JP2005179470A - 導電性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル樹脂と、ブタジエン−スチレングラフト共重合体と、炭素繊維とを含有してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物である。該導電性熱可塑性樹脂組成物中におけるポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が60〜90質量%であり、ブタジエン−スチレングラフト共重合体の含有量が5〜40質量%である態様、炭素繊維の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂及びブタジエン−スチレングラフト共重合体からなる樹脂成分100質量部に対し5〜30質量部である態様、などが好ましい。
【選択図】 なし
Description
しかし、この場合、形状安定性、耐熱性及び耐衝撃性はある程度良好となるものの、高耐熱性、高強度、高剛性、高い寸法安定性、及び難燃性の全てを満足することは困難であった。
<1> ポリフェニレンエーテル樹脂と、ブタジエン−スチレングラフト共重合体と、炭素繊維とを含有してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<2> 導電性熱可塑性樹脂組成物中におけるポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が60〜90質量%であり、かつブタジエン−スチレングラフト共重合体の含有量が5〜40質量%である前記<1>に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<3> 炭素繊維の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂及びブタジエン−スチレングラフト共重合体を含む樹脂成分100質量部に対し5〜30質量部である前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<4> ブタジエン−スチレングラフト共重合体におけるスチレンの含有量が90質量%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<5> 更にガラス繊維を含有してなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<6> ガラス繊維の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂及びブタジエン−スチレングラフト共重合体を含む樹脂成分100質量部に対し1〜20質量部である前記<5>に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<7> ポリフェニレンエーテル樹脂の固有粘度(IV)が、0.3〜0.5dL/100gである前記<1>から<6>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<8> ブタジエン−スチレングラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)が、200℃、49.03Nの測定条件で1〜30g/10minである前記<1>から<7>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
<9> 混練後の導電性熱可塑性樹脂組成物中での炭素繊維の繊維長が、100〜500μmである前記<1>から<8>のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ブタジエン−スチレングラフト共重合体と、炭素繊維とを含有してなり、ガラス繊維、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
前記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2−6キシレノールの重合によって得られる非結晶性樹脂であるポリフェニレンオキサイド(PPE)などが好適である。
前記固有粘度(IV)が0.5dL/100gを超えると、粘度が高すぎて成形加工性に劣ることがあり、0.3dL/100g未満であると、分子量が低すぎて所望の剛性が得られないことがある。
前記含有量が60質量%未満であると、所望の耐熱性及び高温寸法安定性を得ることができないことがあり、90質量%を超えると、成形加工性及び耐衝撃性に劣ることがある。
前記ブタジエン−スチレングラフト共重合体は、スチレンを幹としてこれに枝としてブタジエンをグラフト重合させた共重合体である。
本発明においては、前記ブタジエン−スチレングラフト共重合体におけるスチレンの含有量が90〜95質量%が好ましい。前記スチレンの含有量が90質量%未満であると、ポリフェニレンエーテル樹脂との相溶性が低下することがある。
前記メルトフローレートが、1g/10min未満であると、粘度が高くなりすぎて成形加工性が低下することがあり、30g/10minを超えると、衝撃強度の向上効果が低下することがある。なお、前記ブタジエン−スチレングラフト共重合体の分子量を低下させない範囲でMFRを向上させるため、鉱油などのオイルを内部滑剤として配合することも可能である。
前記含有量が10質量%未満であると、成形加工性及び耐衝撃性に劣ることがあり、40質量%を超えると、高温寸法安定性を得ることができないことがある。
前記炭素繊維としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ピッチ系炭素繊維又はPAN系炭素繊維の原糸を切断したチョップドストランドなどが挙げられる。また、前記炭素繊維は、ハンドリング性向上のために収束剤で炭素繊維密度が10k〜20kに収束された、繊維長3〜6mmのものが好適である。前記炭素繊維の繊維径は、5〜15μmの範囲が好ましく、5〜12μmがより好ましく、6〜10μmが更に好ましい。また、前記炭素繊維の混練後の前記導電性熱可塑性樹脂組成物中での繊維長は、100〜500μmが好ましく、300μm前後が補強効果と導電性能の面でより好ましい。
前記含有量が前記範囲を外れると、所定の導電性能、高強度(特に引張強さ)、高剛性(特に曲げ弾性率)、及び寸法安定性が劣ることがある。
前記ガラス繊維としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、原糸を切断したチョップドストランドが挙げられる。また、前記ガラス繊維は、ハンドリング性向上のために収束剤でガラス繊維密度が10k〜20kに収束された、繊維長3〜6mmのものが好適である。前記ガラス繊維の繊維径は、5〜15μmの範囲が好ましく、7〜12μmがより好ましく、7〜10μmが更に好ましい。また、前記ガラス繊維の混練後の前記導電性熱可塑性樹脂組成物中での繊維長は、100〜500μmが好ましく、300μm前後が補強効果と導電性能の面でより好ましい。
