JP2024010606A - 強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び自動車周辺部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量性と機械的強度との高度な性能バランスが要求される用途、特に自動車の周辺部材に有効に使用可能な、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】上記目的を達成するべく、本発明は、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)及びカーボンブラック(D)を含み、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が20~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~15質量部、前記(D)成分の含有量が0.1~1質量部であり、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び自動車周辺部品に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は通常、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂とを必要とされる耐熱性や成形流動性のレベルに応じて任意の割合で併用配合されたものであり、更に必要に応じてエラストマー成分や、難燃剤、無機フィラー、熱安定剤等の添加剤成分を配合して樹脂組成物としたものである。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、機械的物性、成形加工性、耐酸アルカリ性、寸法安定性、電気特性等に優れるため、家電OA、事務機、情報機器、自動車分野等に広く用いられている。中でも自動車用途においては、軽量化による燃費改善のため、より低比重で高い機械的強度を有する材料が要求されており、炭素繊維を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物による開発が期待されている。
ただし、従来のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物では、構成成分として炭素繊維を配合する場合に、少量の配合では十分な機械的強度の改善はなされず、多量に配合した場合には成形外観不良や成形加工性低下、比重の増加等が認められるため、如何に炭素繊維の配合量を少なくした上で、軽量性と機械的強度とのバランスに優れた材料を開発するがが課題であった。
なお、炭素繊維を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂であって、さらにカーボンブラックを配合した樹脂組成物に関する文献が開示されている(例えば特許文献1及び2を参照)。
しかしながら、これらの文献に開示されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、機械的強度の改善を目的とするものではなく、主に導電性能の改善を目的としており、目的を達成するためには必然的にカーボンブラックの配合量が多くなっており、必ずしも、炭素繊維の配合量を少なくした上で、軽量性と機械的強度とのバランスを実現できるものではなかった。
韓国特許公開第10-2017-0013515号公報 特開2015-178610号公報
本発明は、軽量性と機械的強度との高度な性能バランスが要求される用途、特に自動車の周辺部材に有効に使用可能な、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリフェニレンエーテル系樹脂について、特定の炭素繊維とカーボンブラックとを、特定量比で配合させることによって、良好な軽量(低比重)性と機械的強度の性能バランスを有する樹脂組成物を見出し、自動車周辺部材の用途にも有効に使用することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
〔1〕ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)及びカーボンブラック(D)を含み、
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が20~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~15質量部、前記(D)成分の含有量が0.1~1質量部であり、
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを特徴とする、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔2〕前記樹脂組成物中の結晶性樹脂の含有量が、5質量%以下であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔3〕前記(C)成分及び前記(D)成分以外の無機充填剤の含有量が、3質量%以下であることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔4〕前記樹脂組成物中の芳香族リン酸エステル系難燃剤の含有割合が、5質量%以下であることを特徴とする、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔5〕前記(D)成分は、予め前記(B)成分と前記(D)成分とを(D)/(B)=20/80~60/40の質量比率で溶融混練した状態で供給されることを特徴とする、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔6〕曲げ強度が、下記の関係(1)を満たすことを特徴とする、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
FS>3.5X+115 ・・・(1)
FS:ISO3167の多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの成形片を用いて、ISO178に準拠し、23℃で測定した曲げ強度(単位:MPa)
〔7〕比重が1.100~1.115であり、曲げ強度が160MPa以上であることを特徴とする、前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔8〕前記(C)成分が、エポキシ系収束剤で収束された炭素繊維であることを特徴とする、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔9〕前記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなることを特徴とする、自動車周辺部品。
