JP2005239528A - 炭酸固化体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭酸化処理により得られた炭酸固化体に炭酸ガス存在下(大気中も含む)で養生を施すとともに、この養生を炭酸固化体に特定の陰イオンを含んだ水を含浸させた状態で行う。これにより炭酸固化体に膨張を生じさせることなく、その強度を短期間で増大させることができる。好ましくは、炭酸化処理を効率的に行うために、炭酸化処理の途中で、一旦原料に供給する炭酸ガス量を減少させるか若しくは炭酸ガスの供給を休止することにより、表面付着水への炭酸ガスの溶解を抑制する。
【選択図】 図1
Description
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、高い強度と寸法精度を有する炭酸固化体を、短い期間で安定して製造することができる炭酸固化体の製造方法を提供することにある。
[1] 未炭酸化Ca含有原料を、水分を含んだ状態で炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより炭酸固化体を得る工程と、該工程で得られた炭酸固化体にClイオン、NO3イオン、Fイオン、CO3イオンの中から選ばれる1種以上を含有する水を含浸させた状態で養生を施す工程を有することを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
[3] 上記[1]又は[2]の製造方法において、炭酸固化体に含浸させる水が、Clイオン、NO3イオン、Fイオン、CO3イオンの中から選ばれる1種以上を合計で0.2mol/L以上含有することを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、炭酸固化体に含浸させる水が、海水、海水を含む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれかであることを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
未炭酸化Ca含有原料に炭酸ガスの供給を行って、該未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる初期炭酸化工程と、
該初期炭酸化工程に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を減少させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を休止する中間処理工程と、
該中間処理工程に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を増加させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を再開し、該未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる後期炭酸化工程とを有することを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
[7] 上記[5]又は[6]の製造方法において、中間処理工程と後期炭酸化工程を2回以上繰り返して行うことを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
なお、本発明において使用する炭酸ガスとは、一般の排ガスのような「炭酸ガス含有ガス」を含む意味である。
また、特に請求項6〜19に係る本発明法によれば、炭酸固化体を得る工程において炭酸化反応を効率的に進行させることができるため、より高い強度を有する炭酸固化体を製造することができる。
本発明において、上記養生とは、未炭酸化Ca含有原料を型枠などにより所定の形状の充填層として保持した状態で炭酸化処理を行い、型枠などにより保持しなくても充填層の形状を保つことができるまで炭酸固化させた炭酸固化体(通常、圧縮強度が10kg/cm2程度以上)に対して、さらにその強度を高めるために行う処理を指す。
炭酸固化体Bに含浸させる上記水の量は特に限定されないが、養生を効率的に促進させ、且つ養生中の炭酸ガスの浸透性を確保するなどの観点から、炭酸固化体Bの内部気孔の総体積の5〜30%程度の量の水を含浸させることが好ましい。例えば、体積が1m3で気孔率が40%の炭酸固化体の場合には、20〜120L程度の水を含浸させることが好ましい。
また、炭酸ガスの供給量にも特別な制限はないが、一般的な目安としては50〜250L/min程度のガス供給量が確保できればよい。
