JP5881995B2 - 透明導電膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム・炭素系(Mg(OH)・C)の原材料を用いた透明導電膜及びその製造方法に関し、特に、改良されたスパッタリングにより比抵抗や透明度といった物性を向上させた透明導電膜及びその製造方法に関するものである。
透明導電膜は可視光透過性と電気伝導性とを兼ね備えた膜である。
透明導電膜は、低抵抗で可視光に対して高い透過率を示すことから、液晶ディスプレイを中心としたフラットパネルディスプレイや太陽電池などの透明電極として幅広く用いられている。また、この透明導電膜を樹脂フィルム基板の表面に成膜した、透明導電性フィルムは、スマートフォン等の透明タッチパネルやEL(エレクトロルミネセンス)フラットランプの電極などに使用されている。
従来、透明導電膜の材料としては、酸化インジウムおよび酸化スズを主成分とするITO(Indium Tin Oxide)薄膜が最も一般的であり、幅広く実用化されている。ところがこの原材料であるインジウムは希少金属(クラーク数 0.00001)であり、近年のフラットパネルディスプレイやスマートフォン、太陽光発電装置などの製品出荷量の激増によるITO薄膜の需要急拡大に際して、価格高騰や資源枯渇といった問題が顕在化してきている。
そこで、インジウムを使用しない透明導電膜の可能性を求めて、ITO代替材料やそれを用いた成膜方法などの研究が盛んに行われている。代表的なITO代替材料としては、酸化亜鉛系の透明導電膜が知られており、ZnOやこれにガリウムをドーピングしたGZO,アルミニウムをドーピングしたAZOなどの研究が進められている。
これらの酸化亜鉛系材料を用いた透明導電膜は、酸化インジウムを用いた場合と比較して原材料価格が安価である点で工業的に優れているが、酸化亜鉛系の透明導電膜は、電気伝導性において上記ITO薄膜よりもやや劣っている。また、酸化亜鉛系の薄膜は、薄膜形成時に結晶の欠陥などによって抵抗値が不安定という問題や、加湿、加熱、酸・アルカリに対する耐久性がITO薄膜に比べて劣るという問題がある。さらには、亜鉛のクラーク数も0.004と小さく、希少金属であることには変わりない。
一方で、本発明者は、ITOでもZnO系でもない新規な材料として、マグネシウム・炭素系(Mg(OH)・C)を材料とする透明導電膜の成膜に成功している(特許文献1参照)。
この透明導電膜は、マグネシウム、炭素、酸素及び水素を含み、マグネシウムと炭素の原子比が0.3〜20、マグネシウムと酸素の原子比が0.5前後である。マグネシウムを含むターゲットと、炭素を含むターゲットとを用いて共スパッタリングにより基板上に両元素を堆積させ、これを水を含む雰囲気に保持して水酸化処理を行うことにより成膜される。
このようにして作製される透明導電膜は、図6に模式的に示すように、Mg(OH)のブルサイト構造中に炭素が均一に分散した結晶構造を有するので、Mg(OH)の透明性を維持したまま電気伝導性を併せ持つものとなっている(非特許文献1参照)。つまり、Mg(OH)構造中にCを導入した新たな化合物Mg(OH1−Xが作製されたものと考えられる。
この透明導電膜は、膜圧0.1〜5.0μmで、波長が350〜2500nmの範囲における光透過率が80%以上、比抵抗値が10−1〜10−2オーダー(Ω・cm)という、ITO材料の透明導電膜と比べても遜色ない、優れた可視光透過性及び電気伝導性を有することが確かめられている。
また、この透明導電膜は、マグネシウム、炭素といった資源枯渇のおそれがなく安価な原材料を用いて作製できるのみならず、還元雰囲気(例えば水素雰囲気)下で該透明導電膜を加熱することによりブルサイト構造が分解され、マグネシウムの水素化物、水蒸気および炭化水素に分解され、容易に単体マグネシウムを回収することができるため、資源効率的にも極めて有利である。
特開2009−99327号公報
「水酸化マグネシウム構造中に炭素を分散させた新規透明導電性材料の開発」東海大学 工学部 本城 貴充、久慈 俊郎 http://www.kanagawa-iri.go.jp/kitri/kouhou/program/H22/pdf/3AM-E01.pdf
上記のITO代替材料のうち、酸化亜鉛系材料(ZnO,GZO,AZO)を用いた透明導電膜は、PLD(物理気相蒸着法)、CVD(化学気相成長法)、イオンプレーティング法といった成膜法で作製される。しかしながら、これらの成膜法は実験室レベルでは効果が実証されているものの、大面積の基板上に均一に成膜することが必要となる量産工程には適してはいない。透明導電膜の成膜法で最も量産工程に適しているのはスッパッタリングであるが、酸化亜鉛系材料はスパッタリングではうまく成膜しないものと考えられる。
