以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。各実施の形態に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等については、同一符号を付すに留め、その説明はできるだけ省略する。
図1において、符号100は印刷装置の一例である孔版印刷装置を、符号200は複数の給紙部の一例として孔版印刷装置100の下方に複数段設けられた下方給紙部としてのバンク給紙部をそれぞれ示す。符号100Aは孔版印刷装置100側の骨組みをなす本体フレームを、符号200Aはバンク給紙部200側の骨組みをなすバンク本体フレームをそれぞれ示す。
孔版印刷装置100は図1に示すように、製版済のマスタ2をその外周面に巻き付ける円筒状の版胴1と、版胴1の左側に配設され製版終了後のマスタ2を版胴1の外周面から剥離して収納する排版部18と、版胴1の右方に配設され未製版のマスタに対して製版を行い給版する製版部19と、排版部18、版胴1および製版部19の上方に配設され原稿の画像を読み取る原稿読取部3と、版胴1の下方に配設され、給送されて来た用紙Pの先端を挾持・保持する保持手段としての用紙クランパ21が設けられ、版胴1の外周面上のマスタ2に用紙Pを押し付ける印圧手段を構成する圧胴20と、圧胴20の右方に配設され版胴1と圧胴20との間に形成される印刷部90に向けて用紙Pの先端を送り出すレジスト手段33と、圧胴20の左方に配設された印刷された排紙部80とを具備している。
版胴1は、図2に示すように、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された図示しない複数層のメッシュスクリーンとを有し、支軸11の周りに回転可能に支持されている。版胴1は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を可変できるようにメインモータ150を含む版胴1の駆動系を介して回転される。このメインモータ150は、例えばDCモータから構成されている。
メインモータ150の出力軸150aには、エンコーダ151が取り付けられている。エンコーダ151近傍の本体フレーム100A側には、エンコーダ151を所定の間隔をもって挾み付け発光部および受光部を具備した透過型の光学センサからなり、エンコーダーセンサ152が配設されている。本形態ではメインモータ150の出力軸150aと一体に回転するエンコーダ151の回転を検出してパルスを発生する版胴検知手段としてエンコーダーセンサ152が用いられ、このエンコーダーセンサ152でパルスを検出することにより、版胴1の回転速度が検出されるようになっている。これにより、メインモータ150を介して版胴1の回転速度の制御がなされるようになっている。
版胴1の外周面には、製版部19で穿孔・製版されたマスタ2の先端を挾持するマスタクランパ12が配置されている。マスタクランパ12は、マスタクランパ軸12aを介して回動可能に支持されていて、図示しない強磁性体よりなるステージに対向して版胴1が所定の回転位置を占めたときに、図示しない開閉装置により開閉される。
製版部19は、芯管10aにロール状に巻かれて形成された未製版のマスタロール10からマスタ2を繰り出し可能に支持する支持軸10bと、マスタ2を搬送するプラテンローラ9と、プラテンローラ9に対して接離自在に設けられたサーマルヘッド17と、プラテンローラ9の下流側に設けられ、マスタ2を切断する上下一対のカッタ部材4と、マスタ2の先端をマスタクランパ12へ向けて送り出す給版ローラ対5a,5bとから主に構成されている。
プラテンローラ9は、その軸を回転自在に支持されており、パルスモータ6により所定の周速度で回転駆動され、マスタ2をサーマルヘッド17に押圧しながら搬送する。サーマルヘッド17は、マスタ2の幅方向に1列に配列された複数の発熱素子を有し、図示しない周知の接離機構によって、プラテンローラ9に接離自在に設けられている。サーマルヘッド17は、原稿読取部3のA/D変換部および図示しない製版制御部で処理されて送り出されるデジタル画像信号に基づきマスタ2を選択的に加熱穿孔し、穿孔画像を形成する機能を有する。上方のカッタ部材4は、カッタ駆動モータ7で回転される偏心カム8により上下動され、マスタ2を切断する。製版部19によるマスタ2の長さ及び製版領域サイズは用紙サイズに応じて設定される。ここでいうマスタ2の長さとは、マスタ送り方向への長さであり、この長さはパルスモータ6のパルス数から判断される。製版領域サイズとは、マスタ送り方向への長さであり、この長さはサーマルヘッド17が駆動されてからその駆動が停止されるまでのパルスモータ6のパルス数から後述の制御手段250により判断される。
版胴1の内部には、版胴外周面上のマスタ2にインキを供給するインキ供給装置22が配設されている。インキ供給装置22は、版胴1と同方向に同期して回転し、版胴1の内周面にインキを供給するインキローラ13と、インキローラ13と僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキローラ13との間にインキ溜り16を形成するドクターローラ15と、インキ溜り16へインキを供給するパイプ状をなす支軸11とを有している。インキ溜り16からインキローラ13の外周面に供給されたインキは、版胴1とインキローラ13の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴1の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、支軸11の供給穴よりインキ溜り16へ供給される。