本発明によれば、軽量性と機械的強度とのに優れる強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の提供が可能となる。
また、本発明の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、自動車周辺部品に用いられる成形体として有効に使用することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物>
本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(以下、単に「ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物」、「樹脂組成物」ともいう。)は、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)及びカーボンブラック(D)を含み、
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が20~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~15質量部、前記(D)成分の含有量が0.1~1質量部であり、
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占める。
(ポリフェニレンエーテル(A))
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)(以下、単に「(A)成分」、「ポリフェニレンエーテル」ともいう。)は、下記化学式(2)及び/又は化学式(3)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する、単独重合体(ホモポリマー)、もしくは、共重合体(コポリマー)である。
Figure 2024010606000001
Figure 2024010606000002
上記化学式(2)及び、(3)中、R、R4、、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~9のアリール基又は、ハロゲン原子を表す。但しR及びRは同時に水素ではない。
また、前記アルキル基の好ましい炭素数は1~3であり、前記アリール基の好ましい炭素数は6~8であり、前記一価の残基の中でも水素が好ましい。
なお、上記化学式(2)、(3)における繰り返し単位数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジ-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-n-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-イソプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ヒドロキシエチル-1,4-フェニレン)エーテル及び、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。
前記ポリフェニレンエーテル共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体、2,6-ジメチルフェノールとo-クレゾールとの共重合体、及び2,3,6-トリメチルフェノールとo-クレゾールとの共重合体といった、ポリフェニレンエーテル構造を主体とするものが挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの中でも、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルが好ましい。
なお、本実施形態では、ポリフェニレンエーテル鎖中には、化学式(2)においてR、Rがそれぞれメチル基である構造(及び、後述のように、当該構造から導かれる構造)が少なくとも一部含まれている。
前記ポリフェニレンエーテル(A)は、樹脂組成物の耐熱性が低下しすぎない程度であれば、上記一般式(2)、(3)以外の他の種々のフェニレンエーテル単位を部分構造として含むポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。
かかるフェニレンエーテル単位としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特開平01-297428号公報及び特開昭63-301222号公報に記載されている、2-(ジアルキルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位や、2-(N-アルキル-N-フェニルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位等が挙げられる。
また、前記ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が結合していてもよい。
さらに、前記ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの一部または全部をカルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の官能基を含む官能化剤と反応(変性)させることによって、官能化ポリフェニレンエーテルに置き換えた構成を有することが可能である。
特に、後述する炭素繊維(C)との密着性向上や、耐熱性、機械物性等の改良の観点から、無水マレイン酸等の酸無水物やリンゴ酸、クエン酸、フマル酸等のカルボン酸類と反応して官能化した官能化ポリフェニレンエーテルを一部又は全部を置き換えて使用することが可能である。
前記ポリフェニレンエーテル(A)の、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、好ましくは2.0~5.5であり、より好ましくは2.5~4.5、さらに好ましくは3.0~4.5である。
当該Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から2.0以上が好ましく、樹脂組成物の機械的物性の観点から5.5以下が好ましい。
ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られる。
また、前記ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、0.25~0.65dl/gの範囲が好ましい。より好ましくは0.30~0.55dl/gで、更により好ましくは0.33~0.42dl/gの範囲である。
加えて、前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度は、十分な機械的物性の観点から0.25dl/g以上であることが好ましく、成形加工性の観点から0.65dl/g以下であることが好ましい。