一方で、本発明者が開発したマグネシウム・炭素系材料(Mg(OH)・C)を用いた透明導電膜は、スパッタリングによって成膜されるものである。しかしながら、本発明者がこれまで用いていたのは、マグネシウムと炭素のターゲットを用い、基板ホルダを回転させながらスパッタリングすることで均一な成膜を得る基板回転型RFスパッタリングであり、量産工程に適したものではない。
さらには、マグネシウム・炭素系材料を用いた透明導電膜は、成膜直後は上記の良好な特性を得られるものの、成膜後の経時変化が大きく、わずかな時間(20〜30分程度)で比抵抗値が大幅に上昇してしまうため、実用化・製品化には未だ至っていなかった(特許文献1の図7参照)。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明者が開発した特許文献1記載のマグネシウム・炭素系材料(Mg(OH)・C)を用いた透明導電膜について、量産工程に適し、かつ、成膜後の経時変化を低減できる実用レベルの製造方法を実現しようとするものである。
上記の量産工程に適合させるという課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、マグネシウム・炭素系材料(Mg(OH)・C)を用いた透明導電膜の成膜方法として、プラズマ密度がターゲット付近に集中し低電圧でもスパッタリング速度が速いDC(直流)マグネトロンスパッタリングが量産工程に最適であると考え、マグネシウム及び炭素それぞれのターゲットを用いた共スパッタリングにより所望のマグネシウム/炭素原子比を有する透明導電膜を製造する方法を完成させるに至った。
さらに、上記の成膜後の経時変化が大きいという課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、透明導電膜の成膜後、水を含む雰囲気に保持する工程で、所望の透過性が得られた時点(特許文献1の図1参照)を過ぎても水を含む雰囲気や大気中に晒し続けると、透明導電膜が水分を吸収し続けて比抵抗値が大幅に上昇してしまうことに気づいた。これを防ぐためには、透明導電膜の成膜後、所望の透過性が得られた時点で大気を遮断すればよいが、実際の製造工程においては、透明導電膜の表面にコーティングを施すことにより、余分な水分吸収による比抵抗値の上昇を防ぐことができることが確かめられ、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、マグネシウムを含むターゲットと炭素を含むターゲットとを同時に用いてスパッタリングを行うことにより、基板上にマグネシウムと炭素と含む透明導電膜を成膜する成膜工程と、前記成膜した透明導電膜を水を含む雰囲気に保持する透明化工程と、表面材ターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、前記基板上に成膜した透明導電膜の膜面上に表面材薄層を形成する被覆工程とを実行する透明導電膜の製造方法を提供するものである。
このようにして、透明導電膜の成膜後透明化した時点で透明導電膜の表面にコーティングを施して比抵抗値の上昇を防ぐ製造方法を量産工程として実施することができることとなる。
本発明は、また、上記の成膜工程において、前記基板を、マグネシウムを含むターゲットからの距離が、炭素を含むターゲットからの距離よりも大きくなる位置に配置してスパッタリングを行うことを特徴とする。
このように炭素とマグネシウムのスパッタ速度の差を考慮してターゲットと基板との配置を行うことにより、所望のマグネシウム/炭素原子比を有する透明導電膜を製造することが可能となった。
本発明は、また、上記の成膜工程において、直流電源を用いたマグネトロンスパッタリング法によるスパッタリングを行うことを特徴とする。
マグネトロンスパッタリング法では、プラズマ密度がターゲット付近に集中し低電圧でも成膜速度を高速化することが可能である。また、直流(DC)電源を用いると、高周波(RF)を用いる場合に比べて、電力制御や成膜レート制御を精度高く行うことができる。以上のことから、直流電源を用いたマグネトロンスパッタリング法が、均一な性質を有する透明導電膜を高速に大量生産するのに最も適した方法である。
上記の被覆工程において用いる表面材ターゲットとしては、Ni,Pd等の金属系材料、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF),ポリエチレンテレフタラート樹脂(PET)等の樹脂系材料、ITO,TiO2,MgO,グラフェン等の無機系材料などが考えられる。

本発明は、また、マグネシウム、炭素、水素及び酸素を含んで構成される透明導電膜であって、水酸化マグネシウムのブルサイト型結晶構造を有し、その結晶構造中の水素原子の一部が炭素原子に置換された構造を有していることを特徴とする透明導電膜を提供するものである。