供給される炭酸ガスは常温でよいが、ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるため有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いと炭酸固化体を乾燥させたり、或いはCaCO3がCaOとCO2に分解してしまうため、高温ガスを用いる場合でもこのような分解を生じない程度の温度のガスを用いる必要がある。また、炭酸ガスは炭酸固化体の乾燥を防ぐために加湿した状態で供給されることが好ましい。このためガス供給に当たっては、炭酸ガスを一旦水中に吹き込んでH2Oを飽和させた後、供給することが好ましい。
含浸水が上述したような陰イオンを含むことにより固体粒子からのCaイオンの溶出が促進される理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。図3は、含浸水(固体粒子の表面付着水)が適度な濃度のClイオン(Cl−)を含む水溶液である場合を例に、Caイオン(Ca2+)の溶出速度が増加する原理を示したものである。固体粒子に含まれている未反応CaOは水分との接触によりCa(OH)2に変化しているが、固体粒子の含浸水に適量のCl−が含まれていると、このCl−が固体粒子の表面に移動して固体粒子側のCa(OH)2のOH−と置換し(図3の丸付き数字(1))、このCl−と置換したOH−は含浸水内の外側領域に移動する(図3の丸付き数字(2))。そして、含浸水の領域中でも特に固体粒子表面に極く近い領域では溶解度積Ksp=(Ca2+)(OH−)にしたがって、上記Cl−によるOH−の置換量に応じてCa2+の含浸水中への溶出が生じる(図3の丸付き数字(3))。以上の原理により含浸水へのCaの溶出速度が増大し、これに伴って炭酸カルシウムの生成速度が高まるものと考えられる。
水に上述した陰イオンの1種以上を含有させるには、例えば、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、NaF、KF、NaNO3、KNO3、Mg(NO3)2、Ca(NO3)2、Na2CO3、K2CO3の中から選ばれる1種以上を水に溶解させればよい。
また、海水はNaClを適量含んでいるため、上記含浸水として最も安価且つ容易に入手できる水溶液である。したがって、炭酸固化体Bに含浸させる水としては、海水又は海水を濃縮若しくは稀釈した水、或いは海水を含む水が最も経済的であると言える。
以上のようにして行われる養生では炭酸固化体の膨張は起きないので、高い強度と寸法精度を有する製品が得られる。養生の完了後、そのまま製品としてもよいが(図1(d))、場合によっては、さらに一定期間大気中に放置し、大気下での養生を行ってもよい。
炭酸固化体Bを得るために使用する未炭酸化Ca含有原料中に含まれる未炭酸化Ca、すなわちCaO及び/又はCa(OH)2は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、Ca(OH)2の他に、2CaO・SiO2、3CaO・SiO2、ガラスなどのように組成の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグには相当量の鉄分(粒鉄などの鉄分)が含まれており、このようなスラグをそのまま使用すると、この鉄分の分だけ原料中でのCaO濃度が低下するため、スラグとしては地金(鉄分)回収処理を経たスラグを用いることが好ましい。
また、未炭酸化Ca含有材としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物などが挙げられ、これらの1種以上を単独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリートと混合して使用することもできる。
これらの材料は必要に応じて粉粒状に破砕処理され、原料として用いられる。
また、これらのうち金属鉄、酸化鉄、可溶性シリカなどは、本発明法により製造された炭酸固化体が水中沈設用材料として用いられる場合に、水中の硫黄や燐の固定剤、海藻類などの水生植物の栄養源などとして有効に作用する。また、これら以外にも任意の成分(粒子)を適量、すなわち炭酸固化体の強度低下などを招かない限度で含むことができる。
また、炭酸ガスは原料の乾燥を防ぐために加湿した状態で原料に供給されることが好ましい。このため原料にガスを供給するに当たっては、炭酸ガスを一旦水中に吹き込んでH2Oを飽和させた後、原料に供給することが好ましく、これにより原料の乾燥を防止して炭酸化反応を促進させることができる。
