JP2006143790A - 強化熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

強化熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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哲也 星野
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Abstract

【課題】 スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂とガラス繊維及び/又は炭素繊維との密着性を改善し、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、疲労強度等の機械的強度、色調及び外観に優れた強化熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 フェニレンエーテルユニット100個に対し、下記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有し、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、且つ銅含有率が0.2ppm以下であるポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、ガラス繊維及び/又は炭素繊維(C)を5〜200重量部配合した強化熱可塑性樹脂組成物。
【化1】
Figure 2006143790

(式中、2つのR1、2つのR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、2つのR1 が共に水素原子になることはない。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、強化熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との組成物にガラス繊維及び/又は炭素繊維を配合した強化組成物において、樹脂と繊維状充填剤との密着性が改善された強化熱可塑性樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂は、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的強度、荷重撓み温度等の耐熱性、寸法安定性、難燃性等が優れた樹脂組成物であり幅広い分野で使用されているが、その機械的強度、耐熱性等をさらに向上させるために、ガラス繊維や炭素繊維を配合することが広く行われている。しかしながら、樹脂成分とガラス繊維や炭素繊維との密着性が弱いと衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、疲労強度等の機械的強度が低く、成形体表面に繊維が露出しやすく外観不良の原因にもなる。
このため、ポリフェニレンエーテル樹脂と繊維状充填剤との密着性を改良する方法について種々の試みがなされている。すなわち、特許文献1には、ポリフェニレンエーテル樹脂及びスチレン系樹脂からなる樹脂成分とガラス繊維の密着性を改良する目的で、アミノシラン系カップリング剤によって表面処理したガラス繊維を使用する方法が提案されているが、得られる組成物の機械的強度や外観の改良は必ずしも十分ではなかった。特許文献2には、ガラス繊維と樹脂との密着性の改良を目的に、特定の環化末端基を有するポリフェニレンエーテルと熱可塑性樹脂及びガラス繊維を配合した樹脂組成物が提案されているが、この場合も機械的強度の改良は不十分であった。また、特許文献3には、ポリフェニレンエーテル系樹脂又はこれとポリスチレン系樹脂とを組み合わせた樹脂、ガラス繊維の組成物に難燃剤配合した場合の剛性、強度等の低下を防止するため、難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用い、更にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを配合した樹脂組成物が提案されているが、機械的強度の改良は不十分であった。特許文献4には、ホウ素化合物を含む処理剤で処理したガラス繊維を用いて成形したガラス繊維強化ポリフェニレンエーテルの製造法が提案されているが、機械的強度の改良は不十分であり、また、成形品の外観については記載がなかった。
特許文献5には、ポリフェニレンエーテルを、共役非芳香族ジエン化合物、1個のジエノフィル基を有するジエノフィル化合物、又は、これらのジエン又はジエノフィル化合物の前駆体より選択される変性剤と反応させて得られる官能化されたポリフェニレンエーテル樹脂およびスチレン系樹脂を基本成分とする樹脂組成物100重量部に対し、難燃剤0〜50重量部および無機質充填材10〜200重量部を配合した樹脂組成物が提案されているが、引張り強度、曲げ強度、曲げ弾性率、疲労強度に関する記載がなく、本発明者等の試験では満足できる機械的強度は得られなかった。
特開昭63−312352号公報 特開平06−166813号公報 特開平08−012879号公報 特開平09−241397号公報 特開2001−302903号公報
本発明の課題は、スチレン系樹脂を含むポリフェニレンエーテル樹脂とガラス繊維及び/又は炭素繊維との密着性を改善し、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、疲労強度等の機械的強度、色調及び外観に優れた強化熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の末端基を特定の比率で有し、銅含有量が少ないポリフェニレンエーテル樹脂を用いると、ガラス繊維及び炭素繊維との密着性を著しく向上させることができ、その結果、上記課題を全て解決し得る強化熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂混合物100重量部に対し、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維状充填材(C)を5〜200重量部配合してなる組成物であって、該ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、下記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有し、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、且つ銅含有率が0.2ppm以下であることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物に存する。