本形態では、用紙Pに対する印刷レジスト精度の向上、画像濃度の安定および印刷時の静音化を図る目的で印圧手段として用紙クランパ21を備えた圧胴20を用いている。圧胴20は、その外径寸法となる直径を版胴1の外径寸法となる直径と略等しく形成されていて、版胴1が1回転したとき、圧胴20も1回転する。圧胴20及び版胴1の大きさは、実施例的にいうと外径寸法=180mm、軸方向への長さ300mmのものを採用している。なお、印圧手段は、上記した圧胴20ではなく、版胴1の下方近傍において、マスタ2を介して版胴1に接離自在な版胴1よりも小さなプレスローラであっても構わない。
用紙クランパ21は、印刷部90よりも用紙搬送方向Xの上流側において開閉されて用紙Pの先端を挾持保持するとともに、印刷部90よりも用紙搬送方向Xの下流側において開閉されることでインキが転写された用紙Pの先端を開放するようになっている。このため、用紙Pの先端は印刷部90から排出されるので、用紙Pがインキの粘着力により版胴1に巻き上がらないという利点もある。
圧胴20は、その回転中心に設けられた圧胴軸23が一対のアーム25a,25bに回転自在に支持されている。各アームの一端は本体側に固定された支点軸24aによって揺動自在に支持されている。各アームの他端には、アーム25a、25bを図2において上方に向かって付勢する印圧スプリング26a、26bの一端が装着されている。この印圧スプリング26a、26bの他端は、装置本体側に固定されている。このため、圧胴20は、版胴1に向かう方向に付勢されている。このアーム25a、25bの一部には圧胴20が版胴1と接触しない離間位置に保持する周知の保持手段が設けられている。また、圧胴20側には、版胴1の外周面に接触する印圧カムが設けられていて、このカムの作用により版胴に対して接離動作可能とされている。
図2に示すように、圧胴20における奥側の端板20bには、図示しないスペーサを介してエンコーダ60が取り付けられている。エンコーダ60には、インクリメンタル型のフォトエンコーダが採用されていて、多数のスリットが外周部に放射状に並べられた1チャンネルのフォトエンコーダである。一方、エンコーダ60の近傍におけるアーム25bの内側には、圧胴検知手段としてのエンコーダーセンサ61がエンコーダ60の外周部を所定の間隔をもって挟むようにして図示しないブラケットを介して取り付けられている。エンコーダーセンサ61は、圧胴20の用紙クランパ21に対してレジストローラ対33a,33bによる用紙Pの先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴20における回転速度変動を検知するパルスエンコーダの機能を有している。エンコーダ60の外径の大きさは、圧胴20の外径と同じであり、図2では図を見やすくするために小さ目に描いている。
排紙部80は、圧胴20の左側に配置されている。排紙部80は、排紙爪81と、排紙爪81で剥離・案内された用紙Pを搬送する、搬送ローラ前83と搬送ローラ後84との間に張設された搬送ベルト85と、図示しない吸引ファンとから構成されている。搬送ベルト85は、モータ等により版胴1の周速度よりも速い搬送速度で駆動されるように設定されている。搬送ベルト85の近傍には、印圧部90を通過した用紙Pを検知するための用紙検知センサ87が配置されている。通常、用紙検知センサ87は、反射型や透過型、フィラー型等のセンサが用いられている。これら排紙部80の左側には、排出された用紙Pを積載する排紙トレイ82が設けられている。
圧胴20の右方には、用紙Pの先端にたわみを形成した後、版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に形成される印刷部90に向けて用紙Pの先端を送り出すレジスト手段33と、レジスト手段33に向けて給紙する給紙手段29を有する給紙部28とが設けられている。レジスト手段33は、上下一対のレジストローラ33a,33bから構成されている。レジストローラ33a,33bは、本体フレーム100Aに回転自在に支持されている。これらローラのうち、レジストローラ33bには、レジスト駆動手段としてのレジスト駆動モータ58が図示しない駆動伝達手段を介して連結されている。これによりレジストローラ33bは駆動ローラとして機能する。レジストモータ58は、ステッピングモータで構成されている。
給紙部28は、用紙Pを積載して水平状態で昇降可能な給紙台としての補助トレイ31と、補助トレイ31上の用紙Pを1枚ずつ分離してレジストローラ33a,33bに向けて用紙Pの先端を給送する給紙手段29と、補助トレイ31上に積載された用紙Pの先端を突き当て揃える給紙前面板35とを具備している。レジストローラ33a,33bの駆動には、メインモータ150の回転駆動力とは独立したレジストモータ58でレジストローラ33bを回転するレジストローラ独立駆動方式を採用している。
給紙手段29は、呼出しローラ30と分離ローラ32および分離パッド34から構成されている。給紙手段29の駆動には、メインモータ150の回転駆動力とは独立した可変給紙駆動手段としての給紙モータ74で分離ローラ32を回転する給紙手段独立駆動方式を採用している。すなわち、呼出しローラ30と分離ローラ32とは、各ローラにそれぞれ設けられたプーリーに巻き掛けられたベルト37によって一体回転するように構成されている。本形態では、分離ローラ32が給紙モータ74によって回転駆動されるように構成されている。
補助トレイ31は、図示しない駆動装置により、積載された用紙Pの最上位が、常に呼出しローラ30に用紙Pが搬送可能な押圧力をもって接触するように昇降される。補助トレイ31は、用紙サイズA3やA4、あるいはA3縦長サイズよりも長い不定形の用紙Pが積載可能な大きさとされている。A3縦長サイズとは、A3サイズの用紙Pを用紙搬送方向Xに縦長にセットした長さを指す。不定形な用紙とは、A3縦長サイズよりも長いサイズとは限らず、A3縦長サイズとA4サイズの用紙Pを用紙搬送方向Xに縦長にセットしたA4縦長サイズとの中間のサイズを含むものである。補助トレイ31には、JIS規格で定められた用紙サイズの用紙Pを検知する後述する複数の用紙サイズ検知センサ群50が設けられている。