既に述べたように、未炭酸化Ca含有原料を炭酸ガス存在下で炭酸化反応により固化させるには原料が適量の水分を含んでいること、より具体的には原料粒子の表面に表面付着水が存在することが必要である。このため、未炭酸化Ca含有原料には必要に応じて水分が添加される。通常、未炭酸化Ca含有原料の含水率は3〜12%、好ましくは5〜10%程度とするのが適当である。
本発明者らは、未炭酸化Ca含有原料を炭酸化処理する工程において、供給されたCO2と原料粒子中の未炭酸化Caとを表面付着水を介して効率的に反応させ、原料粒子どうしを結合するのに十分な量のCaCO3をなるべく短時間に生成させることができる方法を見出すべく検討を行った。その結果、以下に述べるような従来の製造方法の問題点とその解決法が明らかとなった。すなわち、原料粒子の表面付着水中において炭酸カルシウムの析出が適切に進行するためには、表面付着水に溶解したCO2濃度とCaイオン濃度のバランスが重要であるが、炭酸化反応が進行するにしたがい、原料粒子からのCaイオンの溶解速度自体が遅くなること、原料粒子表面にCaCO3の膜が形成され、これがCaイオンの溶出を妨げるようになること、などの要因によってCaイオンの表面付着水中への溶出が遅くなる。一方において、原料に対して炭酸ガスは供給され続けるため、表面付着水中の炭酸ガス濃度が増加してpHが低下し、重炭酸カルシウムの飽和状態となるため、炭酸カルシウムの析出反応が停止ないしは大幅に減少する。また、上記のような原料粒子表面での炭酸化反応は均一反応系ではないので、局所的には炭酸カルシウムの析出も続くと推定されるが、原料全体では実質上炭酸カルシウムの析出は抑制される。
この方法は、未炭酸化Ca含有原料を炭酸固化させる工程として、未炭酸化Ca含有原料に炭酸ガスの供給を行って、この未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる初期炭酸化工程(A)と、この初期炭酸化工程(A)に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を減少させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を休止する中間処理工程(B)と、この中間処理工程(B)に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を増加させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を再開し、未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる後期炭酸化工程(C)とを有する。
前記型枠1は実質的に気密又は半気密にすることが可能な型枠であって、本実施形態では、容器状の本体100とその上部を閉塞する蓋体101とから構成されている。前記本体100の底部にはガス給気部2(ガス給気用空間)が設けられるとともに、このガス給気部2と本体100との間の隔壁には多数のガス通孔20が形成されている。前記ガス給気部2にはガス供給管3が接続され、このガス供給管3を通じてガス給気部2内に炭酸ガスが供給される。また、型枠1の上部には型枠内に供給されたガスの排気を行うための排気管4が接続されている。その他図面において、5,6は各配管系に設けられた開閉弁である。
上記のように水分を含んだ原料充填層Aを形成した後、型枠1内に吹き込まれる炭酸ガスが原料充填層全体に良く浸透するようにするため型枠に蓋体101を装着し、型枠1を気密又は半気密状態にする。
以上のようにして原料充填層Aを形成した後、以下に述べるような工程(A)〜(C)を順に行い、炭酸固化体を製造する。
この工程では、未炭酸化Ca含有原料に所定時間(原料充填層の規模やガス流速などによって異なるが、一般的には8〜24時間程度)炭酸ガスの供給を行って、未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる。この工程は未炭酸化Ca含有原料の炭酸化を目的としたものであるため、定常的な炭酸ガスの供給を行うが、後述する後期炭酸化工程(C)に較べて原料からCaイオンが溶出しやすく、顕著な発熱を伴う活発な炭酸化反応が生じる。図4の実施形態では、ガス供給管3を通じて供給された炭酸ガスはガス給気部2に導入された後、ガス通孔20から上方の原料充填層A内に吹き込まれる。原料充填層A内を通過する炭酸ガスの一部は、原料粒子からその表面付着水に溶出したCaイオンと反応し、原料粒子の表面にCaCO3が析出し、これがバインダーとなって原料充填層Aの固結が進行する。炭酸ガスの残りは原料充填層Aを通過して排気管4から型枠1外に排出される。また、場合によっては、排気管4の開閉弁6を閉じた状態で原料充填層A内に炭酸ガスを供給するようにしてもよいが、その場合には、時々開閉弁6を開にして型枠1内に溜まったガスを放出し、型枠1内の炭酸ガス濃度が所定レベル以上に維持されるようにすることが好ましい。
