JP5224438B2 - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電膜およびその製造方法に関し、詳しくは従来の主な透明導電膜に用いられるインジウムを使用しない透明導電膜およびその製造方法に関する。
透明導電膜は可視光透過性と電気伝導性とを兼ね備えた膜である。
透明導電膜は、低抵抗率で可視光に対して高い透過率を示すことから、液晶ディスプレイを中心としたフラットパネルディスプレイや太陽電池などの透明電極として幅広く用いられている。また、この透明導電膜を樹脂フィルム基板の表面に成膜した、透明導電性フィルムは、たとえば透明タッチパネルやEL(エレクトロルミネセンス)フラットランプの電極に使用されている。
透明導電膜としては、多くの材料が研究されているが、現在実用化されている大部分の透明導電膜は、酸化インジウムおよび酸化スズを主成分とするITO(Indium Tin Oxide)薄膜である。
しかしながら、近年、主要用途であるフラットパネルディスプレイなどの出荷量が増大するに伴い、ITO薄膜の需要も拡大しており、また原材料であるインジウムが希少金属(クラーク数 0.00001)であることから価格が高騰し、資源枯渇問題が深刻化してきている。
そこで、インジウムを使用しない透明導電膜(ITO代替材料)への関心が高まっている。代表的なITO代替材料としては、酸化亜鉛(ZnO)系の透明導電膜が知られており、従来のITO代替材料としての透明導電膜の研究としては、殆どがZnOを主成分とし、他の成分を副成分として適宜に用いるものである(たとえば、特許文献1参照)。
上記酸化亜鉛系の透明導電膜は、酸化インジウムを用いた場合と比較して原材料価格が安価である点で工業的に優れているが、酸化亜鉛系の透明導電膜は、電気伝導性において上記ITO薄膜よりもやや劣っている。また、酸化亜鉛系の薄膜は、薄膜形成時に結晶の欠陥などによって抵抗率が不安定となる、または加湿、加熱、酸もしくはアルカリに対する耐久性がITO薄膜に比べて劣るという問題がある。さらに、亜鉛のクラーク数も0.004と小さく、希少金属である。
このように酸化亜鉛系の薄膜は、ITO薄膜と比べてコスト的には優位であるが、依然として希少金属が用いられることに変わりはなく、また、電気伝導性や耐久性においていまだ改善の余地がある。
特開2006−200016号公報
上述のように、ITO代替材料への関心が高まっている。ITO代替材料としてZnO系の透明導電膜が多数報告されているが、ITO代替材料としては未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、ITO薄膜でも、ZnO系の透明導電膜でもない、新規な透明導電膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行い、新たな透明導電膜およびその製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の透明導電膜は、マグネシウムと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)と、酸素と、水素とを含む。
本発明の透明導電膜としては、マグネシウムと、炭素と、酸素と、水素とを含む透明導電膜が好ましい。この透明導電膜に含まれるマグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)が、0.3〜20であることが好ましい。
透明導電膜の結晶構造が、ブルサイト構造を有することが好ましい。
本発明の透明導電膜は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られる。
本発明の透明導電膜は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと炭素とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られることが好ましい。
前記水を含む雰囲気が、水蒸気を含む大気中または水中であることが好ましい。
前記成膜が、共スパッタリング法により行われることが好ましい。
本発明の透明導電膜の製造方法は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
本発明の透明導電膜の製造方法は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと炭素とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
また、本発明の透明導電膜は、マグネシウムを含む蒸発源と、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られる。
また、本発明の透明導電膜の製造方法は、マグネシウムを含む蒸発源と、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