なお、前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、クロロホルム溶媒、30℃、0.5g/dl溶液で測定できる。
前記ポリフェニレンエーテル(A)は、一般に粉体として入手でき、その好ましい粒子サイズは平均粒子径1~1000μmであり、より好ましくは10~700μm、特に好ましくは100~500μmである。加工時の取り扱い性の観点から1μm以上が好ましく、溶融混練時に未溶融物の発生を抑制するためには1000μm以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、前記ポリフェニレンエーテル(A)、前記スチレン系樹脂(B)、前記炭素繊維(C)及び前記カーボンブラック(D)の合計量100質量部に対する、前記ポリフェニレンエーテル(A)の含有量が、30~70質量部の範囲内である。前記ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性付与の観点から、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、30質量部以上とし、成形加工性と成形外観保持の観点から、70質量%以下とする。
同様の観点から、前記ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、好ましくは35~70質量%、より好ましくは40~65質量%の範囲内である。
(スチレン系樹脂(B))
本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物における、スチレン系樹脂(B)(以下、単に「(B)成分」、「スチレン系樹脂」ともいう。)は、スチレン系化合物又はスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在下又は非存在下にランダム共重合して得られる重合体である。
前記スチレン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。特に原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
前記スチレン系化合物とランダム共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物;等が挙げられる。
スチレン系樹脂(B)としては、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)及びゼネラルパーパスポリスチレン(GPPS)を用いることが、成形品の機械的物性や成形流動性の改良等の観点から好ましい。
これらの中でも、機械的強度の改良の観点から、スチレン系樹脂(B)の内の、一部又は全部に、GPPSを用いることが好ましい。本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に配合するスチレン系樹脂(B)(100質量%)中のGPPSの配合割合は、10~100質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、50~70質量%が更により好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、前記ポリフェニレンエーテル(A)、前記スチレン系樹脂(B)、前記炭素繊維(C)及び前記カーボンブラック(D)の合計量100質量部に対する、前記スチレン系樹脂(B)の含有量が、20~60質量部の範囲内である。前記スチレン系樹脂(B)の含有量は、十分な成形流動性付与の観点から、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、20質量部以上とし、十分な耐熱性と機械的強度保持の観点から、60質量%以下とする。
同様の観点から、前記スチレン系樹脂(B)の含有量は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、好ましくは25~55質量部、より好ましくは30~55質量部の範囲内である。
(炭素繊維(C))
本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、炭素繊維(C)(以下、単に「(C)成分」、「炭素繊維」ともいう。)は、耐熱性、機械的強度を向上させる目的で配合される。
前記炭素繊維(C)としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相成長炭素繊維等が挙げられる。
また、前記炭素繊維(C)としては、例えば、原糸をエポキシ系等の収束剤で10000~90000の本数の範囲内で収束したカット長2~7mmのチョップドストランドが用いられる。
チョップドストランドの収束本数は、12000~90000本が好ましく、より好ましくは20000~80000本であり、更により好ましくは40000~80000本である。
本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に使用する炭素繊維のチョップドストランドは、取扱性の観点から12000本以上の収束本数が好ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中での開繊性及び分散性の観点から90000本以下の収束本数が好ましい。
さらに、本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に使用する炭素繊維(C)は、樹脂組成物の十分な機械的強度の観点から、エポキシ系収束剤で収束した炭素繊維のチョップドストランドを用いることが好ましい。
ここで、前記炭素繊維(C)に含まれる炭素繊維原糸の繊維径は、0.5~15μmが好ましく、より好ましくは5~10μmである。
また、前記炭素繊維(C)を樹脂組成物中に溶融混練した後の、炭素繊維の繊維長は、50~700μmが好ましく、より好ましくは100~600μmであり、更に好ましくは150~400μmであり、特に好ましくは200~300μmである。
十分な機械的強度発現の観点から、50μm以上が好ましく、樹脂組成物中での開繊性、分散性と、成形品の外観保持、成形加工性の観点から、700μm以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、前記ポリフェニレンエーテル(A)、前記スチレン系樹脂(B)、前記炭素繊維(C)及び前記カーボンブラック(D)の合計量100質量部に対する、前記炭素繊維(C)の含有量が、5~15質量部の範囲内である。前記炭素繊維(C)の含有量は、十分な機械的強度付与の観点から、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、5質量部以上とし、十分な軽量性保持と成形加工性保持の観点から、15質量%以下とする。
同様の観点から前記炭素繊維(C)の含有量は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、好ましくは7~13質量部、より好ましくは8~12質量部の範囲内である。