給紙部28と印刷部90の間には、ガイド板38,39,40によって形成された横給紙路RXが配設されている。ガイド板38における用紙搬送方向(横給紙方向)Xの上流側端部は、上方に湾曲していて、給紙手段29により用紙搬送方向Xの下流側に給送された用紙Pの先端がレジストローラ33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たることで、湾曲した所定のたわみを形成するように用紙Pの先端を案内するようになっている。
横給紙路RXには、バンク給紙部200と接続する縦給紙路RZ1が接続されている。この縦給紙路RZ1は、ガイド板40,41,42によって構成されている。縦給紙路RZ1には、バンク給紙部200から給送された用紙Pの先端をレジストローラ33a,33bに向けて送り出し、レジストローラ33a,33bに当接させてたわみを形成する用紙搬送手段としての一対の中間搬送ローラ55a,55bが設けられている。中間搬送ローラ対55a,55bは、給紙モータ74により回転駆動される。
給紙モータ74は、補助トレイ31からの給紙時と、バンク給紙部200からの給紙時の場合とでは、その回転方向が逆転するようになっている。分離ローラ32と中間搬送ローラ55aには、給紙モータ74からの回転を連断するための図示しない一方向クラッチが介装されていて、給紙モータ74の回転が何れか一方のローラにしか伝達されないように構成されている。
ガイド板41,42の相対向する一端部は、山形状に湾曲して形成されていて、バンク給紙部200における後述する給紙手段29−1,29−2により後述する複数のローラ群を介して縦給紙方向Zの下流側に給送された用紙Pの先端がレジストローラ33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たることで、湾曲したたわみを形成するように用紙Pの先端を案内するようになっている。レジスト手段33よりも、用紙搬送方向Xの下流側には、用紙通過状態を検知する用紙検知手段として機能するレジストセンサ52が配設されている。
図3に示すように、レジストローラ33aは、薄紙のシワを低減する目的でローラ軸33cに一体的に取り付けられた3個のこま切れ状ローラからなり、上方のガイド板38に形成された5つの開口部38aの内の中央部の3つの開口部38aに適宜の隙間をもって挿入されている。レジストローラ33aは、図示を省略したレジストローラ上下機構を介して5個のこま切れ状ローラからなる図示しないレジストローラ33bに接離自在に配設されている。
レジストセンサ52は、図1、図3に示すように、実施例的にいうと、ローラ軸33cの中心から用紙搬送方向Xの下流側に19mm下った位置の上側のガイド板38に取り付けられている。レジストセンサ52は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサから構成されている。上側のガイド板38には、上記発光部からの出射光および用紙Pの先端表面からの反射光を通す図示しない開口部が開けられている。レジストセンサ52は、用紙Pがセンサ下方を通過している最中においてはオン状態となるもので、用紙Pの通過状態を検出するものである。すなわち、レジストセンサ52は、用紙Pの後端がセンサ下方を通過するまで用紙検知を行っている。
レジストローラ上下機構は、その一端がローラ軸33cの両端に取り付けられローラ軸33cを揺動自在に支持する一対のローラアーム33d,33dと、各ローラアーム33d,33dの他端に取り付けられ所定角度回動自在な揺動支軸36と、揺動支軸36の奥側端部に取り付けられたベアリングを備えた図示しない圧解除カムフォロアと、本体フレーム100A側に設けられ上記圧解除カムフォロアに摺接する図示しないレジストローラ開閉カムと、上側のレジストローラ33aを下側のレジストローラ33bに圧接する向きに付勢する図示しないスプリングとから構成されている。なお、上記レジストローラ開閉カムの回転駆動力は、版胴1を回転するメインモータ150の回転駆動力からギヤ等の回転伝達部材を介して得ているが、メインモータ150の負荷をさらに減らしたいのであれば、機械式の上記レジストローラ上下機構に代えてソレノイドやステッピングモータ等の電気式駆動力により制御するようにしてもよい。
次に、バンク給紙部200側の構成について説明する。バンク給紙部200は、図1に示すように、本体フレーム100Aの下部にバンク本体フレーム200Aを介して着脱自在に配設されている。バンク給紙部200は、バンク本体フレーム200A内に設けられた上段の給紙部としてのバンク上給紙部201および下段の給紙部としてのバンク下給紙部202と、縦給紙路RZ1と連結する縦給紙路RZ2と、バンク下給紙部201,202から用紙Pをそれぞれ給紙する給紙手段29−1,給紙手段29−2を備えている。
バンク上給紙部201は、複数枚の用紙Pを積載し上昇して給紙位置に臨む上限位置と最も下降した下限位置との間で昇降自在なトレイ上143及びトレイ上143を水平状態に保ちながら上限位置と下限位置との間に昇降させる図示しないバンク上水平昇降手段と、トレイ上143の用紙Pを1枚ずつ分離して横給紙方向X1に給紙する給紙手段29−1と、後述するバンク上用紙サイズ検知センサ群50−1を備えている。本形態において、トレイ上143に積載可能な用紙サイズはJIS規格A3横長サイズまたはB5横長サイズとされている。
