JP2003137543A - 炭酸化処理方法及び炭酸化によるco2吸収方法 - Google Patents

炭酸化処理方法及び炭酸化によるco2吸収方法

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JP2003137543A
JP2003137543A JP2001331201A JP2001331201A JP2003137543A JP 2003137543 A JP2003137543 A JP 2003137543A JP 2001331201 A JP2001331201 A JP 2001331201A JP 2001331201 A JP2001331201 A JP 2001331201A JP 2003137543 A JP2003137543 A JP 2003137543A
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water
ions
carbonation
slag
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JP2001331201A
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Keiji Watanabe
圭児 渡辺
Norio Isoo
典男 磯尾
Tatsuto Takahashi
達人 高橋
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未炭酸化Caを含む固体粒子の集合体にCO
を接触させ、炭酸化反応によりCaCOを生成させ
る際に、炭酸化反応の反応効率を高めることにより短時
間で効率的な炭酸化処理を行う。 【解決手段】 固体粒子表面に存在する水に特定の陰イ
オンを含有させることにより、この水へのCaの溶出速
度が増大してCaCOの生成速度が顕著に向上するこ
とを見い出しなされたもので、未炭酸化Caを含んだ固
体粒子の集合体に、COガス又はCO含有ガスを接
触させ、炭酸化反応によりCaCOを生成させる方法
において、主たる固体粒子の表面に、Clイオン、NO
イオン、Fイオン、COイオンの中から選ばれる1
種以上を含有する水を存在させた状態で炭酸化反応を生
じさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラグやコンクリ
ート廃材等のような未炭酸化Caを含んだ固体粒子の集
合体にCOを接触させ、炭酸化反応によりCaCO
を生成させる方法と、そのような炭酸化反応によるCO
吸収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの利
材化方法の一つとして、粒状スラグをこれに含まれる未
炭酸化Ca(CaO及び/又はCa(OH))を利用し
て炭酸固化させることによりブロック化する方法が、例
えば特開平11−71160号公報等に示されている。
この方法では、水分を添加した粒状スラグを型枠等に充
填し、この充填層にCO含有ガスを吹き込むことによ
ってスラグに含まれる未炭酸化Caに炭酸化反応を生じ
させ、この炭酸化反応で生成したCaCOをバインダ
ーとしてスラグを固結させ、ブロック化させるものであ
る。また、同様に粒状スラグにCO含有ガスを接触さ
せて炭酸化反応を生じさせることにより、COを粒状
スラグに吸収させ、CO含有ガス中のCO濃度を低
減させる方法が特開2000−197810号公報に示
されている。
【0003】これらの方法において、スラグ中の未炭酸
化CaとCOとの反応は、スラグの周囲に存在する水
を介して進行する。すなわち、スラグ粒子の表面に存在
する水(水膜)にスラグ粒子間を流れるCOが溶解す
るとともに、スラグ側からはCaイオンが溶出し、この
水に溶解・溶出したCOとCaイオンとが反応(炭酸
化反応)することにより、スラグ粒子表面にCaCO
が析出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特開平11
−71160号公報に示されるような方法で粒状スラグ
の集合体をブロック状に固結させ、所定の強度を有する
製品を得るには、通常3日程度かかる。しかし、ブロッ
ク製品を工業的に大量生産するという面からは、炭酸化
反応による原料の固結に要する時間をより短縮化し、生
産性を高めることが望ましい。また、COを粒状スラ
グに吸収させ、CO含有ガス中のCO濃度を低減さ
せる方法についても、炭酸化反応の反応効率をどれだけ
高められるかが、その工業化の可否を左右する重要な要
素となるものと考えられる。
【0005】したがって本発明の目的は、未炭酸化Ca
を含む固体粒子の集合体にCOを接触させ、炭酸化反
応によりCaCOを生成させる方法において、炭酸化
反応の反応効率を高めることにより短時間で効率的な炭
酸化処理を行うことができる炭酸化処理方法を提供する
ことにある。また本発明の他の目的は、未炭酸化Caを
含む固体粒子の集合体にCOを接触させ、炭酸化反応
により固体粒子の集合体にCOを吸収させる方法にお
いて、炭酸化反応の反応効率を高めることにより固体粒