Figure 2006143790
(但し、式中、2つのR1 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのR2 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、2つのR1 が共に水素原子になることはない。)、
Figure 2006143790
(式中、2つのR3 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、2つのR3 が共に水素原子になることはない。)。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、樹脂成分とガラス繊維及び/または炭素繊維の密着性が改善され、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、疲労強度、色調、外観に優れた成形体を得ることが出来る。本発明の樹脂組成物は、自動車、電気・電子機器、OA機器、その他各種機器のハウジング、構造部品、機構部品の材料として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂(A)は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニットを主鎖に持つ重合体であって、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられ、コポリマーとしては、各種2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体が挙げられる。本発明に使用されるポリフェニレンエーテル(A)としては、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル(A)が有する、前記一般式(1)で示される末端基は、具体的には、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル基、3−メチル−5−プロピル−4−ヒドロキシフェニル基、2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の製法は、特に限定されるものではないが、第一銅塩とアミンの化合物からなる触媒の存在下、2,6−キシレノール等のモノマーを酸化重合させることにより容易に製造できる。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル樹脂は、前記一般式(1)で示される末端基を前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、0.3個以上有することが必要である。前記一般式(1)で示される末端基が0.3個未満のポリフェニレンエーテル樹脂を用いると、ガラス繊維及び/または炭素繊維との密着性が低下するので、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、疲労強度等の機械的強度も低下し、さらには色調及び外観も悪化する。
前記一般式(1)で示される末端基の数が0.3個以上である本発明のポリフェニレンエーテルを得る方法は、特に限定されるものではないが、例えば特公昭61−20576号公報に記載されている様に、モノマー(例えば、2,6−ジメチルキシレノール)を、第一銅塩とアミンの化合物を触媒として、トルエン等の溶媒中で、酸素存在下に酸化重合反応させ、得られたポリフェニレンエーテル溶液に、銅とキレート化合物を形成する化合物を添加する等の方法で、触媒を失活させた後、酸素の混入を避けた雰囲気下で、更に該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌することにより得ることができる。なお、攪拌中の溶液の温度は、50℃以上、好ましくは70℃程度に維持するのがよい。前記一般式(1)で示される末端基の数は、前記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、好ましくは0.4〜2個、より好ましくは0.5〜1.5個である。末端基の数が、2個を超えるとポリフェニレンエーテル樹脂の強度や熱安定性が低下しやすくなる。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル樹脂(A)は、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度が0.3〜0.6dl/gのものである。極限粘度が0.3dl/g未満では樹脂組成物の機械的強度が不足し、0.6dl/gを越えると流動性が不足し、さらには成形品表面にガラス繊維や炭素繊維が露出し、外観不良が発生する。かかる極限粘度のポリフェニレンエーテルは、酸化重合の反応条件、例えば反応温度、反応時間、触媒量などを調整することにより製造できる。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル(A)は、銅含有率が、ポリフェニレンエーテルの重量基準で0.2ppm以下のものである。銅含有率は残存触媒に起因する。
ポリフェニレンエーテルの銅含有率が0.2ppmを超えると、本発明の樹脂組成物を製造及び成形する際の熱安定性や、成形品を高温雰囲気で使用する際の熱安定性が低下し、成形品の外観不良や機械的強度の低下を引き起こすことがある。しかして、ポリフェニレンエーテル(A)の銅含有率を0.2ppm以下とするには、酸化重合反応の触媒に使用された銅塩を溶液から有効に除去することが重要である。除去方法は特に限定されるものではないが、例えば、酸化重合反応により得られたポリフェニレンエーテル溶液に、例えばエチレンジアミン4酢酸ナトリウムのような銅とキレート化合物を形成する化合物の水溶液を添加し、充分攪拌した後に、水層を分離することにより、効率よく銅を分離することができる。一般的には、更に、この操作を繰り返すことにより、ポリフェニレンエーテルの銅含有率を効果的に低減させることができる。或いは、反応溶液からポリフェニレンエーテルを分離する際、ポリマー含有相と銅塩含有相の分離が良好となるような物質を添加する方法やこれらを組み合わせた方法が採用される。
酸化反応終了後、銅イオンの低減操作が不十分のまま、ポリフェニレンエーテル溶液にメタノールなどの非溶媒を添加した後では、固体として分離されたポリフェニレンエーテルをメタノール、水等で十分に洗浄してもポリフェニレンエーテルの銅含有率を低減させること困難である。
