JP4092958B2 - Ito膜、ito膜材料及びito膜の形成方法 - Google Patents

Ito膜、ito膜材料及びito膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ITO膜と、該ITO膜を有するITO膜材料と、大気圧プラズマ法を利用したITO膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ITO(Snドープ型酸化インジウム膜)などの導電膜、SiO2などのガスバリア膜の機能を有する各種金属原子含有膜が知られ、各種電子機器、表示装置などに応用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これら金属原子含有膜は、以前は塗布法により基材上に形成していた。しかし、塗布法では、分散液の調合、塗布、乾燥、焼成などの多くのプロセスが必要となり生産効率が低い。さらに、基材との密着性を確保するためにバインダー樹脂を加えることから透明性が低く、膜質が悪く所望の機能が得られなかった。
【0004】
そこで、近年では、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理的な製膜方法(PVD法)が多く使われている。しかしながら、これらPVD法は真空容器中で製膜するので、装置が大掛かりで高価な上に、1工程ごとに装置を排気して真空にしたり逆に真空の解除が必要になり、作業効率が低く、また一度に大面積の製膜も難しく生産性が低かった。得られる膜の性質も、ある程度所望の機能は有するものの、時間の経過とともに基材から膜が剥がれたり、膜に欠陥が発生したり耐久性の点で十分ではなかった。
さらに、生産性の点では、熱CVD(chemical vapor deposition)法が有効であることが知られている。この方法は、スピンコート法やディップコート法、印刷法で基材に金属原子含有膜の前駆物質を塗布し、これを焼成し熱分解して膜を形成するものである。これは、装置が簡単で大面積の膜も形成でき、生産性が高いが、焼成時に400℃〜500℃の高温処理を必要とするので、ガラスなどの無機の基材は使用できるがプラスチックフィルム基材への製膜はできない。
最近になって、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応ガスをプラズマ励起し、電極間に配置した基材上に薄膜を形成する方法(以下、大気圧プラズマ法と言う)が、特開平11−133205号、特開2000−185362号、特開平11−61406号、特開2000−147209号、特開2000−121804号等に記載されている。
これら公報に開示される大気圧プラズマ法は、対向する電極間に、周波数0.5〜100kHzである電圧を、電界の強さが1〜100V/cmとなるように印加して、放電プラズマを発生させている。大気圧プラズマ法による薄膜形成は、生産性の観点では非常に優れているが、上記公報に開示されている方法では、その膜品質が塗布法よりは優れているもののPVD法に及ばないことが分かった。
【0005】
本発明の課題は、膜質が良好で耐久性の高いITO膜を得ることと、このようなITO膜を簡単な設備と高い生産効率で、様々な基材に形成することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ITO膜において、膜中の水素のばらつきを一定範囲に収まっていることを最大の特徴とし、このような膜であれば、耐久性などの点で満足することを見出した。そして、特にこのようなITO膜を製造する方法として大気圧プラズマ法が適している事を見出した。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、
放電ガスとしてヘリウムと、反応性ガスとして水又は水素と、インジウムアセチルアセトナト及びジブチル錫ジアセテートと、を用いて大気圧プラズマ法で形成されたITO膜であって、
動的二次イオン質量分析により得られた水素濃度をHとし、インジウム濃度をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が3.6%以内であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項1に記載のITO膜によれば、動的二次イオン質量分析により得られた水素濃度をHとし、インジウム濃度をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が3.6%以内であることから、厚さ方向における膜質の組成が均質であり、引いては耐久性が高く、また、膜質が均質で良質であるので機能も高い膜となると推定される。
ここで、「膜厚方向における」とは、必ずしも厚さ方向全体にわたって、ということではなく、表面には汚れがあったり、他の層と接触している面はその影響を受けたりするので、例えば深さ方向の10〜90%の範囲、好ましくは15〜85%の範囲における変動係数を求める。
【0015】
請求項に記載の発明は、
基材と、
前記基材の表面に形成されている請求項に記載のITO膜とを有することを特徴とするITO膜材料である。
【0016】
請求項に記載のITO膜材料であれば、請求項記載のITO膜が基材に形成されているので、つまり組成が均質で耐久性が高く膜質が良質であって機能も高い膜が形成されているので、ITO膜材料としても耐久性や機能の点で優れたものとなる。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のITO膜材料において、前記基材は、透明樹脂フィルムであることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のITO膜材料において、
前記透明樹脂フィルムは、タッチパネル用フィルム基材、液晶素子プラスチック基板、有機エレクトロルミネセンス素子プラスチック基板、プラズマディスプレィパネル用電磁遮蔽フィルム、電子ペーパー用フィルム基板であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項に記載のITO膜は、大気圧プラズマ法により基材上に形成することができる。