本発明の透明導電膜は、可視光透過性と電気伝導性とに優れる。また、本発明の透明導電膜に含まれるマグネシウムのクラーク数は1.98であり、資源枯渇の問題もない。
以下、本発明を詳細に説明する。
[透明導電膜]
本発明の透明導電膜は、マグネシウムと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)と、酸素と、水素とを含む。
上記元素(A)として、透明導電膜の電気伝導性の観点から、少なくとも炭素を含むことが好ましい。
また本発明の透明導電膜中のマグネシウムと上記元素(A)との原子比(マグネシウム/元素(A))は、通常0.3〜20、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5の範囲にある。前記原子比が前記範囲内にあると、透明導電膜の光透過性および電気伝導性が向上する。
上記元素(A)が、炭素である場合は、マグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)は、通常0.3〜20、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5の範囲にある。前記原子比が前記範囲内にあると、透明導電膜の光透過性および電気伝導性が向上する。
また、マグネシウムと酸素との原子比(マグネシウム/酸素)は、通常0.48〜0.53、好ましくは0.49〜0.52の範囲にある。
また、酸素と水素との原子比(酸素/水素)は、通常0.5〜1.5、好ましくは0.9〜1.1の範囲にある。
本発明の透明導電膜は、光透過性や電気伝導性に悪影響を及ぼさない限り、他の元素を含んでいてもよい。他の元素としては、たとえば窒素が挙げられる。
<透明導電膜の構造>
本発明の透明導電膜は、マグネシウムと、上記元素(A)と、酸素と、水素とが、該透明導電膜全体に均一に分布していることが好ましい。前記のように均一に分布していると、透明導電膜全体の光透過性や電気伝導性などの特性のバラツキが小さくなる。
なお、上記「均一に分布」とは、それぞれの成分が偏析することなく、分布していることを意味する。
本発明の透明導電膜の膜厚は、通常0.1〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.5μmの範囲にある。膜厚が前記範囲にあると、高光透過性と電気伝導性とを有する透明導電膜を得ることが可能である。なお、前記膜厚は、AFM(原子間力顕微鏡)およびSEM(走査型電子顕微鏡)で測定した2点の平均膜厚である。
本発明の透明導電膜の結晶構造は、可視光透過性および電気伝導性の観点から、該透明導電膜の結晶構造がMg(OH)2の対称性を有する構造、すなわちブルサイト構造を有
することが好ましい。なお、上記構造は、X線回折ピークの回折角度を解析することにより確認することができる。なお、従来から知られている透明導電膜はすべで酸化物であるが、上記結晶構造がブルサイト構造を有する透明導電膜は、その構造から非酸化物系透明導電膜であることが確認された。
また、本発明の透明導電膜の結晶構造において、上記元素(A)がどのような状態で存在しているかは明らかではないが、本発明者らは、Mg(OH)2のX線回折ピークと本
発明の透明導電膜のX線回折ピークとを比べた際に、本発明の透明導電膜の(001)ピークが、Mg(OH)2の(001)ピークよりも低角度側にシフト、すなわちブルサイ
ト構造の層間距離が広がっていることから、上記元素(A)はブルサイト構造の層間に存在していると推定した。本発明者らは、透明導電膜の結晶構造がこのような構造をとることにより、本発明の透明導電膜がすぐれた電気伝導性を有すると推定した。
このようにブルサイト構造を有する非酸化物系の透明導電膜を構成する主な元素は、上記のようにすべて軽元素であり、また、そのクラーク数も大きく経済的にも資源的にも従来の酸化物系の透明導電膜と比べ優れている。また、非酸化物系の透明導電膜は、Mg(
OH)2の対称性を有する構造(ブルサイト構造)を有するため、還元雰囲気(たとえば
水素雰囲気)下で該透明導電膜を加熱することにより、前記ブルサイト構造が分解され、マグネシウムの水素化物、水蒸気および炭化水素に分解すると考えられる。前記マグネシウムの水素化物は、たとえば1×10-2Pa程度の真空下、400℃に加熱すれば容易に単体マグネシウムに変換される。すなわち、前記非酸化物系の透明導電膜からは、容易に単体マグネシウムを得ることができ、資源的にみても前記非酸化物系の透明導電膜は優れている。
<光透過率>
本発明の透明導電膜は、波長が350〜2500nmの範囲における光透過率が、通常80%以上である。特に可視光(380〜780nm)の波長領域では、透過率が80%以上であることが好ましい。なお、本明細書において光透過率は、ファインセラミックス薄膜の透過率試験方法(JIS R 1635)で制定されている測定法に従って測定される。