以上のような炭酸化処理(初期炭酸化工程)を所定時間続けると、原料粒子からのCaイオンの溶解速度自体が遅くなること、原料粒子表面にCaCO3の膜が形成され、これがCaイオンの溶出を妨げるようになること、などの要因によってCaイオンの表面付着水中への溶出が遅くなる。一方において、原料に対して炭酸ガスは供給され続けるため、表面付着水中の炭酸ガス濃度(CO2分圧)が増加してpHが低下し、重炭酸カルシウムの飽和状態となるため、炭酸カルシウムの析出反応が停止ないしは大幅に減少する。
このため、適当な段階で未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を減少させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を休止する(中間処理工程)。この工程では、例えば以下のような方法を採ることができる。
(2) ガス供給管3を通じた炭酸ガスの供給を休止した後、ガス供給管3を通じて型枠1内に空気を供給し、未炭酸化Ca含有原料内部の雰囲気を空気と置換する。
(3) ガス供給管3を通じた炭酸ガスの供給を休止した後、ガス供給管3を通じて型枠1内に空気未満の炭酸ガス濃度のガス(例えば、窒素ガス)を供給し、未炭酸化Ca含有原料内部の雰囲気を当該ガスと置換する。
(4) ガス供給管3を通じた炭酸ガスの供給を休止した後、 ガス供給管3を吸引ポンプ(図示せず)に接続し、この吸引ポンプによる吸引で未炭酸化Ca含有原料内部を減圧することにより、未炭酸化Ca含有原料内部の雰囲気を空気未満の炭酸ガス濃度とする。
これら(1)〜(4)の方法は任意に選択できるが、未炭酸化Ca含有原料内部の炭酸ガス濃度を短時間で且つ十分に低減させたい場合には、(2)〜(4)のいずれかの方法、好ましくは(3)又は(4)の方法、特に好ましくは(4)の方法が望ましい。(4)の方法では、減圧による脱気によって原料粒子の表面付着水中の炭酸ガス濃度を短時間に低減させることができる。
この中間処理工程(B)を行う時間等は特に限定されないが、原料充填層A中のCO2分圧を十分に低下させることが好ましいことから、例えば、原料充填層内部の雰囲気を空気や他のガス(例えば、窒素ガス)で置換する場合には、原料充填層の体積の5倍以上、好ましくは10倍以上の量(トータル量)の空気やガスが原料充填層中に供給される程度の時間を目安とする。
上記のような中間処理工程(B)を所定時間行うことによって、上述した(a)〜(f)の機構により炭酸カルシウムの析出反応が再び活性化された段階で、未炭酸化Ca含有原料に対する定常的な炭酸ガスの供給を再開する。すなわち、例えば上記(1)〜(4)の操作を行っている場合にはこれを終了し、初期炭酸化工程(A)と同様に、ガス供給管3を通じた未炭酸化Ca含有原料内への炭酸ガスの供給を行う。
なお、上記中間処理工程(B)と後期炭酸化工程(C)は、これを2回以上繰り返して行うこともできる。例えば、原料充填層Aの大きさや原料粒度によって炭酸化処理の効率には差があり、上記中間処理工程(B)と後期炭酸化工程(C)を2回以上行った方が、処理効率面で有利な場合もあるからである。
処理容器1aは実質的に気密にすることが可能な容器であって、その側部には原料出し入れ部102が設けられている。この処理容器1aにはガス供給管3aが接続され、このガス供給管3を通じて処理容器1a内に炭酸ガスが供給される。また、処理容器1aの上部には処理容器内に供給されたガスの排気を行うための排気管4aが接続されている。その他図面において、5a,6aは各配管系に設けられた開閉弁である。
(2) ガス供給管3aを通じた炭酸ガスの供給を休止した後、ガス供給管3aを通じて処理容器1a内に空気を供給し、処理容器1a内の雰囲気を空気と置換する。
(3) ガス供給管3aを通じた炭酸ガスの供給を休止した後、ガス供給管3aを通じて処理容器1a内に空気未満の炭酸ガス濃度のガス(例えば、窒素ガス)を供給し、処理容器1a内の雰囲気を当該ガスと置換する。
(4) ガス供給管3aを通じた炭酸ガスの供給を休止した後、ガス供給管3aを吸引ポンプ(図示せず)に接続し、この吸引ポンプによる吸引で処理容器1a内を減圧することにより、処理容器1a(及び予成形体A′)内の雰囲気を空気未満の炭酸ガス濃度とする。
以上の操作を行うことにより、原料粒子の表面付着水への炭酸ガスの溶解が実質的に停止するとともに、上述した(a)〜(f)の機構によって炭酸カルシウムの析出反応が再び活性化される。
この後期炭酸化工程(C)は予成形体A′が十分に固結するまで行われ、後期炭酸化工程(C)終了後、製品である固結した予成形体A′(炭酸固化体)を処理容器1aから取り出す。