(カーボンブラック(D))
本実施形態の樹脂組成物に用いられるカーボンブラック(D)(以下、単に「(D)成分」、「カーボンブラック」ともいう。)は、前記の炭素繊維(C)と共に、成形品の機械的強度を改良するための成分として配合される。
前記カーボンブラック(D)の種類としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等があり、これらを二種以上含有しても良い。
また、前記カーボンブラック(D)は、1種を単独で用いてもよく、平均一次粒子径の異なる種類のものを2種以上併用してもよい。
前記カーボンブラック(D)の平均一次粒子径は、5~45nmが好ましく、より好ましくは10~30nm、更に好ましくは10~20nmである。成形品への十分な機械的強度付与の観点から5nm以上であることが好ましく、45nm以下であることが好ましい。
なお、前記カーボンブラック(D)の平均一次粒子径は、ASTM D3849(カーボンブラックの標準試験法-電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3000個の粒子径を測定して、算術平均して得られる。
また、前記カーボンブラック(D)は、予め前記スチレン系樹脂(B)と予備混練し、所謂マスターバッチ化したものを用いることが好ましい。この場合、前記(B)成分と前記(D)成分との混練比率(質量比)は、(D)/(B)=20/80~60/40が好ましく、より好ましくは30/70~55/45であり、更により好ましくは40/60~50/50である。
本実施形態の樹脂組成物において、十分な機械的強度を付与するためには、前記カーボンブラック(B)の分散性が重要であり、該カーボンブラックの十分な分散性の観点から、(D)/(B)=20/80~60/40の質量比率で、予め溶融混練したものを使用することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、前記ポリフェニレンエーテル(A)、前記スチレン系樹脂(B)、前記炭素繊維(C)及び前記カーボンブラック(D)の合計量100質量部に対する、前記カーボンブラック(D)の含有量が、0.1~1質量部の範囲内である。前記カーボンブラック(D)の含有量は、十分な機械的強度付与の観点から、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、0.1質量部以上で且つ1質量部以下とする。
同様の観点から前記カーボンブラック(D)の含有量は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、好ましくは0.3~0.7質量部、より好ましくは0.4~0.6質量部の範囲内である。
(その他の材料)
本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物においては、成形品の金型離型性改良や耐薬品性改良の観点から、さらに、ポリオレフィン系樹脂や、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド等の結晶性樹脂を少量配合することも可能である。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルメタクリレート共重合体等のポリオレフィン系共重合体等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物における前記結晶性樹脂の含有量は、機械的強度保持の観点から、5質量%以下であることが好ましい。同様の観点から、より好ましくは3質量%であり、さらにより好ましくは2質量%以下である。
また、本実施形態の樹脂組成物においては、機械的強度や、軽量性、靭性等の物性を著しく低下させない範囲において、機械的強度と軽量性保持との観点から、前記炭素繊維(C)及び前記カーボンブラック(D)以外の無機充填剤を、3質量%以下で含有することが好ましく、1質量%以下含有することがより好ましく、0.5質量%以下含有することがさらに好ましい。
なお、前記炭素繊維(C)及びカーボンブラック(D)以外の無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、マイカ、ガラスフレーク、タルク、ガラスミルドファイバー、クロライト、カオリンクレー、有機化クレー等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物においては、軽量性、靭性等の物性を著しく低下させない範囲において、芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合することも可能である。前記芳香族リン酸エステル系難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスフェノールホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート等のトリフェニル置換タイプの芳香族リン酸エステル類が挙げられる。中でもビスフェノールAビスホスフェートが好ましい。
前記芳香族リン酸エステル系難燃剤は、軽量性保持、物性保持の観点から、本実施形態の樹脂組成物中に5質量%以下含有されることが好ましい。同様の観点から、前記芳香族リン酸エステル系難燃剤の含有量は、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
また、本実施形態の樹脂組成物においては、耐熱性、機械的強度、成形品の表面外観を著しく低下させない範囲において、SEBS等のスチレン系熱可塑性エラストマーや、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や、着色剤、離型剤等を、本願樹脂組成物中に、0.001~3質量%の割合で含有することが可能である。これら成分の含有量は、好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.2~1質量%の範囲内である。十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上とすることが望ましく、物性保持の観点から3質量%以下とすることが望ましい。
そして、本実施形態の樹脂組成物においては、前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計含有量が樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを要する。十分な軽量性と機械的強度とのバランス保持するためである。同様の観点から、前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計含有量は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらにより好ましくは97質量%以上である。
