JP2005239998A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が良好で、耐衝撃性等の機械的強度、成形品の外観の優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定の末端基の数が、特定のフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であり、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、かつ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部及びスチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなる樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】特定の末端基の数が、特定のフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であり、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、かつ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部及びスチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなる樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなる樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、特定のポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなり、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が良好であり、特に樹脂を加工する際の高温領域における熱劣化が改良され、更に加工された成形品が過酷な条件下で使用された際においても変色が小さく、良好な外観を維持し、物性低下も小さい樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテルは、熱的性質、機械的性質、電気的性質等諸特性に優れたエンジニアリングプラスチックである。しかしながら、ポリフェニレンエーテルは溶融粘度が高いために成形加工性に劣り、耐衝撃性も劣るという欠点を有している。ポリフェニレンエーテルの成形加工性や耐衝撃性の改良を目的として、スチレン系樹脂又はゴム変性スチレン系樹脂、さらには各種エラストマー類を配合する技術が特許文献1等多くの文献に開示されている。特許文献1に開示されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、全体的に良好な特性を持った成形品を成形しうるものとされているが、成形時の滞留熱安定性、成形品の外観、破断伸びや面衝撃強度等の機械的特性の点では不十分であった。
また、従来からポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の耐衝撃性の尺度として、アイゾット衝撃強度やシャルピー衝撃強度が多く用いられているが、実用的な耐衝撃性との相関性に劣る。このため、自動車、電気・電子・OA機器等の外装材用樹脂に対する耐衝撃性の評価には、実用的な耐衝撃性との相関性の高い面衝撃強度が用いられることが多い。このため、特許文献2には、面衝撃強度の改良されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物として、特定の分子構造を有するエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムにアルケニル芳香族単量体と必要に応じて不飽和単量体をグラフトしたグラフト共重合体を、ポリフェニレンエーテルと必要に応じてアルケニル芳香族系樹脂の混合物に配合した組成物が開示されている。しかし、本発明者らの試験では、特許文献2に開示されている組成物の場合、成形品の外観や成形時の溶融熱安定性の点で満足できるものではなかった。
特許文献3には、低温時における面衝撃強度に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物として、(A)ポリフェニレンエーテル又はこれと芳香族ビニル系樹脂に、(B)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックX少なくとも2個及び共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックY少なくとも1個を有し、かつ水素添加されているところのブロック共重合体、並びに、(C)ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムにスチレン系単量体がグラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体を含む樹脂組成物が開示されている。確かに特許文献3の樹脂組成物は、低温時における面衝撃強度には優れているが、成形品の外観や、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性の点で満足できるものではなかった。
さらに、特許文献4には、成形品の剥離が抑えられ、面衝撃性が良好な樹脂組成物として、(A1)芳香族ビニル系重合体及び/又は芳香族ビニル系重合体を共役ジエンゴムで変性した重合体と、(A2)芳香族ビニル・不飽和ニトリル共重合体を共役ジエンゴムで変性した共重合体及び/又は芳香族ビニル・不飽和ニトリル共重合体とからなる混合樹脂(A)に、(B1)ポリフェニレンエーテルと、(B2)メタクリル酸メチル系重合体と、(B3)芳香族ビニル系エラストマーとからなる混合樹脂(B)を添加してなる樹脂組成物が開示されているが、この場合も樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性の点で満足できるものではなかった。
米国特許第3,383,435号公報
特開平7−118518号公報
特開平7−224222号公報
特開2003−55515号公報