<透明導電膜の比抵抗>
本発明の透明導電膜の比抵抗は低いほど好ましく、通常5×10-1Ωcm以下である。なお、前記比抵抗は、ファインセラミックス薄膜の比抵抗率試験方法(JIS R 1637)で制定される四探針法によって測定される。
<透明導電膜の結晶粒>
本発明の透明導電膜を構成する結晶粒は、走査型電子顕微鏡を用いて観察することができる。観察される結晶粒の平均粒径は、好ましくは30〜500nm、より好ましくは30〜350nm、さらに好ましくは100〜200nmの範囲にある。平均粒径が前記範囲内にあると、透明導電膜の平滑性が向上し、可視光領域での乱反射が抑えられ、透明導電膜の透明性が向上する。なお、上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡を用いて観察される各結晶粒の二軸平均径に基く平均粒径である。
[透明導電膜の製造方法]
本発明の透明導電膜の製造方法は、特に限定はされず、たとえばPVD(物理気相蒸着)法を用いて以下の方法で製造することができる。
上記PVD(物理気相蒸着)法としては、スパッタ系に分類される方法や、真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、MBE(分子線エピタキシー)法などの蒸発系に分類される方法が挙げられる。スパッタ系に分類される方法は、蒸発系に分類される方法に比べて高真空を必要とせず、また炭素のような高融点材料の成膜も簡便に行うことが可能なため好ましい。
スパッタ系に分類される方法を用いた透明導電膜の製造方法(1)は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
蒸発系に分類される方法を用いた透明導電膜の製造方法(2)は、マグネシウムを含む蒸発源と、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
〔透明導電膜の製造方法(1)〕
本発明の透明導電膜の第1の製造方法は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素、ケ
イ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
すなわち本発明の透明導電膜は、マグネシウムを含むターゲットと、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られる。
<マグネシウムを含むターゲット>
本発明の透明導電膜の成膜に用いる、上記マグネシウムを含むターゲットは、マグネシウムの純度が通常2N5(99.5重量%)以上、好ましくは3N(99.9重量%)以上である。
上記マグネシウムを含むターゲットは、このターゲットから成膜される透明導電膜の光透過性や電気伝導性に悪影響を及ぼさない限り、他の元素を含んでいてもよい。
また、マグネシウムを含むターゲットとしてはスパッタリング用マグネシウムターゲットなどの市販品を用いることもできる。
<炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含むターゲット>
本発明の透明導電膜の成膜に用いる、上記元素(A)を含むターゲットは、元素(A)の純度が通常2N5(99.5重量%)以上、好ましくは3N(99.9重量%)以上である。前記ターゲットの組成成分としては、このターゲットから成膜される透明導電膜の光透過性や電気伝導性に悪影響を及ぼさない限り、他の元素を含んでいてもよい。
また、上記元素(A)を含むターゲットとしては、スパッタリング用ターゲットなどの市販品を用いることもできる。
上記元素(A)を含むターゲットとしては、電気伝導性の観点から炭素を含むターゲットであることが好ましい。上記炭素を含むターゲットとしては、カーボングラファイトであることが、電気伝導性の観点から、より好ましい。
本発明の透明導電膜の製造方法に用いる上記マグネシウムを含むターゲットと上記元素(A)を含むターゲットとの重量比は、製造する透明導電膜中のマグネシウムと元素(A)との原子比にもよるが、マグネシウムを含むターゲットと元素(A)を含むターゲットとの重量比(マグネシウムを含むターゲット/元素(A)を含むターゲット)は、通常0.6〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10の範囲にある。前記範囲内では、得られる透明導電膜の組成を好ましい範囲に設定することが出来き、優れた可視光透過性および電気伝導性を有する透明導電膜を製造することができる。
本発明の透明導電膜の製造方法に用いる上記マグネシウムを含むターゲットと上記元素(A)を含むターゲットとの表面積比は、製造する透明導電膜中のマグネシウムと元素(A)との原子比にもよるが、表面積比(マグネシウムを含むターゲット/元素(A)を含むターゲット)は、通常1.47〜48.7、好ましくは2.40〜33.6の範囲にある。前記範囲内では、得られる透明導電膜の組成を好ましい範囲に設定することが出来き、優れた可視光透過性および電気伝導性を有する透明導電膜を製造することができる。