なお、本実施形態の樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分、並びに、必要に応じてその他の材料を溶融混練することによって、製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物を製造するための条件については、以下に限定されるものではない。例えば、本願(A)、(B)、(C)及び(D)成分、並びに、任意のその他の材料のすべてを一括して溶融混練して、本願樹脂組成物を製造することも可能であるが、予め、(A)成分、(B)成分、(D)成分及び任意のその他の材料を押出機の最上流部(トップフィード)から供給して溶融混練した後、途中の押出機バレルから(C)成分をサイドフィードで配合して、十分に溶融混練して、本願樹脂組成物を製造することが、機械物性向上及び、十分な本願効果達成の観点から好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の調整方法は、以下に限定されるものではないが、樹脂組成物を大量に安定して製造するには、製造効率の観点から二軸押出機が好適に用いられる。
前記二軸押出機のスクリュー径は、25~90mmの範囲内が好ましい。より好ましくは40~70mmの範囲内である。例えば、ZSK40MC二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mm、L/D=50;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、及びニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート40~150kg/hの条件で溶融混練する方法や、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート250~600kg/hの条件で溶融混練する方法が好適な方法として挙げられる。
ここで、前記「L」は、押出機の「スクリューバレル長さ」であり、前記「D」は「スクリューバレルの直径」である。
本実施形態の樹脂組成物を、二軸押出機を用いて製造するに際して、材料の耐熱性及び機械的強度付与の観点から、前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分は、押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給して、(C)成分は押出機途中に設けた原料押込み供給口(サイドフィード)から供給することが好ましい。
また、本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、製品となる成形体の使用条件下での破壊防止の観点から、その曲げ強度(ISO178に準拠。23℃で測定)が、以下の数式の条件を満たすことが好ましい。
FS>3.5X+115
FS:ISO3167の多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの成形片を用いて、ISO178に準拠し、23℃で測定した曲げ強度(単位:MPa)
X:樹脂組成物100質量%中の炭素繊維の含有質量割合(単位:質量%)
さらに、本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、比重が1.100~1.115の範囲内で、曲げ強度が160MPa以上であることが好ましい。
さらにまた、本実施形態の曲げ弾性率(ISO178に準拠。23℃測定)は、成形品の使用条件下での形状保持の観点から、4500MPa以上であることが好ましい。より好ましくは6000MPa以上であり、更により好ましくは7500MPa以上である。
また、本実施形態の樹脂組成物のDTUL(ISO75に準拠。フラットワイズ法、1.8MPa荷重で測定)は、成形品の高温環境での使用時の熱変形防止の観点から、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは125℃以上であり、更により好ましくは135℃以上である。
<成形品、自動車周辺部品>
本実施形態の成形品は、上述した本実施形態の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び、圧空成形等の方法が好適に挙げられ、特に成形品の外観特性および量産性の観点から、射出成形が好ましい。
好適な成形品としては、軽量性と機械的強度との性能バランスに優れて、良好な成形外観を有する成形部品が得られることから、自動車周辺部品、例えばインストルメントパネル、ドアビーム、アンダーカバー、スペアタイヤカバー、フロントエンド、バンパー、エアスポイラー、ランプリフレクター、ランプエクステンション等が挙げられる。
以下、具体的な実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[各サンプルの構成成分]
実施例及び比較例の各サンプルが含む成分を以下に示す。
・ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)
(A-1)還元粘度0.50dl/g(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量18300、100ユニットあたりの末端OH基:0.71個、100ユニットあたりのN,N-ジブチルアミノメチル基:0.39個のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)紛体((A-1)PPE)を溶液重合により作製した(以下、単に「A-1」ということもある)。
・スチレン系樹脂(B)
(B-1)ゼネラルパーパスポリスチレン((B-1)GPPS)、商品名:ポリスチレン680〔登録商標〕、PSジャパン社製(以下、単に「B-1」ということもある)。
(B-2)ハイインパクトポリスチレン((B-2)HIPS)、商品名:ポリスチレンCT60〔登録商標〕、ペトロケミカルズ社製(以下、単に「B-2」ということもある)。
・炭素繊維(C)
(C-1)レギュラートゥCF((C-1)CF1)、商品名:パイロフィルTR066A B4E〔登録商標〕、収束剤:エポキシ系、収束本数:15000本、三菱ケミカル社製(以下、単に「C-1」ということもある)。
(C-2)ラージトゥCF((C-2)CF2)、商品名:パイロフィルTCTR06211E〔登録商標〕、収束剤:エポキシ系、収束本数:60000本、三菱ケミカル社製(以下、単に「C-2」ということもある)。
(C-3)レギュラートゥCF((C-3)CF3)、商品名:パイロフィルTR06U B4E〔登録商標〕、収束剤:ウレタン系、収束本数:15000本、三菱ケミカル社製(以下、単に「C-3」ということもある)。
・カーボンブラック(D)
(D-1)商品名:三菱カーボンブラック#960B〔登録商標〕((D-1)CB)、平均一次粒子径:16nm、三菱ケミカル社製(以下、単に「D-1」ということもある)。