バンク下給紙部202は、複数枚の用紙Pを積載し上昇して給紙位置に臨む上限位置と最も下降した下限位置との間で昇降自在なトレイ下145、トレイ下145を水平状態に保ちながら上限位置と下限位置との間に昇降させる図示しないバンク下水平昇降手段と、トレイ下145の用紙Pを1枚ずつ分離して横給紙方向X1に給紙する給紙手段29−2と、後述するバンク下用紙サイズ検知センサ群50−2とを備えている。実施形態1では、トレイ下145に積載可能な用紙サイズがJIS規格A3またはA4横長サイズとされている。本形態の孔版印刷装置100では、印刷開始時においてはこれら用紙サイズ検知センサ群50,50−1,50−2からの用紙サイズ情報に応じて装置の基本的な設定がなされるように構成されている。
縦給紙路RZ2には、搬送ローラ106a,106b及び中間ローラ118a,118bが回転可能にそれぞれ配設されている。これら搬送ローラ106a,106b及び中間ローラ118a,118bのうち、搬送ローラ106b及び中間ローラ118bは、バンク給紙モータ104によって回転駆動される。
給紙手段29−1及び給紙手段29−2は、それぞれ個別なバンク給紙モータ102,103によって回転駆動されるように構成されている。バンク給紙モータ102,103は、ステッピングモータから構成されている。中間ローラ対118a,118bは駆動モータ104によって回転駆動される。
図4を用いて本発明の制御系について説明する。孔版印刷装置1の内部には、図4に示す制御手段250が配設されている。制御手段250は、図示を省略した、CPU(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等をそれぞれ備え、それらが信号バスによって接続された構成を有する周知のコンピュータで構成されている。制御手段250のROMには、用紙サイズに応じた製版領域サイズ情報S1、用紙サイズに応じた一版分のマスタの長さ情報に相当するパルスモータ6のステップ数や製版領域サイズに対応するサーマルヘッド17への印加パルス数、エンコーダーセンサ61からのパルス数から用紙搬送方向Xへの用紙サイズを算出する計算式と、エンコーダーセンサ152からのパルス数に対応した印刷速度情報が予め設定されている。
制御手段250の入力側には、レジストセンサ52、エンコーダーセンサ61,152、用紙サイズ検知センサ群50,50−1,50−2、及び製版部19に製版動作を開始させる製版スイッチとなる製版スタートキー160、エンコーダーセンサ61やエンコーダーセンサ152からのパルス数をカウントするカウンター161が接続されている。
制御手段250の出力側には、パルスモータ6、カッタ駆動モータ7、サーマルヘッド17、レジストモータ58、給紙モータ74、バンク給紙モータ102,103,104、メインモータ150や及び、装置の異常を警告する表示手段としての警告ランプ163、及び図示しないが排版部18の駆動系や圧胴の接離機能の駆動系が接続されている。サーマルヘッド17と制御手段250とは、サーマル駆動回路164を介して接続されている。サーマル駆動回路164は、サーマルヘッド17の発熱体へのパルス幅を制御して印加エネルギーを調整する機能を備えている。本形態において、製版スタートキー160と警告ランプ162は、図示しない操作パネルに配設されている。操作パネルには、その他に、印刷枚数などの数値情報を入力するためのテンキーや機器の動作を停止させるストップキー等が設けられている。本形態において、製版スタートキー160が操作されて製版指令が発せられると、パネルモータ6及びサーマルヘッド17が駆動されて製版部19による製版が実行されるとともに、所定の長さのマスタ2が送り出されるとカッタ駆動モータ7が駆動されて一版分のマスタが形成される。また、カッタ駆動モータ7が駆動されると、製版終了信号が出力される。
本形態の制御手段250は、レジストセンサ52が用紙Pの先端から後端までを検出するまでの、エンコーダーセンサ61からのパルス数をカウンター161でカウントし、そのカウント値から実際に通紙されている用紙Pのサイズを算出する機能と、算出した用紙サイズと製版済のマスク2の製版領域サイズとを比較し、製版領域サイズが用紙サイズよりも大きい場合には警告ランプ162を駆動してランプを点灯あるいは点滅させて警告表示を行う機能を備えている。本形態において、版胴1及び圧胴20の回転速度(印刷速度)は一定速度であるものとして、既に補助トレイ31の用紙サイズ検知センサ群50によって最初の製版が終了しているものとする。この製版に対する製版領域サイズ情報S1はRAMに記憶されている。
図5に示すフローチャートに沿って本発明の特徴となる制御手段250による制御動作を説明する。図5のステップT1では、製版終了信号の有無が判断され、製版終了信号が出力されている場合にはステップT2に進んで、関連する駆動モータ類を起動する。ここでは、メインモータ150を駆動して版胴1と圧胴20とを定速回転させるとともに、給紙モータ74を駆動して用紙Pを給紙する。そして、圧胴20が図1に示す位置で用紙Pの先端を挟持できるタイミングでレジストモータ58を駆動する。
レジストモータ58が駆動すると、レジストローラ33a,33bが回転駆動して用紙Pが印刷部90に送り出される。そして、レジストセンサ52の下方を用紙Pが通過すると、すなわち、用紙先端が通過すると、レジストセンサ52がオンとなる。ステップT3では、このレジストセンサ52がオンを判断し、オン状態であるとステップT4に進み、エンコーダーセンサ61からのパルスの計測をカウンター161で開始する。この間、メインモータ150及びレジストモータ58の駆動は継続されているので、版胴1及び圧胴20の回転角が進められ、用紙Pも印刷部90に向かって搬送を進められる。そして、用紙クランパ21によって用紙先端がくわえられ、圧胴20の回転に伴い印刷部90内へ搬送され、版胴1側からインキを転写されつつ印刷部90を通過する。用紙Pは、レジストローラ33a,33bによって搬送され、その後端がレジストローラ33a,33bの間を通過する。