子の集合体へのCO吸収を短時間で効率的に行わせる
ことができるCO吸収方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スラグな
どの固体粒子中の未炭酸化CaとCOが水を介して炭
酸化反応する際に高い反応効率が得られる条件を見い出
すべく、CaとCOの反応が生じる固体粒子表面に存
在する水の成分が反応効率に及ぼす影響について検討を
行った。その結果、固体粒子表面に存在する水に特定の
陰イオンを含有させることにより、この水へのCaの溶
出速度が増大し、その結果、CaCOの生成速度(=
COの吸収速度)が顕著に向上することが判った。
【0007】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1]少なくとも一部の固体粒子が、組成の少なくとも
一部として未炭酸化Caを含んだ固体粒子である固体粒
子の集合体に、COガス又はCO含有ガスを接触さ
せ、炭酸化反応によりCaCOを生成させる方法にお
いて、主たる固体粒子の表面に、Clイオン、NO
オン、Fイオン、COイオンの中から選ばれる1種以
上を含有する水を存在させた状態で炭酸化反応を生じさ
せることを特徴とする炭酸化処理方法。 [2]上記[1]の炭酸化処理方法において、主たる固体
粒子の表面に存在する水が、Clイオン、NOイオ
ン、Fイオン、COイオンの中から選ばれる1種以上
を合計で0.2mol/L以上含有することを特徴とする
炭酸化処理方法。
【0008】[3]上記[1]又は[2]の炭酸化処理方
法において、固体粒子の表面に存在させる水が、固体粒
子表面に水膜状に付着した表面付着水であることを特徴
とする炭酸化処理方法。 [4]上記[1]〜[3]のいずれかの炭酸化処理方法に
おいて、固体粒子の表面に存在させる水が、NaCl、
KCl、MgCl、CaCl、NaF、KF、Na
NO、KNO、Mg(NO、Ca(NO
、NaCO、KCOの中から選ばれる1種以
上が溶解した水であることを特徴とする炭酸化処理方
法。 [5]上記[1]〜[4]のいずれかの炭酸化処理方法に
おいて、固体粒子の表面に存在させる水がClイオンを
含有し、該Clイオンを含有する水が、海水、海水を含
む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれかである
ことを特徴とする炭酸化処理方法。
【0009】[6]上記[1]〜[5]のいずれかの炭酸
化処理方法において、炭酸化反応により生成したCaC
をバインダーとして固体粒子の集合体を塊状に固結
させること特徴とする炭酸化処理方法。 [7]少なくとも一部の固体粒子が、組成の少なくとも
一部として未炭酸化Caを含んだ固体粒子である固体粒
子の集合体に、COガス又はCO含有ガスを接触さ
せ、炭酸化反応により固体粒子の集合体にCOを吸収
させる方法において、主たる固体粒子の表面に、Clイ
オン、NOイオン、Fイオン、COイオンの中から
選ばれる1種以上を含有する水を存在させた状態で炭酸
化反応を生じさせることを特徴とする炭酸化によるCO
吸収方法。 [8]上記[7]のCO吸収方法において、主たる固体
粒子の表面に存在する水が、Clイオン、NOイオ
ン、Fイオン、COイオンの中から選ばれる1種以上
を合計で0.2mol/L以上含有することを特徴とする
炭酸化によるCO吸収方法。
【0010】[9]上記[7]又は[8]のCO吸収方
法において、固体粒子の表面に存在させる水が、固体粒
子表面に水膜状に付着した表面付着水であることを特徴
とする炭酸化によるCO吸収方法。 [10]上記[7]〜[9]のいずれかのCO吸収方法に
おいて、固体粒子の表面に存在させる水が、NaCl、
KCl、MgCl、CaCl、NaF、KF、Na
NO、KNO、Mg(NO、Ca(NO
、NaCO、KCOの中から選ばれる1種以
上が溶解した水であることを特徴とする炭酸化によるC
吸収方法。 [11]上記[7]〜[10]のいずれかのCO吸収方法
において、固体粒子の表面に存在させる水がClイオン
を含有し、該Clイオンを含有する水が、海水、海水を
含む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれかであ
ることを特徴とする炭酸化によるCO吸収方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の炭酸化処理方法の
詳細について説明する。本発明による炭酸化処理方法
は、少なくとも一部の固体粒子が、組成の少なくとも一
部として未炭酸化を含んだ固体粒子である固体粒子の集
合体に、COガス又はCO含有ガスを接触させ、炭
酸化反応によりCaCOを生成させる方法である。こ
こで、固体粒子中に含まれる未炭酸化Ca、すなわちC
aO及び/又はCa(OH)は、少なくとも固体粒子
の組成の一部として含まれるものであればよく、したが
って、鉱物としてのCaO、Ca(OH)の他に、2
CaO・SiO、3CaO・SiO、ガラス等のよ
うに組成の一部として固体粒子中に存在するものも含ま
れる。
【0012】このような固体粒子としては、例えば、コ
ンクリートや鉄鋼製造プロセスで発生したスラグが等が
