られるか、次工程に移送する。ガスはガス供給手段50で、ガス発生装置51で発生させた混合ガスGを、流量制御して給気口52より放電処理室32のプラズマ放電処理容器31内に入れ、プラズマ放電処理容器31内をガスGで満たし、放電処理が行われた処理排ガスG′を排気口53より排出するようにする。次に電圧印加手段40で、高周波電源41により角筒型固定電極群36に電圧を印加し、アース電極のロール回転電極35との電極間で放電プラズマを発生させる。ロール回転電極35及び角筒型固定電極群36を電極温度調節手段60を用いて媒体を加熱または冷却し電極に送液する。電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を送液ポンプPで配管61を経てロール回転電極35及び角筒型固定電極群36内側から温度を調節する。プラズマ放電処理の際、基材の温度によって得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが好ましい。媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラをできるだけ生じさせないようにロール回転電極35の内部の温度を制御することが望ましい。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界を仕切る仕切板である。
【0026】
図2は、図1に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造を示す一例を示す斜視図である。
【0027】
図2において、ロール電極35aの導電性の金属質母材35Aで形成されているロールの表面側に誘電体が被覆されており、中は中空になっていて温度調節が行われるジャケットになっている。
【0028】
図3は、図1に示した角筒型電極の母材とその上に被覆されている誘電体の構造を示す一例を示す斜視図である。
【0029】
図3において、角筒型電極36aは、金属等の導電性の母材に対し、図2同様の誘電体被覆層を有している。角筒型電極36aは中空の金属角型のパイプで、パイプの表面に上記と同様の誘電体を被覆し、放電中は温度調節が行えるようになっている。尚、角筒型固定電極36の数は、上記ロール回転電極35の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、放電面積はロール回転電極35に相対している角筒型電極36a面の全面積となる。
【0030】
図3に示した角筒型電極36aは、円筒型(丸型)電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明の薄膜形成方法に好ましく用いられる。
【0031】
図2及び図3において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、導電性の金属質母材35A及び36Aの表面に、誘電体35B及び36Bを誘電体被覆層とした構造になっている。誘電体被覆層は、セラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したセラミックス被覆層である。セラミックス被覆誘電体層の厚さは片肉で1mmである。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナやアルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0032】
または、誘電体層として、ガラスライニングによる無機材料のライニング処理誘電体であってもよい。
【0033】
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が好ましい。
【0034】
対向電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合には誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、また上記電極の双方に誘電体を設けた場合には誘電体表面同士の距離で、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。
【0035】
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
【0036】
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0037】
図4は、本発明に係る大気圧プラズマ放電薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
【0038】
高周波電源104により高周波電圧を印加する印加電極101とアース電極102の対向電極間に混合ガスGを導入し、放電空間で放電を起こさせ、そこでプラズマ状態の混合ガスG°(点線で表している)がジェット状に下方に流れ(ジェット方式)、電極下の処理位置103において静置してある基材F(例えば、ガラス板)または移送して来る基材F(例えば、フィルム)上に透明導電膜を形成させる。フィルム状の基材Fは、図示してない基材の元巻ロールから巻きほぐされて搬送されるか、あるいは前工程から搬送されて来る。また、ガラス板のような基材Fもベルトコンベアのような移動体の上に載せて移送し処理してもよい。更に、ジェット方式の該大気圧プラズマ放電薄膜形成装置を複数基接して直列に並べて同時に同じ放電させ、基材そのものが移送しているか、あるいは基材がベルトコンベアのようなものに載せて移送していることにより、何回も処理を受けるため高速で処理することもできる。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、積層することもできる。G′は処理排ガスである。101A及び102Aは印加電極101及びアース電極102の導電性の金属質母材であり、101B及び102Bは誘電体である。図4においても、図示してないが、図1の電圧印加手段40、ガス供給手段50及び電極温度調節手段60を有している。また電極の内部も中空となって温度調節用のジャケットになっている。
【0039】
本発明において、前述のように、放電プラズマ処理時の基材表面の温度を120℃以下とするように、電極温度調節手段を調節して、電極の温度を100℃以下、特に20〜80℃に冷却し、プラズマ放電処理中に発生する熱を効率的に冷やすことが重要である。従来は基材の熱による変形を防ぐための冷却が主であったが、本発明では様々な特性を効果的に引き出すために温度調節を積極的に行う。
【0040】
本発明において、プラズマ放電処理が大気圧もしくはその近傍の圧力で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93〜104kPaが好ましい。
【0041】
本発明に係るハイパワーの大気圧プラズマ放電薄膜形成方法は、対向する電極間に印加する高周波電圧は、100kHzを越えた高周波電圧で、且つ、1W/cm以上の電力密度を供給し、放電空間に導入するガスを励起してプラズマを発生させることが好ましい。
【0042】
本発明において、対向電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下であり、より好ましくは15MHz以下である。また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上、より好ましくは800kHz以上である。