この場合も、上記中間処理工程(B)と後期炭酸化工程(C)は、これを2回以上繰り返して行うことができる。なお、各工程(A)〜(C)を行う各時間は、図4で述べた実施形態と同様である。
この製造方法は、未炭酸化Ca含有原料を予成形した予成形体を効率的に炭酸固化させて炭酸固化体を製造することを目的としたものであり、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸固化させる工程として、未炭酸化Ca含有原料の予成形体を実質的に気密な容器内に収納した後、この容器内を減圧する脱気工程(X)と、この該脱気工程(X)に引き続き、前記容器内に炭酸ガスを供給して予成形体の未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる炭酸化工程(Y)とを有する。
この処理容器1bは、図5に示すものと同様である。すなわち、処理容器1bは実質的に気密にすることが可能な容器であって、その側部には原料出し入れ部102bが設けられている。
この処理容器1bにはガス給排気管7が接続されるとともに、このガス給排気管7には、炭酸ガスを供給するためのガス供給管8と、処理容器1b内の減圧を行うための吸引ポンプ10を備えた吸引管9が接続されている。また、処理容器1bの上部には処理容器内に供給されたガスの排気を行うための排気管4bが接続されている。その他図面において、6b、11、12は各配管系に設けられた開閉弁である。
この工程では、吸引管9の吸引ポンプ10を用いた吸引により処理容器1b内を減圧する。当然、未炭酸化Ca含有原料の予成形体A′の内部も減圧・脱気された状態となる。
この脱気工程(X)における処理容器1b内の減圧の程度に特別な制限はないが、続く炭酸化工程(Y)での処理効率の観点から、処理容器1b内部を0.8気圧以下、より望ましくは0.4気圧以下に減圧することが好ましい。
上記の脱気工程(X)に引き続き、開閉弁11,12の操作によって吸引管9とガス供給管8とを切り替え、ガス供給管8から処理容器1b内に、未炭酸化Ca含有原料の予成形体A′の炭酸化を目的として定常的な炭酸ガスの供給を所定時間(例えば、0.5〜3時間程度)行う。
未炭酸化Ca含有原料の予成形体A′の内部は減圧・脱気された状態にあるため、炭酸ガスの一部は予成形体A′の表面から内部に効率的に浸透し、未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる。炭酸ガスの残りは排気管4bから処理容器1b外に排出される。
なお、上記脱気工程(X)と炭酸化工程(Y)は、これを2回以上繰り返して行うことができる。例えば、予成形体A′の大きさや原料粒度によって炭酸化処理の効率には差があり、上記脱気工程(X)と炭酸化工程(Y)を2回以上行った方が、処理効率面で有利な場合もあるからである。
すなわち、この実施形態では、上記炭酸化工程(Y)が、容器内に炭酸ガスの供給を行って予成形体の未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる初期炭酸化工程(a)と、この初期炭酸化工程(a)に引き続き、容器内に供給する炭酸ガス量を減少させるか又は容器内への炭酸ガスの供給を休止する中間処理工程(b)と、この中間処理工程(b)に引き続き、容器内に供給する炭酸ガス量を増加させるか又は容器内への炭酸ガスの供給を再開し、前記予成形体の未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる後期炭酸化工程(c)とを有するものである。
以上の操作を行うことにより、原料粒子の表面付着水への炭酸ガスの溶解が実質的に停止するとともに、先に述べた(a)〜(f)の機構によって炭酸カルシウムの析出が活性化する。
この後期炭酸化工程(c)は予成形体A′が十分に固結するまで行われ、後期炭酸化工程(c)終了後、製品である固結した予成形体A′(炭酸固化体)を処理容器1bから取り出す。
この場合も、上記中間処理工程(b)と後期炭酸化工程(c)は、これを2回以上繰り返して行うことができる。また、各工程(a)〜(b)の期間は、図4及び図5で述べた実施形態と同様である。
また、本発明により製造される炭酸固化体は、漁礁・藻礁造成用石材、築磯用石材、水質浄化用石材、通水性舗装用石材、通水性被覆ブロック、埋設排水溝用ブロック、水耕栽培用ベース材、浄水用フィルター、給水用容器をはじめとする種々の用途に使用することができる。
(1) 本発明例1