(D-2)カーボンブラックのマスターバッチ((D-2)CB-MB1)、前記(D-1)成分と前記(B-1)成分とを、池貝社製のPCM30二軸押出機を用いて、(D-1)/(B-1)=40/60質量%の比率で溶融混練することで作製した(以下、単に「D-2」ということもある。
・その他の材料
(GF)ガラスファイバーチョップドストランド(ガラス繊維)、商品名:ECS03T-249H〔登録商標〕、表面処理剤:アミノシラン系、収束剤:ウレタン系、日本電気硝子社製(以下、単に「GF」ということもある)。
<実施例1~11、比較例1~6>
上述した構成成分を用いて、以下に示す条件で、各サンプルのポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を作製した。
[比較例1]
(A-1)40質量部と、(B-1)27質量部と、(B-2)28質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)5質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例1]
(B-1)27質量部の内、0.2質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表-1に示す。
[比較例2]
(A-1)40質量部と、(B-1)25質量部と、(B-2)25質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例2]
(B-1)25質量部の内、0.2質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例2と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例3]
(B-1)25質量部の内、0.5質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例2と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例4]
(B-1)25質量部の内、1質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例2と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[比較例3]
(B-1)25質量部の内、1.5質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例2と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[比較例4]
(A-1)55質量部と、(B-1)15質量部と、(B-2)15質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)15質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例5]
(B-1)23質量部の内、0.2質量部を(D-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例4と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例6]
(A-1)40質量部と、(B-1)24質量部と、(B-2)25質量部と、(D-2)1質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例7]
(C-1)を(C-2)に置き換えた以外は、実施例6と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例8]
(C-1)を(C-3)に置き換えた以外は、実施例6と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例9]
(A-1)40質量部と、(B-1)49質量部と、(D-2)1質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例10]
(A-1)34質量部と、(B-1)30質量部と、(B-2)25質量部と、(D-2)1質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[実施例11]
(A-1)45質量部と、(B-1)19質量部と、(B-2)25質量部と、(D-2)1質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(C-1)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[比較例5]
(A-1)40質量部と、(B-1)25質量部と、(B-2)25質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(GF)10質量部を、サイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数350rpm、押出レート80kg/hで溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
[比較例6]
(B-1)25質量部の内、1質量部を(D-2)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例2と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物のサンプルを得た。
<評価>
上記の方法で得られた各サンプルの樹脂組成物について、以下の評価を行った。
評価結果については、実施例1~5及び比較例1~4については表1、実施例6~11及び比較例5~6については表2に示す。
(1)荷重たわみ温度(DTUL)
実施例及び比較例において作製した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥させた。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度290℃、金型温度90℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた多目的試験片A型のダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの成形片を作製した。当該試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、1.8MPaで荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。
評価基準としては、測定値(測定本数3本の平均値)が高い値であるほど、耐熱性が優れていると判定した。
(2)引張強度(TY)