【0043】
また、電極間に供給する電力密度の上限値とは、好ましくは50W/cm以下、より好ましくは20W/cm以下である。下限値は、好ましくは1W/cm以上である。尚、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0044】
高周波電源より印加電極に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が10V〜10kV程度で、上記のように電源周波数は100kHzを越えて150MHz以下に調整される。
【0045】
本発明に有用な電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードである。
【0046】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0047】
本発明においては、印加電極に電圧を印加する電源としては、ハイパワーの電圧を掛けられる電源であれば、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、パール工業製高周波電源(2MHz)、パール工業製製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(27MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が好ましく使用できる。より好ましくは、100kHz〜150MHzの高周波電源であり、更に好ましくは、800kHz〜27MHzのものである。
【0048】
このようなハイパワーの大気圧プラズマ放電薄膜形成装置に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならないので、下記のような導電性の金属質母材上に誘電体を被覆した電極が好ましい。
【0049】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な導電性の金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、導電性の金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、さらに好ましくは5×10−6/℃以下、さらに好ましくは2×10−6/℃以下である。尚、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0050】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
(1)導電性の金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
(2)導電性の金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
(3)導電性の金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
(4)導電性の金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
(5)導電性の金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
(6)導電性の金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
(7)導電性の金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
(8)導電性の金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(1)または(2)、及び(5)〜(8)が好ましく、特に(1)が好ましい。
【0051】
本発明において、導電性の金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。導電性の金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
【0052】
本発明に有用な電極の導電性の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることができ、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることができ、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることができ、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、導電性の金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
【0053】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0054】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することができる。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0055】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることができる。
【0056】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0057】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiO)を主成分として含有するものが好ましい。
【0058】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0059】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極ができる。
【0060】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiO(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiO含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0061】
本発明の薄膜形成方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。更にJIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0062】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0063】
次に、本発明の透明導電膜の形成方法に係る放電空間に導入するガスについて説明する。本発明の透明導電膜の形成方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい透明導電膜の種類によって異なるが、基本的に、薄膜形成ガス、反応ガス及び放電ガスからなり、反応ガスには還元ガスが含まれる。還元ガスの好ましい例として水素が挙げられる。水素の量は放電空間に導入するガスに対して、0.0001〜5.0体積%の範囲で用いることができる。好ましい範囲は、0.001〜3.0体積%である。
