JP2005245537A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】 経時的に変色、あるいは劣化し難い、耐侯性に優れたゴルフボールを提供する。
【解決手段】 コアと該コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールにおいて、前記カバーが、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物および/または含水酸化物が粒子表面に存在する酸化チタンを0.5〜10質量部含むゴルフボール。

Description

本発明は、ゴルフボールに関するものであり、より詳細には、コアと、該コアを被覆するカバーを有するゴルフボールに関するものである。
屋外で使用されるゴルフボールは、紫外線(太陽光)や風雨に曝されて、経時で変色したり、あるいは、繰り返し打撃されるために、塗膜が剥離したり、ボール自体に割れを生じる場合がある。このような変色や塗膜の剥離などは、ゴルフボールが劣化している印象を与えるので好ましくなく、ゴルフボールの耐侯性や耐久性を向上させて、ゴルフボールの外観を良好に保つ技術が種々提案されている。
たとえば、特許文献1には、カバー組成物中に特定量の酸化チタン(白色顔料)/赤色顔料/青色顔料を配合することで、カバー自体の白色度を高めて、外観特性を向上させたゴルフボールが開示されている。また、特許文献2には、ゴルフボールの最外層としてウレタン系クリアー塗膜を設け、かつ、ボールのカバー表面と上記ウレタン系クリアー塗膜との間に、カバーとクリアー塗膜の双方に対して密着性を有し、且つ黄変し難いエポキシ樹脂系クリアー塗膜を設けて、耐久性および耐侯性を高めたゴルフボールが提案されている。
特開平11−216200号 特開2003−52859号
しかし、特許文献1に開示されているのは、酸化チタンなどの顔料の配合組成を適正化して白色度を高める技術であって、カバー自体の変色を防止するものではない。したがって、紫外線などを受けてカバーを構成する樹脂が劣化・変色した場合には、ボール表面に施されるクリアペイントは無色透明であるため、変色したカバーの色合いがそのままボール表面に露呈してしまい、もはやゴルフボールの外観の低下を抑制できないといった問題がある。
また、特許文献2の技術は、クリアー塗膜などの耐侯性や耐久性を高めることを目的としたものであって、ゴルフボール自体の耐侯性の向上を目的としたものではない。さらに、エポキシ樹脂系クリアー塗膜およびウレタン系クリアー塗膜を設ける2回の塗装工程を要するものであり、塗装工程簡略化の観点からも好ましくない。
加えて、ゴルフボールの耐侯性については、白色顔料として配合する酸化チタンの光触媒作用が、カバーを構成する樹脂を劣化させる原因となる場合がある。
すなわち、酸化チタンは紫外線を浴びることにより、酸化チタンの価電子帯の電子が励起されて導電帯に上がり自由電子(e)と、荷電子帯に正孔(p)のペアを生じる(〔1〕式)。
Figure 2005245537
上述のような光触媒作用は、通常、ゴルフボールに配合される紫外線吸収剤や光安定剤などを併用した場合であっても完全に防ぐことは困難であり、ゴルフボールの耐侯性を十分に向上させることができないといった問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、経時的に変色、あるいは劣化し難い、耐侯性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明のゴルフボールとは、コアと該コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールにおいて、前記カバーが、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物および/または含水酸化物が粒子表面に存在する酸化チタンを0.5〜10質量部含むことを特徴とする。上記酸化チタンは、酸化チタンが本来有する光触媒作用を抑制することができ、該作用に起因するカバー樹脂の変色や劣化を低減することができる。上記酸化チタンを使用することで、カバーの樹脂の劣化を抑制できる理由は次のように考えられる。
Figure 2005245537
前記酸化チタンが、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび、これらの含水物よりなる群から選択される少なくとも1種以上が粒子表面に存在するものであれば、耐侯性向上効果に特に優れるため好ましい。
前記ゴルフボールが、単層構造の塗膜を有するものも本発明の好ましい実施態様である。
ゴルフボールのカバーを構成する基材樹脂に、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムの酸化物および/または含水酸化物が表面に存在する酸化チタンを特定量配合することで、カバーが経時的に変色したり、劣化し難い、耐侯性にすぐれたゴルフボールを得ることができる。
本発明のゴルフボールは、コアと該コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムの酸化物および/または含水酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種以上が粒子表面に存在する酸化チタンを0.5〜10質量部含むことを特徴とする。まず、上記酸化物および/または含水酸化物が表面に存在する酸化チタン(以下、単に「表面処理酸化チタン」という場合がある。)について説明する。
本発明で使用する表面処理酸化チタンは、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物および/または含水酸化物が粒子表面に存在するものであれば特に限定されない。すなわち、上記表化処理酸化チタンとしては、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、亜鉛の酸化物、ジルコニウムの酸化物、錫の酸化物、セリウムの酸化物、および/またはこれらの含水物が酸化チタン表面に存在している態様を挙げることができる。上述の表面処理酸化チタン中でもアルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、錫、セリウムの酸化物および/または含水酸化物などが酸化チタン粒子表面に存在するものであるのが好ましい。耐侯性向上の効果に優れるからである。