すなわち、請求項に記載の発明は、
請求項1記載のITO膜の形成方法であって、
大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する2種の電極間に、放電ガスとして98.25〜98.74体積%のヘリウムと、反応性ガスとして0.01〜0.5体積%の水又は水素と、インジウムアセチルアセトナト及びジブチル錫ジアセテートを導入し、
電極間に0.2〜13.56MHzの連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜10W/cm 2 の電力を供給して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に、ITO膜を形成することを特徴とするITO膜の形成方法である。
【0019】
請求項に記載の発明におけるハイパワーの大気圧プラズマ法であれば、高密度のプラズマが均一に発生し、これにより請求項に記載の均質で良好なITO膜を形成することができる。また、真空容器による従来の製膜法よりも、簡単な設備や容器で済むのでコストが低い。さらに、工程ごとに真空を解除したり排気するといった作業を繰り返す必要がないので、作業効率も高い。また、比較的簡単な設備で済むということは、容器や基材の搬入方法などを工夫することで大型の基板や長尺な基材に対しても膜を形成することができ、生産性が高い。
さらに、大気圧プラズマ法であれば、真空プラズマ法よりもプラズマ密度が高いので速く製膜することができ、その点でも生産性が高い。
また、プラズマ状態で製膜するので、特に加熱などしなくても製膜可能で、ガラスなどの無機基板に加えて、熱に弱い樹脂フィルムやプラスチック基板にも製膜できる。
【0023】
また、水又は水素を反応性ガスとして使用することで、膜中に水素を含有させることができる
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のITO膜は、動的二次イオン質量分析(以下、ダイナミックSIMSということもある)により得られた水素濃度のピーク値をHとし、インジウム濃度のピーク値をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が3.6%以内であることを最大の特徴とする。
【0026】
このようなITO膜は、大気圧プラズマ法を利用した本発明のITO膜の形成方法で形成することができる。
以下では、まず本発明におけるITO膜の形成方法について説明する。すなわち、本発明のITO膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する2種の電極間に、放電ガスとして98.25〜98.74体積%のヘリウムと、反応性ガスとして0.01〜0.5体積%の水又は水素と、インジウムアセチルアセトナト及びジブチル錫ジアセテートを導入し、
電極間に0.2〜13.56MHzの連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜10W/cm 2 の電力(出力密度)を供給して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に、ITO膜を形成することを特徴とする
本発明においては、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表し、93kPa〜104kPaがより好ましい。
【0028】
尚、放電面積(/cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。本発明のように、高い周波数で、且つ、高い出力密度でハイパワーの電圧を印加する場合には、片側の電極の放電面の総面積に相当する。この総面積で、前記電極に接続した電源から供給されるトータル電力(W)を割り算すると、出力密度を算出することが出来る。
なお、後述の図6においては、角柱型の固定電極36のロール電極25と対向する面を、印加電極側の放電面とすると、この放電面の面積の総和が放電面積となる。電極が図1のような円柱型の固定電極26のような場合には、ロール電極25への投影面積の総和が放電面積となる。
【0029】
た、電極の放電面は、基材の薄膜を形成する面と向かい合わせに配置することが、均一でムラがなく、緻密な膜を形成するという本発明の目的に有利である。このため、基材は電極間に位置させることが好ましい。
上記述べたような大気圧プラズマ法でハイパワーの電界を印加することによって、高密度プラズマを均一に発生させることが可能となり、その結果、緻密で、膜質が均質で、ムラのない高性能な薄膜を、大きな速度で高く形成することができる。
【0030】
本発明においては、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、このようなハイパワーの電界を、大面積の電極に印加しても、均一な放電状態を保つことができる高耐久電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
このような電極としては、金属等の導電性母材上の少なくとも放電面に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極のどちらか片側に誘電体を被覆すること、好ましくは、印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。
誘電体の厚みは、0.5〜2mm程度がよく、この膜厚変動は、5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下がよい。
【0031】
本発明の誘電体被覆電極に用いられる誘電体としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
誘電体被覆電極において、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることが好ましいより好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。尚、誘電体の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。
このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、周知の大気プラズマ法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。封孔処理は、セラミックス等の溶射膜に無機化合物で行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0032】
また、誘電体を、溶融法により得られるガラスを用いてガラスライニング法で形成した場合、泡混入量の異なる2層以上の層から形成すると、より耐久性が高められる。前記泡混入量としては、導電性母材に接する最下層が20〜30vol%であり、次層以降が5vol%以下であることが好ましい。ガラスへの泡混入量の制御方法としては、もともとガラスの溶融物には泡が混入しているため、脱気を行うが、該脱気度合いを変化させることによって所望の値とできる。このような泡混入量をコントロールし、層状に設けたガラスライニング法による誘電体も、耐久性の高い電極が得られる。このときの誘電体層のトータル厚みは0.5mm以上2.0mm以下であり、更に最下層の膜厚が、0.1mm以上あり次層以降のトータル膜厚が0.3mm以上あることが好ましい。
【0033】
また、本発明の誘電体被覆電極において、大電力に耐えるため、耐熱温度が100℃以上、好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上を有する。尚、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。
【0034】
また、本発明の誘電体被覆電極において、誘電体と導電性母材との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせであることが好ましい。好ましくは8×10-6/℃以下、さらに好ましくは5×10-6/℃以下、さらに好ましくは2×10-6/℃以下である。
【0035】
また、誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化でき、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0036】
このような電極を用いたプラズマ放電処理装置について、図1〜図7を参照しながら説明する。ここで示すプラズマ放電処理装置は、アース電極であるロール電極と、対向する位置に配置された印加電極である複数の固定電極との間で放電させ、当該電極間に反応性ガスを導入してプラズマ状態とし、前記ロール電極に巻回された長尺フィルム状の基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、ITO膜を形成するものである。
【0037】
図1は、本発明のITO膜の形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置のプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0038】
図1において、長尺フィルム状の基材Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極25に巻回されながら搬送される。固定されている固定電極26は複数の円筒から構成され、ロール電極25に対向して設置される。ロール電極25に巻回された基材Fは、ニップローラ65、66で押圧され、ガイドローラ64で規制されてプラズマ放電処理容器31内の放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ67を介して次工程に搬送される。
また、仕切板54は前記ニップローラ65、66に近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器31内に進入するのを抑制する。この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器31内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。
尚、放電プラズマ処理に用いられる後述の混合ガスは、給気口52からプラズマ放電処理容器31に導入され、処理後のガスは排気口53から排気される。
【0039】
図2は、プラズマ放電処理容器の他の例を示す概略図である。図1では、ロール電極25に対向する固定されている固定電極26が棒状の円柱型電極であるのに対し、図2では角柱型電極36に変更している。
図3は各々、上述の円筒型のロール電極25の一例を示す概略図、図4は円筒型の固定電極26の一例を示す概略図、図5は角柱型の固定電極36の一例を示す概略図である。
【0040】
図3において、アース電極であるロール電極25cは、金属等の導電性母材25aに対し、誘電体被覆層として、セラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したセラミックス被覆処理誘電体25bを1mm被覆した組み合わせで構成されているものである。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
金属等の導電性母材25aとしては、チタン、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料が挙げられるが、加工の観点からはステンレスが好ましい。
尚、本実施の形態においては、ロール電極25の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
【0041】
図4および図5は、印加電極である固定電極26c、36cであり、上記記載のロール電極25cと同様な材料の組み合わせで構成されている。すなわち、中空のステンレスパイプ26a、36bに対し、上記同様の誘電体26b、36aを被覆し、放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。
【0042】
