JP2005230853A - トランスファ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のものより高速運転可能なトランスファ装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るトランスファ装置20では、各スライドベース22X,22Y,22Zと固定ベース23との間にそれぞれ第2揺動部材70X,70Y,70Zが備えられ、スライドベース22X,22Y,22Zの直動に伴って各第2揺動部材70X,70Y,70Zが揺動する。そして、隣り合った第2揺動部材70X,70Y(70Y,70Z)同士は、変速用第1リンク部材74にて連結されて異なったストロークで揺動し、これに伴い複数のスライドベース22X,22Y,22Zが異なったピッチで直動する。これにより、各スライドベース22X,22Y,22Zに備えた複数のフィンガー21により、複数のワークを異なるピッチで搬送することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置に関する。
一般にこの種のトランスファ装置には、ワーク搬送方向に直動する複数(例えば、1対)のスライダが備えられ、それら各スライダにそれぞれフィンガーが取り付けられている。そして、この種のトランスファ装置の従来例として、1対のスライダを1対のリニアモータにより別々に駆動することにより、それら両スライダの直動ピッチを異ならせたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、別の従来例として、1対のスライダの直動ピッチを異ならせるために、主駆動源とは別にエアアクチュエータを備えたものや(例えば、特許文献2参照)、1対のスライダのうち第1のスライダに第2のスライダを直動可能に連結し、第1及び第2の両スライダを移動する途中で第2のスライダのみをストッパに当接させるもの(例えば、特許文献3参照)、さらには、1対のスライダの間を変速ギヤで連結したものが公知になっている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−153997号公報(段落[0113]、[0122]、第5図) 特開2002−35872号公報(段落[0012]、[0017]、第1図,第2図) 実公昭56−53946号公報(2頁左欄、第3図) 実開昭59−114246号公報(第1図)
しかしながら、上記した従来のトランスファ装置のように、複数の駆動源で複数のスライダを駆動するものでは(特許文献1及び2)、駆動源が増えた分、コストが増すと共に、駆動源同士を同期させる必要があるため高速化が困難であった。また、1対のスライダの一方のみをストッパに当接させるものでは(特許文献3)、フィンガーの位置決め精度が低くなると共に、当接時の騒音・衝撃が問題になるため高速化が困難であった。さらに、1対のスライダの間を変速ギヤで連結したものでは(特許文献4)、ギヤのバックラッシにより位置決め精度が低くなると共に、ギヤの潤滑油の飛散が問題になるのでやはり高速化が困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来のものより高速運転可能なトランスファ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るトランスファ装置は、1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、フィンガーがそれぞれ取り付けられかつ異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能な複数のスライドベースと、各フィンガーを駆動するための複数のフィンガー駆動部と、複数のフィンガー駆動部をワーク搬送方向に移動不能に保持しかつワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、各フィンガーと各フィンガー駆動部との間に連結されてスライドベースの直動に伴って揺動すると共に、フィンガー駆動部の駆動力をフィンガーに伝達する複数の第1揺動部材と、各スライドベースと固定ベースとの間に連結され、スライドベースの直動に伴って揺動する複数の第2揺動部材と、隣り合った第2揺動部材のうち一方の第2揺動部材において揺動中心から所定揺動半径だけ離れた位置と、他方の第2揺動部材において揺動中心から所定揺動半径と異なる揺動半径だけ離れた位置とを連結する変速用第1リンク部材とを備えたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のトランスファ装置において、各スライドベースに一端が回動可能に連結されかつ他端が第2揺動部材に回動可能に連結された揺動補助部材を設けたところに特徴を有する。
請求項3の発明に係るトランスファ装置は、1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、フィンガーがそれぞれ取り付けられかつ異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能な複数のスライドベースと、各フィンガーを駆動するための複数のフィンガー駆動部と、複数のフィンガー駆動部をワーク搬送方向に移動不能に保持しかつワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、各フィンガーと各フィンガー駆動部との間に連結されてスライドベースの直動に伴って揺動すると共に、フィンガー駆動部の駆動力をフィンガーに伝達する複数の第1揺動部材と、ワーク搬送方向においてスライドベースから離れた位置に配置され、所定の駆動源からの駆動力を受けて揺動される第3揺動部材と、各スライドベースと第3揺動部材の間に連結された複数の変速用第2リンク部材とを備え、第3揺動部材における複数の変速用第2リンク部材との連結位置を、第3揺動部材の揺動中心から異なる揺動半径の複数位置に分散配置したところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のトランスファ装置において、