前記酸化物および/または含水酸化物が、酸化チタン粒子表面に存在する態様としては、たとえば、図1に示すように酸化チタン粒子1の表面に、上述の酸化物および/または含水酸化物を含む表面処理層2が存在する態様[図1(a)]、あるいは上記酸化物および/または含水酸化物の微粒子3が酸化チタン表面に付着して存在する態様[図1(b)]などが挙げられ、いずれの態様であっても良い。いずれの態様であっても、耐侯性向上の効果を発揮するからである。
上述の元素は、酸化チタンに光安定性を付与するのに使用されることがあり、この作用によっても上記光触媒作用が抑制され、その結果、カバーを構成するカバー樹脂の耐侯性が向上される。また、酸化チタンの光触媒作用が抑制される結果、酸化チタンに起因するカバー表面を被覆するクリアコート樹脂の劣化も抑制できるため、カバーとクリアコート層との密着性の低下も抑制することができる。
さらに、上述の酸化物などで表面処理された表面処理酸化チタンは、酸化チタン同士で凝集し難いため、上記表面処理酸化チタンをカバー組成物に配合しても、容易に分散させることができ、色ムラが発生し難いといった効果も有している。また、カバー中に均一に分散させることで、上記表面処理酸化チタンの白色顔料としての機能、および、紫外線吸収効果を有効に発揮させることができる。このように、上記表面処理酸化チタンを使用することで、耐侯性の向上と、外観特性の向上を同時に図ることができる。
上記表面処理酸化チタンの中でも、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび、これらの含水物よりなる群から選択される少なくとも1種以上が粒子表面に存在するものを使用するのが好ましい。このような表面処理酸化チタンとしては、たとえば、堺化学工業株式会社製の商品名「D−918」(表面処理:SiO・HO、ZrO・HO、Al・HO)や、「STR60C」(表面処理:Al)、「STR60S」(表面処理:Ce/Sn/Zn/Al)、「STR100A−L」(表面処理:Si/Al)、「R−21」(表面処理:SiO・Al)、「R−32」(表面処理:Al)、「R−61N」(表面処理:ZrO・Al)、「R−45M」(表面処理:SiO・Al)などを挙げることができ、中でも、「D−918」が好ましい。特に優れた耐侯性向上効果が得られるからである。
本発明に係るゴルフボールのカバーは、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、上記表面処理酸化チタンを、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上含有する。酸化チタンは、白色顔料としての機能に加えて、紫外線を吸収する効果も有している。上述したように、カバー樹脂の経時的な劣化(割れ、変色など)は、日光、特に紫外線によりボール本体を構成するカバー樹脂が分解することによるものである。したがって、酸化チタンの配合により、カバー樹脂に作用する紫外線量を減少させることで、カバー樹脂の分解や変色を防ぐことができる。したがって、表面処理酸化チタンの含有量が上記下限に満たない場合には、上記特性が得られ難い傾向がある。また、前記ゴム組成物は、ゴム組成物100質量部に対して、表面処理酸化チタンを10質量部以下、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下含有する。表面処理酸化チタンの含有量が上記上限を超えると、カバー樹脂中における樹脂成分の占める割合が小さくなり、反発性能が低下する傾向がある。
次に、上記カバーを構成する基材樹脂について説明する。
本発明に係るゴルフボールのカバーは、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部の上記表面処理酸化チタンを含有するものであれば特に限定されない。例えば、前記カバーを構成する基材樹脂としては、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂もしくは2液硬化型ウレタン樹脂などのウレタン樹脂、ポリスチレン系,ポリアミド系などの熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらの各種樹脂を単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。特に、熱可塑性ウレタン樹脂若しくは2液硬化型ウレタン樹脂などのウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、又は、ウレタン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物をカバーを構成する基材樹脂の50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上使用することも好ましい態様である。ウレタン樹脂やアイオノマー樹脂の含有率を高めることによって、カバーの耐久性や打球感を向上させることができるからである。
前記カバーを構成するアイオノマー樹脂としては、従来よりゴルフボール用のカバー材料として使用されているアイオノマー樹脂、すなわち、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも1部を金属イオンで中和したもの、または、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの等が挙げられる。