ステップT5では、レジストセンサ52からの出力がオフであるかが判断され、オフであると用紙Pの後端がセンサ下方を通過したものとして、ステップT6へと進む。ステップT6では、カウンター161によるエンコーダーセンサ61からのパルスの計測を停止し、ステップT7に進んで、カウンター161でのカウント値をROMに設定された計算式によって計算して用紙サイズを算出する。
ステップT8では、算出された用紙サイズ(算出用紙サイズ)P1と、RAMに記憶されている製版領域サイズS1とを比較し、算出用紙サイズP1よりも製版領域サイズS1が大きく場合には、用紙ステップT9において警告ランプ162を点灯させ、ステップT10において装置の動作を停止してこの制御を終える。
算出用紙サイズP1よりも製版領域サイズS1が小さい場合、用紙サイズに対して適正な製版領域サイズの製版が成されているものとして、すなわち用紙サイズセンサ群50による用紙サイズ検知が正しいものとして、ステップT11に進んで印刷を継続させたままとする。
エンコーダーセンサ61によるパルス発生を圧胴回転角1°で1パルスとすると、本形態では圧胴20の直径が180mmと設定されているので、エンコーダーセンサ61により用紙先端から後端までが検出されるまでの間に191パルスをカウンター161がカウントすると、191パルス=191°、ゆえに、180mmxπ×191°/360°=300mmとなる。
本形態は、このように実際に通紙されている用紙サイズ検知を正確に測定することで、次のようなことができるようになる。補助トレイ31にセットされた用紙Pが定型サイズのものでなく、A4縦長サイズよりも長くB4縦長サイズよりも短い330mm位の不定形な用紙だとすると、用紙サイズ検知センサ群50のA3サイズを検知するセンサが作動するため、このセンサにより誤って用紙サイズが検知されてしまう。この状態で製版が実行されると、孔版印刷装置100は、297mm×420mmのA3サイズと判断してしまい、A3サイズの大きさでマスク2を製版してしまう。前記の条件で印刷すると、用紙サイズより製版領域サイズが大きいため、印刷部90を用紙Pが通過した状態であっても、圧胴20は版胴1と圧接した状態で回転するので、圧胴20と版胴1のマスタとが直接接触することになり、圧胴表面にインキが付着する。このままの状態で印刷を継続すると、用紙Pの裏面にインキが転写されていまい、裏移りのある異常画像の印刷が成されてしまう。
しかし、本形態のように、レジスト手段33よりも用紙搬送方向Xの下流側に配置されて用紙通過状態を検知するレジストセンサ52で用紙先端を検知した時から用紙後端を検知するまでの、エンコーダーセンサ61からのパルスをカウントし、このカウント値から制御手段250で用紙サイズを算出するので、実際に通紙されている用紙Pのサイズが正確に検知可能となり、用紙サイズに応じて設定される各種設定を良好に行える。また、制御手段250が、算出用紙サイズP1と製版済のマスク2の製版領域サイズS1とを比較し、製版領域サイズS1が用紙サイズP1よりも大きい場合には、警告ランプ162を点灯させて装置の動作を停止するので、製版領域サイズの異常、すなわち、用紙サイズと製版領域サイズのミスマッチをオペレータに知らせつつ、不適正なサイズによる印刷を停止することができ、圧胴20に対するインキの付着や付着インキが用紙Pの裏面に転写されて発生する裏移りとともに、用紙の無駄な使用を抑制することができる。
図6は制御手段250による別な制御形態を示すものである。この形態の特徴は、算出用紙サイズP1と製版領域サイズS1とを比較し、製版領域サイズS1が算出用紙サイズP1よりも大きい場合で、製版スタートキー160が操作された場合には、算出用紙サイズP1に対応する製版領域の製版を製版部19で実行させることにある。
以下、図6に示すフローチャートに基づいて、本発明の特徴となる制御手段250による制御動作を別な形態を説明する。図6において、ステップU1〜ステップU9までは図5に示したステップT1〜ステップT9と同様の内容とする。ステップU8では、算出された用紙サイズ(算出用紙サイズ)P1と、RAMに記憶されている製版領域サイズS1とを比較し、算出用紙サイズP1よりも製版領域サイズS1が大きい場合には、用紙ステップT9において警告ランプ162を点灯させる。この警告ランプ162の点灯により、オペレータに異常が知らされ、ステップU10において製版スタートキー160の操作の有無が判断される。ここで製版スタートキー160が押下されていると、ステップU11に進み、算出用紙サイズ情報P1に応じた製版動作を製版部19で実行する。ステップU8において、算出用紙サイズP1よりも製版領域サイズS1が小さい場合、用紙サイズに対して適正な製版領域サイズの製版が成されているものとして、すなわち用紙サイズセンサ群50による用紙サイズ検知が正しいものとして、ステップU12に進んで印刷を継続させたままとする。
このように、本形態によると、算出用紙サイズ情報P1と製版領域サイズS1とを比較し、製版領域サイズS1が算出用紙サイズ情報P1よりも大きい場合で、製版スタートキー160が操作された場合には、算出用紙サイズ情報P1に対応する製版領域サイズの製版を製版部19が実行するので、算出用紙サイズ情報P1に対応する新たな再製版を行うことができ、用紙サイズと製版領域サイズとのミスマッチによる不具合を解消することができる。
図7は、制御手段250による別な制御形態を示すものである。この形態の特徴は、算出用紙サイズが予め設定された所定の用紙サイズ以下の場合には、版胴1の回転速度が所定速度となるまで、メインモータ150を増速制御する点にある。