図6は、図2のプラズマ放電処理容器31が設けられたプラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。図6のプラズマ放電処理装置50は、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット60等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット60の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
図6に記載の電極25、36は、図3、4、5等に示したものと同様である。
印加電極に電圧を印加する電源41としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0043】
上記電極間の距離は、電極の導電性母材に設けた固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。具体的には、均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
前記プラズマ放電処理容器31内にロール電極25、複数の固定電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に入れ、前記プラズマ放電処理容器31内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口53より排気する。次に電源41により固定電極36に電圧を印加し、ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材61より基材Fが供給され、ガイドローラ64を介して、プラズマ放電処理容器31内の電極間を片面接触(ロール電極25に接触している)の状態で搬送される。基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理されて、その表面にITO膜が形成され、その後にガイドローラ67を介して、次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0044】
電源41より固定されている電極36に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が10V〜10kV程度で、電源周波数は前述のように0.2〜13.56MHzに調整される。
【0045】
本発明のITO膜の形成方法を実施するプラズマ放電処理装置としてはこれに限定されるものではなく、例えば図7に示すような、電極が平行平板型のプラズマ放電処理装置でもよい。
図7に示すプラズマ放電処理装置4は、上側電極7aが複数の平板電極7c、7c点...から構成され、これらが下側平板電極7bに上下に対向して設けられている。これら複数の電極7c,...間の隙間がそれぞれガス流路部8c,...とされ、ガス流路部8c、8c…にガス供給手段3から混合ガスを供給し、電極間でプラズマ状態とする。符号6は電源である。下側平板電極7bに、ガラス基板などの剛性の高い基材Lを載置しプラズマ処理により膜を形成する。
樹脂フィルムのような可撓性のある基材であれば、図1、図2に示したような電極を使用し、ガラス基板のような剛性の高い基材であれば図7のような平行平板型を利用すればよい。また、図7において上側平板電極が、下側平板電極7bのように板状に形成されていてもよい。
【0046】
本発明で用いられる基材の形状としては、樹脂からなるフィルム、より厚手のシート状・板状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、ITO膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。
基材を構成する材料についても特に限定されず、ガラス基板や金属基板なども好ましく用いることができるが、比較的低温で製膜することができるので樹脂フィルムを特に好適に使用できる。樹脂フィルムの膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0047】
樹脂フィルムとして、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0048】
特にノルボルネン樹脂系フィルムは好ましく、具体的には、特開平3−14882号や特開平3−122137号などの公知の樹脂であり、ノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。中でもゼオノア(日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。
ポリカーボネートとしては、ピュアエース(帝人(株)製)を好ましく使用できる。
【0049】
また、本発明に係る基材は、上記の記載に限定されず、有機/無機ハイブリッド基材も使用できる。有機−無機ハイブリッド基材とは、水素結合受容基を有するポリマーあるいは重合性モノマーと、金属アルコキシド等の反応性金属化合物とを加水分解重縮合させて得られるものである。
【0050】
前記ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリ尿素、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリエーテルイミド、セルロースエステルなどが挙げられるが、この中ではセルロースエステルが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、イソプレン、1,3−ブタジエン、p−シアノスチレン、p−メトキシスチレン、メタクリロニトリル、p−クロロスチレン、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレート、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、メチルアクリレート、酢酸ビニル、エチレン、イソブテン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、イソブチルエーテル、ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