ポリフェニレンエーテルの銅含有率は、好ましくは0.15ppm以下である。
本発明で使用されるスチレン系樹脂(B)は、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体及びスチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の樹脂成分は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%と、スチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる。ポリフェニレンエーテル樹脂が20重量%より少ないと、荷重撓み温度や機械的強度が低下する。また、ポリフェニレンエーテル樹脂が90重量%を越えると本発明樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形工程において実用に堪えないものとなる。
本発明組成物には、繊維状充填材(C)としてガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種が配合される。本発明で使用されるガラス繊維は、平均直径が20μm以下のものが好ましく、さらに1〜15μmのものが物性バランス(耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、並びに成形反りをより一層低減させる点で好ましい。かかるガラス繊維の製造法は、例えば次のような方法による。先ず、溶解したガラスをマーブルと称する所定の大きさのガラス玉に成形し、それをプッシングと称する採糸炉にて加熱軟化せしめ、該炉テーブルの多数のノズルから流下させ、この素地を高速度で延伸しながら、その途中に設けた集束剤塗布装置にて浸漬で集束剤を付着させて集束し、乾燥して回転ドラムで巻き取る。この時のノズル径寸法と引き取り速度および引き取り雰囲気温度などを調節してガラス繊維の平均直径を所定の寸法にする。
ガラス繊維の長さは特定されるものではないが、ロービング供給、1〜8mm程度のチョップドストランド等も好ましい。この場合の集束本数は通常100〜5000本が好ましい。また、混練後の長さが平均0.1mm以上になるのであれば、いわゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉砕品でもよく、また、連続単繊維系のスライバー状のものでもよい。原料ガラスの組成は、無アルカリのもの好ましく、例の一つにEガラスがある。ガラス繊維の平均直径が20μmを越えると、機械的強度の向上度が小さくなり、成形反り量が大きくなる傾向がある。
本発明で使用される炭素繊維としては、特に限定されるものではない。炭素繊維としては、一般にアクリル繊維、石油又は炭素系特殊ピッチ、セルロース繊維、リグニン等を原料として焼成によって製造されたものであり、耐炎質、炭素質または、黒鉛質等の種々のタイプのものがあるが、本発明に使用される炭素繊維としては特に基材を問わない。炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)の平均は、好ましくは、10以上である。アスペクト比の平均が10未満であると導電性と強度、剛性が低下する。炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)の平均は、より好ましくは50以上である。一般に炭素繊維の径は3〜15μmにあるため、このようなアスペクト比に調整するためには、チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバー等のいずれの形状のものも使用でき、1種または2種以上混合して用いることもできる。
ここで、繊維長及び繊維径は電子顕微鏡などにより観察したものであり、「平均」とは数平均を示す。
ガラス繊維または炭素繊維の集束剤は、通常、フィルム形成剤、界面活性剤、柔軟剤、帯電防止剤、潤滑剤等より構成されるが、表面処理剤のみでもよい。ガラス繊維や炭素繊維を用いる際には、樹脂との親和性あるいは界面結合力を高める目的で、種々のカップリング剤を使用することもできる。カップリング剤としては通常はシラン系、クローム系、チタン系等のカップリング剤等を含む。中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリクロロシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン等のシラン系カップリング剤を含むものが好ましい。この際、非イオン・陽イオン・陰イオン系等各種の界面活性剤や脂肪酸・金属石鹸・各種樹脂などの分散剤による処理を合わせて行うことが、機械的強度及び混練性の向上の点で好ましい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物における繊維状充填材の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂20〜90重量%とスチレン系樹脂80〜10重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、5〜200重量部である。繊維状充填材の配合量が5重量部未満では、機械的強度の改良効果が小さく、200重量部を越えると流動性及び成形品外観が悪化するので好ましくない。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、上記(A),(B),(C)を必須成分とするが、更に、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物(D−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(D−2)、酸化亜鉛(D−3)から選ばれた1種以上の安定剤(D)を配合することが好ましい。
(D−1)ヒンダードフェノール系化合物としては、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006143790
(式中、2g個のR は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、g個のQは、それぞれ独立して、エステル基、エーテル基、アミド基から選ばれた官能基及び/又はリン原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは、酸素原子及び/又は窒素原子を含有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基、イオウ原子又は単結合を表し、gは、1〜4の整数を表す。)。