本発明の目的は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなり、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が良好で、成形品の外観も良好で、面衝撃強度等の優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、特定のポリフェニレンエーテルにスチレン系樹脂を配合することにより、上記課題が全て解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される末端基の数が、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であり、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、かつ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部及びスチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなる樹脂組成物を提供するものである。
本発明の樹脂組成物は、前記した特定のポリフェニレンエーテル(A)を用いること、すなわち、前記一般式(1)で示される末端基の数が、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であり、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、かつ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル(A)を用いることにより、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂(B)の相溶性が著しく改善され、成形品の外観向上、衝撃強度の改良が認められる。更に、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が良好であり、自動車、電気・電子・OA機器、その他各種機器の外板やハウジング、構造部品、機構部品として有用である。
以下、本発明を具体的に説明する。
ポリフェニレンエーテル(A)
本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニットを主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ポリフェニレンエーテル(A)
本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニットを主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられ、コポリマーとしては、各種2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体が挙げられるが、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル(A)が有する、前記一般式(1)で示される末端基としては、具体的には、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−プロピル−4−ヒドロキシフェニル基、2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物で用いられるポリフェニレンエーテル(A)の製法は、特に限定されるものではないが、例えば特公昭61−20576号公報に示されるように、2,6キシレノールを第一銅塩とアミンの化合物の存在下で酸化重合させることにより容易に製造でき、具体的な製法は後記の製造例に示す。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル(A)は、前記一般式(1)で示される末端基の数が、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であるポリフェニレンエーテルに限定される。前記一般式(1)で示される末端基の数が0.3個未満のポリフェニレンエーテルを用いると、スチレン系樹脂(B)との相溶性が低下するので、成形品の外観不良や層状剥離が発生することがあり、さらには破断伸びや面衝撃強度が低下する。また、高温雰囲気で使用する際の熱安定性も低下する。しかして、前記一般式(1)で示される末端基の数が、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であるポリフェニレンエーテルを得る方法は、上記特公昭61−20576号公報にも記載されているが、例えば、2,6−ジメチルキシレノールを、第一銅塩とアミンの化合物を触媒として、トルエン等の溶媒中で酸素存在下に酸化重合反応させ、得られたポリフェニレンエーテル溶液に、銅とキレート化合物を形成する化合物を添加する等の方法で、触媒を失活させた後、酸素の混
入を避けた雰囲気下で該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌する等により得ることができる。なお、攪拌中の溶液の温度は、50℃以上、好ましくは70℃程度に維持するのがよい。前記一般式(1)で示される末端基の数は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、好ましくは0.4〜2個である。末端基の数が、2個を超えると強度や熱安定性が低下しやすい。前記一般式(1)で示される末端基の数は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、より好ましくは0.5〜1.5個である。
入を避けた雰囲気下で該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌する等により得ることができる。なお、攪拌中の溶液の温度は、50℃以上、好ましくは70℃程度に維持するのがよい。前記一般式(1)で示される末端基の数は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、好ましくは0.4〜2個である。末端基の数が、2個を超えると強度や熱安定性が低下しやすい。前記一般式(1)で示される末端基の数は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、より好ましくは0.5〜1.5個である。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル(A)は、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度が0.3〜0.6dl/gであるポリフェニレンエーテルに限定される。極限粘度が0.3dl/g未満では樹脂組成物の面衝撃強度が不足し、0.6dl/gを超えると成形性が不足し、さらには成形品の外観不良が発生することがある。しかして、所定の極限粘度のポリフェニレンエーテル(A)は、触媒量を調整し、また反応時間を適宜調整することにより得ることができる。極限粘度は好ましくは0.35〜0.55dl/gである。