前記金属アルコキシドとしては、金属種が、珪素、ジルコニウム、チタン、ゲルマニウム等のアルコキシドが挙げられるが、この中では、珪素やチタンのアルコキシドが好ましい。
具体的な製法としては、特開2000−122038号公報を参考にして、合成することが可能である。
【0051】
上記で挙げた基材のITO膜が形成される面及びその反対面の少なくとも一方に、各種機能性膜、例えば、防眩層、クリアハードコート層、バックコート層、帯電防止層、反射防止膜、ITO膜との接着性を向上させるための接着層などが形成されているものを用いることもできる。
【0052】
本発明においては、大気圧近傍の圧力下でITO膜を形成するが、その際の基材の温度は特に制限はない。基材としてガラスを用いる場合は500℃以下、樹脂フィルムを用いる場合は300℃以下が好ましい。
基材表面に、ITO膜は、1nm〜数百nm程度の厚さで形成される。
【0053】
本発明のITO膜の形成方法で用いるガスについて説明する。使用するガスは、基材上に設けたい膜の種類によって異なるが、基本的に、放電ガスと、膜を形成するためにプラズマ状態となる反応性ガスである。
上記放電ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウムが挙げられる。放電ガスは、放電空間に供給されるガスの全量に対し98.25〜98.74体積%含まれる。
【0054】
反応性ガスは、ガスの全量に対し、1.3〜1.75体積%含有させることが好ましい。
反応性ガスは、放電空間でプラズマ状態となり、膜を形成する成分を含有するものであり、インジウムアセチルアセトナト、ジブチル錫ジアセテートが用いられる。
【0060】
酸化インジウムにスズをドーピングして得られるITO膜においては、得られるITO膜のIn/Snの原子数比が100/0.1〜100/15の範囲になるように反応性ガス量を調整する。好ましくは、100/0.5〜100/10の範囲になるよう調整する。
なお、In/Sn原子数比はXPS測定により求めることができる。
【0061】
更に、ITO膜の抵抗値を調整する為に反応性ガスを追加することも可能である。ITO膜の抵抗値を調整する為に用いる反応性ガスとしては、例えば、チタントリイソプロポキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができる。
【0062】
さらに本発明のITO膜は、膜質を良好なものとするため水(水蒸気)又は水素を反応性ガスとして含むことが好ましい。
特に透明導電膜においては、透明導電膜の構成元素を含む反応ガスの他に、水又は水素を反応ガスとして用いることで、後述するように、適度に水素を含み、高い電導性と大きなエッチング速度を有する透明導伝膜の製造が可能となった。反応ガス中に混入する水又は水素の量は混合ガス中 . 01から0.5体積%の範囲にあることが好ましい。
【0064】
更に本発明においては大気圧近傍の圧力下でITO膜を形成した後、熱を加え、特性を調整することも可能である。熱処理の温度としては50〜300℃の範囲が好ましい。好ましくは100から200℃の範囲である。加熱の雰囲気も特に制限はない。空気雰囲気、水素などの還元性ガスを含む還元雰囲気、酸素などの酸化性ガスを含有するような酸化雰囲気、あるいは真空、放電ガス雰囲気下のうちから膜の種類や用途などに応じて適宜選択することが可能である。還元、酸化雰囲気をとる場合、還元性ガス、酸化性ガスを希ガスや窒素などの放電ガスで希釈して用いることが好ましい。このような場合、還元性ガス、酸化性ガスの濃度はガス全体の0.01から5%が好ましく、より好ましくは0.1から3%である。
【0065】
次に、上記の方法で形成したITO膜について説明する。
本発明の大気圧プラズマ法を利用した方法で形成したITO膜は、動的二次イオン質量分析(ダイナミックSIMS)により得られた水素濃度をHとし、インジウムの原子濃度をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が5%以内であることを特徴とする。膜の用途によっては、さらに変動係数が3%以内、あるいは1%以内であることが好ましい。
このように、H/M値の膜厚方向における変動係数が5%以内であることは、すなわち、膜が厚さ方向において均質であるということになる。
【0066】
ここで、ダイナミックSIMSについて説明する。ダイナミックSIMSに関しては表面科学会編実用表面分析二次イオン質量分析(2001年、丸善)を参照することができる。
本実施の形態において好ましいダイナミックSIMS測定の条件は以下の通りである。
装置:Phisical Electronics社製ADEPT1010あるいは6300型2次イオン質量分析装置
一次イオン:Cs
一次イオンエネルギー:5.0KeV
一次イオン電流:200nA
一次イオン照射面積:600μm角
二次イオン取り込み割合:25%
二次イオン極性:Negative
検出二次イオン種:H-及びM-
【0067】
上記条件でITO膜の深さ方向に関してスパッタリングを行いつつ質量分析を行う。得られたデプスプロファイルから水素濃度Hとインジウムの濃度Mの強度比H/Mを求める。尚、測定点は100nmに対し50点以上、より好ましくは75点以上の測定を行う事が好ましい。深さ方向にたいしてH/M比を求めた後、深さ方向の15〜85%についてH/M比の平均と相対標準偏差を求め、相対標準偏差を平均で除して100倍し、H/M比の変動係数、すなわちばらつきを求める。
【0069】
また、動的二次イオン質量分析により得られる水素濃度は、0.001〜10原子%、より好ましくは0.01〜5原子%が好ましく、より好ましくは0.5〜1原子%が好ましい。水素濃度の評価もダイナミックSIMSで行う事が好ましい。
測定条件は上記の通りである。実際にはまず、基準となるITO膜中の水素濃度をラザフォード後方散乱分光法により求め、この基準品のダイナミックSIMS測定を行い、検出される水素イオンの強度を基に相対感度係数を決定し、ついで実際に用いるITO膜についてダイナミックSIMS測定を行い、その測定から得られた信号強度と先に求めた相対感度係数を用いて、試料中の水素濃度を算出する。尚、本発明における水素濃度はITO膜の全厚さ方向にわたってもとめる、いわゆるデプスプロファイルを行い、ITO膜の