本発明で使用されるヒンダードフェノール系化合物(D−1)の具体例として、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。
本発明に使用されるホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(D−2)は、好ましくは、それぞれ、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で示される化合物である。
Figure 2006143790
(但し、式中、3つのRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表すが、少なくとも1つのRは、置換基を有していても良い炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)。
Figure 2006143790
(但し、式中、3つのRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表すが、少なくとも1つのRは、置換基を有していても良い炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)。
具体的には、上記一般式(4)で示されるホスファイト系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等が挙げられ、上記一般式(5)で示されるホスフォナイト系化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
本発明に使用される酸化亜鉛(D-3)としては、平均粒径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。このような酸化亜鉛としては、例えば、本荘ケミカル、堺化学工業(株)、正同化学工業(株)から販売されているもの等がある。
本発明組成物中の安定剤(D)の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)からなる樹脂成分100重量部に対し、0.01〜5重量部である。安定剤(D)の配合量が0.01重量部未満では安定剤の効果が小さく、5重量部を越えると成形時にモールドデポジットが発生するので好ましくない。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、上記(A)〜(D)成分の他に、必要に応じて、さらに難燃性を賦与する目的で難燃剤を配合することができる。本発明で用いられる難燃剤としては、分子中に少なくとも1個の5価のリンを含む化合物であり、具体的にはホスフェート系化合物(リン酸エステル、その縮合体等)が挙げられ、2種以上のホスフェート系化合物を併用することもできる。具体例としては、例えば、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。さらに、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2エチルクレジル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が挙げられる。これらの化合物は、公知の方法で、オキシ塩化燐等から製造することができ、また市販されてもいる。
本発明組成物中のホスフェート系難燃剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂及びスチレン系樹脂の合計100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。ホスフェート系難燃剤の配合量が1重量部未満では、難燃効果が小さく、30重量部を越えると荷重撓み温度や機械的強度が低下するので好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、上記のポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂、安定剤、難燃剤以外に、必要に応じて種々の樹脂添加剤成分を添加できる。かかる樹脂添加剤成分としては、例えば、耐侯性改良剤、発泡剤、滑剤、流動性改良剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、無機充填剤などが挙げられる。無機充填剤の具体例としては、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。無機充填剤の配合は、剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効で、配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部であり、より好ましくは5〜60重量部である。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の製造は、特定の方法に限定されないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。製造方法の例としては、上記のポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂、ガラス繊維及び/または炭素繊維、必要に応じて、安定剤、難燃剤、樹脂添加剤成分等をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。各成分は混練機に一括でフィードしてもよく、混練機の上流部に樹脂成分と安定剤をフィードし、中流部から難燃剤やガラス繊維及び/または炭素繊維をフィードし、溶融混合した後、ダイスから押出し、冷却後ペレット化して強化熱可塑性樹脂組成物を得てもよい。
混練温度と混練時間は、樹脂組成物の構成や混練機の種類等の条件により、任意に選ぶことができるが、通常、混練温度は200〜350℃、好ましくは220〜320℃から選ばれ、混練時間は20分以下が好ましい。混練が350℃又は20分を超えると、ポリフェニレンエーテル樹脂やスチレン系樹脂の熱劣化が惹起する可能性があり、成形品の物性の低下や外観不良を生じることがある。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形、プレス成形等の各種成形法によって成形することができる。本発明の強化熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は、自動車、電気・電子機器、OA機器、その他各種機器のハウジング、構造部品、機構部品として好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