ワーク搬送方向の始端部に配置されたスライドベースの直動ピッチを最も大きくしたところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のトランスファ装置において、ワーク搬送方向の終端側に向かうに従い、スライドベースの直動ピッチを小さくしかつ隣り合ったフィンガーの間隔を狭くしたところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載のトランスファ装置において、各フィンガーに設けられ、スライドベースに回動可能に軸支された1対のフィンガー部材と、1対のフィンガー部材のそれぞれに形成されて互いに対向し、間にワークを挟んで把持する1対のワーク把持部と、各フィンガーに設けられ、各フィンガー駆動部の往復運動を、第1揺動部材の軸方向で受け、1対のワーク把持部の開閉運動に変換する把持動作変換機構とを備えたところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項6に記載のトランスファ装置において、ワークは、トランスファ装置により間欠的に搬送された位置においてパンチ及びダイによって成形され、ワーク把持部が開いた状態でスライドベースを往復動させたときにフィンガー部材が、パンチから離れた位置を通過するように構成したところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載のトランスファ装置において、1対のフィンガー部材をスライドベースに回動可能に軸支すると共に鋏状に交差させて、その交差部分より先端側のワーク把持部同士を対向配置し、一方と他方のフィンガー部材に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材を設け、さらに、フィンガーリンク部材及び/又は一方のフィンガー部材に、第1揺動部材の一端を回動可能に連結して把持動作変換機構が構成されたところに特徴を有する。
請求項9の発明は、請求項6乃至8の何れかに記載のトランスファ装置において、フィンガー駆動部が一方向に移動するときに弾性変形される弾性部材を備え、フィンガー駆動部が他方向に移動するときの弾性部材の弾発力によって、1対のワーク把持部が閉じられるように構成したところに特徴を有する。
[請求項1の発明]
請求項1のトランスファ装置では、各スライドベースと固定ベースとの間にそれぞれ第2揺動部材が備えられ、スライドベースの直動に伴って各第2揺動部材が揺動する。ここで、隣り合った第2揺動部材のうち一方の第2揺動部材の揺動中心から所定揺動半径だけ離れた位置と、他方の第2揺動部材の揺動中心から所定揺動半径と異なる揺動半径だけ離れた位置とが変速用第1リンク部材によって連結されているので、隣り合った第2揺動部材が異なったストロークで揺動し、これに伴い複数のスライドベースが異なったピッチで直動する。そして、これらスライドベースに備えた複数のフィンガーにより、複数のワークを異なるピッチで搬送することができる。即ち、本発明によれば、従来のようにストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。
[請求項2の発明]
スライドベースの直動に伴い、スライドベースと固定ベースとの間の直線距離が変化する。そして、請求項2のトランスファ装置では、スライドベースと固定ベースとの間に第2揺動部材と揺動補助部材とが連結され、それら第2揺動部材と揺動補助部材との屈曲角の変化によって、前記直線距離の変化を吸収することができる。このように本発明の構成によれば、長孔構造を設けずに、回動可能な軸支構造だけで、スライドベースと固定ベースとの間の直線距離の変化を吸収することができるので、がたが少なくなり、安定してスライドベースを直動することができる。
[請求項3の発明]
請求項3のトランスファ装置では、第3揺動部材と各スライドベースとが、複数の変速用第2リンク部材によって連結されている。ここで、第3揺動部材における複数の変速用第2リンク部材との連結位置は、第3揺動部材の揺動中心から異なる揺動半径の複数位置に分散配置されているので、複数のスライドベースは、異なったピッチで直動する。そして、これらスライドベースに備えた複数のフィンガーにより、複数のワークを異なるピッチで搬送することができる。即ち、本発明によれば、従来のようにストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。
[請求項4の発明]
請求項4のトランスファ装置は、ワーク搬送方向の始端部に配置されたスライドベースの直動ピッチが最も大きいので、複数の加工工程の最初の加工工程においてワークを板材から打ち抜くプレス機に適する。そして、最初の加工工程間のピッチ以外の各加工工程間のピッチを、全ての加工工程間のピッチを同じにした場合のものより小さくすることが可能なので、トランスファ装置及びプレス機をワーク搬送方向でコンパクトな構成にすることができる。
[請求項5の発明]
請求項5のトランスファ装置は、ワーク搬送方向の終端側に向かうに従い、スライドベースの直動ピッチが小さくなるので、複数の加工工程を経てワークを徐々に細くしていくプレス機に適する。そして、各加工工程間のピッチを徐々に小さくすることが可能なので、全ての加工工程間のピッチを同じにした場合に比べて、トランスファ装置及びプレス機をワーク搬送方向でコンパクトな構成にすることができる。
[請求項6の発明]
請求項6のトランスファ装置では、各フィンガー駆動部の往復運動が、第1揺動部材の軸力として把持動作変換機構に伝達されて、各フィンガーに備えた1対のフィンガー部材が回動される。これにより、両フィンガー部材に備えた1対のワーク把持部が開閉され、ワークを確実に把持又は解放することができる。
[請求項7の発明]
請求項7のトランスファ装置では、ワーク把持部を開いた状態にすれば、フィンガー部材とパンチとがワーク搬送方向で干渉しなくなり、フィンガーをワーク搬送方向と直交する方向に昇降動作させなくても、ワーク把持部の開閉動作とスライドベースの往復動作だけで、ワークを順次隣の加工工程に搬送することができる。
[請求項8の発明]