前記中和用の金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等の1価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金属イオン;アルミニウムイオン、ネオジムイオンなどの3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオンが金属イオンの凝集体の結合力が大きく、架橋ジエン系ゴム粒子の分散に基づく機械的強度の低下が小さいことから好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル株式会社製のハイミラン1605(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1707(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1706(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7315(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7317(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1555(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1557(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、エクソンケミカル株式会社製のアイオテック8000(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、アイオテック7010(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、デュポン社製のサーリン7930(リチウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、サーリン9945(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、サーリン8945(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)などが挙げられる。
前記カバーを構成するウレタン樹脂としては、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを芳香族ポリアミンで硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂、或いは、熱可塑性ウレタン樹脂などを挙げることができる。なお、カバーの耐変色性および耐擦過傷性を向上させる観点からは、脂環式ジイソシアネートを構成成分としてなる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを使用するのが好ましい。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、一般にハードセグメントとしてポリウレタン構造を含有し、ソフトセグメントとしてポリエステルまたはポリエーテルを含有する。上記ポリウレタン構造は一般に、ジイソシアネートとアミン系等の硬化剤を含有する。上記脂環式ジイソシアネートを構成成分としてなる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーとは、構成成分としての上記ジイソシアネートが脂環式ジイソシアネートであるものという意味である。
上記脂環式ジイソシアネートの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の水素添加物である4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)の水素添加物である1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)より成る群から選択される1種、または2種以上の組合せ等が挙げられ、汎用性および加工性の面からH12MDIが好適である。上記H12MDIを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの具体例として、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から市販の「エラストランXNY90A(商品名)」、「エラストランXNY97A(商品名)」、「エラストランXNY585(商品名)」等が挙げられる。
一般に、上記ジイソシアネートには大きく分けて、上記の脂環式ジイソシアネートの他に、脂肪族および芳香族ジイソシアネートがある。上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、耐変色(黄変)性の観点から、分子内の骨格構造中に二重結合を有さないジイソシアネート、即ち脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ましい。また、耐擦過傷性等を考慮して、機械的強度の大きい脂環式ジイソシアネートおよび更に芳香族ジイソシアネートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーが好ましい。本発明のゴルフボールのカバーに用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーとしては、上記耐変色性および耐擦過傷性の両者を考慮して、脂環式ジイソシアネートを使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーがより好ましい。
カバー構成する基材樹脂として併用できる熱可塑性エラストマーの具体例としては、東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン社から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランET880」)熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ダイセル化学工業(株)から市販されている商品名「エポフレンドA1010」や、クラレ(株)から市販されている「セプトンHG252」などのポリスチレン系エラストマー等が挙げられる。
