(一般説明)
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤面で構成される。
ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉自在に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成される遊技盤の遊技領域を透視可能な板である。扉14は、透明板13を支持する。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。遊技者が発射ハンドル17を回動させると遊技球が発射される。
ぱちんこ遊技機10の遊技盤面には、遊技部品として多数の遊技釘20、風車21、外レール22および内レール23、一般入賞口24、アウト口25、図柄表示装置26、センター飾り部品27、第1種始動入賞口(以下、「始動口」という)28、大入賞口29、普通図柄作動口30、普通図柄表示装置32が設けられる。外レール22は発射された遊技球を遊技領域31へ案内し、内レール23は遊技領域31を区画する。一般入賞口24等の各入賞口に落入しなかった遊技球は、アウト口25に流入する。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本明細書において「落入」は「通過」を含むものとする。
図柄表示装置26は、その画面に第1種特別図柄と呼ばれる図柄(以下、「特別図柄」という)と、特別図柄に連動する装飾図柄を変動させながら表示する。ここで、特別図柄は、始動口28への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に応じて大当たりを発生させるか否かを示すための図柄であり、装飾図柄は、抽選の結果を視覚的に演出するための図柄である。図柄表示装置26は、例えば液晶ディスプレイで構成されるとともに、装飾図柄としてスロットマシーンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。装飾図柄を表示する場合、特別図柄は演出的な役割をもつ必要がないため、図柄表示装置26の隅の目立たない領域に表示される。特別図柄は、変動中に○と×の図柄が繰り返されるような表示態様をとってもよいが、以下では、Cと0から9の数字が繰り返される表示態様をとる場合を示す。具体的に特別図柄は、その変動中、C、0、1・・・8、9と順に表示され、再びCから9までを繰り返す表示態様をとる。特別図柄の停止図柄は、大当たりであるか否かを示し、例えば停止図柄が「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の奇数である場合は確率変動付き大当たりを、また「0」、「2」、「4」、「6」、「8」の偶数である場合には通常の大当たりを、それ以外の「C」は外れを示すものであってよい。ここで、確率変動付き大当たりとは、確率変動の対象となる大当たりを意味する。なお、ぱちんこ遊技機10における演出効果の拡張性を向上させる観点から、特別図柄として利用する数字は0から9までの10個の数字に限らず、例えば0から11までの12個の数字を用いてもよい。12種類の数字は、3つまたは4つに均等に分割することができるため、演出の拡張性をもたらす。
図柄表示装置26の周囲には、センター飾り部品27が設けられており、遊技球の流路、図柄表示装置26の保護、装飾等の機能を有する。始動口28は、例えばセンター飾り部品27の下方等の位置に一つまたは複数設けられる。大入賞口29は、特別図柄が特定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口であり、例えばアウト口25の上方等の位置に設けられる。大入賞口29の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。普通図柄表示装置32には普通図柄として数字等の図柄が変動表示される。普通図柄の変動表示は、普通図柄作動口30に遊技球が落入したときに開始される。普通図柄表示装置32は、例えば7セグメント表示器で構成される。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ遊技領域31へ発射され、遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域31の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘20に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下し、一般入賞口24や始動口28等の各入賞口へ落入するとその入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15に払い出される。遊技球が始動口28に落入すると、図柄表示装置26において特別図柄および装飾図柄が変動表示される。特別図柄および装飾図柄の変動表示は一定時間経過後に停止され、停止時の特別図柄が「0」〜「9」の数字である場合、いわゆる「大当たり」として大入賞口29の開閉動作を開始する。