請求項8のトランスファ装置における把持動作変換機構では、摺動用の長孔構造を要さず、回動可能な軸支構造だけで構成したので、がたが少なくなり、安定してワークを把持・搬送することができる。
[請求項9の発明]
請求項9のトランスファ装置では、弾性部材の弾発力によって1対のワーク把持部が閉じられるので、ワークを把持する際の衝撃及びワークの大きさのばらつきを、弾性部材の変形によって吸収することができる。
[第1実施形態]
以下、プレス機に組み付けられた本発明のトランスファ装置20に係る実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すように、プレス機のダイホルダー11Aには、例えば複数のダイ11が水平方向に並べて設けられている。各ダイ11には、それぞれ成形孔19が設けられ、プレス機に備えた図示しない可動台に固定された複数のパンチ12(図4参照)が、各成形孔19に突入可能となっている。そして、このプレス機では、上記した各パンチ12と各ダイ11とからなる複数の加工ステージ毎に加工工程が分けられ、ワークを各加工ステージ(各加工工程)に順番に搬送することでワークに複数回のプレス加工が施され、最終的に筒状のワークが成形される。
また、ワークは、ワーク搬送方向(図1の矢印参照)の始端側(図1の右側)から終端側の加工工程に進むほど、径が小さくなる。このため、本実施形態のプレス機では、図1に示すように、ワーク搬送方向の始端から終端に向かうに従って、隣り合ったダイ11間のピッチを徐々に狭くして、プレス機全体のコンパクト化を図っている。詳細には、図1に示すように、ダイ11は6つ備えられ、ワーク搬送方向の始端側から1,2番目のダイ11,11の間が最も大きなピッチP1となっており、2,3番目及び3,4番目に隣り合ったダイ11,11の間が次に大きなピッチP2となっており、4,5番目及び5,6番目の隣り合った両ダイ11,11の間が最も小さなピッチP3となっている。
なお、成形孔19内で成形されたワークは、成形孔19の奥部に備えられた図示しないノックアウトによって成形孔19から押し出されるようになっている。
上記プレス機の各加工工程(加工ステージ)でプレス加工したワークを、それぞれ次の加工工程に順次搬送するために本発明に係るトランスファ装置20が設けられている。このトランスファ装置20には、前記した3種類のピッチP1,P2,P3に対応させて、3つのスライドベース22X,22Y,22Zが設けられている。これらスライドベース22X,22Y,22Zは、一直線に並べて配置されて、直動ガイド14に取り付けられている。詳細には、図4に示すように、直動ガイド14は、ワーク搬送方向に延びたレール14Rに3つのスライダ14Sをスライド係合してなり、各スライドベース22X,22Y,22Zが各スライダ14Sに固定される一方、レール14Rがダイホルダー11Aの下縁部に固定されている。これにより、3つのスライドベース22X,22Y,22Zが同一直線状に並んだ状態で、それぞれ直動可能となっている。
図1に示すように、各スライドベース22X,22Y,22Zには、それぞれフィンガー21が取り付けられている。具体的には、ワーク搬送方向の始端側のスライドベース22X(以下、適宜、「第1のスライドベース22X」という)には、1つのフィンガー21が取り付けられ、それ以外のスライドベース22Y,22Z(以下、適宜、「第2のスライドベース22Y」、「第3のスライドベース22Z」という)には、それぞれフィンガー21が2つずつ取り付けられている。各フィンガー21は、図5に示すように、1対のフィンガー部材25,26と、それらフィンガー部材25,26(以下、適宜、「第1フィンガー部材25」と「第2フィンガー部材26」という)の間を連結するフィンガーリンク部材27とを備えてなり、これら各部材25,26,27が、各スライドベース22X,22Y,22Zに備えた対向壁22T,22T(図4参照)の間に収められかつ複数のピン31〜33により連結されている。
第1フィンガー部材25は、板部材25Wの上部にワーク把持部25Hを一体に備えた構造をなし、板部材25Wの下端部には1対のピン孔25A,25Cが貫通形成されている。一方、第2フィンガー部材26は、斜め上方に向かって延びた帯板部材26Wの上端部にワーク把持部26Hを備えた構造になっている。帯板部材26Wは、中間部分がクランク状に屈曲しており、その屈曲部分を挟んだ両側に1対のピン孔26B,26Dが貫通形成されている。
また、第1及び第2の両フィンガー部材25,26は、図6(A)に示すように、互いに鋏状に交差されて、その交差部分より先端側のワーク把持部25H,26H同士が対向配置された状態になっている。そして、各フィンガー部材25,26に備えた1対のピン孔のうち、両ワーク把持部25H,26Hの接合面から最も離れた側のピン孔25A,ピン孔26Bに貫通したピン31,31が、各スライドベース22X,22Y,22Zの対向壁22Tにおける1対のピン孔22A,22Aにそれぞれ嵌合されている。これにより、第1及び第2のフィンガー部材25,26が、各スライドベース22X,22Y,22Zに対してピン31,31を中心にそれぞれ回動可能となっている。
また、第2フィンガー部材26の残りのピン孔26Dと、第1フィンガー部材25の残りのピン孔25Cとは、図6(A)に示すように上下に並んでおり、これらピン孔25C,26Dに、帯板状のフィンガーリンク部材27の両端部のピン孔27C,27Dが重ねられ、そこにピン33,32がそれぞれ嵌合されている。これにより、第1及び第2のフィンガー部材25,26が、互いに連動してスライドベース22X,22Y,22Zに対して回動し、ワーク把持部25H,26Hが接近及び離間する。
なお、このように第1及び第2のフィンガー部材25,26及びフィンガーリンク部材27が組み付けられた状態で、フィンガーリンク部材27は、第2フィンガー部材26における帯板部材26Wのうち第1フィンガー部材25と反対側の段差部分に収まり、帯板部材26Wにおける一方の対向壁22Tと隣接する側の側面とフィンガーリンク部材27の側面とがほぼ面一になっている。