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル(A)は、残存触媒に起因する銅含有率が、ポリフェニレンエーテルの重量基準で、0.2ppm以下であるものに限定される。ポリフェニレンエーテルの銅含有率が0.2ppmを超えると、樹脂組成物を製造及び成形する際の熱安定性や高温雰囲気で使用する際の熱安定性が低下し、成形品の外観不良や機械的強度の低下を引き起こすことがある。しかして、ポリフェニレンエーテル(A)の銅含有率を0.2ppm以下とするには、酸化重合反応の触媒に使用された銅塩を溶液から有効に除去することが重要である。必ずしも、以下に記載の方法に限定されるものではないが、酸化重合反応により得られたポリフェニレンエーテル溶液に、銅とキレート化合物を形成するエチレンジアミン4酢酸ナトリウム水溶液を添加し効率よく攪拌した後に、該水溶液をポリフェニレンエーテル溶液から効率よく分離することにより得ることができる。一般的には、この攪拌及び分離操作を繰り返すことは、ポリフェニレンエーテルの銅含有率を低減させる効果が大きい。この操作が不十分のまま、ポリフェニレンエーテル溶液にメタノール等の非溶媒を添加した後では、固体として分離されたポリフェニレンエーテルを、メタノール、水等で十分に洗浄しても、ポリフェニレンエーテルの銅含有率を低減させることは困難である。ポリフェニレンエーテルの銅含有率は、好ましくは0.15ppm以下である。
スチレン系樹脂(B)
本発明で使用されるスチレン系樹脂(B)は、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法又は塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
本発明で使用されるスチレン系樹脂(B)は、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法又は塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミド等の単量体が挙げられ、好ましくは、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、特定のポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部と、スチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなり、ポリフェニレンエーテル(A)が20重量部より少ないと、荷重撓み温度や機械的強度が低下する。また、ポリフェニレンエーテル(A)が90重量部を超えると樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形工程において実用に堪えないものとなる。
本発明の樹脂組成物は、特定のポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部と、スチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなり、ポリフェニレンエーテル(A)が20重量部より少ないと、荷重撓み温度や機械的強度が低下する。また、ポリフェニレンエーテル(A)が90重量部を超えると樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形工程において実用に堪えないものとなる。
安定剤(C)
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物(c−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)及び酸化亜鉛(c−3)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の安定剤(C)を配合することが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物(c−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)及び酸化亜鉛(c−3)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の安定剤(C)を配合することが好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物(c−1)としては、下記一般式(3)で示されるヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物(c−1)の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。
本発明に使用されるホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)は、好ましくは、それぞれ、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で示される化合物である。
具体的には、上記一般式(4)で示されるホスファイト系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等が挙げられ、上記一般式(5)で示されるホスフォナイト系化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
本発明に使用される酸化亜鉛(c−3)としては、本荘ケミカル、堺化学工業(株)、正同化学工業(株)から販売されているもの等がある。酸化亜鉛(c−3)は、平均粒径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。
ヒンダードフェノール(c−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)及び酸化亜鉛(c−3)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の安定剤(C)の配合率は、ポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部である。安定剤の配合率が0.01重量部未満では、熱安定性に対する効果が小さく、5重量部を超えても効果は大きくならず、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)の場合、モールドデボジットが発生するので好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性をさらに向上させる目的で、安定剤(C)が、ヒンダードフェノール系化合物(c−1)及びホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)からなる組み合わせ、又は、ヒンダードフェノール系化合物(c−1)及び酸化亜鉛(c−3)からなる組み合わせを選択し、各々、少なくとも0.005重量部配合することが好ましい。