また、上記マグネシウムを含むターゲットと上記元素(A)を含むターゲットとをモザイク状に配置したモザイクターゲットを用いることもできる。
<成膜>
本発明の透明導電膜の製造方法では、マグネシウムを含むターゲットと、上記元素(A)を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜する。
上記成膜方法としては、成分の異なる2つ以上のターゲットを用いて同時に基板上に成膜する方法や、成分の異なる2つ以上のターゲットを用いて交互に基板上に成膜する方法が挙げられる。透明導電膜を製造する際に、透明導電膜の組成を制御することが容易であるため、成分の異なる2つ以上のターゲットを用いて同時に基板上に成膜する共スパッタリング法が好適に用いられる。
(共スパッタリング法)
上記共スパッタリング法を用いる場合、スパッタリング装置は特に限定されず、SPC−350(アネルバ社製)などの市販の装置を用いることができる。
共スパッタリング法に用いるスパッタガスとしては、特に限定されず、アルゴン、ネオン、ゼノンなどの不活性ガスが挙げられる。スパッタ速度や価格の観点から、アルゴンを用いることが好ましい。
また、スパッタ電力は、製造する透明導電膜内のマグネシウムと元素(A)との原子比にもよるが、マグネシウムを含むターゲットに対して通常40〜200W、好ましくは100〜160Wであり、上記元素(A)を含むターゲットに対して通常100〜500W、好ましくは300〜400Wである。スパッタ電力が前記範囲内にあると、得られる透明導電膜のマグネシウムと元素(A)との原子比を、前述の好ましい範囲に設定することが出来る。
上記成膜によって得られる、マグネシウムと元素(A)とを含む膜の膜厚は、目的とする透明導電膜の光透過性や電気伝導性の観点から、通常0.1〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.5μmの範囲にある。なお、前記膜厚は、AFM(原子間力顕微鏡)およびSEM(走査型電子顕微鏡)で測定した2点の平均膜厚である。
また、成膜時間としては、マグネシウムと上記元素(A)とを含む膜の膜厚にもよるが、通常2分間〜12時間、好ましくは3分間〜5時間である。
(基板)
本発明の透明導電膜の第1の製造方法に用いる基板としては、特に限定されず、ガラス基板、高分子基板などを透明導電膜の用途に応じて用いることができる。たとえば、ガラス基板は液晶ディスプレイパネルに、高分子基板は透明タッチパネルに好適に用いられる。
また、上記成膜前に、基板を洗浄することが好ましい。洗浄液としては、ガラス基板の場合にはエタノールなどの有機溶剤、高分子基板の場合には酸もしくはアルカリ溶液などを用いることができる。また、洗浄方法としては、超音波洗浄などが挙げられる。
<水を含む雰囲気>
本発明の透明導電膜の第1の製造方法では、上記のようにして得られたマグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を、水を含む雰囲気に保持することにより透明導電膜を得ることができる。保持する時間としては、主に水を含む雰囲気によって設定される。
上記水を含む雰囲気とは、たとえば、水蒸気を含む大気中、水中などが挙げられる。
(水蒸気を含む大気中)
上記水蒸気を含む大気とは、相対湿度が通常30〜100重量%、好ましくは40〜1
00重量%の範囲にある。マグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を、水蒸気を含む大気中で保持する場合には、相対湿度が高いほど速やかに透明導電膜が得られるため好ましい。ただし、高湿度下に保持するためには、別途高湿槽などを設ける必要があり、工業的には、求められる生産速度、コスト等の兼ね合いから、相対湿度は適宜決定することができる。
マグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を、水蒸気を含む大気中に保持する場合、通常10分以上保持することにより、光透過性と電気伝導性とを有する透明導電膜を得ることができる。なお、保持時間は、一般にマグネシウムと上記元素(A)とを含む膜の膜厚が薄いほど短く、また相対湿度が高いほど短くすることができる。たとえば、ガラス基板上に成膜されたマグネシウムと炭素とを含む膜(膜厚2.5μm)を相対湿度60重量%の水蒸気を含む大気中に保持する場合、保持時間は通常10〜30分である。
(水中)
上記水としては、水道水でも精製した水でもよく、コストの面から水道水が好ましく、得られる膜の品質の観点からは精製した水を用いることが好ましい。
マグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を、水中に保持する場合、通常水温が10〜60℃、好ましくは20〜30℃の範囲にある。
マグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を水中に保持した場合、通常10分以上、好ましくは10〜30分保持することにより、光透過性と電気伝導性とを有する透明導電膜を得ることができる。
〔透明導電膜の製造方法(2)〕
本発明の透明導電膜の第2の製造方法は、マグネシウムを含む蒸発源と、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする。
すなわち本発明の透明導電膜は、マグネシウムを含む蒸発源と、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られる。
<マグネシウムを含む蒸発源>
本発明の透明導電膜の成膜に用いる、上記マグネシウムを含む蒸発源は、マグネシウムの純度が通常2N5(99.5重量%)以上、好ましくは3N(99.9重量%)以上である。
上記マグネシウムを含む蒸発源は、この蒸発源から成膜される透明導電膜の光透過性や電気伝導性に悪影響を及ぼさない限り、他の元素を含んでいてもよい。
また、マグネシウムを含む蒸発源としては、蒸着用マグネシウムの塊、粉末、フレーク、ペレットなどの市販品を用いることもできる。
<炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)を含む蒸発源>
本発明の透明導電膜の成膜に用いる、上記元素(A)を含む蒸発源は、元素(A)の純度が通常2N5(99.5重量%)以上、好ましくは3N(99.9重量%)以上である。前記蒸発源の組成成分としては、この蒸発源から成膜される透明導電膜の光透過性や電気伝導性に悪影響を及ぼさない限り、他の元素を含んでいてもよい。
また、元素(A)を含む蒸発源としては、蒸着用の塊、粉末、フレーク、ペレットなどの市販品を用いることもできる。
上記元素(A)を含む蒸発源としては、電気伝導性の観点から炭素を含む蒸発源であることが好ましい。上記炭素を含む蒸発源としては、カーボングラファイトであることが、電気伝導性の観点から、より好ましい。
<成膜>
本発明の透明導電膜の第2の製造方法では、マグネシウムを含む蒸発源と、上記元素(A)を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと該元素(A)とを含む膜を基板上に成膜する。
上記成膜方法としては、たとえば真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、MBE(分子線エピタキシー)法などが挙げられる。なかでも、透明導電膜の組成を制御することが容易であるため、MBE(分子線エピタキシー)法が好適に用いられる。
(基板)
本発明の透明導電膜の第2の製造方法に用いる基板としては、上記第1の製造方法に記載した基板と同様のものを用いることができる。
<水を含む雰囲気>
本発明の第2の製造方法では、上記のようにして得られたマグネシウムと上記元素(A)とを含む膜を、上記第1の製造方法と同様の水を含む雰囲気に保持することにより透明導電膜を得ることができる。
[透明導電膜の用途]
本発明の透明導電膜は、光透過性と電気伝導性とを有し、資源枯渇問題が深刻化してきているITO薄膜の代替材料として用いることができる。
たとえば、ガラス基板上に透明導電膜を成膜すると、太陽電池の表面電極や液晶ディスプレイの駆動電極として用いることができる。また、樹脂フィルム基板上に透明導電膜を成膜すると、透明導電性フィルムとして、透明タッチパネルやEL(エレクトロルミネセンス)フラットランプの電極に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(成膜前準備)
エタノール中で超音波洗浄を行ったガラス基板(パイレックス(登録商標)ガラス、厚み0.7mm、ダウコーニング社製)を、回転式基板ホルダー(公転速度:60rpm)(アノード側)に取り付け、スパッタリングチャンバー内にスパッタリングターゲット面と平行になるように配置した。
スパッタリングターゲットとして、マグネシウム(マグネシウムターゲット、純度3N(99.9重量%)、(株)高純度化学研究所製)およびカーボングラファイト(カーボンターゲット、純度3N(99.9重量%)、(株)ニラコ製)をカソード側に配置した。
なお、スパッタリング装置は、SPC−350(アネルバ社製)を使用した。
(成膜処理)
スパッタリングチャンバー内を真空ポンプにより2.8×10-3Paの圧力になるまで減圧した。
続いて、前記チャンバー内へスパッタガスとしてアルゴンガス(ジャパンファインプロダクツ(株)製、純度6N(99.9999重量%)以上)を導入し、全圧を0.5Paとなるように保持した。このときのアルゴンガス流量は5.0sccmに設定した。