さて、両ワーク把持部25H,26Hは、図6(A)に示すように、互いに対称状態に対向している。そして、ワーク把持部25H,26Hが最も接近して両ワーク把持部25H,26Hの下端部が接合された全体形状は、上方側が開放した円弧溝を有する溝形部材になる。即ち、ワーク把持部25H,26Hは、そのような溝形部材形を2分割した構成物の一方と他方の形状になっている。
各フィンガー21は、後述する各プランジャ50(本発明に係る「フィンガー駆動部」に相当する)によって駆動される。図1に示すように、フィンガー21と後述するプランジャ50との間には、第1揺動部材28が連結されている。そして、プランジャ50の往復運動が、第1揺動部材28の軸力として各フィンガー21に伝達され、ワーク把持部25H,26Hが開閉される。具体的には、第1揺動部材28は、図5に示すように、上下方向に延びた帯板状をなし、上下の両端部にピン孔28B,28Cを備える。また、第1揺動部材28の上端部は、第1フィンガー部材25の板部材25Wとフィンガーリンク部材27との間に挟まれかつ第1フィンガー部材25における板部材25Wの下方に配置されている。そして、その第1揺動部材28の上端部のピン孔28Cに、フィンガーリンク部材27のピン孔27C及び第1フィンガー部材25のピン孔25Cに嵌合されたピン33が挿通されている。これにより、第1揺動部材28の軸力を受けて、第1及び第2のフィンガー部材25,26が回動する。
詳細には、図6(A)に示すように、ワーク把持部25H,26Hの下端部が互いに接近した状態(これを、以下、「ワーク把持部25H,26Hが閉じた状態」という)から第1揺動部材28が下方に引かれると、図6(B)に示すように、第1フィンガー部材25が同図における反時計回り方向に回動して、一方のワーク把持部25HがワークWの左斜め下方に離間する。このとき、フィンガーリンク部材27も下方に下げられるので、これにより、第2フィンガー部材26が同図における時計回り方向に回動し、他方のワーク把持部26Hが、一方のワーク把持部25Hと対称的にワークWの右斜め下方に離間する。これにより、図6(B)に示すように、ワーク把持部25H,26Hが互いに離間した状態(これを、以下、「ワーク把持部25H,26Hが開いた状態」という)になる。ワーク把持部25H,26Hが開いた状態から第1揺動部材28が上方に移動すると、上記動作とは逆に両フィンガー部材25,26及びフィンガーリンク部材27が作動してワーク把持部25H,26Hが閉じられる。そして、この第1揺動部材28がプランジャ50の往復動によって上下動される。
即ち、各フィンガー21は、プランジャ50の往復運動を第1揺動部材28の軸方向で受け、ワーク把持部25H,26Hの開閉運動に変換する把持動作変換機構29(図5参照)を備えており、その把持動作変換機構29は、上述の如く「1対のフィンガー部材25,26をスライドベース22X(22Y,22Z)に回動可能に軸支すると共に鋏状に交差させて、その交差部分より先端側のワーク把持部25H,26H同士を対向配置し、両フィンガー部材25,26に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材27を設け、さらに、第1フィンガー部材25に、第1揺動部材28の一端を回動可能に連結した」構成になっている。
また、フィンガー21は、ワーク把持部25H,26Hが開いた状態になると、図6(B)に示すように各ワーク把持部25H,26Hがパンチ12より下方(図6(B)における基準線L1より下方)に位置した状態になる。そして、この状態でスライドベース22X,22Y,22Zが後述するようにワーク搬送方向にスライド移動しても、ワーク把持部25H,26Hの先端はパンチ12に干渉せずにパンチ12の下方を通過することができる。
図1に示すように、上記した複数のプランジャ50は、スライドベース22X,22Y,22Z群の下方に配置された固定ベース23に組み付けられている。固定ベース23は、全体としてワーク搬送方向に延びた略角柱状をなし、プレス機のベース部11B(図4参照)に固定されている。固定ベース23は、ワーク搬送方向に複数のプランジャ収容部屋46が横並びに形成されている。そして、プランジャ収容部屋46には、上下方向に貫通したガイド孔48が押通されている。
プランジャ50は、図4に示すように、角柱部51の上端面から円柱部52を延長した構造になっている。そして、この角柱部51が上記した断面矩形のガイド孔48を貫通することで、プランジャ50の回り止めが図られかつ角柱部51の軸方向に直動可能となっている。また、角柱部51の下端部から下端突部51Bがプレス機のベース部11B側に張り出しており、調整ボルト53がこの下端突部51Bを上下に貫通している。そして、その調整ボルト53の上端部に、後述する押下レバー55が待機している。
プランジャ50のうち円柱部52の上端部には、スリット52Aが形成されている。そして、第1揺動部材28の下端部をスリット52A内に配した状態でピン34にて結合されている。また、そのピン34は、円柱部52の外周面から両側方に突出した状態になっている。
円柱部52の外周面には、ピン34より下方側に圧縮コイルバネ54(本発明に係る「弾性部材」に相当する)が挿入されている。この圧縮コイルバネ54は、プランジャ収容部屋46の下面のうちガイド孔48の開口縁とピン34との間で突っ張り状態になっている。なお、圧縮コイルバネ54の両端部には座金54Z,54Zが設けられている。そして、プランジャ50は、押下レバー55によって下方に押し下げられる一方、この押し下げがなくなると圧縮コイルバネ54の弾発力によって上方に戻される。
図4に示した押下レバー55は、各プランジャ50に対応させて複数設けられている。各押下レバー55は、略水平に延び、プランジャ50と反対側の端部を図示しない軸体によって回動可能に軸支されている。また、押下レバー55の上方には、それら全部の押下レバー55を横切るように第1カムシャフトが延びており、この第1カムシャフトがプレス機の駆動源(例えば、電動モータ)に連結されている。この第1カムシャフトに備えた複数のカムが各押下レバー55に当接している。そして、第1カムシャフトがプレス機の動力を受けて回転すると、その回転に伴って、各カムにより各押下レバー55が下方に押し下げられ、これにより、各プランジャ50が下方に押し下げられる。