本発明の透明導電膜は、化学式が
Mg(OH1−X
で表され、Xが0.05〜0.95の範囲の値をとることを特徴とする。
このとき、マグネシウム/炭素原子比は、Mg:C=90:10〜35:65の範囲の値をとる。
また、本発明の透明導電膜は、膜面が表面材の薄層で被覆されていることを特徴とする。表面材としては、Ni,Pd等の金属系材料、エチレン酢酸ビニル共重合体,ポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF),ポリエチレンテレフタラート樹脂(PET)等の樹脂系材料、ITO,TiO2,MgO,グラフェン等の無機系材料などを用いることができる。
以上、説明したように、本発明によれば、本発明者が開発した特許文献1記載のマグネシウム・炭素系材料(Mg(OH)・C)を用いた透明導電膜について、量産工程に適し、かつ、成膜後の経時変化を低減できる実用レベルの透明導電膜及びその製造方法が提供される。
本発明にかかる透明導電膜を実際に実施してみると、その比抵抗値がおよそ1×10−2〜1×10−4Ω・cmであり、かつ、経時による比抵抗値の上昇がほとんど生じないというきわめて優れた性能を有するものであることが下記の実施例において実証された。したがって、特許文献1記載のマグネシウム・炭素系材料を用いた透明導電膜の実用化・産業利用の途が本発明によって初めて開かれたことになる。
本発明の一実施形態にかかる透明導電膜の製造方法において用いるスパッタリング装置の内部構成を概略的に示す断面模式図である。 図1の実施形態におけるスパッタリング成膜工程でのマグネシウム・炭素ターゲットの配置について説明するための図である。 本発明の透明導電膜の製造方法の実施例におけるスパッタ条件を示す図である。 本発明の透明導電膜の製造方法の実施例において成膜された透明導電膜の電気伝導性の測定結果を示す図である。 本発明の透明導電膜の製造方法の実施例において成膜された透明導電膜の透明度の測定結果を示す図である。 本発明者が開発したマグネシウム・炭素系の透明導電膜の結晶構造を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の透明導電膜及びその製造方法を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
1.スパッタリング装置
図1は、本発明の一実施形態にかかる透明導電膜の製造方法において用いるDCマグネトロンスパッタリング装置の内部構成を概略的に示す断面模式図である。
図1において、本実施形態で用いるDCマグネトロンスパッタリング装置100は、プレート112上の基板114のセット・脱離を行うためのカセット室110と、成膜室に出し入れされるプレート112を待機させるための待機室120と、112上の基板114表面に対してDCマグネトロンスパッタリングによる成膜又は表面材の被覆を行う成膜室130と、プレート112の向きを変更するための方向転換室140とを内部空間として有している。
待機室120には、プレート112上の基板114を加熱乾燥させるための一対のハロゲンヒータ122が設けられている。成膜室130には、2つの透明導電膜材料ターゲット132,134と、表面材ターゲット136とが配置されている。方向転換室140には、プレート112の向きを図面左右方向に反転させるための機械的手段が適宜設けられている。
このDCマグネトロンスパッタリング装置100において、スパッタリング及び被覆を行う流れとしては、まず、カセット室110において、プレート112上にスパッタリング対象の基板114をセットする。図1では、透明導電膜材料ターゲット132,134の方向(図面右側方向)に基板114のスパッタ面を向けてセットする。
続いて、プレート112を待機室120に送り、待機室120のハロゲンヒータ122によりプレート112上の基板114を適宜加熱乾燥させる。
続いて、プレート112を成膜室130に送り、成膜室130において透明導電膜材料ターゲット132,134(マグネシウム・炭素)によって共スパッタリングを行う(DCマグネトロンスパッタリング)。
成膜室130において行うスパッタリングの手順及び条件は、特許文献1に記載のスパッタリングによる成膜の実施形態([0031]〜[0055]参照)と同様である。
すなわち、マグネシウム・炭素のターゲットを用い、Ar等の不活性ガスを用いて、共スパッタリングによりマグネシウム及び炭素を含む膜を基板上に成膜し、この膜に水分を保持させることにより、Mg(OH1−X構造を有する膜とするものである。
但し、本実施形態におけるマグネシウム・炭素のターゲットを用いたスパッタリング成膜工程では、ターゲットの配置において、特許文献1に記載の工程とは異なっている。これについて以下に説明する。