このときスロットマシーンのゲームを模した装飾図柄は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口29は、約30秒間開放された後、または10球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。大入賞口29が開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口29は再度開放される。このように、大入賞口29が1回開放される間に遊技球が少なくとも1球以上特定領域へ落入することを条件に大入賞口29の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口28へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、図柄表示装置26における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域31へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、ぱちんこ遊技機10における遊技を制御する構成を中心とした基本的な機能ブロック図である。メイン制御部70は、図2のメイン基板41がもつ機能に相当し、ぱちんこ遊技機10の全体的な動作および遊技の基本動作を主に制御する。サブ制御部80は、図2のサブ基板49がもつ機能に相当し、装飾図柄の変動表示やぱちんこ遊技機10周囲の電飾等の演出的動作を主に制御する。メイン制御部70からサブ制御部80に対しては、各種制御に関する指示信号が送られるが、サブ制御部80からメイン制御部70へフィードバック的な情報または信号は送られず、常にメイン制御部70からサブ制御部80への一方向通信となる。メイン制御部70およびサブ制御部80は、ハードウェア的にはデータやプログラムを格納するROM、演算処理に用いるCPU等の素子を含む。なお、本図では各種機能をメイン制御部70とサブ制御部80に分けて構成しているが、その分け方は図示の例に限定されない。また、メイン制御部70およびサブ制御部80は一体として構成されてもよい。
一般入賞検出部50は一般入賞口24の内部に設けられたセンサであり、一般入賞口24への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す一般入賞情報を一般入賞処理部55へ送る。一般入賞処理部55は、一般入賞検出部50から一般入賞情報を受け取ると、払出制御基板45の払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送る。
始動入賞検出部51は始動口28の内部に設けられたセンサであり、始動口28への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す始動入賞情報を始動入賞処理部56へ送る。始動入賞処理部56は、始動入賞検出部51から始動入賞情報を受け取ると、払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送るとともに、始動入賞に対する抽選を実行する特別図柄抽選実行部60へ抽選指示を送る。
特別図柄抽選実行部60は、始動入賞情報の取得を契機として、具体的には抽選指示を始動入賞検出部51から受け取った後、抽選を実行する。この特別図柄抽選実行部60は、始動入賞に対して乱数を発生し決定する乱数決定部72と、乱数を取得して抽選当否を判定する当否決定部61と、抽選当否に応じた特別図柄の停止図柄を決定する特別図柄決定部62と、特別図柄の表示パターンを決定する特別図柄パターン決定部73を含む。特別図柄は、例えば数字、文字、記号、マーク等で構成されてよく、本実施例では「C」の文字と、「0」から「9」の数字で構成される。乱数決定部72は、始動入賞処理部56から抽選指示を受け取るたびに所定のカウント範囲、例えば0から65535までの範囲のカウント値を乱数として発生させ、特別図柄保留記憶部63へその乱数を格納する。特別図柄保留記憶部63は、保留数の上限として所定個数、例えば最大4つ分の乱数を格納できるだけの記憶領域を有し、保留個数分が格納されると空き領域が生じるまでそれ以上の乱数は記憶しない。なお、乱数決定時に図柄変動が行われていない場合には、乱数決定部72は、特別図柄保留記憶部63へ乱数を格納せずに、当否決定部61にその乱数を送る。
当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63に格納された乱数の値に応じて、または乱数決定部72から直接送られる乱数の値に応じて、その抽選結果が「大当たり」、「外れ」のいずれに該当するかを判定する。これらの結果は、それぞれ当否決定部61がもつ当否テーブルに数値範囲の形で定義される。当否テーブルでは、例えば0から207までを大当たり値の範囲とし、208から65535までを外れ値の範囲とする。なお、0から207までの大当たり値の範囲のうち、その一部を確率変動付き大当たりの範囲として設定してもよい。特別図柄決定部62は、当否決定部61による抽選結果に応じて、特別図柄の停止図柄の図柄番号を決定する。特別図柄の表示態様が、図柄変動中にCと、0から9までの図柄を繰り返し表示するものである場合、抽選結果が通常の大当たりであれば「0」、「2」、「4」、「6」、「8」を、確率変動付き大当たりであれば「1」、「3」、「5」、「7」、「9」を、外れであれば「C」を停止図柄として決定する。したがってこの場合、当否テーブルでは、0から207までの大当たり値の範囲がさらに10個の範囲に分割されて、それぞれの特別図柄の数字に対応付けられており、特別図柄決定部62は、乱数値に応じて、特別図柄の停止図柄を決定する。