本形態において、制御手段250のROMには、複数の回転速度と、所定の用紙サイズP2が設定されている。第1の回転速度は高速回転速度であり、第2の回転速度は、第1の回転速度よりも早い回転速度とされている。本形態の孔版印刷装置100の印刷時の版胴1の回転速度は、最大で120rpm/分であり、この回転速度は、エンコーダーセンサ152からのパルスから検出する。この回転速度であると用紙搬送方向Xの長さが約450mmまで用紙サイズは通紙できる。印刷速度、すなわち版胴1の回転速度をさらにアップし150rpm/分とし、用紙搬送方向Xの長さが450mmの用紙サイズを印刷しようとすると、用紙後端が給紙手段29に残っているタイミングで絵紙分離・搬送しなければならなくなり、確実な給紙分離搬送が困難となる。
本形態において、回転速度が150rpm/分において用紙Pの後端が給紙手段29から外れる用紙搬送方向Xへの長さは、約400mmである。400mm以下なら、確実な絵紙分離搬送ができる。そこで本形態では、所定の用紙サイズを400mmとしている。よって第1の回転速度は、120rpm/分であり、第2の回転速度は150rpm/分としている。所定の用紙サイズとは、用紙搬送方向Xへの長さが400mmの用紙Pとしている。
図7に示すフローチャートに基づいて本発明の特徴となる制御手段250による制御動作を別な形態を説明する。図7において、ステップV1では、製版終了信号の有無が判断され、製版終了信号が出力されている場合にはステップV2に進んで第1の印刷速度が設定され、ステップV3に進む。ステップV3では、関連する駆動モータ類を起動する。ここでは、メインモータ150を起動して版胴1と圧胴20とを第1の回転速度で回転させるとともに、給紙モータ74を駆動して用紙Pを給紙する。そして、圧胴20が図1に示す位置で用紙Pの先端を挟持できるタイミングでレジストモータ58を駆動する。
レジストモータ58が駆動すると、レジストローラ33a,33bが回転駆動して用紙Pが印刷部90に送り出される。そして、レジストセンサ52の下方を用紙Pが通過すると、すなわち、用紙先端が通過すると、レジストセンサ52がオンとなる。ステップV4では、このレジストセンサ52がオンを判断し、オン状態であるとステップV5に進み、エンコーダーセンサ61からのパルスの計測をカウンター161で開始する。この間、メインモータ150及びレジストモータ58の駆動は継続されているので、版胴1及び圧胴20の回転角が進められ、用紙Pも印刷部90に向かって搬送を進められる。そして、用紙クランパ21によって用紙先端がくわえられ、圧胴20の回転に伴い印刷部90内へ搬送され、版胴1側からインキを転写されつつ印刷部90を通過する。用紙Pは、レジストローラ33a,33bによって搬送され、その後端がレジストローラ33a,33bの間を通過する。
ステップV6では、レジストセンサ52からの出力がオフであるかが判断され、オフであると用紙Pの後端がセンサ下方を通過したものとして、ステップV7へと進む。ステップV7では、カウンター161によるエンコーダーセンサ61からのパルスの計測を停止し、ステップV8に進んで、カウンター161でのカウント値をROMに設定された計算式によって計算して用紙サイズを算出する。
ステップV9では、算出された用紙サイズ(算出用紙サイズ)P1と、ROMに記憶されている所定の用紙サイズP2とを比較し、算出用紙サイズP1が所定の用紙サイズP2より小さい場合には、ステップV10において回転速度を第2の回転速度となるまでメインモータ150を増速制御する。一方、算出用紙サイズP1が所定の用紙サイズP2より大きい場合には、速度アップすると用紙の分離搬送が上手くいかないので、ステップV11に進んで第1の回転速度を維持したままとする。
このように本形態によると、算出用紙サイズP1が予め設定された所定用紙サイズP2以下の場合には、エンコーダーセンサ152で検出される版胴1の回転速度を第2の印刷速度となるまで、メインモータ150を増速制御するので、所定用紙サイズP2以下の用紙Pの場合には印刷速度を早めることができ、効率のよい印刷を行える。
図8は、印刷装置としての孔版印刷装置の別な形態を示すものである。この孔版印刷装置400は、図1に示す孔版印刷装置1に対し、バンク給紙部200が無く、かつ印圧手段として版胴1よりも小径のプレスローラを用いている点が大きく相違している。
孔版印刷装置300は、スキャナ部302、製版部303、排版部304、給紙部305、画像形成部306、排紙部307から主に構成されている。スキャナ部302は図示しない原稿載置部にセットされた原稿を、画像情報として読み込む部分であり、製版部303は読み込まれた画像情報をマスタ2に図示しない製版手段としてのサーマルヘッドで書き込み、マスタ2を画像形成部306の印刷ドラム308まで搬送し、カッタで切断することで印刷ドラム308の外周面に巻き付けする周知の機能を備えている。排版部304は、印刷終了後に不要になった印刷ドラム308の外周面上に巻き付けられたマスタ2を剥がし、排版されたマスタ2をストックする機能を有している。
給紙部305は、給紙台としての給紙トレイ310、給紙手段329を構成する給紙コロ330と分離コロ320、分離コロ320に圧接する分離部材としての分離パッド312、分離パッド312を分離コロ320に押圧するための押圧部材としてのスプリング318、レジストローラ313、上ガイド板314及び下ガイド板315等から主に構成されている。給紙トレイ310は、その上に用紙Pが積載され、孔版印刷装置300に上下動自在に支持されている。給紙トレイ310は、用紙Pの増減と連動して図示しない昇降機構により上下動される。給紙コロ330と分離コロ320とは、最上位の用紙Pと当接するように設けられているとともに、何れかのローラが回転駆動されることで連動して駆動するように、ローラの軸が駆動伝達機構337によって連結されている。これら給紙コロ330と分離コロ320は、可変給紙駆動手段としての給紙モータ374によって回転駆動される、給紙モータ374にはステッピングモータを用いる。