上記アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂および熱可塑性エラストマーを混合してカバーの基材樹脂として使用しても良い。たとえば、脂環式ジイソシアネートを構成成分としてなる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと熱可塑性ポリアミド系エラストマーとの混合物を、カバーを構成する基材樹脂として含有する場合であれば、上記成分の配合量は、カバー材料全体に対して、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
上記熱可塑性ポリアミド系エラストマーは、一般にハードセグメントとしてポリアミドを含有し、ソフトセグメントとしてポリエーテルまたはポリエステルを含有する。本発明のゴルフボールのカバーに用いられる熱可塑性ポリアミド系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエーテルポリアミド系エラストマーまたは熱可塑性ポリエステルポリアミド系エラストマーであってもよいが、熱可塑性ポリエーテルポリアミド系エラストマーが好適に用いられる。このような熱可塑性ポリエーテルポリアミド系エラストマーの具体例として、エルフ・アトケム・ジャパン(株)から市販の「ペバックス5533SN00(商品名)」などが挙げられる。
上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー:熱可塑性ポリアミド系エラストマーのブレンド比率は、100:0〜70:30、好ましくは98:2〜80:20、より好ましくは95:5〜90:10であることが望ましい。上記熱可塑性ポリアミド系エラストマーが30重量%より多いと、耐擦過傷性が悪くなる。
さらに、上記カバー材料には、上記のような樹脂成分以外に、必要に応じて、着色剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等の添加剤等をゴルフボールカバ−による所望の特性が損なわれない範囲で含有してもよい。
上記カバーを被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方法で行うことができる。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、160〜200℃で1〜10分間プレス成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。十分な真球度を有するボールを得るという点では、上記のプレス成形する方法が好適に用いられる。
上記カバーは、厚さが0.3mm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.5mm以上であり、1.6mm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.9mm以下である。1.6mmより大きいと厚くなり過ぎて反発性が低下して飛距離が低下する。また、カバー厚さが薄くなり過ぎると、カバーの効果が十分に得られず、成形が困難となり、また十分な真球度を有するボールが得られなくなるため、カバー厚さは0.3mm以上が好ましい。
本発明のゴルフボールのカバーは、ショアD硬度35以上、好ましくは40以上、より好ましくは42以上であり、55以下、好ましくは52以下、より好ましくは50以下であることが望ましい。上記カバー硬度が35より小さいと反発性が低下し、55より大きいと、打球感が硬くて悪いものとなる。尚、本明細書中で、カバー硬度とは、カバー用組成物から作製された熱プレスシートを用いて測定した硬度を意味する。
次に、本発明に係るゴルフボールのコアについて説明する。
本発明に係るゴルフボールは、コアと該コアを被覆する上述のカバーとを有するものであって、前記カバーに上述の表面処理酸化チタンを特定量含むものであれば、そのゴルフボールの構造は特に制限されず、例えば、上記カバー材料でソリッドコアを被覆したツーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボール、あるいは糸巻きコアと該糸巻きコアを被覆するカバーとを有する糸巻きゴルフボールを挙げることができる。この場合、ソリッドコアは、単層構造であってもよく、また、センターと該センターを被覆する1層以上の中間層とを有する多層構造であってもよい。単層構造のソリッドコアおよび多層構造のソリッドコアのセンターは特に限定されないが、基材ゴム、共架橋剤、および有機過酸化物、充填材などを含むゴム組成物の成形体であることが好ましい。
上記基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴムおよび/または合成ゴムが用いられ、特にシス−1,4−結合を少なくとも40%以上、好ましくは80%以上有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましい。所望により上記ポリブタジエンゴムには、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
共架橋剤としては、アクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩、またはそれらとアクリルエステルやメタクリルエステルとのブレンド等が挙げられるが、高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは20質量部以上であり、50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。配合量が上記上限より多いと硬くなり過ぎて打球感が悪くなり、上記下限よりも少ない場合には、適当な硬さにするために有機過酸化物の量を増加しなければならず反発が悪くなり飛距離が低下する。