ホスフェート系難燃剤(D)
本発明の樹脂組成物には、さらに難燃性を賦与する目的でホスフェート系難燃剤(D)を配合することができる。本発明で用いられるホスフェート系難燃剤(D)としては、リン酸エステル化合物が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、さらに難燃性を賦与する目的でホスフェート系難燃剤(D)を配合することができる。本発明で用いられるホスフェート系難燃剤(D)としては、リン酸エステル化合物が挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、分子中に5価のリンを含むリン化合物であり、2種以上の化合物を併用することもできる。具体例としては、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。さらに、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が挙げられる。これらの化合物は、公知の方法で、オキシ塩化燐等から製造することができる。
ホスフェート系難燃剤(D)の配合割合は、ポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)の合計100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。ホスフェート系難燃剤(D)の配合割合が1重量部未満では、難燃効果が小さく、30重量部を超えると荷重撓み温度が低下したり、金型汚染がひどくなるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、上記の成分(A)〜(D)以外に、必要に応じて他の成分を添加できる。(A)〜(D)以外の他の成分としては、例えば、耐侯性改良剤、発泡剤、滑剤、流動性改良剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、充填剤、補強剤、分散剤等が挙げられる。充填剤や補強剤としては、有機充填剤、無機充填剤、有機補強剤、無機補強剤等が例示され、具体例としては、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。充填剤及び補強剤の配合は、剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効である。充填剤及び補強剤の配合割合としては、成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部であり、より好ましくは5〜60重量部である。
また、顔料としては酸化チタンが挙げられる。酸化チタンの配合は、ポリフェニレンエーテルの変色を防止し、淡い色に着色する上で有効である。顔料の配合割合としては、成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部である。
本発明の樹脂組成物の製造は、特定の方法に限定されないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。製造方法の例としては、上記の成分(A)〜(D)と必要に応じて(A)〜(D)以外のその他の成分等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。各成分は混練機に一括でフィードしても、順次フィードしてもよく、(A)〜(D)以外のその他の成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。
混練温度と混練時間は、望まれる樹脂組成物や混練機の種類等の条件により、任意に選ぶことができるが、通常、混練温度は200〜350℃、好ましくは220〜320℃、混練時間は20分以下が好ましい。350℃又は20分を超えると、ポリフェニレンエーテル(A)やスチレン系樹脂(B)の熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観不良を生じることがある。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形、プレス成形等の各種成形法によって成形することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
また、実施例と比較例に用いたポリフェニレンエーテルの製造例及び評価法は次の通りである。
〔ポリフェニレンエーテルの評価法〕
(1)極限粘度: ポリフェニレンエーテル0.5gを溶液として100ml以上(濃度0.5g/dl以下)となる様にクロロホルムで溶解し、30℃においてウベローデ型の粘度計を用いて、異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と濃度との比を、濃度を0に外挿することにより極限粘度を算出する。
(2)前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数: 13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを、日本電子(株)製のJNM−A400で、CDCl3 を溶媒とし、テトラメチルシランを基準とし、測定モードは13C−NMR完全デカップリングモードとして、測定し、Macromolecules、1990,23,1318〜1329に記載の方法により、水酸基末端の種類及び数を求めた。
(3)銅含有率: 組成物を硝酸で分解した後に残渣中の銅を原子吸光分析により定量し、ポリフェニレンエーテル中の銅含有率を算出した。
〔ポリフェニレンエーテルの評価法〕
(1)極限粘度: ポリフェニレンエーテル0.5gを溶液として100ml以上(濃度0.5g/dl以下)となる様にクロロホルムで溶解し、30℃においてウベローデ型の粘度計を用いて、異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と濃度との比を、濃度を0に外挿することにより極限粘度を算出する。
(2)前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数: 13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを、日本電子(株)製のJNM−A400で、CDCl3 を溶媒とし、テトラメチルシランを基準とし、測定モードは13C−NMR完全デカップリングモードとして、測定し、Macromolecules、1990,23,1318〜1329に記載の方法により、水酸基末端の種類及び数を求めた。