分離コロ320よりも用紙搬送方向Xの下流側には、レジスト手段としてのレジストローラ313が配設されている。レジストローラ313は、給紙トレイ10から給紙コロ330と分離コロ320で搬送された用紙の先端をくわえ込み、用紙Pタイミングを計って印刷ドラム308の外周面と後述する印圧部材としてのプレスローラ309との間に形成される印圧部323へと送出する機能を備えている。上ガイド板314及び下ガイド板315は、孔版印刷装置300の図示しない側板に固定されており、用紙Pの給紙をガイドする。
レジストローラ313の手前の用紙搬送経路、すなわちレジストローラ313よりも用紙搬送方向Xの上流側には用紙の先端を検知する用紙先端センサ353が配設されている。レジストローラ313と印刷部323の間の用紙搬送経路、すなわちレジスト手段313よりも用紙搬送方向Xの下流側には用紙通過状態を検知する用紙検知手段としてのレジストセンサ35420が配設されている。これに用紙先端センサ353とレジストセンサ354は、図1,2で示すレジストセンサ52同様、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサから構成されている。レジストローラ313は、レジスト駆動手段としてのレジストモータ358によって回転駆動される。本形態において、レジストモータ358にはステップピングモータが用いられている。
画像形成部6は、駆動手段となるメインモータ325によって回転駆動される版胴308と、この版胴308に押圧される印圧手段としてのプレスローラ309を備えている。画像形成部6では、搬送された用紙Pをプレスローラ9により版胴308の外周面に押圧することで、版胴308の外周面に着巻されたマスタ2の画像を用紙Pに転写する。
版胴308の側板には、エンコーダ351が取り付けられている。エンコーダ351近傍の本体フレームには、エンコーダ351を所定の間隔をもって挾み付け発光部および受光部を具備した透過型の光学センサからなるエンコーダーセンサ352が配設されている。本形態では版胴308と一体に回転するエンコーダ351の回転を検出してパルスを発生する版胴検知手段としてエンコーダーセンサ352が用いられ、このエンコーダーセンサ352でパルスを検出することにより、版胴308の回転速度が検出されるようになっている。
排紙部307は、印刷された用紙Pを版胴308より剥がし、排紙トレイ317へ排出するための吸着部316と印刷された用紙Pをストックするための排紙トレイ317で構成されている。吸着部316は搬送ベルト、駆動源及び用紙Pを搬送ベルトに吸引するためのファンを備えた周知の構成である。吸着部316には、印圧部323を通過した用紙Pを検知するための用紙検知センサ321が配置されている。通常、用紙検知センサ321は、反射型や透過型、フィラー型等のセンサが用いられている。
図10を用いて本発明の制御系について説明する。孔版印刷装置300の内部には、図10に示す制御手段400が配設されている。制御手段400は、図示を省略した、CPU(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等をそれぞれ備え、それらが信号バスによって接続された構成を有する周知のコンピュータで構成されている。
制御手段400の入力側には、給紙トレイ310上の用紙サイズを検知する用紙サイズ検知センサ群50、エンコーダーセンサ352、用紙先端センサ353、レジストセンサ354及び製版部303に製版動作を開始させる製版スイッチとなる製版スタートキー360、エンコーダーセンサ352からのパルス数をカウントするカウンター361が接続されている。
制御手段400出力側には、メインモータ350、レジストモータ358、給紙モータ374及び、図示しないが製版部303や排版部304や排紙部307の駆動系が接続されている。製版スタートキー360は、図示しない操作パネルに配設されている。操作パネルには、その他に、印刷枚数などの数値情報を入力するためのテンキーや機器の動作を停止させるストップキー等が設けられている。本形態において、製版スタートキー360が操作されて製版指令が発せられると、製版部303による製版が実行されるとともに、所定の長さのマスタ2が送り出されて一版分のマスタが形成される。
制御手段400の特徴は、レジストセンサ354が用紙Pの先端から後端までを検出するまでの、エンコーダーセンサ352からのパルス数をカウンター361でカウントし、そのカウント値から実際に通紙されている用紙Pのサイズを算出する機能と、算出用紙サイズが予め設定された所定の用紙サイズ以下の場合には、版胴308の回転速度が所定速度となるまで、メインモータ350を増速制御するとともに、エンコーダーセンサ352による検出速度が所定速度の場合、給紙モータ374による回転駆動パターンを駆動時間の長い低速パターンから駆動時間の短い高速パターンに変更すること点にある。
制御手段400のROMには、エンコーダーセンサ352からのパルス数から用紙搬送方向Xへの用紙サイズを算出する計算式と、エンコーダーセンサ352からのパルス数に対応した印刷速度情報、複数の回転速度と、所定の用紙サイズP2が設定されている。複数の回転速度としては、第1の回転速度と第2の回転速度とがあり、第1の回転速度は高速回転速度であり、第2の回転速度は、第1の回転速度よりも早い回転速度とされている。
給紙モータ374による回転駆動パターンとは、図10に示すように、一枚の給紙に対する給紙モータ374の速度変動パターンである。低速パターンは、図10に実線で示すように、給紙モータ374の始動直後の回転速度を最低速度とし、徐々に速度を高め、所定の速度で定速状態とし、用紙先端センサ353のオン後からレジストローラ313が駆動されるまでに速度を徐々に落とすスローダウン期間を有している。このように給紙モータ374の始動直後において低速度とするし、徐々に速度をアップすることで、給紙初期において用紙Pの分離を確実に行いつつも良好に搬送を行える。高速パターンとは、図10に鎖線で示すように、給紙モータ374の始動開示時期を遅らせてスローアップ期間を短くするとともに、スローアップ期間終了後の定速状態時の最高速度を低速パターンよりも最高速度よりも高め、用紙先端センサ353のオン後からレジストローラ313が駆動されるまでに速度を徐々に落とすスローダウン期間を有している。第1の回転速度は120rpm/分であり、第2の回転速度は、150rpm/分とされている。