挙げられる。この固体粒子の種類等については、後に詳
述する。また、固体粒子の粒度に特別な制限はないが、
COガス又はCO含有ガス(以下、単に“CO
ス”という)との接触面積を確保して反応性を高めるた
めにはある程度粒度が細かい方が好ましく、具体的には
実質的に(すなわち、不可避的に含まれる粒度の大きい
固体粒子を除き)20mm以下、特に望ましくは5mm
以下の粒度のものが好ましい。
【0013】本発明法では固体粒子中の未炭酸化Caと
COとの反応性を確保するため、COガスと接触す
る主たる固体粒子の表面に水を存在させること、好まし
くは固体粒子が表面付着水を有していることが必要であ
る。この表面付着水とは、固体粒子とともに存在する水
分のうち、粒子内部に含有される水分以外の水、すなわ
ち固体粒子外表面に水膜状に付着した水のことである。
【0014】固体粒子がその表面に存在する水、好まし
くは表面付着水(以下、表面付着水を例に説明する)を
有している場合、COガスと固体粒子中の未炭酸化C
aとの反応は、固体粒子から表面付着水中に溶出(拡
散)したCa成分(Caイオン)と表面付着水中に溶解
した炭酸ガス成分との反応となり、このような固体粒子
の表面付着水を介したCa成分とCOとの反応が、効
率的な炭酸化反応を生じさせるために特に有効である。
【0015】さらに本発明法では、固体粒子の上記表面
付着水がClイオン、NOイオン、Fイオン、CO
イオンの中から選ばれる1種以上の陰イオンを含んでい
ることが必要であり、これにより固体粒子からの表面付
着水中へのCaイオンの溶出速度が増大し、その結果、
固体粒子の集合体のバインダーとなるCaCOの生成
速度が増大し、短時間で必要な炭酸化反応が完了させる
ことができる。
【0016】固体粒子の表面付着水が上述したような陰
イオンを含むことにより固体粒子からのCaイオンの溶
出速度が増大する理由は必ずしも明らかではないが、以
下のように考えられる。図1は、固体粒子の表面付着水
が適度な濃度のClイオン(Cl)を含む水溶液であ
る場合を例に、Caイオン(Ca2+)の溶出速度が増
加する原理を示したものである。まず、固体粒子に含ま
れているCaOは水分との接触により速やかにCa(O
H)に変化する。ここで、固体粒子の表面付着水に適
量のClが含まれていると、このClが固体粒子の
表面に移動して固体粒子側のCa(OH)のOHと置
換し(図1の)、このClと置換したOHは表面
付着水内の外側領域に移動する(図1の)。そして、
表面付着水の領域中でも特に固体粒子表面に極く近い領
域では溶解度積Ksp=(Ca2+)(OH)にした
がって、上記ClによるOHの置換量に応じてCa
2+の表面付着水中への溶出が生じる(図1の)。以
上の原理により表面付着水へのCaの溶出速度が増大
し、これに伴ってCaCOの生成速度が高まるものと
考えられる。
【0017】固体粒子の表面付着水中に含まれることに
よってCaの溶出促進に効果がある陰イオンとしては、
Clイオン以外にNOイオン、Fイオン、COイオ
ンがあり、したがって、これらの陰イオンについても上
記と同様の原理によってCaの溶出を促進するものと考
えられる。
【0018】固体粒子の表面付着水に上述した陰イオン
の1種以上を含有させるには、NaCl、KCl、Mg
Cl、CaCl、NaF、KF、NaNO、KN
、Mg(NO、Ca(NO、Na
、KCOの中から選ばれる1種以上が溶解した
水を固体粒子の集合体に適量添加し、この添加水分(す
なわち、上述した塩の1種以上を溶解させた水溶液)に
よって固体粒子表面に付着水を形成させるようにすれば
よい。また、海水はNaClを適量含んでいるため、上
記添加水分として最も安価且つ容易に入手できる水溶液
である。したがって、固体粒子の集合体に添加して上記
表面付着水を形成させるための水としては、海水又は海
水を濃縮若しくは稀釈した水、或いは海水を含む水が最
も経済的であると言える。
【0019】図2は、鉄鋼製造プロセスの溶銑予備処理
工程で発生した脱燐スラグ(粒度5mm以下)に水道水
を添加して炭酸化処理する場合と、同じく5%NaCl
水溶液(Clイオン濃度:0.85mol/L)を添加し
て炭酸化処理する場合について、炭酸化処理を42時間
行った際のCO吸収量(={[スラグ中に含まれるC
aCOのCO換算量]/[スラグ総重量]}×10
0)を調べた結果を示している。この試験では含水率が
約6%となるように上記水道水又は水溶液を添加した脱
燐スラグ2000kgをサイズの型枠に入れて充填層を
形成し、型枠の底部から充填層内にCO含有ガス(C
濃度:20%)を100L/minの流量で吹き込
んでスラグの炭酸化処理を行った。図2によれば、スラ
グにClイオンを0.85mol/L含む水溶液(5%N
aCl水溶液)を添加して炭酸化処理した場合には、水
道水を添加して炭酸化処理した場合に較べてCO吸収
量が2〜3%程度多く、CaCOの生成速度が大きい
ことが示されている。
【0020】固体粒子からのCaの溶出速度を特に高め
るという観点からは、固体粒子の表面付着水中の上記陰
イオン(Clイオン、NOイオン、Fイオン、CO
イオンの中から選ばれる1種以上)の合計濃度は、0.