特別図柄パターン決定部73は、特別図柄の表示パターンを決定し、例えば特別図柄の変動時間などを決定する。当否決定部61による当否決定、特別図柄決定部62による特別図柄の停止図柄の決定、および特別図柄パターン決定部73による特別図柄の表示パターンの決定は、前回の抽選結果に基づく図柄変動が終了し、当回の抽選結果に基づく演出表示を開始するときに行われる。なお、これらの処理の実行タイミングは、乱数決定部72において乱数が決定された時点で行われてもよい。特別図柄保留記憶部63による乱数の保留数、当否決定部61による当否結果、特別図柄決定部62による停止図柄の図柄番号、および特別図柄パターン決定部73による特別図柄の表示パターン番号はサブ制御部80へ送られる。
表示指示部74は、図柄表示装置26の左下隅に、決定された特別図柄の表示パターンおよび停止図柄にしたがって、特別図柄を表示させるようサブ制御部80に指示する。具体的には、特別図柄の表示パターンとして、特別図柄の変動時間が60秒であることが定められ、また停止図柄が「3」であって、変動時間の最後2秒間で停止図柄を表示することが定められている場合には、表示指示部74が、変動開始から58秒が経過するまで、Cと0から9までの数字をサイクリックに表示させ、58秒が経過してから60秒が経過するまでの間に「3」を停止図柄として表示させるよう指示する。サブ制御部80の表示処理部92は、表示指示部74から指示を受けて図柄表示装置26の表示を制御する。なお、特別図柄は、図柄表示装置26中の他の箇所に表示されてもよく、また図柄表示装置26以外に設けられる表示部に表示されてもよい。さらに表示指示部74は、図柄表示装置26の画面内に特別図柄の保留数、すなわち未だ特別図柄の変動表示がなされていない乱数の値を最大4個まで表示させる。なお、保留数も、図柄表示装置26以外の表示部にて表示されてもよい。
サブ制御部80は、装飾図柄決定部82、装飾図柄パターン決定部84、装飾図柄パターン格納部86、および表示処理部92を含む。装飾図柄決定部82は、当否決定部61における当否結果に基づいて、図柄表示装置26において表示する複数列の装飾図柄の停止図柄を決定する。なお、装飾図柄決定部82は、特別図柄決定部62において決定された特別図柄の停止図柄番号をもとに、装飾図柄の複数列、一般には3列の停止図柄を決定してもよい。装飾図柄決定部82は、当否結果または特別図柄の図柄番号と、装飾図柄の図柄番号とを対応付けたテーブルを有し、このテーブルをもとに装飾図柄の停止図柄を決定する。以下の表1には、テーブルにおいて、特別図柄の大当たり停止図柄に対応付けられた、装飾図柄の大当たり停止図柄の対応を示す。
装飾図柄の大当たり停止図柄は、左図柄、中央図柄、右図柄の3つの図柄が揃った表示態様となる。抽選結果が大当たりの場合、特別図柄決定部62により特別図柄の大当たり停止図柄が決定されると、上表の対応関係をもとに、装飾図柄決定部82が、装飾図柄の大当たり停止図柄を決定する。「111」「333」「555」「777」「999」の奇数図柄は、遊技者に確率変動付き大当たりであることを提示し、「000」「222」「444」「666」「888」の偶数図柄は、通常の大当たりであることを提示する。
一方、抽選結果が外れの場合、装飾図柄決定部82は、左図柄、中央図柄、右図柄のうち少なくとも一つが他の図柄と一致しないよう各図柄番号を決定する。なお、特別図柄と装飾図柄の対応付けは1対1である必要はなく、特別図柄の図柄番号に対して、複数の装飾図柄の画像が対応付けられていてもよい。この場合、装飾図柄決定部82は、対応付けられた複数の装飾図柄のうちから、任意の1つを選択し決定してもよい。
上記のように、特別図柄と装飾図柄とを対応付けたテーブルを予め用意しておいてもよいが、図柄表示装置26の画面上で装飾図柄として3列の停止図柄を表示させる場合に、装飾図柄決定部82は、左図柄、中央図柄、右図柄の各図柄番号を所定の図柄番号範囲でアットランダムに選択してもよい。ただし装飾図柄決定部82は、特別図柄の停止図柄番号が「大当たり」を示す場合は左図柄、中央図柄、右図柄がそれぞれ同じ図柄となるよう各図柄番号を決定し、さらに特別図柄の停止図柄番号が「確率変動付き大当たり」を示す場合は、遊技者に確率変動付き大当たりであることを提示するために、全てが揃った奇数図柄番号を決定する。一方、当否結果が「外れ」を示す場合、または特別図柄の停止図柄番号が「外れ」を示す場合は、装飾図柄決定部82は左図柄、中央図柄、右図柄のうち少なくとも一つが他の図柄と一致しないよう各図柄番号を決定する。