なお、以下の例における樹脂の物性値の測定法及び樹脂組成物の評価法は次の通りである。
<ポリフェニレンエーテルの物性>
(1)極限粘度:ポリフェニレンエーテルをクロロホルムに溶解し、濃度0.5g/dl以下の異なる濃度の溶液を調製し、30℃においてウベローデ型の粘度計を用いて、異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と濃度との比を計算し、濃度を0に外挿した時の比を算出し、極限粘度とした。
(2)末端基の種類及び数:日本電子(株)製のJNM−A400を用い、CDCl3を溶媒、テトラメチルシランを基準として、測定モードは13C−NMR完全デカップリングモードとして、ポリフェニレンエーテル樹脂の13C−核磁気共鳴吸収スペクトルを測定する。得られたスペクトラムから、Macromolecules、1990,23,1318〜1329に記載の方法により、式(2)のフェニレンエーテルユニット100個に対する式(1)の末端基の数を求めた。
(3)銅含有率:ポリフェニレンエーテルを硝酸で分解した後に残渣中の銅を原子吸光分析により定量し、ポリフェニレンエーテル中の銅含有率を算出した。
<強化熱可塑性樹脂組成物の評価法>
試験片の成形条件:実施例または比較例で得られる強化熱可塑性樹脂組成物のペレットを110℃で5時間乾燥後、住友重機械製SG125型射出成形機により金型温度90℃、シリンダー設定温度300℃、射出圧力98MPa、成形サイクル40秒で以下の(イ)〜(チ)の試験に供する試験片を成形した。
(イ)引張り強さ:ISO527に準ずる。
(ロ)曲げ強さ及び曲げ弾性率:ISO178に準ずる。
(ハ)シャルピー衝撃強さ(ノッチなし):ISO527に準ずる。
(ニ)荷重撓み温度:負荷1.80MPaで、ISO75に準ずる。
(ホ)疲労強度:ASTM-D671に準ずる。但し、試験温度23℃、振動速度1,800rpm、振動数10での破壊強度を求めた。
(ヘ)燃焼性:試験片厚さ0.8mmで、UL94に準ずる。
(ト)滞留による色調変化と曲げ試験:上記成形条件で成形した曲げ試験片(A)と、上記で成形を20分中断後、同条件で成形した曲げ試験片(B)を2ショット=4本成形した。次に、試験片(A)と(B)の色調の変化(滞留色調変化)を目視観察し、変化のないものを◎、わずかに変化しているものを○、少し変化しているもの△、変化しているものを×と評価した。また、曲げ試験片(B)を用いて、上記(ロ)に準じ、滞留後の曲げ強さと曲げ弾性率を試験した。
(チ)樹脂と繊維の密着性:上記(イ)で試験した引張り破壊面を、表面走査型電子顕微鏡(SEM)(メーカ:株式会社日立製作所、型式:S-4100)により観察した。密着性の優れたものを◎、密着性の良いものを○、密着性の少し劣るものを△、密着性の劣るものを×と評価した。
〔ポリフェニレンエーテル樹脂―I(PPE−I)の製造例〕
反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付きオートクレーブ反応器に、1.4172gの酸化第一銅、8.5243gの47%臭化水素水溶液、16.5277gのN,N−ジ−n−ブチルアミン、41.9196gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、3.4139gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド1.00g及び2770.3gのトルエンを入れ、初期仕込み液を作成した。次いで、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。
続いて、酸素を窒素で希釈して作った、絶対圧力が0.108MPaでその酸素濃度が70%のガスを、スパージャーより導入し、以後重合中も含めて反応器気相部に窒素を導入しながら、窒素と上記ガスとにより、反応器気相部の絶対圧力が0.108MPaに維持される様に、コントロールバルブを制御した。上記ガスの導入速度は3.45NL/minとした。上記ガスの導入を開始してから直ちに、1100gの2,6−ジメチルフェノールを1056.9gのトルエンに溶かした溶液を、プランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で、添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒体を通して調節した。ガス導入開始後約140分で、酸素含有ガスに替えて窒素を導入すると共に、反応器にエチレンジアミン4酢酸ナトリウム(EDTA4ナトリウム)5%の水溶液500gを添加し攪拌した。
その後反応溶液の温度が70℃になる様に熱媒体でコントロールしながら、攪拌を2時間継続した。攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水250gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。水層を分離した反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。沈殿をろ取し、更に適量のメタノールで洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル樹脂−I(以下、PPE−Iと略記することがある。)の評価結果は次の通りであった。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:式フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.64個
銅含有率:0.1ppm
〔ポリフェニレンエーテル樹脂―II(PPE−II)の製造例〕
上記ポリフェニレンエーテル−Iの製造方法において、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドの使用量を0.3gとすること、及びガス導入開始後約155分で酸素含有ガスに代えて窒素の導入を開始した以外は同様にして、粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル樹脂−II(以下、PPE−IIと略記することがある。)の評価結果は次の通りであった。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.60個
銅含有率:0.5ppm
〔ポリフェニレンエーテル樹脂―III(PPE−III)の製造例〕