2mol/L以上とすることが好ましい。また、Caの溶
出促進効果をより高めるためには、上記陰イオンの合計
濃度は0.5mol/L以上とすることが好ましい。
【0021】図3は、脱燐スラグ(粒度3mm以下)に
水道水、種々のNaCl濃度のNaCl水溶液を添加し
て炭酸化処理を行った場合について、水溶液のNaCl
濃度と得られた成形体(スラグの固結体)の圧縮強度と
の関係を示したものである。この試験では、含水率が約
6%となるように水道水又はNaCl水溶液を添加した
脱燐スラグを1000mm×1000mm×500mm
のサイズの型枠に入れて充填層(乾燥嵩密度:2.1
3)を形成し、型枠の底部から充填層内にCO含有ガ
ス(CO濃度:25%)を6.5L/minの流量で
40時間吹き込んでスラグの炭酸化処理を行い、成形体
(ブロック)を作成した。この成形体から直径100m
m×高さ200mmのサイズのサンプルを切り出し、圧
縮試験機により圧縮強度を測定した。
【0022】図3において、NaCl濃度:1%がCl
イオン濃度:0.2mol/Lに相当する。同図によれ
ば、NaCl濃度:1%以上、すなわちClイオン濃
度:0.2mol/L以上において、通常の水(水道水)
を用いた場合に較べて成形体の圧縮強度が約20%以上
も向上している。また、NaCl濃度3.5%以上、す
なわちClイオン濃度:0.6mol/L以上において、
通常の水を用いた場合に較べて成形体の圧縮強度が40
%以上向上している。これらの結果は、固体粒子の表面
付着水に含まれる陰イオン(Clイオン)により固体粒
子からのCaの溶出が効果的に促進され、成形体のバイ
ンダー成分となるCaCOの単位時間当たりの生成量
が増大したためである。
【0023】固体粒子の集合体において、各固体粒子に
表面付着水を存在させるために必要な含水量は固体粒子
自体の吸水量(粒子内部に吸水される水分量)等によっ
て異なるが、一般には固体粒子の集合体全体の含水率を
1〜30%程度の範囲内で適宜調整すれば、主たる固体
粒子が表面付着水を有する状態(したがって、表面付着
水を有する粒子間にCOガスの通路が形成された状
態)とすることができる。したがって、このような状態
を得るために必要に応じて事前に固体粒子の集合体に水
分(水溶液)を添加する。
【0024】固体粒子としては、先に述べたように少な
くとも組成の一部として未炭酸化Caを含む固体粒子で
あれば特に制限はないが、未炭酸化Caの含有率が高
く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという
点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリー
ト(例えば、廃コンクリート)等が特に好ましい。一般
に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO濃度は
約13〜55mass%、また、コンクリート(例えば、廃
コンクリート)のCaO濃度は約5〜15mass%(セメ
ント中のCaO濃度:50〜60mass%)であり、ま
た、これらは入手も極めて容易であるため、固体粒子と
して極めて好適な素材であるといえる。したがって、固
体粒子の集合体を構成する固体粒子の少なくとも一部
が、また特に望ましくは主たる固体粒子がスラグ及び/
又はコンクリートであることが好ましい。
【0025】鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとして
は、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等の高炉系スラ
グ、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラ
グ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ
等の製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
く、また、2種以上のスラグを混合して用いることもで
きる。
【0026】また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
には相当量の鉄分(粒鉄等の鉄分)が含まれており、こ
のようなスラグの固体粒子の集合体をそのまま使用する
と、この鉄分の分だけ固体粒子の集合体中でのCaO濃
度が低下するため、スラグとしては地金(鉄分)回収処
理を経たスラグを用いることが好ましい。この地金(鉄
分)回収処理は、スラグ中に含まれている鉄分を鉄鋼製
造プロセスにリサイクルするために一般に行われている
もので、通常、スラグはこの地金回収を行うために粉砕
処理され、磁気選別等の手段によりスラグ中に含まれる
鉄分の相当量が回収除去される。
【0027】また、コンクリートとしては、例えば、建
築物や土木構造物の取壊し等により生じた廃コンクリー
ト等を用いることができる。また、未炭酸化Ca固体粒
子としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モル
タル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物等
が挙げられ、これらの固体粒子の集合体の1種以上を単
独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリ
ートと混合して使用することもできる。これらの素材は
必要に応じて粉状または粒状等に破砕処理され、固体粒
子の集合体として用いられる。
【0028】COガスと接触させるべき固体粒子の集
合体は、その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である
必要はない。すなわち、炭酸化処理によって固体粒子の
集合体を固結させて成形体を得るような場合でも、固体
粒子の集合体全体に含まれる未炭酸化Caの炭酸化によ
って成形体のバインダーとして十分な量のCaCO
生成されるのであれば、固体粒子の集合体に未炭酸化C