装飾図柄パターン決定部84は、抽選の結果に基づいて、少なくとも装飾図柄の図柄変動の表示パターンを決定する。装飾図柄の表示パターンは、具体的には、装飾図柄の画像、装飾図柄の変動パターン、変動表示の演出パターンを主に表す。変動パターンには、装飾図柄の変動過程が定められている。演出パターンには、装飾図柄の変動表示およびリーチ動作を含んだ表示過程をどのように進行または演出するかが定められている。装飾図柄パターン決定部84は、特別図柄パターン決定部73において決定された特別図柄の表示パターン番号に基づいて、装飾図柄の画像、装飾図柄の変動パターン、変動表示の演出パターンを決定する。装飾図柄パターン格納部86は、装飾図柄の画像、背景の画像、キャラクタの画像等、様々な画像を記憶するとともに、これら画像を図柄表示装置26の画面内にどのような表示形態で変動させるかを定めた複数の変動パターンと、複数の演出パターンとを記憶する。変動パターンと演出パターンは、特別図柄パターン決定部73で決定される特別図柄の表示パターンに対応づけられている。なお、装飾図柄の変動表示やリーチ動作を含む全体の演出時間が特別図柄の変動時間と等しくなるように変動パターンと演出パターンが決定される。表示処理部92は、装飾図柄パターン決定部84で決定された装飾図柄の変動パターンおよび演出パターンで装飾図柄の図柄変動を図柄表示装置26に表示させ、変動終了後に装飾図柄決定部82にて決定された装飾図柄の停止図柄を表示させる。
装飾図柄パターン決定部84は、演出パターンテーブルを参照し、特別図柄パターン決定部73から受け取る表示パターン番号に対応する演出パターンを決定する。演出パターンテーブルには、表示パターン番号と演出パターンの対応関係が定められている。
メイン制御部70において、表示指示部74は、特別図柄の変動表示内容を決定すると、変動開始指示をサブ制御部80の表示処理部92に送り、図柄変動の表示時間のカウントを行う。サブ制御部80の表示処理部92は、変動開始指示を受け取ると、装飾図柄の変動表示を開始する。表示指示部74は、特別図柄の変動時間が終了するタイミングで、特別図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示させるように、変動表示の停止指示をサブ制御部80へ送る。表示処理部92は、変動表示の停止指示を受け取ると、装飾図柄の停止図柄を図柄表示装置26に表示する。これにより、1回の抽選結果による表示処理が終了する。
当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63から読み出した乱数の値が大当たり値であった場合、停止図柄の表示後、特別遊技の開始指示を特別遊技実行部64へ送る。特別遊技実行部64は、特別遊技処理部65、継続判定部66、および確変判定部67を含む。特別遊技処理部65は、大入賞処理部58に対して大入賞口の開放指示を送る。大入賞処理部58は、特別遊技処理部65から受け取る開放指示に基づいて大入賞口29を開放させる。開放された大入賞口29に落入する遊技球は、大入賞口29の内部に設けられたセンサである大入賞検出部53により検出され、大入賞口29へ遊技球が落入すると大入賞処理部58は払出制御部79へ賞球数等の払出指示を送るとともに、1回の大入賞口29の開放における遊技球の落入球数を計数する。大入賞処理部58は、約30秒間の開放期間が経過するか、または大入賞口29へ落入する遊技球が10球に達したときに大入賞口29を一旦閉鎖する。
領域通過検出部54は、大入賞口29の内部に設けられた特定領域(Vゾーン)への遊技球の通過を検出するセンサであり、遊技球の通過があったことを示す特定領域通過情報を領域通過処理部59へ送る。領域通過処理部59は、領域通過検出部54から特定領域通過情報を受け取り、これを特別遊技実行部64の継続判定部66へ送る。継続判定部66は、1回の大入賞口29の開放において特定領域へ1球以上の通過が検出された場合に、次の開放を特別遊技処理部65に指示する。特別遊技処理部65は、継続判定部66による特定領域の通過判定があったことを継続条件として大入賞口29を最大で15回繰り返して開放状態におく。確変判定部67は、乱数値または特別図柄の停止図柄の態様に応じて、大当たり終了後の遊技を通常遊技とするか、当たり確率の高い確率変動遊技とするかについて判定し、判定結果を確変実行部68へ送る。確変判定部67は、停止図柄が特定の図柄の場合に、次の遊技を確率変動遊技へ移行すべきと判定する。
確変実行部68は、確率変動遊技へ移行すべき旨の判定を確変判定部67から受け取った場合、当否決定部61がもつ当否テーブルを確率変動遊技用に変更する。例えば、通常遊技時の大当たり値の範囲が0から207までであったのに対し、確率変動遊技時の大当たり値の範囲を0から1093までとする。これにより、確率変動遊技時の大当たり確率が、通常遊技時よりも大きくなる。
作動検出部52は普通図柄作動口30の内部に設けられたセンサであり、普通図柄作動口30への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す普通図柄作動情報を作動処理部57へ送る。作動処理部57は、作動検出部52から普通図柄作動情報を受け取ると、普通図柄の抽選指示を普通図柄抽選実行部69へ送る。普通図柄抽選実行部69は、抽選指示を受け取ると、その抽選結果として乱数を取得してこれを普通図柄保留記憶部71へ格納する。普通図柄抽選実行部69は、普通図柄抽選の乱数として例えば0から9までの範囲のカウント値を取得する。普通図柄保留記憶部71は、普通図柄の抽選結果である乱数を所定個数、例えば最大で4個格納するだけの記憶領域を有する。普通図柄抽選実行部69は、普通図柄保留記憶部71から乱数を読み出してその抽選当否を判定する。普通図柄抽選実行部69がもつ当否テーブルには、例えば0〜7が当たり値として定義され、8及び9が外れ値として定義される。普通図柄抽選実行部69は、読み出した乱数が当たり値であるか外れ値であるかに基づいて普通図柄抽選の当否を判定する。その当否の判定結果は、表示指示部74および作動処理部57へ送られる。表示指示部74は、表示処理部92が受け取った乱数の値を停止図柄とする普通図柄の図柄変動を普通図柄表示装置32へ表示させるように指示する。作動処理部57は、当たりの判定結果を普通図柄抽選実行部69から受け取った場合、所定の入賞口、例えば始動口28の両側に設けられた可動片(いわゆる電動チューリップ)を一定時間動作させて、通常状態よりも始動口28へ遊技球が落入しやすい状態とする。