スパッタリングターゲットのプリスパッタ処理をアルゴンによるプラズマ放電によって以下のように行った。マグネシウムターゲットについては、100Wで10分間、続いて200Wで10分間、さらに100Wで10分間プリスパッタ処理を行った。カーボングラファイトターゲットについては、100Wで10分間、続いて200Wで10分間、300Wで5分間、400Wで5分間プリスパッタ処理を行った。
プリスパッタ処理の後、表1に示すスパッタ条件で、マグネシウムとカーボングラファイトとを共スパッタリング法により、後述するAFM(原子間力顕微鏡)およびSEM(走査型電子顕微鏡)で測定した2点の平均膜厚が2.5μmであるマグネシウムと炭素とを含む膜(MgC膜)を上記ガラス基板上に形成した。
(成膜後処理)
上記成膜処理の後、スパッタリングチャンバー内のスパッタガスを真空ポンプにより5×10-3Paの圧力になるまで排気した。
続いて、MgC膜が成膜されたガラス基板をスパッタリングチャンバーから取り出し、相対湿度60重量%の水蒸気を含む大気中で15分間保持することにより、透明導電膜が成膜されたガラス基板を得た。
(透明導電膜の分析)
(1)透明導電膜の外観
(1−1)透明導電膜の外観(目視)
相対湿度60重量%の水蒸気を含む大気中で保持した際の経時変化を図1に示す。
図1(a−1)に示したように、成膜直後の状態では、MgC膜の色は黒色(金属光沢)−灰色の間の色を呈しており、光は透過されなかった。しかし、大気中での保持時間が経過((a−1)[成膜直後]→(a−2)[保持時間5分]→(a−3)[保持時間10分]→(a−4)[保持時間15分])するとともに、MgC膜は光を透過するようになり、透明導電膜へ変化した。
(1−2)透明導電膜の外観(光透過率)
波長が350〜1000nmの範囲における、透明導電膜の光透過率を紫外可視分光光度計によって測定した。結果を図2に示す。波長350〜1000nmの範囲における、透明導電膜の光透過率は80%以上であった。
ここで、透明導電膜の透過率(T3)は以下のようにして測定した。
ガラス基板を含めた透明導電膜の光透過率(T1[%])を、紫外可視分光光度計(日本
分光(株)製)で測定した。リファレンス同様の条件でガラス基板のみの光透過率(T2[%])を測定し、下式より透明導電膜の透過率(T3[%])を算出した。
3=(T1/T2)×100[%]
なお、測定はファインセラミックス薄膜の透過率試験方法(JIS R 1635)で制定されている測定法に従っておこなった。
(2)透明導電膜の組成、構造
(2−1)透明導電膜のX線回折の測定
透明導電膜のX線回折結果(薄膜材料結晶性解析X線回折装置、日本フィリップス(
株)製)を図3に示す。入射X線にはCuKα線(40kV、40mA)を用い、入射角は1°とした。Mg(OH)2構造の(001)、(101)および(110)面からの
強いピークが観測されたことから、透明導電膜はMg(OH)2の対称性を有する構造(
ブルサイト構造)を有することがわかった。
(2−2)透明導電膜のX線光電子分光
図4に示すように、透明導電膜をXPS(X線光電子分光、アルバック・ファイ(株)製)により、該膜表面から深さ方向にアルゴンイオンを用いてエッチングをしながら各段階において組成分析したところ、各段階を平均した際の透明導電膜中のマグネシウムと炭素との原子比はマグネシウム/炭素=3.8(原子比)であった。
(2−3)透明導電膜の波長分散型元素分析
透明導電膜のWDX(波長分散型元素分析、(株)島津製作所製)分析を行い、透明導電膜中にはマグネシウムと炭素と酸素とが共存することを観測した。
なお、上記(2−2)でマグネシウムおよび炭素の存在が確認され、(2−3)でマグネシウム、炭素および酸素の存在が確認されており、さらに上記(2−1)より透明導電膜はMg(OH)2の対称性を有する構造(ブルサイト構造)を有することから本発明の
透明導電膜にはマグネシウムと炭素と酸素と水素とが共存していると推定した。
また、波長分散型元素分析や上記X線光電子分光により、透明導電膜には炭素が含まれていることは明らかであり、かつ透明導電膜がMg(OH)2の対称性を有する構造であ
ること、透明導電膜の(001)ピークが、Mg(OH)2の(001)ピークよりも低
角度側にシフト、すなわちブルサイト構造の層間距離が広がっていることから、炭素原子
(C)は、ブルサイト構造の層間に組み込まれているものと推定した。
(2−4)透明導電膜の原子間力顕微鏡による観察
透明導電膜をAFM(原子間力顕微鏡、(株)キーエンス製)により観察した。
透明導電膜の平滑性を表す算術平均粗さRaは、図5から、43nmであることがわかった。
(2−5)透明導電膜の走査型電子顕微鏡による観察
透明導電膜をSEM(走査型電子顕微鏡、(株)日立製作所製)により観察した。
透明導電膜の結晶粒の、二軸平均径に基く平均粒径は、図6から、150nmであることが分かった。
(2−6)透明導電膜の比抵抗の測定
透明導電膜の比抵抗値を、四探針法(装置名 ハイテスター、日置電機(株)製)で測定した表面抵抗から算出した。その結果、図7に示すように、透明導電膜の比抵抗値は、外挿値から3×10-1Ωcmであった。