前記含有量が、前記範囲を外れると、高強度(特に引張強さ)、高剛性(特に曲げ弾性率)、及び寸法安定性が劣ることがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、他の合成樹脂、無機充填剤、可塑剤、熱安定剤、加工助剤、各種難燃剤、滑剤、着色剤などが挙げられる。
前記導電性熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ブタジエン−スチレングラフト共重合体と、炭素繊維とを、好ましくはガラス線維を公知の方法により混合、混練することにより調製することができ、例えば、溶融混練してペレット状コンパウンドとすることができる。
前記混練機としては、例えば、ベント付き単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機などを好適に用いることができる。また押出機に代えてスーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タンブラー、コニーダーなどの公知の混練機も用いることができる。具体的には、単軸押出機、二軸押出機における連続押出式の方法で製造されるが、二軸押出機を用いて炭素繊維及びガラス繊維を押出機のバレル途中にてフィート゛するサイドフィード方式が好ましく、繊維を強制的に押出機バレル内に供給する強制サイドフィード方式で製造されるのがより好ましい。
下記表1に示す組成での実施例1〜3及び比較例1〜3の導電性熱可塑性樹脂組成物を常法に従って調製した。具体的には、表1に示す各配合成分を高速混合機により均一に混合した後、ナカタニ機械株式会社社製NR−II(スクリュー口径=57mm)同方向二軸押出機を用い、炭素繊維、カーボンブラック、ガラス繊維は強制サイドフィードにて供給し、ポリフェニレンエーテル樹脂とブタジエン−スチレン共重合物を予めブレンダーにて均一混合した後、押出機に供給した。混練温度は250℃〜360℃の範囲にて行い、混練物は水冷しストランドカットして、実施例1〜3及び比較例1〜3の導電性熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを調製した。
得られた各ペレットを120℃にて3時間熱風乾燥した後、日精樹脂工業株式会社製射出成形機にて射出温度320℃で試験片を作製し、以下のようにして、表面抵抗率、熱変形温度(HDT)、引っ張り強さ、メルトフローレート(MFR)、線膨張率、ジャルピー衝撃強さ、成形収縮率、及び難燃性について評価した。また、総合判定は、下記評価基準に基づき、全項目満足するもの○、未達成の項目があるものを×とした。結果を表1に示す。
・表面抵抗率:ASTM D257に準拠して測定した。
・熱変形温度(HDT):ISO75−2Afに準拠して測定した。
・引っ張り強さ:ISO527−2/1A/5に準拠して測定した。
・メルトフローレート(MFR):ISO1133(300℃、21.18N)に準拠して測定した。
・線膨張率:ASTM E831(30〜150℃、窒素雰囲気下、29.4mN)に準拠して測定した。
・ジャルピー衝撃強さ:ISO179/1eAに準拠して測定した。
・曲げ弾性率:ISO178/A/2に準拠して測定した。
・成形収縮率:成形後48時間室温にて調製した引張試験片の全長と、試験片を調製した温度での金型(キャビティー)サイズをノギスで計測し、次式、(金型サイズ−引張試験片全長)÷金型サイズにより算出した。
・難燃性: UL94−HBに準拠して測定した。
・表面抵抗率(Ω):1×106以下
・引っ張り強さ(MPa):100以上
・曲げ弾性率(MPa):8000以上
・メルトフローレート(MFR)(g/10min):2以上
・ジャルピー衝撃強さ(kJ/m2):3以上
・熱変形温度(HDT):160以上
・成形収縮率:5/1000以下
・線膨張率:5×10−5以下
・難燃性:燃焼速度の計測を開始する標線に至らず、直ぐに鎮火すること
表1の略号は、下記の通りである。
−ポリフェニレンエーテル樹脂−
三菱ガス化学株式会社製、YPX−100F、固有粘度(IV)=0.41dL/100g
三菱ガス化学株式会社製、YPX−100D、固有粘度(IV)=0.35dL/100g
三菱ガス化学株式会社製、PX−100F、固有粘度(IV)=0.38dL/100g
−ブタジエン−スチレングラフト共重合体−
A&Mスチレン株式会社製、ポリスチレンH8601 MFR=18g/10min(200℃、49.03N)、スチレン含有量=90質量%超
−ブタジエン−スチレンブロック共重合体−
クレイトンポリマー株式会社製、D1155JP スチレン−ブタジエン−スチレン直鎖タイプ、スチレン含有量=40質量%
−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合物−
クレイトンポリマー株式会社製、G1657 エチレン−ブチレン−スチレン直鎖タイプ、スチレン含有量=17質量%
−カーボンブラック−
旭カーボン株式会社製、旭F−200、DBP吸油量=175mL/100g
−カーボンファイバー(炭素繊維)−
日本ポリマー株式会社製、CF EPU−LCL、PAN系、体積抵抗率=2.3×10−2Ω・cm、5mm長チョップド、繊維径=7μm
−ガラス繊維−
日本板硝子株式会社製、RES03−TP78、アルミナほう珪酸ガラス(Eガラス、無アルカリガラス)、3mm長チョップド、繊維径=10μm
Claims (6)
- ポリフェニレンエーテル樹脂と、ブタジエン−スチレングラフト共重合体と、炭素繊維とを含有してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 導電性熱可塑性樹脂組成物中におけるポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が60〜90質量%であり、かつブタジエン−スチレングラフト共重合体の含有量が5〜40質量%である請求項1に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 炭素繊維の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂及びブタジエン−スチレングラフト共重合体を含む樹脂成分100質量部に対し5〜30質量部である請求項1から2のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- ブタジエン−スチレングラフト共重合体におけるスチレンの含有量が90質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 更にガラス繊維を含有してなる請求項1から4のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- ガラス繊維の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂及びブタジエン−スチレングラフト共重合体を含む樹脂成分100質量部に対し1〜20質量部である請求項5に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
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