図4は、通常遊技から特別遊技へ移行する過程を示すフローチャートである。まず始動入賞検出部51が始動口28への遊技球の落入を検出すると(S10のY)、特別図柄抽選実行部60が、図柄変動中であるか否かを判定する(S12)。図柄が変動中でなければ(S12のN)、乱数決定部72が乱数を決定し(S14)、当否決定部61が、乱数に基づいて抽選当否を判定する(S28)。一方、図柄が変動中であれば(S12のY)、特別図柄保留記憶部63に乱数を保留可能であるか否かを判定する(S16)。図柄変動中、例えば4個の乱数が特別図柄保留記憶部63に保留されていれば、それ以上の乱数を保留することができないため(S16のN)、特別図柄保留記憶部63はその乱数を取得しない。一方、保留されている乱数の数が3個以内であれば、乱数決定部72は、乱数を保留する記憶領域が空いていることを判定し(S16のY)、乱数を決定する(S18)。この場合、乱数決定部72は、特別図柄保留記憶部63の空き領域に乱数を記憶させる(S20)。
またS10において、始動口28への入賞がなければ(S10のN)、当否決定部61が、特別図柄保留記憶部63に乱数が保留されているか否かを判定する(S22)。保留されていない場合(S22のN)、本フローを終了し、保留されている場合は(S22のY)、その時点で行われている図柄変動が終了するのを待つ。なお乱数が保留されている場合とは、入賞が以前に発生し且つその入賞の抽選結果についての図柄変動が未だ行われていない状態を示す。このとき、図柄表示装置26では、保留球以前の入賞の抽選結果についての特別図柄および装飾図柄の変動表示がなされている。なお、S12における図柄変動と、S22の判定時点で表示されている図柄変動を、本フローでは説明の便宜上、「前回の図柄変動」と呼び、これに続く図柄変動のことを「当回の図柄変動」と呼ぶことにする。
前回の図柄変動が終了すると、当否決定部61は、特別図柄保留記憶部63に保留されている抽選結果のうち最初に抽選結果として格納された乱数を読み出してその記憶内容を消去し(S24)、2番目以降の領域に抽選結果の乱数が格納されていればそれらをそれぞれ一つ前の記憶領域へシフトする(S26)。当否決定部61は、読み出した乱数に基づいて抽選当否を判定し(S28)、続いて、図柄変動の表示内容が決定される。表示指示部74の表示指示に応じて、表示処理部92は当回の特別図柄および装飾図柄を図柄表示装置26に変動表示させる(S30)。S28における当否決定部61による当否判定の結果、乱数が大当たり値であった場合(S32のY)、特別遊技へ移行し(S34)、抽選結果の乱数が外れ値であれば(S32のN)、S34をスキップして本フローを終了する。
図5は、図4のS28における抽選当否を判定する処理を詳細に示すフローチャートである。以下では図5および図6を用いて、抽選当否の判定と、続く図柄変動の表示内容の決定までを示す。図5では、メイン制御部70における処理S28aを示し、また図6では、サブ制御部80における処理S28bを示す。
S24において当否決定部61により読み出された乱数、またはS14において決定された乱数が大当たり値(0〜207)に該当する場合(S50のY)、さらに、この乱数が確率変動付き大当たり値であるか否かを判定する(S51)。確率変動付き大当たり値である場合(S51のY)、特別図柄決定部62は、確変当たり用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、確変当たり用の特別図柄の表示パターンを決定する(S52)。確率変動付き大当たり値でない場合(S51のN)、特別図柄決定部62は、通常当たり用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、通常当たり用の特別図柄の表示パターンを決定する(S53)。また、S50において、乱数が外れ値(208〜65535)である場合(S50のN)、特別図柄決定部62は、外れ用の特別図柄の停止図柄を決定し、また特別図柄パターン決定部73は、外れ用の特別図柄の表示パターンを決定する(S54)。当否結果、特別図柄の停止図柄および表示パターン番号は、サブ制御部80に送られる。