有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は基材ゴム100質量部に対して0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上であり、3質量部以下、好ましくは2質量部以下である。配合量が上記下限に満たない場合には軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下する。一方、上記上限を越えると適切な硬さにするためにα,β−不飽和カルボン酸の金属塩の量を減少しなければならず反発が悪くなり飛距離が低下する。
充填材としては、ソリッドゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機充填材、具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、高比重金属充填材、例えばタングステン粉末、モリブデン粉末等およびそれらの混合物と併用してもよい。配合量は、それぞれ基材ゴム100質量部に対して2質量部以上、好ましくは3質量部以上であり、50質量部以下、好ましくは35質量部以下である。上記上限より少ない場合には重量調整が難しく、上記上限を越えるとゴムの重量分率が小さくなり反発が低くなり過ぎる。
更に本発明のゴルフボールのコアには、有機硫黄化合物、老化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。配合量は、基材ゴム100質量部に対して、老化防止剤は0.1質量部以上、1.0質量部以下、しゃく解剤は0.1質量部以上、5.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のゴルフボールのコアは前述のゴム組成物を、混合、混練し、金型内で加硫成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130〜180℃、圧力2.9〜11.8MPaで10〜50分間で行われる。
本発明のゴルフボールのコアは、直径40.8mm以上、好ましくは41.0mm以上であり、42.2mm以下、好ましくは42.0mm以下、より好ましくは41.8mm以下であるのが好適である。コアの直径が40.5mmよりも小さいとカバーが厚くなり反発性が低下し、42.0mmよりも大きいとカバーの厚さが薄くなり過ぎて、カバーによる効果が十分に得られず、また成形が困難となる。
本発明のゴルフボールに用いられるコアは、単層構造を有しても、2層以上の多層構造を有していてもよいが、生産性の面で単層構造コア(即ち、ツーピースゴルフボール)が好ましい。上記コアが多層構造を有する場合、コアの表面硬度とは多層コアの外表面の硬度をいう。また、多層構造を有するコアの場合、最内層は前述のような、基材ゴムとしてシス−1,4−ポリブタジエンを含有するゴム組成物から成ることが好ましいが、その他の層は熱可塑性樹脂等の樹脂を基材とする層であってもよい。
上記コアの最内層以外の層は、上記最内層と同様のゴム組成物から形成されても、または熱可塑性樹脂、特に通常ゴルフボールのカバーに用いられるアイオノマー樹脂を基材樹脂として形成されてもよく、このようなアイオノマー樹脂としては、上述したカバーを構成するアイオノマー樹脂と同様のものが使用できる。
更に、本発明に係るゴルフボールのコアの最内層以外の層の好ましい材料の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであってもよいが、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーやジエン系ブロック共重合体等の1種以上とを組合せて用いてもよい。上記熱可塑性エラストマーの具体例として、上述したカバーを構成する熱可塑性エラストマーと同様のものが使用できる。
上記ジエン系ブロック共重合体は、ブロック共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を有するものである。その基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとから成るブロック共重合体である。また、部分水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルスチレン等の中から1種または2種以上を選択することができ、スチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の中から1種または2種以上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。好ましいジエン系ブロック共重合体の例としては、エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)構造のブロック共重合体またはエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するSIS(スチレン‐イソプレン‐スチレン)構造のブロック共重合体等が挙げられる。上記ジエン系ブロック共重合体の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)から商品名「エポフレンド」で市販されているもの(例えば、「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セプトンHG‐252」等)等が挙げられる。
上記の熱可塑性エラストマーやジエン系ブロック共重合体等の配合量は、基材樹脂100質量部に対して、1質量部以上であるのが好ましく、60質量部以下、好ましくは35重量部以下である。1質量部より少ないとそれらを配合することによる打球感の向上等の効果が不十分となり、60質量部より多いと上記コアの最内層以外の層が軟らかくなり過ぎて反発性が低下したり、またアイオノマー樹脂との相溶性が悪くなって耐久性が低下し易くなる。