【0064】
本発明においては上記薄膜形成ガスに加え、分子内に少なくとも1個以上の酸素原子を含む有機金属化合物を用いることができる。この薄膜形成ガスは、放電空間でプラズマ状態となり、透明導電膜を形成する成分を含有するものであり、βジケトン金属錯体、金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物が用いられる。
【0065】
好ましい化合物としては、インジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、インジウムメチル(トリメチル)アセチルアセテート、インジウムアセチルアセトナート、インジウムイソポロポキシド、インジウムトリフルオロペンタンジオネート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)錫、ジ−n−ブチルジアセトキシ錫、ジ−t−ブチルジアセトキシ錫、テトライソプロポキシ錫、テトラブトキシ錫、ジンクアセチルアセトナート等を挙げることができる。
【0066】
この中で特に、好ましいのはインジウムアセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオネート)インジウム、ジンクアセチルアセトナート、ジ−n−ブチルジアセトキシ錫である。これらの有機金属化合物は一般に市販されており、例えば、インジウムアセチルアセトナートは東京化成工業(株)容易に入手することができる。
【0067】
本発明においてはこれら分子内に少なくとも1つ以上の酸素原子を含有する有機金属化合物の他に導電性を向上させるために行われるドーピング用のガスを用いることができる。ドーピングに用いられる薄膜形成ガスとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、ニッケルアセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、ボロンイソプロポキシド、n−ブトキシアンチモン、トリ−n−ブチルアンチモン、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)錫、ジ−n−ブチルジアセトキシ錫、ジ−t−ブチルジアセトキシ錫、テトライソプロポキシ錫、テトラブトキシ錫、テトラブチル錫、ジンクアセチルアセトナート、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン、4フッ化メタン等を挙げることができる。
【0068】
透明導電膜の比抵抗値を調整するために用いる薄膜形成ガスとしては、例えば、チタントリイソプロポキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができる。
【0069】
透明導電膜主成分として用いられる薄膜形成ガスとドーピングを目的に少量用いられる薄膜形成ガスの量比は、製膜する透明導電膜の種類により異なる。例えば、酸化インジウムに錫をドーピングして得られるITO膜においては、得られるITO膜のIn/Snの原子数比が100/0.1〜100/15の範囲になるように薄膜形成ガス量を調整する。好ましくは、100/0.5〜100/10の範囲になるよう調整する。In/Snの原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0070】
酸化錫にフッ素をドーピングして得られる透明導電膜(FTO膜という)においては、得られたFTO膜のSn/Fの原子数比が100/0.01〜100/50の範囲になるよう薄膜形成ガスの量比を調整する。Sn/Fの原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0071】
In−ZnO系アモルファス透明導電膜においては、In/Znの原子数比が100/50〜100/5の範囲になるよう薄膜形成ガスの量比を調整する。In/Znの原子数比はXPS測定で求めることができる。
【0072】
更に、薄膜形成ガスには透明導電膜主成分となる薄膜形成ガスとドーピングを目的に少量用いられる薄膜形成ガスがある。更に、透明導電膜の比抵抗値を調整するために薄膜形成ガスを追加することも可能である。
【0073】
上記薄膜形成ガスは、放電空間に導入するガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。透明導電膜の膜厚としては、0.1〜1000nmの範囲の透明導電膜が得られる。
【0074】
本発明においては上記薄膜形成ガス、反応ガス及び放電ガスをプラズマ空間に導入する。ここで放電ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン更には窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、アルゴンまたはヘリウムが特に好ましく用いられる。
【0075】
本発明に用いることができる基材としては、フィルム状のもの、シート状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、透明導電膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はないが、ガラス転移点が200℃以下の樹脂が好ましい。基材が電極間に載置できるものであれば、電極間に載置することによって、基材が電極間に載置できないものであれば、発生したプラズマを当該基材に吹き付けることによって透明導電膜を形成すればよい。
【0076】
基材を構成する材料も特に限定はないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
【0077】
例えば、フィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することができる。また、これら基材は、支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることができる。
【0078】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0079】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォン等の固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより得ることができる。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0080】
本発明においては透明導電膜はガラス、プラスチックフィルム等の基材上に形成されるが、必要に応じて基材と透明導電性膜の間に接着性を向上させるために接着層を設けてもよい。また、光学特性を改良するために、透明導電膜を設けた面の反対の面に反射防止膜を設けることも可能である。さらに、フィルムの最外層に防汚層を設けることも可能である。その他、必要に応じてガスバリア性、耐溶剤性を付与するための層等を設けることも可能である。
【0081】
これらの層の形成方法は特に限定はなく、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、大気圧プラズマCVD法等を用いることができる。特に好ましいのは大気圧プラズマCVD法である。
【0082】