aを含まない固体粒子が含まれていてもよい。このよう
な固体粒子としては、例えば天然石、砂、フライアッシ
ュ、クリンカーアッシュ、金属等が挙げられる。
【0029】本発明の炭酸化処理方法では、炭酸化反応
によって固体粒子の集合体を塊状に固結させてもよい
し、或いは固結させないようにしてもよい。すなわち、
固体粒子の集合体をある程度密な充填状態で炭酸化処理
すると炭酸化反応で生じたCaCOがバインダーとな
って固体粒子の充填層は固結し、充填層の形状の成形体
が得られるが、固体粒子の集合体を比較的疎な充填状態
で炭酸化処理した場合には、炭酸化反応でCaCO
生じてもこれが固体粒子どうしを結合するバインダーと
して十分に機能せず、この結果、炭酸化処理後も固体粒
子のままか或いは固体粒子の一部がランダムに固結(凝
集)したような形態となる。
【0030】固体粒子の集合体の炭酸化処理は、固体粒
子の積み山にCOガスを吹き込むことにより行っても
よいが、通常はピット内や型枠内で行われる。すなわ
ち、ピットや型枠内に上述したような固体粒子の集合体
を充填して原料充填層を形成するとともに、原料の水分
量(上述した水溶液からなる水分量)を調整する。しか
る後、ピットや型枠の上部に蓋やシートを被せてその内
部を閉鎖空間とした状態で、ピットや型枠の底部等から
原料充填層内にCOガスを吹き込むことにより、原料
充填層を構成する固体粒子の未炭酸化CaとCOガス
を反応させる。なお、炭酸化処理により固体粒子の充填
層を固結させて成形体を得る場合には、所望の強度の成
形体が得られるように型枠内での充填層の充填率(充填
嵩密度)を適宜調整する。
【0031】固体粒子の集合体と接触させるべきCO
ガスは、その温度をある程度高くすることによりCaイ
オンとの反応性が高まるが、固体粒子の集合体と接触さ
せる空間(以下、反応空間という)内に導入するCO
温度が、当該反応空間内での水の沸点を超えると固体粒
子に付着した水を蒸発させ、却って反応性を阻害する。
このためCOガス温度は反応空間内での水の沸点以下
とすることが好ましい。また同様の理由から、反応空間
内の温度を水の沸点以下に保つこと、さらに、固体粒子
の集合体の温度も反応空間内での水の沸点以下に保つこ
とが好ましい。さらに、同様の観点から、COガス中
の水蒸気濃度は高い方が好ましく、このため予めCO
ガスを水中に通すことでHOを飽和させ、しかる後、
固体粒子の集合体と接触させるようにすることが好まし
い。
【0032】また、処理効率を上げるためには、処理す
る空間内に供給するCOガスを加圧した状態とするこ
とが好ましい。このガス圧力は特に限定しないが、CO
分圧が高いほど固体粒子の表面付着水中へのCO
解速度が大きくなるので、加圧した状態で固体粒子の集
合体と接触させれば、大気圧での接触に較べて処理効率
を効果的に向上させることができる。なお、炭酸化処理
に使用するCO含有ガスのCO濃度の特別な制限は
ないが、効率的な炭酸化処理を行うためには3%以上の
CO濃度のCO含有ガスを用いるのが好ましい。こ
のようなCO含有ガスとしては、CaCO焼成炉の
排ガス、熱風炉ガス、ボイラー排ガス、コークス炉排ガ
ス、焼結炉排ガス、スラブ加熱炉排ガス、焼鈍炉排ガス
等が挙げられる。
【0033】なお、本発明法により固体粒子の充填層を
固結させて得られる成形体は、土木、建設用のブロック
や水中沈設用資料等の種々の用途に適用することがで
き、固体粒子の集合体に通常の水を添加して炭酸化処理
を行うことにより得られる従来の成形体に較べて品質上
劣る点はなく、また従来品と同じ処理時間で製造された
成形体であれば、従来品よりもはるかに高い強度を示
す。また、炭酸化処理によって成形体としない固体粒子
の集合体については、例えば路盤材などのような土木材
料等として用いることができる。
【0034】次に、本発明の炭酸化によるCO吸収方
法について説明する。本発明の炭酸化によるCO吸収
方法は、少なくとも一部の固体粒子が、組成の少なくと
も一部として未炭酸化Caを含んだ固体粒子である固体
粒子の集合体に、COガス又はCO含有ガスを接触
させ、炭酸化反応により固体粒子の集合体にCOを吸
収させる方法である。ここで、固体粒子中に含まれる未
炭酸化Ca、すなわちCaO及び/又はCa(OH)
は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるも
のであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、C
a(OH)の他に、2CaO・SiO、3CaO・
SiO、ガラス等のように組成の一部として固体粒子
中に存在するものも含まれる。
【0035】このような固体粒子としては、例えば、コ
ンクリートや鉄鋼製造プロセスで発生したスラグが等が
挙げられる。この固体粒子の種類等については、後に詳
述する。また、固体粒子の粒度に特別な制限はないが、
COガス又はCO含有ガス(以下、単に“CO
ス”という)との接触面積を確保して反応性を高めるた
めにはある程度粒度が細かい方が好ましく、具体的には
実質的に(すなわち、不可避的に含まれる粒度の大きい
固体粒子を除き)5mm以下、特に望ましくは1mm以
下の粒度のものが好ましい。
【0036】本発明法では固体粒子中の未炭酸化Caと
COとの反応性を確保するため、COガスと接触す
る主たる固体粒子の表面に水を存在させること、好まし
くは固体粒子が表面付着水を有していることが必要であ
る。この表面付着水とは、固体粒子とともに存在する水
分のうち、粒子内部に含有される水分以外の水、すなわ
ち固体粒子外表面に水膜状に付着した水のことである。
【0037】固体粒子がその表面に存在する水、好まし
くは表面付着水(以下、表面付着水を例に説明する)を
有している場合、COガスと固体粒子中の未炭酸化C
aとの反応は、固体粒子から表面付着水中に溶出(拡
散)したCa成分(Caイオン)と表面付着水中に溶解
した炭酸ガス成分との反応となり、このような固体粒子
の表面付着水を介したCa成分とCOとの反応が、効
率的な炭酸化反応を生じさせるために特に有効である。
【0038】さらに本発明法では、固体粒子の上記表面