上記コアの最内層以外のコア外層がゴム組成物から形成される場合には、まず最内層用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で130〜180℃で10〜40分間加熱プレスすることにより、球状の最内層コアを作製し、次いでコア外層用ゴム組成物を混合、混練し、上記最内層コア上に同心円状に被覆し、金型内で160〜180℃で10〜20分間加熱プレスすることにより、上記最内層コア上に上記コア外層を被覆した2層コアを得ることができる。上記最内層以外の層が熱可塑性樹脂から形成される場合、上記樹脂組成物を、上記最内層コア上に直接射出成形することにより2層コアを得ることができる。得られたコアは、その周りに被覆されるカバーとの密着性を向上するため、表面をバフ研磨しておくことが好ましい。
上記カバー組成物を成形してなるカバーの表面にペイントを施すことも、本発明に係るゴルフボールの好ましい実施態様である。また、必要に応じて、ボール表面にディンプルを形成したり、マーキングスタンプなどを施してもよい。本発明にかかるゴルフボールに使用可能なペイントとしては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂系ペイントなどを用いることができるが、好ましくはウレタン樹脂系ペイントが好適であり、下地との密着性を考慮して選択することが望ましい。上記ウレタン樹脂系ペイントとしては、主剤と硬化剤とからなる2液型ウレタンペイントが用いられる。上記ウレタン樹脂系ペイントの主剤において、主成分となるのはポリオール成分である。そして、ポリオール成分には、以下に示すような特定のウレタンポリオールが含まれている。
ウレタンポリオールは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応により合成される。合成するのに使用するポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定せず、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12XDI)、などの脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂環族イソシアネート化合物が挙げられる。これらのうち、耐侯性の観点から、非黄変性のポリイソシアネート(脂肪族、脂環族のポリイソシアネート)が好ましく用いられる。
ウレタンポリオールを製造するのに使用されるポリオールとしては、水酸基を複数有するものであれば、低分子化合物、高分子化合物の如何を問わない。低分子のポリオールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子のポリオールとしては、活性水素原をもつ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができるポリエーテルポリオール;アジピン酸などの2塩基酸とグリコールまたはトリオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;ε−カプロラクタムなどのラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;環状ジオールを用いて合成されるポリカーボネートジオール;アクリル系共重合体に適宜水酸基を導入してなるアクリルポリオールなどのポリマーポリオールが挙げられる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられ、縮合系ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペートなどが挙げられ、ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、ポリ−ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
以上のようなポリオールのうち、重量平均分子量50〜2000を有するもの、特に100〜1000程度のポリオールが好ましく用いられる。尚、これらのポリオールは、1種、または2種以上を混合して用いてもよい。
ウレタンポリオールは、上記ジイソシアネートとポリオールとが反応してウレタン結合を形成し、両末端に水酸基を有するポリオールである。ここで、ウレタンポリオール中のウレタン結合の比率は、ウレタンポリオール1gに対して0.1mmol/g以上、5mmol/g以下であることが好ましい。ウレタン結合の比率は、形成されるペイント層の剛性と関係があり、0.1mmol/g未満では、形成されるペイント層中のウレタン濃度が小さくなるため耐擦過傷性に劣るからである。一方、5mmol/gを上回ると、ペイント層が硬くなりすぎてボール本体の変形に対する追随性が低下するために、ひび割れを起こし易くなるからである。
また、ウレタンポリオールの重量平均分子量は、4000以上、好ましくは4500以上で、10000未満、好ましくは9000以下である。4000未満では、乾燥に時間がかかって、作業性、生産性が低下するからである。一方、10000以上の高分子量のウレタンポリオールでは、相対的にウレタンポリオールのOH価が小さくなり、塗布後の反応量が少なくなって下地との密着性が低下するからである。また、重量平均分子量が9000以下であれば、水にぬれるような状態にあってもペイント層密着性の低下が少ない緻密なペイント層を形成できるからである。
ウレタンポリオールの水酸基価は、15mgKOH/g以上、特に73mgKOH/g以上で、130mgKOH/g以下、特に120mgKOH/g以下であることが好ましい。15mgKOH/g未満では、硬化剤との反応量が少なくなりすぎて、ボール本体との密着強度が得られないからである。一方、130mgKOH/gを上回ると、硬化剤との反応に時間がかかり、乾燥時間が長くなって生産性が低下すると共に、インパクト時に割れを起こし易くなるからである。
以上のようなポリウレタンポリオールは、原料となるポリオールを溶剤で希釈し、反応触媒(たとえばジブチル錫ラウレート)を添加した状態で、ポリイソシアネートを徐々に添加しながら、ウレタン結合を形成させることにより合成されるもので、末端が水酸基である。尚、ウレタン結合の比率は、原料となるポリオールの分子量、ポリオールとイソシアネートの配合比率などを調製することにより行うことができる。