これらの層の大気圧プラズマCVDによる形成方法としては、例えば反射防止膜の形成方法としては特願平2000−021573等に開示された方法を用いることができる。
【0083】
本発明においては、上記記載のような基材面に対して本発明に係わる透明導電膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
【0084】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0085】
実施例1
(透明導電膜1の作製)
大気圧プラズマ処理装置に、非晶質ポリオレフィン樹脂フィルム(JSR社製ARTONフィルム、厚さ100μm)を一定の搬送速度で送りながら、下記混合ガスを導入して連続的に大気圧プラズマ処理して薄膜形成を行い、透明導電膜1を作製した。
【0086】
大気圧プラズマ処理装置のロール電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケット母材に対してセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmaxが5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するようにした。一方印加電極としては、中空の角形のステンレスパイプに対し、上記と同様の誘電体を同条件にて被覆し、対抗する電極群とした。
【0087】
プラズマ発生に用いる電源は、パール工業社製高周波電源を使用した。また出力は2W/cmの電力を供給した。堆積速度は3.0nm/secであった。
【0088】
〈放電空間に導入するガス〉
放電ガス:ヘリウム 98.5体積%
反応ガス:水素 0.25体積%
薄膜形成ガス1:インジウムアセチルアセトナート 1.2体積%
薄膜形成ガス2:ジブチル錫ジアセテート 0.05体積%
(透明導電膜2〜13の作製)
周波数、出力密度、堆積速度、放電ガス、反応ガス、薄膜形成ガス1〜2、電源を表1のように変更する以外は透明導電膜1と同様にして透明導電膜2〜13を作製した。
【0089】
【表1】
Figure 2004014439
【0090】
作製した透明導電膜を以下の方法で評価した。
〈堆積速度〉
膜厚はPhotal社製FE−3000反射分光膜厚計により測定した。また、
放電処理時間(sec)=基材搬送速度(m/sec)/(放電電極の幅(m)×電極数(個))とし、
堆積速度(nm/sec)=膜厚(nm)/放電処理時間(sec)
によって堆積速度を求めた。
【0091】
〈比抵抗〉
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学社製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
【0092】
〈透過率〉
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光高度計1U−4000型を用いて測定した。試験光の波長は550nmとした。
【0093】
〈組成、炭素含量〉
組成、炭素含量は、XPS表面分析装置を用いて測定した。XPS表面分析装置としては、特に限定はなく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定を行う前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定おいては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
【0094】
先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
【0095】
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含量算出結果の違いをなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、炭素含量の値を原子数濃度(atomic concentration:atom%)として求めた。
【0096】
錫とインジウムの比も、上記結果から得られた原子数濃度の比とした。
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行った。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。
【0097】
Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
【0098】
〈密着性〉
JIS規格5400に従って、碁盤目テスト(碁盤目テープ法)を行った。カットした碁盤目数に対するテストテープの引き剥がし後の残存目数すなわち残存目数/カット目数で評価し、残存率100%の場合を良好な密着性とした。
【0099】
評価の結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
Figure 2004014439
【0101】
【発明の効果】
本発明により、生産性に優れ低抵抗かつ基材との密着性に優れた透明導電膜及びその形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る大気圧プラズマ放電薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造を示す一例を示す斜視図である。
【図3】図1に示した角筒型電極の母材とその上に被覆されている誘電体の構造を示す一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る大気圧プラズマ放電薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
30 プラズマ放電処理装置
35 ロール回転電極
36 角筒型固定電極群
40 電圧印加手段
50 ガス供給手段
60 電極温度調節手段

Claims (4)

  1. 大気圧または大気圧近傍の圧力下で、放電空間にガスを導入し、電界を印加してプラズマ状態とした該ガスに基材を晒すことにより透明導電膜を形成する透明導電膜の形成方法において、堆積速度が2〜20nm/secでかつ、製膜後の該透明導電膜のXPSによる炭素含量が0.1〜3atom%であることを特徴とする透明導電膜の形成方法。
  2. プラズマ放電の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜の形成方法。
  3. 請求項1または2に記載の透明導電膜の形成方法で形成し、透明導電膜の組成がITO(In:Sn)、ZnO、IZO(In:ZnO)またはFTO(F:In)であることを特徴とする透明導電膜。
  4. 請求項1または2に記載の透明導電膜の形成方法で形成し、透明導電膜の組成がITOで、その比抵抗値が10−3Ωcm以下であることを特徴とする透明導電膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7462302B2 (en) * 2006-01-20 2008-12-09 Chung-Cheng Chang Indium oxide based material and method for preparing the same

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