図1に示すように、各スライドベース22X,22Y,22Zと固定ベース23との間には、それぞれ第2揺動部材70X,70Y,70Zが連結されている。詳細には、固定ベース23には、スライドベース22X,22Y,22Z側に向かって開放した凹所73が長手方向の3箇所に設けられている。また、第2揺動部材70X,70Y,70Zは、全て同一構造をなしており、上方に向かうに従って幅が徐々に狭くなった角柱状をなし、両端部が半円状に丸くなっている。そして、第2揺動部材70X,70Y,70Zの下端部が各凹所73に配された状態でピン結合されている。また、第2揺動部材70X,70Y,70Zの上端部には、縦割りの溝部70M(図4参照)が設けられ、その溝部の内側に、第2揺動部材70X,70Y,70Zより極めて短い帯板状の揺動補助部材71の下端部が配された状態でピン結合されている。
さらに、スライドベース22X,22Y,22Zの下面からは、1対の突片22K,22K(図4参照)が張り出しており、揺動補助部材71の上端部がそれら1対の突片22K,22Kの間に配された状態でピン結合されている。これにより、スライドベース22X,22Y,22Zに直動位置の変化に伴った固定ベース23とスライドベース22X,22Y,22Zとの間の直線距離(例えば、固定ベース23における第2揺動部材70Xとのピン結合部分と、スライドベース22Xにおける揺動補助部材71とのピン結合部分とを結ぶ直線距離)の変化が、第2揺動部材70X,70Y,70Zと揺動補助部材71との屈曲により吸収され、スライドベース22X,22Y,22Zの直動動作に伴って第2揺動部材70X,70Y,70Zが揺動する。即ち、本実施形態では、回動可能な軸支構造だけで、スライドベース22X,22Y,22Zと固定ベース23との間の直線距離の変化を吸収することができるので、その直線距離の変化を吸収するために長孔を備えた場合に比べて、がたが少なくなり、安定してスライドベース22X,22Y,22Zを直動することができる。
ワーク搬送方向の最も始端側に位置した第2揺動部材70Xと、その隣の第2揺動部材70Yとの間には、変速用第1リンク部材74が差し渡されている。変速用第1リンク部材74は、角柱の両端部を半円状に丸くしかつそれら両端部に縦割りの溝部74M(図4参照)を備えた構造になっている。そして、各変速用第1リンク部材74内に各第2揺動部材70X,70Yの一部を配した状態で、第2揺動部材70X,70Yにピン結合されている。ここで、一方の第2揺動部材70Xにおいては、変速用第1リンク部材74とのピン結合位置が、揺動支点から揺動半径r1の位置に配置され、他方の第2揺動部材70Yにおいては、変速用第1リンク部材74とのピン結合位置が、揺動支点から揺動半径r2の位置に配置され、その揺動半径r2は、揺動半径r1より大きくなっている。これにより、これら両第2揺動部材70X,70Yが連動すると共に、他方の第2揺動部材70Yの揺動量が、一方の第2揺動部材70Xの揺動量のr1/r2倍となって小さくなる。
また、この第2揺動部材70Yと、ワーク搬送方向の最も終端側に位置した第2揺動部材70Zとの間にも、同様に変速用第1リンク部材74が差し渡されている。そして、その一方の第2揺動部材70Yにおいては、変速用第1リンク部材74とのピン結合位置が、揺動支点から揺動半径r3の位置に配置され、他方の第2揺動部材70Zにおいては、変速用第1リンク部材74とのピン結合位置が、揺動支点から揺動半径r4の位置に配置され、その揺動半径r4は、揺動半径r3より大きくなっている。これにより、これら第2揺動部材70Y,70Zが連動すると共に、他方の第2揺動部材70Zの揺動量が、一方の第2揺動部材70Yの揺動量のr3/r4倍となって小さくなる。
上記構成により、これら第2揺動部材70X,70Y,70Zは、連動して揺動すると共に、ワーク搬送方向の始端から終端に向かう順番で、揺動ストロークが小さくなっている。また、これら第2揺動部材70X,70Y,70Zの揺動に伴って直動する第1〜第3のスライドベース22X,22Y,22Zに関しても、ワーク搬送方向の始端から終端に向かう順番(第1から第3の順番)に、直動ピッチが小さくなっている。そして、第1のスライドベース22Xの直動ピッチが、前記したワーク搬送方向の始端側から1,2番目の両ダイ11,11間のピッチP1(図1参照)と一致し、第2のスライドベース22Yの直動ピッチが、2,3番目及び3,4番目の両ダイ11,11間のピッチP2と一致し、第3のスライドベース22Zの直動ピッチが、4,5番目及び5,6番目の両ダイ11,11間のピッチP3と一致している。
図1に示すように、固定ベース23のうちワーク搬送方向の端部には、従動カムレバー60が回動可能に軸支され、固定ベース23の一端側の第2揺動部材70Xと従動カムレバー60とが平行リンク75によって連結されている。また、従動カムレバー60の近傍には、上記第1カムシャフトと直交してギヤ連結された第2カムシャフト61が配置されている。そして、その第2カムシャフト61に一体に設けられた1対のカム61A,61Bと、従動カムレバー60に備えた1対のカムフォロア60F,60Fとから所謂、確動カム(「共役カム」ともいう)が構成されている。これにより、第2カムシャフト61の回転に連動して第2揺動部材70X,70Y,70Zが揺動し、第1〜第3のスライドベース22X,22Y,22Zが直動する。
以下、このトランスファ装置20の動作について説明する。
プレス機が作動すると、各加工工程に備えた各ダイ11の各成形孔19にパンチ12(図4参照)がそれぞれ突入することにより、ワークにプレス加工(例えば絞り加工)が施される。最初の加工工程では、図示しない打ち抜きパンチと打ち抜きダイとで打ち抜かれたブランクを、パンチ12とダイ11とで絞り加工する。このとき、スライドベース22X,22Y,22Zは、図1に示すように直動可能なピッチのうちワーク搬送方向の始端側(図1における右側)に位置し、各フィンガー21のワーク把持部25H,26Hが閉じられ、それらワーク把持部25H,26Hの内側空間をパンチ12が貫通した状態になっている。そして、パンチ12が退避すると共に、ノックアウトがワークを成形孔19から押し出す。これにより、ワークがワーク把持部25H,26Hの間に押し込まれる。ここで、ワーク把持部25H,26Hは圧縮コイルバネ54の弾発力によってワークを把持するので、ワークの大きさのばらつきが、圧縮コイルバネ54によって吸収されワークの変形が防がれる。また、図1において左端の成形孔19で成形されていたワークは、ノックアウトによって押し出され、プレス完成品として例えば図示しないシュートにて所定の回収容器に集められる。