15〜85%深さの平均を水素濃度と規定する。
【0072】
本発明では上述の形成方法に従いIn23:Sn膜(ITO)といった金属酸化物を主成分とする透明導電膜を好適に形成することができる。本発明であれば透明導電膜として、比抵抗値が1×10-1Ω・cm以下という、良好な導電性を有する膜が得られる。
【0073】
ITO膜を透明導電膜として用いる場合、電極用に所定形状にパターニングして用いることもできる。この場合、パターンは、大気圧プラズマ法による製膜時にマスクなど設けて形成してもよいし、製膜後にマスクを介してエッチングするなどにより形成してもよい。
【0075】
ITO膜の用途としては、前記透明導電膜の他に、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、エレクトロクロミック膜、蛍光膜、超伝導膜、誘電体膜、太陽電池膜、反射防止膜、耐摩耗性膜、光学干渉膜、反射膜、帯電防止膜、導電膜、防汚膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜、電磁波遮蔽膜、赤外線遮蔽膜、紫外線吸収膜、潤滑膜、形状記憶膜、磁気記録膜、発光素子膜、生体適合膜、耐食性膜、触媒膜、ガスセンサ膜、装飾膜のいずれかを挙げることができる。
【0076】
そして、本発明では、上記基材と、基材の表面に形成されている上記に挙げた各種機能膜としてのITO膜とを有するITO膜材料を提供する。
特に基材として透明な樹脂フィルムであって、タッチパネル用フィルム基材、液晶素子プラスチック基板、有機エレクトロルミネセンス素子プラスチック基板、プラズマディスプレィパネル用電磁遮蔽フィルム、電子ペーパー用フィルム基板のいずれかを用いれば、このような基板に必要な各種ITO膜を形成することで、それぞれデバイスに好適に応用できる。
【0077】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各実施例では、ITO膜の膜厚は約100nmである。
【0078】
(1)ガラス基板へのITOの形成
ここでは、基材としてガラス基板を用い、該基板にITOを形成した。
実施例101
まず、アルカリバリアコートとして膜厚約50nmのシリカ膜が形成されたガラス基板(50mm×50mm×1mm)を用意した。プラズマ放電処理装置としては図7に示したような平行平板型のものを用い、前記ガラス基板を電極間に載置した。
電極は、以下の物を用いた。下側平板電極7aとしては200mm×200mm×2mmのステンレス板に高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を施したものを用意した。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmaxが5μmとなるように加工した。このように電極を作製し、アース(接地)した。
一方、印加電極としては、上記同様の誘電体を同条件にて被覆したものを複数作製し、対向する電極群とした。
【0079】
また、プラズマ発生に用いる電源は日本電子(株)製高周波電源JRF−10000であり、周波数13.56MHzの電圧で且つ5W/cm2の電力を供給した。
電極間に以下の組成の混合ガスを流した。
放電ガス:ヘリウム 98.74体積%
反応性ガス1:水 0.01体積%
反応性ガス2:インジウムアセチルアセトナト (In(AcAc)と略す)1.2体積%
反応性ガス3:ジブチル錫ジアセテート (DBDTAと略す)0.05体積%
上記プラズマ発生条件で上記混合ガスをプラズマ化し、大気圧プラズマ法により、ガラス基板に錫ドープ型酸化インジウム(ITO)膜を作製した。
【0080】
実施例101で得られたITO膜について、次のように評価を行った。
<透過率>
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
<製膜速度>
膜厚はPhotal社製FE−3000反射分光膜厚計により測定し、得られた膜厚をプラズマ処理時間で徐したものを製膜速度とした。
<抵抗率>
JIS−R−1637に従い、四端子法により求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
<H/M比の変動係数(%)の測定>
前述の方法で測定した。
<膜中の水素濃度(atom%)の測定>
前述の方法で測定した。
【0081】
<炭素含有率の測定>
炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定した。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。
測定をおこなう前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定おいては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
【0082】
先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。錫とインジウムの比(In/Sn比)も、上記結果から得られた原子数濃度の比とした。
【0083】
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
【0084】
<劣化試験>
ITO膜が積層されたガラス基板を縦横10cmの長さに切断した。この試料について室温25℃相対湿度50%における表面抵抗を三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いて測定した。この表面抵抗値をR0とする。このフィルムを温度80℃相対湿度40%の恒温恒湿漕で1週間処理し、再度表面抵抗値を測定した。この値をRとし、R/R0の比を求めた。この比は1に近い方が好ましい。
【0085】
<エッチング特性>
水:濃塩酸:40%FeCl3を81:8:7重量%で混合したエッチング液を30℃に加温し、その中にITO膜を形成した試料を浸し、膜の除去を目視によって評価した。1分以内にITO膜が除去できるたものを○、1分以上浸して除去できるものを△、3分浸しても残さが残るものを×とした。