空気吹き込み管の付いた重合反応器に、コンデンサーを2段直列に繋いだ。コンデンサーの温度が約0℃になる様に冷媒を流して温度を調節し、缶出液のトルエン相は連続的に重合器内に戻す様にした。臭化第二銅22g、ジブチルアミン400g、トルエン9800gの触媒溶液中に空気をモノマー1kgあたり、10NL/分で供給しながら、2,6−ジメチルフェノール(モノマー)2350gをトルエン5400gに溶かした溶液を60分かけて滴下し、40℃で重合をおこなった。モノマー滴下120分後、EDTA4ナトリウムを触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え反応を停止した。
反応を停止した後、静置分離して水層を系外に排出し、更に純水550gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。更に同様の操作を繰り返した。すなわち、2回目はEDTA4ナトリウムを使用触媒銅の0.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2重量倍)を攪拌しながら反応液に加え静置分離した。その後上記と同様に水層を系外に排出し、純水600gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。沈殿をろ取し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを洗浄した後に140℃程度で1時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテルを得た。
得られたポリフェニレンエーテル−III(以下、PPE−IIIと略記することがある)の評価結果は次の通りであった。
極限粘度:0.48dl/g
末端基の数:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.23個
銅含有率:0.1ppm
ポリフェニレンエーテル樹脂以外の原材料は、以下のものを使用した。
(1)スチレン系樹脂:ハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記することがある)、分子量Mw=200,000、MFR=3.2g/10分、エー・アンド・エム社製「HT478」。
(2)ヒンダードフェノール系化合物(D−1):ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガノックス1010」(以下、安定剤D-1と略記することがある)。
(3)ホスフォナイト系化合物(D−2): テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGAFAS P−EPQ」(以下、安定剤D-2と略記することがある)。
(4)酸化亜鉛(D−3):本荘ケミカル(株)製、「酸化亜鉛2種」(以下、安定剤D-3と略記することがある)。
(5)ホスフェート系難燃剤: トリフェニルホスフェート、大八化学工業(株)製、(以下、TPPと略記することがある)。
〔実施例1〜11、比較例1〜22〕
表1〜表6に示す割合にて秤量した原材料をタンブラーミキサーにて均一に混合し、二軸押出機(スクリュウ径30mm、L/D=42)のホッパーに投入して、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmの条件で、溶融混合させてペレット化した。このペレットを用い、前記試験片を成形し、評価した。その結果を表1〜表6に示した。
Figure 2006143790
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実施例1と比較例1または比較例6の対比から明らかな様に、末端基数及び銅含有量を制御されたポリフェニレンエーテルを配合した実施例1の強化熱可塑性樹脂組成物は、これらの何れかが本発明の規定外のポリフェニレンエーテルを配合した比較例1及び6の強化熱可塑性組成物に比し、樹脂とガラス繊維との密着性が改善され、衝撃強さ、引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、疲労強度、色調、外観の何れにおいても優れている。更に安定剤、難燃剤或いはガラス繊維の代わりに炭素繊維を配合した本発明実施例組成物においても、夫々対応する組成の比較例組成物に比しこれらの性能が優れていることが明らかである。

Claims (2)

  1. ポリフェニレンエーテル樹脂(A)20〜90重量%とスチレン系樹脂(B)80〜10重量%からなる樹脂混合物100重量部に対し、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維状充填材(C)を5〜200重量部配合してなる組成物であって、該ポリフェニレンエーテル樹脂(A)が、下記一般式(2)で示されるフェニレンエーテルユニット100個に対し、下記一般式(1)で示される末端基を0.3個以上有し、極限粘度が0.3〜0.6dl/gであり、且つ銅含有率が0.2ppm以下であることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2006143790
    (式中、2つのR1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、2つのR1が共に水素原子になることはない。)、
    Figure 2006143790
    (式中、2つのR3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、2つのRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。ただし、2つのR3が共に水素原子になることはない。)。
  2. ポリフェニレンエーテル樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)からなる樹脂混合物100重量部に対し、更に、ヒンダードフェノール系化合物(D−1)、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物(D−2)、酸化亜鉛(D−3)から選ばれる少なくとも1種の安定剤(D)を0.01〜5重量部配合してなる請求項1に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
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JP2019070161A (ja) * 2019-01-22 2019-05-09 旭化成株式会社 ファン成形品

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