付着水がClイオン、NOイオン、Fイオン、CO
イオンの中から選ばれる1種以上の陰イオンを含んでい
ることが必要であり、これにより固体粒子からの表面付
着水中へのCaイオンの溶出速度が増大し、その結果、
CaとCOとの反応によるCaCOの生成速度、換
言すれば固体粒子側へのCOの吸収速度が増大し、固
体粒子の集合体へのCO吸収を短時間で効率的に行わ
せることができる。
【0039】固体粒子の表面付着水が上述したような陰
イオンを含むことにより固体粒子からのCaイオンの溶
出速度が増大する理由は必ずしも明らかではないが、先
に説明した図1に示されるような原理により表面付着水
へのCaの溶出速度が増大し、これに伴ってCaCO
の生成速度(=COの吸収速度)が高まるためである
と考えられる。固体粒子の表面付着水中に含まれること
によってCaの溶出促進に効果がある陰イオンとして
は、図1に示すClイオン以外にNOイオン、Fイオ
ン、COイオンがあり、したがって、これらの陰イオ
ンについても上記と同様の原理によってCaの溶出を促
進するものと考えられる。
【0040】固体粒子の表面付着水に上述した陰イオン
の1種以上を含有させるには、NaCl、KCl、Mg
Cl、CaCl、NaF、KF、NaNO、KN
、Mg(NO、Ca(NO、Na
、KCOの中から選ばれる1種以上が溶解した
水を固体粒子の集合体に適量添加し、この添加水分(す
なわち、上述した塩の1種以上を溶解させた水溶液)に
よって固体粒子表面に付着水を形成させるようにすれば
よい。また、海水はNaClを適量含んでいるため、上
記添加水分として最も安価且つ容易に入手できる水溶液
である。したがって、固体粒子の集合体に添加して上記
表面付着水を形成させるための水としては、海水又は海
水を濃縮若しくは稀釈した水、或いは海水を含む水が最
も経済的であると言える。
【0041】図4は、脱硫スラグ(粒度1mm以下)に
水道水を添加して炭酸化処理する場合と、同じく5%N
aCl水溶液(Clイオン濃度:0.85mol/L)を
添加して炭酸化処理する場合について、炭酸化処理を4
時間行った際のCO吸収量(={[スラグ中に含まれ
るCaCOのCO換算量]/[スラグ総重量]}×
100)を調べた結果を示している。この試験では含水
率が約3%となるように上記水道水又は水溶液を添加し
た脱硫スラグ100kgを流動層式の処理槽に入れ、そ
の処理槽内にCO含有ガス(CO濃度:30%)を
1.5m/secで吹き込んでスラグの炭酸化処理を行っ
た。
【0042】図4によれば、スラグにClイオンを0.
85mol/L含む水溶液(5%NaCl水溶液)を添加
して炭酸化処理した場合には、水道水を添加して炭酸化
処理した場合に較べてCO吸収量が30%程度多く、
COの吸収速度が大きいことが示されている。
【0043】固体粒子からのCaの溶出速度を特に高め
るという観点からは、固体粒子の表面付着水中の上記陰
イオン(Clイオン、NOイオン、Fイオン、CO
イオンの中から選ばれる1種以上)の合計濃度は、0.
2mol/L以上とすることが好ましい。また、Caの溶
出促進効果をより高めるためには、上記陰イオンの合計
濃度は0.5mol/L以上とすることが好ましい。
【0044】図5は、脱燐スラグ(粒度2mm以下)に
水道水、種々のNaCl濃度のNaCl水溶液を添加し
て炭酸化処理を行った場合について、水溶液のNaCl
濃度とCO吸収量(={[スラグ中に含まれるCaC
のCO換算量]/[スラグ総重量]}×100)
との関係を示したものである。この試験では、含水率が
約2%となるように水道水又はNaCl水溶液を添加し
た脱燐スラグ50kgを流動層式の処理槽に入れ、その
処理槽内にCO含有ガス(CO濃度:20%)を3
m/secの流速で6時間吹き込んでスラグの炭酸化処理
を行った。
【0045】図5において、NaCl濃度:1%がCl
イオン濃度:0.2mol/Lに相当する。同図によれ
ば、NaCl濃度:1%以上、すなわちClイオン濃
度:0.2mol/L以上において、通常の水(水道水)
を用いた場合に較べてCO吸収量が約15%以上も向
上している。また、NaCl濃度3%以上、すなわちC
lイオン濃度:0.5mol/L以上において、通常の水
を用いた場合に較べてCO 吸収量が40%以上も向上
している。
【0046】固体粒子の集合体において、各固体粒子に
表面付着水を存在させるために必要な含水量は固体粒子
自体の吸水量(粒子内部に吸水される水分量)等によっ
て異なるが、一般には固体粒子の集合体全体の含水率を
1〜30%程度の範囲内で適宜調整すれば、主たる固体
粒子が表面付着水を有する状態(したがって、表面付着
水を有する粒子間にCOガスの通路が形成された状
態)とすることができる。したがって、このような状態
を得るために必要に応じて事前に固体粒子の集合体に水
分(水溶液)を添加する。
【0047】固体粒子としては、先に述べたように少な
くとも組成の一部として未炭酸化Caを含む固体粒子で
あれば特に制限はないが、未炭酸化Caの含有率が高
く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという
点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリー
ト(例えば、廃コンクリート)等が特に好ましい。一般
に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO濃度は
約13〜55mass%、また、コンクリート(例えば、廃
コンクリート)のCaO濃度は約5〜15mass%(セメ
ント中のCaO濃度:50〜60mass%)であり、ま
た、これらは入手も極めて容易であるため、固体粒子と
して極めて好適な素材であるといえる。したがって、固
体粒子の集合体を構成する固体粒子の少なくとも一部
が、また特に望ましくは主たる固体粒子がスラグ及び/
又はコンクリートであることが好ましい。
【0048】鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとして
は、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等の高炉系スラ
グ、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラ
グ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグ
等の製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグ等を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
く、また、2種以上のスラグを混合して用いることもで
きる。
【0049】また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ
には相当量の鉄分(粒鉄等の鉄分)が含まれており、こ
のようなスラグの固体粒子の集合体をそのまま使用する
と、この鉄分の分だけ固体粒子の集合体中でのCaO濃
度が低下するため、スラグとしては地金(鉄分)回収処
理を経たスラグを用いることが好ましい。この地金(鉄
分)回収処理は、スラグ中に含まれている鉄分を鉄鋼製
造プロセスにリサイクルするために一般に行われている
もので、通常、スラグはこの地金回収を行うために粉砕
処理され、磁気選別等の手段によりスラグ中に含まれる
鉄分の相当量が回収除去される。
【0050】また、コンクリートとしては、例えば、建
築物や土木構造物の取壊し等により生じた廃コンクリー
ト等を用いることができる。また、未炭酸化Ca固体粒
子としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モル
タル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物等
が挙げられ、これらの固体粒子の集合体の1種以上を単
独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリ
ートと混合して使用することもできる。
【0051】これらの素材は必要に応じて粉状または粒
状等に破砕処理され、固体粒子の集合体として用いられ
る。COガスと接触させるべき固体粒子の集合体は、
その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である必要はな
いが、COの吸収効率をなるべく高めるためには、な
るべく多くの割合の固体粒子が未炭酸化Caを含んでい
ることが好ましい。
【0052】COガスと固体粒子の集合体とを接触さ
せるための具体的な手段に特別な制約はないが、処理効
率や固体粒子の集合体のハンドリングの容易性等の面で
好適な処理方式として、下記のものを例示できる。 (1) 流動層方式の処理槽を用い、COガスと固体粒子
の集合体とを、COガスを流動用ガスとする流動層内
で接触させる方式 (2) COガスと固体粒子の集合体とをロータリーキル
ン内で接触させる方式 (3) 固体粒子の集合体が充填された充填層を形成し、該
充填層内にCOガスを供給することによりCOガス
と固体粒子の集合体とを接触させる方式
【0053】固体粒子の集合体と接触させるべきCO
ガスは、その温度をある程度高くすることによりCaイ
オンとの反応性が高まるが、固体粒子の集合体と接触さ
せる空間(以下、反応空間という)内に導入するCO
温度が、当該反応空間内での水の沸点を超えると固体粒
子に付着した水を蒸発させ、却って反応性を阻害する。
このためCOガス温度は反応空間内での水の沸点以下
とすることが好ましい。また同様の理由から、反応空間
内の温度を水の沸点以下に保つこと、さらに、固体粒子
の集合体の温度も反応空間内での水の沸点以下に保つこ
とが好ましい。さらに、同様の観点から、COガス中
の水蒸気濃度は高い方が好ましく、このため予めCO
ガスを水中に通すことでHOを飽和させ、しかる後、
固体粒子の集合体と接触させるようにすることが好まし
い。
【0054】また、処理効率を上げるためには、処理す
る空間内に供給するCOガスを加圧した状態とするこ
とが好ましい。このガス圧力は特に限定しないが、CO
分圧が高いほど固体粒子の表面付着水中へのCO
解速度が大きくなるので、加圧した状態で固体粒子の集
合体と接触させれば、大気圧での接触に較べて処理効率
を効果的に向上させることができる。
【0055】なお、炭酸化処理に使用するCO含有ガ
スのCO濃度の特別な制限はないが、効率的な炭酸化
処理を行うためには3%以上CO濃度のCO含有ガ
スを用いるのが好ましい。このようなCO含有ガスと
しては、CaCO焼成炉の排ガス、熱風炉ガス、ボイ
ラー排ガス、コークス炉排ガス、焼結炉排ガス、スラブ
加熱炉排ガス、焼鈍炉排ガス等が挙げられる。
【0056】
【発明の効果】以上述べた本発明の炭酸化処理方法によ
れば、未炭酸化Caを含む固体粒子の集合体にCO
接触させ、炭酸化反応によりCaCOを生成させる際
に、炭酸化反応の反応効率を従来法に較べて大きく向上
させることができ、短時間で効率的な炭酸化処理を行う
ことができる。また、本発明の炭酸化によるCO吸収
方法によれば、未炭酸化Caを含む固体粒子の集合体に
COを接触させ、炭酸化反応により固体粒子の集合体
にCO を吸収させるに際に、炭酸化反応の反応効率を
従来法に較べて大きく向上させることができ、固体粒子
の集合体へのCO吸収を短時間で効率的に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてCaイオンの溶出速度が増加す
る原理を示す説明図
【図2】脱燐スラグに水道水を添加して炭酸化処理する
場合と5%NaCl水溶液を添加して炭酸化処理する場
合についてのCO吸収量を示すグラフ
【図3】脱燐スラグに水道水、種々のNaCl濃度のN
aCl水溶液を添加して炭酸化処理を行った場合におい
て、水溶液のNaCl濃度と得られた成形体の圧縮強度
との関係を示すグラフ
【図4】脱硫スラグに水道水を添加して炭酸化処理する
場合と5%NaCl水溶液を添加して炭酸化処理する場
合についてのCO吸収量を示すグラフ