2.ターゲットの配置
図2は、本実施形態におけるスパッタリング成膜工程でのマグネシウム・炭素ターゲットの配置について説明するための図である。
本発明者は、特許文献1に記載した透明導電膜の製造においては、図2(a)に示すように、マグネシウムターゲット132と炭素ターゲット134ぞれぞれの中心からほぼ等距離の位置に基板を配置してスパッタリングを行った。また、スパッタ原子が効率よく基板114上に堆積するように図2(b)に示すようなターゲット配置も考えられる。
図2(a)や図2(b)に示すターゲット配置でスパッタリングを行った場合、炭素よりもマグネシウムの方がスパッタされやすいため、マグネシウムの含有量がより多い透明導電膜が成膜される。ところが、含有されるマグネシウムと炭素の原子比によって透明導電膜の比抵抗値が大きく変化することが実験から明らかとなってきた。例えば、非特許文献1(図4参照)に示すように、Mg(OH0.870.13の透明導電膜の比抵抗値が最大で約5×10−1Ω・cmであるのに対して、Mg(OH0.670.33の透明導電膜の比抵抗値が最大で約1×10−2Ω・cmとなることが分かっている。
このように、含有されるマグネシウムと炭素の原子比が1付近で比抵抗値が大幅に下がる傾向が見られるため、これに近い原子比で成膜されるようスパッタリング工程を工夫する必要が生じてきた。そこで、本発明者は、や図2(c)に示すように、マグネシウムターゲット132から比較的遠く炭素ターゲット134から比較的近い位置に基板114を配置してスパッタリングを行うことにより、マグネシウムと炭素を所望の原子比で含有する透明導電膜を成膜することに成功した。
本実施形態においては、化学式が
Mg(OH1−X
で表される透明導電膜において、Xが0.05〜0.95の範囲の値をとるときに、所望の物性を有することが確認されている。このとき、マグネシウム/炭素原子比は、Mg:C=90:10〜35:65の範囲の値をとることとなる。
3.被覆工程
上記のようにして成膜された透明導電膜は、最初は光沢ある黒色を呈するが、水を含む雰囲気(水蒸気を含む大気中や水中など)に一定時間保持すると、Mg(OH)ブルサイト結晶構造中の水素原子と炭素原子との置換が進行し、Mg(OH)結晶構造中に炭素が導入された構造となることにより、およそ80〜90%程度の透過率を有するようになる。
ところが一方で、成膜された透明導電膜を大気中に晒し続けると、大気中の水分を吸着することにより、わずか数十分の間に比抵抗値が大幅に上昇してしまう(特許文献1の図7参照)。
ここで、本発明者は、成膜後一定時間を経て透明化した透明導電膜を大気から遮断することにより、それ以後の比抵抗値の上昇を防ぐことができることを発見した。
そして、図1に示すようなマグネトロンスパッタリング装置100を用いた実際の製造工程においては、透明導電膜の表面にコーティングを施すことで、透明導電膜を大気から遮断し、比抵抗値の上昇を防ぐことができることが可能である。
再び図1において、成膜室130においてスパッタリングによる透明導電膜の成膜が行われたプレート112上の基板114は、方向転換室140に搬送される。方向転換室140では、基板114表面が図面左方向に向くようプレート112を反転させ、再度これを成膜室130に搬入する。
成膜室130において、表面材ターゲット136を用いたスパッタリングを行い、基板114上に成膜したマグネシウム・炭素系材料からなる透明導電膜の表面を表面材で被覆する。
ここで、表面材は、Ni,Pdなどの金属系材料、エチレン酢酸ビニル共重合体,ポリフッ化ビニル樹脂,ポリエチレンテレフタラート樹脂などの樹脂系材料、ITO,TiO2,MgO,グラフェンなどの無機系材料などから、所望の透明度を考慮して適宜選択することができる。
特に、炭素を原材料とするグラフェン膜を成膜された透明導電膜の表面に被覆することにより、単に水蒸気に対する保護膜として働くのみならず、透明導電膜の比抵抗値を低下させる効果が得られることが確認された。
被服工程における表面材のスパッタリングについては既知の技術を応用してスパッタリング法や条件等を適宜選択して行うことができる。
表面材を被覆した基板114は、待機室120のハロゲンヒータ122で適宜加熱乾燥させて、プレート112とともにカセット室110に搬出する。
このようにして作製される本実施形態の透明導電膜は、マグネシウムと炭素を好ましい原子比で含有することにより、特許文献1記載のマグネシウム・炭素系材料を用いた透明導電膜に比べて格段に抵抗値が低く、また、成膜直後に表面をスパッタリングで被覆することにより、経時による比抵抗値の上昇が生じないというきわめて優れた性能を有するものである。
ターゲットの配置とスパッタ条件、成膜速度