水分含有率を9%に調整した脱燐スラグ(粒度3mm以下)を型枠に充填し、この原料充填層に炭酸ガス(CO2:30%)を150L/minの流量で約48時間吹き込み、体積0.5m3の炭酸固化体を得た。この炭酸固化体を型枠から取り出した後、炭酸固化体の養生を行った。この養生は、炭酸固化体に30Lの海水を含浸させた後、約14日間大気下に放置することにより行った。
(2) 本発明例2
本発明例1と同様にして得られた炭酸固化体の養生を行った。この養生では、炭酸固化体に30Lの海水を含浸させた後、図2に示すようなハウス内に収容した。ハウス内に炭酸ガス(CO2:30%)を30L/minの流量で約5日間供給し、製品とした。
水分含有率を9%に調整した脱燐スラグ(粒度3mm以下)を型枠に充填し、この原料充填層に炭酸ガス(CO2:30%)を150L/minの流量で約48時間吹き込み、次いで、「(1)型枠内に1時間空気を吹き込んで型枠内雰囲気を空気と置換する。(2)その後、再度原料充填層に炭酸ガス(CO2:30%)を150L/minの流量で約1時間吹き込む。」という(1)−(2)の工程を5回繰り返すことで体積0.5m3の炭酸固化体を得た。この炭酸固化体を型枠から取り出した後、炭酸固化体の養生を行った。この養生では、炭酸固化体に30Lの海水を含浸させた後、炭酸固化体全体にビニールシートを被せ、ホースでビニールシート内に炭酸ガス(CO2:30%)を10L/minの流量で約14日間吹き込み、製品とした。
(3) 比較例
本発明例1と同様にして得られた炭酸固化体を養生することなく、そのまま製品とした。
本発明例(1):105kgf/cm2
本発明例(2):125kgf/cm2
本発明例(3):140kgf/cm2
比較例:70kgf/cm2
また、各炭酸固化体の寸法精度を測定したところ、いずれも良好な寸法精度を有していた。
1a,1b 処理容器
2 ガス給気部
3,3a ガス供給管
4,4a,4b 排気管
7 ガス給排気管
8 ガス供給管
9 吸引管
10 吸引ポンプ
5,5a,6,6a,6b,11,12 開閉弁
12 ビニールシート
13 シートハウス
20 ガス通孔
100 本体
101 蓋体
130 搬出入口
131 換気口
132 炭酸ガス導入管
A 原料充填層
A′ 予成形体
B 炭酸固化体
X 閉鎖空間
Claims (7)
- 未炭酸化Ca含有原料を、水分を含んだ状態で炭酸ガスと接触させて炭酸化反応で固結させることにより炭酸固化体を得る工程と、該工程で得られた炭酸固化体にClイオン、NO3イオン、Fイオン、CO3イオンの中から選ばれる1種以上を含有する水を含浸させた状態で養生を施す工程を有することを特徴とする炭酸固化体の製造方法。
- 炭酸固化体を炭酸ガスが導入された空間内で養生することを特徴とする請求項1に記載の炭酸固化体の製造方法。
- 炭酸固化体に含浸させる水が、Clイオン、NO3イオン、Fイオン、CO3イオンの中から選ばれる1種以上を合計で0.2mol/L以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸固化体の製造方法。
- 炭酸固化体に含浸させる水が、海水、海水を含む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸固化体の製造方法。
- 未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて炭酸固化体を得る工程が、
未炭酸化Ca含有原料に炭酸ガスの供給を行って、該未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる初期炭酸化工程と、
該初期炭酸化工程に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を減少させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を休止する中間処理工程と、
該中間処理工程に引き続き、未炭酸化Ca含有原料に供給する炭酸ガス量を増加させるか又は未炭酸化Ca含有原料への炭酸ガスの供給を再開し、該未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせる後期炭酸化工程とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭酸固化体の製造方法。 - 中間処理工程では、未炭酸化Ca含有原料内部の雰囲気を空気と置換することを特徴とする請求項5に記載の炭酸固化体の製造方法。
- 中間処理工程と後期炭酸化工程を2回以上繰り返して行うことを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の炭酸固化体の製造方法。
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