【0086】
実施例101について、図8の図表の上段に製膜条件を、下段に評価結果をまとめて示した。
実施例101に対して、以下の一部の条件のみ変更して、実施例102〜107においてITO膜を形成した。実施例102と実施例103は、放電ガスと水の割合を変更した。実施例105、106は、水素源として水素ガスを所定割合ずつ用いた。
【0087】
実施例104は、実施例101〜103に対してH2Oを加えないで製膜した。実施例107は、水素源となるガスを混合せず、代わりに酸素を用いた。
さらに、各実施例に対する比較として比較例101〜103の条件でITO膜を形成した。製膜条件及び評価結果を合わせて図8に示した。
【0088】
比較例101〜103は大気圧プラズマ法ではない方法で製膜したものである。
比較例101は、スパッタ法で製膜した。実施例101で用いたガラス基材をDCマグネトロンスパッタ装置に装着し、真空槽内を1×10-5torr以下まで減圧した。尚、スパッタリングターゲットは酸化インジウム:酸化錫95:5の組成のものを用いた。この後、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを(Ar:O2=1000:3)を1×10-3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にて製膜を行い、評価を行った。
比較例102は、2−メトキシメタノール22.2gにモノエタノールアミン0.4gと酢酸インジウム3.8g、Sn(OC49)0.16gを添加し、10分間攪拌混合した。この液に実施例101で用いたものと同じガラス基材を1.2cm/分の速度でディップコートした。コーティングの後、電気炉中500℃で1時間加熱しガラス基材上にITO膜を形成した。
比較例103は、ディップコート液として京都エレックス(株)製有機ITOペーストニューフロコートEC−Lを用いたこと以外は比較例104と同様にしてガラス基材上にITO膜を形成した。
【0089】
図8の結果から分かるように、本発明の実施例101〜105で得られたITO膜は、ダイナミックSIMSによるH/M比の変動係数は最大でも3.6%で、膜の組成が厚さ方向において安定している。そのため劣化試験でも2以下であり劣化しにくく耐久性の点で優れている。
一方、比較例101〜103はいずれも変動係数が大きく、特に塗布法で得られた膜の組成の厚さ方向のばらつきが大きく膜質が均質でないことが分かる。劣化試験でも、比較例はいずれも3.8以上であり、すぐに劣化し耐久性が低い。
【0090】
また、抵抗率では、実施例はいずれもほぼ2×10-4(Ω・cm)であり小さな値であり、逆に言えば導電性が大きい。これに対して比較例では抵抗率が大きく、塗布法(比較例4,5)では非常に大きく、導電性の点で劣る。
エッチング速度の点でも、実施例101〜107の方が比較例101〜103より速い。
さらに、透過率の点でも、実施例101〜107はいずれも90%に達しているのに対し、比較例はより低い。
製膜速度について、従来主流のスパッタ法の比較例103と比較すると、本発明の実施例101〜107の方が大きく、速く膜を生成することができる。
炭素含有率についても、実施例101〜107については確実に本発明の許容する範囲内の値となる。
以上のように、本発明に係る実施例は多くの点で、比較例よりも優れた結果を出している。
【0091】
特に、本発明のITO膜には水素が含まれることから以下のような理由により、導電性とエッチング性の両方について良好な値を得ることができると考えている。
ITOなどの透明導電膜は、現在、様々な多くの表示装置や電子製品に電極として使用されており、多くの場合、所定形状にパターニングされる。パターニングはフォトリソグラフィー法により行われることが多く、導通を必要としない部分はエッチングにより溶解、除去される。よって、エッチング液に対する溶解の速さが重要となる。
一方、導電膜である以上、高い導電性が必要とされるが、導電性はその結晶性と深い関係にあることは周知の事実であり、具体的には、酸化物では結晶性が高い方が良好な伝導性を有するが、エッチング速度は遅くなる。高い導電性を維持しつつエッチング速度を早くするために水素を混合することが古くから検討されている。
【0092】
水素は成膜中における透明導電膜の結晶化を妨げる効果があり、その効果により結晶性を有する透明導電膜に比べて加工性に優れた非晶質性を有する透明導電膜を得ることができる。また、水素原子は透明導電膜を構成する他の原子のダングリングボンド(未結合手)を補償する。そのため、ダングリングボンドにトラップされる電子が減少し、透明導電膜の導電性を向上させることができる。
これまでは、十分な導電性とエッチング速度の両方を充たす技術は開発されていない。しかし、本発明の水素源を導入した大気圧プラズマ法であれば、上記のように、導電性とエッチング性の両方の点で優れている膜を形成することができる。
【0093】
(2)ガラス基板へのITOの形成(プラズマ発生条件の変更による違い)
実施例201〜205は、いずれも本発明の大気圧プラズマ法でITO膜を形成した。実施例201〜204は前述の実施例101とほぼ同様であるが、プラズマ発生条件をそれぞれ変更した。実施例205はプラズマ処理の際の水素ガスの割合を0.5%としたうえに、プラズマ処理後、空気中150℃に保った熱風乾燥機により加熱処理を行った。
比較例201及び202は、電源を10kHz(ハイデン研究所製PHF−4K)に変更し、放電出力を0.8W/cm2にした以外は同様にして、大気圧プラズマ法にて、ITO膜を形成した。
【0094】
実施例201〜205及び比較例201、202についても実施例101同様に評価した。図9の図表の上段に製膜条件を、下段に評価結果をまとめた。
図9の結果からは、周波数や印加電力などを変えても、図8の実施例101〜107同様の結果が得られた。また、実施例205のように水素ガスの割合を増やしてさらに加熱処理したものは、抵抗率(導電性)、H/M比変動係数、劣化試験、エッチング速度のいずれもかなり良い結果が得られ、膜質がかなりよいものが形成できたことが分かった。