図11に示すフローチャートに沿って本発明の特徴となる制御手段250による制御動作を説明する。本形態では、既に用紙サイズ検知センサ群50によって、給紙トレイ310上の用紙Pサイズが検知され、そのサイズに応じて製版されたマスタ2が版胴308の外周面に既に巻着されているものとする。製版終了の確認は、製版部303の図示しないカッタの動作有無で判断する。
図11のステップW1では、製版終了の有無が判断され、製版終了が出力されている場合にはステップW2に進んで、関連する駆動モータ類を起動する。ここでは、メインモータ350を起動して版胴308を第1の回転速度で回転させるとともに、給紙モータ374を低速パターンで回転駆動する。このため、給紙モータ374は、図9の実線で示すパターンに沿ってその回転速度が変化される。このため、用紙Pの分離は良好に行われて給紙される。そして、ステップW3において用紙先端センサ353がオンして所定時間経過するとステップW4においレジストモータ358が駆動される。ここでいう所定時間とは、プレスローラ309が版胴308に接触して用紙Pの先端を挟持できるタイミングであり、例えば給紙モータ374のステップ数から判断すればよい。
レジストモータ358が駆動すると、レジストローラ313が回転駆動して用紙Pが印刷部323に送り出される。そして、レジストセンサ354の下方を用紙Pが通過すると、すなわち、用紙先端が通過すると、レジストセンサ354がオンとなる。ステップW5では、このレジストセンサ354の状態を判断し、オン状態であるとステップW6に進み、エンコーダーセンサ352からのパルスの計測をカウンター361で開始する。この間、メインモータ350及びレジストモータ358の駆動は継続されているので、版胴1の回転角が進められ、用紙Pも印刷部323に向かって搬送を進められ、版胴308側からインキを転写されつつ印刷部323を通過する。用紙Pは、レジストローラ313によって搬送され、その後端がレジストローラ313の間を通過する。
ステップW7では、レジストセンサ354からの出力がオフであるかが判断され、オフであると用紙Pの後端がセンサ下方を通過したものとして、ステップW8へと進む。ステップW8では、カウンター361によるエンコーダーセンサ352からのパルスの計測を停止し、ステップW9に進んで、カウンター361でのカウント値をROMに設定された計算式によって計算して用紙サイズを算出する。
ステップW10では、算出された用紙サイズ(算出用紙サイズ)P1と、ROMに記憶されている所定の用紙サイズP2とを比較し、算出用紙サイズP1が所定の用紙サイズP2より小さい場合には、ステップW11において回転速度を第2の回転速度となるまでメインモータ230を増速制御してステップW12に進む。第2の回転速度において給紙パターンが低速であると給紙遅れの原因となるので、ステップW12では、給紙パターンを低速パターンから高速パターンに切り替える。一方、算出用紙サイズP1が所定の用紙サイズP2より大きい場合には、速度アップすると用紙の分離搬送が上手くいかないので、ステップW13へ進んで第1の回転速度を維持したままとし、ステップW14に進んで給紙パターンも低速パターンを維持のしたままとする。
このように本形態によると、算出用紙サイズP1が予め設定された所定用紙サイズP2以下の場合には、エンコーダーセンサ352で検出される版胴308の回転速度を第2の印刷速度となるまで、メインモータ350を増速制御するので、所定用紙サイズP2以下の用紙Pの場合には印刷速度を早めることができ、効率のよい印刷を行える。
エンコーダーセンサ352による検出速度が所定速度となる第2の回転速度の場合、レジストローラ313に向かって用紙Pを送り出す給紙モータ374の回転駆動パターンを、駆動時間の長い低速パターンから駆動時間の短い高速パターンに変更するので、印刷速度の増速に対応して給紙手段329の給紙タイミングが早められ、給紙遅れによる不具合を解消することができる。
本形態では高速パターンとして、スローアップ期間の低速パターン時よりも早くして、すなわち、単位時間当りの給紙モータ374の回転率(加速度)を大きくするとともに最高速度も高くしたが、図9に一転鎖線で示すように、最低速度期間を設けない給紙パターンとしても給紙遅れを低減することができる。
実施形態中、排紙トレイ82,317の詳細は説明していないが、各排紙トレイ82,317に設けられたエンドフェンス82a,317aが用紙サイズに応じて矢印A方向に移動可能な構成の場合には、制御手段250,400で算出された用紙サイズに応じてエンドフェンス82a,317aの位置を調整するようにしても良い。この場合には、各制御手段にエンドフェンスを駆動するためのステッピングモータなどの駆動手段を接続し、このモータの回転方向と回転量を各制御手段で制御する事でエンドフェンス位置を、算出された用紙サイズに対応させて変更することができ。このようにエンドフェンス82a,317aの位置を、用紙サイズに応じて変更すると、用紙サイズに対応した位置にエンドフェンスが位置することになり排紙トレイ上での用紙Pのスタック性が向上する。
実施の形態において、用紙通過状態を検知する用紙検知手段としてレジストセンサ52,354を用いているが、これらセンサに限定されるものではなく、排紙部80,307に設けた用紙検知センサ87,321を用いて用紙Pの通過状態を検出してもよい。