上記(1)で作製したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を用いてISO527に準拠し、引張強度を23℃で、試験速度5mm/minで測定した。
評価基準としては、引張強度の測定値(測定本数5本の平均値)が高い値であるほど、機械的強度に優れていると判定した。
(3)曲げ強度(FS)、曲げ弾性率(FM)
上記(1)で作製したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの成形片を作成した。当該試験片を用いて、ISO178に準拠し、曲げ強度、曲げ弾性率を23℃で測定した。
評価基準としては、曲げ弾性率の測定値(測定本数3本の平均値)が高い値であるほど、剛性に優れていると判定した。
(4)比重
上記(1)で作製したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片各3本のデッドエンド側掴み部を切断した試験片3個を用いて、アルファーミラージュ社製の電子比重計SD-200Lを用いて測定した。
評価基準としては、比重の測定値(測定個数3個の平均値)が小さい値であるほど、軽量性に優れると判定した。
Figure 2024010606000003
Figure 2024010606000004
表1の結果から、比較例1、比較例2、比較例4のサンプルは、(D)成分を含まないため、(D)成分を本願の請求範囲で規定した量を含有した実施例1~実施例5のサンプルと比較して、引張強度や曲げ強度、曲げ弾性率で示される機械的強度と、成形品の比重で示される軽量性との性能バランスが十分ではないことがわかる。
また、比較例3のサンプルは、(D)成分の配合量が本願請求範囲で規定した上限値を超えるため、機械的強度と軽量性との性能バランスが十分ではないことがわかる。
一方、実施例1~5のサンプルは、機械的強度と軽量性との性能バランスが良好であるため、自動車周辺部品として好適に使用可能である。
表2の結果から、実施例6~11のサンプルでは、(D)成分を予め、(B)成分に溶融混練したマスターバッチ(B-2)とすることによって、取扱い性が容易になった。また、実施例6のサンプルを、表1で示した実施例3のサンプルと比較すると、(D)成分の含有量が実施例3のサンプル方が若干多いにも関わらず、実施例6のサンプルの方が機械的強度と軽量性との性能バランスがより優れる傾向が認められる。
また、実施例6~8のサンプルは、(C)成分である炭素繊維を収束剤種や収束本数の異なるもので性能バランスを比較したものである。収束剤種はエポキシ系のものが、また、収束本数が多いラージトゥのものがよりいっそう、機械的強度と軽量性との性能バランスが優れる傾向である。
さらに、実施例6~8のサンプルは、機械的強度と軽量性との性能バランスが良好であるため、自動車周辺部品として好適に使用可能である。
また、実施例9~11のサンプルは、いずれも本発明の範囲内で組成を変えたものであるが、機械的強度と軽量性との性能バランスがいずれも良好であるため、自動車周辺部品として好適に使用可能である。加えて、実施例9は、(B)成分を、(B-1)と(B-2)との併用から、(B-1)単独の使用とすることによって、実施例6のサンプルに比べて、機械的強度と軽量性との性能バランスに優れる傾向が認められる。
さらにまた、比較例5と比較例6のサンプルは、(C)成分である炭素繊維を、ガラス繊維に置き換えて、(D)成分の併用有無による、ガラス繊維と(D)成分の添加効果が、本願組成物と同様に確認されるか、否かを検討したものである。結果として、ガラス繊維を配合した樹脂組成物においては、各実施例のサンプルのような(D)成分の添加効果は認められず、加えて、比較例5、比較例6のサンプルは、いずれも機械的強度と軽量性との性能バランスは十分ではないことがわかる。
本発明の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、機械的強度と軽量性との性能バランスが要求される使用環境下において有効に使用可能であるため、自動車周辺部品の成形品に有効に使用することが可能である。

Claims (9)

  1. ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)及びカーボンブラック(D)を含み、
    前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が20~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~15質量部、前記(D)成分の含有量が0.1~1質量部であり、
    前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを特徴とする、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物中の結晶性樹脂の含有量が、5質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分及び前記(D)成分以外の無機充填剤の含有量が、3質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物中の芳香族リン酸エステル系難燃剤の含有割合が、5質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分は、予め前記(B)成分と前記(D)成分とを(D)/(B)=20/80~60/40の質量比率で溶融混練した状態で供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 曲げ強度が、下記の関係(1)を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    FS>3.5X+115 ・・・(1)
    FS:ISO3167の多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの成形片を用いて、ISO178に準拠し、23℃で測定した曲げ強度(単位:MPa)
    X:樹脂組成物100質量%中の前記(C)成分の含有量(質量%)
  7. 比重が1.100~1.115であり、曲げ強度が160MPa以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  8. 前記(C)成分が、エポキシ系収束剤で収束された炭素繊維であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のことを特徴とする、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  9. 請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなることを特徴とする、自動車周辺部品。
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