図6は、装飾図柄の決定処理を示すフローチャートである。装飾図柄決定部82は、当否結果または特別図柄の停止図柄をもとに、装飾図柄の停止図柄を決定する(S60)。続いて、装飾図柄パターン決定部84は、特別図柄の表示パターンをもとに、装飾図柄をリーチ演出するか否かを判定する(S61)。この判定は、特別図柄の表示パターン番号に基づいてなされてもよい。例えば、特別図柄の表示パターン番号がリーチ演出すべき表示パターンを示す場合であって(S61のY)、さらにスーパーリーチ演出する表示パターンを示す場合(S62のY)、装飾図柄パターン決定部84は、スーパーリーチ用の装飾図柄の表示パターンを決定する(S63)。スーパーリーチでないリーチを演出する表示パターンを示す場合(S62のN)、装飾図柄パターン決定部84は、ノーマルリーチ用の装飾図柄の表示パターンを決定する(S64)。S61において、特別図柄の表示パターン番号がリーチ演出しない表示パターンを示す場合(S61のN)、装飾図柄パターン決定部84は、リーチなしの装飾図柄の表示パターンを決定する(S65)。なお、当否結果または特別図柄の停止図柄により、抽選結果が大当たりであることが示される場合には、常にリーチ演出する表示パターンが決定される。また、S60における装飾図柄の停止図柄決定は、S63、S64、S65における表示パターンの決定と同時に行われてもよいし、表示パターンの決定後に行われてもよい。
図7は、図4のS34における特別遊技の動作を詳細に示すフローチャートである。特別遊技の開始とともに大入賞処理部58は大入賞口29を開放し(S70)、大入賞検出部53が大入賞口29への遊技球の落入を検出した場合(S71のY)、大入賞処理部58はその球数をカウントし(S72)、大入賞口29へ落入した遊技球が特定領域を通過したことを領域通過検出部54が検出した場合(S73のY)、領域通過処理部59は通過フラグをオンする(S74)。大入賞口29への遊技球の落入が検出されないときは(S71のN)、S72からS74をスキップする。大入賞口29へ落入した遊技球が特定領域を通過しなかった場合(S73のN)、S74がスキップされ、領域通過処理部59は通過フラグをそのままにする。S71からS74までの処理は、大入賞口29への落入球数のカウント値が10球以上に達するか、大入賞口29の開放時間が30秒間に達するまで繰り返され(S75のN)、これらいずれかの条件に達した場合(S75のY)、大入賞処理部58は大入賞口29を一旦閉鎖する(S76)。ここで通過フラグがオンになっていれば(S77のY)、特定領域への通過があったものとして通過フラグと落入球数のカウント値をリセットし(S78)、特別遊技のラウンド数をインクリメントして(S79)、そのラウンド数が15回に達するまで(S80のN)、S70からS79までの処理を繰り返す。ラウンド数が15回に達した場合(S80のY)、または通過フラグがオンになっていない場合に(S77のN)、特別遊技が終了される。以上がぱちんこ遊技機の一般的な説明である。
(実施例の説明)
本実施例におけるぱちんこ遊技機10は、選ばれやすい表示パターンの表示時間を出球状況に応じて変更する出球調整機能を有する。本実施例におけるぱちんこ遊技機10は上述の一般的なぱちんこ遊技機10がもつ構成および機能の他、以下の構成および機能をさらに有する。
図8は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10における遊技を制御する構成を中心とした基本的な機能ブロック図である。図3と同一の符号を付した構成は、図3で説明した構成と同一または同様の機能を有する。図3に追加する構成として、ぱちんこ遊技機10は、出球情報記憶部102を更に備える。本実施例の出球情報記憶部102は、当否決定部61による抽選結果が大当たりの場合に、大当たりが発生した時刻を記憶する。
また、特別図柄パターン決定部73は、選択基準決定部104及び表示パターン記憶部106を更に備える。選択基準決定部104は、出球情報記憶部102に記憶された大当たり発生時刻に基づいて、表示時間の異なる複数の表示パターンの中から1の表示パターンを選択する際の選択確率を定める選択基準を決定する。特別図柄パターン決定部73は、選択基準決定部104で決定された選択基準と、表示パターン記憶部106に定められた選択基準毎の各表示パターンの選択確率とに従って、表示パターンを決定する。
図9は、表示パターン記憶部106が有する選択基準毎の表示パターンの選択確率を示すテーブルの一例である。表示パターンは、リーチ無しの表示パターンA、及びリーチ有りの表示パターンB〜Hまでの計7つに分かれている。表示パターンAの表示時間は5(秒)であり、表示パターンB〜Hの表示時間は順に10,15,20,25,30,45,300(秒)となっている。選択基準は、通常時と出球調整時によって異なる。
通常時の選択基準は選択基準Aと選択基準A’がある。選択基準Aは当否決定部61による抽選結果が外れの場合に該当し、選択基準A’は、当否決定部61による抽選結果が大当たりの場合に該当する。選択基準A’では、表示パターンAの選択確率は0であり、リーチ有りの表示パターンのいずれかが選択される。
出球調整時の選択基準は選択基準B,B’,C,C’及びSがある。選択基準B及びCは、当否決定部61による抽選結果が外れの場合の選択基準であり、選択基準B’,C’及びSは、当否決定部61による抽選結果が大当たりの場合の選択基準である。
当否決定部61による抽選結果が外れの場合の表示時間を比較すると、選択される確率が最も高い表示パターンは、選択基準Aでは表示パターンC(表示時間15(秒))、選択基準Bでは表示パターンD(表示時間20(秒))、選択基準Cでは表示パターンE(表示時間25(秒))となっており、選択基準によって選ばれやすい表示パターンの表示時間が異なっている。