本発明の主剤を構成するポリオール成分は、上記特定のウレタンポリオールそのものであること、すなわち主剤が実質的に上記特定のウレタンポリオールであることが好ましいが、前記ウレタンポリオール以外に、ウレタンポリオールと相溶可能でウレタン結合を有しないポリオールが含まれてもよい。
この場合に用いられ得るポリオールとしては、ウレタンポリオールの合成に用いることができるポリオール、すなわち低分子のジオール、トリオール、またはポリマーポリオールのいずれかを用いてもよい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどの低分子量ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの低分子量トリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリカーボネートジオール;アクリルポリオールなどが挙げられる。
主剤中にウレタン結合を有しないポリオールが含まれる場合には、主剤中のウレタンポリオールの含有量を50質量%以上とするのが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。主剤中のウレタンポリオールの含有率が上記値よりも少ない場合には、相対的にウレタンポリオールの含有率が少なくなるため乾燥時間が長くなる。
上記ペイントに用いられる硬化剤としては、上述のウレタンポリオール合成に使用可能なポリイソシアネートと同様のものが使用できる。尚、塗膜の変色を防止する観点からは、非黄変性ポリイソシアネート(脂肪族、脂環族のイソシアネート)を使用するのが好ましい。上述のポリイソシアネートは、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明のゴルフボールに用いられるペイントには、前記成分以外にさらに種々の添加剤、希釈剤などを含んでもよい。添加剤の例としては、紫外線吸収剤(劣化防止剤)、酸化防止剤、光安定剤、シリコン系スリップ剤、レベリング剤、粘度調整剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤、硬化触媒、着色顔料など、一般にゴルフボール用ペイントに含有され得る添加剤を含有してもよい。また、これらの添加剤は、主剤、硬化剤のいずれに含有されていてもよく、上記添加剤の配合量は樹脂固形分100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下である。
ペイントに配合される希釈剤は、水、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族類、ヘキサンなどの炭化水素類、酢酸エステルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。希釈剤の配合量は特に限定的ではないが5質量%以上、50質量%以下である。
以上のような組成を有するゴルフボール用ペイントは、主剤と硬化剤とを使用直前に混合して用いる。ここで混合割合は、主剤における水酸基に対する硬化剤におけるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.5以上、好ましくは0.9以上であり、2.0以下、好ましくは1.5以下である。
上記ペイントの塗装方法は特に限定せず、主剤と硬化剤とを混合した後、洗浄などの表面処理を施したゴルフボールにエアースプレーガン、静電塗装など、2液硬化型ペイントの塗装方法として従来より公知の方法を利用できる。尚、スプレーガンで塗装する場合には、主剤と硬化剤とを少量ずつ混合して使用してもよいし、2液定比率ポンプを用いてスプレーガン直前のペイント輸送経路でスタティックミキサーのようなラインミキサーを通して連続的に2液を定比率で混合してもよいし、混合比制御機構を備えたエアースプレーシステムを用いることもできる。
本発明のゴルフボールは、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量2.50mm以上、好ましくは2.55mm以上、より好ましくは2.60mm以上であり、3.10mm以下、好ましくは3.00mm以下、より好ましくは2.85mm以下であることが望ましい。2.50mm未満では打球感が硬くて悪いものとなり、3.10mmを越えると軟らかくなり過ぎて打球感が重くて悪いものとなる。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜43mm)、重量45.93g以下に形成される。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)耐候性
JIS−D0205に準じて、スガ試験機株式会社製サンシャインスーパーロングライフウェザオメーター(WEL−SUN−HC/B型)を用いて槽内温度63℃、湿度50%、60分中12分間降雨条件下で120時間照射して、耐候試験を行った。照射前後のゴルフボールの同一箇所の色調(L値、a値、b値)を色差計(ミノルタ製CR−221)を用いて測定し、得られたL値、a値、b値のそれぞれについての照射前後の差(ΔL、Δa、Δb)を求め、下記式によりΔEを算出した。ΔEは、変色度合を示すものでり、ΔEの値が大きいほど変色度合が大きいことを示している。また、変色度合が大きいことは、塗膜の樹脂成分の劣化度合が大きいことを示唆する。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
(2)打撃に対する密着性(耐衝撃性)
耐侯性試験評価後のゴルフボールを用いて、打撃に対する塗膜の密着性評価を行った。ツルーテンパー社製スイングロボットに、1Wを装着させ、ヘッドスピード45m/秒で100回繰返し打撃した後、塗膜の剥離状態を観察し、以下の評価基準により打撃に対する密着性を評価した。
評価基準
◎:塗膜の剥離なし。
○:塗膜の剥離面積が、塗膜全体の面積の3%以下である。
△:塗膜の剥離面積が、塗膜全体の面積の3%超25%以下である。