(3)銅含有率: 組成物を硝酸で分解した後に残渣中の銅を原子吸光分析により定量し、ポリフェニレンエーテル中の銅含有率を算出した。
〔ポリフェニレンエーテル(A)の製造例〕
ポリフェニレンエーテル(A)の製造にあたって、先ず、反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付きオートクレーブ反応器に、1.4172gの酸化第一銅、8.5243gの47%臭化水素水溶液、16.5277gのN,N―ジ−n−ブチルアミン(DBA)、41.9196gのN,N―ジメチル−n−ブチルアミン(BD)、3.4139gのN,N´−ジ−t−ブチルエチレンジアミン(Dt)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)1.00g及び2770.3gのトルエンを入れ、初期仕込み液を作成した。次いで、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。
ポリフェニレンエーテル(A)の製造にあたって、先ず、反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付きオートクレーブ反応器に、1.4172gの酸化第一銅、8.5243gの47%臭化水素水溶液、16.5277gのN,N―ジ−n−ブチルアミン(DBA)、41.9196gのN,N―ジメチル−n−ブチルアミン(BD)、3.4139gのN,N´−ジ−t−ブチルエチレンジアミン(Dt)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)1.00g及び2770.3gのトルエンを入れ、初期仕込み液を作成した。次いで、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。
続いて、酸素を窒素で希釈して作った、絶対圧力が0.108MPaでその酸素濃度が70%のガスを、スパージャーより導入し、以後重合中も含めて反応器気相部に窒素を導入しながら、窒素と上記ガスとにより、反応器気相部の絶対圧力が0.108MPaに維持される様に、コントロールバルブを制御した。上記ガスの導入速度は3.45Nl/minでおこなった。上記ガスの導入を開始してから直ちに、1100gの2,6−ジメチルフェノールを1056.9gのトルエンに溶かした溶液を、プランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で、添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒体を通して調節した。ガス導入開始後約140分で、酸素含有ガスに替えて窒素を導入すると共に、反応器にエチレンジアミン4酢酸ナトリウム(EDTA4ナトリウム)5%の水溶液500gを反応液に添加し攪拌した。その後反応溶液の温度が70℃になる様に熱媒体でコントロールしながら、攪拌を2時間継続した。
攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水250gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。その後、得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A)(以下、PPE(A)と略記することがある)の評価結果を次に示す。
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.64個
銅含有率: 0.1ppm未満
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.64個
銅含有率: 0.1ppm未満
〔ポリフェニレンエーテル(B)の製造例〕
上記ポリフェニレンエーテル(A)の製造方法と同様に製造したが、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)0.3gを使用すること及びガス導入開始後約155分で酸素含有ガスに替えて窒素の導入を開始したことのみを変更して、粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
上記ポリフェニレンエーテル(A)の製造方法と同様に製造したが、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)0.3gを使用すること及びガス導入開始後約155分で酸素含有ガスに替えて窒素の導入を開始したことのみを変更して、粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(B)(以下、PPE(B)と略記することがある)の評価結果を次に示す。
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.60個
銅含有率: 0.5ppm
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.60個
銅含有率: 0.5ppm
〔ポリフェニレンエーテル(C)の製造例〕
空気吹き込み管の付いた重合反応器に、コンデンサーを2段直列に繋いだ。コンデンサーの温度が約0℃になる様に冷媒を流し温度調節をし、缶出液のトルエン相は連続的に重合器内に戻す様にした。臭化第二銅22g、ジブチルアミン400g、トルエン9800
gの触媒溶液中に空気をモノマー1kgあたり、10NL/分で供給しながら、2,6−ジメチルフェノール2350gをトルエンに5400gに溶かした溶液を60分かけて滴下し、40℃で重合をおこなった。モノマー滴下120分後EDTA4ナトリウムが触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え反応を停止した。
空気吹き込み管の付いた重合反応器に、コンデンサーを2段直列に繋いだ。コンデンサーの温度が約0℃になる様に冷媒を流し温度調節をし、缶出液のトルエン相は連続的に重合器内に戻す様にした。臭化第二銅22g、ジブチルアミン400g、トルエン9800
gの触媒溶液中に空気をモノマー1kgあたり、10NL/分で供給しながら、2,6−ジメチルフェノール2350gをトルエンに5400gに溶かした溶液を60分かけて滴下し、40℃で重合をおこなった。モノマー滴下120分後EDTA4ナトリウムが触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え反応を停止した。
攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水550gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。更に同様の操作を繰り返した。すなわち、2回目はEDTA4ナトリウムを使用触媒銅の0.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え静置分離した。その後上記同様に純水600gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静値した後に分離した水層を系外に排出した。得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(C)(以下、PPE(C)と略記することがある)の評価結果を次に示す。
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.23個
銅含有率: 0.1ppm
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.23個
銅含有率: 0.1ppm
〔ポリフェニレンエーテル(D)の製造例〕
上記ポリフェニレンエーテル(C)を得たと同様の方法で重合反応を実施した。但し、反応停止後EDTA4ナトリウム水溶液との攪拌分離及び、純水との攪拌分離作業は1回で終了した。得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
上記ポリフェニレンエーテル(C)を得たと同様の方法で重合反応を実施した。但し、反応停止後EDTA4ナトリウム水溶液との攪拌分離及び、純水との攪拌分離作業は1回で終了した。得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(D)(以下、PPE(D)と略記することがある)の評価結果を次に示す。
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.21個
銅含有率: 0.6ppm
極限粘度: 0.48dl/g
前記一般式(1)で示される末端基の種類及び数:
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基を
フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.21個
銅含有率: 0.6ppm
[その他の原材料]
(1)スチレン系樹脂(B): ハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記することがある)/分子量Mw:200,000、MFR3.2g/10分、エー・アンド・エム社製、HT478。
(2)ヒンダードフェノール系化合物(c−1): ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ社製)(以下、安定剤c−1と略記することがある)
(3)ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物系化合物(c−2): テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジ
イルビスホスフォナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製のIRGAFAS P−EPQ(以下、安定剤c−2と略記することがある)
(4)酸化亜鉛(c−3): 本荘ケミカル(株)製、「酸化亜鉛2種」(以下、安定剤c−3と略記することがある)
(5)ホスフェート系難燃剤(D): トリフェニルホスフェート、大八化学工業(株)製、(以下、TPPと略記することがある)。
(6)酸化チタン: チタン工業(株)製、クロノスサンカチタンKR380
実施例と比較例における樹脂組成物の評価法及びこれに用いた試験片の成形条件は次の通りである。
(1)スチレン系樹脂(B): ハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記することがある)/分子量Mw:200,000、MFR3.2g/10分、エー・アンド・エム社製、HT478。
(2)ヒンダードフェノール系化合物(c−1): ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ社製)(以下、安定剤c−1と略記することがある)
(3)ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物系化合物(c−2): テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジ
イルビスホスフォナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製のIRGAFAS P−EPQ(以下、安定剤c−2と略記することがある)
(4)酸化亜鉛(c−3): 本荘ケミカル(株)製、「酸化亜鉛2種」(以下、安定剤c−3と略記することがある)
(5)ホスフェート系難燃剤(D): トリフェニルホスフェート、大八化学工業(株)製、(以下、TPPと略記することがある)。
(6)酸化チタン: チタン工業(株)製、クロノスサンカチタンKR380
実施例と比較例における樹脂組成物の評価法及びこれに用いた試験片の成形条件は次の通りである。
〔樹脂組成物の評価法〕
試験片の成形条件
(1)初期試験片: 樹脂組成物のペレットを100℃で5時間乾燥後、住友重機械製SG125型射出成形機により金型温度90℃、シリンダー設定温度260〜290℃、射出圧力98MPa、成形サイクル40秒で、ASTM−D638規定タイプ1の3.2mm厚引張試験片、直径100mmで、厚さ3.2mmの面衝撃強度用衝撃試験片、127×12.7×1.6mm燃焼性試験片、50×50×3mmの色相評価用試験片をそれぞれ40ショット成形し、初めの20ショットを捨て、21〜30ショットを(初期)試験片とし、下記(4)〜(8)の評価に使用した。
(2)滞留試験片: 上記(1)の試験片成形後、シリンダー温度と金型温度をそのままにして、成形を15分間中断し、その後5ショット滞留試験片を成形し、下記(4)〜(7)の評価に使用した。
(3)熱処理試験片: 上記(1)の条件で成形した31〜40ショットの試験片を、100℃で250時間熱処理後、下記(4)、(5)の評価に、また、100℃で750時間熱処理後、下記(6)、(7)の評価に、それぞれ、使用した。
(4)色差: ハンター色差式に則り、日本電色社の分光式色彩計(SE2000)を用いてL値、b値を測定した。L値が高い程明度が高く、b値が高い程黄色味が強くなることを表す。
(5)表面光沢: 日本電色社の光沢計(VG2000)を用いて、入射角60度で測定した。
(6)破断伸び: ASTM−D638に準ずる。