また、当否決定部61による抽選結果が大当たりの場合の表示時間を比較すると、選択される確率が最も高い表示パターンは、選択基準A’では表示パターンD(表示時間20(秒))、選択基準B’では表示パターンE(表示時間25(秒))、選択基準C’では表示パターンF(表示時間30(秒))となっており、選択基準によって選ばれやすい表示パターンの表示時間が異なっている。また、選択基準Sでは、表示パターンA〜Gが選ばれる確率はゼロであり、表示時間が表示パターンの中で最長であるリーチHが強制的に選択される。
図10は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の表示パターンを決定する際の過程を示すフローチャートである。まず始動入賞検出部51が始動口28への遊技球の落入(以下、単に「始動入賞」とよぶ)を検出する。始動入賞しなければ(S100のN)、S110からS190の処理はスキップされる。始動入賞していれば(S100のY)、特別図柄パターン決定部73は当否決定部61による抽選結果が「大当たり」か「外れ」かを判定する(S110)。
抽選結果が大当たりの場合には(S110のY)、大当たり時の表示パターン決定が行われる(S160)。大当たり時の表示パターン決定の過程については後述する。一方、抽選結果が外れであれば(S110のN)、特別図柄パターン決定部73は、出球情報記憶部102に記憶された大当たりの発生時刻の履歴を参照し、30分前から現時刻までに大当たりが発生した回数(以下、「30分以内の大当たり回数」とよぶ)を算出し、30分以内の大当たり回数が3回以上か否かを判定する(S120)。
30分以内の大当たり回数が2回以下であれば(S120のN)、特別図柄パターン決定部73は、出球情報記憶部102に記憶された大当たりの発生時刻の履歴を参照し、45分前から現時刻までに大当たりが発生した回数(以下、「45分以内の大当たり回数」とよぶ)を算出し、45分以内の大当たり回数が5回以上か否かを判定する(S130)。45分以内の大当たり回数が4回以下の場合には(S130のN)、選択基準Aが選択され(S140)、45分以内の大当たり回数が5回以上の場合には(S130のY)、選択基準Bが選択される(S180)。
一方、ステップ(S120)において、30分以内の大当たり回数が3回以上であれば(S120のY)、30分以内の大当たり回数が4回以上か否かを判定する(S170)。30分以内の大当たり回数が3回の場合には(S170のN)、選択されやすい表示パターンの表示時間が選択基準Aより長い選択基準Bが選択される(S180)。また、30分以内の大当たり回数が4回以上の場合には(S170のY)、選択されやすい表示パターンの表示時間が選択基準Bより長い選択基準Cが選択される(S190)。
特別図柄パターン決定部73は、外れ時の選択基準が選択された後、表示パターン記憶部106に格納された各選択基準の表示パターン選択確率に従って、表示パターンを決定する(S150)。
図11は、図10のステップ(S160)の処理を更に詳細に示すフローチャートである。まず、特別図柄パターン決定部73は、出球情報記憶部102に記憶された大当たりの発生時刻の履歴を参照し、30分以内の大当たり回数を算出し、30分以内の大当たり回数が3回以上か否かを判定する(S200)。
30分以内の大当たり回数が2回以下であれば(S200のN)、特別図柄パターン決定部73は、出球情報記憶部102に記憶された大当たりの発生時刻の履歴を参照し、45分以内の大当たり回数を算出し、45分以内の大当たり回数が5回以上か否かを判定する(S210)。45分以内の大当たり回数が4回以下の場合には(S210のN)、選択基準A’が選択され(S220)、45分以内の大当たり回数が5回以上の場合には(S210のY)、選択基準B’が選択される(S250)。
一方、ステップ(S200)において、30分以内の大当たり回数が3回以上であれば(S200のY)、30分以内の大当たり回数が4回以上か否かを判定する(S240)。30分以内の大当たり回数が3回の場合には(S240のN)、選択基準B’が選択される(S180)。また、30分以内の大当たり回数が4回以上の場合には(S240のY)、30分以内の大当たり回数が5回以上か否かを判定する(S260)。30分以内の大当たり回数が4回の場合には(S260のN)、選択基準C’が選択される(S270)。また、30分以内の大当たり回数が5回以上の場合には(S260のY)、選択基準Sが選択される(S280)。
特別図柄パターン決定部73は、大当たり時の選択基準が選択された後、表示パターン記憶部106に格納された各選択基準の表示パターン選択確率に従って、表示パターンを決定する(S230)。なお、選択基準Sは、表示パターンHの確率が1であるため、選択基準Sが選ばれると、最長の表示時間を有する表示パターンHが強制的に選択される。これにより、出球が所定の許容範囲を超えそうな場合に、表示時間を通常よりも極端に長くすることによって時間を稼ぎ、大当たりを先延ばしにすることで出球調整をより確実に行うことができる。