この状態でスライドベース22X,22Y,22Zが、ワーク搬送方向の終端側(図1の左側)にスライド移動する。具体的には、プレス機のプレス動作に連動して第2カムシャフト61が回転することで、従動カムレバー60と共に第2揺動部材70X,70Y,70Zが揺動し、第1〜第3のスライドベース22X,22Y,22Zがワーク搬送方向の終端側に向けて移動する。このとき、第1のスライドベース22Xが最も長いピッチP1を移動し、第2のスライドベース22Yが次に長いピッチP2を移動し、第3のスライドベース22Zが最も短いピッチP3を移動する。これにより、複数のダイ11のうち異なるピッチP1,P2,P3で隣り合った各ダイ11,11の間を各フィンガー21が移動し、ワークがワーク搬送方向の前方隣のダイ11との対向した位置(図2参照)に移動することができる。
次いで、フィンガー21に把持されたワークをパンチ12が各ダイ11の成形孔19内に押し込む。そして、パンチ12がダイ11の成形孔19に突入している間に、フィンガー21のワーク把持部25H,26Hが開かれる。具体的には、プレス機のプレス動作に連動して第1カムシャフト(図示しない)が回転することで押下レバー55が押し下げられ、これに伴ってプランジャ50が下方に移動し、第1揺動部材28が下方に引かれる。
すると、各フィンガー21に備えた把持動作変換機構29(図5参照)が、プランジャ50の動作を、第1揺動部材28の軸方向で受けて、ワーク把持部25H,26Hの開放動作に変換する。即ち、プランジャ50に伴った第1揺動部材28の下方への移動により、両フィンガー部材25,26が回動し、図3に示すように、両ワーク把持部25H,26Hがパンチ12に対して斜め下方に離間する。これにより、ワーク把持部25H,26Hは、各パンチ12より下方(図6(B)における基準線L1より下方)に位置した状態になる。
この状態でスライドベース22X,22Y,22Zが、ワーク搬送方向と逆方向にスライド移動する。具体的には、プレス機のプレス動作に連動して図1に示した第2カムシャフト61が回転することで、従動カムレバー60と共に第2揺動部材70X,70Y,70Zが揺動し、第1〜第3のスライドベース22X,22Y,22Zがワーク搬送方向の始端側に向けて移動する。このとき、ワーク把持部25H,26Hは、各パンチ12より下方(図6(B)における基準線L1より下方)に位置しているので、パンチ12がワークをプレス加工している間を利用して、スライドベース22X,22Y,22Zにより全フィンガー21を移動することができる。
そして、各フィンガー21がパンチ12及び成形孔19の下方に位置した状態になり(図示せず)、そこで押下レバー55によるプランジャ50の押し下げが解除される。すると、プランジャ50に備えた圧縮コイルバネ54の弾発力によってプランジャ50が上昇する。これにより、フィンガー21の把持動作変換機構29が、プランジャ50の上昇に対して第1揺動部材28を介して弾発力を受け、ワーク把持部25H,26Hが閉じられ元の状態に戻る(図1参照)。以上の動作を繰り返すことで、各ワークは、各加工工程間を異なるピッチで搬送され、加工工程で順次プレス加工が施される。
このように本実施形態のトランスファ装置20によれば、従来のようにストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。また、ワーク搬送方向の始端部に配置された第1のスライドベース22Xのストローク(直動ピッチ)が最も大きいので、本実施形態のプレス機のように、複数の加工工程の最初の加工工程においてワークを板材から打ち抜くプレス機に適する。さらに、ワーク搬送方向の終端側に向かうに従い、スライドベース22X,22Y,22Zのストローク(直動ピッチ)P1,P2,P3が徐々に小さくなるので、本実施形態のプレス機のように、複数の加工工程を経てワークを徐々に細くしていくプレス機に適する。そして、最初の加工工程間のピッチ以外の各加工工程間のピッチを小さくすることが可能でありかつ、各加工工程間のピッチを徐々に小さくすることが可能なので、全ての加工工程間のピッチを同じにした場合に比べて、トランスファ装置20及びプレス機をワーク搬送方向でコンパクトな構成にすることができる。しかも、ワーク把持部25H,26Hを開いた状態にすれば、フィンガー部材25,26とパンチ12とがワーク搬送方向で干渉しなくなり、フィンガー21の昇降動作を行わずに、ワーク把持部25H,26Hの開閉動作とスライドベース22X,22Y,22Zの往復動作だけで、ワークを搬送することができる。これにより、フィンガー21の昇降動作を行っていた従来のものより、高速運転が可能になる。
[第2実施形態]
本実施形態のトランスファ装置20’は、図7〜図12に示されている。以下、第1実施形態と同一の構成に関しては、同一符号を付して重複説明は省略し、異なる構成に関して重点的に説明する。
本実施形態のプレス機に備えた複数のダイ11は、ワーク搬送方向の始端側(図1の右側)から1,2番目の両ダイ11,11の間が大きなピッチP11となっており、それ以外の全てのダイ11,11の間は、全て同じピッチP12となっている。
本実施形態のトランスファ装置20’には、前記した2種類のピッチP11,P12に対応させて、例えば2つのスライドベース22X’,22Y’が設けられている。そして、ワーク搬送方向の始端側に位置した一方のスライドベース22X’(以下、適宜、「第1のスライドベース22X’」という)には、1つのフィンガー21が取り付けられ、他方のスライドベース22Y’(以下、適宜、「第2のスライドベース22Y’」という)には、複数のフィンガー21が取り付けられている、