周波数10kHz、印加電力0.8W/cm2のプラズマ発生条件で製膜した比較例201、202では、図9の結果から分かるように、全ての評価項目で実施例201〜205よりも悪く、特に抵抗率は1桁悪く、膜質や導電性の点で劣る膜が得られた。また、パワーが弱いことから製膜速度もやや遅くなった。
【0095】
(3)樹脂フィルム基材へのITOの形成
実施例401〜404では、基材として樹脂フィルムを用い、図6のプラズマ放電処理装置中において製膜した。図10の図表の上段に、プラズマ条件、ガス条件を含む製膜条件をまとめ、下段に製膜速度、透過率、抵抗率、H/M比変動係数、劣化試験、エッチング試験の結果を示した。これらの評価は実施例101等と同様に行った。
実施例401は、基材としてARTONフィルム(JSR製、厚さ100μm)を用いた。実施例402は、基材としてゼオノアZF16(日本ゼオン製、厚さ100μm)を用いた。実施例403は、基材としてピュアエース(帝人製、厚さ100μm)を用いた。実施例404は、基材として、周知の流延法で形成したトリアセチルセルロース(TAC、100μm)を用いた。
【0096】
図10から分かるように、実施例401〜404のいずれも図8の実施例1〜5と比較して同等あるいは超える良好な評価結果が得られた。特に、H/M比変動係数、劣化試験では優れ、均質で耐久性の高い膜が得られたことが分かった。
【0101】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のITO膜によれば、動的二次イオン質量分析により得られた水素濃度をHとし、インジウム濃度をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が3.6%以内であることから、厚さ方向における膜質の組成が均質であり、引いては耐久性が高く、また、膜質が均質で良質であるので機能も高い膜となる。
【0102】
請求項に記載の発明におけるハイパワーの大気圧プラズマ法であれば、高密度のプラズマが均一に発生し、これによ均質で良好なITO膜を形成することができる。また、真空容器による従来の製膜法よりも、簡単な設備や容器で済むのでコストが低い。さらに、工程ごとに真空を解除したり排気するといった作業を繰り返す必要がないので、作業効率も高い。また、比較的簡単な設備で済むということは、容器や基材の搬入方法などを工夫することで大型の基板や長尺な基材に対しても膜を形成することができ、生産性が高い。
さらに、大気圧プラズマ法であれば、真空プラズマ法よりもプラズマ密度が高いので速く製膜することができ、その点でも生産性が高い。
また、プラズマ状態で製膜するので、特に加熱などしなくても製膜可能で、ガラスなどの無機基板に加えて、熱に弱い樹脂フィルムやプラスチック基板にも製膜できる。
また、水又は水素を反応性ガスとして使用することで、膜中に水素を含有させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のITO膜の形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図2】 本発明のITO膜の形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の他の例を示す概略図である。
【図3】 図1及び図2のプラズマ放電処理容器に用いられるロール電極の一例を示す概略図である。
【図4】 図1及び図2のプラズマ放電処理容器に用いられる円筒形状の固定電極の一例を示す概略図である。
【図5】 図1及び図2のプラズマ放電処理容器に用いられる角柱形状の固定電極の一例を示す概略図である。
【図6】 本発明のITO膜の形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図7】 本発明のITO膜の形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の他の例を示す概略図である。
【図8】 本発明の実施例の結果をまとめた図表である。
【図9】 本発明の実施例の結果をまとめた図表である。
【図10】 本発明の実施例の結果をまとめた図表である
【符号の説明】
4 プラズマ放電処理装置
6 電源
7a 上側電極
7b 下側平板電極
25、25c ロール電極
26、26c、36、36c 固定電極
31 プラズマ放電処理容器
41 電源
50 プラズマ放電処理装置
F 基材
L 基材

Claims (5)

  1. 放電ガスとしてヘリウムと、反応性ガスとして水又は水素と、インジウムアセチルアセトナト及びジブチル錫ジアセテートと、を用いて大気圧プラズマ法で形成されたITO膜であって、
    動的二次イオン質量分析により得られた水素濃度をHとし、インジウム濃度をMとした場合に、H/M値の膜厚方向における変動係数が3.6%以内であることを特徴とするITO膜。
  2. 基材と、
    前記基材の表面に形成されている請求項に記載のITO膜とを有することを特徴とするITO膜材料。
  3. 前記基材は、透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項に記載のITO膜材料。
  4. 前記透明樹脂フィルムは、タッチパネル用フィルム基材、液晶素子プラスチック基板、有機エレクトロルミネセンス素子プラスチック基板、プラズマディスプレィパネル用電磁遮蔽フィルム、電子ペーパー用フィルム基板であることを特徴とする請求項に記載のITO膜材料。
  5. 請求項1記載のITO膜の形成方法であって、
    大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する2種の電極間に、放電ガスとして98.25〜98.70体積%のヘリウムと、反応性ガスとして0.01〜0.5体積%の水又は水素と、インジウムアセチルアセトナト及びジブチル錫ジアセテートを導入し、
    電極間に0.2〜13.56MHzの連続したサイン波の高周波電圧で、且つ、1〜10W/cm 2 の電力を供給して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、前記基材上に、ITO膜を形成することを特徴とするITO膜の形成方法。
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