×:塗膜の剥離面積が、塗膜全体の面積の25%超である。
(3)反発性能
各ゴルフボールに、200gのアルミニウム製円筒物を速度45m/秒で衝突させ、衝突前後の該円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度及び重量から、各ゴルフボールの反発指数を算出した。測定は、各ゴルフボールについて5回行って、その平均を算出した。尚、反発指数は、ゴルフボールNo.1の平均を100として、指数化した数値であり、反発指数が大きいほど、反発性が高いことを示している。
[コアの作製]
表1に示した配合のコア用ゴム組成物を混合、混練りし、同表に示した条件にて金型内で加熱プレスすることにより球状のコアを作成した。
Figure 2005245537
BR−18:JSR社製、ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含量96%)
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ジクミルパーオキサイド:日本油脂社製
[カバー用組成物の調整]
表2に示した配合の材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で200〜260℃に加熱された。尚、表2に示したカバー組成物原料としては以下のものを使用した。
エラストランET880:BASFジャパン(株)製の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマー
エラストランXNY97A:BASFジャパン(株)製の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI:水添MDI)を使用した熱可塑性ポリウレタン系エラストマー
ペバックス5533SN00:エルフ・アトケム・ジャパン(株)製の熱可塑性ポリエーテルポリアミドエラストマー
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
表面処理酸化チタン−1:堺化学工業社製,「D−918」(SiO・HO/ZrO・HO/Al・HOで表面処理された酸化チタン)
表面処理酸化チタン−2:堺化学工業社製,「R−62N」(ZrO・Alで表面処理された酸化チタン)
表面処理酸化チタン−3:堺化学工業社製,「STR−60S」(Ce/Sn/Zr/Alで表面処理された酸化チタン)
表面未処理酸化チタン:石原産業社製,「タイペークA−220」
[カバーの作製]
上記のようにして得られた各カバー用組成物を、射出成形により半球殻状のハーフシェルに成形し、これを2枚用いて、上記のようにして得られたコアを包み、金型内で160℃で2分間加熱プレスしてカバーを形成した。上記のようにして得られたゴルフボール本体を金型から取り出し、バリ取りをした後、表面にクリアペイントを塗装して、直径42.8mm、重量45.4gを有するゴルフボールを得た。得られたゴルフボールについて、圧縮変形量、反発指数、飛距離、耐擦過傷性について評価した結果を表2に併せて示した。
[塗料組成物の調整]
クリア塗膜としては、以下の2液硬化型ウレタン系塗料を使用した。
主剤:ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールの混合物(水酸基価80mgKOH/g)
硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート
主剤と硬化剤の配合比:NCO/OH=1.2/1.0(モル比)
Figure 2005245537
ゴルフボールNo.1〜7は、表面処理酸化チタンを含むカバーを有する場合であり、いずれの場合も、耐侯性、密着性および反発性が良好であった。特に、ゴルフボールNo.1〜3の結果から、表面処理酸化チタンの含有量の増加に伴って、ΔEおよび塗膜密着性が向上することが分かる。なお、ΔEの値が小さいということは、カバーが経時的に変色したり、劣化し難く、耐侯性に優れていることを意味している。
ゴルフボールNo.8〜10は、表面未処理酸化チタンを配合した場合である。ゴルフボールNo.8は、同じカバーの基材樹脂を使用したNo.1のボールに比べて、ΔEの値が9.8と大きく、耐侯性が著しく低く、また塗膜との密着性にも劣っていた。ゴルフボールNo.9およびNo.10は塗膜との密着性が悪かった。ゴルフボールNo.11は、表面処理酸化チタンの含有量が少なすぎる例であり、ΔEが8.7と大きく、変色し易く、耐侯性に劣っていることが分かる。ゴルフボールNo.12は、表面処理酸化チタンを多量に含む例であり、優れた耐侯性向上効果を示しているが(ΔE=2.1)、多量に酸化チタンを含むために反発性が低下していた。
表面処理酸化チタン粒子の例を示す模式図である。
符号の説明
1 酸化チタン粒子
2 表面処理層
3 微粒子

Claims (3)

  1. コアと該コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールにおいて、
    前記カバーが、カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウム、錫、セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物および/または含水酸化物が粒子表面に存在する酸化チタンを0.5〜10質量部含むことを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記酸化チタンは、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび、これらの含水物よりなる群から選択される少なくとも1種以上が粒子表面に存在するものである請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記ゴルフボールは、単層構造の塗膜を有するものである請求項1または2に記載のゴルフボール。
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