【図5】脱燐スラグに水道水、種々のNaCl濃度のN
aCl水溶液を添加して炭酸化処理を行った場合におい
て、水溶液のNaCl濃度とCO吸収量との関係を示
すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09B 3/00 304J (72)発明者 高橋 達人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA33 AA43 BA02 CA04 CA34 CA45 CC01 CC11 CC20 4G076 AA16 AB09 AB28 BA33 BB01 BF10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部の固体粒子が、組成の少
    なくとも一部として未炭酸化Caを含んだ固体粒子であ
    る固体粒子の集合体に、COガス又はCO含有ガス
    を接触させ、炭酸化反応によりCaCOを生成させる
    方法において、 主たる固体粒子の表面に、Clイオン、NOイオン、
    Fイオン、COイオンの中から選ばれる1種以上を含
    有する水を存在させた状態で炭酸化反応を生じさせるこ
    とを特徴とする炭酸化処理方法。
  2. 【請求項2】 主たる固体粒子の表面に存在する水が、
    Clイオン、NOイオン、Fイオン、COイオンの
    中から選ばれる1種以上を合計で0.2mol/L以上含
    有することを特徴とする請求項1に記載の炭酸化処理方
    法。
  3. 【請求項3】 固体粒子の表面に存在させる水が、固体
    粒子表面に水膜状に付着した表面付着水であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の炭酸化処理方法。
  4. 【請求項4】 固体粒子の表面に存在させる水が、Na
    Cl、KCl、MgCl 、CaCl、NaF、K
    F、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca
    (NO、NaCO、KCOの中から選ば
    れる1種以上が溶解した水であることを特徴とする請求
    項1、2又は3に記載の炭酸化処理方法。
  5. 【請求項5】 固体粒子の表面に存在させる水がClイ
    オンを含有し、該Clイオンを含有する水が、海水、海
    水を含む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれか
    であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載
    の炭酸化処理方法。
  6. 【請求項6】 炭酸化反応により生成したCaCO
    バインダーとして固体粒子の集合体を塊状に固結させる
    こと特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の炭
    酸化処理方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一部の固体粒子が、組成の少
    なくとも一部として未炭酸化Caを含んだ固体粒子であ
    る固体粒子の集合体に、COガス又はCO含有ガス
    を接触させ、炭酸化反応により固体粒子の集合体にCO
    を吸収させる方法において、 主たる固体粒子の表面に、Clイオン、NOイオン、
    Fイオン、COイオンの中から選ばれる1種以上を含
    有する水を存在させた状態で炭酸化反応を生じさせるこ
    とを特徴とする炭酸化によるCO吸収方法。
  8. 【請求項8】 主たる固体粒子の表面に存在する水が、
    Clイオン、NOイオン、Fイオン、COイオンの
    中から選ばれる1種以上を合計で0.2mol/L以上含
    有することを特徴とする請求項7に記載の炭酸化による
    CO吸収方法。
  9. 【請求項9】 固体粒子の表面に存在させる水が、固体
    粒子表面に水膜状に付着した表面付着水であることを特
    徴とする請求項7又は8に記載の炭酸化によるCO
    収方法。
  10. 【請求項10】 固体粒子の表面に存在させる水が、N
    aCl、KCl、MgCl、CaCl、NaF、K
    F、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca
    (NO、NaCO、KCOの中から選ば
    れる1種以上が溶解した水であることを特徴とする請求
    項7、8又は9に記載の炭酸化によるCO吸収方法。
  11. 【請求項11】 固体粒子の表面に存在させる水がCl
    イオンを含有し、該Clイオンを含有する水が、海水、
    海水を含む水、海水を濃縮若しくは稀釈した水のいずれ
    かであることを特徴とする請求項7、8、9又は10に
    記載の炭酸化によるCO吸収方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005239528A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Jfe Steel Kk 炭酸固化体の製造方法
JP2006188368A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Jfe Steel Kk 炭酸固化体の製造方法
JP2010070392A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Taiheiyo Cement Corp 二酸化炭素固定化方法
JP2015189617A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 学校法人 芝浦工業大学 二酸化炭素を吸着させることによる品質改善効果が期待できる再生骨材か否かを判定する方法

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