本実施例によれば、現時刻から所定時間内の大当たり回数に基づく出球状況が勘案され、単位時間当たりの大当たり回数が一定の基準を超えて大きくなるにつれて、表示時間の長い表示パターンが選択されやすくなる。このため、遊技が進行するペースが遅くなり、次回の大当たりまでの時間が延びる。すなわち、次回の大当たりが先送りされる結果として、大当たり確率そのものについてはなんら変更されることなく、時間あたりの出球を容易に抑制することができる。
また、単位時間当たりの大当たり回数が一定の基準を超えて大きくなるにつれて、表示時間が徐々に長くなるように段階的に選択基準が変更されるため、表示時間が長くなることによって遊技者が感じる違和感を抑制することができる。
また、大当たり回数の算出における単位時間を複数にすることにより、大当たりの履歴をより適切かつ効果的に活用することができるので、出球調整がより適切かつきめ細かになる。たとえば、本実施例では、30分以内の大当たり回数が2回以下の場合に、45分以内の大当たり回数が5回以上か否かを判定することにより、45分前から30分前までの出球状況が勘案され、30分以内という直近の出球状況から見逃されてしまう出球状況をも加味して出球の調整を行うことができる。
なお、上記実施例において、出球情報記憶部102は、大当たりが発生した時刻を記憶しているが、これに代えて、出球情報記憶部102は、ぱちんこ遊技機の電源がONされた時刻などの所定の開始時刻以降に発生した大当たり回数をカウントすることとしてもよい。この場合には、図10のステップ(S120)及び図11のステップ(S200)では、開始時刻から現時刻までの時間と大当たり回数から、30分平均の大当たり回数が計算され、30分平均の大当たり回数が3回以上か否かが判定される。図10のステップ(S170)及び図11のステップ(S240)では、開始時刻から現時刻までの時間と大当たり回数から、30分平均の大当たり回数が計算され、30分平均の大当たり回数が4回以上か否かが判定される。また、図11のステップ(S260)では、開始時刻から現時刻までの時間と大当たり回数から、30分平均の大当たり回数が計算され、30分平均の大当たり回数が5回以上か否かが判定される。なお、図10のステップ(S130)及び図11のステップ(S210)は省略される。
これによれば、単位時間当たりの平均大当たり回数に基づく出球状況が勘案され、平均大当たり回数が一定の基準を超えて大きくなるにつれて、表示時間の長い表示パターンが選択されやすくなる。この結果、次回の大当たりが先送りされ、大当たり確率そのものについてはなんら変更されることなく、時間あたりの出球が効果的に抑制される。
また、他の実施例では、図8の機能ブロック図の出球情報記憶部102は、所定の時間あたりにおける大当回数に所定の賞球数を乗算して得られる出球数を出球情報として記憶する。たとえば、出球情報記憶部102は、当否決定部61による抽選結果が大当たりの場合に、大当たりが発生した時刻を記憶し、更に、30分前から現時刻までに発生した大当たり回数に大当たりの賞球数として、たとえば2000個を乗算して得られる出球数(以下「30分以内の出球数」とよぶ)を記憶する。同様に、出球情報記憶部102は、45分前から現時刻までに発生した大当たり回数に大当たりの賞球数として、たとえば2000個を乗算して得られる出球数(以下「45分以内の出球数」とよぶ)を記憶する。
図12及び13は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の表示パターンを決定する際の過程を示すフローチャートである。図10及び11と同一のステップ符号を付したステップは、図10及び図11と同様な手順を有する。
図12のステップ(S122)及び図13のステップ(S202)では、30分以内の出球数が6000個以上か否かが判定される。図12のステップ(S172)及び図13のステップ(S242)では、30分以内の出球数が8000個以上か否かが判定される。図12のステップ(S132)では、45分以内の出球数が10000個以上か否かが判定される。また、図13のステップ(S262)では、30分以内の出球数が10000個以上か否かが判定される。
これによれば、現時刻から所定時間内の出球数に基づく出球状況が勘案され、出球数が一定の基準を超えて大きくなるにつれて、表示時間の長い表示パターンが選択されやすくなる。この結果、次回の大当たりが先送りされ、大当たり確率そのものについてはなんら変更されることなく、時間あたりの出球が効果的に抑制される。
以上、実施例をもとに本発明を説明した。なお本発明はこの実施例に限定されることなく、そのさまざまな変形例もまた、本発明の態様として有効である。
たとえば、上記実施例では、大当たり時にも選択されやすい表示パターンの表示時間が異なる選択基準が複数設けられているが、大当たり時には共通の選択基準を用い、確率的に主要なイベントである外れ時において出球調整をしてもよい。
10 ぱちんこ遊技機、51 始動入賞検出部、56 始動入賞処理部、60 特別図柄抽選実行部、61 当否決定部、62 特別図柄決定部、63 特別図柄保留記憶部、64 特別遊技実行部、70 メイン制御部、72 乱数決定部、73 特別図柄パターン決定部、80 サブ制御部、82 装飾図柄決定部、84 装飾図柄パターン決定部、86 装飾図柄パターン格納部、102 出球情報記憶部、104 選択基準決定部、106 表示パターン記憶部。