なお、本実施形態のフィンガー21の構成部品は図8及び図10に示されており、図5及び図6との比較からも明らかなように、フィンガー部材25’,フィンガー部材26’の形状が前記第1実施形態と僅かに異なっているが、基本構造は共通している。また、スライドベース22Y’に取り付けられた複数のフィンガー21に関しては、図9に示すように、隣り合ったフィンガー21,21の間で、それぞれ各ピン31が兼用されている。
第2のスライドベース22Y’は、図11に示すように、H形レール部材40を段形レール部材43の上面に組み付けてなる。そして、H形レール部材40に備えた1対の対向壁22T,22Tの間にフィンガー21がピン31にて軸支されている。また、段形レール部材43は、軸方向から見た形状が図12に示すように左右対称な雛壇形状となっている。そして、H形レール部材40の下側溝形部に段形レール部材43の上面の突部を嵌合した状態でボルト固定されている。
段形レール部材43の上面の突部は、ワーク搬送方向の始端側が断面鳩尾状(図示せず)になっている。そして、第1のスライドベース22X’は、下面に図示しないアリ溝を備え、このアリ溝と段形レール部材43の突部における断面鳩尾状部分とがスライド係合しており、これにより、第1のスライドベース22X’が、第2のスライドベース22Y’に対して上方に抜け止めされかつスライド可能となっている。
なお、両スライドベース22X’、22Y’には、各フィンガー21と対応した位置に、各フィンガー21の第1揺動部材28を挿通するための挿通孔41が形成されている。
本実施形態の固定ベース23’は、図11に示すように、全体として直方体形状をなしており、固定ベース23’の上面には、ワーク搬送方向に係合溝45が延びている。そして、第2のスライドベース22Y’の段形レール部材43が、この係合溝にスライド可能に係合されている。また、係合溝45は、上面の開口幅が奥側の幅よりも狭くなっており、第2のスライドベース22Y’が係合溝45の上面開口から抜けないように保持されている。
固定ベース23’には、係合溝45の長手方向に沿って複数のプランジャ収容部屋46が横並びに形成されている。そして、プランジャ収容部屋46の下壁に貫通形成された断面矩形のガイド孔48が、プランジャ50を挿通している。また、係合溝45の底面とプランジャ収容部屋46との間には、第1揺動部材28を挿通するための連絡溝47が形成されている。そして、図7に示すように、各プランジャ収容部屋46内で、プランジャ50の上端部と各フィンガー21の第1揺動部材28とが連結されている。
図11には、第1実施形態では図示しなかった第1カムシャフト99が示されている。この第1カムシャフト99は、第1実施形態と同じ構成であり、複数のカム98を固定して備え、各カム98が各押下レバー55に備えたカムフォロア55Fに当接している。これにより、第1カムシャフト99の回転に伴って、各カム98により各押下レバー55が下方に押し下げられる。
図7に示すように本実施形態の第2カムシャフト61の側方には、第3揺動部材77が設けられている。そして、第2カムシャフト61に備えた1対のカム61A,61Bと第3揺動部材77に備えた1対のカムフォロア77F,77Fとから、所謂、確動カム(「共役カム」ともいう)が構成され、これにより第2カムシャフト61の回転に連動して第3揺動部材77が揺動する。
第3揺動部材77には、上下方向に延びて両スライドベース22X’,22Y’に対してワーク搬送方向で離れた位置で対峙した作用部77Aが備えられている。そして、作用部77Aのうち第3揺動部材77の揺動中心からの揺動半径r5の位置と、第2のスライドベース22Y’の端部とが変速用第2リンク部材78によって連絡されると共に、作用部77Aのうち第3揺動部材77の揺動中心からの揺動半径r6の位置と、第1のスライドベース22X’の端部とが変速用第2リンク部材79によって連絡されている。ここで、揺動半径r6は、揺動半径r5より大きくなっている。これにより、第3揺動部材77が揺動したときには、第1のスライドベース22X’の移動量は、第2のスライドベース22Y’の移動量のr6/r5倍となって、第1のスライドベース22X’が第2のスライドベース22Y’よりも多く移動する。そして、第1のスライドベース22X’の直動ピッチが、前記したワーク搬送方向の始端側(図1の右側)から1,2番目の両ダイ11,11間のピッチP11と一致し、第2のスライドベース22Y’の直動ピッチが、それ以外のダイ11,11間のピッチP12と一致している。
このように構成された本実施形態のトランスファ装置20’によっても、第1実施形態のトランスファ装置20と同様に、ストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記第1実施形態では、押下レバー55の往復回動により、プランジャ50を往復直動させていたが、押下レバー55の回動端部に直に第1揺動部材28の下端部を連結してもよい。
(2)前記第1実施形態では、板材を打ち抜いて絞り加工するプレス機を例示したが、本発明におけるプレス機には、このようなプレス機に限定されるものではなく、例えば、鍛造機も本発明に係るプレス機に含まれる。
(3)前記第1実施形態に備えたトランスファ装置20の変速用第1リンク部材74は、隣り合った第2揺動部材70X,70Y(70Y,70Z)において、異なった揺動半径となる位置の間を連結していたが、トランスファ装置に備えた複数の変速用第1リンク部材の何れかが、隣り合った第2揺動部材における同じ揺動半径となる位置の間を連結する構成としてもよい。
本発明の第1実施形態に係るトランスファ装置の正面図 スライドベースがワーク搬送方向の前方に移動した状態のトランスファ装置の正面図 フィンガーが開いた状態のトランスファ装置の正面図 図1のA−A切断面におけるトランスファ装置の側断面図 フィンガーの分解斜視図 (A)フィンガーが閉じた状態の正面図 (B)フィンガーが開いた状態の正面図 第2実施形態のトランスファ装置の正面図 フィンガーの分解斜視図 複数のフィンガーの分解斜視図 (A)フィンガーが閉じた状態の正面図 (B)フィンガーが開いた状態の正面図 トランスファ装置の斜視図 トランスファ装置の側面図
符号の説明
11 ダイ
12 パンチ
20,20’ トランスファ装置
21 フィンガー
22X,22Y,22Z スライドベース