本実施例で用いたターゲットは、マグネシウム(純度99.9%)および炭素であり、そのターゲットのサイズは178×127mmであった。
成膜を行う前にターゲット表面の清浄化を目的として、マグネシウム、炭素のスパッタリングをそれぞれ出力800Wで5分間行った。
その後、図3に示す条件で成膜を行った。
成膜した透明導電膜の性能測定
上記の条件で成膜を行うことにより膜厚は300nm程度堆積することが出来る。薄膜の膜厚は、触針式表面形状測定器DektakIIAにより測定した。
また、電気伝導性の評価には直流2端子法を用いて、測定電流10mAの条件で比抵抗値(Ω・cm)を測定することにより行った。
薄膜と直流2端子法に用いた端子のコンタクト性の向上のため、あらかじめ銀電極をガラス基板上に500nm程度堆積させ、その上にMgとCの成膜を行った。
成膜後、適度な水分と反応させMgC薄膜の透明化を確認した。その後、電流−電圧測定端子を導入したチャンバー内へ試料を設置しロータリーポンプで真空排気を行いながら測定を行った。
その結果を図4に示す。
また、透明に変化した後の試料の光透過率は、紫外可視分光光度計により測定した結果、図5に示すように、可視光(380−780nm)領域において、約90%程度の光透過率を示した。
以上、本発明の透明導電膜及びその製造方法について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態における透明導電膜の材料選択、材料構成比、添加物の選定や、その製造方法における各工程・工法につき、様々な変更・改良を適宜加えることが可能である。
例えば、透明導電膜の材料のスパッタ材料としては、炭素に換えて又は炭素とともにホウ素、ケイ素などの性質が近い材料を用いることが考えられる。また、様々な添加物を導入することにより、比抵抗値や透明率の向上を図ることができる。
本発明の透明導電膜は、低抵抗で可視光に対して高い透過率を示す透明導電膜として、液晶ディスプレイを中心としたフラットパネルディスプレイや太陽電池などの透明電極に利用することができる。また、この透明導電膜を樹脂フィルム基板の表面に成膜した透明導電性フィルムは、例えばスマートフォン等の透明タッチパネルやEL(エレクトロルミネセンス)フラットランプの電極などに利用することができる。
100 マグネトロンスパッタリング装置
110 カセット室
112 プレート
114 基板
120 待機室
122 ハロゲンヒータ
130 成膜室
132 マグネシウムターゲット
134 炭素ターゲット
136 表面材ターゲット
140 方向転換室

Claims (6)

  1. マグネシウムを含むターゲットと炭素を含むターゲットとを同時に用いてスパッタリングを行うことにより、基板上にマグネシウムと炭素と含む透明導電膜を成膜する成膜工程と、
    前記成膜した透明導電膜を水を含む雰囲気に20分よりも短い時間保持する透明化工程と、
    大気から遮断された環境で、表面材ターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、前記基板上に成膜した透明導電膜の膜面上に表面材薄層を形成する被覆工程とを実行する透明導電膜の製造方法。
  2. 前記成膜工程において、前記基板を、マグネシウムを含むターゲットからの距離が、炭素を含むターゲットからの距離よりも大きくなる位置に配置してスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 前記成膜工程において、直流電源を用いたマグネトロンスパッタリング法によるスパッタリングを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 前記被覆工程において、前記表面材ターゲットは、Ni,Pdからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属系材料を含んでなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. 前記被覆工程において、前記表面材ターゲットは、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂系材料を含んでなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. 前記被覆工程において、前記表面材ターゲットは、ITO,TiO2,MgO,グラフェンからなる群から選択される少なくとも1種以上の無機系材料を含んでなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
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