(7)面衝撃強度: ASTM−D1709に類似の方法で23℃で測定した。半球の直径が19mmRの錘を、100cmの高さから厚み3.2mmの円板の成形品に落下させて、成形品の50%が破壊する時の錘の重量より破壊エネルギーを算出し、この値を後記の表に記載した。
(8)難燃性: UL94規格に準ずる。
試験片の成形条件
(1)初期試験片: 樹脂組成物のペレットを100℃で5時間乾燥後、住友重機械製SG125型射出成形機により金型温度90℃、シリンダー設定温度260〜290℃、射出圧力98MPa、成形サイクル40秒で、ASTM−D638規定タイプ1の3.2mm厚引張試験片、直径100mmで、厚さ3.2mmの面衝撃強度用衝撃試験片、127×12.7×1.6mm燃焼性試験片、50×50×3mmの色相評価用試験片をそれぞれ40ショット成形し、初めの20ショットを捨て、21〜30ショットを(初期)試験片とし、下記(4)〜(8)の評価に使用した。
(2)滞留試験片: 上記(1)の試験片成形後、シリンダー温度と金型温度をそのままにして、成形を15分間中断し、その後5ショット滞留試験片を成形し、下記(4)〜(7)の評価に使用した。
(3)熱処理試験片: 上記(1)の条件で成形した31〜40ショットの試験片を、100℃で250時間熱処理後、下記(4)、(5)の評価に、また、100℃で750時間熱処理後、下記(6)、(7)の評価に、それぞれ、使用した。
(4)色差: ハンター色差式に則り、日本電色社の分光式色彩計(SE2000)を用いてL値、b値を測定した。L値が高い程明度が高く、b値が高い程黄色味が強くなることを表す。
(5)表面光沢: 日本電色社の光沢計(VG2000)を用いて、入射角60度で測定した。
(6)破断伸び: ASTM−D638に準ずる。
(7)面衝撃強度: ASTM−D1709に類似の方法で23℃で測定した。半球の直径が19mmRの錘を、100cmの高さから厚み3.2mmの円板の成形品に落下させて、成形品の50%が破壊する時の錘の重量より破壊エネルギーを算出し、この値を後記の表に記載した。
(8)難燃性: UL94規格に準ずる。
〔実施例1〜5、比較例1〜12〕
二軸押出機(スクリュウ径30mm、L/D=42)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて、表に示す割合にて秤量した原材料をタンブラーミキサーにて均一に混合し、ホッパーに投入して溶融混合させてペレット化した。このペレットを前記樹脂組成物の評価法により評価し、その結果を表1〜4に示す。
二軸押出機(スクリュウ径30mm、L/D=42)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて、表に示す割合にて秤量した原材料をタンブラーミキサーにて均一に混合し、ホッパーに投入して溶融混合させてペレット化した。このペレットを前記樹脂組成物の評価法により評価し、その結果を表1〜4に示す。
実施例1、2及び5に示した本発明の樹脂組成物は、組成物製造及び成形工程における溶融混練時の滞留熱安定性や高温雰囲気で使用時の熱安定性が向上し、特に破断伸びや面衝撃強度、成形品の外観が優れていることが、表1、2及び4より明らかである。更に、実施例3及び4に示した安定剤の併用については、上記同様の効果が表3より、また、相乗効果は表2(実施例2)との対比により、明らかである。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で示される末端基の数が、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上であり、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、かつ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル(A)20〜95重量部及びスチレン系樹脂(B)80〜5重量部からなる樹脂組成物。
- ヒンダードフェノール系化合物(c−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)及び酸化亜鉛(c−3)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の安定剤(C)を、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部配合した請求項1に記載の樹脂組成物。
- 安定剤(C)がヒンダードフェノール系化合物(c−1)及びホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(c−2)からなり、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、各々、少なくとも0.005重量部配合した請求項2に記載の樹脂組成物。
- 安定剤(C)がヒンダードフェノール系化合物(c−1)及び酸化亜鉛(c−3)からなり、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、各々、少なくとも0.005重量部配合した請求項2に記載の樹脂組成物。
- ホスフェート系難燃剤(D)を、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、1〜30重量部配合した請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006031492A1 (en) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Metabolix, Inc. | Single solvent polymer extraction methods |
JP2006188628A (ja) * | 2005-01-07 | 2006-07-20 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 強化熱可塑性樹脂組成物 |
JP2009221387A (ja) * | 2008-03-18 | 2009-10-01 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 |
WO2011058861A1 (ja) * | 2009-11-13 | 2011-05-19 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物成形体の製造方法 |
-
2004
- 2004-04-23 JP JP2004128886A patent/JP2005239998A/ja active Pending
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