なお、比抵抗は、ファインセラミックス薄膜の比抵抗率試験方法(JIS R 1637)で制定される四探針法に従って測定した。
この比抵抗値は、開発された当初のITO薄膜やZnO薄膜などの値とほぼ同等であった。
[実施例2]
成膜処理後、MgC膜が成膜されたガラス基板を大気中に保持する代わりに蒸留水中(温度23℃、浸漬時間30分)で保持した以外は実施例1と同様に行い、透明導電膜が成膜されたガラス基板を得た。
[比較例1]
成膜処理までは実施例1と同様に行った。
成膜処理の後、スパッタリングチャンバー内のスパッタガスを真空ポンプにより5.0×10-3Paの圧力になるまで排気した。
続いて、排気を終了し、密封状態のスパッタリングチャンバーに乾燥チッ素ガス(日本酸素(株)製、純度5N5(99.9995重量%)以上)を導入し、全圧を40kPaとなるように保持した。
その後、乾燥チッ素ガス雰囲気下でMgC膜が成膜されたガラス基板を48時間チャンバー内に放置し、経過観察した。しかしながら、上記MgC膜は、黒(金属光沢)色〜灰色を呈し、透明には変化しなかった。
[比較例2]
成膜処理後、チャンバー内にチッ素ガスの代わりに乾燥酸素ガス(ジャパンファインプロダクツ(株)製)(純度6N5(99.99995重量%)以上)を導入した以外は比較例1と同様に行った。
その結果、上記MgC膜は、黒(金属光沢)色〜灰色を呈し、透明には変化しなかった。
[比較例3]
成膜処理後、チャンバー内にチッ素ガスの代わりに乾燥空気(ジャパンファインプロダクツ(株)製)を導入した以外は比較例1と同様に行った。
その結果、上記MgC膜は、黒(金属光沢)色〜灰色を呈し、透明には変化しなかった。
[実施例3〜5]
上記比較例1〜3の処理を行った後、MgC膜が成膜されたガラス基板を、実施例1と同様の条件で大気中に保持したところ、透明導電膜が成膜されたガラス基板を得た。
上記実施例1、3〜5において、MgC膜を水蒸気を含む大気中で保持した場合や、実施例2において、MgC膜を蒸留水中で保持した場合に、MgC膜は光を透過するようになり、透明導電膜へ変化した。また、比較例の雰囲気では透明導電膜が得られなかったことから、本発明の透明導電膜の製造の際には、MgC膜を、水を含む雰囲気に保持することが有用であることがわかった。
本発明の透明導電膜は、透明性と導電性に優れ、かつ希少金属を原料として用いないためITO代替材料として使用することができる。
実施例1で得られたMgC膜を大気中で保持した際の経時変化を示す図である。 実施例1で得られた透明導電膜の光透過率を示す図である。 実施例1で得られた透明導電膜のX線回折結果である。 実施例1で得られた透明導電膜の組成を示す図である。なお、縦軸のat%は、原子比(Atomic%)を示す。 実施例1で得られた透明導電膜の平滑性を示す図である。 実施例1で得られた透明導電膜の表面形状を示す図である。 実施例1で得られた透明導電膜の比抵抗値を示す図である。

Claims (6)

  1. マグネシウムと、炭素と、酸素と、水素とを含む、ブルサイト構造を有する結晶構造からなり、マグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)が、0.3〜20であることを特徴とする透明導電膜。
  2. マグネシウムを含むターゲットと、炭素を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと炭素とを含み、マグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)が、0.3〜20である膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られることを特徴とする透明導電膜。
  3. 前記水を含む雰囲気が、水蒸気を含む大気または水であることを特徴とする請求項に記載の透明導電膜。
  4. 前記成膜が、共スパッタリング法により行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の透明導電膜。
  5. マグネシウムを含むターゲットと、炭素を含むターゲットとを用いて、マグネシウムと炭素とを含み、マグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)が、0.3〜20である膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  6. マグネシウムを含む蒸発源と、炭素を含む蒸発源とを用いて、マグネシウムと炭素とを含み、マグネシウムと炭素との原子比(マグネシウム/炭素)が、0.3〜20である膜を基板上に成膜し、該膜を、水を含む雰囲気に保持することにより得られることを特徴とする透明導電膜。
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