22X’,22Y’,22Z’ スライドベース
23,23’ 固定ベース
25,26 フィンガー部材
25’,26’ フィンガー部材
25H,26H ワーク把持部
27 フィンガーリンク部材
28 第1揺動部材
29 把持動作変換機構
50 プランジャ(フィンガー駆動部)
53 調整ボルト
54 圧縮コイルバネ(弾性部材)
60 従動カムレバー
70X,70Y,70Z 第2揺動部材
71 揺動補助部材
74 変速用第1リンク部材
77 第3揺動部材
78,79 変速用第2リンク部材
P1,P2,P3,P11,P12 ピッチ
r1〜r6 揺動半径

Claims (9)

  1. 1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、
    前記フィンガーがそれぞれ取り付けられかつ前記異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能な複数のスライドベースと、
    前記各フィンガーを駆動するための複数のフィンガー駆動部と、
    前記複数のフィンガー駆動部を前記ワーク搬送方向に移動不能に保持しかつ前記ワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、
    前記各フィンガーと前記各フィンガー駆動部との間に連結されて前記スライドベースの直動に伴って揺動すると共に、前記フィンガー駆動部の駆動力を前記フィンガーに伝達する複数の第1揺動部材と、
    前記各スライドベースと前記固定ベースとの間に連結され、前記スライドベースの直動に伴って揺動する複数の第2揺動部材と、
    隣り合った前記第2揺動部材のうち一方の前記第2揺動部材において揺動中心から所定揺動半径だけ離れた位置と、他方の前記第2揺動部材において揺動中心から前記所定揺動半径と異なる揺動半径だけ離れた位置とを連結する変速用第1リンク部材とを備えたことを特徴とするトランスファ装置。
  2. 前記各スライドベースに一端が回動可能に連結されかつ他端が前記第2揺動部材に回動可能に連結された揺動補助部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のトランスファ装置。
  3. 1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、
    前記フィンガーがそれぞれ取り付けられかつ前記異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能な複数のスライドベースと、
    前記各フィンガーを駆動するための複数のフィンガー駆動部と、
    前記複数のフィンガー駆動部を前記ワーク搬送方向に移動不能に保持しかつ前記ワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、
    前記各フィンガーと前記各フィンガー駆動部との間に連結されて前記スライドベースの直動に伴って揺動すると共に、前記フィンガー駆動部の駆動力を前記フィンガーに伝達する複数の第1揺動部材と、
    前記ワーク搬送方向において前記スライドベースから離れた位置に配置され、所定の駆動源からの駆動力を受けて揺動される第3揺動部材と、
    前記各スライドベースと前記第3揺動部材の間に連結された複数の変速用第2リンク部材とを備え、
    前記第3揺動部材における前記複数の変速用第2リンク部材との連結位置を、前記第3揺動部材の揺動中心から異なる揺動半径の複数位置に分散配置したことを特徴とするトランスファ装置。
  4. 前記ワーク搬送方向の始端部に配置された前記スライドベースの直動ピッチを最も大きくしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のトランスファ装置。
  5. 前記ワーク搬送方向の終端側に向かうに従い、前記スライドベースの直動ピッチを小さくしかつ隣り合った前記フィンガーの間隔を狭くしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のトランスファ装置。
  6. 前記各フィンガーに設けられ、前記スライドベースに回動可能に軸支された1対のフィンガー部材と、
    前記1対のフィンガー部材のそれぞれに形成されて互いに対向し、間に前記ワークを挟んで把持する1対のワーク把持部と、
    前記各フィンガーに設けられ、前記各フィンガー駆動部の往復運動を、前記第1揺動部材の軸方向で受け、前記1対のワーク把持部の開閉運動に変換する把持動作変換機構とを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のトランスファ装置。
  7. 前記ワークは、前記トランスファ装置により間欠的に搬送された位置においてパンチ及びダイによって成形され、前記ワーク把持部が開いた状態で前記スライドベースを往復動させたときに前記フィンガー部材が、前記パンチから離れた位置を通過するように構成したことを特徴とする請求項6に記載のトランスファ装置。
  8. 前記1対のフィンガー部材を前記スライドベースに回動可能に軸支すると共に鋏状に交差させて、その交差部分より先端側の前記ワーク把持部同士を対向配置し、
    一方と他方の前記フィンガー部材に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材を設け、さらに、前記フィンガーリンク部材及び/又は一方の前記フィンガー部材に、前記第1揺動部材の一端を回動可能に連結して前記把持動作変換機構が構成されたことを特徴とする請求項6又は7に記載のトランスファ装置。
  9. 前記フィンガー駆動部が一方向に移動するときに弾性変形される弾性部材を備え、前記フィンガー駆動部が他方向に移動するときの前記弾性部材の弾発力によって、前記1対のワーク把持部が閉じられるように構成したことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のトランスファ装置。
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